記者会見

大鷹外務報道官会見記録

(令和元年11月27日(水曜日)16時30分 於:本省会見室)

国際連帯税

【東京新聞 木谷記者】先日のG20名古屋外相会合の関連でお伺いします。全体会合のSDGsのセッションの中でですね,SDGs実現のための資金調達や国際連帯税についてどのような議論がなされたのか,ちょっとご紹介いただきたいと思います。またこのテーマで日本側からどのような意見表明があったのかも合わせて教えてください。

【大鷹外務報道官】途上国においてですね,SDGsの達成には年間2.5兆億ドルが不足するというふうに言われていてそういった問題を克服するためにいろんな新たな資金動員,革新的資金調達,Innovative Financingという言い方をします,が必要であるというふうに議論が出てきてるところです。そのひとつの手段として国際連帯税があるというふうに私どもは考えております。お話にもありました名古屋でのSDGsのセッションの中ではですね,9月のSDGsサミットでの議論を踏まえて,2030年までを「行動の10年」とするために,モニタリングを着実に行いながら,進捗に遅れが見られる分野における取り組みを強化して,行動を加速化すべきとの点で一致して,それと共に2030年アジェンダの達成のために大きな資金需要があるとの指摘が各国からもなされまして,新たな資金動員を官民で連携して行っていくことの重要性,必要性が再確認されたところです。日本としてはですね,G20大阪サミットやG20名古屋外相会合の成果も踏まえてですね,今後ともSDGsの達成のための新たな資金動員に関する国内外の議論に積極的に関与していきたいと考えております。

【東京新聞 木谷記者】外務省内でも有識者懇談会を立ち上げてますが,是正改正含めて,今後,国際連帯税の導入に向けてどのように取り込もうというお考えでしょうか。

【大鷹外務報道官】お話いただいた有識者懇談会におきましては,国際連帯税もひとつの論点としてありますが,それ以外も,いわゆるインパクト投資とかブレンディッド・ファイナンス等といったものも革新的資金調達の方法としてですね,あり得るんではないかという類の議論が今行われていて,それぞれの手法についてのメリット・デメリットについて議論を行っているところです。この懇談会から今後提言をいただいて,国際連帯税を含むいわゆる革新的資金調達の議論を加速化させられればいいなと思っているところです。

中国における邦人拘束事案

【産経新聞 原川記者】中国でですね,この7月に,湖南省において,50代の日本人男性が当局に拘束されたということが新たにわかりましたけれども,この拘束の理由とか含めて政府として把握されている情報について教えていただけますでしょうか。

【大鷹外務報道官】在中国日本国大使館がですね,今おっしゃった,湖南省長沙市で,50代の邦人男性1名が中国の国内法違反があったとして,本年7月に中国当局に拘束された旨を確認しておリます。政府としましては,邦人保護の観点から,領事面会ですとか,ご家族との連絡などを,できる限りの支援として行ってきておりますが,以上申し上げたことを超えた詳細については,事柄の性質上,人的事項を含めて詳細は差し控えさせていただければというふうに思っております。

【NHK 渡辺記者】関連ですが,そういった中国の邦人拘束についてなんですけれども,領事面会をされる中で,外務省として,拘束されるに足りるだけの日本側から見ても問題を起こしたような行動をしているというふうに認定されているのか,それとも,明らかに普通に考えたら不当な拘束であると日本政府して見てらっしゃるのか,例えば,習近平(しゅう・きんぺい)国家主席の訪日を控えてですね,日中関係の雰囲気を悪くしたくないということで,そこらへんを追及しないようにしているのか,今回の王毅(おう・き)外相の時も,冒頭発言を聞いてもそういう雰囲気醸成に躍起になっているという印象があったんですけれども,そういうのも含めて,日本側から見てもこれはちょっと拘束されて当然だという事案なのか,そのへんはどう見極めていらっしゃるんでしょうか。

【大鷹外務報道官】これまでも一連の邦人拘束事案というのはあるというのはご案内のとおりなんですけれども,どの案件が今おっしゃるような不当なものであるのかないのか,そういったことについては,事柄の性質上,日本政府としてですね,コメントすることは差し控えたいというふうに思っております。その一方ですね,今おっしゃったような,日中関係,あるいは来年春の習近平国家主席のご訪日に向けてですね,今の話なんですけれども,今申し上げた一連の邦人拘束事案というのは,政府としてですね,これまでにもあらゆる機会を捉えてですね,あらゆるレベルで中国に対して,前向きな対応を強く求めてきているところです。日中両国の間にはですね,邦人拘束事案を始め,様々な懸案が存在していて,それらを解決していくためにも,両政府のハイレベルがですね,大局的な観点から,率直に議論して,そして,中国側に前向きな対応を促していくことが必要であるというのが日本政府の立場です。そういったことも踏まえて,来春の習近平国家主席の訪日に向けて,日中間でハイレベルでの意思疎通を積み重ねて,環境整備に努めていかなければならないと思っております。

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