記者会見

丸山外務報道官会見記録

(平成29年7月26日(水曜日)16時30分 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)薗浦外務副大臣のカリブ諸国訪問

【丸山外務報道官】薗浦外務副大臣は,今月23日から29日の日程でカリブ諸国を訪問中です。既に,トリニダード・トバゴ及びセントルシアを訪問し,両国外相等,政府ハイレベルと会談を行い,二国間関係の強化や,国連等国際場裡での協力を確認しました。今後,スリナム及びジャマイカでも,外相等政府ハイレベルとの会談を予定しております。スリナムとは外交関係を開設して初めての政務訪問ということになります。

(2)カリコム事務局長の訪日

【丸山外務報道官】カリブ共同体(カリコム)のラロック事務局長が今日まで訪問中です。岸外務副大臣,JICA副理事長,上智大学理事長等と会談を行いました。国際場裡や開発分野,さらには学術交流において引き続き協力していくことで一致しました。

(3)カリブの重要性

【丸山外務報道官】カリブ諸国は,我が国と基本的価値観を共有し,国際場裡で協力している重要なパートナーです。特に,国連安保理改革や気候変動においては大きな存在感を有しており,こうした分野も含め,カリブ諸国と協力を強化していくことは,我が国の多国間外交においても,また,安倍総理の地球儀を俯瞰する外交の観点からも重要だと考えます。
 今回の薗浦副大臣の訪問を含め,本年だけでも,カリコム14か国中7か国,キューバも含めれば8か国を外務省政務二役が訪問したこととなります。

(4)武井大臣政務官のパナマ,ホンジュラス訪問

【丸山外務報道官】武井大臣政務官は,7月24日から8月2日までの日程で,米国,カナダ,パナマ共和国及びホンジュラス共和国を訪問しています。
 今回の武井政務官の訪問を含め,本年だけでも,中米7か国中6か国を外務省政務二役が訪問したこととなります。

(5)滝沢大臣政務官のフィンランド,スペイン訪問

【丸山外務報道官】また,滝沢政務官は,7月25日から29日まで,フィンランド共和国及びスペイン王国を訪問しています。
 それぞれの訪問先の政府関係者等との間で,二国間関係や地域情勢,国際場裏での協力等につき意見交換を行う予定です。

(6)地方創生支援 飯倉公館活用対外発信事業 外務大臣及び岡山県知事共催レセプションの開催

【丸山外務報道官】8月2日,飯倉公館において,外務大臣及び岡山県知事共催レセプションが開催されます。
 この事業は,外務大臣と自治体首長の共催により,飯倉公館を活用し,海外に地方の多様な魅力を発信する事業であり,外国の活力を取り込みながら,地方創生及び地域経済の振興を支援するものです。
 今回のレセプションでは,岡山の観光や食材,備前刀などのPR,「備中たかはし松山踊り」のパフォーマンスなどの企画を通じ,駐日外交団,駐日外国商工会議所,観光業界等に対して岡山の魅力を広く発信する予定です。
 なお,レセプションに先立ち,同日,飯倉公館において岡山県主催,外務省協力による「岡山の魅力発信セミナー」も開催されます。

南シナ海問題

【財新メディア 舛友記者】来週からフィリピン,マニラでARFが開かれると思うんですが,それに関連して質問があります。恐らく今回の会議では北朝鮮問題とか,南シナ海問題,ミンダナオを中心としたテロ拡散の問題などが話し合われるんじゃないかなと思っているんですが,それぞれのテーマについて,日本としてどのような合意形成を図りたいというふうに考えていらっしゃるか,考えをお聞かせください。特に,南シナ海の既にフレームの合意に至ったCOCについての日本政府の考え方というのを,例えば今後,本格的な合意に向けてどういうふうな内容が望ましいと考えていらっしゃるのかというのが,何かあればお聞かせください。

