(報道官)平成21年度の中南米大使会議の開催について申し述べます。11月26日(木曜日)及び27日(金曜日)の日程で、外務本省において平成21年度中南米大使会議を開催いたします。この会議には、中南米各国駐在大使等、それから本省から関係部局の幹部が出席します。この会議の主要な議題ですが、2010年の我が国の中南米外交の主要課題、或いは中南米との経済関係の強化、さらには環境・気候変動問題、或いは国際協力といった点について幅広い意見交換が行われる予定です。また、この会議の機会に一時帰国されている大使は、鳩山由紀夫総理への報告、中南米関係議員及び経済団体等との意見交換も併せ行う予定です。
(北海道新聞 佐藤記者)昨日閣議決定された質問主意書に対する答弁書で、北方四島を不法占拠されているという表現があったことについて、ロシア政府の外務省が、日本政府に対して文書で抗議をしたというように聞いておりますが、この件についての対応についてお聞かせください。
(報道官)私ども(外務省)の受け止めですが、北方領土問題については不法占拠に関する認識を含め、日露双方の法的な立場が異なっている故に、その最終的な解決に向けた交渉が行われているところです。先般のシンガポールでの日露首脳会談におきましても、鳩山総理とメドヴェージェフ大統領との間で日露政府間でしっかりと交渉を進めていくことで一致しておりますので、この方針のもとで北方領土問題の解決に取り組んでいくということであります。
(共同通信社 上西川原記者)今の関連ですが、今回、ロシアが文書で事実上の抗議をしてきたということですが、これは日本としてはこれまで以上に強い対応にロシアが出てきたと見ているのか、それとも大体従来の範囲内、通常の表現と見ているのか、どのように見ていらっしゃいますか。
(報道官)これまでどうかということについて大変申し訳ありませんが、この場でそれについてコメントする材料は持っておりません。いずれにしましても、ロシア外務省の方からは、口上書を送付してきたということで、「日本側がその行動の結果生じた状況から然るべき結論を導き出すことを期待する」というようなメッセージも入っております。先程申しましたように、シンガポールにおける首脳会談の合意がある訳でして、首脳レベルで、まさに両首脳がリーダーシップを発揮してやっていこうと、また、外務大臣レベルでもしっかりと解決に向け努力していこうというような合意が首脳レベルでなされている訳ですので、そのラインでこの問題に取り組んでいくということに尽きると思っております。
(朝日新聞 東岡記者)ロシア外務省から口上書が送られてきたということですが、いつのことでしょうか。
(報道官)声明を出したのは24日ということですが、口上書の日付については確認してお知らせします。
(共同通信 上西川原記者)口上書について、特にこちらから対応とか、リアクションのようなものはあるのでしょうか。
(報道官)通常、口上書のやりとりは、受領の確認ということを行いますので、一般論として言えば、そういうことはあり得ると思います。しかし、それも私は承知しておりません。
(補足説明)上記ロシア外務省からの口上書に関する質問につきましては、後刻、下記のとおり補足説明いたしました。
記
(問)ロシア外務省から口上書という文書が送られてきたということですが、いつのことでしょうか。
(答)24日です。
(問)口上書ですが、特にこちらからリアクションのようなものはあるのでしょうか。
(答)外交当局間のやりとりのため、お答えすることはできません。
(日経新聞 山本記者)事業仕分けの件ですが、広報の経費についてもかなり厳しく指摘されていましたが、これについてどのように受け止めていらっしゃるのか、また、その指摘を今後どのように反映していきたいかについて、お聞かせ下さい。
(報道官)行政刷新会議の外務省関係の仕分け、ヒアリングというのは昨日も行われ、本日、先程終わりました。外務省としては厳しい意見もいろいろ頂きました。本日午後、私もその場に居合わせまして、ヒアリングに参加した訳ですが、この会議の結果を踏まえて、予算の効率化を進めながら、今後の予算編成のプロセスの中で政務三役のご指導を仰ぎ、よく相談しながら、我々としては必要な額を確保できるように可能な限りの努力を行っていきたいということに尽きると思います。
