(1)特別展示「外交史料に見る日本万国博覧会への道」について
【外務報道官】最初、第一点目として、外務省は、特別展示「外交史料に見る日本万国博覧会への道」を、7月5日(月)から10月29日 (金)までの間、外交史料館別館展示室において開催します。 この特別展示は、西暦1867(慶応3)年のパリ万博への初参加から「日本万国博覧会」(大阪万博)の開催までの100年あまりを、日本での万博開催実現に向けての努力に視点を当て、外交史料館所蔵史料で振り返るものです。それから、本年は1970(昭和45)年の大阪万博からちょうど40周年にあたります。
展示史料は、日本の博覧会参加・開催にまつわる貴重な史料全20点です。徳川幕府や薩摩藩が参加した1867(慶応3)年のパリ万博に関する史料や、1878(明治11)年のパリ万博にアンティークの出品を求めるフランス大統領よりの国書、戦前の「幻の万博」となった1940(昭和15)年の東京万国博覧会計画関係史料のほか、大阪万博を公式訪問した外国要人の記念アルバムなどを展示しております。お手元には、外交史料館の資料、それから、今回の特別展示の展示資料の解説も参考までにお配りしておりますので、ご参考にしていただければと思います。なお、外交史料館につきましては、外務省の一施設として1971年に開館をして今日に至っております。国民の皆様の参観を大いに歓迎したいと思います。開館時間は午前10時から午後5時30分までということで、もちろん無料ですので、ふるって展示をご覧いただければと思います。
(2)外交記録・情報公開室の発足について(文書担当部門の統合)
【外務報道官】第二点目ですが、外務省の中の組織の改編ですが、7月1日(木)付けで、官房総務課内の情報公開室、それから、外交記録審査室及び移管文書班を統合し、「外交記録・情報公開室」が発足します。新たな外交記録・情報公開室では、4つ、すなわち情報公開に係る事務、個人情報の保護に係る事務、省内の文書管理に係る事務に加え、先般新たに施行された「外交記録公開に関する規則」に基づいて行われる外交記録公開に関する事務を所掌することになります。この背景としては、先般の、いわゆる「密約」に関する有識者報告書の中で、外務省の外交記録公開及び文書管理について改善する必要があると指摘があったことを受け、本年3月に外交記録公開・文書管理対策本部が立ち上げられました。その本部で、外務省文書の公開及び文書管理を改善・強化するため、先程申し上げた、「外交記録公開に関する規則」を制定し、外務省の保有の文書の中で歴史的価値のあるものを積極的に公開するための仕組みを確立するとともに、文書担当部門の体制強化が行われることになりました。今般の組織改編は、文書担当部門を統合することで情報公開と外交記録公開の連携・調整を強めつて、新たに強化された体制の下で、適切な文書管理体制を整えて、外交記録公開を進めていくことを目的としているということです。
【共同通信 斉藤記者】昨日、岡田大臣にもお伺いしたのですが、G8サミットの枠組みについて、菅総理は、現地で「中国も時には出席してほしい」と仰られて、昨日、大臣はこれについて「たまには」という意味であって、基本的には、同じ価値観を持った先進国の集まりであるとG8を定義付けた訳ですが、実際、政府の立場としてG8の枠組みと中国との関係というのは、どのように見ているのか、改めて説明いただけますでしょうか。
【外務報道官】改めて政府の立場というお尋ねですが、まず、菅総理ご自身が、今回、ムスコカでのG8サミットの場で、具体的には首脳のワーキングディナーでしたが、このように言われています。ポイントだけ申し上げますと「G8は先進国間の意思疎通の場として維持した上で、G20は新興国との間の調整の場と位置付けることが現実ではないか」これが一つです。その上で「中国に一層責任感を高めてもらうためにも、時には中国をG8に呼ぶことを考えてもいいのではないか」というように述べられたと承知しております。