(1)日本・モンゴル外相会談の開催について
【報道官】冒頭、私の方から3点申し上げます。第一点目は、日本・モンゴル外相会談の開催についてです。現在、来日中のザンダンシャタル・モンゴル外交・貿易大臣は、明日17日(木曜日)、岡田大臣と本省で日本・モンゴル外相会談を行ないます。
ザンダンシャタル大臣の訪日は、就任後初の外国訪問ということです。若干補足しますと、今回の訪日は「第3回日・モンゴル官民合同協議会出席」という目的がございまして、その機会に外務大臣協議を行うということです。この官民合同協議会の趣旨は、両国間の貿易投資促進、さらにはモンゴルの鉱物資源開発ということを目的として開催されます。
(2)岡田外務大臣と習近平・中国国家副主席との会見について
【報道官】二つ目ですが、すでに報道発表で午前中にお配りしましたが、本日午前中、岡田外務大臣は、訪日中の習近平・中国国家副主席との間で会見を行いました。私自身も同席を致しましたが、大臣から、同副主席の訪日についての感想を求めたのに対して、習副主席からは、「日本政府の周到な手配に非常に感謝する。これまで、日本の各界方面の色々な方とお会いして、日本側に、日本と中国との間に『戦略的互恵関係』を更に推進、内容を更に肉付けをしていくということについての強い意欲を感じた」ということを言われました。さらに、「両国政府の協力の下で、日中関係を更に深いレベルに発展させていく必要がある」というようなことを述べられました。大臣からは、「新政権発足後、日中両国はよいスタートを切ったと考える。更に今回のみならず、何度も日本を訪問していただきたい。それによって国民との交流を深めて、日本への理解を深めて頂きたい」というようなことを言われました。
具体的な懸案事項としては、東シナ海資源開発問題について、昨年来の合意の実現が重要であるということ、両国首脳間で確認したとおり、協議を進める必要があるということを指摘をされ、習副主席の協力を求められました。それに対して習副主席からは、重要な合意を堅持して、実務レベルの接触を維持していきたいという回答がありました。
(3)鳩山総理のCOP15首脳級会合等出席について
【報道官】最後に、明日から総理はコペンハーゲンに出発され、COP15成功のため、総理ご自身、現地入りされるということであります。色々な動きがありますが、日本政府の基本的な立場として、すべての主要国による公平かつ実行性のある包括的な国際的枠組みを構築することが必要というのが基本的な立場です。現在、交渉は正念場を迎えている訳ですが、今申しましたような基本的な立場を堅持しつつ、日本として最大限の努力を行って、交渉の妥結に貢献していくということが、非常に一般的な言い方ではありますが、それが政府の今の立場です。
【琉球新報 滝本記者】普天間基地問題についてお聞きします。昨日、政府の方針といいますか、「三党で協議を進めていく」ということが決定しました。それに対して、米海兵隊のコンウェイ総司令官のコメントや、クローリー国務次官補の「一定の日本の状況に理解をする」等いろいろな反応が出ていますが、米側の反応についてどのようにご承知になられているのかお聞かせ下さい。
【報道官】普天間基地問題についての日本政府の立場については、昨日決定がなされました。大臣がここ(省内会見室)で述べられたとおりですが、現時点の結論は「三党でよく相談していこう」ということです。そして、それを踏まえて、大臣ご自身からルース大使に対して、その決定と、今、どのような議論をしているのかということを大臣から伝えたということです。
現地(米国)で国務省の報道官等のコメント等があることは承知しておりますが、今現在、それ以上にどのような反応があるのかということは承知しておりません。今、特に米側がどのような反応をしているかについて、外務省としてまだコメントするという状況にはありません。
【琉球新報 滝本記者】官房長官の(本日)午前中の会見で、日本側として対米交渉がどのようにまとめられるかという文脈で、「ハイレベル協議を続けていこう」というお話をされていました。昨日、大臣とルース大使がお会いになられたことがまさにハイレベルなのかなと思いますが、「ハイレベル交渉」というのはそもそもどのようなものか。従前から、いわゆるワーキング・グループがありますが、「それを越える、その枠とは違う話」と大臣は仰られております。そういう意味で、別のハイレベル協議という対話の場ができるということでしょうか。その辺りをお聞かせ下さい。
【報道官】昨日も確か大臣から「今あるワーキング・グループの任務と今回決まったことは重ならない」と言われました。今後、この問題を協議することについて、それがワーキング・グループのマンデートを越えたところにあるという理解です。いずれにしても、米国政府との間で、これから新しい政府の決定を受けて協議をしていき、日本側でも検討を進め、同時に米側と協議をしていくということです。今、具体的にどのようなレベルで、どのような仕組みかというのは、私としては申し上げられる状況にはないと思っております。
