記者会見

中山外務副大臣会見記録

(平成26年10月30日(木曜日)15時45分 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)我が国軍縮決議案の国連総会第一委員会での採択

 本30日,ニューヨークにおいて我が国が国連総会第一委員会に提出した核軍縮決議案が採択されたことを受けまして,外務大臣談話を発出いたしました。
 本決議は,核兵器国を含む163か国という圧倒的多数の賛成を得て採択されました。今後,本決議案は12月初旬に国連総会本会議において票決にかけられる予定であります。
 来年は,広島,長崎への原爆投下から70年という節目の年であり,NPT運用検討会議が開催される予定であります。
 我が国としては,このような取組を通じて,明年のNPT運用検討会議の成功に貢献するとともに,「核兵器のない世界」の実現に向け,引き続き国際社会の取組を主導していく考えであります。

(2)小笠原諸島周辺での中国サンゴ漁船の違法操業

 小笠原諸島沖の中国サンゴ船問題については,これまでも関係者,関係省庁で連携して対応しているところでありますけれども,10月には小笠原諸島沖において,中国サンゴ船船長の逮捕事案が4件発生していますが,これに加え,本日(30日)午前にも小笠原諸島沖の排他的経済水域(EEZ)において,逮捕事案が発生しました。外務省としては,これまでも累次にわたり外交ルートを通じて中国側に申入れを行っており,本日も逮捕事案の発生後に直ちに申入れを行いました。
 今後も関係省庁と連携して,対応していきます。

ウクライナ情勢

【インデペンデント・ウェブ・ジャーナル 平山記者】ウクライナ情勢についてお伺いしたいと思います。
 先日,ウクライナ議会選挙が行われまして,ポロシェンコ大統領の親欧米勢力が勝利をおさめたわけですが,他方でウクライナ東部では親ロシア派が独自に選挙を行うと見られており,ウクライナの分断が固定化するのではないかということも言われています。
 副大臣は,現在のウクライナ情勢をどのように見られ,政府としては今後,ロシアに対してはどのように働きかけるべきだとお考えでしょうか。ご見解をお聞かせください。

【中山外務副大臣】ご承知のとおり,ウクライナの最高会議選挙が26日実施をされ,外務大臣からも談話が発出されたということはご承知のとおりだと思います。ウクライナの最高会議選挙は,今,おっしゃったとおり,ウクライナ東部の一部及びクリミアを除き,おおむね自由かつ平穏に実施されたと承知しており,これを歓迎したいと思います。同時に,我が国が派遣をしました10名の選挙監視要員からも,全体として投開票が平穏に実施され,集計作業の透明性も確保されていたとの暫定的な報告を受けております。
 我が国は,ウクライナにおいて新しい議会及び政府が速やかに組織され,諸課題の解決に向けて前進することを期待しております。また,ウクライナの平和と安定の実現に向けて同国を支援していきたいというように思っております。
 また同時に,ルハンスク州及びドネツク州の約半数の選挙区で投票が実施できなかったということも,選挙の正当性に関する私どもの考え方ということについて言及申し上げますと,ウクライナの平和と安全の実現のためには今回の議会選挙の平和的かつ民主的な実施が重要であり,これを妨害した親露派武装勢力の動きを非難する立場にあります。
 今回の選挙においては,全国225選挙区のうち,クリミア及び東部2州の分離派占領地域の計27選挙区では投票が実施されず,これら選挙区の議席は空席となると承知をいたしております。一方,それ以外の地域では,選挙はおおむね自由かつ平穏に実施されたと承知しており,選挙の正当性に関し問題はないというように理解はしております。

小笠原諸島周辺での中国サンゴ漁船の違法操業

【NHK 小嶋記者】先ほどのサンゴの件なのですけれども,これは外務省の誰から相手方の誰あてというのが,もしわかれば教えてください。

【中山外務副大臣】外務省の担当課長は,中国モンゴル第二課長から在京中国大使館の参事官に対して遺憾の意を伝達するとともに,再発防止を申し入れたということであります。

【日本経済新聞 宮坂記者】今の件に関連してなのですけれども,今までも類似の事案というものが繰り返し行われていて,中国側には申し入れをしていたということなのですけれども,今回,今までと例えば申し入れの内容を変えたりとか,より強めたりといったことはあったのでしょうか。

【中山外務副大臣】やりとりの詳細については,現時点ではコメントを差し控えさせていただけたらありがたいというように考えております。

日中関係

【読売新聞 大木記者】昨日,中国の王毅外相が講演の席で,中国の習慣が「来る者は皆,客人だ」と。我々はあらゆる客人に対して必要な務めを尽くすつもりだと,比較的,日中首脳会談に向けて前向きとも受けとめられる表現を講演でされていますが,これについてどのような評価をされているか,教えてください。

