記者会見

外務大臣会見記録(要旨)(平成22年8月)


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外務大臣会見記録(平成22年8月31日(火曜日)17時35分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)中国・モンゴル訪問及び第三回日中ハイレベル経済対話出席について

【岡田大臣】それでは、若干久しぶりという感じもいたしますが、私(大臣)からは2点。
 第1点は、先般の中国における経済のハイレベル協議、経済対話、それからモンゴルにおける大統領や首相、外相との表敬・会談ということで、もう中身は既に発表しておりますので、特にそれに付け加えることはございません。ただ、7月の末のベトナムにおけるASEAN関連の一連の会議、その後のベトナムとラオスの公式訪問から始まりまして、この約1か月の間に、ベトナム、ラオス、ウズベキスタン、カザフスタン、中央アジア外相会議もその中には入っておりますが、インド、タイ、そして中国、モンゴルということで、1か月ちょっとの間に8か国を訪れまして、いずれもアジアの国々でありますが、非常に有益な意見交換が実現できたと思っております。
 国会がないということもありましたが、体力的にはかなりきついのですけれども、国によっては外相が来るのが4年ぶりとか6年ぶりとかというところもあったりして、やはりもう少し頻繁に日本の外務大臣としてアジアの国々に対して訪ねていかなければいけないということを改めて感じた次第であります。
 あと、今週末にドイツに行くことになっておりまして、これは安保理の話を中心にヴェスターヴェレ外相と話をしようと思っておりますが、意味のあるものにしたいと。機中2泊ということになりそうですが、ホテル0泊というのは初めてですが、意味のあるものにしたいと思っております。

(2)民主党の代表選挙について

【大臣】2番目ですけれども、そういったことで外務大臣としての職責を果たしている間に何か事態がかなり動いておりまして、今はまさしく会談をやっておりますので、そう先ではなくて結論も出ると、この会見が終わるころには結論も出ているのではないかと思います。先ほど菅さんに仲間の議員が呼ばれまして、会館の部屋で意見交換をいたしました。1つはやはり挙党態勢ということは当然のことであって、今でももちろん挙党態勢ではあるわけですけれども、全員野球でやらなければいけない。しかし、今、行われている会談の中で人事についての取引が行われるようでは、これはやはり透明性に欠けるわけでありまして、代表総理たるものに人事権が集中しているわけですから、もちろん挙党態勢ということを念頭に置きながら、それは選ばれた代表、そして総理が党と内閣の人事を責任を持って行うと、それに対してあらかじめ条件がつくということがあっては決してならないと私(大臣)は思っておりましたが、菅さんもそういう思いで小沢一郎さんとの二者会談に臨まれていると思っております。
 全面対決を避けなければいけないとか、そういう言葉も飛び交っていますが、本来はおかしい話であって代表選挙ですから、正々堂々それぞれの政策を述べ合い、党の運営に関しても堂々と議論することは当たり前のことであります。もちろん今、行われている会談の結果がどうなるかということは、これは私(大臣)には予想できませんが、もし選挙ということになれば正々堂々と選挙を行えばいい、それだけのことである。結果に従って選ばれた代表の下で、総理の下で結束して全員野球でやっていく。そういうことだと私(大臣)は思っております。

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米軍再編問題

【琉球新報 仲井間記者】普天間について伺いたいのですが、本日発表された報告書については、詳細な飛行経路についての記述は見送られていると思うのですが、それを見送った理由についてお聞かせ下さい。

【大臣】先程、ぶら下がりのときに、私(大臣)は申し上げたと思います。今まで日本政府として出してきたものがあることは承知しているというか、それはあるのですが、必ずしもそれが日米の間で共有されていないこともあり、それから新しい要素も加わってくると思います。先程少し申し上げましたオスプレーをどうするかという議論もあります。いろいろなことをオープンにしないということではなくて、正直にしっかりといろいろな可能性について日米間で話をして、そして、それを当事者である沖縄の皆さんに対しても率直に説明するということが、私(大臣)は必要であると考えておりまして、ルース大使とのやりとりの中でも、そういったこともお互い意見の一致を見て、現時点で出せれば一番良かったのですが、まだ詰めなければいけない点がありますので、現時点では率直に申し上げて、これだというものは出せませんので、出さなかったということです。これから両国間で詰めて、どこかの段階でしっかりお示しをしたいと思っております。

【琉球新報 仲井間記者】今の飛行経路の件で、両国で詰められなかったということですが、滑走路については日米双方が主張する案といった案をそれぞれ併記するという形になっています。飛行経路についても双方の意見が違うということであれば、滑走路のような併記という形を採ることができなかったのかということと、今後、沖縄県の理解を求めていく中で、いろいろな情報を開示した方が県民の理解を得やすいと思うのですが、それにも関わらず、やはり併記という形でも掲載できなかったというのは、どういった点があるのでしょうか。

【大臣】ですから、いろいろな要素を考えなければいけないのですが、これは主としてヘリの飛行ルートです。ですから、ギリギリどこまでなら運用上可能なのか、ギリギリという意味は、それは、騒音の問題とか、接近する問題を考えたときにです。そういうことで、そこは日米間で若干の違いもあるということです。今まで日本政府として提示してきたものは、我々からすると、米国政府も一旦は合意したものだというように、これは当時のことですから、政権交代の前ですから、本当のところはよく分かりませんが、そういう説明も役所の事務方から聞いておりますけれども、米国はそれではというものに必ずしも合意していないということも言っているようですから、ここはもう一回きちんと今までの行きがかりに捕らわれることなく、これだというものを議論した方がいいと、そう思っている訳です。別に隠している訳ではなくて、間に合わなかったということで、もちろん、これは技術的検討ですから、2+2で決めるまでに時間もありますから、それまでの間に当然、そういった飛行経路も出すということです。そのときに、環境影響評価というものが、今のままでいいのかどうかと、追加的に何かもう少し必要なのかどうかということについても、当然併せて議論するということになると思います。

【琉球新報 仲井間記者】これに関連して、11月に知事選があるということもあるのですが、知事選に向けての民主党県連の政策発表というのが昨日行われて、その中で「辺野古移設は不可能」だと、「県外・国外移設を求める」とはっきりと明記した政策を発表したのですが、与党の県連がそのような立場であるということを改めてどのように受け止めていらっしゃるのでしょうか。

