記者会見
城内外務副大臣会見記録
(平成27年6月4日(木曜日)16時43分 於:本省会見室)
冒頭発言-日メコン高級事務レベル会合の浜松開催
【城内外務副大臣】5月31日日曜日から6月1日月曜日にかけて,日メコン高級事務レベル会合(SOM)を,私(副大臣)の地元の浜松の浜名湖畔で開催いたしました。本年7月4日に東京の迎賓館にて開催予定の日メコン首脳会議の成果文書に関する協議を行うために行われた高級事務レベル会合であります。
メコン地域は,カンボジア,ラオス,ミャンマー,タイ,ベトナムの5か国からなる地域ですが,現在大変目覚ましい経済発展を遂げており,日本とメコン地域の経済関係は深まる一方であります。
今回,メコン諸国からの出席者の皆さんは,鈴木康友浜松市長や地元企業の関係者とも面会いたしました。これを機に,「地方創生」の一環として,国と国同士の関係のみならず,浜松市などの地方都市とメコン地域との関係が一層深まることを強く期待するものであります。
翁長沖縄県知事の訪米
【共同通信 松浦記者】沖縄の普天間飛行場の移設問題なのですが,翁長雄志知事が訪米日程をほぼ終わられまして,期間中に米国政府の関係者に対して辺野古移設の見直しを求めました。この行動が今後,辺野古移設を日米政府が見直す契機になるというようにお考えでしょうか。
【城内外務副大臣】いや,政府の立場は一貫しておりまして,普天間基地の固定化はあってはならないということでございますので,引き続き沖縄県民の皆さんの立場に寄り添いながら,この問題についてしっかりとご理解いただけるように政府としても努力していく考えであります。
日韓関係
【読売新聞 仲川記者】日韓関係についてお伺いします。6月1日に森元総理ら日韓賢人会議のメンバーが朴槿恵韓国大統領に面会されまして,いろいろそういった動きというのはこの間ありましたけれども,依然として慰安婦問題を始め日韓間に様々な問題があり,なかなか改善の兆しが見えないと私個人は思っているのですけれども,外務省としての認識と,今後どのような取り組みをしていくかについてお聞かせください。
【城内外務副大臣】森喜朗元総理を始めとする日韓賢人会議のメンバーが朴槿恵大統領を表敬いたしました。その結果,非常に有意義なやりとりが行われたというように伺っておりますが,韓国との間では困難な問題があるからこそ,こうした賢人会議も含めて,様々なレベルで緊密な意思疎通を図ることが重要であります。こうした試みを重ねていくことが日韓関係の前進につながるというように考えております。
また,他方で歴史認識や慰安婦問題について,これは我が国の立場は累次にわたって韓国側に伝えてきておりますが,この我が国の立場をしっかり受けとめるよう,引き続き韓国側に粘り強く働きかけていきたいというように思っております。
【朝日新聞 松井記者】日韓関係の関連で,世界遺産について,いろいろと日本政府としての考え方を説明する努力を続けておられると思いますが,副大臣を始め皆様方,政務の方々もいろいろと動いておられるようですけれども,現状までの,直近までの政府としての取り組みと今後どうしていくのかをお聞かせください。
【城内外務副大臣】私自身も副大臣としてドイツに参りましたし,いろいろな政務レベルでこの問題について関係国に理解をしていただくように最大限努力しておりますし,特に韓国につきましては,ご承知のとおり,事務レベルの協議を東京で行いました。今後,こういった韓国との間での事務レベル協議もまた重ねていくことになろうかと思いますが,次回の協議についてはまだ何も決まっていないというように承知しております。
いずれにしても,この問題の核となるのは,要するに明治時代の産業革命の遺産ですから,1850年代から1910年代の間の話でありまして,徴用工といった先の大戦の問題とは切り離して考えるべきだという立場については変わりありませんので,こういった点について,韓国を含めて,委員会のメンバーの国についてもご理解をいただけるように,これからも最大限努力していく所存でございます。
【朝日新聞 松井記者】追加で質問ですが,韓国側は徴用工の事実についてプレートに表記をしてほしいとか,韓国側の考え方を主張している部分がありますが,プレートに明記をするということについては日本政府としてやはり応じられないという考えなのでしょうか。
【城内外務副大臣】済みません。そういったやりとりがあったかどうかについては外交上のやりとりなので差し控えさせていただきたいと思いますが,プレート云々につきましては,私(副大臣)は今,政府のポジションがどういうポジションか承知しておりませんが,先ほど述べましたように,我々の立場は,あくまでも時代が違うということでご理解をいただけることが第一ではないのかなというように思っております。
日メコン高級事務レベル会合の浜松開催
【静岡新聞 森田記者】地元の話で,冒頭の日メコンの会合の件で,もう少し具体的な,副大臣がお感じになられた具体的な成果というものがあればお聞かせください。
【城内外務副大臣】成果というのは,実は7月4日に首脳会議がございますので,そこで成果文書というものが出せる,その前準備の協議でございまして,今後の成果と考えられるものをあえて申しますと,メコン地域5カ国がありますけれども,そこでその地域を広域で捉えて,いわゆる連結性です。鉄道だとか,あるいは港湾とか,人や物の流れを広域で,まさに発展を遂げている地域でやっていく。そこに日本のいろいろな意味での,例えば鉄道や,あるいはインフラの技術,更には資金。そういったものをこの5カ国で活用できるような,そういう方向性を固めていくという意味で大変意義のある高級事務レベル会合であったのではないかと思います。
もう一点,やはり関係者の皆さん,そういった地方でこういう会議をするということはどうも,ほとんど今までなかったらしくて,何人かの方がおっしゃっていたのは,浜松というところで,この製造業,自動車や楽器で有名な地域だけれども,新幹線を降りて会場まで移動したときに,田んぼもあって自然もあって,こういう農業もある,活力ある地方都市を見る経験をすることがあって,非常に勉強になった。参考になった。自分たちの国の地方都市も,こういうような製造業もあり,また田畑もあるような,そういう地域にしていきたいというような,非常に新鮮な印象を与えたという意味でよかったと思いますし,浜松に限らず,国際会議でも東京ばかりではなくて,そういった地方の都市にも,これから機会があればいろいろなレベルの会合を開催することがいいのではないかなと思った次第であります。