そこで今のご質問に対するお答ですが、これは、政府、外務省が一貫して、そもそもG8というのは、先進民主主義国の首脳会合の場であるという位置づけは、1970年代半ばの発足以来、一貫して維持されてきており、その意義はまさにそこにあるのだろうと思います。そして、大臣もいろいろな場で申されていることですが、では、どのような議題を扱ってきたかということから、まさにG8の役割というのが、確認ができると思うのですが、発足以来、とりわけ70年代から80年代にかけて、やはり一つは、世界経済のマネージメントに対して、当時のG7がグローバルなGDPの中におけるシェアというのは極めて高かった訳です。ですから、当然のことながら、世界経済のマネージメントにおいて、その責任を担い得る、かつその意欲・意思を持っているグループとして、G7、その後のG8というのは、一貫してその役割を果たしてきたということはあろうかと思います。それと同時に、常にその時々の国際社会が直面する平和と安全、安定、そういった安全保障の問題についても、当然のことながらG8首脳が年1回ですが議論をし、国際社会をリードする形で直面するグローバルな課題に答えを見出して、解決に向けて努力するという役割を終始一貫して果たしてきたということは言えるのだと思います。そういう中で、昨今、経済面ということで見ると、G20がおそらく世界のGDPの8割を占めるに至り、そういう意味でG8の経済的なシェアというのはG20のシェアに比べて相対的に低下してきたという事実も否定しがたいものがあると思います。世界経済の問題や金融問題を議論する上で、G20がより主要な役割を果たすべきだということについては、昨年のピッツバーグで確認がされている訳です。G20の首脳の中にはG8の首脳も入っている訳ですから、そこで一つの住み分けということがなされたということは、これはまさに日本政府もそれを受け?黷トいるということだと思います。そうなると、あと残されたことは、G8とG20の住み分けと申しましたが、「G8の役割はなくなったのか」ということになるのだと思います。菅総理が今回のムスコカで指摘されたように、全くそのようなことではなくて、G8として先進国間の意思疎通の場として率直に、ある部分は非公開で、意見交換をするということの意義は、全く減じてないということは言えるのではないかと思っています。そういう中で、菅総理が言われたアウトリーチの枠組みの中で、つまりG8+アフリカ諸国であったり、G8+いわゆる新興国であったり、そういうことはこれまでもやってきている訳です。そういう文脈の中で今後、討議の中身次第で中国のG8における協議への参加が、G8にとっても有意義なものになり得るというお考えを示されたものだと我々は考えております。
【時事通信 高橋記者】外交記録のセクションの統合のところですが、7月1日発足時点の体制、人数、それから今後体制強化をするのであれば、いつごろまでにどれくらいの人数まで増やすのか、そのあたりの目途が分かればお願いします。
【外務報道官】たいへん申し訳ありませんが、(発足時の)人数と、どのように増やしていくかという資料が手元にありませんので、別途お答えさせていただければと思います。
(補足説明)7月1日発足時の体制及び人数は、週2日もしくは週3日勤務の非常勤職員を含めて54人です。また、体制強化の人数及び時期の目途については、目標は約70人で、達成時期は現在のところ未定です。
(1)G8・G20サミットについて
【外務報道官】第一点は、G8・G20サミットの関係ですが、昨日、大臣の方から、大臣ご自身、総理を補佐するということで、同行されるというお話でしたが、私は外国メディアに対するスポークスマンという役割を果たすということで、明日、総理に同行する形で現地に赴きます。
G8の主な議題としては、開発、特に母子保健、それから、平和安全保障の課題、この中には、北朝鮮、イラン、アフガニスタン、パキスタン、中東和平といった主要な現下の課題が含まれる訳ですが、こういうことについて議論が行われるということです。
引き続き、トロントで開かれるG20サミットにおいては、世界経済、そして国際金融機関改革、金融規制改革、貿易といった問題が議論されることになると思います。
