記者会見

大鷹外務報道官会見記録

(令和元年11月20日(水曜日)16時53分 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)G20愛知・名古屋外務大臣会合の開催

【大鷹外務報道官】冒頭,私の方から4点ほどあります。まず一つ目ですけれども,今週末のG20です。ご案内のとおり22日,23日,日本が議長を務めるG20の1年間の締めくくりとして,愛知県名古屋市において,G20外務大臣会合を開催します。
 今回の会合では,自由貿易の推進及びグローバルガバナンスというテーマ,それから持続可能な開発目標(SDGs)の実現というテーマ,そして三つ目にアフリカの開発,という三つのテーマを据えて,「大阪トラック」や「質の高いインフラ原則」といった大阪サミットの様々な合意を改めて確認するとともに,現下の国際情勢を踏まえ,そういった情勢をどのように政策や制度として具体化していくべきかということについて,率直な議論を行う予定です。

(2)軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)外相会合の開催

【大鷹外務報道官】二つ目は,今申し上げた名古屋のG20外務大臣会合のマージンにおいて,23日に第10回のNPDI外相会合,軍縮・不拡散イニシアティブ外相会合を開催します。この会合では,NPDI設立10周年それから核兵器不拡散条約発効50周年に当たる,来年2020年のNPT運用検討会議に向けて,NPT体制の維持・強化及び透明性の重要性等について議論を行う予定です。
 軍縮をめぐる各国の立場の隔たりが見られ,国際的な軍縮・不拡散の見通しが不透明さを増す中で,今回の外相会合を通じて,現実的かつ実践的な提案を目指すNPDIとして,NPT体制の維持・強化に関して,ハイレベルでのコミットメントを示し,透明性向上等の重要性を発信することは大変有意義になるのではないかということで,日本としても力を入れているところです。

(3)ローマ教皇の訪日(呼称の変更)

【大鷹外務報道官】三つ目が,ローマ教皇の訪日の関係で,ご案内のとおり,23日から26日まで,ローマ教皇フランシスコ台下が訪日予定です。これまでバチカンの国家元首の日本語での呼称につきましては,日本国内において「ローマ法王」,あるいは「ローマ教皇」という異なる呼称が用いられてきていました。
 カトリック関係者の方々を始め,一般に「教皇」という呼称を用いる例が実は非常に多く見られるということ,それから日本政府の一般的な呼称として「教皇」を使用する場合,バチカン側として問題ないのかということについて問題ないという確認ができましたことを踏まえて,今般フランシスコ台下が訪日に際し,日本政府として「教皇」という呼称を使用することとしました。

(4)香港情勢(邦人の釈放)

【大鷹外務報道官】最後に香港の関係です。ご案内のとおり,17日に香港の理工大学周辺で身柄を拘束された日本人の旅行者がおりましたけれども,その方が釈放されたということは,ご案内のとおりだと思います。もちろん政府としては,引き続き邦人保護の観点から必要かつできる限りの支援を行っていく所存ですが,この機会に改めて,この場を通じまして,日本国民の皆さまにおかれては,香港で,目的の如何に拘わらず,抗議活動が行われている場所や混乱が予想されるような場所には,決して近づかないようにしていただきたいとお願いしたいと思います。

G20外相会合(日韓外相会談の見通し)

【NHK 渡辺記者】G20外相会合の関係なんですけれども,その後,韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相の訪日,会談というのは,現時点ではセッティングされたんでしょうか。

【大鷹外務報道官】今回のG20の会合では,招待国を含めると29の国・機関の外務大臣等が参加する予定ではあるのですが,まだ個別の二国間会談については調整中です。実際にいらっしゃる参加者についても今の時点で申し上げられるのは,トロイカであるフォーリ-・アルゼンチン外相と,ファイサル・サウジアラビア外相等,各国外相が参加するという連絡として受けているというところです。その他の方々については現在引き続き調整中とご理解いただければと思います。

香港情勢(邦人の釈放)

【日本経済新聞 加藤記者】香港で解放された邦人のことでお伺いしたいのですが,釈放されて今現状そのまま帰国の途に就かれているのか,今現状どうなっているのか,把握されていることがあればお教えください。

【大鷹外務報道官】この方については釈放されたという一報がありましたけれども,その他,人定事項を含めて,その方がどうしておられるかも含めて,私どもとしては事柄の性質上,お答えするのは差し控えたいと思います。

