(1)フィジー共和国におけるサイクロン被害に対する緊急援助について
【横井外務報道官】本21日、我が国政府は、フィジー共和国におけるサイクロン被害に対し、同国政府からの要請を受け、国際協力機構(JICA)を通じ、1200万円相当の緊急援助物資(テント、ポリタンク、発電機等)の供与を決定しました。
フィジーでは、12月17日に接近したサイクロン「エヴァン」により、特に北部及び西部行政区において甚大な被害が発生しました。フィジー政府によれば、家屋が損壊もしく深刻な被害を受け、停電や断水が継続しています。
我が国は、フィジー政府の要請を踏まえ、我が国とフィジーとの友好関係にも鑑み、被災者に対する人道的支援のため、同国に対し緊急援助を行うこととしました。
【時事通信 松本記者】韓国で朴槿恵さんが大統領選で勝利されて、日本側でも来週、新政権が発足する予定ですけれども、今後の日韓関係の展望と、それぞれの政権に期待されることをお聞かせください。
【横井外務報道官】これは、既に、朴槿恵さんが大統領選挙に勝利された際に、野田総理及び玄葉外務大臣からもお祝いのメッセージが伝えられていますけれども、我が国と韓国は基本的価値を共有し、また、北朝鮮問題等、共に取り組むべき課題を有する重要な隣国同士であって、近年、両国の協力関係は、幅広い分野において深みを増しており、これを更に進め、大局的な見地から、未来志向かつ重層的な両国関係が構築されることを期待しているというのが我が方のポジションです。
また、朴槿恵さんも選挙期間中から日韓関係重視の立場を表明されており、このように、両国関係の改善に向け、双方での働きかけが行われていくというように見ています。
【西日本新聞 吉田記者】UNDOFに関連して、各国と協議というか、調整をした上で今回決まったと思いますけれども、今回の日本政府の決断について、調整の中で各国の反応はどうだったというように受け止められているでしょうか。
【横井外務報道官】基本的には、関係諸方面と協議をしつつ、このような決定がなされたわけですけれども、御承知のとおり、悪化の一途をたどるシリア情勢が、今、行われていますゴラン高原地域における活動にも深刻な影響を及ぼし、UNDOFの活動にも支障が出てきているというような状況の中で、我が国要員の安全を確保しつつ、意義のある活動を行うことは極めて困難という認識の下、撤収が決断されたわけです。
今ほど、御質問のあった各国の反応等々については、他の要員派遣国、あるいは国連との関係に関わる事項でもあり、答えを差し控えたいと思います。
(1)日本モンゴル外交関係樹立40周年記念外務大臣表彰について
【横井外務報道官】)本年は、日本モンゴル外交関係樹立40周年にあたります。これを記念し、両国関係の発展に顕著な功績のあったモンゴルの方々に対し、外務大臣表彰を行うことになりました。
今回表彰されるのは5個人及び2団体で、これらの方々及び団体は、両国の文化交流、人的交流、相互理解の促進等に対し、多大な貢献を行ってきました。
今回の外務大臣表彰の表彰式は、今月17日に在モンゴル日本大使館において行われる予定です。
なお、今回の表彰とは別に、本年既に2名の方が外務大臣表彰を受けておられます。
本年は2回の首脳会談や、モンゴルでの新政権発足後、すぐに行われた外務大臣の訪日等、40周年記念にふさわしいハイレベルの交流が活発に行われています。
今回の外務大臣表彰を契機に、両国共通の外交目標である「戦略的パートナーシップ」構築に向け、さまざまなレベル・分野での協力と交流が一層深化していくことを期待しています。
(2)CCCPAへの自衛官講師の派遣について
【横井外務報道官】)我が国は、16日から20日まで、アフリカ紛争解決平和維持訓練カイロ地域センター(CCCPA)で行われる研修に、自衛官1名、中野武志二等空佐を講師として派遣することとしました。
中野空佐は、同センターでPKOに従事するアフリカ文民を対象に行われる「平和維持及び平和構築活動に関する基礎コース」において講師を務めます。
今回の講師派遣は、アフリカ諸国の平和維持能力向上のためにこれまで行ってきた支援の一環として行うものです。我が国は、今後とも財政面だけではなく、我が国の有為な人材を活用し、アフリカの平和と安定のために意義のある支援を行っていく考えです。
【毎日新聞 吉永記者】昨日、中国が初の領空侵犯、しかも、今、日本が中国との間で対立がある尖閣の上空で領空侵犯を行ったというようなことがありました。エスカレーションが心配されるのですけれども、中国が起こしたことについて、どのように外務省が見て、どのように中国に対して求めるのか。また、今後どのように対応していくかということについてお聞かせ願えますか。
【横井外務報道官】まず、基本的に中国側の意図についてですけれども、日本政府として申し上げる立場にありませんが、ただ、御承知のとおり、中国は尖閣について独自の主張を行い、公船の周辺海域への派遣といった一方的な措置を取っています。また、昨日の現場におけるやり取り等を踏まえると、尖閣諸島に対する領有権を主張するために、このような動きをしているのではないかと見ています。