事前の段階で、あまり詳細に立ち入るべきではないと思いますが、そういった議題ということで、G8については、開発、平和安全保障といった地球規模の課題に対して日本が果たす役割というのはいろいろある訳ですけれども、そうした点について、総理が議論に参加され、また、安全保障問題で言えば、北朝鮮、イラン、アフガニスタンの問題についても、例えば、アフガニスタンであれば、ごく最近、カルザイ大統領を日本にお迎えしたばかりですので、そうした際のやりとりも含めて、総理の方からアフガニスタン・パキスタン支援の問題について、所見を開陳されるということは当然予想されると思います。
そして、G20においては、やはり財政の健全化と成長の両立といったことが、おそらく最大のテーマになろうかと思われますが、これについても新政権になって、ご案内のとおり、新成長戦略が策定され、引き続いて財政運営戦略といったものも閣議決定をされた訳ですので、そうしたことも踏まえて、総理の方から、総理が言われています「強い経済」「強い財政」「強い社会保障」を一体的に実現するという強い決意、そのための日本の取り組みを説明することになろうかと思います。したがいまして、そういうことを含めて、会議の進捗を踏まえながら、私としては、世界に対して、そうした総理の取り組みについてメッセージを的確に発信していくという点で微力ながら努力していきたいと思っております。
(2)グランディUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)事務局長の訪日について
【外務報道官】今月の29日(火曜日)から来月の5日(月曜日)まで、グランディUNRWA事務局長が来日をされます。グランディ事務局長は滞在中、政府関係者、国会議員、或いはNGOの関係者の方々との会談、或いはシンポジウムを通じて-パレスチナ難民のおかれた状況や支援のあり方について幅広く意見を交換する予定です。
別添資料として付け加えておりますが、7月1日夕刻6時から、UNRWA、外務省、JICA、更には明治大学軍縮平和研究所の共催で、明治大学において「中東和平とパレスチナ難民の現状、UNRWAの支援と日本の役割」と題するシンポジウムが開催される予定です。また、このシンポジウムには、武正外務副大臣が開会の挨拶をされる予定です。パネラーとしては、緒方貞子JICA理事長他、有識者の方々が政府関係者も含めて参加されると承知しています。なお、日本政府のUNRWAに対する支援の足跡ですが、若干補足させて頂きますと、日本政府としてはこれまでUNRWAを通じたパレスチナ難民支援を継続的に行ってきています。具体的には、国連加盟以前の1953年にUNRWAを通じた対パレスチナ支援を開始し、昨年までに教育や保健などの様々な分野に亘って累計5億7000万ドル相当を拠出してきています。
また、支援の重点分野ということで、今、教育、保健と申し上げましたが、教育、職業訓練支援を重視しています。パレスチナの将来を担う若年層に対する支援です。これまで、例えば、UNRWAと我が国が設立した奨学金を得て大学を卒業した学生は、900名以上に上るということです。
二つ目の重点分野としては、保健分野がありまして、一つの具体例ですが、2003年頃からパレスチナ自治区において、日本独自の母子健康手帳を配布して、母子健康の向上に貢献をしているということです。
いずれにいたしましても、今回の訪日の機会を捉まえて、UNRWAと日本との関係、UNRWA支援の重要性、UNRWAがやっている事業の意義等について理解が深まり、また、そのための事務局長の訪日が有意義なものになることを期待しております。
【共同通信 斎藤記者】UNRWAに対して、いろいろな国が拠出していると思いますが、この中で日本はどのくらいの位置にあるか分かりますか。
【外務報道官】日本は、平成16年が第9位、17年が第5位、18年が第8位、19年が8位、平成20年が12位ということです。大体10位以内で支援を行ってきたということです。いずれにしても、先程申しましたように、長い期間UNRWAに対する主要なドナーとして支援してきているという実績はあると思っております。
