(1)退任の挨拶について
【松本大臣】本日、内閣総辞職ということで、私(大臣)も就任の日を含めると本日で175日目ということでありますが、この間、メディアの皆さんにも大変お世話になり、この間の職務については、いろいろな形で評価をされるのだろうと思いますけれども、本日に至ることができたことについては、改めて皆さんにもお礼を申し上げたいというように思います。
また、この場を借りて、私(大臣)としては、この175日の間、ともに働いてくれた政務三役、そして次官を始めとする職員の皆さん、在外の皆さんの協力にも改めて心から感謝を申し上げたいと思っております。
私(大臣)自身は、副大臣に就任したのは昨年の9月でありましたけれども、日本という国は、やはり世界とつながっていく、開かれた中で発展をしてきた国であります。鎖国時代の江戸時代に、ある意味で日本の文化が昇華をしたという見方もあると思いますけれども、経済、文化、多方面にわたって広く日本がその強みを発揮するのは、やはり開かれた時代であったと思っておりますし、日本の文化そのものも世界の文化をしっかり取り入れていく中で、まさに日本の強みというのは、あらゆる面で発揮をされてきたと思いますので、そのような開かれた日本をつくっていくということ。そして、それを安定させていくということは、大変大きな役割であり、そうなれば外交の役割というのは非常に大きく、それを担う外務省の役割というのも大変大きいと思っておりました。
そういう意味で、残念ながら、ともすれば公務員バッシングや官庁に対してネガティブな評価が比較的多い時期になってきていたわけでありますけれども、まさに日本にとって、国にとって、そして国民にとって最も大事な仕事を担っているという気概を持って、大いに力を職員も、そして政務三役も発揮してもらいたいという気持ちで、この1年間、とりわけ大臣としての半年間取り組んでまいりました。
特に外交は、それぞれの国の利益があり、また、立場がある中で、我が国の立場と利益をしっかりと確保しつつ、また、開かれた国としては、世界の平和と安定と繁栄にも貢献をしていかなければいけないという大変大きな役割と難しく、またやりがいのある役割があるわけでありますから、そのことの最前線にいるという自覚を持って、一人ひとりが働いていただけたらなと思って取り組んでまいりました。
結果を追求する、追い求める粘り強さというのが必要ではないかと思い、至らないながらも、先頭に立って活動をいたしてまいりました。外交は、もちろん外国等の相手でありますが、皆様よくおわかりのように、交渉するに当たっては、相手との交渉も大変重要でありますけれども、持ち帰ってからの調整力というのも非常に重要でありまして、両面で力をつける粘り強さというものを持っていきたいと思いながら取り組んでまいりました。
同時に、短期的に解決をする問題もあるわけですけれども、非常に長期的に、しかし一歩一歩前進させて結果を出していかなければいけない戦略的な課題も外交においては数多くあるわけでありまして、戦略を立てて取り組んでいく、継続をしてしっかり取り組んでいくということも必要なことではないかなと思いながら取り組んでまいりました。
併せて、これもやはり外国という相手があるからでありますけれども、常にこれまで取り組んできたり、相手に対して行ってきたことをしっかりと見据えて、そして振り返って検証するということも非常に重要なことだというように思ってやってまいりました。特に従来やってきたことを検証して、場合によっては新たな方向を打ち出すためには、政務の役割が非常に重要であります。そういう意味で、政務三役と事務方職員との連携ということについても、より一層深めていくことが必要であるという視点から、職員の皆さんにも、政務三役の皆さんにも努力をお願いしてまいりました。とりわけ、この政務三役が最前線に立って働くという仕組みは、新たな民主党政権になってからのこの2年間の特色でもあろうかと思いますけれども、いわば政務三役と事務方と、私(大臣)は余り距離感は要らないと思っているのですが、距離感とか間合いの取り方について、2年経過をして慣れてきはじめていただいて、距離感がつかめるようになっていただきつつあるのではないのかなというように思っております。
実際に皆さんもよくご存じのとおり、この間、政務三役、菊田さんはアフリカやアジア太平洋諸国を飛び回っていただきました。徳永さんには中東などの地域に労をいとわず何度も何度も足を運んでいただきました。山花さんも南米に何度も足を運んでいただき、先週も最後まで南米に足を運んでいただいて、昨日無事に帰ってきた中で話を聞いたら、思わずコートを着込んだまま南米から戻ってきて、成田に降りた途端に汗が噴き出したというような話をしておりまして、本当によくやってくれたなと思います。
高橋副大臣には世界各地を飛び回ってもらうと同時に、省庁間折衝の最前線にも立っていただいてご苦労いただきましたし、伴野副大臣はともに副大臣をしていたときからのいわば盟友として、私(大臣)自身の至らないところをすべて統括してもらうなど、ロシアを始めとする枢要な国々にも度々足を運んでもらって、大いに活躍をしてもらって本当にありがたく思っております。
また、先ほど申し上げたように、外交で力を発揮するためには国内でも力を発揮することが、本当に日本のためになる強い外務省をつくることだということで、あえて「霞が関に強い、国会に強い、そして国民に強い外務省になってほしい」ということを申し上げてまいりました。
「霞が関に強い」というのは、先ほど申し上げた調整力というものは、大変必要なものだろうと思いますし、「国会に強い」というのは、あえて言葉を選ばずに言えば政治力というものも必要だろうと思いますし、「国民に強い」という意味では、広報力というものが大変大きなポイントになるということでお話を申し上げてまいりました。
外交でありますから、申し上げられないこともたくさんあります。ここで皆さんに問いをいただいて、その場でお答えすることができない、何年か経たないとお答えすることができないことについては、そのようにお話をさせていただいてまいりましたけれども、他方でできるだけお話しできることはしっかりお話をしていきたい。また、過去のことでも情報を公開できるものはしっかり公開していきたいということで、これは民主党政権の基本の姿勢も含めて取り組んできたつもりであります。
私(大臣)にとっては、今申し上げたことの多くは課題のまま残っております。職員の皆さんとも、若い人も含めて膝を交えて話をする機会ももっとたくさんつくりたいと思いまして、何度か機会をつくることはできましたけれども、つくり切ることはできませんでした。
省内の職場もあちらこちらのぞいてみたいと思っておりましたけれども、残念ながらこの外務省全部をのぞくには到底至らないまま、副大臣時代も含めた1年間ということになってまいりましたが、これからも省内も省外ともコミュニケーションをよくして、しっかり強い外務省を築いていっていただけたらなと思っております。
会見でお目にかかる皆さんとの間の信頼関係も、これから築いていかなければいけないところで、これはまだ課題のまま残っておるだろうと思っております。率直に話をしておるつもりですけれども、率直に受け止めていただけたらありがたいなと思うことが多々ありました。
本日、菅内閣は総辞職をいたしたわけでありますが、1つだけ是非この点は私(大臣)の言葉を信用していただけたらと思いますが、この数日間の中にも例えば「菅内閣、菅総理、訪中や訪米や国連総会など延命のために利用」、そんなことはないと会見で何度も申し上げてきましたけれども、そういう報道がありましたが、改めて申し上げたいと思いますが、これは一切ありません。国連総会などについてあえて違うようなことがあるような指示が出ていたりとか、中国についても訪中をあえて日程をトライするような指示を受けたりということは、私(大臣)が知る限りありません。訪米については皆さんご存じのとおりでありますけれども、対米関係、日米関係というのは大変重要でありますので、当然9月上旬の訪米についてはお互いに迷惑もかからないように、忙しい身でもありますし、見送ることになったわけですけれども、見送りに至るマネージについてもしっかり行われてきたと思っておりますので、決してそういうことはないということだけは是非ご理解をいただきたい。外交で何らかのそういう政治的利用が行われたということは、私(大臣)はなかったと是非申し上げたいと思いますし、是非そのようにお受止めいただきたいと思います。
外交の本来の課題というのは山積をいたしております。もちろん、私(大臣)にとりましては3月9日夕刻に就任をして、11日の午後には大震災が発災をいたしましたので、震災対応ということも大きな課題になったことは事実でありますけれども、同時に我が国が震災から復旧・復興していくためにも、日本外交というのはしっかりと推し進めなければいけないという意識で取り組んでまいりました。
我が国にとって最も重要であり、機軸である日米関係についても、新しい政権は日米の信頼関係というのを1からつくらなければいけなかった部分というのが、順調に進んでいたかと言えばさまざまな評価があっただろうと思いますけれども、この2年間の今に至った段階では、大変率直に意見交換もでき、協力をするところは協力ができ、もちろん深く長い関係であり、将来にも必要な関係であるからこそ課題もたくさんあることは否定いたしませんけれども、着実な関係の前進を図ることができていると思っています。
中国、韓国などアジアの近隣の各国とも率直に話をできる関係は、前大臣からもしっかり引き継ぐことができたのではないかと思っております。中韓の外務大臣とはかなりの数、会談、そして国際会議の場で言葉を交わすなども含めれば、かなりの接する機会を得て、もちろん立場も違う、利益も違いますので激論をすることもありましたけれども、率直に意見交換ができるという意味では、大変我が国との関係も将来に向けて発展的に持っていけるのではないかと思いますので、是非そういったものも次の方に引き継がれるものと思っておりますし、引き継いでいきたいと思っております。
ASEANの国々とも何度もお話をする機会があり、我が国とASEANとの特別な関係も維持・発展をすることができたのではないかと思います。本年の議長国のインドネシアのマルティ外務大臣や、ベトナムの外務大臣などとも度々必要性もあって意見交換をする機会がありました。
また、私(大臣)自身は日本のこれからを考えたときには、新興国との関係というのも是非深めていきたいという思いを持っておりまして、これは外務省に入る前に既に議運委員長の訪問国として南アフリカを選んだときからそういう意識は持っておったわけでありますけれども、ブラジル、南ア、インドなどの外務大臣とは度々意見交換をする機会も得られて、これからも我が国にとってもそれらの国々との関係というのは、国益の面からも、国際的な戦略の面からも非常に重要になってくるのではないかなと思っているところであります。もちろん、副大臣として担当していたということもあります。アフリカについても大変関心を持って取り組んできてまいりました。南米もそうであります。もちろん、ロシア、そしてイギリス、フランス、ドイツなどのヨーロッパの国々との関係も重要であります。
そういう意味では、それぞれの外務大臣とも度々出会う機会を得られたことは非常に良かったと思っております。
今、手元に来ているのでは、訪問した国は13か国、40か国の外務大臣と延べ65回ということで記録があるようであります。
私(大臣)自身は、3月9日から本日に至るまで、実は、すべて国会は開会中でありまして、一度も閉会中の期間がありませんでしたので、従来の慣例からすると、海外出張というのも決して容易ではなかったわけでありますけれども、政務三役や職員の皆さんの努力で、与野党の理解をいただくことができて、しっかりと海外出張を行うこともできたかなと思っているところであります。
本日、総辞職ということで、私(大臣)は大臣の職にも区切りがつくことになりましたけれども、日本の外交の重要性であり、また、日本の外交のこれまで積み上げていた資産というのは、しっかりと引き継いでいかれると思いますし、私もしっかりと引き継いでまいりたいと思っております。
今、申し上げたように、課題はまだまだあるわけでありますけれども、次の大臣の下で、是非、皆さんとの信頼関係も深めていただく中で、いい意味で、まさにメディアを通して、外交が国民に伝わるように皆さんのお力添えもお願いをして、私の退任に当たってのごあいさつにしたいと思います。
ありがとうございました。
【共同通信 斎藤記者】外交総括のお話は、恐らくほかの記者さんが聞かれると思いますので、個別のイシューを1つお伺いしたいと思います。
それは、朝鮮高校の無償化の話ですが、報道によれば、昨日、高木文科大臣が記者会見で総理から指示があったということを発表した上で、その際に、審査開始手続に向かう理由について、総理が次のように語ったと話されています。
北朝鮮は11月以降、延坪島砲撃に匹敵するような、そうした軍事行動に出ていないと。南北対話の動きもある。延坪島砲撃以前の状態に戻ったと総合的に判断したと報じられています。
この総理の指示内容を外務省として確認しているかどうか。そしてまた、このように総理がおっしゃっているとすれば、これは松本大臣も同じような認識に立っているのかどうか。この点について確認させてください。