【大臣】県連レベルの政策ですから、いろいろな自由度があっていいと思いますが、それが、政府、政権の政策と真っ向から対立するということは、これは政党ですから、本来あってはならないことではないかと思います。それ以上の話は、これは党の話ですから、党の中で議論していただくことで、政府、外務大臣である私(大臣)がこれ以上言うつもりはないのですが、やはり有権者から見て「なるほど」と理解できるような形でないと、決してよくないと思います。先の国会中の委員会で、何度か民主党鹿児島県連の総選挙の時のマニフェストが取り上げられまして、私(大臣)は外務大臣としてというよりは、当時の幹事長として申し上げたのですが、「そういうものは承知していない。県連の責任でお出しになったのだと思う」と。しかし、国の税金に係る話も書いてありますから、消費税を軽減するとかそういうことが書いてあったような気がしますが、「そういうことは県連ではできないことではないか」ということを申し上げたこともあります。基本的にそれは政党ですから、県連ベースで多少の自由度があったとしても、真っ向からぶつかるようなものは、「党の中でよくご議論下さい」と言うしかないと思います。

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北朝鮮問題

【共同通信 斎藤記者】北朝鮮情勢と六者協議の絡みでお伺いします。
 武大偉さんが本日見えておられました。岡田さんとの会談後、玄関のぶら下がりで武大偉さんが、直訳ですけれども、「新しい提案はあるが、これは各方面と共同研究する必要がある。各国の意見をきっちりと聴取したい。」という趣旨のことを仰られました。
 中国側の新しい提案と言ったらいいのでしょうか。何か武大偉さんの新しい事態打開に向けた知恵みたいなものは披歴があったのでしょうか。また、岡田さんの方から、改めてどのようなご意見を示されたのか。この点についてもご説明を願いたいと思います。

【大臣】私(大臣)が申し上げたのは、六者協議は非常に重要だと。しかし、六者協議を開くことが自己目的化してはならない。そこで核の問題やミサイルの問題についてきちんと解決していくということでなければならないので、そういうことも含めた見通しを持って、やはり六者協議というのはスタートさせなければいけない。
 それからもう一つは、現状を見ると、まだ一方で北朝鮮のさまざまな安保理の約束が守られていないとか、制裁が続いているとか、あるいは天安号事件についてもまだ解決というか、ARFでもあの調査はねつ造であると言ったわけですから、そういったことについて、さまざまな問題があるので、直ちに六者協議を開催することにはならないと日本側としては考えている。しかし、将来開催するとしても、そういった単に開くことではなくて、見通しを持って開かなければならない。そういうことについてどういうお考えをお持ちかということを私(大臣)は武大偉さんに尋ねたということであります。
 先方の答えは、私(大臣)は言う立場にありません。ただ、いろいろなアイデアは披歴をしていただきました。しかし、それが私(大臣)の答えに直接応えるものでは必ずしもなかったと。いろいろこういうことを考えているということの一端を披歴されたということかと思います。

【共同通信 斎藤記者】一方、米国側は、対北朝鮮の追加制裁を発動するという動きになっています。一方で議長国の中国は、各方面に対して緊張をあおらないでほしいと繰り返し繰り返し言っていて、見ていると、中国と米国では、やはり相当の温度差があるようにも見えるのですが、この米国と中国、その間の日本として、どう立振る舞っていくのか。今後の見通しについてお聞かせください。

【大臣】私(大臣)は武大偉さんに申し上げたのですが、だれも武力衝突とか、そういうことは望んでいないし、不必要な緊張を高めるようなことを行おうと思っているのではない。しかし、安保理の決議というものを無視している。もう少し中長期的に言えば、この間、六者協議を長くやっていますけれども、その間、核開発を粛々と続けてきたのは北ですから、そういったことについて、そういったことを全部リセットして六者協議をやりましょうということにはならないのではないかと申し上げたわけであります。
 米国が追加制裁をしたことは、別に緊張感を高めているということではないと私(大臣)は思います。やるべき当然のことをやっている。日本も追加措置については既に発表しているところであります。

【毎日新聞 西岡記者】北朝鮮情勢ですが、金正日総書記が昨日まで中国を訪問して、胡錦濤国家主席と会談したりしました。後継体制の支援等を要請したなど、さまざまな見方があるのですが、大臣は今回の中朝首脳会談をどのように分析されているのかお聞かせください。

【大臣】中身についての説明は今回はありませんでしたし、楊潔チ外相に求めたのですが、どこかの時点で詳しく説明したいというお話はありましたが、その時点ではありませんでしたし、本日の武大偉氏もお答えはありませんでした。
我々も少しよくわからないところもありますので、事情を説明してもらいたいなと思っております。こういう状況で会うということがどういう意味を持っているのか、必ずしもこのこととカーター元大統領が行ったにもかかわらず、別にもともとそれは交渉はしないということで行っていることはそうですが、これ見よがしに金正日が北朝鮮を離れたということも少しわかりにくいという感じがします。

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中央アジアでの資源外交

【世界日報 山本記者】大臣がこの2か月間に中央アジアを中心に8か国を訪問してこられたということですが、この中国がレアアースの輸出規制の撤回を拒否したということもありまして、中央アジア、モンゴルでのレアアース確保の重要性が増してきていると思われております。
 モンゴルは世界最大のウラン埋蔵国、埋蔵量があるのではないかも言われておりますが、一方で旧ソ連内での日本の資源の権益確保をロシアは快く思っていないということで、さまざまな妨害を行っているという情報もあるわけですが、その中で中央アジアでの大きな力を持つロシアを相手に、どのように中央アジアでの資源確保を行っていかれるのか、見通しをお聞かせいただければと思います。

【大臣】まず中国側の説明はいろいろ説明しておりましたが、出さないと言っているのではなくて、大幅に減らすと。私(大臣)は温家宝首相にも申し上げたのですが、いろいろな理由があるのは、それはそれでわかるけれども、急激に減らすということはビジネスの予測可能性を損なうので、そこはよく考えてもらいたいと申し上げたところです。
 カザフスタンは日本も活動していますけれども、ウランとかレアアースについてですね。あとモンゴルですね。モンゴルは別に私(大臣)はロシアが邪魔しているとは必ずしも思っていないです。イギリスなどはやっているのですね。モンゴル側から見ると、そういった資源について加工しないまま中国かロシアに出していると。なかなか交渉力も持てないでいると。そういうところで日本に出てきてもらいたいという気持ちがあると思います。したがって、よく日本の関係者とも話をしてみたいと思います。もう少し積極的にやれないかということであります。
 それから、先ほど言うのを忘れましたが、日中間でレアアースの話ばかりが強調されるのですが、それは100くらいある課題のうちの1つでありまして、あと私(大臣)として特に強調したのは、やはり民間企業がビジネスをするに際してのさまざまな障害ですね。1つは法治という観点からどうなのか。裁判でなかなか勝てないとか、それはいろいろな理由があって勝てない。一方的にそれが不公平だと言うつもりはありませんが、勝てない、あるいは勝って判決が出ても、なかなかそれが執行されないとか、そもそも判例集が手に入らないとか、そういう声が大分寄せられました。そういうことも率直に申し上げましたし、あとは知財の問題ですね。知的所有権の問題。ここでも申し上げましたが、松坂牛も登録されているとか、そういう話がたくさんあります。地名に由来する登録。商標登録ですね。そういったことについては中国側としても関心を持って、いろいろ検討しているという話ではありましたけれども、もう少し詰める必要があると。
 それから、労働問題ですね。日本も高度成長期には、いろいろそういったストとか労働争議もあったけれども、やはり法律があって、枠組みがあって、労働法関連の法制が整備されて、そういう枠の中での話でしたけれども、中国の場合にはだれと交渉していいのかわからないところもある。工会という一種の従業員の代表組織はあるのですけれども、それが機能していないところもあったり、あるいは話がついたと思ったら、またすぐに同じような問題でストライキが起こったり、そういったことはやはり将来のビジネスの予測可能性というものを損なうので、しっかりとやってもらいたいということを申し上げました。
かなりはっきりと、楊潔チ外相にも言いましたし、王岐山副総理にも申し上げましたし、そして、首相にも申し上げましたので、そういう問題があるんだということは私(大臣)は認識されたと思います。なかなか即答しにくい問題だったと思いますが、これから引き続き、粘り強く問題提起していきたいと考えております。

