記者会見
大鷹外務報道官会見記録
(令和元年10月16日(水曜日)16時30分 於:本省会見室)
北方四島における観光パイロットツアーの再開
【NHK 渡辺記者】日露関係についてお伺いしたいんですけれども,延期になっております国後島と択捉島への,共同経済活動の一環としての試験的な観光ツアーの件なんですけれども,現時点での調整の状況等を教えていただきたいということと,あとまた日程的なものですね,決まったのかどうか,その辺をお願いします。
【大鷹外務報道官】このツアーをめぐる経緯については,以前にもご説明したとおりなんですけれども,その後もロシア側も日程を再調整したいと言っておりますし,今現在,関係者と協議しながら,今月下旬以降のできるだけ早い時期に実施すべく調整中という状況です。さらに具体的に決まりましたら,また皆さんと共有できると思います。
北朝鮮漁船の衝突事案
【共同通信 小野塚記者】北朝鮮が漁船沈没をめぐって,日本に賠償を要求した事案について何点かお伺いします。今回の事案は日本海のEEZ,日本のEEZ内で発生したという認識なんですけれども,北朝鮮の沿岸から200海里以内の海域,北朝鮮が要はEEZを主張している海域と重なる部分というのは現状あるんでしょうか。また重複する可能性がある海域があるとすれば,今回の事案はそういった海域で起きたのか,それとも北朝鮮の権益が及ばない日本単独のEEZで起きたのでしょうか。
【大鷹外務報道官】水域をめぐる議論についてあまり今日は詳細に入るつもりはないんですけども,いずれにしましても,海域について,北朝鮮側の主張について,日本としてはお答えする立場にないんですけども,今回の事案については,いずれにせよこの事案が起きた海域は日本の排他的経済水域内という立場ということです。
【共同通信 小野塚記者】重ねてお伺いします。今回,賠償請求については受け入れられないと抗議したと長官が会見でおっしゃっているんですけれども,これは何故,賠償請求は受け入れられないと判断し,抗議を申し入れられたんでしょうか。国際法や国内法の観点から,どういった根拠なのか説明をお願いします。
【大鷹外務報道官】今回の事案については,我が国としては「大和堆」周辺海域に侵入しようとする外国漁船等の数が大変多い中で,北朝鮮漁船に対して退去警告を行っていたところです。そしてその船舶が急旋回したことから,漁業取締船と接触して沈没したという事実があります。その事実を踏まえて,北朝鮮側に対して北京の「大使館」ルートを通じ,しかるべく速やかに抗議を行ったということです。そしていずれにせよ,12日の北朝鮮側による発表は受け入れることはできませんし,北朝鮮側の主張に対する我が国の立場は北朝鮮側にしっかり伝えております。
【共同通信 小野塚記者】今後,外務省として,紛争や不測の事態を避けるために,北朝鮮と対話を通じて,EEZの境界線を確定させる必要性はあるというお考えでしょうか。
【大鷹外務報道官】北朝鮮側の主張については,我が国としてはお答えする立場にないですが,他方,今回の海域において生じている事案というのは,実態的に,日本の排他的経済水域内で向こうがそういった行動をとってきていることに基づいて行っているものですので,今の現状において,何か北朝鮮側と協議しなければ物事が解決しないとか,そういう認識は持っておりません。