記者会見
丸山外務報道官会見記録
(平成29年12月20日(水曜日)16時36分 於:本省会見室)
冒頭発言
(1)米国による北朝鮮のサイバー攻撃に関する発表について
【丸山外務報道官】サイバー空間の安全は,我が国を含む国際社会の平和と繁栄を確保する上で極めて重要です。
こうした中,12月19日,米国は,本年5月の悪意あるプログラム「ワナクライ」を用いたサイバー攻撃が北朝鮮によるものであるとして,北朝鮮を非難する旨発表しました。
我が国は,サイバー分野を含む北朝鮮問題について米国を含む国際社会と緊密に連携してきており,北朝鮮に対する圧力を最大限まで高め,北朝鮮の政策を変えさせるとの観点からも,サイバー空間の安全の確保に向けた強い意思を示す今回の米国の発表を支持するとともに,我が国としても,「ワナクライ」事案の背後に,北朝鮮の関与があったことを非難します。
我が国としては,米国を始めとする国際社会と緊密に連携して,自由,公正かつ安全なサイバー空間の創出・発展のための取組を進めてまいります。
(2)平成28年度米国における対日世論調査
【丸山外務報道官】本件世論調査は1960年以来ほぼ毎年実施しており,18歳以上の1,005名を対象とした「一般の部」と,各界(政官財,学術,マスコミ,宗教,労働関係等)で指導的立場にある200名を対象とした「有識者の部」に分けて電話調査を行いました。
調査開始以来,全体として対日評価は良好ですが,今回の調査はトランプ政権発足後,初の調査となりましたが,引き続き肯定的な対日観,日米関係への評価が示される結果となりました。
具体的には,「日本は信頼できる友邦か」という設問については,昨年度と同様に8割を超える支持が示されました。
また,「アジアにおける最も重要な米国のパートナーはどの国か」という設問については,日,中,韓,露,豪,印の中で,日本に対して最も高い評価が示されました。
さらに日米安保体制に対する設問については,本年も肯定的評価が8割を超え,引き続き安定的に高い評価を得ることができました。
(3)「冬の海外安全強化月間」キャンペーンの実施
【丸山外務報道官】本年12月20日から明年1月21日までの期間,外務省は「冬の海外安全強化月間」キャンペーンを実施します。
この時期は,年末年始休暇を中心に海外渡航者の増加が見込まれます。一方,昨年12月のドイツ・ベルリンのクリスマスマーケットにおける車両突入テロ事件や,本年1月のトルコ・イスタンブール市内ナイトクラブにおける銃撃テロ事件等,クリスマスなどの祝祭日が続く年末年始はテロの危険性も高くなります。
本キャンペーンでは,「海外に行く前の3ステップ」として,(1)渡航先の情報を海外安全ホームページでチェックする,(2)「たびレジ」に登録する,(3)海外では日本と異なる危険が待ち構えているという「海外モード」の意識を持ち,慎重で冷静な行動を心がけることを,また,不特定多数の人が集まるイベント会場や野外マーケット等では,特に注意することを,国民の皆様に呼びかけていきます。
SNSを通じた発信,パスポートセンターでの広報等を通じて,外務省海外旅行登録「たびレジ」や,「海外安全ホームページ」の利用を一層促進し,国民の皆様に海外における安全対策に関する意識向上を働きかけてまいります。
(4)対日理解促進交流プログラム
【丸山外務報道官】現在,対日理解促進交流プログラム「カケハシ・プロジェクト」の下,米国の日系人大学生98名,選抜高校生・大学生60名,「JENESYS2017」の下,韓国の大学生等22名が訪日しています。それぞれグループ毎に,千葉県,東京都,長野県,静岡県,滋賀県,京都府,大阪府,奈良県,沖縄県を訪問し,日本文化,考古学等を交流テーマに,関連施設の視察,関係者との意見交換,地域の方々との交流を体験しています。
本プログラムを通して多角的に日本についての理解を深めていただき,日本の魅力を積極的に発信していただくことが期待されます。
北朝鮮に関する関係国外相会合
【ブルームバーグ レイノルズ記者】北朝鮮についてなんですけど,カナダの方で,やはり1月16日にハイレベルの北朝鮮についての会合を行うことになっていますけれども,日本代表も出席するというふうに報道されていますが,河野大臣は出席されるでしょうか。
【丸山外務報道官】現地時間で12月19日に行われた米加外相会談の後に,米加両国がご指摘のとおり,来年1月16日に北朝鮮に関する関係国外相会合をカナダのバンクーバーで開催する旨発表したと承知しています。
この会合については先般の日米外相会談を含め,米国とカナダとの間でも様々なやり取りを行ってきておりますが,本件会合が北朝鮮問題の対応を進める上で効果的なものになるということ,これが必要だと考えており,米国,カナダを含む関係国との調整を進めていきたいと考えています。
誰がそこに出るのかということですが,まだ何ら決まっていることはありません。我々としては本件会合への対応については,この会合が北朝鮮問題に対応する上で,効果的なものであるか否かを見極めた上で検討していくことになります。
【ブルームバーグ レイノルズ記者】北朝鮮問題を解決する上で,効果的かどうかということなんですけど,どのような要素を見て判断しますでしょうか。
【丸山外務報道官】我々は常々北朝鮮の挑発行動に対しては,北朝鮮が政策を変えること,それが極めて重要だと思っています。そのためには圧力を高めていくことが重要だと考えています。こうした基本的な立場も踏まえた上で,この会合がいかに効果的にこの問題に対応するかということを見極めていきたいと考えています。