記者会見

吉田外務報道官会見記録

(令和3年8月11日(水曜日)15時44分 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)危険レベル4の国・地域における取材活動の再注意喚起

【吉田外務報道官】冒頭2点、お伝えしたいことがありますので、発言いたします。
 1点目ですが、これは既に今日午前中に、皆様の方に文書で配布しているかと思いますけれども、危険レベル4の国・地域における取材活動について、報道関係者の方々に対する改めての注意喚起ということでお願いをいたしましたので、改めてこの場でもご紹介させていただきたいと思います。
 読み上げますけれども、外務省は、いわゆる危険地域における取材活動について報道関係者向けに累次にわたり注意喚起を発出し、危険レベル4、すなわち退避勧告が発出されている国・地域への渡航は、いかなる理由があっても見合わせるよう呼びかけていますが、大変遺憾ながら、こうした注意喚起にも関わらず、危険地域に渡航する又は試みる報道関係者の方々が散見されている状況にあります。
 これまでの注意喚起でも指摘していますとおり、退避勧告が発出されている国・地域におきましては、あらゆる不測の事態が発生する可能性があります。特に、昨年来のコロナ禍の中におきましては、国・地域によっては、日本大使館・総領事館等による十分な邦人保護体制をとることが困難なケースも想定されます。
 こうした状況を踏まえまして、本日8月11日付けで、お手元に資料が届いているかと思いますけれども、報道関係者向けに改めて注意喚起を発注させていただきました。報道関係者の皆様におきましては、この注意喚起を踏まえて、退避勧告が発出されている国・地域へ渡航することのないよう、改めて強くお願いします。
 また、同時に安全確保に万全を期すとの観点から、安全基準やマニュアルの整備、これは報道各社本社において、責任を持って治安情勢の判断、リスクアセスメントを行うよう、出張のご判断、あるいは安全対策についても、必要な指示を出せる体制を構築していただきますよう、改めて検討をお願いしたいと思います。
 ちなみに危険レベル4、「退避勧告」が発出されている国・地域は多数ありますけれども、全土に危険レベル4が出ている国、中東アフリカでは、アフガニスタン、イエメン、シリア、リビア、ソマリア、中央アフリカ共和国と、こういった国があります。改めてご協力をお願いします。

(2)第5回ジャパンSDGsアワードの公募開始

【吉田外務報道官】それから二点目です。これは案内というかご紹介ですが、昨年もこの場で発言をさせていただきましたが、令和3年度「ジャパンSDGsアワード」の公募を開始するというお知らせです。
 本日、令和3年度「ジャパンSDGsアワード」の公募を、外務省及び官邸ホームページで開始をいたしました。募集期間は9月24日の金曜日までになります。
 このジャパンSDGsアワードは、持続可能な開発目標の達成に資する日本国内の企業や団体等による優れた取組を表彰する制度です。平成29年度に創設されて今回で5回目になります。
 これまでのアワードでは、大企業のみならず、中小企業や大学、学校の部活動、それからNPO/NGOなど、様々な主体が受賞されてきています。政府としましても、今年もアワードを実施することで、日本国内におけるSDGs達成に向けた具体的な取組を一層加速化したいと、このように考えています。
 必要なプロセス審査を経まして、表彰式等は12月の下旬を現在のところ想定をしています。やり方等については、その時点での内外の状況を踏まえながら判断していくと、こういうことになろうかと思います。冒頭、私の方からの発言は以上です。

中国で拘束されたカナダ人の判決

【日本テレビ 前野記者】中国で拘束されているカナダ人男性について確認したいんですが、今日、マイケル・スパバーさん、スパイ罪に問われた男性に懲役11年の実刑判決が出たと、この人物については、かなりカナダ政府が、過去にも繰り返し中国側に、恣意的な拘束じゃないかと抗議をして、日本政府もリアクションをしていたと思うんですが、今回判決が出たことについて、何か日本政府としてコメント等あれば教えていただけますか。

【吉田外務報道官】ご質問にありました、中国で拘束されているマイケル・スパバー氏、本日、中国遼寧省の中級人民法院におきまして11年の懲役という実刑判決が下されたと承知しています。これに対して、カナダ政府の方から、トルドー首相、それからガルノ外相、声明を発表しておられて、「拘束が恣意的なものである」などとして、スパバー氏の即時解放を求める、こういった声明を出されていると承知をしています。
 今回のマイケル・スパバー氏、それから、別途拘束されているマイケル・コブリブ氏という元カナダ人外交官の方、この両事案につきましては、これまで直近では、6月の日加首脳会談でもやり取りがありまして、カナダ側と意思疎通を行ってきています。
 今回のこの判決につきましては、この事案を含めて、事案発生当初から日本として懸念を持って注視をして来ていることを重ねて申し上げたいと思います。
 我が国としましては、国際社会における普遍的価値である自由、それから基本的人権の尊重、法の支配、こういった普遍的価値が、中国においても保障されることが重要であると、このように考えています。

北方四島交流事業

【テレビ朝日 澤井記者】北方領土の元島民らによるビザなし渡航についてお伺いします。新型コロナの感染状況や医療体制への懸念から、去年に続いて今年も8月分までは中止されていますが、来月の分も中止となれば2年連続での全面中止となります。未だ感染の状況が改善してない中で、今後の見通しを教えてください。また併せて元島民からは四島周辺の洋上から船で墓参を行う「洋上慰霊」についての実施についても要望がありますけれども、そちらについてロシア側との交渉状況を教えてください。

【吉田外務報道官】お尋ねのございました、令和3年度の北方四島交流事業につきまして、これまで、日露政府間、それから日本側の実施団体、四島側の実施団体の間で調整を行ってきていると、こういう状況です。今ご質問の中にもございましたけれども、新型コロナウイルス感染症をめぐる現下の状況、こういったものを踏まえて、7月13日付の外務省報道発表におきまして、日本政府及び我が方の実施団体が5月から7月の事業に引き続きまして、8月の事業の実施の見送り、これも発表しています。
 一方、政府としては、可能な限りこの事業を実施できるように取り組みたいと、このように考えておりまして、新型コロナウイルス感染症をめぐる状況を見極めつつ、四島交流事業の重要性に鑑みて、日露政府間におきましては、これまで、首脳や外務大臣の電話会談等が行われる機会も含めまして、それから双方の実施団体の間で、鋭意協議を行ってきておりまして、引き続き、そういった協議を継続しているという状況です。
 併せて、ご質問がございましたけれども、元島民等のご意向を踏まえて、ご質問のあった「洋上慰霊」、こういったものを含めまして、実施団体におきまして、別途の事業実施の可能性を検討しているというふうに承知をしています。引き続き、実施団体の方におきまして、検討を継続しておられるという状況だと認識していますので、政府としては、必要な支援を引き続き行っていきたいと考えています。

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