記者会見

城内外務副大臣会見記録

(平成26年10月23日(木曜日)16時10分 於:本省会見室)

冒頭発言-第3回東アジア低炭素成長パートナーシップ対話

【城内外務副大臣】来週31日,横浜におきまして,第3回東アジア低炭素成長パートナーシップ対話という会議を開催します。
 本対話は,昨年,一昨年に続く第3回目の開催であり,東アジア首脳会議(East Asia Summit: EAS)参加国及び国際機関等のハイレベルの出席者との間で,低炭素成長のための方策や地域協力について話し合いを行うものであります。今回は,「低炭素成長に向けた官民連携及び技術移転」,そして「都市の低炭素成長」をテーマに,各国の知見を共有することを目指すものであります。
 今回は,より実務に近い議論を行うため,自治体や民間セクターからの主体的な参加を得てハイレベルのフォーラムとすることになったとうかがっています。議長については調整中で,もちろん日本が議長をするわけですが,外務省のハイレベルを想定しております。まだ現在決まっておりません。
 また,概要は議長サマリーとして,成果文書ですね,採択して東アジア首脳会議,11月13日ミャンマーにて開催されますけれども,そこで報告する予定であります。 また,なぜ横浜で開催されたかといいますと,横浜市と日経BP社が開催している「スマートシティウィーク」というのがありまして,これと「アジア・スマートシティ会議」と連携しての開催ということであります。これにより,自治体や民間の実践上の経験を共に学び,共有されることを期待されています。また,本会合後には,参加者に,企業展示を見学していただき,日本企業のいろいろな環境技術とか省エネ技術とかを各国参加者に見ていただき,理解を深めていただくことも期待しています。

第3回東アジア低炭素成長パートナーシップ対話

【共同通信 蒔田記者】冒頭のご発言の国際会議の件なのですけれども,これは各国からは閣僚級は来るのでしょうか。どのようなレベルの方が来るのでしょうか。

【城内外務副大臣】各国から,副大臣とか,あるいは局長,国によっては在京の大使館の公使とか書記官といったレベルではないかと思います。いずれにしても,まだ全ての出席者が確認されておりませんが,例えばマレーシアの自治体の市長さんとか,そういった方々も出席されるようであります。

【共同通信 蒔田記者】自治体の参加は一つ特徴かと思うのですが,これは過去,1回目,2回目と比べて初ということになるのでしょうか。あと,日本からの自治体の参加というのはどこになるのでしょうか。

【城内外務副大臣】日本からは,横浜市でやりますので,横浜市の温暖化対策統括本部の副本部長の方が参加することになっております。
 すみません,過去,第1回,第2回について,自治体が参加したか,私は承知しておりませんが,後ほど確認させていただきたいと思います。

政府担当者の平壌派遣

【日本経済新聞 宮坂記者】日朝のことについてお伺いします。
 来週の訪朝団派遣というものが正式に固まって,発表になりましたけれども,改めてなのですが,今回の成果についてどういうものを目標にされるのかということと,再調査についてはまた1年かけて行うということですけれども,これからこういう訪朝という形での枠組みを継続して行っていくのかという点についてはいかがでしょうか。

【城内外務副大臣】その継続するかどうかは別として,今回は官房長官等が累次ご説明しているように,特別調査委員会の責任ある立場の方から調査の現状について説明を聴取する。特に我が国として拉致問題が最優先であるということを直接強く訴えるとともに,調査の現状が実際どうなっているのかということの説明を先方から受けることを目的としたものでありまして,今回はもちろん,いわゆる第1回の通報になるということは想定しておりません。
 いずれにしましても,引き続き,全ての拉致被害者の一刻も早い全員の帰国に向けて,対話と圧力,行動対行動の原則を貫いて,全力を尽くしていくというのが我が方の立場であります。

【読売新聞 仲川記者】引き続き日朝の話なのですけれども,こちらは伊原アジア大洋州局長をトップとする訪朝団なわけですが,相手方のトップといいますか,どういう方が会うのでしょうか。

【城内外務副大臣】これについても,特別調査委員会の責任ある立場の者を当然望んでおりますが,現時点でどなたと会うのかということについては調整中で,申し上げる段階にはございません。

【朝日新聞 松井記者】日本政府は何回も,これまでも北朝鮮に対して拉致問題が最優先だということを伝えてきてはいますが,ただ一方で,5月のストックホルム合意の中では,特定の分野を優先してやるのではなくて,全ての分野を同時並行的に行うというように明記されています。恐らく北朝鮮側はそういったことを論拠にして,1つだけ優先するのは難しいという主張をしてくることが考えられますが,それについてはどのように対応されますか。

