記者会見
丸山外務報道官会見記録
(平成30年2月28日(水曜日)16時35分 於:本省会見室)
冒頭発言
(1)シリア情勢
【丸山外務報道官】24日,国連安保理において,すべての当事者に対し,最低30日間の停戦を求める決議が採択されましたが,その後も空爆や砲撃が継続している状況を深く憂慮しています。
ロシアによる時限停戦等に向けた努力については承知しています。すべての関係国が,安保理決議の実施に向け,建設的な役割を果たすことが重要であり,こうした関係国の努力により,シリアにおける暴力の停止と劣悪な人道状況の改善につながることを期待しています。
我が国は,シリア危機は軍事的手段によって解決できる問題ではなく,政治的解決を追求しなければならないと考えています。そのためすべての紛争当事者に対し,人道支援を実施できるよう軍事的措置を停止し,国連主導の政治プロセスを進展させるために努力することを呼びかけます。
我が国は,シリアにおけるすべての暴力の停止や人道状況の改善に向け,国際社会と連携していく考えです。
いずれにせよ,引き続き状況を注視していきます。
(2)対日理解促進交流プログラム
【丸山外務報道官】現在,対日理解促進交流プログラムの下で,フィリピンの教育関係者22名,ベトナムの防災関係者20名,韓国の高校生等72名,米国の大学生25名が来日しています。地方を訪問し,様々なテーマを下に意見交換等を行っています。
各国の将来を担う人材が,本プログラムを通して多くの日本人と交流を重ね,その経験や日本の魅力を帰国されてからも周囲の方々と積極的に共有していただきたいと思います。
欧州大使会議における取材
【朝日新聞 田嶋記者】欧州大使会議でですね,大臣の冒頭の訓示が非公開になったと聞いていますが,これ,今までと違って非公開になった理由とですね,あと,レセプションは大臣の挨拶が報道陣に公開されると聞いていますけれども,結果的に今までより取材の回数が減ったということについて,報道官としてどうお考えかお願いします。
【丸山外務報道官】大使会議は,各国に駐在する大使と本省関係者が意思疎通を行う貴重な機会であり,その運営については,より効果的,効率的な会議にする観点から不断に検討を重ねてきております。
今般の大使会議における大臣訓示セッションについては,限られた時間の中で,大臣と大使の間で意見交換を行う時間をできるだけ確保するため,取材機会とはしないこととしました。
他方,報道機関に対する発信を通して,大臣のお考えや大使会議の趣旨を広く国民に周知することも重要と考えておりまして,そうした観点から,大臣訓辞の後に,外務大臣主催のレセプションがありますので,そこにおける大臣の発言を取材機会として確保したということです。
「中華人民共和国憲法」改正案の全人代への提出
【共同通信 福田記者】中国共産党が,国家主席の任期を撤廃する憲法改正案を全人代に提出しました。改正後は,規定上,終身支配が可能になるということで,日本政府としてですね,集権化が進む中国とのどのような関係を構築していくお考えかお聞かせください。
【丸山外務報道官】今のご指摘の点ですが,報道等を通して承知しております。他方,これは他国の内政に係ることですので,その一つ一つについてコメントすることは差し控えますが,日中関係ということで申し上げますと,政府としては日中平和友好条約締結40周年である本年,日中関係の全面的な関係改善のため,中国側とともに努力していく,こうした考えに変わりはありません。いずれにしましても,全人代における関連議論は注視していきたいと思っております。
北朝鮮情勢(「瀬取り」関連)
【NHK 辻記者】「瀬取り」についてお尋ねします。「瀬取り」案件が昨日も公表されて,公表されるのは昨日で4件目だと思うんですけれども,今後もこういう感じで,毎回摘発する度に出していくという感じになるんでしょうか。
【丸山外務報道官】これからもこうしたことについては,こういう形で公表していく考えです。
【NHK 辻記者】その際に,日本政府としては,国連の北朝鮮制裁委員会への通報と関係国への呼びかけをされていると思うんですけれども,もう少し言うと,公にすることでの狙いというのは,どういうところにあると考えているのでしょうか。
【丸山外務報道官】これは,朝鮮半島の完全な,検証可能な,不可逆的な非核化という共通の目標があり,それに向けては,様々な国の協力というのは当然,必要ですが,国連安保理決議の実効性を図っていくということについても関係国との協議というのは必要だと考えております。
そうした全体の中で,こういう事案が発生している,特に国連安保理決議に違反する行為が行われているということは,これは広く周知をして,そういう行為が行われないようにしていくということ,これも重要なことだと思っていますので,積極的に公表していくという考えであります。
【NHK 辻記者】「瀬取り」を始めとした,北朝鮮の制裁逃れの取締り強化のために,関係国の会合を予定されていると思うですけれども,これの規模や中身はどういったものになる感じでしょうか。
【丸山外務報道官】他国とのやり取りについては,答えを差し控えたいと思うのですが,いずれにしても,先ほど申し上げた朝鮮半島の非核化という共通の目標を持っている韓国,米国,それから中国,ロシアを含む国際社会と密接に連携していく,そして国連安保理決議の実効性を確保していく,そういうことが重要だと考えております。
ただ,今後の取組のあり方,そのものについては,現在,何ら決まっているものではないということです。