(1)岡田外務大臣の沖縄訪問について
(報道官)岡田外務大臣は、12月4日(金曜日)と5日(土曜日)の両日、沖縄を訪問します。岡田大臣は、滞在中、関係地方公共団体首長等との意見交換及びキャンプ瑞慶覧、キャンプ・ハンセンの視察を行う予定です。金曜日の夜に現地へ入られて、実質、土曜日を活用して沖縄を訪問(視察)するということです。
(2)第1回日本・アラブ経済フォーラムの開催について
(報道官)第1回日本・アラブ経済フォーラムが、12月7日(月曜日)と8日(火曜日)の2日間、東京(フォーシーズンズホテル椿山荘東京)において、日本側(外務省、経済産業省)及びアラブ連盟の共催で開催されます。このフォーラムは、貿易、投資、エネルギー、技術、人材育成といった幅広い分野での協力を通じた、日本とアラブ地域との経済関係の強化を目的とするものです。出席者につきましては、日本側から岡田克也外務大臣、直嶋正行経済産業大臣、御手洗冨士夫日本経団連会長、根本二郎中東協力センター会長、アラブ側からアムル・ムーサ・アラブ連盟事務総長他、各国の閣僚が出席します。また、日本とアラブ地域の経済団体、民間企業関係者なども参加をすることになっております。
日程の中で6日には、フォーラム設立に関する協力覚え書き署名式というものを予定しておりまして、今回初めてこのようなフォーラムが発足する訳ですが、これを今後、日アラブ間の経済交流を中心にして活発化に向けた、一つの枠組みとして活用していくことが確認をされ、発表されることを期待しております。
(3)ロドリゲス・キューバ外務大臣の来日について
(報道官)ブルーノ・ロドリゲス・パリージャ・キューバ外務大臣は、12月6日(日曜日)から8日(火曜日)まで外務省賓客として来日をされます。岡田外務大臣との間で、第10回日・キューバ政策対話を実施する予定でございます。その他にも要人との会談が行われます。この政策対話の場では、二国間関係や地域・国際情勢等について意見交換を行う予定です。最近の日・キューバ間の動きとしては、去る10月に日・キューバ技術協力協定を締結しておりまして、日本のキューバに対する経済技術協力といったものの法的な基盤が整った訳で、経済協力・技術協力を更に円滑に活発に進めるということも話し合われるというように承知をしております。
地域情勢ということで言えば、オバマ政権が発足して、オバマ政権のキューバに対する政策が変わりつつあるという中で、キューバと米国との関係等についても議論されると思っております。
(共同通信 上西川原記者)平山郁夫さんが亡くなられたとの情報が入ってまいりまして、平山さんは芸術家に加えて、ユネスコの親善大使として芸術、文化遺産の保存活動にかなり尽力されてきた人だと思いますが、外務省としては何をコメントされたのでしょうか。
(報道官)私は今、そのニュースを初めて承知した訳ですので、外務省としてのコメントということは、まだ控えたいと思います。もちろん、私は外務省員として、平山先生の今仰ったような世界の文化遺産の保存・保護、ユネスコの関係も含めて、世界中で活躍して来られたという大変な功績を上げられた方ですので、もしお亡くなりになられたということであれば、心よりご冥福をお祈り申し上げたいと思います。
我々としては、例えば、すぐに思い付くことは、バーミャンの遺跡が破壊された後に、平山先生は心を痛められて、何とか修復に向けた、その文化遺産、世界遺産の保存ということに、更に努力をされたと承知していますし、或いはシルクロードを対象とした先生のいろいろな作品もございますし、そういうものを提供して頂いて、世界中で展示会をする中で日本とシルクロードのつながりだとか、これは、私がロス・アンジェルスにおりましたときに、南カリフォルニアでも平山先生の「シルクロード展」というのを支援し、一緒になってやったこともあります。中国との関係も含め、世界中において平山先生が成された業績というのは、極めて大きなものであったと思いますし、本当に残念だと思います。
(北海道新聞 佐藤記者)北方四島との経済交流についてお聞きします。北海道の高橋知事が「四島への生活物資の販売等、地域限定の経済交流について、日本の法的立場を害さない枠組みを検討するように国に働きかける」と昨日の議会で表明しました。政府はこれまで四島での経済支援について否定的な考えを示しておりますが、地元知事のこうした意見の表明についてどのように受け止められますか。或いは、今後の検討余地についてご見解があれば、お聞かせ下さい。