ただし、我が国としましては、このような状況のエスカレーション、あるいは予期せざる事態の発生というものは現に望ましくなく、不測の事態を生じさせることは双方の国民にとっても利益とならないということで、我が国としましては、如何なる状況においても冷静に対応していく方針です。
他方、我が国の主権を侵害する行為に対しては、当然のことながら国内法に基づき、引き続き断固として対応していく方針です。
いずれにせよ、中国は我が国にとって非常に重要な二国間関係を有する国の一つでありますし、中国の間での事態の沈静化というものに向けて、双方のさまざまなレベルでの話し合い等を通じ、事態の沈静化が図られることを期待しています。
【共同通信 山本記者】その領空侵犯に対して、自衛隊機のF15戦闘機が緊急発進して現場に行ったということで、中国のタブロイド紙である環球時報において、「プロペラ機に対して戦闘機が出動するようなことは横暴である。中国側も戦闘機で対抗すべきだ」というような論調が出ているようですが、プロペラ機に対して戦闘機というのは釣り合わないということだと思いますけれども、こういった論調について、日本側の対応というのはどういうものだったのでしょうか。
【横井外務報道官】まず、中国側のタブロイド紙とおっしゃいましたけれども、個々の報道について、あれこれ申し上げるのは不適当と思いますが、ただ、中国外交部の定例会見では、「中国海監航空機の釣魚島空域における飛行活動は、完全に正常なものである。中国は、日本が釣魚島の海域と空域における違法な行為を停止するように求める」というラインで、先方の外務報道官は発言していると承知しています。
他方で、我が国は、我が国の防空体制上、領空侵犯の可能性のある事態が生じた場合には、おしなべて防空戦闘機によるスクランブルという対応を取っていまして、それがプロペラ機であるか、あるいは、それ以外の推進方式の飛行機によるかということによって、基本的に対応の差はありません。我が方は、我が方の通常の手続き・体制に従って対応したわけであって、そのような対応の仕方について、何ら問題があるとは考えていません。
【朝日新聞 野上記者】北朝鮮がミサイルの発射を予告している期間が10日と迫っています。この週末、あるいは10日にかけて、外務省としてどういう警戒の態勢を取られるのかというような点を御紹介ください。
【横井外務報道官】御承知のとおり、既に官邸におきましては、今朝ほどの発表もあったとおり、北朝鮮が、いわゆる衛星と称する飛翔体の発射予告期間においては、総理大臣、そして官房長官が官邸において、それ以外の関連の閣僚については各々の所属省庁において待機という発表がありました。外務省につきましては、12月1日、北朝鮮によります人工衛星と称するミサイルの発射予告がなされ、それ以降、外務省の中にアジア大洋州局長を長とする連絡室を設置し、情報収集等に当たっています。
また、今ほどの閣僚の即応体制に準じて、外務省におきましても然るべき体制を整える予定ですけれども、その具体的なタイミングについては、まだ確定していません。本年4月のケースでは、例えば緊急対策本部を発射予告期間の前日等に立ち上げています。このような、これまでの体制をも踏まえて対応していくということです。
【西日本新聞 吉田記者】ミサイル関連で、これも日朝協議をやっていたのですけれども、特に拉致問題とか、関係者の方の期待も高かったと思いますが、これが日本側の通告で延期にもちろんなったのですけれども、それについての見解と、今後の日朝協議の見通しについてはどのように見ていらっしゃるでしょうか。
【横井外務報道官】これは北朝鮮が、まさに今回、いわゆるミサイル発射予告という、本年のあまりうまくいかなかった前回の試みにおいて、その際、安保理の議長声明等においてもこれは非常に許し難い安保理決議違反と言われています。今回、このような北朝鮮の対応につきましては、国際社会が一致して対応する必要があり、御承知のとおり、我が国としては総合的に諸事情を勘案した結果、今回はこの対話を見送るというようにしたわけです。今後、どのような時期にどうなっていくかということについては、予断をもってお答えするのは差し控えたいと思います。
【共同通信 斎藤記者】今後、想定される決議ですが、本日の大臣の会見にもありましたとおり、一つは安保理で国際社会が結束して制裁と。そして、もう一つは日本単独での制裁があるということで、日本単独での制裁については、若干、打つ手がなくなってきたという中で、国際社会として取り組める制裁としてどういったものがあり得るのか、現時点で想定されることについて御説明願いたいと思います。
【横井外務報道官】これは既に大臣から御紹介しましたとおり、関係国との間でさまざまな可能性について協議を行ってきているということですけれども、この時点で予断をもってお答えすることは差し控えたいと思います。