【大臣】高校無償化の手続にかかわらず、逐次、地域の情勢、そして世界の情勢については総理と認識を共有するようにはいたしてまいりました。
その意味では、今お話がありましたように、昨年11月のいわゆる延坪島砲撃が発生をしたこともあって、手続について一旦、その進捗は停止をされたと理解しておりますが、総合的に判断をして、状況・事態として、少なくとも昨年11月の北朝鮮の砲撃以前の状況に戻ったと。不測の事態には常に備えなければいけないわけではありますし、北朝鮮の行動の予測を断定的に述べることは適切ではないと思いますけれども、他方で7月には非核化に関する南北対話、米朝対話が行われるなど、北朝鮮と各国との対話の動きも生じていることなども踏まえて、総合的に状況を判断いたしましたので、今の状況の認識という意味では、総理と私(大臣)、そして政府として認識を共有したということに立って、そのような判断が行われたのだと、指示が行われたと思っております。
申し上げるまでもないことですけれども、この審査手続の再開については、基本的には、外交上の観点ではなくて教育上の観点から客観的に判断をされるということでありますので、今後は文科省が手続にのっとって進められる、判断されるものと理解をしております。
【共同通信 斎藤記者】これは外務大臣というか、国務大臣としてお伺いをしたいのですが、総辞職を翌日に控えた段階でこの問題について指示が出たということについて、もし何かコメントがあればいただきたいということと、この問題についてはご案内のとおりで、随分、いろいろな議論がありました。賛否両論がありました。こういう形で、ひとつまた新たな方針が出たことについて受け止めがあればご説明いただきたいと思います。
【大臣】総理としてもご自身の判断で停止をされたわけですが、これは本来、手続を停止したわけですから、どこかで手続を再開するということは常に念頭におありだっただろうと思います。その意味で、総合的に判断をして、最終的にというのでしょうか、総理としては最終的に昨日、指示があったものと思っておりますが、率直に申し上げて、情勢の分析であるとか、対外的に発表させていただくまでの手続などの確認等々も含めれば、数日間でこれはできる話ではありませんので、しっかり時間をかけて議論をしていく中で発表する日が昨日に至ったものだと私(大臣)は理解をしております。
【NHK 稲田記者】大臣も先ほどおっしゃられたように、菅内閣が総辞職されました。震災以降、閣内や与党からも早期に辞めるべきだという声も上がる中、本日8月の末に総辞職ということになりましたけれども、内閣として松本大臣はこの菅内閣をどのように見られますでしょうか。
また、本日にも首班指名が行われ、野田総理が誕生されますけれども、与党の一員として、野田内閣、そして野田代表の下での民主党というものにどういったことを期待されるでしょうか。
【大臣】菅内閣という意味では、先ほども申し上げましたように、私(大臣)もその一員でありますので、評価をする立場にはないと思います。
その上で、最前線にいる者としては常にベストを尽くしてきたかと問われることに対して、そのことは胸を張ってイエスとは言えると思いますけれども、改めて振り返ったときに、すべてのことができているのか、もしくはあらゆる可能性について本当にできているのかと言われれば、それはもっとできるということもあったかもしれません。と言うと、多分そこだけをとられるのだろうなと思いますけれども。
ただ、この間、私(大臣)自身も、直接何度も、例えば米国の関係者とお会いをしていても、日米関係も着実に信頼関係も増進をしてきたと思いますし、また、先ほど申し上げたように、中国や韓国の日本にとって大切な国々とは、課題もたくさんあるのですけれども、少なくとも外交当局者の信頼関係の増進ということは、着実に前進をしてきたと思っておりますので、総理の指導の下で外交についても役割を果たしてきたところは、果たし得てきたのではないかなと思います。
もちろん、時間に限りがあったことと、さまざまなことがあって、まだまだやりたいことイコールまだできていないことと言えるかもしれませんけれども、あることも事実だろうと思います。
震災の対応についても同様でありまして、残念ながら多くの被害と、そして現在に至るまで、引き続き原子力発電所の収束へ向けてが課題になっており、それに伴って避難をされている方々も含めて、多くの方々の生活がとても日常に復したとは言えない状況がまだ続いているという結果は、厳然として存在をするわけでありますから、まだできることはないのかということを常に考え続けなければいけないのも、我々の使命ではなかろうかと思っております。
先日、バイデン副大統領が来られたときも、米国としてはできる限りのことはしたということは言えると思うけれども、それでもなおかつ、この状況の中ではまだ何かできることはなかったのか、そういう思いは常に残るというような趣旨のことをおっしゃっておられたように記憶をいたしております。全くその気持ちは私(大臣)も同感でありますので、何らベストを尽くしたという意味では恥じるところはないと思っていますが、引き続き重い結果が、またさまざまな課題があるということからすれば、やらなければいけないことはあるという認識は強く持っていると思います。
【NHK 稲田記者】野田内閣の下の民主党としては。
【大臣】今回の代表選挙は、私(大臣)にとっても非常に難しい選択で、どの方とも、ともに働いたことがありましたので、それぞれ皆さん、いわば強みを持ってその任を果たし得る方だなという中での選択でありましたが、結果的に野田財務大臣、先輩が選ばれたわけであります。
野田さんが初めて代表選挙に出られたのは2002年の代表選挙でありまして、そのとき私(大臣)は野田さんの応援をしていたわけでありますけれども、そのときの野田さんも含めた我々の共通認識というのは、そのときは実は、代表選挙に出られたのは、あとは菅総理と鳩山前総理と横路現衆議院議長のお三方であったわけでありますけれども、我々の気持ちとしては民主党を創設し、そこまで引っ張ってきていただいた先輩方に感謝をしつつ、次のステップへ民主党が移るためには若いリーダーというのが必要なのではないかということで、当時の野田さんをいただいて、みんなで代表選挙運動をやったことをよく記憶をいたしております。
基本的には、これまで代表を務められた、とりわけ菅総理、鳩山代表、そして小沢元代表、また政権交代の直前はこれに輿石参議院会長を加えた四方が、いわば幹部として指導してこられたわけでありますけれども、諸先輩方に感謝をしつつ、そして引き続き指導をいただきつつ、次の世代が最前線で頑張るべきときが来たのかなというのが率直な考えであります。
旧の民主党、そして旧の旧のと言った方がいいのかもしれませんけれども、1996年に民主党という名前の政党ができて以降、私(大臣)が知る限り、多分、菅総理、鳩山前総理のどちらもが出なかった初めての代表選挙ではないかと思っておりまして、いずれにせよ、新しいページが開かれたわけでありますから、これまでご尽力をいただいた諸先輩方の力も含めて、しっかりと力を合わせることが重要だと思いますし、昨日も野田さんは開口一番「ノーサイドにしましょう」とおっしゃったことは非常に印象深く、その下で皆が力を結集することができるのではないかなと期待もいたしているところであります。
【朝日新聞 松村記者】野田新代表の下での野田外交についてですが、外交のトップは総理大臣であるということになっておりまして、ただ、昨日の投票前の演説を聞いておりましても、やはり外交についての言及がなかったと。野田外交について今後、野田さんがどの方向性でやっていくのかということが今一つはっきりしません。そういった中で野田外交について求めるもの、アドバイス等があれば教えてください。
【大臣】アドバイスをする立場にはありませんけれども、昨日は限られた時間でしたので、また対象が、もちろんテレビの中継もありますから、国民の皆様も聞き手であるという意識もお持ちだったとは思いますけれども、まさに代表選挙でありましたので、目の前にいる有権者である国会議員に向けて改めて自分の思いを述べられたものだと私(大臣)は理解しております。それは、国会議員同士でありますから、これまでの野田さんの考え方とか政策等については、一定の理解がある、他にも話をする機会も度々ありましたので、そういう前提で最後にお話をしたいことだけお話をされたと理解しています。その上で申し上げれば、私(大臣)もここで一度申し上げたことがあるのではないかと思いますが、民主党という党が政権を取ることができた一つの大きなポイントは、日米を機軸とするということなどを始めとして、「外交の継続性」ということを否定しない政党であったということにあると私(大臣)は思っております。もちろん、これまでも自民党政権の中でも閣僚が変わったり、総理が変わったりして個別の課題についてさまざまな発言や方針転換や新たな一歩が踏み出されたことはあるわけですけれども、大きな枠組みというのは維持をされてきたと思っています。日米を機軸としつつ、中国、韓国を始めとするアジアの近隣諸国との関係も育みつつ、また東南アジアの国々の発展を支え、そして共に発展をしていくという姿勢を示し、これは一つ一つを申し上げるとあれですが、非常にそういう視点というのは引き続き持ってきて、この2年間やってきたと思いますし、この基本的な認識は野田さんも全く共有していると思っております。どのような形で今後どのような体制をお組みになるか分かりませんけれども、すでに9月の国連総会関連を始めとしてさまざまな外交日程が組まれているわけですが、国際会議の日程があるわけですけれども、しっかりとこれについて取り組んでいただけるものだと確信をいたしておりますし、その中で、先ほど申し上げたような課題も含めて着実な前進を、まさに政治を前進をさせていただけるものだと期待をし、私(大臣)も与党の一員として支えていきたいと思っています。
【朝日新聞 大島記者】今の関連の質問ですが、「外交の継続性」ということについてお伺いしたいと思います。外交安全保障政策というのは一定の継続性というのが必要ということはもちろんだと思いますが、一方で民主主義社会では政権交代があった以上、外交政策も変わる対象の例外ではないということは、最近、例えば米国の例などを見てもそういうことなのだと思いますが、民主党というのは、外交についても民主党政権になったら、このような外交を展開しますという主張があったと思います。それで今、これまでの2年間の内のおよそ半分を、大臣は副大臣、外務大臣としてここにいらっしゃったわけで、では、いままで訴えてこられた外交政策、あるいは外交意思決定のあり方というのは、実現できているのかどうか、そして、もし十分実現できていないとすれば、それはどのような理由であったとお考えなのか、この二点をおうかがいしたいと思います。
【大臣】「個別の課題については、もちろん変わり得るけれども」と併せて、「継続性」ということを申し上げたのも一つはやはり、国内の課題であれば主権者である国民の皆さんの選択に従って、出来るだけ早くその政策を推進・実行することが民主主義の基本でもありますし、預かった役目でもあろうと思いますが、外交の場合はそれに加えて外国との関係というのが出てくるということがあると思います。ですから、日本の方で選挙で政権が変わったから、従来の外交上の約束はすべてゼロからスタートをできるかということになれば、出来る、出来ないということも含めて、望ましくないことは間違いないというように思います。日本の信頼ということからすれば、約束の上にスタートをして、そしてその上で、是非とも必要なことであれば、場合によっては交渉を開始をすることが必要だろうと思いますし、総合的に考えた場合に、そのテーマについては、出来れば変えていくことが望ましいけれども、その国との関係を総合的に考えた場合には、それ以外の喫緊の課題に取り組まざるを得ないという判断もあるだろうというように思います。その上で、個別のテーマについて、選挙の際に外交等でも話をさせていただいたことでも、実現を出来ているもの、出来ていないものというのはあります。例えば、ご意見はさまざまありますが、インド洋の給油については、やはり区切りを付けるということを申し上げてまいりましたし、これはいわば、非常に前向きな方もあれば、必ずしも前向きではないにせよ、国際社会の理解と了承を得ながら、最終的に区切りを付けることができたわけでありますし、そのように実現を出来たものもありますし、また実現にいたっていないものもたくさんあるのも事実であります。ただ、国内の課題以上に、時間がかかるか、手間がかかるかということが事実だということは国民の皆様に率直に申し上げなければいけないと思います。その意味で、外交についても何点かこれまでお話を申し上げてまいりましたが、外交において与えられている課題に比べれば、マニフェストに書いてあることというのは一定の限定的にならざるを得ないというのもそういう事情ではないかと思います。マニフェスト作りにも何度か携わってきたものとしては、率直に思っています。
【朝日新聞 大島記者】今、インド洋の給油という話がありまして、先ほど新興国外交という話もありましたが、少し聞き方を変えますが、では、大臣ご自身の一年間の取組として、民主党政権になった松本副大臣、大臣としてこういうことをやりましたということは、どのようなことがあるのですか。