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ドイツ訪問

【大臣】今、事務方からありました。ドイツ訪問は、「閣議で了承が得られれば」ということをきちんと言ってくださいということで、まだ閣議で了承が得られておりませんので、閣議で了承が得られればということです。

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民主党の代表選挙

【NHK 藤田記者】菅総理大臣と小沢前幹事長の会談が終わって、物別れに終わったようです。それで、小沢さん出馬へとなったようですが、改めて、どういう代表選を望むかということと、今回、一連の小沢さんの立候補を求めていったサイドというのは、小沢さんの処遇、要するに脱小沢ということの方針を転換しろということを求めてきて、それが挙党態勢なんだという言い方をしてきたわけですが、それについて、それが受け入れられないから選挙戦になったようにも思えるのですけれども、それについてはどういうふうにごらんになっているのか。2点お願いします。

【大臣】人事は、先ほども言いました代表、そして、総理の専権であります。それをあらかじめ、何か条件をつけろという話は、私(大臣)は余り、自民党ですら聞いたことがありません。それは堂々と選挙をやって、その結果、選ばれた人がもちろん、挙党態勢とか全体の融和というものに配慮しながらでありますけれども、権限のある人がきちんと決めるということは当然だと思います。

【週刊金曜日 伊田氏】代表選になるということがほぼ決まったようですけれども、その場合、争点ですが、いろいろ出ているのですけれども、普天間の移転問題、もう一度争点になるのではないかという見方がありますけれども、それについてはどうお考えでしょうか。

【大臣】私(大臣)は候補者ではありませんので、私(大臣)が争点をつくるわけではありません。政府の考え方は決まっておりますし、これは鳩山総理の時代に閣議決定したものであります。それに対して、何か違う考え方があるということであれば、それは仰っていただければいいと、堂々とそういったことについて、政策論争ですから、オープンな場で議論すればいいと思います。

【フリーランス 上出氏】代表選に関して、選択肢として、一部声が出ているのですけれども、選挙、この大事な経済危機などの時期に、こういう形で空白をつくるのはよくないということ。それから、いろんな問題も含めて先延ばしをして、ここはやらないで、見過ごしてやった方が国民のためになるのではないかという声もあるのですが、この辺の選択肢については、岡田外相はどういうように考えておりますか。

【大臣】しかし、これは事実上総理を選ぶ選挙ですから、決まっていることについて何か後出しでルールを変えるというのは、それは私(大臣)はよくないと思います。いろいろな、もちろん、経済的にも大変な状況にありますので、そういったことに影響が及ばないように、菅総理は大変だと思います。候補者としての顔と総理としての顔と両方こなさなければいけませんが、そこはしっかりやってもらいたいと思います。私(大臣)も閣僚としてしっかりと支えたいと、支えるためには、外務大臣としてしっかりと外交をやるとともに、候補者である菅さんも一党員として支えたいと思っております。

【毎日新聞 吉永記者】今回、代表選ということで、もし、総理が代わってしまうという結果になった場合、その場合、解散とかは必要だと考えますか。解散してもう一回有権者に信を問うと、1年間で3回総理が代わるわけですから、そういうのは必要だとお考えでしょうか。

【大臣】私(大臣)が答えるべきではないと思います。そういう仮定の質問には、お答えしません。候補者でもありません。

【共同通信 斎藤記者】代表選に絡んでお伺いします。これは大臣としてよりは、衆議院議員としての岡田さんに質問したいのですが、岡田さんは、代表も務められていますし、これまでの民主党の発展に努められてきたわけなのですが、常に民主党は、やはりなかなか決まったことが守れないと、なかなか1つ政策を決めても、さまざまな意見が出るということは、前々から言われていたと私は少なくとも民主党の担当をやったときには記憶しているのですが、今回、その代表選をやって、当然終わった後は、ノーサイドにすべきだというのはわかるのですが、実際、ノーサイドにして、団結を守れるだけの、そうした組織としての強さを民主党は、今、既に持っているのかどうか、懸念はあるのかどうか、この点について岡田さんの率直な見解をお聞かせください。

【大臣】正々堂々と代表選挙をやって、その後、何かごたごたするということでは、それは国民の期待に全く応えたことにはなりません。どちらが勝ったとしてもしっかりとその下でまとまっていくということは、我々は特に政権政党ですから、そのことができなければ、政権政党としての資格がないと私(大臣)は思います。

【日経新聞 山内記者】大臣は以前に、たしか前回の代表選の前だったと思いますが、政治とカネの問題を始め、民主党らしさを取り戻す必要があると、菅さんに2つの条件を提示されて、そのうちの1つがそう仰られたと記憶しています。
 今回、総理大臣を選ぶ選挙になるわけですが、改めて候補者に求めるものについて、大臣から説明をお願いします。

【大臣】まだ出馬表明の考え方も聞いておりませんので、あまり軽々に言うつもりはありませんが、ただ、今、仰った民主党らしさ、その中での政治とカネの問題について、クリーンな、きちんとした説明責任を果たしていくという話は、確かに私(大臣)は菅さんに申し上げました。しかし、それは、その直前にお辞めになると言われた、当時の鳩山代表の「とことんクリーンな民主党にしようではありませんか」との発言を私(大臣)は引用したものであります。その気持ちは、今ももちろん変わっておりません。

