記者会見

川村外務報道官会見記録

(平成28年6月22日(水曜日)16時33分 於:本省会見室)

冒頭発言

北朝鮮による弾道ミサイル発射への対応

【川村外務報道官】本日,22日の北朝鮮による弾道ミサイルの発射を受けて,外務省においては,岸田文雄大臣の指示に基づいて,北朝鮮側に対して2度にわたって直ちに抗議を行いました。
 さらに,岸田大臣の指示に基づき,北京で開催中の「北東アジア協力対話(NEACD)」の場を通じて,改めて北朝鮮に対して厳重に抗議を行ったほか,同盟国たる米国や韓国を始めとする関係国と意見交換を行い,緊密な連携を確認しました。このやり取りの概要は以下のとおりです。

1 本日の北朝鮮による弾道ミサイル発射は,我が国を含む地域及び国際社会の平和と安全を損なう安全保障上の挑発行為です。また,安保理決議第2270号を始めとする一連の国連安保理決議及び日朝平壌宣言に違反するとともに,六者会合共同声明の趣旨にも反するものであり,断じて容認できません。

2 このような立場に基づき,本日,北東アジア協力対話に参加するために中国訪問中の金杉憲治アジア大洋州局長が,同対話に参加している米国,韓国,中国及びロシアの六者会合の首席代表などの政府関係者と個別に意見交換を行い,これら関係国の間で,国連安保理等の場を含め,緊密に連携していくことを確認しました。

3 また,金杉局長は,北朝鮮の崔善姫(チェ・ソンヒ)外務省米州局副局長にも接触をし,本日の弾道ミサイル発射について厳重な抗議を行うとともに,核・ミサイル開発等の安全保障問題を取り上げ,日本側の考えを伝えました。さらに,ストックホルム合意に基づき,一日も早く全ての拉致被害者を帰国させるよう強く求めました。

4 さらに,本日,原田親仁政府代表(日露関係担当大使)は,日露平和条約締結交渉のために来日中のモルグロフ,イーゴリ・ウラジーミロヴィチ露外務次官との間で,本日の北朝鮮による弾道ミサイル発射について意見交換を行い,国連安保理等の場を含め,緊密に連携していくことを確認しました。

5 これらに加えまして,日本は,国連安全保障理事会のメンバーとして,国連安全保障理事会において力強いメッセージを発すべく,米国や韓国との間で緊密に連携しているところであります。

北朝鮮による弾道ミサイル発射への対応

【朝日新聞 安倍記者】今,弾道ミサイルというお話でしたが,今日の,今のところの分析としては,一発目,二発目,両方とも弾道ミサイルというような分析をされているということでいいんでしょうか。

【川村外務報道官】弾道ミサイルかどうかというところは専門家の判定によると思いますが,一応,弾道ミサイルということで想定をして,今申し上げたとおりにしております。

【朝日新聞 安倍記者】二発目は,これには防衛省などの発表だと1,000キロまで上昇したということが認められているようですが,二発目については,これは成功したというような分析,伝えているんでしょうか。

【川村外務報道官】二発目のミサイルについてのご質問ですけれども,詳細な分析等,今後,続けていきたいと思っておりますので,現時点での確たる判断というのは,差し控えたいと思います。

【朝日新聞 安倍記者】ちなみに,一発目は失敗というような見方もあるようですが,その点はどうでしょうか。

【川村外務報道官】これについても詳細は分析中ということでありますので,引き続き米国,あるいは韓国との間で情報収集・分析等を進めていきたいと思います。

【毎日新聞 田所記者】2点伺いたいんですが,先ほどの1,000キロまで到達した点に関連してなんですが,今回のムスダンは,ノドンやテポドンより近代的なミサイルということで,そのムスダンが1,000キロまで到達したことへの受け止めですね,今まで,ここ最近,失敗が続いていたのに1,000キロまで到達したことになると,実戦配備に近づきかねないというような懸念もあるかと思うんですが,そこの受け止めをお願いします。

【川村外務報道官】1点目でございますが,1回目に発射された弾道ミサイルがムスダンであった可能性が考えられるということは関連情報を総合して勘案して,判断しているわけですが,2回目に発射されたものについて,詳細,先ほど申しましたとおり,分析中でありますので,関連情報,引き続き関係国とも協力しながら集めて,分析を進めていきたいと思います。
 今後の対応ぶりということですけれども,北朝鮮のこれまでの行動,先の党大会で示されたように,ミサイル開発を今後も進めていくという姿勢,これを示しておりますし,そういった活動を引き続き続けていくということは想定されるわけですから,一般論として申し上げれば,こういった弾道ミサイルの発射が引き続き行われる可能性は否定できないと考えるべきと思います。
 したがいまして,総理,大臣のご指示を踏まえて,北朝鮮の動向に注意を払いつつ,米韓両国との緊密な連携を図って,緊張感を持って必要な情報収集を進め,分析をし,警戒監視に全力をあげて,日本の平和と安全の確保に万全を期していくという方針で臨んでいきたいと思います。