【城内外務副大臣】拉致,行方不明者・配偶者,残留人日本及び遺骨といった4つの分野があるわけですが,いずれにしても我が方としては拉致問題が最優先であるということを直接強く訴え,調査の現状について説明を受けることを今回の目的にしておりますので,それ以上の詳細について説明することは差し控えさせていただきたいと思います。

日韓関係

【時事通信 松本記者】日韓関係についてお伺いします。
 韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相がワシントンで発言されているのですけれども,日本の歴史認識に関して,毎日毎日,毎週毎週,後退しているという発言をされました。さらに日韓首脳会談の今後について,ただ握手するためだけで会うのは意味がない,慰安婦問題に触れられて,日本側の誠意ある措置を示すことが重要だという認識を示されました。この尹炳世(ユン・ビョンセ)外相の発言について,どう受けとめられているか。また,日韓首脳会談について,尹炳世(ユン・ビョンセ)外相が何か条件をつけるような格好になりましたが,それについてどう対応されるか,ご見解をお聞かせください。

【城内外務副大臣】すみません,私,その尹炳世(ユン・ビョンセ)外相の,我が国の歴史認識の問題についての発言について承知していなかったのですが,いずれにしても,韓国は日本にとりまして重要な国でありますので,さまざまなレベルで対話を継続していくことが重要であると認識しております。

【時事通信 松本記者】その日韓首脳会談の今後の見通し等についてはいかがでしょうか。

【城内外務副大臣】繰り返しになりますけれども,韓国は我が国にとりまして重要な隣国でありますので,日韓関係を前進させる観点から,引き続き日韓首脳会談については,我々としては対話のドアは常に開いているというのが我々の立場でございます。

【朝日新聞 松井記者】関連で,日韓関係で言えば,外相会談を8月のミャンマー,9月のニューヨークというようにこれまで続けてきましたが,APECでの首脳会談の開催についてもそうなのですが,外相会談もまたできれば開きたいという日本側の立場なのでしょうか。

【城内外務副大臣】すみません,その外相会談をやるかどうかについて,私は承知していませんけれども,繰り返しになりますが,韓国は非常に重要な隣国でありますので,首脳レベルも含めて,閣僚レベルも含めて,あらゆるレベルで会談をして,対話を継続していくことが重要であるというのが我が国の立場でありますが,日韓首脳会談については現時点では何も決まっていないと理解しております。

日中関係

【NHK 山﨑記者】日中関係についてお伺いしたいのですが,昨日,北京で麻生副総理と張高麗(ちょうこうれい)副首相が会談されて,日中のほうは様々なレベルでの対話の積み上げが積み上がってきていて,総理が目指すAPECでの日中首脳会談に向けての下地が整いつつあるのかなというような印象を受けるのですが,現在の先方との,言えること,言えないことがあると思うのですが,交渉状況,首脳会談に向けた実現の可能性について現時点ではどのようにお考えか,お願いいたします。

【城内外務副大臣】その日中首脳会談につきましては,様々に報道もされておりますけれども,現時点では何も決まっていないという段階であります。

ODA大綱見直し

【毎日新聞 福岡記者】ODAの大綱の件なのですが,本日,自民党の部会に対して政府案の説明があったと思うのですけれども,災害支援とか民生などに限って,非軍事の目的の協力であれば外国軍に対して実質的意義に着目して検討していくということだと思うのですが,これはいわゆる軍事的用途の回避という原則は守られていくとは思うのですが,どのように軍事転用の防止を図っていくか。その点についてお願いします。