【フジテレビ 高橋記者】今回、鳩山さんを介して、最終的には、菅さんと小沢さんが直接会うような場面もあって、かなり数日かけて議論があったわけですけれども、ただ、その中で、例えば人事で取引があったのではないかとか、さまざまな憶測を呼ぶ結果になっています。こうした点について、菅さん、小沢さん、鳩山さんも含め、説明は足りないとお考えでしょうか。もっと中でより具体的にどういう話をしたということを説明すべきなのかどうなのか、その点、お考えを聞きたいと思います。

【大臣】こういう問題は、相手方がどう言ったという話をし出すと、これはお互い泥仕合になってしまうのです。証拠もない話だし、そもそも菅さんと小沢さんは直接話していないので、鳩山さんは間に入っているわけですから。ですから、そういった泥仕合になるようなことは避けるべきだと。ただ、菅さんは、はっきりしておられるのは、今回の二者会談に当たっても、人事での取引はしないということを明確に述べられて二者会談に臨まれたと、その考え方は、ずっと一貫しているということは申し上げられます。

【朝日新聞 山尾記者】仮に菅総理が選挙に勝った場合なのですが、挙党態勢ということを菅総理仰っていますので、小沢さんを何らかの重要ポストで処遇すべきだと思われますでしょうか。

【大臣】そういう話を私(大臣)が言うべきではないですよね。それは当然菅さんが代表に再選されれば、その段階で明らかにすることではないでしょうか。少なくとも私(大臣)は直接の当事者ではないのに何か言うべきことでは無いと思います。

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新聞記事に対する抗議

【大臣】先ほど言うことを忘れていたのですが、皆さんに耳の痛い話かもしれませんが、私(大臣)が、海外で日本の新聞に目を通しておりまして、非常に気になった記事がございます。読売新聞の8月29日のワールドビューというワシントン支局の方の書いた記事であります。これはハノイで開かれたASEAN関連のARFでの記事を書かれているわけですが、そこでいろいろ外務省関係者によるととか、在米日本大使館筋は、ということで書かれているのですが、それが現実のARFでの議論とは全くかけ離れた事実に基づかない記事であります。少し取材をすれば明らかにそういった事実ではなかったということはすぐ分かったはずであります。にも関わらずそういう記事が出て、そして結論は「7月下旬にハノイで開かれたASEAN関連会議はこうした外交理念が」、こうした外交理念というのはいろいろ言っているのですが、「いかに現実とかけ離れていたものであるかを示している。日本の存在感は希薄だった」とかいろいろ書いておられるわけであります。私(大臣)はマスコミというのは社会の公器だと思っておりますので、いろいろな批判を頂くことは構いませんが、事実に反するそういう記事を書かれるということについては、きちんとものを申すべきだと考えておりまして、これを書かれた新聞社に対して、抗議と言いますか、少なくとも記事を掲載された以上、その記者がどういう取材に基づいてその記事を書かれたのかということは調査をすべきではないかということは申し上げるつもりでございます。

【週刊金曜日 伊田氏】その件の対応についてですが、先ほど、抗議というか、調査をすべきではないかと申し上げると、それはこの場での口頭だけになるのか、それ以上のことを何か考えられているのか、その点についてお聞かせ下さい。

【大臣】現在、その担当部長に外務報道官から文書で申し入れるつもりであります。

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嘉手納基地への外来機の飛来

【琉球新報 仲井間記者】嘉手納基地への外来機飛来についてお伺いします。大臣は「騒音防止協定を順守するように米国に求めていきたい」というようなことをおっしゃっていますが、それは飛来、飛び立つ時間等を守れということを言うことだと理解しておりますけれども、そもそも、外来機の飛来そのものをやめてくれということを求めるお考えはないのでしょうか。地元は外来機の飛来そのものをやめて欲しいというような要望をしているのですが。

【大臣】完全にやめるのはどうかという議論は当然あると思います。ですから、どこまでが本当に必要なのかと、多少の工夫をすることで、そういったことがきちんと限られた認められた時間の中に収まらないかということについて、よく議論してみたいというように考えているところです。

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アフガニスタン支援

【朝日新聞 山尾記者】アフガニスタン支援についてお伺いします。本日、アフガニスタン支援の会合が官邸の方でも開かれましたが、アフガニスタンのカルザイ大統領が今月17日に国内で活動する民間警備会社に解散を求める大統領令を出しています。政府はアフガニスタン支援などでNGO等と連携を進めるお考えですけれども、安全確保の上で大変困難な状況になると予想されます。この点についてアフガニスタン政府に対して日本政府として何らかの働きかけをすることはございましでしょうか。

【大臣】NGOは我々も15億円の予算を手当てして活動していただくということで話を進めておりますが、現状ではなかなか日本人が中に入るということは困難だと思っております。遠隔的に周りから事業を進めていくということであります。もちろん、地元のアフガニスタン人のスタッフが危険な状況になるということはあり得ますが、基本的には日本人が中に入るということは控えてもらいたいと現時点ではそうしております。ただ、大使館員もおりますし、JICAもたくさん入っておりますので、そういった人々の安全をどう確保していくかということについては、我々も重大な関心を持っておりますので、そういった確保が困難な状況にあるのかどうか、よくアフガニスタン政府とも話をしてみたいと考えております。

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金融政策(円高)

【週刊金曜日 伊田記者】円高を巡ることに絡んで、現在の世界情勢の認識についてお伺いしたいと思います。現在の円高局面ですが、1930年代の反復であるような気がしております、つまりブロック化経済を進めると、当時はポンドとドルでしたけれども、現在はポンドでなくてユーロで考えたら、ほぼ同じ局面になるのではなかろうかと思います。このまま円高局面が進むということになれば、日本の製造業も含めてかなり大きな打撃になると思います。そういう意味で米国のGMが再度上場するという、つまり、モノづくりをかなり米国として考える中での作られた円高という局面であるとすれば、30年代の反復で帝国主義局面がかなり強まっているのではないかと思うのですけれども、岡田外相としては、現在の世界情勢についてどのように捉えられておりますでしょうか。

【大臣】私(大臣)はそこまで大局観を持って見ているわけでは必ずしもありません。ただ、今の円高は非常に深刻な状況で、これを何とか打開しなければいけないと思っております。基本的には、日米の金利差ということが背景にあると私(大臣)は思っておりまして、そのためにもう少し金融政策の面でより踏み込んだ対策がとれないものかと思っております。もちろん、金融政策は日本銀行の専管でありますので、それ以上のことを私(大臣)は言うつもりはありませんが、是非そういった視点で検討していただくとありがたいと思っております。