【共同通信 下江記者】金杉さんの米韓中露の首席代表等への接触,意見交換と,この崔善姫北朝鮮の,これ今日の午後行われたかということが1点ということと,あと発表文にある2と5の関係なんですけど,米韓中露と国連安保理の場を含め緊密に連携していくことを確認したと,その国連安保理の場での具体的な連携の具体策として,力強いメッセージを発するということなのか,そのほかの何か具体的な連携の方法があるんでしょうか。

【川村外務報道官】タイミングの話ですが,午前か,午後か,確認が取れませんが,本日,金杉局長が関係者と話をしたということは確認されています。
 それから2と5の関係ですけれども,国連安保理等の場を含めて緊密に連携ということで話をしました。5では安保理保障理事会のメンバーとして,力強いメッセージを安保理において発すべく,米韓との間で機密に連携しているので,5はお読みいただいたとおりであります。安保理の場で力強いメッセージを発するために,アメリカ,韓国との間で緊密に連携ということであります。2につきましては,国連安保理の場を含めということですので,安保理の場に限らず緊密にこれら関係国,すなわち米韓のみならず,中国及びロシアといった関係国を含めて緊密に連携ということを確認したということです。

【共同通信 下江記者】5をもう一回なんですけど,日本が目指す力強いメッセージ,安保理が目指す力強いメッセージというのは,例えば議長声明だとか,新たな制裁だとか,そういう具体的なものは何なんでしょうか。

【川村外務報道官】今日,こういった協議,連携というのを始めたところでありますので,具体的な形,最終的に目指すもの,まだ現時点で確たることを申し上げる段階にはないと思いますけれども,一番重要なところは関係国,特に,国連安保理,理事会の場においては米韓との緊密な連携を図っていくということであります。これを続けていきたいと思っております。

【読売新聞 森藤記者】先ほどの質問とちょっと重なるかと思うですけれども,今後,今回の発射を受けて更なる北朝鮮に対する制裁の強化ということも検討していくことになるのか,それともこれまでの制裁を着実に履行していくということに重点を置いていくのかという点についてお願いします。

【川村外務報道官】今後の,今回の,本日の2回の発射を受けてどう対応するか,特に制裁の関係はどうかということですけれども,現時点では予断を持ってお答えするということは控えたいと思います。基本は北朝鮮から核・ミサイル,拉致といった諸懸案の包括的な解決に向けて,具体的に対応を引き出す上で最も何が効果的かという観点から検討を続けていきたいと思っています。

【朝日新聞 安倍記者】今,報道官から発表をいただきましたペーパーの中の内容なんですけども,北朝鮮の崔善姫副局長に今日は金杉局長が抗議を伝えたということですが,崔善姫副局長は,その抗議に対してどういった反応だったのでしょうか。

【川村外務報道官】恐縮ながら具体的な反応,あるいはやり取りの詳細は控えさせていただきたいと思います。いずれにしても局長の方からは,弾道ミサイルの発射の問題のみならず,拉致被害者の帰国についても,強く求めたということです。

英国のEU残留・離脱を問う国民投票

【朝日新聞 安倍記者】明日,イギリスのEUの離脱をめぐる国民投票が行われることになっていますけれども,昨日の岸田大臣の会見の中でも日本政府の立場としては,イギリスはEUに残留したほうが良いというようなお話でしたが,改めてイギリスが日本の対場としてなぜEUに残留した方がいいという立場を取っているのか,その点をちょっと教えていただければと思うんですが。

【川村外務報道官】まずは岸田大臣が言われたとおりでありますので,繰り返しになるかと思いますが,この決断,EU残留か離脱か,これは英国民がまず決めていただく事と思います。ただ,昨日,大臣が言われたとおり,本件,日本にも関わる話でありますので,日本としては英国がEUに残留することが望ましいと考えているわけです。先般,安倍総理が訪欧された際にイギリスにおいて考えを述べられたということもありますが,それも含めまして,総合的に判断して日本の立場から言えば,あるいは国益といったことから言えば,英国がEUに残留することが望ましいと考えています。
 また,国際的な観点から言えば,イギリス及び欧州が国際的な場裏で影響力を有する存在として,アジアを含む国際社会におけるルールに基づく平和と安全,安定に貢献するということを日本としては期待しているわけですので,こういった観点からも日本の立場というのは明らかであります。

記者会見へ戻る