【共同通信 斎藤記者】参考までにお伺いしたいのですが、イスラエルはどのくらい関与していますか。
【外務報道官】イスラエルの関与については、(資料の)拠出実績を見る限り、10位以内の中にはイスラエルの名前は見当たりません。申し訳ありませんが、今、それにお答えする材料は持ち合わせておりません。
(1)岡田外務大臣とザヒルワル・アフガニスタン財務大臣との会談について
【外務報道官】私から三点申し上げます。第一点、カルザイ・アフガニスタン大統領の訪日に一日先乗りするかたちで現在訪日中の、ザヒルワル・アフガニスタン財務大臣と岡田大臣との会談についてです。本日16日(水曜日)、11時10分頃から約1時間、岡田大臣は、ザヒルワル・アフガニスタン財務大臣と本省で会談を行いました。ポイントとしては、概要以下のとおりです。
冒頭、岡田大臣の方から、アフガニスタン支援は鳩山前政権から重要な課題であり、新政権においても引き続き支援をしっかり行っていくという基本方針を伝えました。 これに対して先方からは、「日本の過去8年間、2002年からの支援及び最大50億ドルの新たなアフガニタン支援策について、アフガニスタン政府、国民を代表して感謝する」と謝辞がありました。また、「アフガニスタンの持続可能な発展及び長期的な安定のために、アフガニスタン自身が主体となり、国家の再建に向けた具体的行動計画を国民に示して、国際社会による支援を得ていきたい。今後も日本の支援の継続及び指導的役割に期待している」という回答もありました。更に大臣の方からは、これは大臣が常々言われていることですが、「我が国国民の税金が有効に活用され、アフガニスタンの復興と再建に最も効果的な支援を行っていくためにも、治安の安定、ガバナンスの強化が優先課題である。また、厳しい治安状況の下、現政権が国民から求心力を得るためには、国民の生活向上に真に資する政策、及び、都市部・農村部における雇用促進を図っていくことが重要である」という考えを述べました。最後にザヒルワル大臣からは、「ガバナンスについては、本年7月のカブール国際会議に向けて、アフガニスタン政府内の改革、汚職対策、財務管理の向上に取り組んできている。雇用促進については、農業・農村開発、経済インフラ開発、人材育成等の重点分野のクラスター化を通じて、持続可能な雇用創出・人材育成に資する努力を強化していく方針である」ということを述べられました。
(2)経済協力開発機構/開発援助委員会(OECD/DAC)による我が国の政府開発援助(ODA)の援助審査(ピア・レビュー)について
【外務報道官】二番目として、本日、OECD/DAC、開発援助委員会ですが、我が国の政府開発援助ODAに関する相互審査の結果をまとめた報告書が公表されることになりました。援助審査というのは、英語では「ピア・レビュー」と言っておりますが、分かりやすくご説明しますと、「ピア」というのは同僚だとか仲間ということで、まさにOECDの加盟国がDACに加盟する各国が、お互いの開発援助に対する取り組について、毎年審査を行う訳です。日本であれば今回はドイツとデンマークが審査国になって、昨年の10月に東京、それからバングラデシュ、同11月にはケニアで日本が行っているODAについて現地調査を行い、また今年の5月20日にはOECDの本部で、DACの加盟国による全体のピア・レビュー会合を開催した後、この報告書が取りまとめられたということです。内容についてはお手元にお配りしておりますので、詳細には立ち入りませんが、先ず、我が国における新JICAの発足、外務省の国際協力局の再編、現場主義の強化、新政権のNGO重視、アフリカへの援助の拡大、途上国の能力開発の重視といった点が評価をされております。一方で勧告の中で、ODAの量の増加、NGOとの更なる関係の強化、或いは広報戦略の策定、国際機関への拠出に関する戦略の策定、業務の合理化、アンタイド報告の改善等の勧告が含まれております。この報告書の内容は、現在、外務省が行っておりますODAの見直しにおいて、取り上げています、検討事項とも多くの部分で関連をしております。外務省としては、関係省庁とも連携をしながら、この勧告も勘案して更に効果的な援助の実施のための取り組みを継続していきたいと考えております。