【中山外務副大臣】王毅外交部長の発言については,報道を含めて承知をいたしております。北京APECにおける日中首脳会談については,何ら決まっていないというのが現在の私どもの回答であります。

クマラスワミ元報告者への説明

【インデペンデント・ウェブ・ジャーナル 平山記者】話題がちょっと変わるのですけれども,2週間ほど前の話で恐縮なのですが,慰安婦の問題で,政府がクマラスワミ氏に報告の一部撤回を求めた件についてお聞きしたいと思います。
 日本政府からの修正の要請はクマラスワミ氏に拒否されてしまったわけなのですけれども,同報告書をよく読むと,吉田清治氏の証言からの引用は実はほんの一部で,吉田証言を批判する学者の学説の引用ですとか,その他80人近い証言も同じように引用されております。
 朝日新聞の報道撤回をもって,同報告書の趣旨を否定することにはいささか無理があるのではないかとの指摘も一部であるのですが,政府として,このクマラスワミ報告書について,改めて,どのようなご認識をお持ちなのかということを教えてください。
 更には,今後も同様の撤回要請を続けていくのか。そして今後,こういったことを,米国を含む諸外国に対してどのように説明していくのか。副大臣のご見解をお聞かせください。

【中山外務副大臣】本件の報告書に関する立場に関しては,政府はこれまでも人権委員会など,国連の場で説明を申し上げておりますけれども,今般,朝日新聞の報道撤回といった最近の進展があったことから,政府関係者が14日にクマラスワミ氏本人に直接面会をして,そしてこれらをしっかりと説明をし,何らかの形で報告書に示された同氏の見解を修正することを求めたというのはご承知のとおりだというように思います。
 また,我が国の基本的立場,それから,1996年2月の同報告書の提出後に実施されたアジア女性基金事業及び女性の人権の促進に向けた日本の取り組みについても説明をさせていただいたということであります。
 同時にクマラスワミ氏からは,特別報告者の任を離れて長く,報告書を修正する立場にはないと。吉田証言は証拠の一つにすぎない。引き続き,報告書の立場を維持するとの趣旨の反応があったということで私のほうは聞き及んでおります。
 同時に,私どものクマラスワミ氏からの反応ということで,政府の見解といたしましては,クマラスワミ氏からかかる反応があったことは非常に残念であるということ。いずれにしましても,政府としては国連人権理事会を初めとする国際社会に対しまして,適切な機会を捉えつつ,我が国の基本的立場,それから,これまでの取り組みというものに関してしっかりと説明をして,理解を得るべく努力を続けていくという考えに何ら変わりはないということであります。

【インデペンデント・ウェブ・ジャーナル 平山記者】1点だけ確認させていただきたいのですが,クマラスワミ氏に抗議をしたというのは,朝日新聞が報道を撤回したということをもってクマラスワミ氏に抗議をするという順序でよろしいのでしょうか。

【中山外務副大臣】その点に関しましては,今もご説明申し上げたとおりであります。

北朝鮮の特別調査委員会との協議

【NHK 小嶋記者】北朝鮮との協議について今夕,伊原局長が帰国されて政府首脳に報告されるということですが,中身についてはそれ以降になると思いますが,特別調査委員会の幹部との面会が報道にも公開されたりとか,これまでにない北朝鮮の対応ではないかとみられますが,このあたりの北朝鮮側の対応に対する副大臣の評価についてどのようにお考えなのでしょうか。

【中山外務副大臣】今回の北朝鮮の特別調査委員会との協議の概要に関してもお答え申し上げたいと思いますが,今般の平壌での協議において2日間で合計約10時間半,特別調査委員会との面談を行ったということです。日本側から拉致問題が最重要課題であることをソ・テハ委員長をはじめとする責任者に対して,直接強調するとともに調査を迅速に行いその結果を一刻も早く通報するということを強く求めております。先方からの特別調査委員会の体制や調査の現状等ついての説明に対しては様々な角度から質疑を行ったということであります。それと同時に伊原さんを含め,丁度これくらいの時間ですと北京から戻って来られる途中だと思いますけれども,一行の外務省の派遣した方々の帰国後に私共,報告を受けるということでありますので,評価如何ということに関しましては,帰国後報告を受けてから考えて,また御答弁を申し上げたいと思います。御報告をさせていただくという機会を設けたいと考えております。

日米地位協定環境補足協定

【共同 高木記者】先日,日米両政府が基地の環境補足協定で実質合意をしましたけれど,今後署名のスケジュール感,交渉の進捗状況について教えて下さい。

【中山外務副大臣】今後の進捗状況を含めてですね,今,手元に資料がございませんので,詳細に関しては後刻報告をさせていただきたいと思います。

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