記者会見
川村外務報道官会見記録
(平成28年2月17日(水曜日)16時43分 於:本省会見室)
冒頭発言
(1)「Explore REAL JAPAN」の開催
【川村外務報道官】外務省は,2月19日から21日まで,韓国・ソウルにおいて,風評被害対策海外発信支援事業,「Explore REAL JAPAN」を行います。
この事業は,東日本大震災後の風評被害の払拭を目的として,青森県,宮城県,福島県及び鹿児島県の4自治体と連携して,観光や物産等の地方の実情・魅力を総合的に発信する事業です。具体的には以下の事業を予定しています。
2月19日,在韓国日本国大使公邸において,韓国側関係者を招待して,復興した被災地の現在の状況を伝えることを目的としたレセプションを開催します。ここでは,参加自治体の観光・物産紹介を行い,日本酒の提供,東北の郷土料理の実演を実施します。
また,2月20日及び21日には,往十里(ワンシムニ)駅BITLEX(ビトプレックス)でイベントを開催し,青森県,福島県,宮城県を訪問した韓国のブロガーによる魅力紹介,福島県の民芸品「おきあがりこぼし」の絵付け体験など,加えてステージパフォーマンスなどを行います。
これらの取り組みを通じて,被災地の復興状況に係る正確な情報発信を行い,風評被害の払拭に向けた機運を醸成するとともに,日本の最新の情報を提供して,「旬な日本」をアピールすることにしたいと思います。
(2)平成27年度「外国人受け入れと社会統合のための国際ワークショップ」の開催
【川村外務報道官】2月26日,外務省は,国際移住機関(IOM)及び品川区との共催で,平成27年度「外国人の受け入れと社会統合のための国際ワークショップ」を開催します。
このワークショップでは,これまで地域社会による理解の促進と外国人に対する情報提供などをテーマに,これまで6回開催してきました。今回が7回目となります。
少子高齢化による労働力不足が危惧される中で,日本の経済・社会の活力や創造性を維持強化していくには,女性や高齢者だけではなく,外国人にも活躍してもらうことが必要な時代にさしかかってきています。
今回のワークショップでは,外国人の就労に焦点を当てて,「外国人と企業のダイバーシティ経営」というテーマで,職場における日本人と外国人の協働のあり方について議論を行います。
当日は,国際移住機関(IOM)のスウィング事務局長による基調講演を行い,国内外の有識者によるプレゼンテーション,日系・外資系企業に勤める日本人及び外国人によるパネル・ディスカッションを行います。
また,武藤容治外務副大臣が開会のあいさつを行う予定です
国連女子差別撤廃委員会の対日審査
【読売新聞 遠藤記者】昨日の国連の女子差別撤廃委員会での慰安婦問題の説明の関係で伺いたいのですが,今回,慰安婦問題について外務審議官の方から説明がありましたけれども,今後,国際社会において慰安婦問題の誤解の解消というか,そういった観点で今後も説明をされる考えなのかどうか,その辺についてのお考えを伺わせてください。
【川村外務報道官】昨日,2月16日,女子差別撤廃委員会の対日審査において,日本政府代表である杉山外務審議官から,慰安婦問題に関する我が国の考え方,それから,取り組みを説明したわけです。
今回の回答は,女子差別撤廃条約対日審査という文脈の中で質問が先方から出されたので,日本政府の方から従来から述べてきている事実関係を答えたということです。
日韓両国政府が今回の年末の合意を誠実に実行していくということが,今後の対応の基本であり,重要であると考えています。我が国の本問題に関する基本的な立場,これまでの経緯については国際場裏,国際条約の観点から国連等で,あるいは各種人権諸条約に基づく委員会からの求めに応じて,我が国の考え方を説明してきた経緯があります。
今後も国際社会に対して適切な機会をとらえて,我が国の考え方や取り組み,事実関係を丁寧かつ,また真摯に説明していく所存です。
【読売新聞 遠藤記者】もう一点,説明の中で日韓合意にも触れられていますけれども,昨年末の日韓の合意があったことによって日本側としての姿勢とか,お互いに相互非難は行わないということを合意の中に盛り込まれているわけで,事実関係に絞って説明をしているであるとか,何らかの変化があるのかというのが1点。
もう一点,今回の説明について韓国政府の方から何らかのアクションが日本側にあったのかどうかという,その2点について伺わせてください。
【川村外務報道官】1点目ですが,我が方の説明ぶりに変化があったかどうかですけれども,繰り返しになって恐縮ですが,今回のセッションでは,国連の女子差別撤廃委員会という場において先方委員会からの質問が出て,これに対して答えるという形で日本側の考えを述べました。また,答えた内容は事実関係が中心です。もちろん,その前後において,昨年末の日韓両政府の合意事項についても説明をしていますけれども,基本はこれらの委員会からの質問に答える形で,従来から述べてきている本件問題の事実関係を答えたということです。
それから,韓国側からの反応,すなわち,何らかの申し入れがあったかという2問目については,外交上のやりとりですので,これにお答えすることは差し控えたいと考えています。基本はあくまで日韓双方が責任を持って今回の合意を履行していくことが重要であると考えています。
北朝鮮ミサイル発射関連
【産経新聞 坂本記者】北朝鮮側が今後,ミサイルをまた撃っていくというメッセージを出していますが,それについてのご所見をお願いします。
【川村外務報道官】これは報道が出ているということかと思いますが,報道の一つ一つにその都度反応するということは控えたいと思います。ただ,既に年明け以降,一連の北朝鮮側の重大な行為,核実験,そして弾道ミサイルの発射に関しては,国際社会,日本及びこの地域の安全にとっての重大な脅威であり,正に日米韓を中心として関係国が対応を協議し,また国連においては迅速な決議の採択に向けて協議が行われます。また,日本としては独自の措置もとって,決議の採択に向けて,また,それが早期に採択されるように働きかけを行っているという文脈ですので,これらの基本的な我が国の立場には変更はありません。
米国・ASEAN特別首脳会議
【産経新聞 坂本記者】米国でASEANとの対話が開かれていると思うのですが,これについて日本の考え,または南シナ海について,どう見ているかという点をお願いします。
【川村外務報道官】米国において15日及び16日に開催された,米国・ASEAN特別首脳会議の結果,経済,政治,安全保障など,様々な分野で意見交換が行われて,共同声明が発出されたと理解しています。
これは第三国間のやりとりですので,政府としましては,具体的にコメントをすることは差し控えたいと思っていますが,米国とASEANとの戦略的パートナーシップの強化がアジア太平洋地域の安定と繁栄にとって極めて重要ですので,今般の首脳会議が行われたことを歓迎したいと思っています。
また,共同宣言,いわゆるサニーランズ宣言というものが出され,この中で,紛争の平和的解決ほかが言及されていると承知しています。南シナ海をめぐる問題についての日本政府の立場は,これまで述べてきているとおりであります。各国が緊張を高める一方的な行動を慎んで,法の支配の原則に基づいた行動をとることが重要であって,我が国としても,こうした原則を含む今回のこのサニーランズ宣言が発出されたことは歓迎したいと思います。