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イラン制裁

【朝日新聞 山尾記者】イラン制裁についてお伺いします。今月末を目途に日本政府独自のイランへの追加制裁を検討するというお話がございましたが、進捗状況はいかがでしょうか。また、米国政府が日本政府に追加制裁にあたってはEUを参考にするようにと言ったという報道もありますが、その事実関係はいかがでしょうか。

【大臣】事実関係というのは、誰が言ったかというのもありますが、もともと日本政府としては米国の制裁、それからEUの制裁というものをよく見極めて日本の追加制裁の中身を考えていこうという方針でやってきております。8月末までにということでありますが、本日は8月末ですが、あと2日くらいは末の範囲内に入るのではないかというように思っております。そんなに時間はかからないと思っております。

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外務大臣会見記録(平成22年8月24日(火曜日)15時13分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)インド、タイの訪問について

【岡田大臣】まず、私(大臣)のインド、タイの訪問ですが、インドでは大きく言って3つの問題。1つは経済。そして、もう一つは原子力協力。そして、第3は安保理改革ということで、クリシュナ外相、そして、シン首相と議論をしてまいりました。
 経済の話は、EPA交渉について、シン首相の来日までに交渉妥結を目指すということを確認いたしました。同時に、私(大臣)の方から経済について、イメージとしてあるのは、今週末の中国と同じような、経済問題についての閣僚級の対話というものをインドとの間で行ってはどうかということを提案させていただきました。これは相手方、インド側で検討をするということになっております。
 民生用原子力協力に関しましては、ここでも前回述べたところでありますが、文書にどう書くか、あるいは書くか、書かないかということはともかくとして、インドが核実験を実施した場合には、日本は協力を停止せざるを得ないということであります。文書に書くかどうかはともかくとしてと、私(大臣)がインド側に言ったわけではありません。事実として核実験を行った場合には、これは停止せざるを得ない。もちろん、インドは今、自主的に核実験を停止中でありますので、そういうことにはならないというように私(大臣)は考えているがということで申し上げました。同時に、今までのインドの軍縮・不拡散に対する努力というものを評価した上で、軍縮・不拡散についての考え方というものも、協定の中で何らかの形で表わせないかということも申し上げたところであります。先方からは、核実験モラトリアムを始め、「約束と行動」へのコミットメントを改めて表明があったところであります。
 安保理改革につきましては、G4のメンバーである日本とインドがよく協力をしながら、安保理改革を目指していこうということで確認をしたところです。
 それから、インドは地下鉄とかの経済協力案件も若干視察をいたしました。
引き続いてタイにまいりまして、タイでは先般のバンコクにおける混乱の中で亡くなられた村本さんの問題について、更にしっかりと真相を明らかにしてもらいたい、調査をしっかりとやってもらいたいということを私(大臣)からカシット外相、それからアピシット首相に申し上げたところであります。併せて、その混乱の中で、営業停止を余儀なくされたり、あるいは火事で店舗が燃えたりという、中小企業の方が非常に多いわけですけれども、そういったところに対してしっかり手当てをしてもらいたいということを申し上げました。それから、マプタプットの問題。これは公害ということで、工業団地における操業が滞っている問題です。それから、メコン地域における協力の問題。対カンボジアの関係などについて、私(大臣)からいろいろ申し上げたところであります。ただ、基本的にはタイというのは、1つは長い日本との友好の歴史のある、そういう国であります。
 そして第2に、日本の企業の進出、特に自動車産業を中心に集積が進んでおりまして、日本にとっても非常に重要な存在。私(大臣)もトヨタの最新の自動車工場を視察にまいりましたけれども。
 そして3番目に、やはりASEANの中で民主主義国家として、最近いろいろなことがあるにしろ、基本的に民主主義がきちんと機能している国であるという、日本にとって非常に重要な国であると。日本とタイが協力をしながら、ASEANにおける民主主義というものを前に進めるといったこともしっかりやっていかなければいけないということを確認したところでございます。
 以上がインド、タイということで、インドは年に1回外相間で戦略対話を行うことになっておりまして、私(大臣)も就任して1年経ちますが、ようやく今回実現をいたしました。タイについては、外務大臣が5年間行っていないということで、私(大臣)は非常に意外な感じがいたしましたが、今、都市でいいますと、上海に次いで日本人が多いのはバンコクであります。このタイの重要性ということを考えれば、もう少し往来があっていいのではないかなと思ったところであります。

(2)中国・モンゴル訪問及び第3回日中ハイレベル経済対話出席について

【大臣】次に、私(大臣)の中国、モンゴル訪問及び第3回日中ハイレベル経済対話出席ということで、閣議の了解はまだ得られておりません。閣議の了解が得られればということで申し上げたいと思いますが、8月26日から30日まで、中国及びモンゴルを訪問いたします。まず、現在の予定では、26日の夜に出発だったと思いますが、27日は上海で、私(大臣)はまだ上海の万博を見ておりませんので、万博の視察も含めて、夕方まで上海で過ごし、その後、北京と、そして、北京では、28日及び29日に第3回日中ハイレベル経済対話とその関連行事というものが開催されるということであります。この日中ハイレベル経済対話というのは、中国側の議長を王岐山副総理、そして日本側の議長を私(大臣)が務めるということになっております。そして、両国から関係省庁の大臣、副大臣が出席をして、世界経済、日中経済、あるいはグローバルな、刺激的な経済問題について議論するということであります。そして、このメンバーで温家宝総理にもお会いをするということになっております。それ以外に、私(大臣)自身は、楊潔チ外相などとバイの会談を行うという予定にしているところであります。
 それから、非常に短時間ですが、2004年以来、6年ぶりとなるモンゴル訪問ということで、ほぼ半日ですが、モンゴルを訪問したいと思っております。現在のところ、エルベクドルジ大統領、バトボルド首相、ザンダンシャタル外交・貿易大臣との表敬、会談などを考えているところであります。

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米軍再編問題

【NHK 藤田記者】普天間の移設問題についてお伺いします。

【大臣】最初から普天間ですか。

【NHK 藤田記者】すみません。一応、専門家による協議で、V字案、現行案と一本化、I字案と言われているものですが、その複数案を盛り込むことで最終報告を進めているという状況だと私は理解しているのですけれども、これについて現在の状況と、仙谷長官はいずれにしろ8月末で公表するのだと述べておられますが、いつ、どのような形で公表されるように考えていらっしゃるのでしょうか。

【大臣】内容は申し上げられません。現在、日米間で交渉中であります。
 公表するかどうかは、基本的に課長レベルの会議ですけれども、仙谷官房長官が言っておられるなら、それは公表するのだろうと思います。公表しないという選択は、私(大臣)もないとは思っております。

