記者会見

川村外務報道官会見記録

(平成28年6月8日(水曜日)16時35分 於:本省会見室)

ジャパン・ハウス

【共同通信 下江記者】3月か4月に発表があったジャパン・ハウスについてお尋ねしたいんですけれども,あの時に概要の説明があったんですけども,その時の説明で,私の理解ではソフトパワーの発信に重点を置いていくと,日本の魅力を伝えていくということだったんですが,改めてその目的についてお伺いしたいのと,当初,構想された時にですね,ちょうど中韓両国との歴史や領土をめぐる対立でですね,そういう中でこの構想が出たもんですから,自民党の先生方の間には,領土主張を,当然の権利の主張と,その歴史についての主張も,どんどんこのジャパン・ハウスでやっていくべきではないかという主張があったと思うんですが,そのジャパン・ハウスでここをどういうふうに取り上げるかということをお聞かせください。

【川村外務報道官】ジャパン・ハウスの設立,活動の目的について,ジャパン・ハウスは2017年,来年中に3カ所,ロサンジェルス,ロンドン,そしてサンパウロで活動を開始するという予定にしております。現在,いろいろと手続きを進めているところです。
 活動の目的につきましては,日本の正しい姿の発信,日本の魅力の発信,更には知日派,親日派の人たちを海外で増やしていくこと,このような主な目的に沿うように活動するということで計画をされております。
 2点目に,歴史とか領土といったような問題についてご指摘がありましたけれども,日本の正しい姿を発信していく,しっかり発信をしていくということで,引き続きジャパン・ハウスが当初の目的に資するような形で活動していけるように準備を進めていく所存です。
 また,ジャパン・ハウスの活動の主眼点としまして,各国各地におきまして,日本に対するいろいろな期待があります。日本に関してこういうものを知ってみたい,こういうことについてより知識を深めたいというようなこともあります。更に,知日派,親日派を増やすという観点からは,これまで日本に関してあまり知識のなかった,あるいは日本に触れる機会がなかった方々,このような方々にも日本を知っていただいて,日本との相互理解を深めるというような目的もあります。
 したがいまして,現地,各地の有識者,あるいは知日派の方々,またその他の皆様の意見を十分踏まえ,聞き入れまして,具体的な活動内容について考えていきたいと思っております。

【共同通信 下江記者】関連なんですけれども,そうしますと尖閣問題や,従軍慰安婦であるとか,南京大虐殺であるとか,こういうのの対外発信の主たるところとはどこになるんですか,そのジャパン・ハウスになるんですか,それとも何か違うところを考えていらっしゃるんでしょうか。

【川村外務報道官】尖閣諸島ということにつきましては,これまでも日本政府の立場というのは繰り返し表明してきているところであります。例えば領土問題は,尖閣諸島に関して言えば存在はしていない,というのが日本の政府の立場であります。いろいろな機会に日本政府の立場というのは表明してきております。これは政府の,いわゆる政策広報の一環として,首脳会談とか外相会談,更には一般的なこのようなブリーフィングの機会なども含めまして,説明をしてきているということです。したがいまして,これについてはしかるべく必要な対応を続けていくというのが,基本中の基本であります。
 それから従軍慰安婦の問題というのは,昨年の日韓の政府の間の合意があり,日本と韓国政府の双方で責任を持ってこの合意を実施していくというのが基本としてあります。それをベースにしながら,あらゆる機会に日本政府の立場,考えというのも説明をし,理解を求めていくということであります。
 ジャパン・ハウスは,これらの一般的な日本政府の政策広報との関係で言えば,それをお互い完璧に分けてしまうということではなくて,日本の正しい姿の発信,あるいは日本の魅力の発信,そして知日派,親日派との交流といった目的から判断して,適切に対応していきたいと考えております。
 もう一つ捕捉すれば,いろいろなイシュー,問題,課題に応じて発信の仕方,あるいは説明の仕方というのは,様々な形を取り得ると思いますので,最も適切な形で発信ができるように工夫をしていきたく,また繰り返しですが,それぞれの情報の受け手となる各地の方々,皆様のご意見も十分踏まえながら,対応をしていきたいと思います。

ジャポニズム2018

【毎日新聞 田所記者】若干,漠然とした質問になるんですが,総理の欧州歴訪の際に,フランスで,パリでの日本博の開催のお話がありましたけれど,先日,広報で報道の部署の中に,日本博の準備室みたいなものができたというふうになっていましたので,今後,どういう計画で日本博については具体的な準備を進めていくのか,もし大体のものがあれば伺えたらと思います。

【川村外務報道官】ジャポニズム2018というプロジェクトにつきましては,先日,連絡会議を置いて準備を開始するということで,ご報告した次第です。事業の詳細及び日程につきましては,今後,関係者の間で議論しまして,順次,公表できるものは公表していきたいと思っています。

【毎日新聞 田所記者】参加する日本企業を呼びかけるとか,そういうことを準備室でしていくのでしょうか。

【川村外務報道官】2018年に,ジャポニズム2018という大きく日本の文化の発信の行事を行うということを決めましたので,詳細,どういう形で,あるいは民間の皆さんからどのように協力を得ていくかということは,今後,詰めていきたいと思っておりますので,順次,決まり次第,ご報告していきたいと思います。

韓国軍による竹島での軍事訓練

【共同通信 下江記者】日韓関係なんですけれども,官房長官会見でもちょっと出てましたが,韓国軍が今日から定例の演習というのを竹島で行っていると,日本政府は抗議したということなんですけれども,去年も同じように行って,定例の訓練で抗議して,さっき従軍慰安婦のお話ありましたけれど,従軍慰安婦問題,これ合意はしたんですけれども,竹島問題,一切合意していないわけで,そういう中で韓国がこうやって挑発行為を毎年やるわけですけれども,これ実際どういうふうに止めていくお考えですか。

【川村外務報道官】まず,軍事訓練という報道がありますが,これが本件,報道,事実であれば,竹島の領有権に関する我が国の立場に照らして受け入れられず,極めて遺憾であります。韓国側に対しては本日,午前と午後,それぞれ東京と韓国において,我が方から強く抗議を行いました。基本的に竹島問題は長い間存在しているわけであります。一朝一夕に解決する問題ではないと考えていますが,韓国側に対しては受け入れられないということはきちんと伝え,ただ大局的な観点に立って冷静に,粘り強く対応していくということが必要と考えています。竹島問題につきましては,国際法に則って冷静,かつ平和的に紛争を解決するということが重要であり,この考え方に基づいて適切に対応していくのが基本であります。この考え方に立って,引き続き粘り強く対応していきたいと思っております。

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