【大臣】私(大臣)がやったということは何もないと思います。外務省全部でやっていることですから、それは個別、個別で発表していると思いますので、今一つ一つを取り上げてということで申し上げると、例えば個別の国の名前をあげるのも、あまり必ずしも具合が良くないので、それはご容赦をいただきたいと思っています。ただ、冒頭で申し上げたように、我々が政権を引き継いだ時点で、ここでも申し上げたことがあるような気がしますが、新たな、しかも全体とすれば、若い民主党になぜ国民が政権を付託をしたのかといえば、旧の政権ではどうも解決をしそうにない課題がたくさん残っていると。そうであれば、新しい政権で、新たな取り組みで、しっかり解決をしていただきたいということが国民の付託された最大の部分だと私(大臣)は思っておりますし、そのために、一つ一つの課題を、従来の中では課題のまま残っていたもの、縦割りの問題等も含めてあるとすれば、そこに政務三役という形の、政治主導の形の活動によって、新たに動けるものがあるのではないかと思っております。私(大臣)も含めて、政務三役の努力で、省庁間の壁が従来よりは早く、もしくはしっかりと突破をできることによって、例えば、経済連携交渉等もそうでありますし、また小さな課題といったら語弊があるかもしれませんけれど、一つ一つの課題では、実は省庁間の折衝が行き詰って、そのままになっていた課題というのがたくさんあるのですが、こういったものも一つ一つ解決に進んでいるという意味では、着実に従来の課題や宿題を一つずつ解決をするという民主党の役目は果たしつつあるのではないかなと思っております。
【読売新聞 小川記者】民主党政権が誕生して2年間で3人目の首相ということになりますし、その前も含めれば毎年のように首相が替わっているという現状にあります。そうした中で首脳外交を見ても訪米が延期されたり訪中もなかなか決まらない、また、韓国の大統領の訪日といったことも決まりませんし、TPPもなかなか方針が決まらない、また、領土問題でも中韓ロシア、領土を巡る問題でも周辺国からの攻勢があり、日本が受け身のように見えます。今、日本の発信力・外交の存在感というものが低下しているのではないかという批判がありますけれども、こうした批判に対しては大臣はどのようにお考えでしょうか。
【大臣】この175日間の私(大臣)の記者会見の中身を正確にお伝えいただけたら、そういう評価にはならないと確信をしております。
(1)日米行政協定改正交渉に係る資料の公開について
【松本外務大臣】本日、外務省のホームページで1953年に行われた日米行政協定第17条の改正交渉に係る資料の公表をいたします。日米行政協定は日米地位協定の前身にあたるものであります。その第17条は米軍人等に対する刑事裁判権を定めた規定であります。外交記録の公開については、基本的には文書の歴史的意義については文書をご覧いただいてご判断をいただく、「文書自体に語らしむ」という考えの下で行ってきているということで、ご関心のある方に公表する文書をお読みいただきたくというのが基本の姿勢であります。ただし、この関連で、この本件協定の改正については、我が国が一定の場合に刑事裁判権を放棄するとのいわゆる「密約」があったのではないかとの指摘が国会等でもなされてきたという経緯もありますので、簡潔にご説明を申し上げたいと思います。
今回公表することになった文書に示されているのは、概略次のような経緯であります。
1953年の日米行政協定第17条の改正交渉において、米側は日本側による第一次裁判権の原則放棄を求めましたが、日本側はこれを拒否するとの方針で交渉いたしました。その結果、最終的に米側はその立場を撤回し、日本側として第一次裁判権を放棄することなく、交渉が妥結をいたしました。その際、合同委員会の下の刑事部会において、日本側代表(法務省課長)が、日本側にとって実質的に重要と認める事件以外については、第一次裁判権を行使する意図を通常有しないとの日本側の運用方針を米側に対して説明することとし、同年10月28日の同部会において、日本側代表がこのような発言を行ったということであります。
この日本側代表の発言は、起訴、不起訴についての日本側の運用方針を説明したにとどまるものであって、日米両政府間で何らかの合意を行ったものではありません。日本側が第一次裁判権を有する米軍人等による「現在」の事件については、関係当局において、個別の事件に即して、我が国の法に基づき適切に対処しており、米軍人等による事件とそれ以外の事件とで起訴するか否かの判断方針に差はありません。この二点については、昨日の日米合同委員会において、日米両政府の理解が一致していることを確認いたしました。この昨日の日米合同委員会でのやり取りも、本日併せて公表することにいたしております。
日本側代表の発言の記録は、外務省が保管していた過去のファイルには含まれていませんでしたが、今回、米側とのやり取りの中で、米側から記録の写しの提供がありましたので、本日、併せて公表することといたします。
【朝日新聞 大島記者】今の件について二点お伺いしたいと思います。まず一点目は、大臣もおっしゃった、いわゆる「密約」があったのではないかという指摘というのは、これは自民党政権時代からあったわけですが、密約というものを何をもって密約とするかというのは、それぞれ解釈があると思うのですが、大臣ご自身のお考えとしては、これまでの政権が密約というものの存在を否定してきたことについては、適切であったかどうか、どのようにお考えでしょうか。
二点目は、この件については報道もされていますし、米側の文書も明らかになっておりまして、それに関して、文書の開示というのは情報公開請求等もあったと思いますし、国会でも質問等があったと思います。それに対して、今まで日本政府としては一切この文書は存在しないと言ってきたわけです。おそらく文書が存在しないと言ってきた根拠というのは、本日公表いただいた10月28日の日米行政裁判権小委員会刑事部会の日本側代表の発言という文書、これは日本側に存在しなかったがために、日本政府としては公表してこなかったということだと理解しています。ただ、本日公開された資料の中には、この最終的な文書そのものはないにせよ、これに至るまでの日本側の草案と思われるものですとか、交渉の経過というのが、日本側の文書にはあったわけです。その質問というのは、今までこうした関連する文書が一切ないとしてきた過去の日本政府の対応というのは、適切であったのかどうか、この二点をお伺いしたいのですが。
【大臣】まず一点目については、昨年のいわゆる「密約」の議論でも、有識者の方々も一定の定義をご自身で設けて、その定義に当てはまるかどうかという形で密約という議論をされていると承知しておりますので、いわゆる「密約」という言葉を一般的にどのように使うかということを、今この段階で私自身もな定義があると思っていますので、密約に当たるかどうかといったようなことを、またそれが適切かどうかということについてはコメントし難いところがありますけれども、合意がなかったということは確認ができたというように理解をしています。
それから二つ目については、これまでのすべての回答を正確に私(大臣)も承知しているわけではありませんが、当該文書がなかったことは事実であることは間違いないので、それについて「不存在である」とお答えしてきたというように、私(大臣)は理解しております。その上で、過去にどのように答えてきたのが適切であったかどうかというのは、その時々の政権が、最終的には大臣が責任をもって判断をされた上で答えてきたものだと思っておりますが、ご承知のとおり、一昨年の政権交代以降、岡田、前原、そして私(大臣)の下で文書については精査をした上で、もちろん外交でありますから現段階においても公開できないものもあるわけですけれども、公開できるものはしっかり公開をしていくという方針の下で公開が進められた中で、今回の公開に至ったとご理解いただけたらと思います。
【朝日新聞 大島記者】全体としてお聞きしたいのですが、今回、民主党政権としてこの文書を公開されたということですが、そうしますと自民党政権時代の対応、文書の存在があったかどうかという答弁等も含めて、あるいは政府の見解というものについて、今回の文書の公開をもって何か当時の対応と変わるものは何もないと、あるいは当時の対応として問題があったという認識は特にないということでよろしいですか。
【大臣】それは公開に対する話ですか、それともまさに地位協定の運用の問題についてということなのですか。
【朝日新聞 大島記者】公開です。公開するかどうかとか、あるいは密約とされるものはなかったという見解についてです。
【大臣】過去の政権がどの時点でどのような判断をしたのかというのと、それをどこでどう変えるのが適切であったかというところについては一概に申し上げにくいので、私(大臣)がどれが適切で不適切であったということは申し上げるべきではないと私(大臣)自身思っておりますが、先ほど申し上げた趣旨は、もちろん一定の時間の経過ということもありますけれども、情報公開については私どもは前進をさせたいということで、それを実施をしているというようにご理解いただきたいと思います。
【NHK 吉岡記者】大臣は「合意はなかった」という点を強調されていたと思うのですが、それはすなわち、秘密裏にそうした約束はなかったということをおっしゃっていて、すなわち密約ではないと、密約の定義は置いといて、そういう問題があったとは考えていないというご認識なのかというのが一点です。
もう一つは今おっしゃった情報公開を前進させたいということで臨んだということですが、その情報公開をした結果について、一問目のクエスチョンとかぶるかもしれませんが、情報公開を進めた結果、民主党として、あるいは外務省として、この件に関しては問題がなかったというご認識でしょうか。
【大臣】簡単に申し上げると、先ほど大島記者に答えたとおりですが。問題ということの意味がよくわからないので、情報公開を進めることが問題だと思っていません。
【琉球新報 松堂記者】米国側が公表した1953年の交渉記録では、日本側が取り極めを交わしても秘密にしておけるかという疑いを持っているというように書かれているのですが、それについて日本側は当時秘密にしておくことを意図していたのではないかと思うのですが、それについてお聞きしたいのが一点と、あと起訴率に関してですが、一般の日本人が2010年で44%ほどの起訴率らしいのですけれども、米軍関係者に関しては11%ほどでかなり差があるような感じがするのですが、それについてご意見をお聞かせ下さい。
【大臣】前半については、私(大臣)も完全に全ての資料を今回公開したものを読むだけの、残念ながら時間がなかったのですが、交渉経緯の概ねの流れを見ている限りは、当時はやはり日本の外務省として日本に第一次裁判権の行使を確保すべく外交交渉の努力をしているというようには率直に言って感じております。結果として、やはりそういう交渉が、いわばこれについて実って一次裁判権をしっかりと制度上日本側に確保することができたという結論には達したのではないかと。その交渉の過程において、どのようなやり取りがあったかというのは双方それぞれの記録について、全てが確認できるわけではないので、コメントをし難いところがありますけれども、率直に申し上げれば、これは外交に限らず交渉している間とか一定の交渉の結果が滑り出すまでは対外的に出す場合出さない場合どちらが交渉しやすいかというような判断は働く可能性はあると思いますので、今お話があった点が具体的に私どもで確認がとれているとか、今私(大臣)が承知をしているとかいうことではないので、それを裏付けるようなことは申し上げられないと思いますけれども、一般的にはさまざまなことの交渉の中は行われているだろうということは推測はつくだろうと思います。ただ、私(大臣)は大切なことはやはり日本の国として第一次裁判権をまず確保するということは、放棄を求めてきたことに対して交渉を行ったわけで、結果そこは実ったということが大変重要なことではないかと思っています。
二つ目の起訴率はどこの数字をとっておっしゃっていただいたのか分からないのですが、起訴率については取り方でさまざまな数字があると理解をしております、どこをとってどう多いのか少ないのか、全事件でとれば必ずしもそんなに有意な差がないという方もありますし、一定の範囲でとると差があるというようなご意見もあると承知をしております。こういう議論はかつて国会でも起訴率に差があるのではないかというように議論された中では、昨年の4月に参議院の外交防衛委員会でやり取りが行われていて、これについては法務省の答弁では相当影響しているのではないかというように考えられる原因の一つとして微罪処分の話を挙げていることは、多分松堂さんはご存じだろうと思います。どこでとるかということで、こういうことの数字は影響が出てくると思いますが、判断方針には差がないということは確認されておりますし、それは日米共通の理解だと思っておりますし、そのように適切に対応されているものだと考えています。
