記者会見
丸山外務報道官会見記録
(平成29年11月22日(水曜日)16時32分 於:本省会見室)
冒頭発言
(1)ジャポニスム2018
【丸山外務報道官】本日,2018年7月から2019年2月にわたってフランスで実施されます「ジャポニスム2018」の企画の全容とロゴマークが,企画関係者の出席の下に開催されました「ジャポニスム2018記者発表会」にて公表されました。
「ジャポニスム2018」は,2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会に向けて,2018年,2019年に海外で実施する一連の日本文化紹介事業である「日本博」の2018年の事業として,フランスで実施されるものです。ちなみに「日本博」の2019年の事業については,米国と東南アジアで実施することが決定されたところです。
「ジャポニスム2018」では,日本の文化芸術から地方の多彩な魅力までを余すところなく発信することを目的に,パリを中心に50に上る企画が実施されます。
本事業を通じ,日仏友好関係を一層促進しつつ,2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会を見据え,世界中の観光客が集まるパリから日本の魅力を発信し,インバウンド観光の促進,和食・日本酒をはじめとする日本産品の更なる海外展開にもつなげていきます。
(2)対日理解促進交流プログラム
【丸山外務報道官】現在,対日理解促進交流プログラム「JENESYS2017」の下,韓国,モンゴル,ASEAN諸国,東ティモールの高校生,大学生約170名が11月23日から29日にかけて訪日し,国ごとに北海道,東京都,神奈川県を訪問し,日本文化,地域遺産等を交流テーマに,関連施設等の視察や関係者及び地域の方々との交流を体験しています。
また,同プログラムの下,11月27日からSAARC(南アジア)諸国7か国の高校生,大学生,社会人約130名,11月28日からメコン5か国の社会人30名,11月29日からオーストラリア,ニュージーランド,太平洋島嶼国6か国の大学生等約100名が訪日し,それぞれグループごとに,北海道,青森県,宮城県,秋田県,福島県,東京都,神奈川県,大阪府,奈良県,広島県,長崎県を訪問し,産業,防災,文化,平和構築等を交流テーマに,関連施設の視察や同世代の日本人学生等と交流します。本プログラムを通して多角的に日本についての理解を深めていただき,日本の魅力を積極的に発信していただくことが期待されます。
核軍縮の実質的な進展のための賢人会議
【朝日新聞 倉重記者】賢人会議,広島で岸田大臣が肝いりで始めた初会議が開催になりますけれども,これの日本政府としての狙いをですね,改めてどういった発信を含めてしたいと考えているのかお願いします。
【丸山外務報道官】国連総会でも,日本は核兵器廃絶に向けた新たな決議の下での共同行動と題する決議案を提出しました。その中で,北朝鮮の核・ミサイル開発の国際的な核軍縮ですとか,不拡散体制にとって,かつてない深刻な情勢になっているという中で,他方,核軍縮の進め方をめぐる立場の違いが顕在化している,その中において,我々としてはすべての国の間の信頼関係の再構築と協力の強化を通して,国際社会が一致して取り組むべき,現実的かつ実践的なアプローチを示していく必要があると考えています。
そういった中でこのような賢人会議を開催することによって,その中には様々な立場の方々もいらっしゃいますが,そういった方々の意見を我々の方としても拝聴させていただいて,そしてどういう形で日本が核保有国,非核保有国の間の架け橋となっていけるか,こういったことも会議の議論を踏まえつつ,検討していきたいと考えております。
【朝日新聞 倉重記者】中国がですね,国連の国際会議の場で,やはり日本が第二次世界大戦の被害を強調することに,敏感に反応しているというのを私自身も経験,見たことあるんですけれども,そういったこと,今回,賢人会議に中国の教授も来ますけれども,そういった各国ごとの背景というものも日本政府はどのようにマネージしていくのかなと個人的に関心あるんですけれども,どういうふうに考えていらっしゃいますか。
【丸山外務報道官】賢人会議には,様々な立場の方々にお集まりいただくことが会議の本来の趣旨だと思いますし,そういった場を通じて忌憚なく意見交換をしていただく,そうした中でどういう形でこの問題について共通のアプローチを見いだすことができるか,そこが大変重要だと思っております。従いまして,今回もそういう方々の意見を拝聴させていただきたいと考えています。
【NHK 辻記者】賢人会議は,ここでまとめられた提言はNPTの準備会合に出されると思うんですけれども,賢人会議に来られる専門家の方々は,当たり前ですけど国を背負って来てるわけじゃないと思いますけれども,核保有国とその傘の下にある国と,そうでない国の分断が広がっているという,その橋渡し役をしたいという中で,国を背負ってきてない人たちに来てもらうことが,具体的にどういうふうにその橋渡し役につながるのか,もう少し詳しくご説明いただけますか。
【丸山外務報道官】賢人会議というのは,もちろん国を背負うものではなく,有識者の方々,特に様々な分野で,ご見識をお持ちの方々に集まっていただくもので,特に今回は軍縮という観点から,安全保障,そういった観点から見識をお持ちの方に集まっていただきます。彼らは国を代表しているわけではありませんが,様々な考え方や,それぞれ国ごとに様々な影響を受けていらっしゃるだろうと思いますし,そういったことを踏まえながら,国という立場を離れて自由にご議論いただける,そういった観点からもより多くの有識者の方,国を代表するわけではありませんけれども,多くの国籍の方,また様々な学会を,ある意味背負っていらっしゃる方々,そういった方々に来ていただいて議論をしていただくことに意味があると考えています。
【NHK 辻記者】自由に議論してもらうことと,専門家に自由に議論してもらことは非常に有意義なこだと思うんですけれども,それが橋渡し役になるということは,どういうふうにつながっていくんですか。NPTの準備会合にその成果物を出されるということだと思うんですけれども,それが実際,どういうふうに橋渡し役になるのかというのは,その点をお伺いできますか。
【丸山外務報道官】これは一般論で申しますけれども,例えば,国際会議の場で国を代表して発言するときには,当然,その国の立場で議論していくわけで,そうなると様々な立場の意見の中から,なかなか収斂していくことは難しい,そういうことはあると思います。
他方,こういった有識者の方々の議論の場合には,そういう立場を離れてある意味,自由にご議論をいただける,他方,見識は大変豊かな方々ばかりですから,その中からいろいろな意見,いろんな知見が出てくる,そういったところで少しでも議論が前に進む,そういうことを我々としても期待しているわけです。
【NHK 辻記者】準備会合にはどういった形でつながっていくのですか。
【丸山外務報道官】準備会合にはもちろんそういった議論も踏まえて,検討していくことになると思いますが,いずれにいたしましても,議論はこれからですので,私の方から議論を予断することは,これ以上申し上げることは控えたいと思います。