【琉球新報 滝本記者】普天間の移設に関連して、辺野古への代替施設の計画について、日米間の協議で米国側から、2006年の日米合意のときに概念図として示された飛行経路がありますけれども、有視界飛行のときにヘリコプターが台形のような形でV字型の滑走路の周辺の海側を通る経路で、住宅地上空を飛ばないというご説明がなされていますが、その飛行の仕方が、日本側の防衛省が地元に説明している概念図が、実際の飛行はもっと幅広く、そういう形にとどまらない飛び方ではないという言い方を米国側が日本側に説明して、その説明を正すようにと求めていると聞いているのですけれども、米国側の意向と、あるいはそれに対する日本側の対応はどういうようになっておられますでしょうか。

【大臣】現時点で申し上げることはありません。そういった記事があったことは、私(大臣)も承知をしておりますが。

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北方領土問題

【北海道新聞 島田記者】北方領土問題についてお願いします。一部報道で、現在、日本人の観光ツアーで国後島に旅行に行っている日本人が複数名いるということが報道されていまして、行っていることを現地の旅行代理店の社長も認めています。外務省として、現在どの程度のことを把握していて、今後どのような形で対応をとる予定かということを教えてください。

【大臣】まだ確認できておりません。もし報道が事実であるとすれば、それは閣議了解に反することで、極めて遺憾であると考えております。旅行者がどこまで承知をした上で行かれたのかということもはっきりいたしませんが、旅行者及びそれを企画した旅行業者に対して、政府として厳重に抗議をしなければいけないと考えております。

【北海道新聞 島田記者】今週末に、言葉は難しいのですが、日本というか、本州に戻ってくるようなのですれけども、サハリンのユジノ経由で戻るようなのですが、例えば現地のユジノの総領事などを通じて、択捉内から国後に戻ってきたときに、その場で事情聴取をしたりするような考えはおありでしょうか。

【大臣】特にそういうことは、今、考えておりません。というか、事実関係がまだ把握できておりませんので。いずれにしろ、政府としてはきちんとした、先ほど申し上げた対応をとらなければならないと考えております。

【毎日新聞 吉永記者】関連の質問ですけれども、結構、こうやってビザを取って、日本の政府の閣議了解に反する形でビジネスマンが行ったり、もしくは今回旅行者が行ったと見られる件が出ていたりするのですが、閣議了解に加えて、更に日本政府として、もしくは外務省として、対応をとるという考えは、今のところございますか。

【大臣】基本的に、今までも事実関係をご存じなくて行ったケースというのは、かなり多いですね。今回も旅行業者、それから行かれた方々がどこまで承知をして行かれたのかというのはよくわかりません。そういったことについて、まずは閣議了解に基づいて、きちんと政府の考え方というものを伝えたいと思っております。

【フリーランス 上出氏】今の考え方を求めるというのは、向こうの政府にということですか。それとも、旅行会社とか、そういうことにということでしょうか。

【大臣】もちろん、先ほど言いました旅行会社及び旅行をした方です。

【フリーランス 上出氏】もう少し質問があります。全体のそういう動きを見まして、これはちょっと言いにくいとは思うのですが、あえてお聞きします。ソ連時代から比べて、いろいろな北方領土返還の問題はむしろ後退しているのではないかという声も、大統領、首相を含めてあります。今、ロシアが北方領土に関しての対応というのを、今の時点で、以前に比べての評価も含めて、岡田外相としてはどういうようにとらえているかということを教えていただきたいです。

【大臣】私(大臣)が承知している限り、メドベージェフ大統領は、領土問題ということに、はっきりこれを言っているわけではありませんが、しかし、全体として前向きに対応していこうといったニュアンスは伝わってきております。
 ただ、鳩山総理が菅総理に代わりましたので、これからもう一度、首脳対談を何回かやる中で、より明確にしていかなければいけないと思っております。

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北朝鮮関係(カーター元米大統領の北朝鮮訪問と六者協議)

【毎日新聞 西岡記者】米国の報道によりますと、米国のカーター元大統領が北朝鮮を訪問して抑留されている米国人の引き渡しを受けるというような報道があります。昨年、クリントン元大統領が訪朝したときと同様に、北朝鮮側からすれば、米国との対話の糸口を探りたいというねらいがあるようですが、この動きに対して、日本政府として、どのような立場を取られるのかをお聞かせください。

【大臣】そういう事実があることは承知をしております。ただ、そこで何か具体的な米朝間での実質協議をやるというようには承知をしておりません。

【共同通信 斎藤記者】北朝鮮のくくりでお伺いします。中国の武大偉さんが、この前、自民党の加藤紘一さん、日中友好団体の訪中の関係でお会いしたと聞いております。その際に、報道もされていますけれども、武大偉さんの方は、早く朝鮮半島、天安号事件での緊張を緩和させて、六者協議の早期再開に向けて努力すべき時期が来ていると、各方面の協力をお願いしたいと、自分も機会を見つけて、関係国を訪問したいと、このように仰られたと伝えられております。日本政府として、前回もお伺いしましたけれども、改めてこの六者協議、なかなか難しい状況はあるという話ではありましたが、どういうように取り組んでいくのか。そして、議長国中国のそうした姿勢について、大臣として、どのように評価されるのかお聞かせください。

【大臣】武大偉氏がどういう考え方をお持ちか、その前提としての現状認識について、よくお伺いするということは必要なことだと思います。どのレベルかということはありますけれども、中国側の考え方をよく把握してみたいと思います。私(大臣)も先ほど言いましたように、楊潔チ外相とも会談の予定がありますし、中国側の考え方についてよく聞いてみたいと思っております。ただ、基本的なスタンスは、前回申し上げたことと変わっていません。

【毎日新聞 西岡記者】韓国メディアによりますと、武大偉議長が日本や中国、ロシア、韓国などの関係国の歴訪を検討しているという報道がありましたけれども、実際、日本への訪問予定というのは既に向こうから通報があったりするのでしょうか。

【大臣】いろいろな情報がありますけれども、現時点で発表するタイミングにはまだありません。

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日韓併合100年に関する総理談話

【フリーランス 安積氏】菅談話で韓国に渡す予定の朝鮮王朝儀軌等についてお伺いいたします。これについて引き渡しに際しては、条約等が必要となりますが、大臣のご所見をお伺いしたいのですけれども、これの対象というのは、日本が統治していた期間に朝鮮総督府を経由してもたらされ、日本政府が保管している朝鮮半島由来の貴重な図書となっております。現在、宮内庁書陵部が貯蔵している儀軌等は81部167冊なのですけれども、そのうち朝鮮総督府からの移管というのが80部163冊ということになっています。残りの1部4冊というのは購入ということになっていますが、この購入部分についても、引き渡しの対象に含まれるとお考えでしょうか。