【共同通信 斎藤記者】現在の日米地位協定について、大臣は、この任期の間にいろいろとこの関連の問題を見てこられたと思うのですが、率直な感想をお伺いしたいのですが、現在の日米地位協定は改善する点があるべきと考えるかどうか。そして今後、日米同盟を基軸に日本外交を進めていくという観点に立った場合、この日米地位協定に対する沖縄の皆さんから出ている不満等々を解消するための努力を今後どうしていくべきなのかどうか、率直な感想をお伺いしたいと思います。
【大臣】一応、まだ私(大臣)は在任中ではあるのですけれども、それは区切りがちゃんと来たときにお話をすることもあると思いますが、現段階でお話をさせていただければ、地位協定というよりは、地位協定に関係をするさまざまな事案、それは事件・事故であったり、環境であったり、また、それだけに限定をされませんけれども、それに伴う結果としての取扱いであったり、例えば事件・事故の場合の処分の連絡であったり、内容についても声を出していらっしゃる方がいるというように承知をしていますけれども、そういったことについては、今の仕組みの中でまずできることを、現在職責をあずかっている者としては、ベストを尽くしたいと思ってやってまいりました。制度などでも、改善が可能なものがあれば改善をしていきたい。それは協定そのものを変えるのか、現行協定の中でも、運用の改善という言葉を今まで使ってきておられますけれども、実質的には制度を変えるという内容になるようなことで努力をすることで足りるのかということで、いろいろ努めてきたつもりであります。いくつか宿題もありますし、答えが出てくれるのではないかと期待できているものでも、現段階ではまだ答えができていなかったり、皆さんにお知らせできないものもあるわけですけれども、これはいずれにせよ、我が国の外交当局としては責任を持って、沖縄を始めとする、でも、これは沖縄だけではなくて日本全体の問題ですけれども、基地関係の方々がいわば最前線でありますから、そういった方々も含めて、日本の問題としてしっかり取り組んでいかなければいけないと思います。
他方で、全般的に見れば、日米で結んでいる地位協定が国際的な地位協定の標準から著しく外れているかといえば、必ずしもそうは言えないというのは間違いないところだろうと思っております。ですから、その中で我々として、しかし、どのように声に応えていくのか、そして実際に今できることが何があるのか、目の前でできること、それからしっかりと腰を据えて取り組むべきこと、いろいろありますけれども、それを両面しっかりやっていくことではないかなというように思っています。
もちろん、世界の平均だからそれでいいということを申し上げるつもりはないわけですけれども、さまざまな形でこういった問題というのは、やはり国際的な標準というのをある程度視野に入れて物事が動いていく面があることだけは頭に置いておかなければいけないのではないかなというように思っています。
【朝日新聞 鶴岡記者】運用の改善に努めているのは承知していますし、改定が簡単ではないことも理解していますけれども、民主党としてマニフェストに明記をした改定の提起までするつもりであるのか、あるいはマニフェストの記述の撤回や修正を検討した方がいいのか、大臣のご見解を伺います。
【大臣】これは国会でもご答弁を申し上げたのですが、まず地位協定に限らず、マニフェストの修正もしくは見直しというものをどう考えるかということでありましたけれども、基本的なマニフェスト・サイクルというのは選挙から選挙だろうと思っています。すなわち、ある選挙で、今回であれば2009年の政権を問う選挙でお約束をしたことについては、次の選挙までにできるべくベストを尽くすのがまず第一の義務であろうと思います。何らかの事情で、どう考えても与えられた任期中に達成できないけれども、大体の目標があるとか、一定の中間の到達点があるということを示す必要があるということでマニフェストの修正をするということはあり得るとは思いますけれども、本来は2009年の選挙で問うたものが次の選挙までにどれだけできているのかと。残念ながら全部できるということは、これまでほかでもそうだと思いますけれども、そのようなマニフェストはないと思います。その点を次の選挙で政権政党というのは問われるというのが基本的なマニフェストではなかろうかというように考えます。
マニフェスト選挙というのは、与党は卒業試験で、野党は入学試験だというように解説された方がありますが、与党の場合は前回のマニフェストの達成度を問われると思いますし、野党であれば次期4年間のマニフェストに対する期待が問われるのだろうと思いますので、我々としても今の段階で、まだ任期が残されている段階で、実質的な地位協定に関係する状況の改善を目指すことと同時に、地位協定の改定を提起するというように申し上げてきたことを見直しの対象にする必要があるとは、今、私は思っていないということであります。
【琉球新報 松堂記者】現在の日米地位協定ですが、沖縄県などの要望として、身柄の引き渡しについて、起訴前の身柄の引き渡しをすべての事件で、ひき逃げも含めて求めているのですけれども、それについて大臣は改定をする必要があるとお考えでしょうか。
【大臣】それは、それをしようと思えば、法的に改定する必要があるかということですか。
【琉球新報 松堂記者】地位協定を改定してということです。
【大臣】地位協定については、先ほどお答えをしたことが私の今の段階でのお答えのほぼすべてです。もちろん、我々も、先ほども沖縄の方に限らず日本の問題、地位協定は日本全体の問題としてとらえるべきだということを申し上げさせていただいたつもりですけれども、日本国内で起こったことなんだからという皆さんの主張は、それはそれでお気持ちを含めて理解をしなければいけないというところがあると思います。
他方で、外国軍が駐留をするに当たって、これまで地位協定を、これは日米の在日米軍に限らず、地位協定を結んでくる中で、一定の軍人などの法的な地位の取扱いというのは国際的におおむね同じような形で行われてきているわけでありますので、先ほど松堂さんがおっしゃったことというのは、皆さんがそういうお気持ちを持っているということは私どもとしても理解をしておりますけれども、それについて、いわゆる処分そのものの在り方なのか、日本だから日本でとにかくやってほしいということなのかも含めて、満点のお答えがすぐ出るとは思いませんけれども、できることからやっていきたいという趣旨でお話をさせていただきました。
【朝日新聞 大島記者】先ほどの行政協定の合意がなかったという点について、もう一度確認をさせてください。
国際法局の役所の人たちが、彼らのテクニカルな見解として合意がなかったと言うかもしれないですが、今回の文書については日本側が発言をし、それを記録に残し署名をし、それを米政府が保管していたということだと理解します。そうしますと、日本側がそういった発言を、その見解を表明するという形を取るということで、日米は合意していたのではないかと考えるのが自然だと思うのですが、そういった広い意味で合意があったかどうかという解釈、考え方も含めて、大臣ご自身としては、この合意があったのかなかったのか。どういうようにお考えなのか、もう一度お聞かせ願えますか。
【大臣】議事録に載せることに合意をしていなかったことがないと言えば、そうだろうと思いますけれども、内容についてはやはり合意があったとは考えられないのではないかと思います。
【北海道新聞 往住記者】まず、地位協定の情報公開、一歩前進だと思います。大変結構だと思います。それで伺いたいのですが、岡田元外相が昨年の外交防衛委員会で、日本はある場合裁判権を譲るという記述が書いてあるという認識を示されています。この岡田元外相の認識を修正されるということでしょうか。
それからもう一つ、日本の裁判権が確保されたのだとおっしゃいました。そうであるならば、胸を張ってなぜ今まで情報公開してこなかったのか。
以上2点、教えてください。
【大臣】前者については答弁を確認します。先ほど地位協定がありますので、第一次裁判権については文書がすべてあるということで私(大臣)はお話をさせていただきましたけれども、地域協定があってそのすべての裁判権というのは一つひとつ定義があってお話をさせていただいている話ですので、一般論ではお話をできないので、答弁については確認した上でいついつの答弁なのかということで何らかの形で必要があれば事務方から回答させていただきたいと思います。
2つ目については、情報公開が前進したということで申し上げたことに尽きると思っていますけれども。
(補足説明)昨年3月にいわゆる4つの「密約」調査結果を公表した際に併せ公表した文書の中に、1958年のマッカーサー駐日米国大使と岸総理との会談を記録した文書があり、その中で、同大使が日本はある場合に裁判権を譲る趣旨が記録された1953年10月28日付けの日米刑事裁判権分科委員会の文書の公表を要請したとの記述があります。
昨年4月13日の参議院外交防衛委員会で岡田元大臣は、このマッカーサー大使と岸元総理との会談を記録した文書について、「この文書では、確かに1953年10月28日、刑事裁判権に関する分科委員会の合意議事録の中に、日本側はある場合、裁判権の行使を譲る趣旨が記録されているという記述が出てまいります。」と答弁しており、御指摘の部分は、当該文書においてマッカーサー大使の発言として記録されている部分を紹介したものに過ぎず、岡田元大臣の認識を示したものではありません。
1953年10月28日の裁判権小委員会刑事部会での日本側代表の発言は、起訴、不起訴についての日本側の運用方針を説明したにとどまるものであり、日米両政府間で何らかの合意を行ったものではありません。この点は日米両政府の一致した理解です。
【北海道新聞 往住記者】なぜ今まで。
【大臣】それは今までの大臣に聞いていただけたらと思います。
【毎日新聞 犬飼記者】この間の菅政権の外交についてお伺いしたいと思います。念頭にあるのは、今夕にでも総理が退陣会見をされる見通しになっているということもあるのですけれども、菅政権として、こういうキャッチフレーズで外交というものをやっていたと思います。「国を開き、未来を開く、主体的な外交の展開である」ということを所信表明とか施政方針演説の中で言っています。
これはもちろん、中国とか新興国の台頭とか世界情勢、力学の変化を踏まえて、こういうことをしたいということを言っているのですけれども、この間、中国の尖閣の漁船衝突事件とか、あるいはメドヴェージェフ大統領の北方領土訪問とかがありましたが、そういったことも踏まえた上で、今言った、国を開く主体的な外交が果たして展開できたかどうか、大臣も関わっていらっしゃると思いますが、ご見解をお聞かせくださればと思います。
【大臣】評価は自分でするものではないと思います。
【共同通信 斎藤記者】昨日、外務省の発表によると、大臣は程永華大使に対して、今回の漁業監視船の尖閣周辺領海侵入について抗議をしたと聞いております。抗議にまで至った経緯と今回の問題の受止め、そして、今後の対応についてお伺いします。
【大臣】今回の件は、まず中国政府のいわゆる公船によって領海に侵入をし、これは国際法上の無害通航に当たらないものであって、国際法に違反すると私どもは判断をいたしました。その意味では、極めて重要な事案であると考え、侵入をしたという情報を得て、直ちに次官から大使に対して抗議をすると同時に、北京においても抗議を行い、その後、当該船舶がいわゆる接続水域も含めて離れたということが確認をされましたので、私(大臣)の方から一連のことについて、程永華大使に抗議を行ったものであります。
私(大臣)からは、尖閣諸島における我が国の立場について申し上げた上で、抗議を行うと同時に、このようなことが今後繰り返されることのないよう求めさせていただきました。私(大臣)自身が大使を直接呼んで申し上げたということで、この案件をどのようにとらえているかということをご理解をいただきたいと思います。
【共同通信 斎藤記者】ご案内のとおり、昨年9月の衝突事件以来、漁業監視船は何度となく、接続水域を航行するという事案が繰り返されてきたわけです。その都度、日本の当局は立ち退くように警告してきたにもかかわらず、同じことが繰り返されてきました。今後もそうしたことが行われる可能性が私は否定できないと思うのですが、こうしたことを排除する、あるいは取り締まるための実効力のある措置を講じる必要が我が国政府としてあるのかどうか、この点について、大臣の率直なご見解をお伺いしたいと思います。
【大臣】遺憾ながらと申し上げるべきなのかもしれませんが、必ずしも昨年9月まではそういうことがなくて、9月以降、突然出てきたという理解では、私(大臣)はないのであります。ただ、あまり海域を特定して申し上げるのは適切ではないと思いますが、全体として、体制装備も充実をさせて、中国の海洋活動が活発化しているという評価は多く見られるということには、我々も十分に留意をしているところであります。
