記者会見
川村外務報道官会見記録
(平成28年1月27日(水曜日)16時40分 於:本省会見室)
【川村外務報道官】お手元にジカ熱についての広域情報を配りましたが,本日,私からの冒頭発言はございません。
ラブロフ露外相発言
【毎日新聞 小田中記者】昨日なのですけれども,ロシアのラブロフ外相が年次記者会見において,平和条約交渉と領土問題は同義ではないとした上で,日本政府は大戦の結果を認めるべきであるという発言をされました。改めて日本政府,また外務省としての立場をお伺いしたいのと,今回のラブロフ外相の発言を受けて,東京または現地において抗議など,何か活動されるご予定,またはされたというものがあればお教えいただけますか。
【川村外務報道官】最初のご質問,日本政府の立場ですが,昨日,ラブロフ外相が安倍総理とプーチン大統領のこれまでのやりとりに触れつつ,記者会見において発言をされているわけですけれども,その中身は日露関係を幅広い分野で発展させたいという趣旨の発言であったというようにも承知しています。
他方で,先ほどご指摘のあった,領土問題に関する発言につきましては,我が方として受け入れることはできません。
ご案内のとおり,日露間では領土問題が解決されてこなかったため,平和条約が締結されていない状況があるわけです。従いまして,平和条約の締結交渉の中核が,北方四島問題の帰属,すなわち領土問題そのものであるということですから,ラブロフ外相の発言はそういう意味で全く受け入れられないということです。
ただ,ロシアとの関係で申し上げれば,政治対話を積み重ねて,我が国の国益に資するよう日露関係をこれまで進めてきているわけですから,その中で引き続き領土交渉に取り組んでいくという日本政府の立場には何ら変更はないということです。
また,抗議などアクションをとるかというご質問ですけれども,これは今朝,萩生田副長官がおっしゃったとおりです。特段のアクションを考えているわけではありません。
【共同通信 中久木記者】これまで領土交渉をめぐってロシアの高官が,平和条約と領土交渉をリンクさせないという発言をした際に,抗議した経緯もあると思うのですが,今回,特段のアクションをとらない理由みたいなものはあるのでしょうか。
【川村外務報道官】ケース・バイ・ケースで,その時の状況を踏まえて最も適切な対応をとるというのが基本にあるかと思っております。ただ,先程も申しましたとおり,領土問題に関する,あるいは日露間の平和条約締結に向けての我が国政府の基本姿勢には何ら変更がない,ということはその都度申し上げていると思います。
また,日露間のハイレベルあるいは事務レベルの関係において,対話の機会にその都度,我が国の立場は申し上げており,それはどのようなアクションをとるか,どのような言い方をするかということにかかわらず,我が国,政府の立場は一貫して変更がないということです。