記者会見

吉田外務報道官会見記録

(令和3年9月15日(水曜日)16時41分 於:本省会見室)

冒頭発言

北朝鮮による弾道ミサイル発射

【吉田外務報道官】私の方から、冒頭、先ほど加藤官房長官の方からも、ご説明がありましたけれども、本日、北朝鮮ミサイル発射に関して、念のため発言申し上げます。
 北朝鮮は、本日15日12時32分、及び12時37分頃、北朝鮮の内陸部から、少なくとも2発の弾道ミサイルを東方向に発射した模様であります。弾道ミサイルの飛翔距離等については、初期の情報に基づいて、我が国の排他的経済水域外に落下したものと推定される旨発表がされましたけれども、変則的な飛翔の可能性も含め、現在、継続的に分析中であります。
 関係省庁の確認したところによりますと、付近を航行する航空機や船舶への情報提供を行ったところ、現時点におきまして、これらへの被害報告等の情報は確認をされておりません。
 それから、総理からの指示、官邸危機管理センターの設置等につきましては、官房長官の方からご紹介があったので割愛いたします。
 外務省としては、今回の北朝鮮によるミサイルの発射を踏まえ、空港に向かう途中でありましたソン・キム米国北朝鮮特別代表との間で、船越外務省アジア大洋州局長が意見交換を行いました。それから、先ほど、昨日既に離日しておられますけれども、韓国外交部の朝鮮半島平和交渉本部長・魯圭悳(ノ・ギュドク)本部長とも協議を行いました。この中で、日米、日韓、更には日米韓で、引き続き緊密に連携をしていくことを確認しています。
 今般の北朝鮮の行動は、我が国と地域の平和と安全を脅かすものであり、言語道断です。これまでの弾道ミサイル等の度重なる発射も含め、我が国を含む国際社会全体にとっての深刻な課題です。
 このような弾道ミサイル発射は、関連する安保理決議に違反するものであります。我が国としては、外交ルートを通じて、北朝鮮に対して厳重に抗議をいたしました。冒頭、私の方からのご説明は以上です。

北朝鮮による弾道ミサイル発射

【NHK 渡辺記者】今、外報官は外交ルートでということですけれども、北京の大使館ルートということでよろしいでしょうか。

【吉田外務報道官】はい、そのとおりです。

【NHK 渡辺記者】それと、まだ分析の途中だと思うんですが、昨日は日米韓の担当者が東京で協議を行いましたけれども、そういったタイミングとかも含めて、その辺の意図というのは、その後、何か分かったことはあるのでしょうか。

【吉田外務報道官】お尋ねは、北朝鮮の今回のミサイル発射の意図についてということですね。当然、我々の中では様々な分析をしております。いろいろな要素があろうかと思いますけれども、今後の北朝鮮に対する我々の対応等に支障もございますので、公式にコメントをするのは現時点では控えたいと思います。

【北海道新聞 古田記者】関連して、今日ソン・キムさんと魯圭悳さんと、それぞれ会談を行ったと思うんですけれども、それぞれ何分ずつぐらい会談したのかということと、昨日に続いて今日という形になるんですけど、昨日、話に出ていなくて、今日新たな要素として出たものがあれば、ご紹介できる範囲でお願いします。

【吉田外務報道官】お尋ねいただいた、私が冒頭に申し上げたんですが、ソン・キム北朝鮮担当特別代表、それから魯圭悳韓国朝鮮半島平和交渉本部長との協議は、具体的にどれぐらいの時間やったかというのは聞き及んでおりませんので、後ほど確認をしたいと思います。
 ソン・キム特別代表は、この後の日程で、空港に向かわれる前に寄られたということですので、そういったことも踏まえて、長時間にはなりませんでしたけれども、記憶するところでは20~30分ぐらい、話をしていたのではないかなと思います。
 それから、昨日14日に行われた、北朝鮮に関する日米韓協議、これについては、既に報道資料等でお知らせをしていますけれども、この協議そのものは、本年の5月にロンドンで、G7のフリンジで行われた日米韓の外相会合、そこでのインストラクションを踏まえて、その後、日米韓の6者協議代表者の間で、協議を断続的に行ってきたものの継続です。直近では7月にソウルで、対面で行ったと承知をしています。
 従いまして、今回の昨日行われた協議そのものは、この北朝鮮の本日の弾道ミサイル、それから、一昨日に行われた、北朝鮮が発表したところの長距離巡航ミサイル、こういったものの発射以前から予定されていたものでありまして、最近の北朝鮮情勢について、広範かつ全般に綿密な意見のすり合わせ、これを行ったものであります。
 その中では3点ほど確認がされていますけれども、外交的な解決を目指していくことが必要であるということ、それから国連の安保理決議の完全な履行、これを実現していくこと、更に北朝鮮の完全な非核化の実現に向けて、日米、日韓、日米韓の間で緊密に連携していく。それをもって、地域の平和と安全に対する対処力・抑止力も高めていく必要があると、こういったことについて意見の一致、認識の共有があったところです。
 本日、行われた先ほどの日米代表者間、それから日韓代表者間の協議というものは、本日の北朝鮮によるミサイル発射を踏まえて、そういったものを含めて、現時点での認識等についてやり取りをしたものと、このように承知しています。

