記者会見
吉田外務報道官会見記録
(令和3年7月14日(水曜日)15時44分 於:本省会見室)
新型コロナウイルス(帰国するインドネシア在留邦人の支援)
【NHK 渡辺記者】インドネシアで、コロナの感染拡大がかなり広がっているということで、日本の企業が独自に航空機をチャーターして駐在員を帰すという動きが出てきていますけれども、これに伴う日本政府の対応というのはどういうものなんでしょうか。
【吉田外務報道官】昨日の茂木外務大臣の記者会見とか、昨日の午後の加藤官房長官の記者会見でも、やり取りがあったかと思います。重複する部分はご容赦いただきたいと思いますけれども、インドネシアにおける感染状況、非常に急速に拡大しているということでありまして、ご質問にありましたように、帰国を希望される邦人の方々が出てきていると、今後増加することが想定されております。
そうした中におきまして、邦人保護の観点から、帰国を希望する邦人の方が、できる限り早いタイミングで帰国がかないますように環境を整えることが、政府としても重要なミッションになってくるだろうと認識をしておりまして、昨日、説明があったかと思いますけれども、いわゆる定期便はまだ日本とインドネシアの間で、直行便は運航している状況にありますけれども、そうではない形で、例えば現地の邦人の方々の間で、例えば企業単位でありますとか、商工会議所の単位や、そういう形でチャーター便等をしつらえて、特別な臨時便として運航されるといった場合に、そういった帰国をアシストするということで、必要な検討・調整を行っているということです。
まず、飛行機に乗っていただくという観点から、これは以前からご質問をいただいていますけれども、インドネシアの国内における移動制限の措置が導入されたということもございました。ワクチンの接種証明書がないと移動ができないという状況においては、こういった帰国はかないませんので、その観点からは過度な制限がなされないように、在留邦人の方が日本に帰国される場合の移動、出国におけるその国際空港、それからそのための国内移動、これに制限がかからない形になるように申入れを行って、そのような確認は得ているところです。
それから帰国されて、実際にチャーター便とか臨時便に乗られて、日本に帰ってきてからの水際措置、これは外務省の方で必ずしも所管している話ではありませんけれども、ある程度まとまった単位の方々が到着されることに伴います空港における水際措置、今、インドネシアはデルタ株の感染拡大の国として、10日間の停留措置も必要になってまいりますので、そういった停留措置等において、そういったものが大勢の方が帰国される便宜の支障にならないように、政府の中で調整をするということで対応するということです。
既に、そういった便が順次出ているような状況にはなりつつあるかと思いますけれども、引き続き、現地の感染状況等々を踏まえながら、基本的には大使館でそういった状況を把握して、帰国の便宜に滞りがないように、政府としても取り計らってまいりたいと、このように思っています。
東京オリンピック・パラリンピック(バイデン米大統領夫人の開会式出席)
【テレビ朝日 澤井記者】昨日の夜、米国のホワイトハウスがジル大統領夫人の開会式に合わせた訪日を発表しました。そのことに関する受け止めと、あと菅総理ご夫妻とご面識があると思うんですが、どういったおもてなしを考えられているのか、検討状況を教えてください。
【吉田外務報道官】米国政府は、米国時間の昨日13日、ジル・バイデン大統領夫人、東京オリンピック開会式へのご出席ということを明らかにされました。これはホワイトハウスのプレスリリースで発表されたと承知をしています。ここにもありますように、追加情報や詳細は追って明らかになるということですので、詳細については、引き続き調整をこれからしていくところです。
まず、バイデン米大統領夫人がお越しになるということですが、このことについては、米国が今回のオリンピック・パラリンピック東京大会、こういったものを重視をしていると、これまでも随時、米政府、これはバイデン大統領も含めて、東京大会の開催に対しては支持の表明をいただいていますけれども、こういったことを踏まえて決定されたものではないかと認識をしておりまして、大変、日米関係上、大きな意義を有するものとして、日本政府としては心から歓迎をしたいと思っています。
接遇につきましては、実際にお越しになるまで、まだ1週間以上ございますので、これからしっかりと詰めていくのだろうと思いますけれども、外交儀礼としてしっかりとしたおもてなし、お迎えをさせていただきたいと思っています。
訪日中の、そういった懇談・会談等の日程については、現在調整中ですので、現時点で共有できる情報はありません。