その上で、今の問いは、領海もしくは接続水域併せての問いなのかもしれませんが、それは斎藤さんがよくご存じのとおり、国際法上、海洋というのはまず開かれたものであるということが第一で、それぞれの国ができることについて、ある意味では海洋法条約を基本として決まっている中で、これまでも国際法上できることについては、法整備をしてきたと理解をしていますけれども、これまでもいくつか議論があったことは私(大臣)も承知をしておりますので、追加的な法整備がもし必要であれば、しっかり議論をしてやっていただいたらいいと思っております。また、法整備や法体系の在り方についても、これまでも議論があったわけですから、これについても議論をされることは正しいと思いますが、我々の立場で申し上げれば、海洋法に基づいて、また、現行法のさまざまな法に基づいて、政府としては執行すべきものを執行させていただくということであろうと思います。さっき斎藤さんに言った答えと矛盾しますけれども、立法府に戻れば、またしっかり議論に加わっていきたいと思います。
【共同通信 斎藤記者】今の質問が抽象的だったので、大臣がお答えにくかったかもしれませんが、もうちょっと具体的に申し上げますと、今、大臣のご発言の中にもあったとおり、今回の航行については無害通航とはみなせないという問題があるわけです。
そうすると、無害通航でない通行を確認した場合、しかもその相手国が公船であって、その公船がここは自国の管轄権だというような、そういう沿岸国から見れば、安全や秩序を乱すと受け止められるような状況があった場合について、何らかの対処を講じる必要があるかないかと。そして、そのための法整備の必要性が現在、外務省として必要だと受け止められるのかどうかという点について、確認をさせていただければと思います。
【大臣】海洋法もそうだと思いますし、条約一般でもそうだと申し上げた方がいいかもしれません。つまり、条約でそもそもここは全く自由にしなければいけない。こちら側ではこれだけは取り締まれる。ここは国内法整備次第ですというような部分があるだろうと思うのですが、公船を取り締まるというのは今、正確に記憶していませんけれども、そもそも国際法上、公船を取り締まるという形態をどういうことを指して言っているのかわかりませんが、もし拘束をするとかそういうようなことであるとすると、相当国際法上は違う議論が出てくるのではないかというのが私(大臣)の知識での理解でありますので、そこはしっかりとやらなければいけないし、今お話させていただいたように、国際法上やってはいけないことの中のいくつかに公船の取り締まりについてはかなり厳格に考えなければいけないのではないかと思っていますので、広い意味では海洋のルールを守ることで我が国は大きなメリットをしっかり享受をしてきているわけですから、やはり国際的な海洋ルールの中に基づいて、できることをしっかりとやっていかなければいけないだろうと思います。
逆にこちらで申し上げたように、これは取り締まってはいけないと書いてあるものは全く取り締まることはできないだろうと思います。法整備次第のところについては、我が国としては法整備が進められているというか、既に行われていると考えていますけれども、特にどこの国でもそうだと思いますが、刑事的な法というのはあいまいであってはいけないとか、包括的であってはいけないということで、個別に基本的には取り締まれるものというのを書くのが基本に刑事法というのはなっていますから、新しい対応が出てくるとか、そういうことでもし具体的な事例が出てくれば、それについては法改正なのか新法なのかということを議論することについては、それはオープンであっていいと思います。
【テレビ朝日 花村記者】民主党の代表選はいよいよ明日、告示ですけれども、ここに来て候補が乱立する中で、一方では少し絞り込み、一本化できないかという動きもあります。また一方で、ずっと小沢さんのグループが軸になっていると言われていまして、グループは幹事長ポストを求めているとも言われています。その辺の民主党代表選の動きを大臣はどのように見ていらっしゃいますか。国民からするとやはり疑問に感じるところが多いのではないかと思うのですが。
【大臣】先日もある記者さんに、「こういったグループ間の駆け引きをどう思われますか」と聞かれたのですけれども、一緒に拝見していたテレビで、「こういうグループ間の駆け引きなんか国民は何も聞きたくないのです。政策がどうなるかを聞きたいのです」とキャスターの方がおっしゃっておられて、「グループ間の駆け引きについては国民が聞きたいと思っていないというキャスターのご判断であれば、私(大臣)も答える必要がないかな」とそのときにお答えをさせていただきました。
そこへ聞きに行って、そこを取り上げて、そこがやはり大きな存在だといえばそうなるのだろうなというのが率直な感想です。皆いろいろ一人ひとり、私(大臣)が知っている限りでは、あえて申し上げれば国会議員も大変素晴らしい経歴を持った方々も、ある意味ではそれまでのキャリアを捨てて、しかも当選するかどうかという選挙のリスクをとって政治に携わろうと思っている、その志があたかも全くゼロであるかのように「国会議員は、政治家は」というように報道されることについては、私(大臣)は是非正面から、むしろそういう志を持っている部分を受け止めてほしいなと思います。
今回も特に1期生も含めて、ベテランの方は長い間、政権交代を欲して野党で努力をされてこられたわけですし、1期生の方々はそれまでのキャリアをある意味では捨てて、政権交代に参画すべしと思って一昨年の選挙に参画をしたわけでありますから、今この時点で残念ながら我々の力も足らないところもあって、政権交代の初期の目的を果たせているとは到底まだ言えない段階だという認識は共有されている中で、どのようにすれば本当にこれができるのか。
加えて我々には、これは与野党問わずでありますけれども、3月11日の震災からの復旧・復興という役目を、政治に携わる者としては負っているわけでありますから、一つ一つはベストを尽くしてきていると思いますが、復旧・復興については常にもっとできることはなかったのかという視点から前に進めるべきだと思いますし、そのために我々がどういう体制をとったらいいのかということを、一人ひとりの民主党議員は真剣に模索をしていると私(大臣)は確信をしておりますし、少なくともお会いをする方々はそういうことを考えていると思いますので、是非そういう声も取り上げていただけたら嬉しいというように思います。
【読売新聞 白石記者】今の民主党の代表選の関連ですけれども、まだ今、候補者がたくさんいるので、大臣も誰に投票されるかというのは未定なのかもしれませんが、もし決めているのであれば誰に入れるのか。もし未定であれば、どういうことを判断基準に投票しようとされているのか。例えば大連立の在り方なのか、増税の是非であるのか、そういった点について何を一番優先基準に代表選で投票しようとお考えでしょうか。
【大臣】私(大臣)はこの間の2年間、ここでもお話をしたことがあるかもしれませんけれども、思っていることは、やはり民主党に政権が変わった1つのというのは、この話は余りすると長くなりますけれども、政治主導の政権交代、新しい政権をつくるということを申し上げてまいりましたが、政治主導の定義についていろいろありますけれども、真のとか本来のとかというように一言で申し上げておきたいと思いますが、これを行うことによって、今回の震災の対応などでも外務省の役所の皆さんとも一緒に働いてやってきましたけれども、省庁間の協力であるとかそういうことは、政治主導なり政務が最前線に出ることで従来よりはるかに速やかに進んだケースも多々あったと私(大臣)は理解をしております。
そういう中で大切なことは、どのようなチーム編成なりチーム力をどのように生かして政権運営をしていくのかということが問われるのではないかと思いますので、トップになるべき方は、まず本当に自らのところはどのようなチームを編成されるのか、そしてそのチームでまさに与党の力を、もしくは場合によっては復旧・復興については与野党の力を生かすような体制をどういうように作られるのかということがどうイメージできるかなというのが私(大臣)にとって最大の関心事であるというようにご理解いただきたいなと思います。
【朝日新聞 松村記者】今どういうチーム編成で政権運営をしていくかというところがトップに問われるというお話でしたけれども、この間、小沢側、反小沢側といったような対立軸でいろいろなことが語られてきたのですけれども、今回の例えば小沢さんを活用するのかとか、小沢さんの処分を解除するのかとか、そういった点が争点として挙がってきてはいるのですけれども、その中で挙党態勢をどう築くか。次のトップが挙党態勢をどう築くことが大事なのかというところをもう一度お聞かせください。
【大臣】争点は、我々より皆さんが多分お決めになっているのではないかと思いますが、先ほどチーム力というように申し上げたのは、やはり見てみないとわからないなということで先ほど白石さんにお答えさせていただいたのは、この前も夏の高校野球がありましたけれども、打撃を中心のチームにするのか、守備を中心のチームにするのか、その顔ぶれとチーム力で、しかし、最終的にはそれでしっかり仕事ができることが大事なので、今のトップになろうとしている方々もそれぞれ皆さん得意、不得意があるし、個性があるわけですから、それを補うもしくはそれを生かすようなチーム編成が最終的にどの方のが一番有効にいけるチームになるのかなというように判断するという意味で話をさせていただきました。
個別の方のお名前については、私(大臣)自身はどうこう申し上げるのはあれだと思いますけれども、いい意味では、今、我々は先ほど申し上げたように政権交代というものの評価が国民の皆さんにプラスで定着をしていることが獲得できているとはまだ到底言えない段階だと思いますので、そのことを実現するためには、今でも多くの皆さんが力を尽くしてきましたけれども、届いていないということであれば、今以上の多くの力をどうやってみんなで合わせるのかという観点から考えるべきかなと思います。
【フリーランス 上出氏】国民から見ていると、どうしても先ほど言った政局になっていて、特に原子力発電についてどうしていくかなどというのがどこかいってしまって、原子力の政策などがどうも国民とかみ合った形で議論されているとは思えなくて、増税の問題だとかそちらの方にむしろシフトされていて、どうも国民が今求めていることとどうもギャップがあるような気がしてしようがないのです。大臣が言われた、まさに政権交代の原点に戻ったそういう形になっていないような、マスコミの報道の仕方にもよるのでしょうけれども、それについてどうも私は違和感を感じてしようがないのですが、どうお考えでしょうか。
【大臣】是非、原子力の話とか、私どもも国際的な場面では我々も関わってきますので、今でも真摯な議論が非常に政府内ではたくさん行われています。是非それはご理解をいただけたらなというように思います。
【北海道新聞 相内記者】昨日、北海道の東の根室と北方領土の間で琉球大生がロシア当局から日本に引き渡されました。これに対して日本外務省は、拘束されたのだと、早期の釈放を要求するということをずっと言ってきましたけれども、昨日、ロシア外務省が拘束したのではないと、保護したのだと言って、日本の外務省の発言に不快感を示したのですけれども、拘束なのか保護なのかどちらが正しいのか教えていただけませんでしょうか。
【大臣】多分、拘束して保護されたということだと思います。
まず、申し上げれば、ロシア側から有効な文書を所持しない日本人を拘束したという連絡があったことは事実です。それは通常訳せば「拘束」と訳せるロシア語で連絡があったということは事実です。それはよく身柄を確保したとかそういうことをどう解釈するのか。また拘束をどう考えるのかということはあると思いますけれども、一定の中で身柄を預かる形になっていたことは事実だと思います。
ただ、対応その他、我々も確認をしていますけれども、いわばロシア側から見ても、最初は趣旨も何もわからない方の身柄をとにかく預かっていると連絡があったことがこういう拘束したという表現になったと思います。
ですから、ロシア側の声明については当惑と書いてありましたが、我々も当惑しているということが率直なところです。
(1)リビア情勢について
【松本大臣】リビアについてですが、重大な進展があるというような情勢の認識をしています。これ以上の人的・物的被害を生じさせないように、カダフィ指導者に早期の退陣を求めます。
リビアの暫定国民評議会が表明したロードマップも踏まえ、リビア国民の幅広い参加を得た上で、新しい政治プロセスが開始され、憲法制定や民主的な選挙が平和裡に実施されることを期待します。我が国としては、引き続き、国際社会と連携をしつつ、必要な支援を行ってまいりたいと思っています。
【NHK 吉岡記者】来週にもコンタクトグループの会合がまた持たれるのではないかという報道もある中で、今おっしゃられた、日本政府としてどのような支援のあり方というのが具体的に考えられるのでしょうか。今の段階でのお考えをお聞かせ下さい。
【大臣】現状の認識ということは先ほど申し上げたような状況でありますので、国民評議会が表明したロードマップは着実に民主的なプロセスと新しい国造りのプロセスに入っていくということでありますから、その段階段階で私どもとして、出来る支援というものが今後考えられると思います。具体的にはまさに国民評議会のニーズと、それから、国際社会との連携の中から我が国の担うべき役割というのが、自ずと明らかになってくるではないかと思っております。
