記者会見
中山外務副大臣会見記録
(平成27年5月14日(木曜日)16時18分 於:本省会見室)
安保法制の閣議決定
【朝日新聞 今野記者】本日,間もなく臨時閣議で,一連の安全保障法制の閣議決定がされると思うのですが,これによって先般のガイドラインの合意もあって,日米間の自衛隊と米軍の行動が非常に一体化することによって,地理的制限もなくなり,非常に役割が拡大するというメリットがある反面,米国の戦争に巻き込まれるのではないかといった懸念もあるのですが,そういったメリット,デメリット,いろいろな議論があることに関して,副大臣としての所見をお願いいたします。
【中山外務副大臣】今,ご質問にございましたとおり,本日,安保法制が閣議決定されるというのは,もう皆さんもご承知のとおりだと思います。臨時閣議が16時40分,そしてまた総理会見が18時ということで,そちらのほうに皆様ご注目だと思います。
政府といたしましては,これまで与党と相談しつつ法整備を進めてきました。そして,また本日与党プロセスで了承されたということは私も承知をいたしております。
現時点,そういった閣議が行われるという前の時点において,法案を閣議決定していないということもありまして,政府という立場でコメントすることは差し控えたいと思いますけれども,私個人といたしましても,国民の生命,財産,そして平和な暮らしを守るということは,これは日本国政府としての重要な責務であろうかというように考えております。
明治日本の産業革命遺産
【共同通信 蒔田記者】共同通信の蒔田です。世界遺産登録の関係なのですけれども,先日イコモスが勧告を出した日本の明治の産業革命遺産について,韓国側が反発をしていますが,この件に対する日本政府のお考え,対応を改めてお聞かせ願います。
【中山外務副大臣】皆様もよくご承知のとおりでございますけれども,まず本件遺産が対象といたしておりますのは,1850年代から1910年まででありまして,いわゆる朝鮮半島出身の旧民間人徴用工の問題とは対象とする年代や歴史的位置づけ,その背景が異なるというように,今までも申し上げてきたと思っております。
本件遺産はあくまでも1850年代から1910年までの産業遺産として,顕著な普遍的な価値に着目して推薦をしたものであると認識いたしております。
今般,イコモスから世界遺産登録とすべき旨が勧告されましたけれども,これは本資産が評価された証であって,大変名誉なことであると思います。
世界遺産委員会においては,係るイコモス勧告が尊重され,我が国の推薦案件が技術的・専門的見地から審議されることを期待いたしております。
同時に,我が国として世界遺産委員会におきまして,技術的・専門的見地から審議,決定されるよう,これは韓国はもとより世界遺産委員国に対しての理解を引き続き求めていきたいと考えております。
世界遺産にふさわしい,イコモス勧告が尊重され,そして同勧告どおりの決定がなされるように,今後とも韓国を含む委員国に対して理解を求めていきたいと考えております。
【NHK 小嶋記者】今のことに関してですけれども,副大臣,今の中で韓国をはじめ委員国への理解を求めていくということで,本日は自民党の国際情報検討委員会の中で,党の出席者のほうから,もうちょっと日本の正当性についての主張を発信すべきではないかというような意見が出ていましたけれども,これを受けて,具体的にどう理解を求めるかということと,副大臣ご自身も,そういうような機会を持たれるおつもりがあるのかということについてお願いします。
【中山外務副大臣】まず,本日朝8時から党本部で国際情報検討委員会が開かれたということは承知いたしております。この国際情報検討委員会というのは,日本の対外発信の力点からしっかりとしたご議論をいただいている,そしてまたその党のご議論を踏まえまして,特に対外情報発信予算等も含めて,自民党の各先生方に非常にご貢献,またご助力をいただいて,ご指導を賜っているという認識でおります。
私自身も副大臣就任前はそこのメンバーでございました。同時に,内閣官房,外務省,文化庁をはじめ政府一丸となって,韓国はもとより世界遺産委員国に対して十分説明をし,理解を求めていくというのは,先ほど来申し上げているとおりであります。
もし,今,国対を含めて,国会の与野党を含めてのご理解,お許しが得られれば,しっかりとそういった働きかけをやっていくというのは,当然今の立場として行うべき行動だというように私は考えております。
【読売新聞 仲川記者】今のNHKの質問に関連してですけれども,副大臣自身,例えば外遊してどこかの国で理解を求めるとか,我が省の副大臣,政務官,事務方がどのような国に行って,例えば委員国に直接働きかけるですとか,そういう予定,実績がございましたら,教えていただけますでしょうか。
【中山外務副大臣】現在,先ほどご質問をいただいたNHKさんからの報道も,私もあったことは承知いたしておりますが,城内副大臣,そして私自身の情報が報道されておりました。
城内副大臣の出張は既に公表しているとおりであって,二国間関係に関する政府関係者との意見交換等のため訪問をしていると思います。
私に関しましては,先ほども申し上げたとおり,諸般の事情が許せば,この件も含めてジャマイカのほうへ出張する予定でございます。
四島交流及び自由訪問事業の一部中止
【産経新聞 楠城記者】北方四島についてなのですけれども,ロシア側の事情でビザなし交流等が取りやめになる事態になっていますが,外務省としての対応を教えてください。
【中山外務副大臣】5月13日の夕刻,ロシア側から5月15日から18日までの四島交流,5月19日から22日までの自由訪問につきまして,ロシア側内部の調整が完了しておらず,実施できないという連絡がございました。これを受けまして内閣府及び実施団体と調整を行いました結果,これら2つの事業を中止せざるを得ないという判断に至りました。
我が方といたしましては,これまでの鋭意実施に向け調整してきていたところ,ロシア側の内部事情によりまして,これら事業を中止せざるを得なくなったという状況は非常に残念で仕方がないと思います。
我が方としましては,5月下旬以降の四島交流事業が予定どおり実施できるように,鋭意今後とも調整を行ってまいりたいと考えております。