記者会見
丸山外務報道官会見記録
(平成30年5月23日(水曜日)16時31分 於:本省会見室)
冒頭発言
河野大臣のブラジル,アルゼンチン,米国訪問
【丸山外務報道官】河野外務大臣は,ブラジル,アルゼンチンの訪問を終えて,現在,米国に入りました。日本時間の明日ポンペオ国務長官と会談する予定です。
ブラジル・サンパウロを20日に訪問し,ジャパンハウス・サンパウロを視察し,日本の中南米外交政策に関する講演を行いました。また,サンパウロは世界最大の日系社会を有しますが,同地で活躍する若手日系人との懇談を行ったほか,日系団体主催の歓迎式典に出席し,日本と日系社会の連携強化策について意見交換するとともに,日本人のブラジル移住110周年に対して祝意を表明しました。
21日にアルゼンチン・ブエノスアイレスで開催されたG20外相会合においては,参加各国外相と率直に様々な意見交換を行いました。来年度も11月の22,23日の二日間の日程で,愛知県名古屋市においてG20外相会合を行うことを発表しました。またこの機会に,英国,オランダ,インドネシア,南アフリカ,オーストラリアとのバイの会談も実施しております。
河野大臣はマクリ・アルゼンチン大統領への表敬を行いました。日・アルゼンチン外相会談では,マクリ政権の経済政策・改革努力を支持する旨述べました。両国間の貿易・投資環境が改善され,経済関係が強化されることへの期待を表明するとともに,アルゼンチン側から要請があった技術協力「一村一品」プロジェクトの採択を決定したことを等伝えました。
米韓首脳会談
【NHK 辻記者】米韓首脳会談が行われて,トランプ大統領が米朝首脳会談の延期の可能性も言及していましたけれども,日本政府の立場,改めてお願いします。
【丸山外務報道官】まず米韓首脳会談ですが,米韓首脳会談は来る米朝首脳会談に向けた協力を確認する機会になったと承知しております。
日米韓三か国の緊密な連携を確保するためには,それぞれの二国間での政策のすり合わせを行うことがとても重要だと思っております。先ほど申し上げたとおり,河野外務大臣は,本23日に訪米して日米外相会談等を行う予定です。今回の米韓首脳会談の結果を含めて,日米,日米韓三か国の間で綿密な情報共有や政策のすり合わせを行っていくこととしております。我が国としても,そうした中で三か国の緊密な連携,中国,ロシアを含む国際社会と協力して,日本としてもしっかりと役割を果たしていきたいと思っております。
延期の話がありました。トランプ大統領は米韓首脳会談に際しての記者会見において,来る米朝首脳会談を延期,または開催しない可能性について言及したと承知しています。いずれにしましても,来る米朝首脳会談について重要なのは,開催すること自体ではなく,同会談が核・ミサイル,そして何よりも重要な拉致問題が前進する機会になることであると思います。
我が国としては,トランプ大統領が北朝鮮からの具体的な行動を引き出すべく,強い意志を持って取り組んでいることを高く評価します。引き続き,来る米朝首脳会談に向けて日本の考えをしっかりと米国に伝えて,米国と共に準備を進めていく,そういったことにしていきたいと思っております。
日米外相会談
【NHK 辻記者】冒頭ありましたように河野外務大臣,日米外相会談に臨まれると思うんですけども,ポンペオ長官はイランに対する新たなポシリーを発表されましたけども,その中で日本の名前も出して協力を求めて,イランに対して厳しい姿勢の協力を求めていくという言及がありました。こういった話は日米外相会談でも議題に上るのかというのが一つと,CVIDに関してですけども,北の非核化に対する日本政府の姿勢はCVIDで具体的な行動を求めると,CVIDが達成されるまでは制裁は解除しないということだと思うんですけども,巷間言われる,リビア方式というものに対する日本政府の立場と評価についてお願いします。
【丸山外務報道官】まず最初の部分ですけれども,今度の外相会談で具体的にどういうことが話されるのか,内容については予断することは差し控えますが,時間が許せば,中東問題,中東情勢についても日本の立場を説明して,最新の情勢等について意見交換が行えればと考えております。ご指摘のありましたイラン政策では,我々ももちろんアメリカ政府の発表は承知しておりますし,今の我が方の考え方としては,この発表の内容はまずは精査する。そして引き続き米国を含む関係国と緊密に協議を続けていくということであります。
それからCVIDについてどういう形で,今回の日米外相会談を含めて議論していくのかということですが,これもまた具体的な内容は余談することは差し控えますが,いずれにしても,我々としましては北朝鮮からの完全な検証可能なそして不可逆的な方法でのすべての大量破壊兵器,およびあらゆる射程の弾道ミサイルの破棄に向けた具体的な行動を引き出すため圧力を維持していくこと,そして米朝首脳会談で拉致問題を提起して早期解決を働きかけることを確認したいと考えております。
【NHK 辻記者】ちょっと僕の聞き方が悪かったかもしれないですけど。今後,米朝首脳会談の非核化がどのように協議されるか全く予断を許さないと思いますけども,非核化に向けていろんな手段があると思いますけども,行動対行動ですとか一括のリビア方式ですとか,いろんなやり方が指摘されてますけども,大統領の安全保障補佐官がおっしゃられるようにリビア方式に対する現時点での日本政府の立ち位置というか,評価はどういうことなんでしょうか。
【丸山外務報道官】これは,要するに,今後行われるであろう様々な会談に際して,どのような形で北朝鮮に対して非核化を実行させるかということについて,具体的に我々が何を考えているのかということをこの場で申し上げるということは,我々の手の内をさらすということになりますし,そうしたことについては差し控えたいと思います。
日露首脳会談
【北海道新聞 片岡記者】日露首脳会談に向けて最終調整が進んでいると思います。一部報道でウニ養殖も含めて首脳間で合意するとありましたけども,会談の見通し,あるいは会談で期待する成果を改めて教えていただけますか。
【丸山外務報道官】ご指摘の報道は承知しております。それと日露首脳会談の成果について,これを予断することは差し控えたいとは思いますが,まず北方四島における共同経済活動,これについては昨年11月の日露首脳会談,それから日露外相会談を踏まえて5件のプロジェクト,候補の具体化を進めるための作業,これを加速させております。
我々としては,幅広い分野で日露関係を国益に資するような形で進めていく中で,北方四島の帰属問題を解決して平和条約を締結するとの基本方針,この下で引き続き,ロシアとの交渉を粘り強く取り組んでいくという考えに変わりはなく,今回の日露首脳会談においても,そうした方針を踏まえて対応していくということになろうかと思います。
外交青書に関する韓国での報道
【毎日新聞 田辺記者】ちょっと前ですけどれども,外交青書について韓国側の報道で一部で,表現が前回と変わっていることをもって距離を置こうとしているのではないかとか,合意の履行ができてないことが要因にあるのではないかみたいな論評があったと思うんですけれども,そう受け取られることについての受け止め,どういうふうにお考えでしょうか。
【丸山外務報道官】まずは,そういった論評とか報道についての一つ一つについて我々がコメントすることは差し控えたいと思っております。また外交青書というのは,これは過去1年間の外交活動を記録する,そういったものでありますし,そういった観点から日本の政策をそこで発信している,そういうたぐいのものだと思っております。他方,それに対していろんな方が様々なコメントはあるとは思いますけれども,そういった報道とか論評の一つ一つについてのコメントは差し控えたいと思います。