記者会見

川村外務報道官会見記録

(平成27年11月11日(水曜日)16時32分 於:本省会見室)

冒頭発言ー児童売春等国連特別報告者からの回答

【川村外務報道官】10月下旬に訪日したマオド・ド・ブーア・ブキッキオ児童売買,児童買春及び児童ポルノ国連特別報告者が10月26日の記者会見で行った「女子学生の13%が援助交際を経験している」という発言について,我が方から先方に対して撤回を申し入れていた件についてです。本日,この特別報告者本人から,国連人権高等弁務官事務所を通じまして,在ジュネーブ国際機関日本政府代表部あてに,回答の書簡が届きました。
 その中で,特別報告者の方から,援助交際やいわゆるJKビジネスなどの現象の評価を日本政府に呼びかけつつも,13%の数値については,更なる検討の結果,13%という十分に立証されていない数値を裏付ける公的かつ最近のデータはなく,先般の記者会見における13%という概算への言及は誤解を招くものであったとの結論に至った,このため,今後この数値を使用するつもりはなく,国連人権理事会に提出する報告書でも言及しないという説明が,この書簡の中にありました。
 13%という数値に関する今回の説明は,事実上,先の発言を撤回したものと受け止めていますが,政府としましては,先方に対して,引き続き,客観的データに基づく報告書の作成を強く求めていきたいと考えています。

【時事通信 石井記者】この報道発表の関係で,先方,国連特別報告者の方からは発言を撤回するという明確な表示はなかったのでしょうか。

【川村外務報道官】発言を撤回するという言い方は確かにしていないようですけれども,文面の内容,13%の数値について,十分に立証されていない数値を裏付ける公的,あるいは最近のデータがないというようなことを認めているところ,これらから事実上,その内容について撤回という形で受け止められると考えた次第です。

【NHK 渡辺記者】関連なのですが,撤回と受けとめたということですけれども,明確に撤回というように言われているわけではないですし,どこから13%という数字を持ってきたのかというところも説明が明確にされていないと思うのですが,その辺は今後,更に日本政府として,外務省としてただしていくというお考えはあるのかどうか。
 あと実際,13%という数字がどうこうというよりも,実際にそういった数値的なものはなかなか難しいとしても,事実関係としてそういうことが,いろいろなビジネスがあると指摘されていると,今,おっしゃっていました。そのことが国際的にそういうように取り上げられていることについて,今後,対外的にどういった説明をしていくのか。そこをお願いします。

【川村外務報道官】最初の点ですけれども,データの正確性あるいは客観性というところですが,先方,国連人権高等弁務官事務所に対しまして,客観的データに基づく報告書を作成するように引き続き強く求めていきたいというように思っております。
 2点目の,数値の特定が難しいけれども,事実関係としてこういったビジネスの実態があるという指摘に対して,どのような対外的な説明をしていくかというご質問ですが,この点に関しましては,やはりまずは,今回の報告の中で13%というような具体的な数値を引いた上で問題提起があったということですので,13%という数値が与えた影響は非常に大きかったものがあると思います。今回はこちらからの指摘に応じて,国連人権高等弁務官事務所のほうから書簡をもって,この数値の引用と,この数値が立証されたものかどうかということについて,そうではなかった,これを裏づけるような公的かつ最近のデータがなかったということですので,この点についてはまずきちんと,先ほど言いましたように,指摘をし,更に客観的なデータに基づいた報告書をまずつくってもらう,恐らく,今後その報告書がつくられるということが期待されるわけですけれども,その中で改めて,この国連の機関の考え方なりが出てくるという順番だと思います。それを踏まえて,我が方の対応ぶりといいますか,対策を考え,検討していきたいというように思います。

【テレビ朝日 千々岩記者】同じ件ですけれども,通常,日本の感覚ですと謝罪なり遺憾の意なりという気もするのですが,大体,先方からの説明はここの,特に2番のところで出ているものがこんな感じなのですか。それ以上は,今,申し上げたような部分はなかったということですか。

【川村外務報道官】はい。大体,私が冒頭でご紹介しましたようなことが書かれているというように理解しております。すなわち13%の数値については,更なる検討の結果,十分に立証されていない数値を裏づける公的かつ最近のデータがないこと,それから,援助交際やJKビジネス等の現象の評価を日本政府に呼びかけているということ,概略はこういうところに尽きると思います。

【テレビ朝日 千々岩記者】確認ですけれども,では,例えば申しわけなかったとか,そういういわゆる部分はないということですか。

【川村外務報道官】そうですね。謝罪の言葉があるかどうかですけれども,当方で把握している限りにおいては謝罪ということではないと思います。今回の書簡の趣旨は,まず先般の10月26日の記者会見で女子学生の13%が援助交際を経験していると発言したこと,この点について中心に我々のほうから指摘申し上げたので,それに対する答えが帰って来たということです。

【NHK 渡辺記者】たびたび済みません。同じテーマの質問なのですが,この13%という数字をどこから持ってきたのかという,その辺の日本側で見て納得するような根拠,あるいは何ゆえに間違っていたのかとか,その辺,具体的にはどういう説明があったのでしょうか。

【川村外務報道官】書簡は10日付ですから,昨日付ですけれども,書簡がこの機関から届いたということでありますので,今,申し上げました以上の詳細についてはまだよくわからないところはあるかと思います。
 ただ,いずれにしても当初,当方から指摘した点に関して国連人権高等弁務官事務所のほうでその指摘に対して答えたということです。すなわち,繰り返しになって恐縮ですけれども,いろいろ更に検討した結果として,その13%という十分に立証されていない数値を裏づけるような公的かつ最近のデータはなかった。それから,先般の会見における13%という概算への言及が誤解を招くものだったという,この2点については明確に述べているということです。
 では,何%が正しい数値かといったようなことについては,今回の書簡の中では言及されてはおりません。

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