【時事通信 松本記者】中国公船が尖閣諸島沖に領海侵犯、本日、また行われました。これに対する日本政府の対応と、それに関連しまして、先日、公明党の山口代表が訪中された際に中国側からも「戦略的互恵関係」というワードが出てきたと思いますけれども、こうした領海侵犯を繰り返す行為と「戦略的互恵関係」という言葉が合致するのかどうか、この御所見をお願いいたします。
【横井外務報道官】御指摘のとおり、本日昼前から昼過ぎにかけて、順次、中国公船が3隻、我が国領海に侵入しました。この事案に関しましては、速やかに外交当局を通じ抗議を申し入れ、現時点ではいずれも領海より退去したと承知しております。
今ほどお尋ねの戦略的互恵関係と中国公船の我が国の領海への侵犯の関係について、先方の意図についてはつまびらかにいたしませんけれども、しかし、我が国としましては、このような領海侵犯事案が繰り返されるということについては大変遺憾であると考えます。
(1)MISIAへの第5回アフリカ開発会議(TICADⅤ)名誉大使の称号の付与について
【横井外務報道官】本23日、外務省は、歌手のMISIAさんに対し、第5回アフリカ開発会議(TICADⅤ)の名誉大使の称号を付与いたしました。
この称号の付与は、MISIA・TICADⅤ名誉大使の活動を通じて、TICADⅤ及びアフリカに対する国民の好意的な関心を高め、アフリカに対する我が国の取組への更なる理解を促進することを目的として行われました。
MISIA・TICADⅤ名誉大使は、これまでも、音楽活動に加え、マリやマラウイといったアフリカ諸国を訪問し、蚊帳の配布や水分野での活動を通じ、熱心にアフリカを支援しています。
MISIA・TICADⅤ名誉大使は、既にJICA-TICADⅤオフィシャルサポーターとして、アフリカ(ナミビア・セネガル)を訪問する等の活動を実施していますが、今後は更に様々な機会において、TICADⅤ及びアフリカに対する国民の関心を高めるための活動を行う予定です。
(2)在マリ大使館の一時閉館について
【横井外務報道官】在マリ日本国大使館は、首都バマコを含めマリ国内の治安情勢が悪化していることから、本日、一時閉館することといたしました。在マリ日本国大使館員は、在フランス日本国大使館内の事務所において、在留邦人対応、及び情報収集等の業務を継続いたします。実際に大使館員がマリ国外に退避する日程は、諸般の準備が整い次第、行うこととし、現時点では、(1月)27日(日)を目処としています。
なお、昨日付でマリ全土に、「退避を勧告します。渡航は延期してください。」との渡航情報を発出しており、同国への渡航を予定している方に対し、目的のいかんを問わず渡航を延期するよう求めております。
【西日本新聞 吉田記者】基本的なことで恐縮ですけれども、大使館の一時閉館ですけれども、最近では、ほかの例で一時閉館、どういったときがあったのかというのがわかるでしょうか。
【横井外務報道官】直近の例かどうか、やや自信がありませんけれども、一昨年来の「アラブの春」等々の動きを受け、北部アフリカの一部の公館において同様の措置を取ったと記憶しておりますが、詳細については、確認の上、お答えしたいと思います。
【朝日新聞 二階堂記者】マリの件ですけれども、一時閉鎖して、また現地に戻ってくるというときの目途であるとか、どういう状況であれば、また閉鎖を解くという判断をするのでしょうか。
【横井外務報道官】今回の閉館の一番大きな理由が、現地の治安情勢の悪化ですので、今後の現地情勢の推移を見極めて、治安情勢等につき館務を開始する状況が整ったと判断された段階で再開されると考えています。
【朝日新聞 円満記者】国連決議で北朝鮮への制裁強化の決議がされましたけれども、その受け止めとそれに関連してだと思うのですが、北朝鮮が核実験を示唆する声明を出していますけれども、それについてはどうお考えか教えてください。
【横井外務報道官】今般、先般のいわゆる北朝鮮の「人工衛星」と称するミサイル発射に関し、国連安保理が安保理決議違反としてこれを非難し制裁を強化するという措置を決定したことを我が国としては高く評価しております。
我が国は、安保理が断固たる対応を取るよう関係の諸国と緊密に協力してきており、我が国の考えが多く反映された決議が全会一致で採択されたことを歓迎しております。 また、北朝鮮自身が本件の声明に関連し、いわゆる立場表明を行ったというように承知しておりますけれども、我が国として北朝鮮側の意図について云々することは差し控えたいと思いますが、しかし、今回北朝鮮が核抑止力の拡大強化に言及しながら、六者会合共同声明を否定し、非核化のための対話を拒否する姿勢を示したことは遺憾であると考えます。