【城内外務副大臣】実を言うと,この新大綱については本日,まさにご指摘のとおり,自民党の合同部会で議論がされておりましたが,実はまだこれは政府案を最終的にとりまとめている段階でありますので,現時点では詳細について申し上げることは控えさせていただきたいと思います。
 実は,この6月末に提出されました有識者の,ODA大綱見直しに関する有識者懇談会報告というものがございまして,その中においても,民生目的,災害援助等の非軍事目的の支援であれば,軍が関係しているがゆえに一律に排除すべきではなく,その実質的意義に着目しつつ,効果・影響等につき十分慎重な検討を行い,実施を判断すべきという提言を有識者の方々からもまたいただいておるところでありまして,これを踏まえて具体的検討を行っているというのが現状であります。
 例えば,フィリピン大規模台風災害に際しましては,国際緊急援助隊として現地でJICAのチームと我が方の自衛隊が緊密に連携しながら支援活動を行ったという例もございますし,これまで例えば非軍事的目的の協力であれば,軍・軍人に対する協力を一律に排除してきたわけではなくて,同原則に抵触しないと判断される範囲で,軍の下にある機関に対する協力や,軍籍を有する者に対する,例えば研修とかを認めた事例は実はあるのです。
 具体的に申しますと,セネガルに国防省管轄の産科医院というものがございまして,これは別に軍人だけではなくて一般市民も使う病院でありまして,母子保健の向上という観点から,ノンプロの見返り資金を用いまして,この病院の産科棟の改修の支援を行ったといったことの実施例もありますし,例えばJICA主催のセミナーに有識者として,当時のユドヨノ陸軍管区司令官,ユドヨノ前大統領をJICAが招聘し,軍とは全く関係ないテーマで,軍事と全く関係ないテーマで,有識者として招聘して議論に参加していただいた。こういう例もございます。
 いずれにしましても,軍事的用途及び国際紛争助長への使用の回避の原則は重要という認識でありまして,新しい大綱の下においても,この原則を変えずに,ODAを軍事目的に使用することはないというように考えております。

政府担当者の平壌派遣

【朝日新聞 松井記者】日朝に戻りますが,今回,具体的な調査報告の内容についてというような場ではないという位置づけを政府としてとっておられますが,拉致問題についてはそうかもしれないのですけれども,仮に日本人妻ですとか遺骨ですとか,その4分科会のうちのほかのものについて何らか進捗状況を一部,実際の結果も含めて,今回それを提示された場合,日本としてはその提示された情報を受け取るということになるのでしょうか。

【城内外務副大臣】それについても,ご質問の点については,どういうことになるかということで予断をすることは差し控えさせていただきたいと思いますので,いずれにしましても,繰り返しになりますけれども,我が方は北朝鮮が迅速に調査を行って,速やかに,かつ正直に結果を日本に通報するように強く求めていくとともに,調査の現状について先方から説明をしてもらうということに尽きます。

【朝日新聞 松井記者】すみません,それについて,調査の現状について報告を受けて,ただし特定の分野について,日本として受け入れられないというようにはねつけることはあり得るのでしょうか。

【城内外務副大臣】それも含めて,そのときの説明の結果を受けて,どのようなことをするかということを含めて,予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

「政治とカネ」

【朝日新聞 松井記者】すみません,話題が大分変わるのですけれども,日本の「政治とカネ」の問題について,閣僚のダブル辞任があった関係で国際社会から注目を浴びていますが,そういった中で本日,宮沢経産大臣の政治資金管理団体が広島にあるSMバーにお金を支出していたことが明るみに出ました。それについて,国際的な日本を見る目という立場から,副大臣はどのようにお考えですか。

【城内外務副大臣】この件について,そういう報道があったことは承知しておりますが,いずれにしても,一般論でお答えさせていただきますけれども,このいわゆる「政治とカネ」をめぐる問題については,国際社会から誤解を受けないように,きちんと襟を正す必要があるのではないかということを申し上げたいと思います。

エボラ出血熱

【日本経済新聞 宮坂記者】アフリカのエボラ出血熱の関連でちょっとお伺いしたいのですけれども,自衛隊の連絡要員をドイツの米軍アフリカ軍の司令部に派遣したりとか,そういう動きもありますが,これから,特に中心となって支援している米国,それから,イギリス,フランスなどとどういうように情報交換しながら支援策,追加の支援策という考えも総理は表明されていますけれども,どういうように詰めていくのか。主に日本としてどういった分野で貢献していくことを考えていくのかということについて,改めてお願いします。

【城内外務副大臣】ご指摘の点は,シュツットガルトにある米軍に要員を派遣するという話でありますが,いずれにしましても,これまでも我が国としては米国やドイツ,イギリス,フランス等と大使館を通じて緊密に連携しながら,たしか我が国としては国連,ニューヨークの場で,総理から4,000万ドルの追加支援を表明いたしまして,もちろん,人員の派遣というのもありますけれども,主に医療関係の,例えば防護服とか,医療にかかわるものをできるだけ早く支援していくということであります。
 また,現状を踏まえていろいろな,ギニアの大使館のほうからも様々な形で,公電ベースでいろいろ,近隣のシエラレオネ,リベリア等も含めて各国大使館から,我が方大使館からもそういった情報が入ってまいりまして,それを踏まえて,関係各国とも緊密に連携しながら,我が国が得意とする保健分野の支援といったものを今後とも継続していく考えであります。
 詳細につきましては,すみません,今,資料を持ち合わせていないので,また必要とあればお答えさせていただきたいと思います。

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