記者会見

佐藤外務報道官会見記録

(平成25年7月24日(水曜日)16時33分 於:本省会見室)

冒頭発言-第13回地域の魅力発信セミナーの開催について

【佐藤外務報道官】第13回地域の魅力発信セミナーの開催についてです。お手元に3枚、資料を配付させていただいております。
 来たる8月1日に外務省が、これは外務省の講堂でなのですけれども、第13回目の地域の魅力発信セミナーを、福島県、茨城県、千葉県、それから徳島県との共催で開催いたします。
 このセミナーは、地方自治体から在京の外交団に対しまして地域の政策や魅力をアピールする場として設けられております。外務省が地方自治体のさまざまな国際的な取組を支援する一環として開催してきているものでございます。
 このセミナーでは、参加される自治体が各地域の産業や施策などについてプレゼンテーションを行います。また、プレゼンテーションが行われました後に、地方自治体と在京の外交団との間の自由な交流の場が設けられまして、それぞれの地域に関する諸外国の理解を促進する、あるいは地方自治体と在京の外交団のネットワークづくりを促進するということが期待されます。
 毎年度、複数回やっておりまして、今回は、福島県からは、福島の復興と魅力の再発見。徳島県は、阿波踊りを含めまして徳島の魅力ある観光資源。茨城県は、筑波がございますけれども、科学技術・芸術・食。千葉県は、魅力として千葉県での企業立地の優位性。こういうことに光を当てたプレゼンテーション、それからブースの出展がございます。

慰安婦問題

【フリーランス 安積氏】現地時間では23日ですが、本日24日の午前に、カリフォルニア州のブエナパーク市のほうで慰安婦の碑か、像か、わからないのですけれども、これの建立に関する公聴会が開かれました。このとき、可決されなかったわけですが、過去において、最近ですが、グレンデール市で公聴会が開かれ、そのまま可決された。そして、今月30日にその碑が建設されるというような動きがありまして、今まででしたら2010年のパリセイズパークとか東海岸の方だったのですが、ここ最近は西海岸の方に動きが移っております。これについて、日本政府としてはどういうようなお考えでいらっしゃいますか。

【外務報道官】この問題につきまして、現地のロス総領事館からも、日本政府の考え方、あるいはこれまでの取組について、グレンデール市の関係者も含めました米国の関係者に対して丁寧に説明をして、理解を得る努力を行ってきております。

【フリーランス 安積氏】過去において聞いた話で、私のほうで確認していなくて伝聞で恐縮ですが、例えばデトロイトなどは慰安婦の碑の建設が計画で持ち上がったのですが、日本の領事の方が非常に努力されまして、この計画は頓挫したというような経緯もあります。本気でやればできたのではないかと。
 それで、2010年のパリセイズパークのほうは、結局は何も無作為な状態で、2011年5月に、当時は野党ですが、自民党の議員団が訪米して、パリセイズパークの市長と面談する数日前に領事が行ったというような経緯があります。
 具体的に、グレンデール市のほうはどういうような努力をされたのか。それから、ブエナパーク市のほうはこれから具体的にどういうような努力をされるのか。そのあたりをお伺いしたいと思います。

【外務報道官】これはやはり、慰安婦の問題について日本政府の考え方、それから、先ほども申し上げましたけれども、よくご存じかと思いますが、日本政府のこれまでの取組、これを関係者に対して丁寧に引き続き説明していくということが非常に重要だと思います。
 先ほどのグレンデール市の今回の記念碑の設置で、これは我々の考え方とは相容れないものですけれども、今後に向けてということであれば、これに限らず、慰安婦の問題として、先ほど申し上げたことの繰り返しになるかもわかりませんが、政府の考え方、これまでの取組、これをやはり丁寧に説明していくということかと思っております。

【フリーランス 安積氏】説明というのは、多分、当事者に対して、一般の目から見えないところというか、そういうところでされると思うのですが、例えば公式にこれに対して抗議の声明を出す、グレンデールのほうは外務省に問い合わせたところ、公式の抗議の声明を出す予定はないというような回答がかえってきましたけれども、グレンデールの30日に建設する際に何か出されるとか、あとブエナパークのほうもそういった建設の予防措置として、何か措置をされるということはありますでしょうか。

【外務報道官】事実として間違った記載がされている場合ですとか、そういう場合には反論投稿を行うなど、そういうことも含めて、その状況に照らして適切な、目的はより正しい理解が幅広く広がるということですので、それに資するような方策というのをとってまいりたいと思います。

【共同通信 斎藤記者】今のやり取り中で一点。私どもの考えと相容れないという話がありました。どこが相容れないのでしょうか。

【外務報道官】我々としては、慰安婦問題につきましては、斎藤さんも御存知のように基本的に日本政府として、筆舌に尽くしがたい思いをされた方々のことを思って、心を痛めるものである。それから、元慰安婦の方々への現実的な救済のために日本国民との協力によって設立されましたアジア女性基金を通じて医療や福祉事業、それから償い金の支給等、最大限の努力を行ってきました。日本政府として、この基金の事業に表れた日本国民の真摯な気持ちに理解が得られるように、今後とも最大限努力をしていく考えです。日本政府は、もう一つ申し上げて、この問題を政治化したり外交問題化させるべきではないと考えております。
 これらの諸点について、今後もしっかり取り組んでいきたいというように考えております。

【共同通信 斎藤記者】日本の立場は分かるのですが、問題は現地の除幕式ですとか、像を建てるという行為が我々の立場と相容れないというのは、これはどういうことなのかと、相容れないのかどうか。
 つまり、外交問題、政治問題にしないのであれば、例えば、それを一つのあり方としは、「静観する」という言い方もあると思うのですが、わざわざ「相容れない」と言うということは、彼らの行動がまさに我々の立場と違うということだと思うのですが、どこが違うのでしょうか。

【外務報道官】これは今申し上げましたように、四つの原則を申し上げましたけれども、特に最後の点ですね、まさに記者がおっしゃったように、政治問題化しない、外交問題化しないということとの関係でも相容れないと言わざるを得ないということです。
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