我が国は、北朝鮮に対し、いかなる挑発行為も行わないことを今後とも強く求めていくという立場です。
【毎日新聞 松尾記者】マリの話に戻るのですが、先ほど、一時閉館は本日とおっしゃたように聞こえたのですが、現地時間の23日からということでよろしいのでしょうか。それともう一つ、アルジェリアの人質事件が今回の一時閉鎖に与えた影響というのはどういうものがあるのでしょうか。
【横井外務報道官】基本的に本日と申し上げたのは、日本時間ということですので、23日ということで御理解いただいてよいかと思います。
また、アルジェリア事件との関連でございますけれども、本年1月11日にマリ情勢につき、フランス軍の武力行使というか侵攻がなされた後、もともと悪化していたマリ情勢というのが悪化の度合いを深めたわけですけれども、その中にあって更に今回アルジェリアの事件が発生し、更にマリ国内の治安情勢が悪化したと、そういうような情勢を踏まえて今回の決定に至ったものであります。
【AFP通信 小澤記者】マリの大使館に何名のスタッフがいて、何名退避されるのかという数字を教えてください。それから、閉館は日本時間の23日、退避は27日ということでよろしいでしょうか。
【横井外務報道官】後ほどのご質問からお答えしますと、そのような御理解でいいかと思います。また、ご質問の在留邦人数でありますけれども、現在、大使館関係者9名を除き、1月23日現在で14名の邦人の方がいらっしゃいます。具体的には、その外国人の方と結婚された日本人女性並びにその子弟の方々、また、ビジネス等で現地に滞在していらっしゃる方、それが内訳です。
なお、現在、マリにおきましては経済協力案件のために駐在する邦人はおらず、また、現地で活動中の邦人企業もないというというように承知しております。
確認ですけれども、先ほどおっしゃったとおり決定は本日であり、実際に退避をするのは27日が目途ということで間違いないということを、改めて申し上げたいと思います。
【AFP通信 小澤記者】確認ですけれども、大使館の9名と14名全員が27日に退避するということでしょうか。
【横井外務報道官】基本的には、大使館関係者、大使館の閉館ということを申し上げておりますので、27日に大使館を閉めて、そして現地を引いていくのは大使館関係者9名でございます。残りの邦人関係者については、大使館より退避勧告ということを何度も申し上げましたけれども、固有の事情により現地に残留されるということを希望されている方もいると承知しております。
【時事通信 松本記者】確認ですけれども、決定が23日の本日付で、閉鎖も本日、現地ももう23日に入ったと思うのですけれども、国外退去が27日という整理でいいですね。
【横井外務報道官】基本的に閉館というのはいくつか段階があると思いますけれども、既に今、現地情勢の悪化を受けて、おそらく現地において大使館業務は停止しています。そして、その現地の一時閉館なるものは本日決定され、そして、館員自身の退避というのが27日になされるというように御理解ください。
【時事通信 松本記者】閉館は本日付けでしょうか。
【横井外務報道官】本日付の決定であります。
【時事通信 松本記者】閉館したというのはいつでしょうか。本日でいいでしょうか。
【横井外務報道官】そうです。本日で結構です。
(1)城内外務大臣政務官のIRENA総会への出席とクロアチア、マケドニア訪問について
【横井外務報道官】城内実外務大臣政務官は、1月12日から1月19日まで、アラブ首長国連邦、クロアチア、マケドニア旧ユーゴスラビア共和国を訪問する予定です。
アラブ首長国連邦においては、1月13日から14日にかけて開催される国際再生可能エネルギー機関(IRENA:アイリーナ)第3回総会(閣僚級)に出席する予定です。同機関は、2009年に再生可能エネルギーの利用促進・普及を目的として設立された国際機関で、我が国は設立当初から積極的にIRENAの活動に協力・貢献してきています。今次総会への参加を通じて、我が国自身の課題でもある再生可能エネルギーの普及・促進についての国際協力を推進します。