【丸山外務報道官】これから行われますASEANの関連会合の内容について,今の段階で予断をして申し上げるのは差し控えたいと思いますが,南シナ海問題についてはご指摘がありましたので一言申し上げます。南シナ海をめぐる問題というのは,地域の平和と安定に直結しています。我が国を含む国際社会の関心事項であって,我が国としても動向を注視しています。我が国はこれまで一貫して海における法の支配の貫徹を支持してきておりまして,南シナ海をめぐる問題の全ての当事国が,国際法に基づく紛争の平和的な解決に向けて努力していくことの重要性,こういったものを強調したいと思っています。

日韓関係

【産経新聞 大橋記者】韓国のことで何点かお尋ねします。韓国で「軍艦島」と呼ばれる端島をテーマにした映画が封切りされました。その内容を把握しているかどうかということと,把握している場合の受け止めをお願いします。

【丸山外務報道官】映画の「軍艦島」については監督自身,「創作された話」と述べておられるとおり,史実を反映した記録映画の類ではないと承知しております。したがいまして政府としては,そのような映画の内容の一つ一つについてコメントはしません。
 現在,日韓双方が未来志向の関係を発展させようと努力している中で,本件がそのような努力に水をさすことになりかねないことを懸念しています。未来志向の方向で日韓関係が発展していくことを望んでいます。いずれにしましても,この徴用工の問題を含め,日韓間の財産,請求権の問題は日韓請求権協定によって完全かつ最終的に解決済みであります。

【産経新聞 大橋記者】韓国に対して,抗議をしたかどうかというのはいかがでしょうか。

【丸山外務報道官】この映画は民間の映画でして,我々はこういった中身について,一つ一つコメントはしませんし,他方,韓国政府との関係で申し上げれば,日韓双方が現在,未来志向の関係を発展させようということで,この前の日韓首脳会談でも,首脳同士で一致しているところです。そういった方向に基づいて,日韓間でも緊密に意思疎通を図っていく,そういうことであります。

【産経新聞 大橋記者】この映画に関して,抗議はしていないという理解でよろしいでしょうか。

【丸山外務報道官】映画の内容の一つ一つについては,我々はコメントはしません。

【産経新聞 大橋記者】2015年に端島が明治日本の産業遺産群で登録されて,今年の12月に情報センターを設置することに向けての進捗状況を報告するということになっていると思うんですが,韓国は朝鮮半島から強制的に日本に,端島に連れて来られたと,そういったことを盛り込めと求めているようなんですが,これについてはどのように対応されますか。

【丸山外務報道官】本件遺産の世界遺産登録の際に,世界遺産委員会が採択した決議があり,その決議において,ご指摘のとおり,本年12月1日までに,その世界遺産委員会の決議に対する進捗状況の報告を世界遺産センターに提出するよう勧告され,そのことを我々は真摯に受け止めており,この進捗状況の報告に向けて,現在,誠実に取り組んでいるところであります。

【産経新聞 大橋記者】最後,1点なんですけど,韓国は慰安婦問題というのをずっと取り上げてきているんですけれども,今回,徴用工について問題視する動きを見せているんですけれども,このことについての受け止めをお願いします。

【丸山外務報道官】先ほども申し上げましたが,先般の日韓首脳会談で,両首脳は日韓関係を未来志向で進めていくことで一致しております。日韓両国というのは隣国であるがゆえに難しい問題があるというのも事実でありますし,また,こうした難しい問題を全体の日韓関係に悪影響を及ぼさないように適切にマネージする,そのことが日韓両国共通の利益であると考えております。その意味で,日韓合意については,こういった未来志向の日韓関係を築いていくための欠くべからず基盤であると考えており,引き続き韓国側と緊密な意思疎通を行なっていくと,そして未来志向の日韓関係を築いていきたい,そのように考えます。

【朝日新聞 下司記者】今の同じところでお伺いしたいんですけれども,抗議をされたかどうかについて,映画の内容一つ一つにコメントをしないというのは,それは我々というか,この場でコメントしないというのか,それとも映画を作っている側にはコメントをしないという意味でおっしゃったのか,どっちでしょうか。

【丸山外務報道官】日本政府としては,内容についてはコメントしません。

【朝日新聞 下司記者】それは映画を作っている側にもコメントをしないという意味ですか。

【丸山外務報道官】映画の内容についてのコメントを発言することはしないということです。

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