(3)日・ASEAN包括的経済連携協定について
【外務報道官】 最後に、日・ASEAN包括的経済連携協定についてです。先月末、5月28日(金曜日)に、フィリピン政府の方から、この協定の効力を発生させるために必要な所用の国内手続を完了したという通告がありました。この通告の結果、日・ASEAN包括的経済連携協定は、7月1日(木曜日)に、フィリピンについても効力が発生するということになります。 なお、日・ASEAN包括的経済連携協定はこれまで日本とASEANの8ヶ国のメンバー国との間で既に効力が発生しておりますので、フィリピンとの間でも効力が発生することで、日本プラスASEANの9ヶ国との間で効力が発生するとになります。
【共同通信 斎藤記者】アフガニスタンの関係でお伺いしたいのですが、岡田大臣とザヒルワル財務大臣との会談の内容ですが、頂いている紙の中には、和解と再統合のプロセスを支援するくだりについては入ってないように見えるのですが、議論はしていないのでしょうか。
【外務報道官】事実関係を承知しておりませんので、確認して、後ほどお話しさせていただきたいと思います。そう申し上げた上で、先方の大臣は、財務大臣ということで、何れにしても、斎藤さんご指摘の日本のアフガニスタン支援の非常に重要な柱である「和解と再統合支援」ということは、日本の最重点事項の一つですので、それは先方も十分分かっていると思います。
【共同通信 斎藤記者】これまで政府は、最大50億ドルの支援パッケージを既に決めていて、一部は既に執行されていると聞いておりますが、これまでにどのような分野に、いつからいつまで、いくら使われたかについて、現在分かる範囲で説明を頂ければと思います。
【外務報道官】大枠として申し上げますと、日本のアフガニスタン・パキスタンに対する新たな支援パッケージというのを昨年発表した訳ですが、その中でアフガニスタンについては、2009年から概ね5年間で最大約50億ドルの規模の支援を行うということです。その大枠の元で三つの主要な分野を特定したということです。私の手元には三つの分野についての定性的な資料はございますが、それぞれについて具体的にいくらという資料はありません。ただ、一つ申し上げられることは、昨年と今年においてアフガニスタンにおける治安能力の向上という分野での日本の支援として、アフガニスタン警察約8万人おりますが、その方々の給与の半年分を日本政府が支援をするというコミットメントはしておりまして、2009年については、それが実施されております。今年は2年目ということで、同様の支援が今行われつつあると申し上げることができると思います。それ以上に、今手元に具体的な資料がありませんので、カルザイ大統領が本日到着される訳ですが、できるだけ分かりやすく、数字についてもお示しできるよう努力をしてみたいと思います。
(1)カルザイ・アフガニスタン大統領の訪日について
【外務報道官】既に発表はさせていただいておりますが、カルザイ・アフガニスタン大統領の訪日についてです。来週ですが、6月16日(水曜日)から20日(日曜日)の間、日本を訪問されます。今回の大統領の訪日では、ガバナンスの強化、治安の改善といったアフガニスタンが直面する諸課題に対するアフガニスタン政府自身の取り組み、自助努力の取り組みについて説明を求めるとともに、昨年の11月に我が国が発表したアフガニスタン支援策の効果的な実施について議論するということになると思います。一昨日、外務報道官談話を発出しておりますが、今月2日から4日まで、アフガニスタンのカブールで和平ジルガが開催されました。幅広い層の参加者によって、カルザイ大統領のイニシアチブが支持されたと我々としては承知をしております。この取り組みにつきましては、アフガニスタンの安定と復興を探求していく上で、政治的な解決が重要であるということなので、アフガニスタンの和解に向けての一定の前進と評価をしております。