リビアについて、今、具体的なことは何も決まっていないということ、今申し上げられるものは何もないということを改めて申し上げた上で、これまで、例えばチュニジアであるとかエジプトといったような国々に対しては国造りにおける経済的な支援であったり、民主化プロセスの中での選挙などの支援であったり、その両国であったか具体的には忘れましたけれども、新しい国造りを進めているところでは行政官の育成の研修であったりとかいうことをこれまで行ってきておりますので、そういう日本ができるメニューの中から何が考えられるのかということになってくるだろうと思います。
【東京新聞 岩田記者】何も申し上げられないということですけれども、日本政府がこれまで凍結したカダフィ大佐一族の資産、これについては米国は国民評議会の支援に充てるというようなこともうたっていますけれども、これについてはどのように検討が進んでいるのでしょうか。
【大臣】米国について、今おっしゃったようなことを私(大臣)は直接確認をしたわけではありません。安保理決議に基づいて私どもも然るべき措置をこれまでとってきましたので、まさに安保理での議論や国際社会での議論を踏まえて、今後の対応を考えたいと思っております。
【共同通信 斎藤記者】本日のバイデン米副大統領と総理の会談の関係でお伺いします。既にブリーフがありましたけれども、その上で大臣の受け止めをお伺いしたいのですが、本日の会談でいわゆる日米同盟の深化についてお二人の議論はどのようなものであったか、そして、何か新たな方向性が確認されたのかどうか。また、「同盟深化」という言葉が実際何度も使われて建設的議論が行われたかどうか、その辺りについての大臣の受け止めと若干の説明をいただければ有り難いです。
【大臣】会談の雰囲気であるとか具体的内容は既に事務方からブリーフをさせていただいたと承知をいたしておりますが、副大統領のお話を聞いていく中で、改めて大平洋地域における我が国と米国というのは連携をしていくのだという意思が日米両国で確認をされたというのが今回の会談の一番大きな意義ではなかろうかと思っております。もちろん、これまでも言われてきたように最も親しい友人であればこそ、その親しい関係を維持するためには双方の努力が必要であるということでありますけれども、これについてはお互い積極的な意味でこれを進めていこうというような雰囲気だったのではないかなと私(大臣)は思います。
【共同通信 斎藤記者】同盟深化をどう進めるかというのがかねてからの懸案でありますけれども、改めて現時点でどの辺りまで同盟深化の方向性、政府として整理をしているのか、そして今後向かうべき方向について大所高所から大臣の見解をお伺いしたいと思います。
【大臣】これまで日米関係については、いわゆる安全保障、それから経済、そして人的交流、こういう話をしてまいりました。今回の会談では主に安全保障と人的交流の部分というのが重要だというようなお話がバイデン副大統領の話を総合的に考えればあったのかなと思います。もちろん、経済についてもいくつかのテーマについてはお話がありましたので、その重要性は申し上げるまでもないことだろうと思いますが、その意味でも方向性については認識は共有をできただろうと考えております。
【NHK 吉岡記者】会談の中で菅総理の方から、9月上旬に予定されていた日米首脳会談が日本側の都合によって見送りとなったということについて説明があり、なおかつ陳謝をされたと伺っていますけれども、この首脳会談がキャンセルになる、極めてこういうことは異例のことだとは思うのですけれども、この首脳会談が見送りになったということについて、改めてそれが日米同盟、日米関係に与える影響について、大臣のお考えをお聞かせ願います。
【大臣】本日の副大統領との会談でも、日米同盟の関係というものについては、双方の認識が一致をしていると。政権交代などの移行期はお互いにいろいろ言われるから、気を付けながら対応をしなければいけないというような感じのお話であったように私(大臣)は理解をいたしました。
つまり、底流としてしっかりやっていこうということについては、全く認識は共有できているので、誤解を与えないように、しっかりメッセージを発しないといけないのではないかということについて、むしろ認識は共有できたのではないかと思います。影響があるとか、そういうようには思いません。なお、念のために申し上げると、必ずしも好ましいことだとは思いませんけれども、会談とかの日程というのは、非常によく変わります。
【読売新聞 向井記者】先ほどの首相とバイデン副大統領との会談については、既にブリーフが行われたのですが、事務方の説明によると、その後の昼食会にもいくつか議題が持ち越されたということを聞いています。経済関係について意見交換があったということですが、総理が会談でTPPについて早期検討を表明されたと思うのですけれども、その後、米側からは何か反応はありましたでしょうか。また、超円高問題については、何か意見交換はその後ありましたでしょうか。
【大臣】為替については議題になっていないということを事務方からもご報告をさせていただいたかと思います。マーケットが動いている中で、あまり為替について政府の担当者がどうこう申し上げるのは、必ずしも適切ではないと思いますが、今回、為替について何か具体的にやり取りがあったと私(大臣)は理解しておりません。
こういったものは本来マーケットで決まるべきもで、為替の水準そのものというのは政府として評価をすべきかどうかということについては、さまざまな議論があろうかと思います。他方で急激な為替の変動は好ましくないということで、国際社会とも一致して、対応をこれまでもしてきたと思っていますので、これについてはマーケットを見ておられる所管のところで、しっかりご対応いただけるものだと思っております。
円高自身が我が国経済に、特に急激な円高というのが大きな影響を与えるということは、政府としても認識を共にしていると思いますので、これに対して必要な対応はしっかりとっていただかれるのではないかと思います。
【読売新聞 向井記者】TPPについては何か反応はございましたか。
【大臣】TPPについては、総理ができるだけ早いうちに交渉参加について決定することとしたところだというようにお話しをされたと私(大臣)は記憶をしているところでありますが、副大統領の方からは、TPPという言葉を挙げてだったかどうかは正確に記憶をしていないのですが、さまざまな問題というのはいつも大局よりも個別の案件で政治的に難しい問題はたくさんありますねというようなお話はあって、そうですねという和やかなお話だったというように思います。
私(大臣)自身でも、最後に副大統領と昼食会は隣席でありましたので、立ち上がって帰られるときに、すべては乗り越えていけるものだから頑張っていこうというような声をかけていただきましたし、実際そうだと思います。
【フリーランス 上出氏】今のTPPに関連しまして、19日の記者会見でたまたま私もそこに出ていたのですけれども、経産省の海江田大臣は、この後、政局で新しい体制がどうなるかわかりませんが、一応従来の考え方を堅持していくと。ただし、6月に一遍延期になったものの、今度ハワイのAPECの辺りできちんと日本は表明するのかどうかということをお聞きしたら、期限ははっきりしておりませんがという言い方なのですが、松本大臣のご認識としては、今の段階で総理とは別に、どのようなTPPに対しての対応を考えられておられるのでしょうか。
【大臣】来年のことを言うと鬼が笑うという言葉がありますけれども、今、私どもが3か月、4か月先のことを責任を持って申し上げるのが適切な情勢なのかどうかということは、率直に言って申し上げなければいけないのではないかと思います。
TPPについては、これまでもほかの政策案件もスピードを求められることは事実でありますけれども、TPPは既に9か国が交渉に入っていますので、交渉参加をするかどうかを私たちは決めようとしているのですが、交渉の進捗次第によっては、かなり進んでしまうと、交渉参加という言葉そのものが意味がなくなる場合もあり得ますので、この点については、よく見極めていかなければいけないと思っています。現段階では、今おっしゃられたように、9か国はこの秋のAPECを1つの目標にさまざまな作業と交渉をしているというように承知をしておりますので、その意図のとおり進んでいるとすれば、それより前か後かによっては、交渉参加ということの意味が1つ変わるということにはなると思いますから、そこまでにするかどうかということを考えなければいけないことは事実だろうというように私(大臣)も思います。
1つだけこの機会に申し上げれば、なおTPPというのは、今まさに交渉中なわけでありますから、TPPがどんなものになるかということも含めて、本来は交渉参加をすることによって、我々もどのようなTPPをつくっていくのか。ある意味ではっきりしていることは、参加国が決まっているわけでありますし、もちろん今よりも高いレベルの経済連携を実現しようという理念ははっきりしてきているわけですけれども、具体的な中身はまさに交渉しているわけでありますから、あまり具体的な中身を所与と決めつけて交渉参加を議論するのがいいのかどうかということについては、改めて申し上げたいなというように思います。
【NHK 吉岡記者】アサド大統領と潘基文事務総長が17日に電話会談して、アサド大統領の方から暴力は中止するのだということを伝えたと。これについて大臣は、19日にシリアの駐日大使に対して、この決定というか発言は重大な関心を持って注視していると述べられました。
しかし、現地の報道等によると、その後も政権による市民への暴力は続いていると認識しておりますが、日本政府として、この遺憾の意を伝えるという以上に、今回このシリアに対して、何かそれ以上の措置というものを検討されていますでしょうか。
【大臣】私どもとしては、アサド大統領は道を譲るべきであるということを、遺憾の意という表現とは大分違う次元の表現だと理解をして、明確に私どもの考え方は大使に対しても伝えましたので、先方に対しては伝わっていると思います。同時に、一般市民への暴力の行使といったものは即時に停止されるべきであると申し上げてきましたので、国連を含めたあらゆる努力をしっかりと注視していきたいということで、大使に対してはそのことをお話しさせていただきました。
今後の措置については、経済措置も含めて国際社会と連携しながら検討していきたいと考えております。
【毎日新聞 犬飼記者】昨日ですけれども、北方領土の国後島の北部の海上で、日本人男性のクリヤマ・ケイスケさんという人が、21日に無許可渡航の疑いでロシア国境警備隊に拘束されたという情報が昨日入ったということに関して、その後この男性は今、事情聴取を受けているということですけれども、釈放とか、あるいはこの男性はそもそもどういうことをしようとしていたのかとか、そういった情報について、何かありましたらお話しください。
【大臣】今の段階では、日本人の男性が身柄を拘束されて、私どもとしてはこの方の安全確保及び早期の釈放を求めたところということで、今、私(大臣)の手元にはその後の具体的な、それに対して動きはまだ確認されておりません。何らかの働きかけは引き続き行っているところでありますので、その結果、何らかの動きがあれば皆様には速やかな形でお知らせすることになるであろうと思っております。
なお、念のため申し上げれば、北方領土問題に関する我が国の法的立場とは相容れず遺憾であるということは、改めて申し上げたいと思いますし、ロシアにもこの点は伝えてあるということも申し上げておきたいと思います。
(1)バイデン米副大統領の訪日について
【松本大臣】私(大臣)の方からは、既に午前中の官房長官会見で発表されていますが、ジョセフ・バイデン副大統領が8月22日(月曜日)から24日(水曜日)まで実務訪問賓客として我が国を訪問されるということであります。
【共同通信 斎藤記者】原発の輸出関連政策についてお伺いします。これまで大臣は、関係閣僚と原発の輸出政策についてご協議されてきたと承ったわけですが、現在の進捗状況、そして一部報道では統一見解を出されるというような報道もあります。現時点での菅内閣としての原発輸出政策の取組みについて、改めて現時点でのご見解をお伺いします。
【大臣】原子力発電所の輸出というか、原子力協力と申し上げた方がいいかもしれませんが、直接には小野寺五典議員から原子力協定締結に関しての菅内閣の姿勢ということで質問の主意書が提出されておりまして、これに対してお答え申し上げるに当たって、これまで国会等の審議でも総理始め関係閣僚が答弁をしてきたわけでありますが、いわば紙に落とすことになりますので、きちんと考え方を整理した上で答弁を作成しようということで議論をいたしたところで、今朝、閣議決定をいたしまして、答弁を衆議院にお返しをしたところであります。
この概要はお手元に多分ある方はあると思いますけれども、内容については既に対外的にも公表されているところだと思いますが、1つは我が国としては今回の事故を踏まえて、原子力発電の安全性を世界最高水準まで高めていく。また、安全規制や規制行政の抜本的な改革に着手をしている。
他方で、各国における原子力発電所の安全性の確保というのは、一義的には当該各国が自国の責任の下で判断をされるものということでありまして、その中で我が国の原子力技術に対する期待は引き続きいくつかの国から表明をされているという状況であります。