(日経新聞 山本記者)外務省の主張が十分に通らなかったようにお見受けしましが、予算削減のためのこういう手法について、外務報道官はどのようにお考えでしょうか。
(報道官)これは閣議の決定を経て、政権の基本方針でございますので、当然私どもはその下で、そのプロセスに参加し、誠心誠意御説明をして理解を得るようにやっていくということです。このプロセスはまだ続いておりますので、基本的には我々は理解を得られるように努力していくことだと思います。
(1)イエメンにおける邦人誘拐事件
(報道官)イエメンにおける邦人誘拐の最新の情報でございます。昨日来、本件被害者が解放されたという各種報道があったと思いますが、現時点までに被害者の解放は実現しておらず、引き続きイエメン政府が早期の無事解放に向けて対応中であると承知しております。なお、現時点までに邦人被害者に危害が加えられたといった情報には接しておりません。いずれにしましても、早期無事解放を目指していくというのが現在の状況であります。
(2)アルメニア外務大臣の訪日
(報道官)2点目ですが、ナルバンジャン・アルメニア外務大臣及び令夫人の訪日についてです。アルメニア外務大臣ご夫妻を日本政府は、外務省賓客として11月25日~27日まで(の日程で)、招待をします。訪日中、岡田大臣との間で、日・アルメニア外相会談が行われ、2国間関係、国際情勢に関する意見交換が行われる予定になっております。若干の補足をさせていただきますと、ご記憶の方もあるとか思いますが、今年の8月にトルコとアルメニアとの関係改善の動きがみられて、その際、外務報道官談話を出した経緯がございます。そのときは、「外交関係樹立に関する議定書」及び「二国間関係進展に関する議定書」に関する国内政治協議を開始するという合意について歓迎するという談話でございました。さらに、10月10日、スイスのチューリッヒにおいて、アルメニアとトルコの両国が「外交関係の樹立に関する議定書」と「二国間関係進展に関する議定書」に正式に署名をしたという事実がございます。この際にも、日本政府として、両国関係の正常化に向けた動きを歓迎するというメッセージを発表しております。日本政府はこれまで、グルジアを含めまして、アゼルバイジャン、アルメニアという国が集まってる地域をコーカサス地域と呼んでいます。日本政府は、このコーカサス地域における地域の安定化支援をこれまでもやってきているという経緯がございます。例えば、本年の3月にはグルジアの外務大臣を訪日招請、6月にはアゼルバイジャンの外務大臣を訪日招請ということで、この3カ国の中では、今回最後にアルメニアの外務大臣が日本に来られるということで、こうした機会をとらまえて、日本政府として、この地域の安定を支援するというメッセージをしっかり発信し、また意見交換をするということになるかと思います。
(3)米中首脳会談
(報道官)最後に、オバマ大統領の訪中に関して、とりあえずのコメントを申し上げたいと思います。17日、昨日の米中首脳会談において、米中関係に留まらず、経済、金融等の分野での協力、或いは、地球規模問題に関する協力、さらには地域国際社会の課題に関する協力について意見交換が行われて、共同声明が発表されたと承知しております。私共としましては、米国が、中国に対する関与政策を進めることは、中国との間で、戦略的互恵関係の構築を進めている日本と考えを同じくするものであり、望ましいことであると考えております。具体的には、今回、米中が、気候変動の問題について、12月のCOP15の成功に向けて努力することを改めて確認をしたことを歓迎します。日本政府としても、米中を含む、すべての主要経済国が公平かつ実効性のある枠組みで参加するよう引き続き、強く働きかけていきたいと考えています。それから、人権対話の関係でも、言及が共同声明で行われましたが、この件については、国際社会における普遍的価値である人権について、米中両国が対話を行い、相互理解を深めることを歓迎します。我が国としても、日中人権対話の機会を通じて、引き続き日中間の人権分野における相互理解や協力を促進していきたいと考えております。