【大臣】具体的にどうするか、全体について、どの範囲かということは、まだ政府として何も決めておりません。ただ、その文書の中にありますように、朝鮮総督府由来、そして日本政府が持っていると、そういった考え方で全体を整理しなければいけないと考えております。それ以上のことは、今はちょっと申し上げられません。

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日本の安全保障政策

【フリーランス 岩上氏】16日にクローリー米国務次官補が尖閣諸島について、これは日米安保の適用対象となるという発言をされました。今年の5月11日ですが、こちらの記者会見で、私は大臣にご質問をさせていただきまして、日米安保は対象となっても、日米同盟では、実際の軍事行動があった場合、まず、第一に島嶼部について防衛出動するのは、自衛隊ではないかというご質問をさせていただきまして、大臣が「第一に自衛隊が守る」というように仰られました。日米安保が対象となるというように米国が仰る。しかし、05年に締結された日米同盟の中には、島嶼部においては、自衛隊が守ると書かれていて、大臣はお認めになるという、この非常にわかりにくい分担、これをもう少しご説明願えないでしょうか。

【大臣】2005年の日米同盟というのは何ですか。

【フリーランス 岩上氏】日米同盟変革と再編の話です。2+2の文書の中です。

【大臣】それは別に矛盾しないと思います。どちらがどうするかということは、それはそのときの状況ですから、そのことについて何か語っているものではないということです。

【フリーランス 岩上氏】5月の時点で、これはその文書に基づいてご質問させていただいたときに、大臣は、まずは自衛隊が守るとにはっきりとそのときに仰られました。ですから、これは、まず、一番最初には自衛隊が守る義務があると、日米間で、政府間で合意されているのではないかと思うのですが、それを確認して仰られたと思っておるのですが、それはそのときどきで変わると仰られましたけれども、そのときどきで変わるものなのでしょうか。

【大臣】2005年の文書で、そこまで決めているわけではありません。ただ、基本的考え方で言えば、自衛隊は盾であり、在日米軍は矛でありますから、日本の領土、領海を守るというのは、一義的には自衛隊の役割であります。ただ、それは現実にどういった事態が生じたかということによって、状況というのは柔軟に対応していかなければいけませんから、必ず、まず、自衛隊がということが決まっているわけではありません。

【フリーランス 岩上氏】あくまでも確認です。ということは、05年の文書でそのように自衛隊が、まず、島嶼部を守ると書かれていても、実際に事態が変われば、この文書で取り決めを変えることはある、日米間で話し合って変えることはあり得るということなのでしょうか。

【大臣】私(大臣)、2005年の文書は手元に持っておりませんが、そこでまず「自衛隊が守る」と書いてありますか。

【フリーランス 岩上氏】書いてあります。島嶼部は自衛隊というように、日本側が守るというように書いてありますし、それに基づいて、前回5月11日に質問させていただいたときに、大臣も、まず、最初に自衛隊が守ると。

【大臣】もうこれで終わりにしますが、私(大臣)が申し上げたのは、日本の自衛隊である以上、まず、自分の国は自分で守るという気概を持つべきだと、そういうことで申し上げましたが、2005年の文書に、そこまで書いてあるかどうかというのは、ちょっと私(大臣)は記憶にございません。

【フリーランス 岩上氏】わかりました。それでは、また改めて。

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中国・モンゴル訪問及び第3回日中ハイレベル経済対話出席

【共同通信 斎藤記者】大臣の今回の訪中の件でお伺いします。経済対話ということで多くの閣僚も行かれて、さまざまな議題が出ると思いますが、大臣としては、今後の日中経済をにらんで、どういった話をしていくべきだとお考えなのか、いくつか焦点を挙げていただきたいと思います。

【大臣】まだ正式にそういった議題案をセットしているわけではありませんので、ここで詳細に申し上げることは避けたいというように思います。ただ、今、日中間で議論されている知的所有権の問題でありますとか、それから鳩山前総理も行かれた曹妃甸のエコプロジェクトとか、そういうことも中国側の関心事項でありますので、当然議論になると思います。あと、先般、経団連からいろいろ意見も伺わせていただいたのですが、中国に進出している日本の企業が直面している諸問題、そういうことについても当然意見を交わすことになるだろうと思います。

【共同通信 斎藤記者】同じく中国関係ですが、今、経済のことをお伺いしましたが、一方でお話がありましたとおり、楊潔チ外相とのバイの会談もあります。今、ガス田、北朝鮮、それから不測の事態のメカニズム等々もありますが、今回の会談でどのように取り組んでいくのか、基本的な姿勢についてご説明ください。

【大臣】さまざまな日中間に懸案事項がありますので、そういうものについて率直に意見交換をすると、今までも率直に意見交換をする中で前進が見られたものも多かったと思います。先送りすることなく、しっかり議論していきたいと考えております。

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日韓歴史共同研究

【産経新聞 久保田記者】日韓併合百年に関してご質問します。菅談話の中で、「日本は韓国人の意志に反して」という文言が入ったかと思いますが。

【大臣】「意に反して」です。

【産経新聞 久保田記者】「意に反して」ですね。日韓歴史問題の研究というのは、第2次まで行われたわけですけれども、次回というのは、もし、行われるとしたら、ここの部分が非常に問題になると思うのですけれども、その研究というのは、行われるのでしょうか。

【大臣】問題になるというのは、どういう。

【産経新聞 久保田記者】歴史問題研究を、第3次を行うかどうかです。

【大臣】それは、まだ決めておりません。

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児童の性的搾取と表現規制

【週刊金曜日 伊田記者】金曜日にお聞きした児童の性的搾取問題に関するリオ会議の件で、一応確認ですが、私どもとしても、実際の被害者がいる児童買春、児童ポルノの性的搾取を出来るだけ減らさなければいけないことについて異論はございません。ただ、非実在の青少年問題の表現規制について、20日の段階では日本語の仮訳だけ読ませて頂いたのですが、正文の英文の方は、非実在の表現が“it's surely raised serious problem”と“surely”は仮訳の方には入っていない訳ですが、「確実にそういう問題をもたらす」と書いていますので、ここについてお聞きしたいのだということを確認させて下さい。それで、事務方の方から「まだ準備中だ」というように伺っているので、本日は回答頂かなくていいと思うのですが、目安として例えば、一週間後の会見では何らかのお答えをお聞かせ頂けると考えてよろしいでしょうか。

【大臣】私(大臣)も詳しくまだ説明を受けていませんので、即答できません。なるべく早くと思っております。

【週刊金曜日 伊田記者】はい、よろしくお願いします。ちなみに、自民党政権時代の話ですので、政権交代も起こって、児童被害はできるだけ少なくしていかなければいけないというのは、もちろんなのですが、誤った表現だとか、ここは直した方がいいということがあれば、密約問題等も取り組まれた岡田外相ですので、柔軟に対応していただければと思っております。

