記者会見
大菅外務報道官会見記録
(平成30年10月31日(水曜日)17時00分 於:本省会見室)
冒頭発言
(1)キャリー・ラム香港行政長官の訪日
【大菅外務報道官】10月29日から11月2日まで,キャリー・ラム香港特別行政区行政長官が日本政府の招待により訪日しています。
香港特別行政区行政長官の公式訪問は,2009年のドナルド・ツァン行政長官の訪問以来,約9年ぶりとなります。
キャリー・ラム行政長官は,明11月1日,香港貿易発展局主催シンポジウム“think GLOBAL, think HONG KONG”に出席するほか,2日の出発までに河野外務大臣と会談し,日本・香港関係の重要性を確認するとともに,経済や文化面を始めとする幅広い分野の更なる関係強化について意見交換を行う予定です。
香港は,2005年から13年連続で日本の農林水産物の最大輸出先であるほか,世界では第8位,アジアでは第2位の対日投資パートナーです。また,香港の総人口当たりの訪日旅行客の割合は世界一位となっており,昨年の訪日旅行客数は223万人と過去最高を記録するなど,香港は日本にとって極めて重要なパートナーです。
今回の訪問を通じて,経済,観光,文化等様々な分野で双方の一層の協力が進展することが期待されます。
(2)ブラントリー・セントクリストファー・ネーヴィス外務・航空大臣の訪日
【大菅外務報道官】11月1日から7日の日程でマーク・ブラントリー・セントクリストファー・ネーヴィス外務・航空大臣が訪日します。滞在中,河野大臣は,ブラントリー外相との夕食会を主催する予定です。
セントクリストファー・ネーヴィスは人口5.5万人の島嶼国であり,人口・面積ともに米州最小の国ではありますが,自由,民主主義,人権,法の支配といった基本的価値観を共有する我が国の重要なパートナーの一つです。また,国際社会の重要な地域グループであるカリブ共同体(カリコム)の加盟国でもあります。河野大臣主催の夕食会では,二国間関係及び日・カリコム関係についてのみならず,安保理改革や北朝鮮問題を含め,国際場裡における協力についても意見交換を行う予定です。
今回の訪日を契機に,両国関係の更なる強化が期待されます。
(3)スルジャン・ダルマノビッチ・モンテネグロ外相の訪日
【大菅外務報道官】本10月31日から11月5日までの日程で,外務省の招へいにより,スルジャン・ダルマノビッチ・モンテネグロ外相が訪日しています。明11月1日,河野大臣は,ダルマノビッチ外相との夕食会を主催する予定です。
2006年の外交関係樹立以降,日・モンテネグロ関係は着実に進展しています。今回,ダルマノビッチ外相は,特に政治・経済両面で二国間関係を発展させていくことを念頭に,政府・経済界関係者等と意見交換を行う予定です。
この訪日により,日本とモンテネグロの友好関係が一層強化されることが期待されます。
(4)クリスチャン・ミクロネシア大統領の訪日
【大菅外務報道官】本10月31日から11月6日までの日程で,クリスチャン・ミクロネシア大統領及びロバート外務大臣が訪日します。滞在中,在京ミクロネシア大使館は,日ミクロネシア連邦外交関係樹立30周年及びミクロネシア連邦独立32周年記念祝賀レセプションを開催します。
歴史的にも深いつながりを有する日本とミクロネシアの友好関係は,益々強まっています。
大統領を始めとしたミクロネシア政府一行の訪日により,日本とミクロネシアの友好関係が一層強化されることが期待されます。
(5)第21回日韓領事当局間協議
【大菅外務報道官】本10月31日,東京において,第21回日韓領事当局間協議が開催されました。同協議には,日本側からは垂秀夫外務省領事局長ほか関係省庁の担当者が,韓国側からは,禹仁植(ウ・インシク)外交部在外同胞領事企画官(局長級)ほか関係者が,それぞれ出席しました。
この協議では,在外自国民保護や査証関連政策等について意見交換を行い,引き続き領事分野で両国間で緊密に協力していくことを確認しました。
次回会合は,ソウルにおいて開催し,具体的日程等については,今後 外交ルートを通じて調整していくこととなりました。
