記者会見

丸山外務報道官会見記録

(平成30年1月24日(水曜日)16時47分 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)ル・ドリアン・フランス欧州・外務大臣の訪日(外賓)

【丸山外務報道官】1月26日から29日まで,ル・ドリアン・フランス欧州・外務大臣が外務省賓客として訪日されます。
 26日には,河野外務大臣,ル・ドリアン大臣,小野寺防衛大臣,パルリ・フランス軍事大臣の四大臣で,第4回日仏外務・防衛閣僚会合を行います。ここでは二国間の安全保障・防衛協力,地域情勢等について議論し,現下の安全保障環境に対する認識の共有や,具体的な連携・協力を確認する予定です。また,滞在中,河野大臣とル・ドリアン大臣との間で第7回日仏外相戦略対話を実施し,日仏間の「特別なパートナーシップ」の更なる強化に向けて議論を行う予定です。
 ル・ドリアン大臣は,前職の国防大臣として2014年1月の第1回,2015年3月の第2回,2017年1月の第3回日仏外務・防衛閣僚会合に出席されており,今回が4回目の出席となります。
 日仏友好160周年を迎える本年,両国の「特別なパートナーシップ」の下で,安全保障・防衛協力を含め日仏関係が更に深化することが期待されます。

(2)対日理解促進交流プログラム

【丸山外務報道官】今週も対日理解促進交流プログラムの下で,多くの外国の若者が日本を訪問しております。韓国の高校生・大学生145名,南アジア諸国8か国の社会人129名,太平洋島嶼国10か国の大学生63名,米国の社会人10名,カナダの高校生15名が訪日しています。
 また,1月30日から,マレーシアの大学生・若手研究者45名,韓国の大学生20名が訪日します。それぞれ日本各地を訪れ,同世代の学生や地域の方々との交流を体験します。 このプログラムを通して多角的に日本についての理解を深めていただき,日本の魅力を積極的に発信していただくことが期待されます。

中国の台湾海峡における航空路変更

【中央通信社 黄記者】今年の1月4日,中国の民航当局は事前に台湾と何ら協議なく,台湾海峡中間線に極めて近いM503など,4つの航空路線を運航開始しました。これについて台湾政府は航空安全と地域安定の観点から中国に協議を呼び掛けていますが,日本政府の立場あるいは見地はいかがでしょうか。

【丸山外務報道官】台湾当局の発表は承知しております。我が国は従来から民間航空機の安全の確保,これは何よりも重要との立場です。そうした観点から当事者間の対話を通じて,本件が適切に解決されることを期待しています。

TPP11及び日中韓サミット

【財新メディア 舛友記者】2点伺いたいんですが,まず1点目,昨日,TPP11が3月8日にも署名する運びになったというニュースがありましたが,これを外務省様としてどのように評価していらっしゃるのか。また,日本として,既に脱退を表明したアメリカや関心を示している国々,フィリピンとか韓国などに対して具体的にどのように対応していくおつもりなのか。
 もう一つが,4月にも開催が見込まれている日中韓首脳会談についても,伺いたいんですが,中国に対しては,既に打診とか,李克強総理へ招待状を送ったとか,そういうことはもうあるのでしょうか。何か,中国から既に積極的な回答なり来ているのか,この会談は何度も既に延期されてきたと思うんですが,4月の開催に向けて,今どういう状況なのか,聞かせてください。

【丸山外務報道官】まず最初のTPP11の関係ですが,ご存知のとおり日本は自由貿易の旗振り役として,積極的な役割を果たしてきました。今後もこの役割を果たしたいと思います。そうした意味では,我々としては,これまで自由貿易を主導してきた国々においても,保護主義や内向きの傾向が顕著になっているということについては,国際社会の繁栄を約束するのは自由貿易である,開かれた国際経済体制であるという考えが非常に重要だと思いますし,それが日本の確信でもあります。そういった観点から,今般のTPP11に関する合意については,日本としては歓迎しています。これからもTPP11を進めていく,そしてアメリカは離脱していますが,また,アメリカもこれに戻ってきてもらえるような,そういった環境を整えていきたい,そのように考えております。
 今,日中韓のサミットについては,日本が議長国ですので,次回の日中韓サミットの早期開催に向けて,中国,韓国と調整を行っております。具体的な時期の詳細については,現時点ではまだ決まっておりません。いずれにしても,現在,調整を行っているところであって,現時点ではまだ具体的な時期等の詳細について決まっていないということであります。