(報道官)ただいまご質問いただきました高橋北海道知事の発言でございますが、外務省として、その発言の真意について詳細は承知しておりません。その上で今、コメントとして申し上げられることは、北方四島との経済交流については、北方四島に関する日露双方の法的立場が異なっているからこそ、これまで実際には進んでいないというのが実情であるということが、まずあると思います。これまでも日露両国では、例えば、四島交流等の改善策として、双方の立場を害さないことを前提に、北方四島と北海道本島との間の航空機の利用の可能性を検討していくことについて、一致しているということはありますが、実際にはロシア側において、検討に時間がかかっているということが現状でして、ロシア側において、こうした検討を進める用意があるということであれば、日本政府としても歓迎するということです。いずれにしましても、先のAPECの際の日露首脳会談で、鳩山総理とメドベージェフ大統領で一致をみたとおり、こうした問題を根本的に解決するには、平和条約交渉を精力的に進めて領土問題そのものを解決する必要があるというのが、そもそもの基本的な立場です。
(西日本新聞 斉田記者)大臣の沖縄の日程ですが、キャンプ瑞慶覧とキャンプハンセンの視察が入っていますが、これはどのような理由によるのでしょうか。
(報道官)今、私がこの場でこの日程をご紹介したということで、どうしてこの場所なのかということは、大変恐縮でございますが、今お答えする材料をもっておりません。ただ、昨日この場で大臣が申されたことを繰り返しますと、「基本的には今回の沖縄訪問の目的は前回と変わっておりません。沖縄の皆さんの声を率直に聞きたいということです。」ということです。また、取材については本日はまだ申し上げることはございませんが、本日は2日ですので時間が近づくにつれてご案内、情報提供はしたいと思っております。また、ご照会いただければと思います。
(時事通信 高橋記者)キューバの外務大臣が外務省賓客としていらっしゃるようですが、オバマ政権がキューバへの経済制裁を緩和したり、日本政府の立場として米・キューバの対話や交流を促すような動きはあるのか。また、鳩山総理への表敬は予定されているのでしょうか。
(報道官)まず最初の点について、今この時点で会議の場で大臣がどのような発言をするのかということは、私からは差し控えたいと思います。いずれにしても、ご質問の通り、米・キューバ関係が改善の兆しがあるということで、それ自体は歓迎すべきことだと思います。その点についての意見交換が予定されていることは申し上げられます。今この時点での総理との表敬について、私は承知しておりません。
(読売新聞 川崎記者)米国のオバマ大統領がアフガニスタン新戦略を発表しましたが、このことについての見解をお願いします。それから、この戦略の発表前にあたりまして、オバマ大統領から各国首脳に事前に電話で説明があったということなのですが、日本政府に対しては、鳩山総理にはなくて、クリントン国務長官から岡田大臣に連絡があったようです。この時点で鳩山総理の方に連絡がなかったということについては、普天間問題等が影響しているのかどうかという見方も出てくるかと思いますが、その点についての見解はいかがでしょうか。
(報道官)12月1日(日本時間2日午前)にオバマ大統領が、ご案内の通り米国政府のアフガニスタン・パキスタン戦略に関する演説を行って、米国の新戦略を発表したということですが、この新しいアフガニスタン・パキスタン戦略を日本政府として歓迎するものです。今後、国際社会が一致して支援をアフガニスタン・パキスタンに対して効果的に実施していく上でも、米国をはじめとしてISAFやOEFの活動によって治安が回復し、安定が達成されることは極めて重要であると考えています。米国等による軍の増派、民生支援の強化、さらにはパキスタンとの協力の強化がアフガニスタンをはじめとする地域情勢の改善につながることを強く期待するものです。また、我が国としても、既に11月10日にアフガニスタン・パキスタン支援策を発表した訳ですが、それを基にして、日本としての役割・貢献を積極的に果たしていくとの考えです。
それから、二番目の質問につきましては、まずクリントン国務長官が11月26日の時点で大臣に直接電話をしてこられて、その電話会談の中でオバマ大統領が近々発表する対アフガニスタン戦略に関する内報が行われたということは、既に報道発表で申し上げたとおりですので、その中身についての日本政府に対する内報はしっかり行われたと理解しています。ですから、それ以上に日本政府として何か詮索することは控えたいと思います。
(共同通信 上西川原記者)普天間のワーキング・グループの件ですが、北澤防衛大臣が、明日、米国側から、日本がこれまで提案してきたことに対する返事がきて、明後日のワーキング・グループ次第では来週にも岡田大臣が訪米するというような趣旨のご発言をされたようですが、かなり大詰めの段階に入ってきているのでしょうか。
(報道官)この会見の前に事実関係を確認しましたが、お答えできることは、普天間の移設問題について、現在、閣僚レベルのワーキング・グループで検証作業を精力的に進めているところで、これについては大臣が何度も繰り返し申し上げられていたことだと思いますが、開催日程について、大臣も「近々」ということを言われている訳ですが、調整中です。米国務省の方で3日と4日に開催されるということを報道官が言われたようですが、正しくは現在調整中ということです。