(6)公邸料理人ツイッター・フェイスブックの開始
【大菅外務報道官】公邸料理人の活動については,平成24年から外務省ホームページで紹介しておりますが,今月23日からツイッター及びフェイスブックによる発信を開始しました。アカウント名は,ツイッター,フェイスブックともに「外務省×公邸料理人」です。
公邸料理人は,世界中にある在外公館で大使や総領事などの外交活動を料理で支えるだけでなく,日本の食文化の魅力を積極的に対外発信するなど,外交活動の現場のかけがえのない一員です。普段,裏方として活躍することが多い彼ら・彼女らの活躍に更に光を当てるべく,SNSにより一層積極的に発信することとしたものです。
特に,若い世代の調理師の方々に関心をもってフォローしてもらえるような発信を心がけ,外交の最前線で活躍する公邸料理人の姿を届けることにより,公邸料理人という職業の認知度の向上と,海外での活躍を目指す若者の増加につながることを期待しています。
また,「食」という切り口でもって,広く一般国民の皆様に我が国外交活動に更なる関心を持っていただく一助となれば幸いです。
つい先ほどのツイッターのフォロワー数は,7181ということです。
国際法に違反する司法判断
【共同通信 福田記者】一般論で教えていただきたいんですけど,国際法に違反するある国の司法判断が出された際に,その状態を是正するために必要なことというのは何なのでしょうか。判決の取り消しなり,そういったことが必要になるんでしょうか。
【大菅外務報道官】なかなか一般論で答えにくいご質問だと思います。三権分立の有り様も国によって,憲法によって様々だと思いますし,日本型の三権分立もあれば,そうでない司法権,行政権,立法権の関係の国もあると思いますので,なかなか,一概には言えないと思います。
韓国大法院による日本企業に対する判決確定
【共同通信 江藤記者】韓国の徴用工の訴訟について,お伺いいたします。現時点では,韓国側に適切な対応を求めているという段階だと思うんですけれども,今後,請求権協定に基づいて,協議入りが想定されると思います。韓国側からどの様な対応があった場合に,あるいはどの様なタイミングで,この協議を打診するということになるんでしょうか。
【大菅外務報道官】まず,仮定の質問についてのお応えは差し控えたいと思いますが,先ずは,韓国政府がどの様な対応を取るかを見極めるということですが,仮に,韓国が早急に適切な措置を講じない場合には,昨日来,申し上げているとおり,国際裁判を含め,あらゆる選択肢を視野に入れて,毅然とした対応を講ずるということです。具体的な内容については,こちらの手の内を明らかにするということにもなりますので,差し控えたいと思います。
【共同通信 江藤記者】日韓両政府は,文在寅(ムン・ジェイン)大統領の訪日の年内調整をされてきたわけですけも,訪日日程に今回の問題が影響するかどうかはいかがでしょうか。
【大菅外務報道官】まず,文大統領の訪日の日程については何も決まっていません。本年は,日韓パートナーシップ宣言20周年という節目の年ですので,そういうこともあり,首脳間,外相間含む様々なレベルで未来志向の関係構築のため協力を強化するということで一致してきた経緯があります。そうした中での今般の大法院による判決に関しては,我が国としては,国際法違反の状態を是正することを含め,適切な措置を講じるよう,韓国政府に対して強く求めているということで,それに対して韓国政府がどのような対応を取るかをまず見極めるということです。
【共同通信 福田記者】先ほど国際裁判を含めあらゆる選択肢を視野にという話がありましたが,国際裁判に至る前に,日韓請求権協定には,3条に,紛争処理の項目もありますけれども,普通に考えればこの手順を踏むと考えるのですが,一足跳びに国際裁判という形になる可能性もあり得るということでしょうか。
【大菅外務報道官】国際裁判を含め,あらゆる選択肢ということです。具体的なシークエンスですとか,そういった具体的な内容については,手の内を明らかにするということになりますので,差し控えたいと思います。