記者会見

小林外務報道官会見記録

(令和5年10月18日(水曜日)15時46分 於:本省会見室)

イスラエル・パレスチナ情勢(邦人の安全確保)

【NHK 五十嵐記者】邦人の安全確保について伺います。本日時点の、イスラエルとパレスチナにいる在留邦人の数と安否状況について教えてください。また、これまで政府は、どのように邦人保護に取り組んできたか改めて伺います。

【小林外務報道官】まず、邦人の状況ですが、現在イスラエルには約900人の在留邦人の方々が滞在しています。これまでのところ、在留邦人の生命・身体に被害が及んでいるという情報には接しておりません。
 ガザ地区には、少数の邦人が滞在しており、緊密に連絡を取り合っています。
現在の情報を踏まえ、政府としては、官邸危機管理センターに情報連絡室を、外務省に連絡室を設置して、関係省庁間で緊密に連携し、在留邦人の安全確保のために全力で取り組んでいるところです。
 2点目の、邦人保護に、これまでどのように取り組んできたかという点ですが、少しまとめてお話し申し上げたいと思います。外務省は、事案発生直後から、領事メールやスポット情報の適時適切な発出、そして危険情報の機動的な改訂を通じ、在留邦人等に対して注意喚起を行ってきています。
 現時点では、イスラエルの空港は閉鎖しておりませんが、情勢は刻々と変わっています。定期商用便も減便されていますので、出国を希望する方については、商用便が運航されている間に、早期に出国いただくよう、改めて呼びかけたいと思っています。
 同時に、政府として、邦人の出国支援を随時行ってきています。
 まず、14日、早期出国を希望する邦人に対し、迅速に出国するための商用便以外の1つの選択肢を提供するという観点から、政府としてチャーター機を手配し、邦人8人がドバイに向けて出国しました。また、同日、韓国政府手配の特別便により、邦人等51人がソウルに向けて出国しました。
 現地情勢は、これまで以上に緊張度を増し、また、流動的となっています。外務省は、先ほど、レバノンとの国境地帯を危険レベル3から危険レベル4の退避勧告に、また、ヨルダン川西岸地区の大部分を危険レベル2から危険レベル3の渡航中止勧告に引き上げたところです。
 また、政府としては、邦人等の輸送をする必要が生じた場合に迅速に対応できるよう、自衛隊機3機を近隣国に派遣して待機させることとしました。現在、これらの自衛隊機は、ジブチ及びヨルダンに到着し、政府として、在外邦人等の輸送を見据えた早期の待機態勢を確立したところです。
 また、今週後半にも、自衛隊機によりイスラエルからの邦人等の輸送を行うことを念頭に、現在、在留邦人に対する出国希望調査を進めています。
 引き続き、政府としては、状況の推移を見極めながら、邦人の安全確保に万全を期すべく適切に対応してまいります。

イスラエル・パレスチナ情勢(自衛隊機派遣)

【朝日新聞 長﨑記者】今、お話がありました、週後半に実施するとされているイスラエルの邦人の退避に自衛隊機を使うという件について伺います。14日のドバイのチャーター機は利用が8人と、少ない数字でしたけれども、今も希望調査が行われているということですが、現時点での、その利用の状況というか、調整状況、行き先が、前回ドバイでしたけど、今回日本になるかどうかとか、この辺りの調整状況を伺います。また、商用機が運航している中で、自衛隊機による邦人退避を行うことの狙いについて、改めてお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【小林外務報道官】まず、今、お尋ねのありました、出国希望者の見込みや行き先ということですけれども、出国希望者の詳細については、お答えすることは差し控えます。また、飛行ルートにつきましても、自衛隊のオペレーションの話に関わることですので、私からは差し控えたいと思います。
 今、お尋ねのありました、商用機が運航する中でということですが、情勢は極めて緊迫度を増しているというところだと思っております。そういう意味において、状況を見まして、自衛隊機を、邦人等の輸送を行うということを、きちんと準備をしているというところです。ご希望のある方々も、それなりにいらっしゃることを承知しておりますので、そういう中で、自衛隊機の派遣ということが適切だと思っていますので、今週後半を念頭に、今、調整をしているというところです。

【毎日新聞 村尾記者】今のチャーター機とか、自衛隊機の件ですけれども、14日にチャーター機をまず派遣して、今回は自衛隊機だと。最初から、自衛隊機を派遣するという選択肢や、そういった検討というのはなかったのでしょうか。

【小林外務報道官】本日の午前中にも、副長官からも詳細を御説明したところですけれども、当初、チャーター機の決断をした時というのは、商用機は飛んでいましたけれども、商用機の便数が非常に減っていく中で、やはりオプションを提示する必要があるだろうと思っていました。ただ、その時点では、事態が今ほど逼迫した状況ではありませんで、その後、地上攻撃が行なわれる可能性が非常に高いような発言が、イスラエルの首相からなされたり、事態が相当逼迫してきたという判断の下に、自衛隊機を待機させることを政府として決断したということです。

イスラエル・パレスチナ情勢(危険情報の引上げ)

【共同新聞 桂田記者】先ほどお話のあった、本日から、レバノンの国境地帯を「危険情報4」に、ヨルダン川西岸地区の大部分を「危険情報3」に引き上げられたということですけども、どういった現地情勢を理由に引上げを決定されたのか、具体的に伺えればと思います。

【小林外務報道官】現状において、北部の方でも、一部相当ヒズボラ側の攻撃等が散見されますので、やはりこの時点で、退避勧告を出した方がいいだろうと、非常に情勢が流動的になったことを踏まえて、変更したというものです。
 特に、10月15日に、イスラエル軍が、レバノン国境から4キロ以内を軍事封鎖区域に設定し、一般人の退避と立入りを禁止したということもありました。それから、アッパーガリラヤ地域協議会とか、その他のところからも、周辺地域住民に対しても、可能な限り避難するよう要請がなされたという報にも接しております。そういったことを踏まえ、今回の引上げをしたということです。

イスラエル・パレスチナ情勢(ガザ地区における病院への攻撃)

【トルコ アナトリア通信 フルカン記者】 これまで日本政府の声明では、イスラエルの攻撃に対する直接的な反応に気づかないと思います。外務省報道官にとって、この問題は、私の質問は、昨夜、ガザでの病院への攻撃についてです。イスラエルが、この攻撃を実行し、それが証明された場合、日本政府は、イスラエルを直接非難しますか。何を考えていますか。小林さんの、報道官の考えをお願いします。

【小林外務報道官】まず、仮定的な質問に答えるのは差し控えたいと思います。ただ、今朝、大臣談話を出しましたように、いかなる理由であったとしても、一般市民を対象とした攻撃というものは正当化されないと思っております。

中国の海洋調査船による海洋調査活動等

【NHK 五十嵐記者】話題は変わるんですが、中国の海洋調査船の関係で伺います。海上保安庁は、今朝、中国の海洋調査船が、日本のEEZ内でワイヤー様のものを伸ばしていることを確認したとのことですが、事実関係や受け止め、外務省としての対応をお聞きします。

【小林外務報道官】10月18日午前8時10分頃、海上保安庁が、大正島の北東約129キロメートルの我が国排他的経済水域において、中国の海洋調査船「向陽紅18」が、ワイヤー様のものを海中へ延ばしているのを確認しました。
 同調査船によると、同海域における海洋の科学的調査は、我が国の同意を得ていないということから、同日、現場海域において、海上保安庁により、当該活動の中止要求を行うとともに、外交ルートを通じて、中国政府に対し、海洋の科学的調査を実施しているのであれば、極めて遺憾であり、即時に中止すべしという抗議を行ったところです。

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