【読売新聞 後藤記者】香港関係ですけれども,どの辺で抗議活動が行われているかというのをリアルタイムになかなか旅行者が把握するのは難しいと思うんですけれども,外務省としてどのような情報発信の仕方を考えてらっしゃいますでしょうか。

【大鷹外務報道官】皆さんご案内のとおり,いろんな渡航情報というのは私ども随時流してきていることなんですけれども,特に香港のように日々いろいろ状況が動いているものについては,スポット情報を相当出してきているところです。特に最近,大学構内でいろいろ動きがあるということについては,例えば15日のスポット情報においても流したところですので,引き続きこういった形で,随時,最新の情報を皆さまの安全に資するような情報を流していきたいと思っておりますので,ぜひとも今後ともこのスポット情報をフォローしていただければと思います。

日韓関係(GSOMIA)

【NHK 渡辺記者】日韓関係についてお伺いしたいと思います。軍事情報包括保護協定,GSOMIAなんですが,執行期限が迫っておりますけれども,現時点でこの問題についての日韓両政府の調整状況はどうなっているんでしょうか。

【大鷹外務報道官】この問題については,これまでにも繰り返しお話させていただいているところですけれども,これまでの状況を見ますと,韓国政府によるGSOMIA終了の通告は我が国から見ると現下の地域の安全保障環境を完全に見誤った対応と言わざるを得ず,極めて遺憾であるという立場は変わりありません。そういう意味で,日本としては引き続き韓国側に対して,現下の安全保障環境を踏まえた賢明な対応を求めていくということには変わりありません。

桜を見る会

【共同通信 小野塚記者】桜を見る会の関係でお伺いします。今日の衆議院の内閣委員会なんですけれども,各省庁の推薦名簿について,各省庁,人数を出して発表がありました。内閣府が明らかにしたんですけれども,その中で外務省は出ていなかったんですが,出していない理由についてお願いします。

【大鷹外務報道官】ご質問いただいているのは,推薦者数についてのデータだと思いますけれども,外務省としてもやはり情報については正確を期したいというところがありますので,今現在,鋭意精査中です。終了次第,当然この情報についてはお出しするつもりです。

【共同通信 小野塚記者】ということは,以前の,先週の質問のときには,名簿自体の有無について明言されなかったんですけれども,今は何年か分はあるという認識なんでしょうか。

【大鷹外務報道官】先週申し上げたのは,公文書管理法等の国内関連法令に基づいて適切に文書を管理してきているということだったんですけれども,更に申し上げると現時点で今お話にあった文書については,廃棄されていない状況であるということが申し上げられると思います。

【NHK 渡辺記者】今の質問の関連なんですけれども,実際,各国の大使とか,在京各国大使を含めて外交官の方とか,実際に参加されていると思うんですけれども,現時点において安倍総理大臣,官邸としては,来年の桜を見る会の中止ということを打ち出しております。実際,外交に果たしてきた桜を見る会の役割というのはあったと思うんですが,中止になったことの外交への影響,あるいはそういった場での社交とか,日本の桜というのを外国の人に見てもらうとか,そういったいろんな外交的な効果というものがあったと思うんですけれども,それをどう評価されているのか,外交から見て桜を見る会の位置付け,評価,それがなくなることについての外交上の何か損失と言いましょうか,そういったものがあるのかどうか,そのへんはどう考えてらっしゃいますでしょうか。

【大鷹外務報道官】おっしゃっているのは,いろいろ在京の外交の関係者との間のいろんなネットワーキングですとか,あるいは日本の文化を知ってもらうということ,そういった意義を踏まえるとどうなのかということになるんだと思うんですけれども,当然,今申し上げたことというのは非常に意味があるものとして外務省としては考えております。他方,いろんな機会がある中で,こういった今の日本の文化ですとか,在京の外交団の方々とのいろんな関係の構築,そういったものはいろんな場を通じてやっていくということですので,このイベントだけに頼っているという状況ではないのだと思います。ただ,この点も含めて今後,いろいろ再検討をする中でいろいろ今後について考えていくのかなと想像しておりますけれども,私どもとしては今申し上げたようなことだと思います。

【共同通信 小野塚記者】今の件で確認なんですけれども,先週は名簿の存在について明言できなかったのに,今週になって破棄されていないというふうに言えるようになった理由はなんでしょうか。

【大鷹外務報道官】引き続き精査を続けてきていて,私どもは鋭意その精査の作業は行っているところです。その結果として,今の時点では先ほど申し上げたように,関連するものについては廃棄されていないということは確認されているということは申し上げられるということです。

記者会見へ戻る