記者会見
大鷹外務報道官会見記録
(令和2年2月26日(水曜日)16時32分 於:本省会見室)
冒頭発言
南スーダンにおける新国民統一暫定政府の設立
【大鷹外務報道官】2月22日,南スーダンの首都ジュバにおいて,国民統一暫定政府の設立が宣言されました。
南スーダンでは,2011年の同国独立後,同国政府の主流派と反主流派の衝突が続いていましたけれども,2018年に両者の間で結ばれた「再活性化された衝突解決合意」が結ばれました。この暫定政府はこの合意に従って設立されたものです。我が国は,サルヴァ・キール大統領,リエク・マシャール第一副大統領を始めとする,全ての関係者による暫定政府設立の合意を歓迎するとともに,今回の暫定政府設立に協力した政府間開発機構(IGAD)の調停努力を高く評価します。
暫定政府の設立はゴールではなくて,民政移管のプロセスの始まりですので,我が国としては,引き続き全ての関係者が暫定政府の下で,今申し上げた「再活性化された衝突解決合意」を着実に履行していくことを期待しています。我が国は国際社会と協力して,合意の履行及び南スーダンの平和と安定に向けた努力を,引き続き支援していく考えです。
安倍総理からトランプ米大統領への東京オリンピック招待有無
【共同通信 渡会記者】先日,トランプ米大統領が安倍総理から東京オリンピックに招待されて出席を検討していると発言しました。総理が過去の日米首脳会談等で,来日をご自身が働きかけたことは,これまであるのかどうかということをお聞かせください。
【大鷹外務報道官】トランプ大統領の発言については承知しておりますけれども,同大統領の訪日については何ら決まっておりません。また,どういう形で招待しているのか云々という点につきましても,外交上のやり取りですので,この場で明らかにすることは差し控えさせていただければと思います。
NPT運用検討会議に向けた日本政府の立場
【共同通信 渡会記者】核拡散防止条約で伺いたいんですけれども,条約は3月5日に発効50年を迎えて,今年の4月から5月にニューヨークで再検討会議が開かれます。今現在トランプ米政権が小型核の配備に乗り出すなど,世界では軍拡競争への懸念が再び強まっていますけれども,政府はこれまで核の段階的削減を求める立場でありましたが,今回の4月,5月に開かれる会議では,どのような立場を掲げるのかということをお聞かせください。
【大鷹外務報道官】今でもNPTは国際的な核軍縮・不拡散体制の礎石ですので,日本としては核兵器国と非核兵器国の双方が参加するNPT体制の維持・強化を大変重視しております。核軍縮の進め方を巡る国家間の立場の違いがもちろん見られますけれども,その違いが見られる中で,各国がともに取り組むことのできる共通の基盤となり得る具体的措置を見出す努力を粘り強く続けて,そして本年のNPT運用検討会議に向けた機運を高めていくことが重要ではないかと考えております。
そのような観点から,日本としては,昨年の国連総会において,NPT体制の維持・強化に向けて,核軍縮について各国が共同で直ちに取り組むべき行動,また,未来志向の対話の重要性,そういった点を訴える決議案を提出し,その決議案は160か国の支持を得て採択されました。
更に昨年10月には,日本が主催する「核軍縮の実質的な進展のための賢人会議」の白石座長から,これまでのこの会議での議論を総括するものとして「議長レポート」が提出されました。このレポートが国際社会が向き合うべき問題ですとか,あるいは今後実施し得る具体的な取組を示すものとして,国際社会にとって参考になることを期待しています。
更に,昨年11月には,名古屋で軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)の外相会合を主催し,茂木外務大臣が共同議長を務めた次第です。この会議では,本年のNPT運用検討会議に向けた決意を表明する共同声明も発出したところです。
本年のNPT運用検討会議が意義ある成果を収めるものとなりますよう,こういった取組等を通じて,引き続き国際的な議論に積極的に日本としては貢献していきたいと思っております。
新型コロナウイルス(イベントの自粛,外務省)
【読売新聞 後藤記者】総理が今日,コロナウイルスの関係で,今後2週間は大勢の人が集まるイベントを自粛してほしいという考えを表明しましたけれども,外務省として今後2週間,1か月程度,春までの期間を含めて,大規模の行事ですとか大勢の人が集まるような会議ですとか,そういったものの自粛・延期は検討していらっしゃいますでしょうか。
【大鷹外務報道官】本日のコロナウイルスについての政府の発表は非常に重要なもの,特に感染拡大を防止する上で,極めて重要な意思決定,措置というふうに外務省としても受け止めております。今後予定されている外務省が主催するような行事については,それぞれの行事の内容とその時々の状況を踏まえながら,適切に判断していくことになるのかなと考えている次第です。
新型コロナウイルス(入国拒否の基準)
【NHK 渡辺記者】今日,韓国の大邱(テグ)と,それから慶尚北道(けいしょうほくどう)の清道郡(チョンドぐん)からの入国を一定の条件の下で拒否するという話になっておりますけれども,今後,日本政府としてどういった条件が出てくると,こうした措置をとっていくのかっていうのは何かあるんでしょうか,指針みたいなものは。中国の,例えば湖北省と浙江省にも同じような措置をとっていますけれども,どのへんを目安として判断しているんでしょうか。
【大鷹外務報道官】ご案内のとおり,中国の一部の地域,そして今回の韓国の一部の地域についての上陸について,一定の措置が発表されているわけです。特に今回の韓国の措置については,韓国の大邱広域市あるいは慶尚北道清道郡において,新型コロナウイルス感染症の感染者数の増加が顕著になっていると,そして韓国政府もこれらの地域を「感染症特別管理地域」に指定して感染症危機警報を4段階の中で最も高い「深刻」,いわゆる「深刻」段階に引き上げているという状況がありました。
こういった各種状況を踏まえて,政府としてこれらの地域に関わる水際対策を徹底する必要があると判断して,今回の閣議了解によって,上陸の申請前14日以内に大邱広域市及び慶尚北道清道郡における滞在歴のある外国人については,特別の事情がない限り入管法第5条第1項第14号に該当する外国人であると解することにしたわけです。
今後の措置については,今の段階で予断することは難しいですけれども,やはり現地での今回の感染症の動向ですとか取組,医療体制,そういったものを総合的に見ながら,判断しながら考えていくことになると思います。
いずれにせよ今の段階でははっきりと予断することはできない,でも今後とも政府としては各地の動きを注意深く見守りながら,必要な措置をとっていくという立場には変わりはないとご理解いただければと思います。