そういう中で我が国としては、我が国の原子力技術を活用したいと希望する場合には、我が国としては相手国の意向を踏まえつつ、世界最高水準の安全性を有するものを提供していくべきであるというのが私どもの考えであるということが1つであります。
そして、国際的な原子力協力の在り方については、事故の原因の調査や今後のIAEAなどの原子力安全への取組み強化の検討の状況を踏まえつつ、できるだけ早い時期に我が国としての考え方をとりまとめるというのが2つ目であります。
3つ目に、これまで進められてきた各国との原子力協力については、こうしたことを念頭に置きつつ、これまでの外交交渉の積み重ねや国家間の信頼関係に留意して進める。おおむねこの3つの点について答弁をさせていただいたという内容になっています。
【共同通信 斎藤記者】今ご指摘のあった3つ目の原子力協定の交渉についてですけれども、今のお話ですと、トルコとかブラジルとか関係国と交渉したわけですが、これらの交渉については引き続き積極的に実現に向けて取り組んでいくという立場で、菅政権として取り組んでいくという理解でよろしいですか。
【大臣】まず1つは、国会に提出する協定はヨルダン、ロシア、韓国、ベトナムであります。ご案内のとおり、直接的にはこれは原子力発電所輸出に必ずしも絡まないのも含まれているわけでありますけれども、原子力協力という意味では確かに協力でありますし、繰り返しここでも何度か申し上げていますが、協定そのものは本来、核の平和利用・不拡散を定めることを主な趣旨とした枠組みでありますので、これそのものを進めることと、原子力発電所の輸出というのが全く同義であるとは思いませんけれども、原子力協力という広い枠の中では我々としてもいろいろ考えなければいけないということで、関係閣僚で議論をして整理をして、このように答えていることになります。
これまでまさに交渉を積み重ねてきたりした部分については、相手側の希望を考え、そして交渉の積み重ねということとか、そして先方に期待が引き続きある場合には、当然信頼の問題にもつながってくるわけでありますから、これを損なうことのないように留意をして進めていくということでお話ししまして、今、具体的な国名が挙がったところについては、私(大臣)の理解では、引き続き日本の技術もしくは技術に基づく各種設備や機材などについて、日本に対する期待はあるという意思を出していただいているように受け止めておりますので、その期待を受けて信頼を損なうことのないように、しかし、我々の国際協力の在り方をしっかりとりまとめるということは念頭に置きつつ、今後話し合いを続けていくことになろうかと思います。
【共同通信 斎藤記者】今の点で、希望を持っている国についてはしっかりと話し合いを進めるという点はわかったのですが、逆に特に日本の技術についてまだよく理解していない、非常にクオリティの高い技術を持っていることを知らない国々に対して、積極的にアピールをし、ビジネス展開していく、事故はありましたけれども、官民一体で日本の持っている技術は高いのだと一生懸命訴えていくという活動は、今後は大きく変わっていくのでしょうか。この辺についてお伺いさせてください。
【大臣】その点について、まさに今後の原子力協力の在り方をとりまとめていこうということになろうかと思います。率直に申し上げて現実の問題として、3月11日以降、まだ現段階においても事故調査の原因であるとか、また、我が国内の原子力の対策であるとかいうことに、原子力関係者の多くはかなりの人手も含めて、資源を投入しているところでありますので、実際問題として多くの体制を整えて、関係の者が新規を大きく取りに行くという状況では、今の段階ではないと率直に思っております。
ただ、他方で、私(大臣)もこの間、多くの国々と接する機会がありましたけれども、原子力の平和利用に関心がある国で、日本の技術に関心がない国というのには、私(大臣)の知る限りではお会いをしたことがないと思っておりまして、やはり日本の技術そのものというのは、多くの国々からこれまでの実績のある日本に対する信頼もあろうかと思いますけれども、注目をされているというのは、最前線にいる者の実感としては、引き続きあります。
【NHK 稲田記者】内政に関してお伺いしたいのですけれども、民自公三党協議を経て、子ども手当の修正ということで合意がなされました。これについては、執行部は大幅な変更ではないという意見があるものの、一部からはさきの総選挙の錦の御旗が降りたという意見もありますけれども、一連のこの動きを松本大臣としては、どのように見ていらっしゃるのでしょうか。
【大臣】所得制限を入れるといったようなことも含めて、基本的に考え方について、かなり野党側の皆さんの御意見を取り入れたものになっていると考えるのではないかと思います。
ただ、他方で衆議院では私どもが多数をお預かりをしておりますが、昨年の参議院の選挙で我々に国民の皆さんは多数を与えなったわけでありますから、まさにその中での議論や話し合いによって、これ以降、政策が前へ進むのであれば、具体的には特例公債の法案の審議が前へ進む、もしくは認められるという形で、具体的な政策の実現につながることを最も期待をしたいと思っております。外交交渉でも話すためだけに話し合いをしてはならないということを申し上げてまいりましたけれども、是非一つひとつの結論が実りある行動につながることを一番期待をしたいと思っております。
なお、政調会長を経験していた者から申し上げれば、子ども手当については是非引き続き、今回、野党側の皆さんの主張で今後恐らくそういうような形になってくるだろうと思いますし、控除についても議論があるようにお聞きをしておりますので、今、所管外としては何か申し上げる立場にありませんけれども、控除から手当てへというものが本当にどういう意味があって、それの功罪をどのように評価をすべきなのか。所得制限というのは、確かに大変裕福な人が政府からお金をもらうのはおかしいのではないかというようなお気持ちというのは、我々もよく理解ができますけれども、一定の所得のところで、ある意味では極端な段差を設けて制度をつくるというのが全体の制度設計上、本当に望ましい在り方なのかどうかということも含めて、私(大臣)たち自身は子ども手当を当初設計するときに、残念ながら所得税制の改革などが同時に進行しなかった、控除はなくなりましたが、部分もありますけれども、むしろ所得の再配分機能を持たせるのであれば、これは税制に持たせて、ある程度、階段状の形で所得の再配分をするというのも一つの考え方だろうと思います。
子ども手当の一定の所得水準のところで、ある種これも一種の所得の再配分機能的なところはあると思いますけれども、高額の方からは税を取って、ほかの方々には届く手当を渡さないということですから、そういう形が全体を見たときにどういうバランスになるのかということの議論も、是非今後もしていっていただけたらなという思いはあります。
【NHK 稲田記者】特例公債の話が出たのでお伺いしたいのですけれども、中山経済産業大臣政務官が、「月内に民主党の代表選挙を行うためには、お盆明けにでも菅総理に辞めてもらう必要があり、そのために党執行部や閣僚が一斉に辞任する必要がある。また、それについて岡田幹事長や安住国対委員長も同じ考えだ」というような発言をしていらっしゃるのですけれども、現役の内閣にいる立場の方がこのようなことを言ったことをどのように受け止められるのか。また、そのような議論があった場合に、松本さんは閣僚を辞めるということを同調するというお考えはあるのでしょうか。
【大臣】日々職務に専念すること以外のことは考えたことがありません。
【読売新聞 白石記者】先週、米朝の協議があったと思うのですけれども、その結果については、大臣はどういうように報告を受けていらっしゃるのか。また、今後、その動きを踏まえて、日本としても米国や韓国などとも連携をしていかなければいけないと思いますが、その情報把握に当たって、外務省幹部を派遣したりとか、今後、何らかのどういうような動きが出てくるとお考えでしょうか。
【大臣】米朝については、建設的・実務的な会談であったと国務省が発表されたと承知をしておりますし、私どもとしては南北、そして、米朝が行われたことは歓迎をしたいと思っております。
我が国自身も、対話をすることを拒むものではないということを、私(大臣)は就任して以来、申し上げてまいりました。外交においては、やはり対話を通じて問題を解決されるということが非常に重要でありますので、対話が行われたことそのものは歓迎をしたいと申し上げてまいりました。
内容については、日米韓の緊密な関係の中で、会議に参加をされた方々など、関係者からいろいろ情報提供を受けており、私(大臣)も報告を受けておりますけれども、これはいわば日本にとっては第三国同士のやりとりでありますので、個別についてご紹介をするという立場にはないとご理解をいただきたいと思います。
その上で、情報交換のために幹部を出張させるのかというお話であります。今、具体的な出張案が私(大臣)の手元にあるわけではありませんし、これまでも必要に応じては、適時適切に幹部が、この北朝鮮の問題に関しても、関係国の間、関係国の方々が来られたり、関係国へ赴いたりということは、いわば日常として行ってきておりますので、今後もそういう意味では、機会をとらえて、来日をされたり、出張してもらったりということはあろうかと思いますが、今、具体的に何か形のような会議を予定しているとは報告は聞いておりませんし、予定はありません。
【日本経済新聞 田島記者】一部報道によりますと、昨日、フィリピンのアキノ大統領が来日し、モロ・イスラム解放戦線トップのムラド・エブラヒム議長と会談したという報道があります。まず、この事実関係を確認したいのと、仮に日本で会談されたのであるならば、どのような経緯でこの会談がセットされたのか、以上二点についてお願いします。
【大臣】申し訳ありませんけれども、ご指摘の件については、間もなくフィリピン政府から正式に発表されるものと承知しておりますので、我が国としては、この正式な発表を待ってコメントさせていただきたいと思います。
【琉球新報 松堂記者】本日、防衛省が構造改革について発表しましたが、その中で南西地域への防衛力強化を挙げています。中国の軍拡とか中国との紛争を意識しているとの指摘もありますけれども、外務省として中国が島嶼部に攻め入る可能性についてどう分析していますでしょうか。それから、対中国として防衛省と協力して2+2のような枠組みで中国と対話をするお考えはありますでしょうか。
【大臣】防衛については詳細は防衛省にご確認をいただくべきだろうとと思いますが、私(大臣)の理解では、特定の国を想定して我が国の防衛力の枠組みを組むといったようなことをしているとは理解をしておりません。南西部については、防衛大綱・防衛計画などで言及があろうかと思いますが、これは我が国の防衛の全体のいわばバランスを見て行われる次の形への改編ではないかと私(大臣)自身としては理解をしております。そういう意味では、それとの関連性でお話をするのは必ずしも適切ではないと思いますが、中国との関係ということでご質問がありました。外交においては多層的・重層的にさまざまなチャンネルがあるということが大変重要なことであろうと思っています。その意味では、当然もちろん日中の会談には外相会談というのがあるわけでありますし、もちろん、首脳の行き来というのもあるわけですし、また、防衛大臣の行き来というのもあるわけですから、こういったものを総合的に繋げて信頼醸成を深めていく、また、我々はご承知のとおり海洋については重層的なチャンネルということで、海洋についての信頼醸成に繋がるような枠組み・メカニズムの構築ということも提案をさせていただいているところでありまして、中国側もそういったものを作ることについては考えていると理解をしておりますので、そういった形でチャンネルを広げていくということは我々としてもこれからも努力をしたいと思っています。
2+2のようなものというのが、どのような時期に、どのようにやるのが適切なのかということはまだ詰めた議論はしておりませんので、お答えをする段階にないと思いますが、中国と広い意味でいろいろなチャンネルで議論する、それは実務レベル、現場レベル、そして、政治レベルということについては全く否定的ではないというよりは是非やるべきだと思っているとお答えしたいと思います。
【NHK 吉岡記者】米朝協議の関連でお伺いしたいのですが、南北・米朝と協議が進む中で日本として日朝協議を模索していこうというお考えは、具体的にそういった指示を大臣の方から省内にしているというようなことがあるのかということが一点と、もしそういうことがあるならば、日朝のタイミングというのは六者協議の再開との関連で望ましい、前に行うべきだとか同時に行うべきだとか、六者協議をとりあえず見てから行うべきだとか、そういったお考えについてお聞かせ下さい。
【大臣】これについては、度々ここでもお話をさせていただいているのですが、日朝協議をするために協議をするとか、日朝協議をするために先方に求めるというようなことは私(大臣)が考えていることとは違うと思います。どういった内容のあることができるのかということが一番重要なことだろうと思っておりますので、それに伴ってどのような形態での対話が可能なのか、どのような時期の対話が可能なのかということになろうかと思います。ですから、私(大臣)の方から対話をするために何かをしろということで指示をしたということはありません。
