記者会見

大鷹外務報道官会見記録

(令和2年1月22日(水曜日)16時30分 於:本省会見室)

冒頭発言

ミャンマー政府によるラカイン州情勢に関する独立調査団の最終報告書概要の発表について

【大鷹外務報道官】今日はまず冒頭,この場を持ちまして,一つ外務報道官談話を発表します。ミャンマーのラカイン州情勢についてのものです。
 1月21日,現地時間の同日ですが,ミャンマー連邦共和国政府は,ラカイン州北部における人権侵害疑惑につき,同国政府自身により設立された独立調査団による最終報告書の概要を発表しました。本報告書には,計13か所の1千人以上の住民の証言に基づく,大量殺害,財産の破壊,略奪等に関する具体的な情報及びミャンマー政府・国軍に対する勧告が含まれています。また,同21日,同国政府は,独立調査団の同勧告を踏まえ,犯罪行為に対する捜査,訴追を進めるとの立場を明らかにしました。
 我が国は,ミャンマー政府・国軍に対し,人権侵害疑惑については,透明性と信頼性のある形で調査を実施し,その結果に従い,適切な措置を取るよう繰り返し働きかけてきました。独立調査団による最終報告書の提出及びミャンマー政府による立場表明は,ミャンマー自身による責任追及に向けた重要な進展であると評価します。
 今後,ミャンマー政府・国軍の双方が,独立調査団の勧告を踏まえ,必要な法的措置を速やかにとるとともに,同様の事案の再発の防止及び関連する国際法等の遵守に努めることを強く期待します。
 我が国は,引き続き,ラカイン州における平和と和解の促進及び避難民帰還のためのミャンマー自身の取組を後押しするとともに,同国の民主的な国造りを全面的に支援していきます。

ラカイン州情勢(丸山駐ミャンマー大使の発言)

【テレビ朝日 大石記者】ICJにミャンマー政府が提訴されている件で,23日に結果が出るかと思うんですけれども,関連して駐ミャンマー丸山大使が「仮保全措置が出されないように祈る」といった趣旨のご発言を地元メディアに対してされました。これが日本政府としての見解なのか,日本政府としてのお考えをお聞かせください。

【大鷹外務報道官】今,ミャンマーのジェノサイド条約違反に関するICJの提訴,これはガンビアが提訴しているものですけれども,これはある意味では第三国の事案ですので,日本として直接コメントする立場にない,というのが今の政府の立場です。もちろんミャンマーにおけるジェノサイドの有無についても,日本政府として判断する立場にないというのが現状です。
 先ほどの談話でも申し上げたようなことが,ラカイン州情勢全般に関わる今の日本政府の立場を反映するものですけれども,そこでも申し上げたように,日本政府としては,ミャンマー政府・国軍が,この独立調査団の報告書に基づいて,必要な法的措置をとることが不可欠であるとの考えであって,これを継続的に働きかけてきているというのが言えると思います。
 丸山大使の発言については,多分,その場面,発言の内容については必ずしも報道のとおりかどうかというのは確認できておりませんけれども,いずれにせよ,いろんな文脈ですとか,いろんな相手のある中で,発言を取り上げていろいろ報じられているのではないかと思いますけれども,日本政府の立場は,以上申し上げたとおりです。

日露関係(新内閣発足)

【NHK 渡辺記者】日露関係でお伺いしたいと思います。ラヴロフ外相が新しい内閣で留任しましたけれども,このことについて日本外務省としての受け止めと,それから,今後の平和条約交渉に向けてどういった姿勢で,改めてミュンヘンでもまた会談があると思いますけれども,2月にですね,どういった姿勢で臨まれるのか,この内閣の入れ替えの状況はどう評価しているのか,その点お願いします。

【大鷹外務報道官】申し上げるまでもなく,日本とロシアは,アジア太平洋地域の重要なパートナー同士であるということです。そういった地域の大国である両国が安定した関係を築いて協力を深めることは,地域の安定と発展に極めて重要というのは言うまでもありません。今回のロシアの中での新しい内閣,新しい人事が発足したことを踏まえて,今申し上げたような日露関係の重要性,パートナーシップの発展に向けた協力を更に進めていくという立場に変わりはありません。もちろん細かい国内情勢についてコメントする立場にないということはあるんですけれども,いずれにせよ,政府として領土問題を解決して平和条約を締結するとの基本的方針の下,引き続き粘り強く交渉していくということは不変です。

ラカイン州情勢(丸山駐ミャンマー大使の発言)

【テレビ朝日 大石記者】重ねてで確認になるんですが,先ほどの丸山大使の発言の件で,事実確認は外務省としてはされてはいないということなんですかね。「ミャンマー政府に対して仮保全措置が出されないよう祈る」という丸山大使の発言について,事実確認をされたかどうかを確認させてください。

【大鷹外務報道官】もちろん事実確認はしております。ただ,報道のされ方の一つひとつについて,あえて私どもの方でコメントすることはしないつもりです。日本政府の立場は先ほど申し上げたとおりだとお考えください。

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