(1)山花外務大臣政務官のペルー、フランス及びスイス訪問について
【外務報道官】6月30日(木曜日)から7月6日(水曜日)まで、山花郁夫外務大臣政務官はペルー、フランス及びスイスを訪問されます。
ペルー及びフランスにおいては、二国間関係の強化という視点から、それぞれの政府要人等と意見交換を行います。スイスのジュネーブにおいては、ミレニアム開発目標(MDGs)を含む、国際的に合意された開発目標の達成に向けた進展について、閣僚レベルで検討・評価するための国連経済社会理事会閣僚級会合に出席し、参加者と意見交換を行います。
【共同通信 斎藤記者】各紙報道に出ていますが、中国が自国の新幹線の特許を取ろうということで申請をしているとの報道があります。これについて、外務省はどこまで事実関係を確認しているのか、そして、また今後の対応について、お聞かせ願いたいと思います。
【外務報道官】中国のチャイナ・デイリー紙が報道し、それを受けて日本の各紙でも報道されておりますので、そういう報道があるという事実は承知しております。今、事実関係を確認しているところです。ご承知のとおり、中国の高速鉄道については、日本をはじめドイツやフランスも技術協力をしているということもあります。また、今回、中国が特許を申請したといわれている米国、欧州、ブラジル等々は、日本としても新幹線技術を輸出しようとしている国々でもあります。そういう意味で、今回の中国の動きがどういうことであるのか、よく注視をしていきたいと考えております。
【NHK 稲田記者】台湾の活動家の姿が見られる漁船が尖閣諸島の接続水域周辺を航行しています。これに関して最新の状況と、改めて政府としての対応と主張をお聞かせいただけますでしょうか。
【外務報道官】海上保安庁より入手した最新の情報によりますと、当初、我が国の接続水域で停船したり、航行したりしていた台湾の活動家が乗っている船は、午前11時7分頃には我が国の接続水域から出て、台湾方向に向かっているということです。ご案内のとおり、尖閣諸島は我が国固有の領土であるということは、歴史的にも、国際法上も疑いのないことですので、今回のようなことが起これば、きちんとした対応をしていきたいと考えております。
また、今回の活動家の船が尖閣諸島に近づいたことについては、台北及び東京において、交流協会から亜東関係協会に対して領海内に入らないようにという申し入れを行いました。
(1)カナダによる日本産食品等の輸入規制の解除について
【外務報道官】東日本大震災及び原発事故を受けて、世界各国で食品等を始め日本産品に輸入規制を課したり、あるいは日本への渡航制限を課したりという動きがありますが、このような、いわゆる風評被害対策のために国際会議や二国間の会談におけるハイレベルでの働きかけ、あるいは在外公館やメディアを通じる情報提供をはじめさまざまな努力を行ってきています。その結果として輸入規制が一部緩和されたり、日本への渡航制限を撤廃したりということで、ポジティブな動きも見られております。
そういう中で、13日(現地時間)、カナダ食品検査庁が、「これまで行われてきた日本から輸入される食品の定期検査は今後必要ない」ということを発表いたしました。すなわち、カナダの食品検査庁によれば、これまで12都県からの日本産食品等について検査をしていたわけですけれども、今後は震災以前の通常の措置に戻すということを決めました。我が国としては、カナダ政府のこのような対応を高く評価しますとともに、今後とも政府を挙げて関係省庁と連携しながら、必要な情報提供等を通じて日本産品の安全性について対外的な発信を強化していきたいと考えております。
【共同通信 斎藤記者】カナダ以外の同種の動き、交渉過程のものでも発表できるものがあれば、いくつか教えてください。
【外務報道官】主要な国・地域がとっている輸入規制については外務省のホームページに最新の情報が掲載されておりますが、輸入規制について若干申し上げると、例えば米国は最初6県に対して輸入規制をしてましたけれども、既に3県まで減ってきています。中国も12都県であったものが、10都県というように制限対象地域が減ってきているなど緩和の方向で進んでいますが、今回のカナダのように全面的に震災以前に戻すということは初めてのことでしたので、敢えてご紹介をさせていただきました。
(1)イエメン情勢等について
【外務報道官】サーレハ大統領は、大統領宮殿内への攻撃により負傷し、治療を受けるためサウジアラビアのリヤドに滞在していると承知しています。
我が国としては、最近のイエメン情勢の悪化を非常に懸念しており、全ての当事者に抑制的な対応をとることを改めて求めます。我が国は、イエメンの安定が早期に回復することを強く期待します。我が国は、GCC(湾岸協力理事会)の仲介イニシアティブを高く評価しており、イエメンにおいて早急に平和的な権限移譲が実現するよう求めます。
