記者会見
川村外務報道官会見記録
(平成28年4月20日(水曜日)16時42分 於:本省会見室)
冒頭発言
アフガニスタン・カブール市内における自爆テロについて
【川村外務報道官】アフガニスタン・カブール市内における自爆テロ事件についてであります。
4月19日,アフガニスタンの首都カブールの国家保安局付近にて車両爆弾による自爆テロ及び銃撃戦が発生したことについて,強い衝撃と憤りを覚えます。亡くなられた方々及び御遺族の方々に,心からお見舞い申し上げますとともに,一日も早い御回復を祈念しております。
アフガニスタンの平和と復興に向けた努力を踏みにじるこのようなテロ行為は決して許されるものではなく,我が国はこれを断固として非難いたします。我が国は,あらゆる形態,目的のテロを非難し,いかなるテロ行為も正当化し得ないことを改めて強調します。
我が国は,アフガニスタンを再びテロの温床とさせないとの方針の下,政治プロセス,治安,復興支援の各分野で,アフガニスタンの安定に向けて積極的に取り組んでおり,今後とも支援していく考えです。
「表現の自由」国連特別報告者の訪日記者会見
【毎日新聞 小田中記者】国連の人権理事会から日本に訪日されていらっしゃったデビッド・ケイ氏の訪日調査が終了しまして,昨日,記者会見が行われたんですけれども,その際,全般的に日本の報道の自由を評価する面を述べられた一方で,放送法の問題ですとか,特定秘密保護法の改正が必要だという点について懸念を表明されました。大臣の方から,今日の外務委員会の方でも一部,政府説明をですね,反映しておらず,遺憾であるという旨の答弁があったんですけれども,改めて,政府としてどのように,デビッド・ケイ氏の会見,あるいは見解について捉えられていらっしゃるのかというのが1点と,あと遺憾であるという場合については,具体的にどのような点が日本政府としては,政府の説明を反映していないのかというふうに捉えていらっしゃるのかをお伺いできますか。
【川村外務報道官】1点目ですけれども,デビッド・ケイ国連特別報告者によります我が国における報道の自由や,我が国の法制度等に対する指摘や懸念というものが,日本政府の立場とは異なるものである,これらの点で政府の説明を,十分に反映していないということであります。日本政府としましては,丁寧にデビッド・ケイ特別報告者に対して,今,ご指摘があったような諸点について,説明をしてきたわけでありますけれども,これが昨日の同報告者の記者会見を聞く限りでは,勧告,あるいは所見といったところに,十分反映されていないというふうに考えております。従いまして,同報告者の記者会見の内容については,もう少ししっかり今後精査をして,適切に対応していきたいというふうに思っております。
ご質問の2点目ですが,具体的にどのような点が,政府の説明,ないし立場を反映していないということと捉えるかということでありますけれども,例えば,確かに,先ほどのご指摘のようにデビッド・ケイ氏は,日本における表現の自由が全般的に高い水準にあるということとか,特にインターネットにおける表現の自由が世界有数の高い水準にあるということは述べているわけですけれども,他方,それ以外の諸点について,例を挙げますと,報道機関や報道関係者に対して,日本政府が圧力をかけたということ,そのような事実は一切ありません。また,放送法の第4条等に関しても,政府側から丁寧に説明をいたしました。この点についても,同報告者の勧告・所見に反映をされていないというふうに思っております。
更に,特別報告者と高市総務大臣との意見交換についてですけれども,これは国会会期中で,法案審議も抱えておられるということで,当方としては日程調整に努めたわけですけれども,国会会期中,それから法案審議中,そして熊本地震への対応等々によって意見交換が成立しなかったわけであります。その上で,先ほど言いました放送法を含む先方の関心事項については,政府側から丁寧に説明をしてきました。
慰安婦問題等を含む教科書検定の在り方についても,また特定秘密保護法についても,同様に丁寧な説明を行いました。しかるにその結果が今回の勧告と所見に反映されていないと考えています。
以上がその主な例ですけれども,今回の記者会見で示された報告者の懸念,更には所見の中に訪日中に日本の政府から行った説明が十分に反映されていないというふうに考える次第です。この点については,遺憾に思います。
【ジャパンタイムズ 三重記者】今,精査をして,適切な対応を行っていくというふうにおっしゃっていたんですが,それは抗議ということもあり得るんでしょうか。
【川村外務報道官】私が申しました言葉通り捉えていただければというふうに思っております。2017年中に,同デビット・ケイ報告者が,2017年中に国連人権理事会に提出する予定の報告書というのがあるわけですけれども,この報告書の中身が客観的であって,かつ事実に基づいたものになるように,日本政府としては今後ともしっかり説明をし,また,申し入れを行っていくということであります。
【ジャパンタイムズ 三重記者】そうしますと,説明をし,申し入れをするということは,再び,招く,あるいは日本政府の方から出向いて説明をするということもあり得るということですか。
【川村外務報道官】どういった形で国連側と対話をするか,協議をするかというのは,決まったものはありませんけれども,基本的にはジュネーブベースで国連の該当機関との間で申し入れを行い,また,説明を行っていくということになると思います。
【ジャパンタイムズ 三重記者】すみません。続きまして,どのくらい時間は,説明には外務省の方では割かれたんでしょうか。
【川村外務報道官】デビッド・ケイ特別報告者は滞在期間が,4月の11日に東京に来られて,19日の夕刻に東京を発つまで1週間強おられたわけです。政府がアポイントメントを作った相手先がいくつかありました。外務省に関しては,木原副大臣がお会いになっておられます。木原副大臣の方から,日本が戦後築いた自由で公正,そして平和な社会を支えるものは民主主義であって,それを支える表現の自由,言論の自由について,長年にわたる国民のたゆまぬ努力によって,これを守って,オープンな社会を実現してきているということを説明しているわけです。これに対してケイ特別報告者の方からは,今回のアレンジに感謝をするという謝意が述べられた上で,これまでの訪日中の意見交換について照会があって,今回の訪日については,その時点では,まだ結論を出すには至っていないという中間的な見通しがあって,最終日に向けて,引き続き関係者との意見交換を精力的に行っていきたいという発言がありました。その後,表現の自由をめぐっても日本の現状等について,幅広く意見交換を行いました。
【ジャパンタイムズ 三重記者】すみません,関連でしつこく。そうしますと政府側から,デビッド・ケイ氏に対して,いわゆる政府として,どのくらい時間を今回割いたのかということはお分かりになりますか。
【川村外務報道官】時間的な長さというのが測れないところがありますけれども,政府がアレンジした会合,相手先ということで言えば,関係省庁ですね,外務省,法務省,総務省,文部科学省,内閣情報調査室,NISC,警察庁,公安調査庁,海上保安庁などですね。最高裁判所,それから,一部国会議員の方々,それから,教科書用図書検定調査審議会,このような相手先との面談をアレンジしました。訪日期間(活動期間)が4月12日から19日までですから,8日間の間で,これだけの関係省庁の面会については政府の方でアレンジをしました。