記者会見
大菅外務報道官会見記録
(令和元年6月5日(水曜日)16時30分 於:本省会見室)
冒頭発言
(1)IISSジャパンチェア記念夕食会
【大菅外務報道官】本6月5日,東京都内にて英国のシンクタンク,国際問題戦略研究所(IISS)の日本研究のポスト,いわゆるジャパンチェアの設置を記念する夕食会が開催されます。外務省から河野外務大臣他が出席する予定です。外務省は,本年3月,日本の外交・安全保障政策を研究するジャパンチェアをIISSに設置すべく,IISSに拠出しました。現在,IISSで研究者の人選が行われているところです。
IISSに設置されるジャパンチェアが,欧州における日本研究の拠点となり,知日派の育成,そして我が国の対外発信につながることを期待しています。
(2)アフリカビジネス協議会第1回会合の開催
【大菅外務報道官】明6月6日,アフリカビジネス協議会の第1回会合を経団連会館で開催します。この協議会は,TICAD7官民円卓会議第3回会合(本年3月18日)で採択された「民間からの提言書」を受け,日アフリカ間の貿易,投資及びビジネス関係促進を目的に,日本企業・国内関係省庁・政府関係機関による常設の会議体として立ち上げるものです。
第1回会合には,外務省,経済産業省をはじめとする関係省庁・政府関係機関,経済団体,その他アフリカビジネスに関心を有する民間企業・団体,国際機関等のハイレベルが出席する予定です。
(3)対日理解促進交流プログラム JENESYS2019「中国高校生訪日団」の訪日
【大菅外務報道官】6月11日から6月19日まで,対日理解促進交流プログラム(JENESYS2019)として,100名の「中国高校生訪日団」が訪日します。
滞在中,一行は「ボランティア」をテーマとしたセミナーを受講する他,防災センターを訪れ防災ボランティアの疑似体験をします。また,東京都のほか,北海道,京都府,大阪府の高校を訪問し,高校生や市民との親睦を深める予定です。
日中両国政府は,本年を「日中青少年交流推進年」と定め,両国の青少年の交流を集中的に推し進めることで一致しています。このプログラムの参加者一人ひとりが日本に対する多面的な理解を深め,日本の魅力と日中友好の積極的な発信者となることが期待されます。
日韓局長協議
【朝日新聞 竹下記者】本日,日韓の外務当局の局長協議が行われましたけれども,徴用工の問題をめぐっても意見交換が行われたようなのですが,具体的な解決にはまだ至っておらずで,外務省としては現状の日韓関係をどのように評価されていて,今後改善に向けてどのような取組が必要と考えているかお願いします。
【大菅外務報道官】まず,本日11時ごろから約3時間,東京において金杉外務省アジア大洋州局長は,金丁漢(キム・ジョンハン)韓国外交部アジア太平洋局長との間で日韓局長協議を実施しました。日韓関係全般について意見交換を行いました。
その中で,今,ご指摘のありました,旧朝鮮半島出身労働者をめぐる問題につきましては,我が国の立場を改めて伝達するとともに,先般,日韓請求権協定に基づく仲裁に付託したことに言及し,韓国側の責任で早急に具体的解決策を講じるよう強く求めました。この点について,韓国側からは韓国政府の立場につき説明がございました。
その他も,我が方から,日本側から,韓国による日本産水産物等の輸入規制問題,この規制の撤廃を改めて求めました。その上で,両局長間を含め,両国の外交当局間の意思疎通を継続していくということで一致いたしました。
【共同通信 江藤記者】今の,意思疎通をしていくというのは労働者問題も食品も全部含めてということですか。
【大菅外務報道官】そうですね,日韓関係全般について,意思疎通を継続していくということでございます。
天安門事件から30年
【共同通信 江藤記者】中国の関係なんですけれども,天安門事件から30年となるんですけれども,現状の中国の人権状況をどうご覧になっているか,ご所見をお願いします。
【大菅外務報道官】昨日も河野外務大臣から,質問に対しての答えがございましたけれども,日本政府としては,基本的人権・自由の尊重,それから法の支配,こういった国際社会における普遍的価値については,中国においても保証されることが重要という立場です。こうした立場につきましては,これまでも中国側に対して,例えば去年10月の総理訪中の機会,それから本年4月の日中外相会談の機会に,中国側に対して伝えるとともに,中国の前向きな動きを促しているということでございます。
【共同通信 江藤記者】昨日,大臣からは,日中人権対話を働きかけているという,ご紹介があったんですけれども,人権対話を日本から働きかけて行う意義と,できるかどうかの見通しがどうなっているか教えてください。
【大菅外務報道官】ご指摘の人権対話ですけれども,1997年から7回にわたって,日中交互で開催されてきました。残念ながら2011年の東京での対話以来,開催されておりませんで,次回は中国側が開催することになっております。こうした中で,我が国としては,次回対話の開催について中国側に提起しているところでございますが,現時点では何も決まっておりません。
日韓局長協議
【朝日新聞 東岡記者】もう一度,日韓の局長協議に戻ります。徴用工の問題で日本政府が日韓請求権協定に基づいて,求めている仲裁委員会の設置について,韓国側は韓国政府の立場について説明があったという趣旨のお話しでした。もう少し具体的に教えてください。仲裁委員会の設置に応じると答えたのか,検討中と答えたのか,あるいは応じられないと答えたのか,詳しい内容を教えてください。
【大菅外務報道官】先方の反応については控えたいと思います。我が国としては仲裁に応じるよう引き続き,強く求めていくという立場でございます。
人権対話
【共同通信 江藤記者】中国のことなんですけれども,まだ見通しがたっていない人権対話ですけれども,行う意義というのはいかがでしょうか。
【大菅外務報道官】これまでやってきた対話ですし,人権対話は中国との間だけではございません。最近,昨年度以降でということであれば,例えば日本とカンボジアの人権対話ですとか,日本とイランとの人権対話,日本とミャンマーとの人権対話,こういったものも実施してきています。お互いに,直接バイの関係で率直に問題意識をぶつけあうということは,非常に意義があるものと考えております。