最後にご披露したいのは、ジルガの閉会式で、カルザイ大統領が日本政府の50億ドル支援パッケージについて次のように言及されております。「あなた方(アフガニスタン国民代表であるジルガ参加者)に代わり、自分は、特に深遠且つ親密な感謝を、我が国に平和と安定をもたらすための日本政府からの支援と努力に送りたい。日本は、アフガニスタンの復興と開発のために、今後5年間で50億ドルをコミットした」と発言をされております。いずれにしましても、和平ジルガを開催し、その成果を踏まえて、訪日をされる訳です。カルザイ大統領の訪日は、菅新総理にとりまして、お迎えする元首クラスの最初の要人になろうかと思いますが、今、申しましたような意義を踏まえて、しっかり日本政府としては、この機会を活用していきたいと思っております。
【共同通信 斉藤記者】イランの核開発問題についてお伺いします。国連で今夜、対イラン制裁決議を取り上げるという予定になっておりますが、日本政府の制裁決議に対する対応についてお聞かせ下さい。
【外務報道官】報道でも、本件について報じられていることは承知しています。本日9日、ニューヨーク時間の午前(日本時間の今夜)の安保理公開会合で、対イラン制裁決議案の採決が行われる予定と承知をしております。日本政府は、この決議案の採択に向けて積極的な役割を果たしてきておりまして、この決議案については支持をするという立場です。また、引き続いて、イランに対しては、賢明な判断を行うよう働きかけていく所存でございます。既にご案内のことかと思いますが、イランとの対話ということにつきましては、先月末、5月31日に東京にモッタキ・イラン外務大臣が来られて、岡田大臣はモッタキ大臣との間での二国間外相会談を開催し、日本政府の立場について明確に先方にも伝え、説得にも努められたということかと思います。いずれにしても、引き続き日本政府としては、この問題を解決するために努力していく所存です。
【共同通信 斉藤記者】制裁を支持するということになれば、明らかにイランの主張とは違う訳ですから、イランとの間では意見対立が生じるのは確実だと思うのですが、どのような形で対話を続けていくのか、また、対話を続けていけるのかどうか。そして、イランはもともと親日国と言われていますが、今回の制裁支持によってどのように日本とイランの関係に影響が出てくるのか、この点についてどのようにお考えでしょうか。
【外務報道官】今後のイラン政府の出方について、私どもが推測するということは適切ではないと思いますが、是非申し上げたいことは、まさに5月31日の外相会談で大臣自身がモッタキ外相との間で、直接の働きかけ、対話をしたということです。その中で関係部分を披露させて頂きたいのですが、大臣はこのように言われております。「イランの低濃縮ウランの搬出の点で、イラン側は歩み寄った内容の合意ができたこと自体は一定の前進と評価をする。しかし、この問題はイランの核問題の本質ではない。イランはその核活動が平和目的であるとの主張について、国際社会の信頼確保の責任を果たしておらず、また更なる安保理決議案である約20%ウラン濃縮活動が継続している。こうした状態が続くのであれば、安保理での追加制裁は免れない」ということです。そして、その上で、大臣は改めて「イランは自国の将来を見据え、その国民のためにも勇気ある意思決定をすべきである。その観点から、約20%濃縮活動を直ちに停止し、また類似の安保理決議により求められている濃縮関連活動の停止等を真剣に考えるべきだ」ということを言われました。つまり、率直に日本政府の考えを伝え、かつ安保理の追加制裁も、日本としてはイランがその約20%濃縮活動を続けるのであれば、それは辞さないということもはっきり伝えている訳です。そういう意味では、立場の違いを前提にして、真剣な協議が行われて、イラン側も日本の立場をしっかりと認識したうえで一応この外相会談は終わったということだと思います。ですから、日本としていろいろな形で日本独自の、或いは連携した努力をやってきていると思いますが、我々としては引き続き、対話の努力、働きかけをやっていくということだと思っています。