なお、中東・北アフリカにおいては、いわゆる「アラブの春」と呼ばれる、数十年に一度の大変革が起きています。この地域の安定は、我が国を含め世界にとって不可欠であります。我が国は先般のG8サミットの際に、1)公正な政治・行政運営、2)人づくり、3)雇用創出・産業育成等の三本柱による支援方針を表明したところですが、今後とも国際社会とも連携しつつ、アラブ諸国の諸改革及び平和的な民主的体制への移行を後押ししていく考えです。
【共同通信 斎藤記者】先般のASEMの会合で、北朝鮮情勢の六者協議が議題に取り上げられたと記憶していますが、改めて、六者協議を取り巻く、六者協議再開に向けた現在の各国の取組、そして日本の立場について教えてください。
【外務報道官】六者協議は朝鮮半島の非核化を促進する上で、非常に重要な枠組みであり、日本としても重要視してきております。六者協議は残念ながら、ここ2、3年は大きな動きはありませんが、先般来行ってきている日米韓の協議等を通じて、まずは南北の対話を進める、更には北朝鮮が非核化をはじめとする自らの約束を真剣に実施する意図と具体的な行動を示すということを求めていくなかで、誠意ある対応があれば、六者協議の会合も進んでいくだろうと思います。日本としては、対話のための対話は意味がないという立場ですので、日米韓の連携を強めながら対応していくというのが基本ラインだと思います。先般のASEM外相会合においても、朝鮮半島をめぐる状況について、松本外務大臣から説明をして、出席各国の理解を得たところです。
【琉球新報 松堂記者】沖縄の普天間飛行場に配備する予定のオスプレイについてお聞きします。飛行経路等が変わってくると思うのですが、改めてアセスをやり直す必要があるのでしょうか。
【外務報道官】オスプレイ配備についての考え方、それから、環境アセスメントについての考え方についてお答えします。
まず、オスプレイの配備については、米国時間の6月6日、米国防省のラパン副報道官が、海兵隊航空計画に従い、2012年遅くから普天間飛行場に配備されているCH-46をMV-22オスプレイに更新するという方針を発表されたと承知しております。この発表は、まだ具体的な配備日程等が決まっておりませんので、いわゆる正式な接受国通報ではないわけですけれども、政府としては、米国政府からオスプレイの安全性や騒音等に関する情報提供を求めながら、詳細な情報を地元沖縄の方々に丁寧に説明をしていきたいと考えております。
それから、環境アセスメントですけれども、普天間飛行場の代替施設の建設事業における飛行場の設置に関する環境影響評価については、これまで沖縄県の定めた環境影響評価条例にしたがって手続きが進められてきております。一般論として申し上げれば、今回オスプレイの配備ということで基地を使用する予定の航空機の種類の変更に伴う事業内容の修正があるわけですけれども、そのような修正については条例の規定に照らしてみると、改めて方法書の作成段階から全て手続きをやり直すということまでは必要ないと承知しております。つまり、環境影響評価の所要手続きの流れというのは、方法書を作成し、方法書に沿った調査等を行い、準備書を経て評価書が出されるというプロセスですけれども、今回の航空機の種類の変更に伴って、方法書の作成段階から全て手続きをやり直して対応する必要はないと考えております。その一方で、オスプレイが配備されることになった場合には、使用する機種の変更があるわけですので、その点を環境影響評価に何らかの形で加味するかどうかを含め、沖縄防衛局等の関係当局が沖縄県と調整を行い、条例に従って適切に対応していくことになると考えております。
【琉球新報 松堂記者】普天間飛行場での配備についても、沖縄県と調整して新たなアセスを加味していくというお考えなのでしょうか。
【外務報道官】普天間飛行場への配備については、関係当局が沖縄県と協議しながら対応ぶりを検討していくことになろうかと思います。
【NHK 稲田記者】 今のアセスのお話に関してですが、報道官は最後にアセスに新たに加味するかどうかも含めて、沖縄防衛局と沖縄県の話し合いを見ているとの発言でしたが、そうすると、必ずしもアセスに手を加えるかどうかということについても、現段階では白紙だということでしょうか。
【外務報道官】私のお答えしたとおりで、環境影響評価に何らかの形で加味するかどうかも含めて、関係当局と沖縄県で調整を行いながら適切に対応していくということです。
【NHK 稲田記者】一部で、韓国発の報道で、北朝鮮が短距離のミサイル発射をしたというものがありますが、これについて、外務省としては、事実関係の確認と分析並びに評価をお聞かせ下さい。
【外務報道官】北朝鮮のミサイル開発関連の動向については、平素から情報収集に努めてきております。今回のミサイル発射があったと言われる事案についても、情報収集・分析に努めてきておりますが、これは安全保障に係わる問題でもありますので、会見の場で詳細にコメントをすることは差し控えたいと考えます。いずれにしても、北朝鮮の核開発、ミサイル開発については、日本にとって重大な安全保障上の懸念を生じる問題ですので、日米韓で連携しながら、また六者協議の枠組み等も活用しながら、きちんとした対応をしていきたいと考えております。