【NHK 渡辺記者】度々すみません。北朝鮮の絡みなんですけれども、今日、外務省としても異例の対応といいましょうか、ソン・キム氏と船越局長の、今日の急遽入った会談につきましては、普段の報道対応よりも踏み込んで中まで、庁舎内で撮った、その辺の、セッティングの狙いといいましょうか、それはやはりたまたま、まだ(日本に)いらっしゃったからと思うんですけど、対北朝鮮という意味で、このメッセージを打ち出すという意味でも、その辺の背景とか、そういうのを考えたのかというのは、もう少し教えてもらえませんでしょうか。

【吉田外務報道官】本日行われました日米韓の北朝鮮担当の幹部のやり取り、急遽連絡を取り合って、そういうことになったものですが、非常に今回の事態も踏まえて、国民の関心も非常に高いということを念頭に、今お尋ねにあったような対応を取ったものと認識をしています。
 北朝鮮に対しては、先ほど申し上げましたけれども、今回の弾道ミサイルの発射、これは3月以来、半年ぶりではありますけれども、過去にも度重なる発射を行ってきている、それに対して国際社会全体が、深刻に懸念しているという認識です。加えて、国連安全保障理事会の決議に違反しているということでありまして、北朝鮮に対する、その抗議の念、これを表明しているところです。北朝鮮に対するメッセージングとしては、今申し上げたような認識だとご理解いただければと思います。

【吉田外務報道官】先ほど、北海道新聞の方からご質問があった件ですが、日米間、ソン・キム代表がお越しになって行われたのは約30分間、やり取りが行われたと。それから日韓、これはお帰りになっているので、電話で行いましたけれども、約15分間の協議であったとのこと、このようになっています。

アフガニスタン情勢(出国希望者に対する支援)

【NHK 渡辺記者】今の北朝鮮の話ではないんですが、話題変わるんですが、アフガニスタンの関係ですが、先日もまた6人の方が日本に来られたときにも発表がございましたけれども、なかなか今、現状どうなっているのかというのが分からないんですけれども、今後の支援のあり方といいましょうか、周辺国に自力で出てこられる方がいらっしゃると思うんですが、今後の日本政府としての支援のあり方、どういう体制で今やっていくのかとか、その辺の今後の方向性をお願いします。

 【吉田外務報道官】週末に2組2家族、10名の方、JICAの現地職員の方ということで、日本に到着されたということで、既にご案内だと思います。従前から、このアフガニスタンにおられる大使館やJICAの現地職員等の方々、アフガニスタンから出国を希望されている方については、それを実現すべく全力を尽くすというのが日本政府の考え方です。
 今回は、そういうことで、陸路で出てこられた方を、パキスタンの国内で在外公館が支援をして、日本に入国していただくという支援を行いましたけれども、これも従来から申し上げていますけれども、陸路で出てこられる方が、今後もいらっしゃるかとは思いますけれども、安全性の観点等々考えると、我々としては、そういうルートを推奨しているわけではありません。
 従いまして、基本的には、安全に出国がなされるように、まずもってタリバーンとの間で我々がやり取りをして、そういった出国が認められるように、働きかけを行っていくということが基本になろうかと思います。
 空港については、一部チャーター機が離発着するようなことも行われていますけれども、全体として、まだ空港の民間航空機の運用再開に至っているという状況にはありません。当然、やはり空路というのが、基本的には主力となる出国ルートになろうかと思いますので、そういったことを念頭にしながら、ただ、なおかつ、推奨はしませんけれども、周辺諸国に出てこられる方がいらしたら、それぞれの個々の事情、これを踏まえまして、周辺国、関連諸国とも緊密に連携をしながら、それぞれの方の希望を踏まえて対応していく、このような方針で臨んでいきたいと、このように考えています。

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