【フリーランス 安積氏】平成13年の海洋調査活動の相互事前通告の枠組みについての日中間の口上書についてお伺いします。これのプレスリリースのペーパーだと思うんですけれども,これの3項目に,東シナ海と思われる海域について「東海」というふうに記載しております。これについて,中国課の方に問い合わせみたんですが,この時期において「東海」という記載が海保の方であったというような回答をいただいているのですけれども,海保の方に問い合わせてみたら,今まで海保の方は,そういったそういう使用例が一度もないと,海図もないと,ただ,IHOについては,東シナ海の海域について「東海」というような用い方をしているということのみでした。日本政府としては,この文書の前後,もう一つあるみたいなんですが,外務省が出している文書においては「東海」という記載が2例あると聞いています。なぜですね,東シナ海というのが一般的な通称であったのが,ずっと私が知る限りあるわけなんですけれども,なぜここで「東海」というふうに使ったのか,これについてお伺いいたします。

【丸山外務報道官】ご指摘の「東海」は,中国側が東シナ海と同一の海域を指すために用いられている呼称でありまして,そうしたことも踏まえ,日中間では,慣用上,双方が用いられてきたということであります。ご指摘のあった枠組み,プレスリリースとおっしゃいましたが,こうした慣例を踏まえて,この呼称を用いることになったわけであります。我が国が過去にこういう呼称を使っていたのかということですが,過去に作成した海図ですとか,あるいは締約した条約の中にもこの呼称を用いた例があります。

【フリーランス 安積氏】この呼称についてなんですけれども,日本で一般的には東シナ海なんですが,外交においては,外務省は「東海」というのを使っているということなんですか。

【丸山外務報道官】先ほど申しましたように,日中間では慣用上,双方が用いられてきているということであります。

【フリーランス 安積氏】双方が用いるということは,中国は「東海」というのを使うということは,これは中国の主張なので,それは分かるんですが,日本がわざわざ「東海」を使う理由というのは何でしょうか。日本で一般的に東シナ海ですし,こういうプレス,これ日本語ですけど,日本人に対して公開されたものだと思いますけれども,これは一体何なのかと。有名なのは「東海」については,日本海呼称の問題で,韓国が「東海(トンヘ)」というふうに主張していますけれども,ちょっと日本人にとっては「東海」というのはなじみにくい呼称だと思いますが,これについてお答えください。

【丸山外務報道官】これはですね,これまでも,東シナ海と同一の海域を指すということから,慣用上使われてきたということでありますけれども,我々としては,慣例も踏まえて,これまで,この呼称を用いることになってきたということであり,今はこういった言葉は使っておりません。

【フリーランス 安積氏】この慣例はいつぐらいから,いつぐらいまで使われたんですか。

【丸山外務報道官】詳細については,必ずしも正確なことを今の段階でお答えすることはできませんが,例えば,2000年の日中漁業協定ではこの言葉が使われています。

【フリーランス 安積氏】海保の方で調べていただいた結果ですね,この文書と2000年の日中漁業協定二つのみに公文書と思われる文書においては,「東海」という記載があったと,それ例外において,例えば,国土地理院とか,先ほども申しましたけれども海図については,これは「東海」という表示ではなく,東シナ海というふうな表示があるということなんですけれども,なんでこの2例だけ「東海」という表示になったんでしょうか。

【丸山外務報道官】これも慣用上,双方が用いられてきたということから,この二つがその例としてあったと理解しています。

【フリーランス 安積氏】口上書の交換なんですが,平成12年8月28日に日中外相会談において,海洋調査権の問題に関して,相互事前通報の枠組みを作ることで一致したということなんですが,これ確か,海上調査については,国際海洋法条約の規定よりもかなり緩められているわけなんですけれども,これ緩められている理由は何なんでしょうか。

【丸山外務報道官】すみません。そこについては,今,私,お答えするに十分な資料を持っておりません。

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