新型コロナウイルス(ワクチン接種証明書)
【テレビ東京 加藤記者】新型コロナウイルスワクチンの接種証明についてお伺いさせていただきます。今後、日本が発行する接種証明が、入国時にどのような優遇を受けられるかなど、現在どういった国と調整を行っているのか、もし具体的な国名が難しければ、地域や、だいたい何か国ぐらいと調整を行っているかでも結構ですので、教えていただければ幸いです。
【吉田外務報道官】ワクチン接種の証明書につきましては、ワクチン接種を受けた方が接種の事実を公に証明する、そういった証明書の交付、これを受けることによって、基本的には現時点では、海外に日本から渡航される場合に、これを提示して入国先への往来に関する制限措置が、何なりかの形で緩和される場合の判断、そういったものの中に活用されうることを想定しています。
従いまして、お尋ねにあった、いわゆる入国をしてくる外国人の。
【テレビ東京 加藤記者】日本人の渡航の際の。
【吉田外務報道官】渡航の際ということですので、そういった渡航の制限措置の一部緩和、これに資するものとして活用いただきたいと、このように考えています。
他方、接種証明書がなければ、これで海外の渡航ができなくなるということでは必ずしもありませんので、併せてそういった何らかの理由で接種を受けられない方について、証明書がないからといって、そういった不利益が生じることのないように、渡航先の防疫措置に関する情報については、随時ホームページ等で共有していくというふうに考えてはいます。
他方、どういった国に対してそういったものが有効になりうるのか、あるいはそういったところと交渉しているのかというお尋ねがあったかと思いますけれども、いかなる国・地域において、どういった緩和やどういった制限の免除を受けられるか、これは今現在、調査調整中の段階ですので、具体的な、国名であるとか、その規模であるとか、そういうものをお答えできるような段階にはまだ至っておりません。
ただ、これは今後、7月26日から申請受付が開始されますので、できるだけ最新の状況、そういった調整状況、調査状況を今後ホームページ等で、随時明らかにしていきたいと、このように考えています。
東京オリンピック・パラリンピック(文在寅韓国大統領の訪日)
【NHK 渡辺記者】先ほどの米国の大統領の夫人の訪日の関連で、要人の訪日というくくりでいきますと、各種報道出ていますけれども、韓国の大統領の訪日についての現状での調整状況はどうなっているでしょうか。
【吉田外務報道官】これも何度かいろいろな場でお尋ねいただいているのではないかと思いますけれども、まず一般論として、くどいようですが申し上げますと、東京オリンピック・パラリンピック、特にオリンピックの開会式への各国要人の出席につきましては、招待の主体が日本政府ではありませんので、先ほどやり取りありました米国大統領夫人やフランスのマクロン大統領のように、相手国政府が、相手国政府というか、そういった来られる国の政府が自ら明らかにしておられると、こういった場合を除いて、日本政府の方から明らかにすることは避けなければならないということです。
そういった中におきまして、韓国側が、各種報道いろいろあるのは承知をしていますし、もし、韓国の大統領がお越しになるというようなことになるのであれば、そういったことを踏まえて、先ほども申し上げましたけれども、外交上の礼節にかなうように対応していかれると、こういったことを菅総理大臣もおっしゃったとおりです。
現時点におきましては、まだ、各国のオリンピック委員会とIOCの間におけるやり取りの域を出ているものとは認識をしておりませんので、現時点で日本政府の方から共有できる情報はありません。
東京オリンピック・パラリンピック(水際措置)
【NHK 渡辺記者】五輪の水際対策の関係ですが、五輪の枠で入ってきた方がコカインを所持して逮捕されたりとか、そうした五輪の水際対策というものに対しての疑念というか懸念が結構、世論の中で高まっていると思うんですが、これはもちろん外務省だけじゃなくて、厚生労働省とかいろいろな省庁にまたがるものだと思いますけれども、いわゆるバブル方式と言われている水際対策、五輪関係者の、これに対してそうした事例が出てきたことについての受け止めと、今後どういった、そういうことが起きないようにしていくというか信頼を取り戻すというか、そういう何かを考えていらっしゃることはあるのでしょうか。
【吉田外務報道官】オリンピック・パラリンピック東京大会に、外国からお越しになる方々、要人もありますし、それから選手、アスリートの方もありますし、大会関係者と、外国から入ってくるメディアの方々、いろいろなカテゴリーの方々がいらっしゃいます。それぞれの滞在中の行動の対応に基づいて、それぞれ、感染拡大を最大限防止する観点から、接触を最小限のものに留めていただく。それから、日本に入ってくる前、それから入ってきたとき、その後のPCR検査、こういった形で、常に感染状況について確認をしていくことになっています。