クロアチア、マケドニアでは、同国との二国間関係や地域情勢につき協議を行います。なお、クロアチアは2013年に、マケドニアは2014年に、それぞれ我が国との外交関係開設20周年を迎えます。クロアチアは本年7月にEU加盟予定です。
(2)若林外務大臣政務官のメキシコ合衆国及びドミニカ共和国訪問について
【横井外務報道官】若林健太外務大臣政務官は、1月15日から19日の日程でメキシコ合衆国及びドミニカ共和国を訪問します。
メキシコ合衆国では、昨年12月1日にエンリケ・ペニャ・ニエト新大統領が就任し、新政権が発足しましたが、若林政務官は、カルロス・デ・イカサ・ゴンサレス外務筆頭次官を始めとする新政権の要人と、初めての二国間政治対話を行う予定です。
ドミニカ共和国では、1月17日に首都サントドミンゴにおいて行われる日本人移住者の移住記念碑の建立落成式に出席する予定です。
【朝日新聞 二階堂記者】安倍総理大臣は本日の記者会見で、東南アジア歴訪の際にアジア外交の方針を打ち出すということをおっしゃっていましたけれども、外務省としてどのような方向性に今、すべきかとお考えかということと、岸田外務大臣が来週に訪米して、その際にどのようなメッセージを出すお考えでしょうか。
【横井外務報道官】最初の質問についてですが、総理もおっしゃっているように、まず、アジア太平洋地域においては戦略環境が大きく変化しているという中で、この地域の平和と繁栄を確保していくためには、ASEAN諸国との協力関係を強化していくことが極めて重要と考えます。
したがって、今回の訪問を通じて戦略的パートナー関係にあるこの3か国との更なる関係強化を図るとともに、また、この3か国は世界の経済成長をけん引する21世紀の成長センターの一翼も担っております。これらの国の成長を日本に取り込む、そうして、また日本の経済再生につなげていくというように、これらの国との経済面での連携強化を図っていきます。
さらには、本年は、日・ASEAN友好協力関係40周年でございますので、各国首脳との意見交換を通じてASEAN諸国とのパートナーシップ強化、このような目的を果たしていきたいというように考えております。
2点目の大臣の訪米についてですけれども、まず基本的には我が国の外交の基軸である日米同盟の強化、そのための意見交換を率直に行い、日米同盟の絆の強化を明確にしたいと。また、その日米同盟強化のため安全保障、経済を含む日米二国間の課題、さらにはアジア太平洋地域情勢について意見交換を行っていくということです。
【新華社 張記者】防衛省が陸海空三自衛隊の防衛力を一元的に整備する「統合防衛戦略」の策定に着手したという報道がありますが、その中で中国が釣魚島、台湾、石垣島と宮古島を侵攻するシナリオを想定して、防衛力の強化につなげることを検討するようですが、これは事実かどうかお伺いしたいのですが。
2番目の質問ですが、安倍総理が最近、何度も中日関係の改善を訴えましたが、具体的にどういう方針でしょうか。
【横井外務報道官】まず、報道にあるような「統合防衛戦略」を策定するという方針を防衛省が決めたという事実はありません。我が国の防衛力整備は、特定の国を念頭に行っているものではありません。
さらに、2番目の質問についてですが、安倍総理が何度も述べておられるように、日中関係は日本にとって非常に重要な二国間関係の一つであり、日本は対中関係の発展を重視しております。今、中国との間でさまざまな問題があるのは事実でありますけれども、その問題を沈静化させ戦略的互恵関係に基づく二国間関係を発展させていくという日本側の考えに変わりはありません。具体的には、今後徐々に明らかになっていくというように思います。
【中国中央テレビ リー記者】最近、一部の日本のマスコミは、日本政府が尖閣諸島に近づく中国飛行機に対して自衛隊による警告射撃を検討していますと報道しましたが、これは本当かどうか確認をお願いします。
【横井外務報道官】まず、尖閣諸島が歴史的にも国際法的にも我が国固有の領土という点について、我が国の立場は全く一貫しており、この領域に近づく中国がいわゆる称しているパトロールというようなことについては、その必要も理由もないというように我々は思っております。
したがって、我が国は我が国領域の警備の必要性に基づき所要の対応を取っておりますけれども、射撃云々について具体的な検討が行われているということは、私は承知しておりません。
【中国中央テレビ リー記者】その事実はないということですが。
【横井外務報道官】私は承知しておりません。