(北海道新聞 佐藤記者)先程、鳩山総理が北海道知事とお会いになった際に、「北方四島のどこかでロシアの大統領と会談ができれば」という趣旨の発言をされました。この発言についての受け止めと、北方四島で首脳会談を行うという構想の実現の可能性、或いは考えられる課題についてご見解をお聞かせ下さい。
(報道官)一点目として、北方四島で今後首脳会談を行うという計画はありません。ご指摘の二点目として、総理の発言については、「日本側の法的立場を害することなく、北方四島で首脳会談を行うことが出来れば」という総理の一般的な思いを述べられたものと承知しております。
参考までに申し上げますが、四島交流は現島民との間の相互理解の促進を目的とした枠組みでありまして、訪問者等に種々の制約があることもあって、いわゆる四島交流の枠組みの下で首脳会談のための訪問が行われるということは想定されておりません。
(東京新聞 斉藤記者)これから省議が開かれると聞いておりますが、どのようなメンバーで、どこの場でやられるのでしょうか。
(報道官)今の時点で確認がとれておりません。要すれば、大臣にも諮りまして、お伝えしたいと思います。
(読売新聞 志磨記者)米国の上院の本会議でグアム移転経費の予算を削減したことに関して、普天間(基地移設)問題を巡る日本国内の影響も含めて受け止めをお願いします。
(報道官)この動きについては、11月6日の大臣会見で同様のご質問があったと承知しております。その際、大臣も申し上げた訳ですが、本年7月の段階で米国の国防総省の国防予算授権法案の審議が行われ際、3億ドルの予算規模が2億ドルに削減されるというプロセスが一時あって、最終的には、国防総省の方で議会側と調整して元に戻ったということがありました。今回、その授権法を受けて実際に予算を支出する手続き、すなわち国防歳出法案の採択の手続きが行われている訳です。その中で、今ご指摘があったような上院での歳出法案における予算削減の動きがあるということだと思います。何れにしても、7月に起こったことと類似の事が今起こっていると我々は考えておりまして、今後しっかり議会を注視していきたいと思っております。今のこの議会の動きが直接、普天間のワーキング・グループや普天間に関する検証の動きと関係しているとは考えておりません。
(報道官)冒頭1点だけ申し上げたいことがございます。今朝、外務大臣談話として、EUのリスボン条約に関するチェコ大統領の署名についての談話を発出致しました。その趣旨は以下のようなものですので、申し述べます。3日(火曜日)、EUのリスボン条約に関してチェコの大統領が署名を行ったことを歓迎します。この結果、EU加盟27カ国のリスボン条約の批准手続きが終了し、まもなくリスボン条約が発効します。リスボン条約上、「最後の批准文書が寄託された月の翌月一日に発効する」と規定されています。日本政府としては今後、EUがリスボン条約に基づく新体制に円滑に移行することを期待しています。我が国とEUとは、グローバルな課題に共同して対処する戦略的パートナーです。我が国は欧州連合の新たな歩みを歓迎しており、引き続き日・EU関係を強化していきたいと考えます。このリスボン条約のポイントですが、ごく簡潔に補足しますとEUはこの条約によりまして欧州共同体機構の効率的運営が図られます。具体的にはこれまでより広く単純多数決という議決方法が導入されるということで、コンセンサス方式ではなくて単純多数決でEUとしての意志決定を行えるということは、この共同体の深化、共同体がより深まるということは言えるのだろうと考えております。それから外交体制の強化を図るということで、この条約によりいわゆるEUの外務省、翻訳で申し上げますと「対外活動庁」というような訳がとりあえず当てられたようですが、EUの外務省というものができるということで外交面においてもEUとしての、つまり加盟国独自の外交というよりはまさに共同体としてのEUということで欧州外交が展開されます。