滞在中の行動につきましては、行動計画を出していただいて、これはカテゴリーにもよりますけれども、その滞在先も特定の宿泊施設、こういったものに絞り込みをかけると。宿泊施設と連携、あるいは入国後の行動の対応につきましては、接触アプリや、あるいはそういった方々が所属している団体組織、受入れ責任者という形で、その滞在中の行動管理については責任を持っていただく体制、これを組んでいます。
そういったものを踏まえて、基本的には、これは大会の組織委員会の方で随時、状況を把握して、仮にそういったルールから逸脱するようなケースがあれば、是正を求め、あるいは求めた是正に対して、受け入れてもらえない場合には、それなりの制裁措置も課されるという形で、かなり厳格な行動規範、これが適用されるということになっています。
外務省の立場から、今ご指摘のあったような事案について、あれこれコメントする立場にはありませんけれども、全体として、東京大会、安全安心な大会として、国民に不安を与えない大会運営がなされるように、政府全体として取り組んでいく一環として、今申し上げたような原則を徹底していくことに全力を挙げていきたいと、このように考えます。
一時帰国した在留邦人のワクチン接種
【共同通信社 浅田記者】昨日、大臣が一時帰国者向けの、ワクチン接種について、予約を近々に始めるという発表をされましたけれども、自治体の中で、いわゆる予約の受付とかを、今停止したりする動きもある中で、帰国者向けにワクチンをどれぐらい確保しているのかということ。あと、予約受付でも、希望者もかなりいるかもしれませんけど、予約を始めても枠は少ししかないとか、もしそういう状況になってないかということと、どこ社製のワクチンを使うかという、この点をお願いします。
【吉田外務報道官】在留邦人の一時帰国のときのワクチン接種事業、7月19日からインターネット上の受付を開始するということで、実際に8月1日からの接種の開始を想定しています。基本的には、予約の状況やその確認については、在外の邦人の方々については、随時、外務省の海外安全ホームページにおいて、ご案内を差し上げるという形になりますけれども、基本的には接種は8月から終了時期は来年1月上旬まで、かなり長い期間を設定しています。
全体のアクセス状況・予約状況というのは、今お尋ねになったようなワクチンの供給の関係を、当然踏まえながら、予約の可能性、これが管理されていくことになろうかと想定しています。
今、国内でワクチンの接種について、いくつかの状況が指摘されているということでありますけれども、全体として見れば、これは河野担当大臣の方からもご説明されているかと思いますけれども、ワクチンの供給量は十分に確保されている状況であって、そういった接種状況について、各自治体との間で調整をしながらやり取りをされているということですので、全体の状況の中で、当然在留邦人の一時帰国といっても、全体の数はそんなに多くはありませんから、そこに支障が生じることは基本的には想定されていないと考えます。
具体的にどこ製のワクチンをあてるかということについては、私、手元に情報がありませんので、後ほど確認してお伝えします。
茂木大臣の中米カリブ訪問(キューバの反政府デモ)
【テレビ朝日 澤井記者】また別の話ですけれども、明日から茂木外務大臣が南米・カリブに訪問されます。吉田報道官もご同行されると思うんですが、その国の中の一つのキューバで大規模な反政府デモが起きていて、そのデモを米国が支持したりと、かなり情勢が不安定だと思うんですが、ご訪問されることへの懸念というのはないのでしょうか。
【吉田外務報道官】お尋ねにあったキューバにおける反政府デモ活動、この状況につきましては、日本政府としても大変高い関心を持って状況を注視しています。現時点で、この現地の状況が、茂木外務大臣のキューバ訪問の予定に影響があるということはないと認識していますけれども、当然のことながらそういった情勢については、随時、きちんと把握していきたいと思っています。
各国それぞれの立場を表明されているところがあるかと思います。日本政府としては、日本とキューバは伝統的な友好関係にあります。今回も大臣が訪問をされて、新体制になったディアスカネル大統領の下でのキューバの指導部と、率直で忌憚のないやり取りをされると想定しています。
今後のデモの状況、どうなるのか、これを高い関心を持って注視しながら、状況が平和裡に解決するということを、我々として期待し、促していく、これが日本政府の立場だと考えています。