(1)菅総理の欧州訪問等について
【外務報道官】本日、枝野官房長官が記者会見で発表されたとおり、菅総理が5月24日から27日まで、フランス公式訪問、OECD設立50周年記念式典、G8サミット及び日EU定期首脳協議のため欧州を訪問されることが決まりました。
また、今週末の21日及び22日には、中国から温家宝首相、韓国から李明博大統領をお迎えして日中韓首脳会議が東京で開催されます。
これらは、3月11日に大震災が発生以降では初めての大きな首脳レベルの国際会議です。世界からの日本に対する暖かい支援と連帯に対する感謝を表明し、今後の日本の復興に向けた決意を発信する重要な機会でありますので、外務省としても、その成功に向けて全力で取り組んでいきたいと考えています。
【共同通信 斎藤記者】日中韓サミットで総理として、どのようなメッセージを打ち出すのか、もう少し具体的にご説明願いたいと思います。二つ目は、21日の福島入りの調整はどこまで進んでいるのか、見通しはどうなのか、この点についてもお願いします。
【外務報道官】日中韓首脳会議は、ASEANの会議と離れて、日中韓3ヵ国のいずれかの国で開催することになって今回で4回目になります。これまでにも日中韓の協力は、政治・経済・科学技術・文化・人的交流等々、さまざまな分野で具体的な行動計画を作って協力が進展してきました。今回の会議は日本がホストをする訳ですが、日本としては、日本にとって非常に重要な隣国である中国・韓国との関係を一層強化していくという観点から、今後とも3ヵ国間の協力を一層促進していくことを確認するというのが一つの重要な総理からのメッセージになると思います。もう一つは、地震・津波・原発事故という今回の大震災を踏まえて、今後、防災や原子力安全といった分野についても日中韓3ヵ国の協力を深めていくことを確認しあうということも重要なポイントになろうかと思います。その他、いろいろとまだテーマはあるかと思いますが、現在最終的な調整中でございます。
それから、この日中韓首脳会議の機会に中国の首相、韓国の大統領も被災地を訪問して関係者を激励したいというご意向であると聞いております。我々としては、中国と韓国の首脳が被災地に行って被災者を激励いただくということは、皆さんにとっても大きな励ましになると思われますので、非常に有り難いお考えだと思います。ただ、実現するためには受け入れ側関係者の状況、移動手段やセキュリティとか、いろいろと詰めないといけない問題がたくさんありますので、現在そういう点を含めて調整しています。確定したら、然るべく公表をさせていただくことになろうかと思います。
【共同通信 斎藤記者】被災地の中で福島市を訪れたいと、訪れる予定だということを中国はコメントで発表しておりまして、韓国もこれについては前向きな姿勢を示しているという韓国側報道もあります。現実的にこの福島で三名がそろう可能性がどのくらいあるのか、その辺りの見通しについてお願いします。
【外務報道官】現在、中国と韓国の首脳のご意向を踏まえながら、また、受け入れ側の自治体の都合等も踏まえながら、さまざまな観点から総合的な調整をしています。まだ、確定的にこうだということを申し上げられる段階になっていませんので、調整がもう少し進んでから発表をさせていただきたいと考えています。
(1)東日本大震災
【外務報道官】本日で東日本大震災が発生して、ちょうど2ヶ月が経ちます。改めて、被災された多くの
方々に心からご冥福とお見舞いを申し上げたいと思います。また、これまで世界の146ヵ国・地域及び39国際機関から支援の表明をいただいており、救助チームの派遣、物資供与、義援金など、さまざまな形で国際社会より支援をいただいたことに改めて感謝申し上げたいと思います。
本日、ご案内のとおり、こうした国際社会への感謝の意を表すべく松本外務大臣主催により飯倉公館において、在京外交団、国際機関、NGOなどの関係者をお招きして「感謝の集い」を開催いたします。この「感謝の集い」では、ビジネスや観光の促進に向けた取り組みの一環として、被災地はじめ、風評被害に悩む地方自治体やJA関係者、蔵元関係者をお招きをして農産品の販売や観光・日本酒などのプロモーションを行う予定です。この「感謝の集い」は「日本の復興を支援したいということであれば、どんどん日本に旅行に来ていただきたい。また、日本の産品を買っていただきたい。日本は営業中である(JAPAN IS OPEN FOR BUSINESS)」ということを訴えたいということです。
援助チームとしては、これまで23ヵ国・地域及び国際機関の救助チームが被災地で活動いただきましたが、現在もヨルダンの医療チームが本日まで、またタイの医療支援チームが8日から福島県を中心に活動を行っております。さらに、サウジアラビア政府からの石油製品提供の申し出を受け、本日、「サウジLPガス災害支援基金」を立ち上げて、被災地への支援を行うことが決まりました。
また、こうした世界中の方々からお見舞いや支援をいただいていることに対して、「絆」と題する菅総理の感謝広告が世界で合計64ヵ国・地域の223紙に掲載されております。また、国際社会の支援に対する感謝と復興に向けた決意を示す菅総理の寄稿文についても、これまでに62ヵ国・地域の128メディアに掲載されております。いずれにしましても、外務省としては、今後ともさまざまな外交機会を活用して国際社会の支援に対する感謝を訴えると共に、渡航規制とか日本産品の輸入規制とか、さまざまな風評被害についても正確な情報をしっかり提供しながら対応していきたいと考えております。また、松本外務大臣がリーダーシップを発揮しておられる、復興に向けた経済外交についても、震災後の新たな状況を踏まえて推進していく方針です。
【共同通信 斎藤記者】風評被害対策についてですが、これまで外務省はさまざまな取り組みをしてきている中で、日本の食品に対する輸入規制を続けてきている各国の中に、何か前向きな変化が出てきているのかどうか、何らかの具体的な成果が表れてきているのかどうか。また、もしあれば、いくつか具体例をお示し頂きたいと思います。
【外務報道官】日本産品の輸入規制、あるいは渡航規制については、さまざまな働きかけを行ってきた結果、渡航規制については、米国やEU等の多くの国について解除が進んでおります。また、日本産品の規制についても、規制対象地域を狭めたり、それから規制する物品・食品の数を減らしたりということで徐々に改善が見られます。先般の松本外務大臣の米国・欧州の訪問の際にも、大臣自ら訴えをされまして、EUの関係者からは日本からの客観的なデータを分析しながら、常時見直しをしているので、必要に応じて対象地域、対象産品、さらには対象期間について検討していきたいというような話もいただいております。