【毎日新聞 大貫記者】バイデン米副大統領の来日の件ですが、ちょうどその頃となりますと、まさしく政局がどうなっているかとか首相の退陣問題がどうなっているか見通せない時期ではあるのですが、通常であれば9月前半に想定されている総理訪米について、そこでしっかりした話し合いが本来であればなされるものと思うのですが、そこは大臣として米国側に総理訪米のことについてどのようにお話をして理解を求めるといいますか、どういうことで臨もうとお考えでしょうか。
【大臣】これから日程調整ですから分かりませんが、基本的には総理とお会いになることは決まっていると思います。政局の話がありましたが、政局は新聞・テレビの皆さんが書いて下さるので、世の中こうなっているのかと私(大臣)は拝見するのみでありますので、そのことについて私の方から考えることはありません。
総理の訪米については5月に首脳間でお決めをいただいておりますので、実務的に必要な作業をしっかりと役所の皆さんはしていただいていると私(大臣)は理解をしております。
(1)潘基文国連事務総長の来日について
【松本外務大臣】8月7日(日曜日)から9日(火曜日)まで、潘基文国連事務総長が外務省の招待で訪日をされます。事務総長は滞在中に総理への表敬等を行う他、私(大臣)とも会談を行う予定になっております。事務総長は滞在中、福島県を訪問し、被災状況、復旧・復興に向けた取り組みについて福島県知事を始めとする関係者とも意見交換をする予定であります。また、被災者との対話も予定をされているところであります。
【共同通信 斎藤記者】日米首脳会談の見通しについてお伺いしたいと思います。今日は8月2日、日米首脳会談が予定されているのが9月というように承知しております。日にちも若干迫ってきているというような印象も受けるのですが、現時点での日米首脳会談に向けた調整状況についてご説明願いたいと思います。
【大臣】5月の日米首脳会談において、9月の前半に総理が訪米をするということで両首脳が一致をしたと承知をしておりまして、その上で必要な作業は今実務的に進めてくれているものと思っているところであります。
【共同通信 斎藤記者】日米首脳会談で何か成果物を紙にまとめるというような考えが政権としてあるのかどうか、そして、申し上げるまでもなく菅総理について言えば、ご自身の進退というものが今後の外交日程ならず国内日程、いろいろなものに係わってくると思うのですが、この点の問題というものが日米間の事務調整に何らかの影響を与えているという側面はあるのかどうか、この二点をお願いします。
【大臣】訪米の機会に日米同盟のビジョンを共同声明のような形で示すということでは一致をしているというように理解をいたしておりまして、その内容であるとかそういったことについては、もちろんこれまでの日米の協力と今後の日米の同盟のあり方、協力のあり方については、こういったハイレベルの会談や交流とか文書を発出するという機会にかかわらず、日頃から日米の間では緊密に議論をしてきていると考えておりまして、それを一つの形にまとめるのがそういった節目にあると思いますが、今実務的な作業で何らかの滞りがあるというようには私(大臣)の方には報告はきておりません。
外交も政治でありますから、もちろん両国とも内政の影響を、時間的制約であるとか政治的背景であるとかの影響を受けないことはないというか、受けることがないというとそれはあれだと思いますけれど、外交においてはそういったことがある中でも両国間の関係を重視をして進めていくことも重要なことであろうと思いますので、日米間ではそのことはよく理解をされて必要な協力は進められていると理解をしております。
【読売新聞 白石記者】先ほど官邸で、総理や海江田経産大臣、松本外務大臣等でお話をされていたと思うのですが、海江田大臣も入っていらっしゃいますし、原発輸出も含めた原発のことかなと思うのですが、どういったお話をされたのかというのが一点と、それに先立つ本日の外務省の政務三役会議で国会でまだ通っていない原子力協定の関係について早期の成立ということを大臣から指示があったようですが、これについて今後国会の会期が短い中で、どのようにして外務省として臨んでいくかという二点を教えて下さい。
【大臣】前半については、今回の原子力発電所の事故を踏まえて、我が国としてはエネルギー政策・原子力安全政策などについて議論をしつつ、事故も踏まえた形の議論が今かなり進んできていると理解をしていますけれども、同時にまた5月のG8サミットや、さらには6月のIAEAの閣僚級会合などで国際的にも原子力の平和利用の安全のあり方についての議論が展開をされてきておりますので、そういう中で今後新たな我が国の国際協力というものについて、我々も原子力安全に貢献をしていくということは総理をはじめ政府でも申し上げてきていることでありますので、そういう中で国際協力というものをどのように進めていくのかということを少しディスカッションをしたということだと理解をしております。
なお、協定のことにも関連しますが、原子力の安全に対する貢献ということをしっかり我々はしていかなければいけないということを申し上げながら、同時に既に外交的な関係もあり協力について話を進めてきているものについては、先方側の考え方や期待をしっかり受け止めながらということは当然でありますけれども、我々もその信頼であるとか日本に対する期待については応えていくと同時に、さらなる安全性の向上の取り組みについても協力先と連携をしながらやっていくと。この基本的な考え方は既に総理も予算委員会などで外交的信頼関係などに触れて述べられているとおりですので、これについては既に政府としても考え方や認識は一致していますが、しっかり今後の国内・国外の安全性の議論等を踏まえながら、今後の協力についてもしっかり議論していこうということで本日議論の機会があったと理解をしています。
そういう流れでありますので、協定については、協定の中身は現在国会に提出しておりますのが4本ありまして、一つずつ見れば必ずしも原子力発電所の直接の輸出に係わっている国もあれば係わっていない国もあるわけですが、それ以上に本来の協定の趣旨は、核不拡散のための平和利用に限定をするといったことを趣旨とするのが協定の目的でありますので、その趣旨からかんがみても協定は批准をしていただきたいということに変わりはありませんし、その点については政府全体としても理解は共有されていると思っておりますので、最終的には国会でお決めいただくことですので、こちらとしては是非とも国会にご理解をいただいて議論していただきたいと、そして、私どもとしては議論の上でご承認いただきたい、批准をしていただきたいということになります。
【フリーランス 上出氏】現実に今、協定が4本あるということで、その相手国を中心に、原発問題がまだ収束していない状態であるということとか、いろいろな国々でも原発に対しての世論があると思います。大臣がずっと見聞されていて、その後、その当事国がこの原発(事故)が起きたときによって非常に危険を感じていたり、向こうからネガティブな反応があったりとか、そういう変化があったのかどうか。あるいはむしろ前向きになったというのは前に聞いたことがあるのですけれども、現状で国内でもいろいろな議論がありますが、そういう国内・国外のギャップみたいなものを含めて、その辺どういうように大臣としては受け止めておられるか、ポイントを教えていただければと思います。
【大臣】ギャップについての認識はコメントを差し控えたいと思いますが、外務大臣として申し上げると、少なくとも現在、協定の締結に向けて国会での手続をお願いしている4か国からは、今手元に記録はありませんけれども、4か国とも外交当局として接する機会があるときには、是非に早期に手続を終えてほしいといった趣旨の発言が3月以降も行われているというように理解しております。
【フリーランス 上出氏】ということは、原発(事故)が起きて以降も、ネガティブな反応は特にはないという受け止め方でよろしいのでしょうか。
【大臣】何の何に対するネガティブということをきちんとしないとあれだと思いますけれども、少なくとも国際協力のある意味では枠組みでもある、もともとは先ほど申し上げたように平和利用の枠組み、不拡散の枠組みなのですが、協定の締結については、少なくともしっかりやってほしいという話が来ておりますし、その先には、引き続き日本の技術や日本に対する信頼というものがあるというように私(大臣)は理解しています。
【朝日新聞 松村記者】原発輸出についてですが、実際に例えば総理ですとか官房長官ですとかお話になっていて、原発輸出の政策については見直しはないという現状、もちろん安全性を高めていくということは付け加わるのでしょうけれども、現行の方針に変わりはないということは確認されたのでしょうか。
また、新成長戦略についても見直しは必要ないということで確認されているのでしょうか。その辺りをもう一点、お願いします。
【大臣】どういう形で国際協力を進めるかという視点から、私(大臣)は議論をさせていただいていますので、その結果として、新成長戦略やインフラ輸出の政策の書き方をどうするかということは、変える必要があるのかないのかというのは整理をした上でということになると思いますが、先ほど申し上げたように、やはり私どもが協力を今進めていて、そして、先方も先ほどのご質問にもありましたけれども、引き続き日本の協力を期待しているという環境の中では、これまでの信頼関係と日本に対する期待ということには応えるべきであろうと。この点については、意見が一致していると考えています。
【時事通信 西垣記者】さきに北朝鮮と米国の高官協議が行われましたけれども、これについて米国なりからどういう報告を受けられているかということと、日本政府として今後、どういうように対応していかれるお考えか、二点お願いします。
【大臣】これは既に皆さんもご承知だと思いますけれども、米国の国務省の発表では、今回米朝はそれぞれの立場を確認し、「建設的で実務的」なやりとりが行われたと理解をしております。
私どもとしても、南北対話が22日に六者代表レベルで行われて、今回米朝対話が行われたということは評価をするところでありますが、同時に重要なことは成果を伴う対話を実現するということで、私どももこれまでも申し上げてきたように、北朝鮮が対話を通じて、非核化を始めとする自らの約束を真剣に実行する意思を具体的な行動により示す必要があるという考え方は基本的に変わっておりませんし、しっかり日米はもとより日米韓で連携をして、また、中国、更には六者で申し上げれば、ロシアといった関係国とも意思疎通をして、この問題に対応をしていきたいと考えています。
【NHK 稲田記者】自民党の新藤衆院議員らが昨日、竹島に近い鬱陵島を訪問しようとして、韓国側から入国を拒否され、昨夜、帰国されました。今回の韓国側の対応について、改めてお伺いしたいのと、新藤さんやほかの自民党の議員たちは、国会が閉会したら、再び鬱陵島へ行くということを明言してらっしゃいますけれども、今後を見据えて、外務省としてどのように韓国政府に対して働きかけを行っていこうとお考えでしょうか。
【大臣】今回の入国を受け入れなかったことについては、既に私(大臣)は昨日、申ガク秀駐日韓国大使に対して申し入れを行いましたし、この点については発表しているのでご案内のとおりだろうと思います。
改めて申し上げれば、今回の議員一行の訪問は、単なる視察目的で、通常の適正な手続を経て行うことを意図していたもので、今回の韓国側の措置は日韓の間の友好・協力関係にかんがみて、極めて遺憾であるということをお伝えさせていただきました。昨日の時点では、措置の再考を要請すると申し上げたわけでありますけれども、現下の東アジアの情勢にかんがみて、日韓関係は極めて重要である、韓国側の大局的な判断を要請するということも申し入れたところであります。
再訪についてということでありますけれども、今回の韓国側の措置は極めて遺憾だというのが、私どもの立場であります。今後については、ご発言等、私(大臣)も報道では拝見をさせていただいていますが、考え方を踏まえて検討をしていきたいと考えております。
【読売新聞 向井記者】潘基文国連事務総長の来日に関連するのですが、先ほど日本の報道機関との会見で、南スーダンでのPKO活動について、陸自の派遣を要請するとの意向を明らかにされました。菅首相との会談で要請される方針のようですけれども、この南スーダンのPKO活動についての、現時点での政府の検討状況と大臣のお考えをお聞かせください。
【大臣】改めて正式にご要請をいただければ、我が国としてはしっかり検討することになるだろうと思います。ただ、一般的に私どもとしては国際社会の一員として、しかるべき役目を果たすべきだと思っておりますし、その中でPKOに参加することは大変大きな役割を果たす形として意義があるものだと思っていますが、具体的な派遣については、派遣そのものの状況であるとか求められている能力であるとかということと、我が国の派遣をする側の体制であるとか、また同時に自衛隊全体の中でも全体の我が国の防衛と国際貢献とその中での能力の余裕であるとか、そういったことを総合的に勘案されて決定されることになるだろうと思いますので、現段階では南スーダンの派遣そのものについて、是非を申し上げる段階には私(大臣)のところではないと思います。