記者会見

川村外務報道官会見記録

(平成28年5月11日(水曜日)16時40分 於:本省会見室)

オバマ大統領の広島訪問

【中国新聞 田中記者】オバマ大統領の歴史的な広島訪問というものが発表されましたけれども,実現に至った要因というのはどういうふうに考えられますか。受入れのための環境作りを日本側としても何か整えるのに意を配られたようなことというのはありますでしょうか。

【川村外務報道官】本件,オバマ大統領の広島訪問はアメリカ政府が決定されたということでありますけれども,この決定に至る過程で,日本政府とアメリカ政府との間で事前に調整をしてきたということはありません。米側のこの決定に至る過程,あるいはどういった考え方を持っていたかということについて,いろいろ日本側から考えを致すということもしておりません。アメリカ側が昨日,発表しております内容を踏まえて申し上げれば,今回,犠牲となった全ての方々を追悼すると,そしてG7外相による「広島宣言」,あるいは広島訪問といったことと相俟って,「核兵器のない世界」を目指す国際的な機運を再び盛り上げるということで,重要な歴史的な機会を提供することになったと日本政府として考え,このような決定を日本政府として心より歓迎をしたいと思っております。
 オバマ大統領の考えは,今申しましたような諸点で集約されていると思います。被爆の惨禍を二度と繰り返さぬよう,「核兵器のない世界」に向けた力強いメッセージを発出するために,今回の訪問が行われるというふうに日本側としては承知しています。

【中国新聞 田中記者】関連なんですけれども,そうは言っても近年ですね,日本政府では被爆者訪問の重要性というのをもともと訴えられていましたけれども,よりその呼び掛けを強めていらっしゃったと思うんですが,そういったことの成果というふうなお考えもありますか。

【川村外務報道官】以前から,また今回というか,先月のG7外相会議の場を通じまして,「核兵器のない世界」に向けて一層世界への働きかけを強めるという基本的な立場で臨んできたわけですし,安倍総理大臣も、また岸田外務大臣も,常々言っておられますけれども,被爆の実相に世界の指導者が触れていただいて,「核なき世界」の実現のために向かって,共に努力をしていくことの重要性を訴えていくということはこれまで行ってきたわけです。そういう流れの中で,今回アメリカ側のオバマ大統領の広島訪問という決定がなされたというふうに受け止めております。

【中国新聞 田中記者】もう一つ,アメリカ側の今日の未明の報道官の会見でも,日米同盟に,70年間ですごく変わった,今の日米同盟にスポットライトを当てる意味合いもあるというようなことを言われてますけれども,日本政府側の視点として,日米同盟にはどういう影響があるというふうにお考えでしょうか。

【川村外務報道官】これは基本的にアメリカ側の声明・発表ですので,日本側としてその一言一言について解釈を加えるということは控えておいたほうがよいと思います。ただ,それを申し上げた上で言えば,日米同盟の位置づけ,その重要性につきましては,これまでも日本政府として繰り返し申しておりますが,アジア太平洋の安全と安定,繁栄のための礎であるということで,これが引き続き日本政府の基本的な外交方針ということで変わりはないということは申し上げておきたいと思います。

【朝日新聞 小林記者】関連で,アメリカ政府側からですね,日本政府にどういった形でどういったタイミングで今回の決定について連絡があったか,お話できる範囲で教えてください。

【川村外務報道官】はい。昨日,アメリカ側からオバマ大統領の広島訪問が決まったという連絡を受けました。それ以前の段階で,両政府間で調整をしていたということはございません。

【朝日新聞 小林記者】できれば昨日のいつ頃,どういった中身で。

【川村外務報道官】時間帯ですか。そこまで詳細なことは控えさせていただきたいと思います。そのような決定が日本側に昨日通報されてですね,それで当方としてもこれを歓迎すると,心から歓迎したいということを発出しました。今後の広島での行事,あるいは,どのような所に行かれるか,このようなことについては米側と調整を進めていきたいと思います。

【朝日新聞 小林記者】大統領の広島訪問の狙いというのはアメリカ側からは発表されていると思うんですが,日本政府に対しては直接,訪問の目的についてはどのような説明がされているんでしょうか。

【川村外務報道官】具体的なやり取り,中身につきましては,公表を控えさせていただきたいと思います。ホワイトハウスの報道官等が発表されたりしております。そのようなアメリカ側の考え方というのは日本側としてもそれを受け止め,また,昨日も安倍総理及び岸田大臣の方から日本側としての考え方を述べさせていただいております。先ほど申し上げましたとおり,オバマ大統領の訪問につきましては,犠牲者を追悼し,まさに,被爆の惨禍を二度と繰り返さないよう,「核兵器のない世界」に向けた力強いメッセージを発出するために行われるものと日本側としても承知しています。戦後70年を経た今日,オバマ大統領のこの思いを受け止めて,広島訪問を日本としては心から歓迎をしたい,アメリカ政府と共に,人類に多大な惨禍をもたらし得る核兵器が,将来二度と使用されることがないよう,核兵器のない平和で安全な世界の実現を目指して,着実な努力を積み重ねていくことが重要であるということが日本政府の考え方でありますので,アメリカ政府の発表と併せて読んでいただければ,その意図するところはお分かりいただけるというふうに思います。

【朝日新聞 小林記者】くどいようですが,大統領の,オバマさんの思いというのは,直接日本政府に説明があったと理解していいんですか。

【川村外務報道官】具体的にどの段階でどのようなやり取りがあったかということは,控えさせていただきたいと思いますが,双方で昨日,日本時間の昨日ですが,発表ないしはコメントを出しておりますので,その双方を読んでいただければ,日米が同じ方向を向いて,オバマ大統領の広島訪問を受け入れ,また,その準備に向けて一緒に協力していくことがお分かりいただけると思います。

記者会見へ戻る