(朝日新聞 東岡記者)北朝鮮が使用済み核燃料の再処理を完了したということを発表したと思いますけれども、受け止めと今後の対応があれば教えて下さい。
(報道官)朝鮮中央通信が「北朝鮮が再処理施設を稼働させて8000本の使用済み核燃料棒の再処理を8月末までに完了した」と3日に報じたということは、政府としても外務省としても承知をしております。政府の立場としては、日本を含む国際社会の一致した立場として北朝鮮の核保有は断じて容認はできないというものであります。報道されているように北朝鮮が使用済み核燃料棒の再処理を完了したのであれば、極めて遺憾であると考えます。北朝鮮に対して、日本政府として改めてそうした緊張を高める行動を慎み、関連する国連安保理決議を履行して6者会合に早期に復帰するということ、さらには6者会合共同声明の完全実施に向けて建設的に対応することを改めて求めたいと思っております。
(毎日新聞 須藤記者)今朝の官房長官会見で、岡田外相の訪米について「日程の都合上訪米は見送る」と仰られましたが、半日くらい前に外務報道官のカウンターパートのケリー国務省報道官が岡田大臣とクリントン国務長官の会談について「時間は取ってある。あとは日本の考え次第だ」と仰っていました。オバマ大統領の訪日等、いろいろと大変な時に結局、国会等の日本側の事情で訪米を見送ることになったことは、日米関係に何らかの影響があるのではないかという気がするのですが、それについてどのようのに思われますか。
(報道官)大臣が日程の都合がつかず、今回訪米を断念をすることにしたということは、今朝ほど官房長官が会見で述べられたとおりです。事実関係として申し上げたいことは、今回の訪米については米側として、大臣が訪米されることを歓迎するという意向はございまして、鋭意、日程調整を図ってきたということが一つです。他方、最終的にはご案内のとおり、官房長官が仰られたと思いますが、残念ながら、予算委員会の日程等で調整がつかず断念したということだと思います。日米関係に与える影響如何ということですが、今回の大臣訪米については、オバマ大統領が12日及び13日に訪日をされます。それを前にして、日米間で一層緊密な意志疎通を行うことを目指して調整を行ってきたものです。閣僚級で、まさに外相レベルで意志疎通を行えることは望ましかった訳ですが、他方、今回の訪米が中止になったからといって、日米間では常日頃から緊密なやりとりを行っておりますし、このことによって日米間に何か影響を与えるということはないと我々は考えております。補足しますと、今朝、報道発表をお出ししましたが、カート・キャンベル国務次官補が明日訪日され、大臣の表敬、外務省の関係者との協議が予定されております。ご記憶かと思いますが、キャンベル国務次官補は新政権発足直後でしたが、9月18日に大臣を表敬して、その時に大臣との間で日米関係全般についての話をされているということがございます。明日来られて当然キャンベル国務次官補との間でもオバマ大統領訪日についてのいろいろな協議が行われると考えております。
(テレビ朝日 新堀記者)キャンベル国務次官補は今回のクリントン国務長官との会談がキャンセルになって急遽日程を都合したということでしょうか。それとも、もともと予定されていた会談でしょうか。
(報道官)私の理解は、キャンセルされたから急遽訪日ということではないと承知しております。補足ですが、キャンベル国務次官補は東アジア担当次官補ということで、訪日直前にミャンマーに対する訪問があって、その帰途日本に寄られるということだと思います。
(テレビ朝日 新堀記者)かなり日程がタイトなようなことを伺っているのですが、来られてすぐに帰られるようだということでしょうか。
(報道官)詳細や具体的な時間付け等について承知しておりません。何れにしても明日訪日され、大臣、北米局長とも会うでしょうし、限られた時間の中でもしっかりとした打ち合わせや協議が当然行われると思います。