記者会見
丸山外務報道官会見記録
(平成29年10月25日(水曜日)16時35分 於:本省会見室)
冒頭発言
対日理解促進交流プログラム
【丸山外務報道官】現在,対日理解促進交流プログラム「JENESYS2017」の下,インドの大学生,マレーシアと中国のメディア関係者等約140名が,現在日本各地を訪問し,地域の方と交流をするという機会を体験しています。
また同プログラムの下,10月27日から韓国の学生・社会人約20名,10月31日からはタイ,ラオス,ミャンマーの学生約100名が国毎に秋田県,岩手県,熊本県,兵庫県,山形県を訪問し,技術交流等をテーマに,関連施設の視察や同世代の日本人学生と交流します。プログラムを通して多角的に日本についての理解を深めていただき,日本の魅力を積極的に発信していただくことが期待されます。
共同経済活動に関する官民調査団の追加派遣
【共同通信 大澤記者】明日,日露共同活動の具体化に向けて,北方領土に向けて官民調査団が出発する予定になっていますけれども,外務省としてですね,調査団派遣の意義についてどのようにお考えかコメントをお願いします。
【丸山外務報道官】共同経済活動に関する官民調査団の現地訪問ですが,明日,10月26日から31日の日程で実施する予定です。これは先月の日露首脳会談及び外相会談で,早期に取り組むものとして合意した5件のプロジェクト候補の具体化を目指すものです。
共同経済活動を通して,日露が共に北方四島の未来像を描いて,双方に受入れ可能な未来像を解決策を見出していくという未来志向の発想で平和条約の締結を実現したいという思いがあります。今回の調査の成果にも期待しております。
団長は前回と同様,長谷川総理大臣補佐官が務めます。
中国共産党大会関連
【朝日新聞 倉重記者】今日,中国の新指導部が発表になりまして,楊潔篪国務委員が政治局員になりました。20年ぶりということで外交経験者が政治局員になったということで,日本と中国の外交関係にどのように影響があるというふうに見てらっしゃいますでしょうか。
【丸山外務報道官】昨日まで共産党大会が開催されていて,本日午前には,いわゆる「一中全会」が開催されました。習近平(しゅう・きんぺい)氏を党総書記とする新しい指導部が選出されたと承知しております。新指導部に選出された方々に対し,まずは祝意を申し上げたいと思います。
楊潔篪(よう・けつち)国務委員が,今回,政治局委員に就任されました。楊潔篪国務委員にも祝意を申し上げたいと思います。楊国務委員はこれまでも外交担当の国務委員として,日中関係の改善にも尽力されてこられました。今後とも政治局委員として,引き続き日中関係の発展に貢献されることを期待したいと思います。
本年の日中国交正常化45周年に続き,来年は日中平和友好条約40周年です。楊潔篪政治局員,そして,中国新指導部との間でもこうした節目の機会をとらえまして,引き続き「戦略的互恵関係」の考え方の下,懸案を適切に処理しながら,あらゆる分野での協力や国民交流を推し進めて,大局的な観点から更なる関係改善に努めていきたいと思います。
ユネスコの制度改善に関する決議
【産経新聞 大橋記者】先ほどの長官会見でも出てたんですけれども,ユネスコの「世界の記憶」で,制度改善の決議が先日なされて,それについて適用は2019年の次からだけど,政治化しないようにするとか,対話を重視するとかという趣旨は,今回のものに,さっきの会見だと,有効だという表現をされていたかと思いますけれど,これは決議文で出てないと思うんですけど,そういう根拠みたいなものがあるんですか。
【丸山外務報道官】ユネスコの「世界の記憶」事業が,加盟国間の友好と相互理解の促進という,ユネスコ設立の本来の趣旨と目的を推進するものとなるよう,我々も一生懸命取り組んできました。
そうした中で,長官もご指摘の18日のユネスコ執行委員会において,「世界の記憶」の制度改善に向けた決議が全会一致で採択されたことは,我々は大きな前進であり,評価しています。
今回の決議は,事務局長やIAC等の委員に対して,対話,相互理解及び尊重の原則に従うよう,また,「世界の記憶」事業に関連する更なる政治的緊張を回避するように求める内容となっています。
我が国としては,全ての関係者が今回の決議を尊重し,決議の精神に基づいて対処するよう,ユネスコの責任ある加盟国として,引き続き全力を尽くしていきたいと考えています。
今,決議が今回の審議に適用されるかどうかとのご指摘もありましたが,我々としましては,制度上の論点について具体的な見直しがされているところですが,加盟国の友好と信頼関係の促進というユネスコ設立の本来の趣旨と目的を推進するものとして,今回の決議が機能することは可能だと認識しております。