記者会見
佐藤外務報道官会見記録
(平成25年9月11日(水曜日)16時33分 於:本省会見室)
日中関係
【NHK 坂本記者】尖閣諸島について,昨年,国有化してから本日で1年目を迎えました。それに先だって中国からは,かなり挑発的ともとれるような行為があったり,昨日は領海侵犯があったりという行動,これはずっと続いているのですけれども,これについて外務省としてはどのように対処していく方針なのか,今までの,こういった挑発的な行動が続いていることに対する認識,そのあたりを教えてください。
【外務報道官】日本としては,この二国間関係が大変に重要な二国間関係の一つであるということで,日中関係を安定的に発展させるということが両国の国民,ひいては地域,国際社会にとっての利益であるという考え方に変わりありません。
そして,その意味で戦略的互恵関係の基本的な考え方に則って,日中関係を進めていくことが重要であると。したがって,様々なレベルで対話を行っていくことが重要。
これまでも,そのように申し上げておりますけれども,日本側の対話のドアは常にオープンであるということであろうかと思います。
シリア情勢
【フリーランス 安積氏】シリアについてお伺いいたします。
日本政府のシリアに対する態度は,米国に追従したような形になっておりますが,以前,官房長官会見で官房長官がおっしゃったように,シリアと北朝鮮は軍事的関係が非常に深いものがあるということで,日本にとっては,その意味ではまた特別な利害関係を持っているというか,発言しなければならない義務みたいなものがあると思うのですが,北朝鮮との関係において,日本はあまりこのことについては表にはださなかった,発言があったくらいしか,あと具体的な行動に出なかったと思うのですが,今後,化学兵器の使用について,どういうようにコミットしていくべきだと思われますでしょうか。
【外務報道官】化学兵器ですけれども,この化学兵器が二度と使用されないようにということが大切なことで,そのために今,関係国が努力をしていると。
我が国としても,安保理等の場での関係国の議論,それからシリア政府の真摯な対応の有無,これらを注視しつつ,引き続き関係国と緊密に協議を続けていくと,これが基本的なスタンスです。
我が国としては,引き続き,暴力の停止と政治対話の開始,そして,劣悪な人道状況の改善のための国際社会の努力に貢献していくという考え方に変わりありません。
【共同通信 斎藤記者】シリア国内における化学兵器使用疑惑,誰が使用したのか,この点についての日本政府の現時点での見解を教えてください。
【外務報道官】我が国といたしましては,これは先ほど言及いたしました人道状況の悪化,これの責任がアサド政権にあるといういことを従前より明らかにしてきております。そのような状況の改善のために努力をしたということも言ってきておりまして,その一環として人道支援というものを,むしろ政権側でない側のコントロール下にある地域において人道支援を行ってきております。現時点で申し上げていることは,こういうことでございます。
【共同通信 斎藤記者】昨日,自民党部会で外務省幹部が,アサド政権による化学兵器使用について蓋然性が高いと発言されたのが報じられていますが,この点,外務省としては蓋然性が高いという発言,これは公式見解ではないのでしょうか。
【外務報道官】今の政府の立場というのは,大変劣悪な状況になっている責任はアサド政権側にあるということでございます。人道状況です。
【共同通信 斎藤記者】私の質問としては,化学兵器の使用に関与したのかどうかという質問なのですが,この点についてはどうでしょうか。
【外務報道官】その疑惑につきましては,今,シリアの非常に悲惨な人道状況,このような事態をもたらした責任はアサド政権側にあるという見解でございます。
【フリーランス 安積氏】国連の調査団が入ったということで,化学兵器の使用について調査したというようにありますが,この調査団の能力は化学兵器を使用したか否かに尽きるのでしょうか。または政府側,アサド政権側ないしは反政府側,どちらかが化学兵器を使ったというような証拠まで集める能力というか,権限はあるのでしょうか。
【外務報道官】私どもの理解としては,化学兵器の使用があったかどうかについて調査されていると理解しております。
【フリーランス 安積氏】そうなると,もし化学兵器を使用したという調査が出たとすると,これは誰が使ったかはわからないということなのですか。
【外務報道官】それが調査結果として発表されるかどうかというのは,私どもとしてはわかりません。
【フリーランス 安積氏】そうしましたら,化学兵器を使ったのはアサド政権側にあるということはオバマ大統領とか米国が主張しているわけなのですが,これはオバマ大統領といいますか,米国のほうの調査だけに基づくものということになるのですか。
【外務報道官】各種の外交上のやりとりなどから,我が国政府として,情報収集,協議,いろいろと続けているというのが現状でございます。
【フリーランス 安積氏】そうなりましたら,ロシアは当初からアサド政権が使用しているはずがないと主張していたわけですが,これも多分,情報で外務省のほうには入っていると思うのですけれども,ロシアのほうの主張の信憑性が少ないということで判断されて米国のほうを支持ということになったのでしょうか。
【外務報道官】米国,他のP5,常任理事国とも,それから,他の国々とも情報交換をしております。現在重要なことは,安保理決議案という形で国際社会が何らかのアクションをとるのか,あるいはとる場合にどういうやり方になるのか。そのあたりのことについて,何が最も適切なやり方になるのかというのが協議されているという点にあるかと思われます。