【大臣】この問題は、かなり深刻な問題ですので、そういったものを放置しているということが、非常に国際的にも問題にされつつあるということです。もちろん、日本自身の問題でもある訳ですが。そういったことをきちんと認識した上で、しかし、表現の自由とのバランスをどう取っていくかという問題ですので、しっかりと検討していく必要があると思います。

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核軍縮・不拡散に関する有識者懇談会

【共同通信 比嘉記者】本日、第三回の核軍縮に関する有識者懇談会があったと思うのですが、9月にはオーストラリアと共催する非保有国の外相会合も控えていまして、この有識者懇談会に改めてどのようなことを期待されているかということと、それから、有識者懇談会の成果を、大臣はどのように取り込んでいかれるかということについて教えてください。

【大臣】有識者懇談会で、私(大臣)も30分ほどいっしょに議論いたしましたが、本日行いましたのは、中長期的な課題についての方向性をざっくりと議論したということであります。例えば、米露間での現在合意ができた核軍縮条約について、その後、おそらく、少なくとも5大核保有国全体レベルでの軍縮の議論になるのだろうと思いますが、具体的にどのような道筋が考えられるのかということとか、それから非核条約について、米国の態度等も大分変ってまいりましたので、そういう中で日本がもう少し役割がきちんと果たせるのではないかということや、それから、東アジア非核地帯条約というものを、もし考えるとしたら、それは朝鮮半島の現状にどのようなプラス・マイナスのインパクトを与えるのかとか、そういった議論をざっくりと専門家の皆さんとさせていただきました。そういう議論を踏まえて、おそらくレポートが上がってくるだろうと思っています。

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対アフガニスタン支援

【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読いたします。アフガニスタン問題についてでございます。5年間で最大50億ドルのアフガニスタン復興支援策を実施すると、大臣は以前発表されておりますが、その支援の具体策を検討する場として、官邸にアフガン支援室を設置するとの方針が明らかにされております。事務局長に前外務副大臣の福山哲郎現官房副長官が就任されるとのことですが、まずこの狙いと、今後の外務省との具体的連携についてお伺いできればと思います。

【大臣】私(大臣)がインドに立つ前に、総理のところでこの問題について、今おっしゃったような方向性について議論したところです。もちろん、外務省で今までも取り組んでまいりましたが、例えば、NGOジャパンプラットフォームを通じたNGOでの活動、確か15億円でしたか、とか、いろいろと新しい要素も組みいれて構想を作ってまいりましたが、これは外務省だけでは出来ない訳で、例えば、警察官の訓練、トルコにおいて行おうかという議論などは、もちろん、警察庁のご協力がなければできない訳であります。そういった各省庁にわたるということもありますので、大所高所から官邸の方でご議論いただくと、私(大臣)もそのメンバーにもちろん入っておりますが、ということは、議論をより深いものにするという意味で望ましいと考えております。

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外嘉手納基地への外来機飛来

【琉球新報 滝本記者】沖縄の嘉手納基地の「外来機」と我々は呼んでおりますが、他の嘉手納の常駐機ではないところから来ている飛行機が相変わらず増えて数多く来ているわけですけれども、負担軽減という文脈で大臣も以前から外来機について米国に対して何とか改善をということを求めていかれるお考えをずっと繰り返し示されておられますけれども、具体的に日米間で何度かお話しをされているのか、それとも、されようと思っていらして用意されているのか、もし、されているのであれば、米側からどういう回答があるのか、その辺りはどうでしょうか。

【大臣】まだ私(大臣)のレベルではしておりません。ですから、8月末を越えたところで、少しそういう問題提起もしたいなと思っております。外来機はいろいろな理由で嘉手納なりに来るということですが、例えば時間帯の問題もあります。現在、嘉手納で基本的に嘉手納にある飛行機が離発着する時間というのは原則は決まっている訳でありますから、例外はないわけではありませんが、どこかで調整をして、その枠の中に入るようになるべくしてもらうということが果たしてできないのかどうか等、いろいろ議論すべき論点はあると思っております。

【琉球新報 滝本記者】ということは、事務方では米側にその意向、外来機についての今大臣がおっしゃられた具体的な部分では、航空機騒音規制措置の枠内にきちんと収まるようにということができないのかと・・・。

【大臣】全て(の飛行機)が収まるかどうか別ですよ、なるべきそこに離発着の時間帯を寄せることができないのかというのも一つです。いずれにしても、議論する場としては沖縄も入れた議論する場もありますし、事務方もあります。どういうレベルでどういう話をすべきかということを、今いろいろ考えているところです。

【琉球新報 滝本記者】私がお伺いしたかったことは、官房長官は、その「場」というものが必要ではないかと、米側とあるいは沖縄の意向もくみながら、そういうことを米側とも話しをする「場」というものが必要ではないかというような言い方を会見でされたりしていたのですが。

【大臣】承知しておりません。

【記者】個人的なお考えだということでもありましたけれども。事務方ではお話しはまだされていないという認識でよろしいでしょうか。

【大臣】決まったらお話ししたいと思います。

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日印原子力協定

【読売新聞 村尾記者】日印の原子力協定についてうかがいます。核の話を巡って、今後交渉が難航するのではないかという見方もあるようですが、大臣の見通しについては、どのようにお考えでしょうか。

【大臣】難航するかどうかはわかりません。しかし、難しい問題だと思います、インド側も国の主権にかかる問題だというように考えておりますし、国会の中ではそういう意見が強いというようにも聞いておりますので、最終的には、国会を両国とも通さなければならないということです。困難ですが、だからこそチャレンジしなければならないと思っております。

【フリーランス 上出氏】今のに関連しまして、成果というか、前の会見でも言ったことを、私の言ったことと同じようなきちんとした形で、インド側に「核実験をやった場合には協定を締結しない」とはっきりと仰っておられたということなのですが、今回の成果といいますか、未だ難航してますけれども、例えば原子力ビジネスの上からも、必要であるということを言っておられて、インド側も今回大変事前に準備をされるとかいろいろ力を入れているということでした。今後、今回の成果を踏まえて、NPTに入っていない国との同じような問題等については、今どのような考え方で臨んでいかれるのか、今回の成果も併せて、国民に対しての成果をまとめて言って頂くのと含めて、今後これと同じような対応があるのかどうかということを聞かせて下さい。

【大臣】成果といいますか、まだ原子力協定について話がまとまっておりませんので、これからさらに協議を続けていかなければならないというように思います。双方のポジションはかなりはっきりしたと思います。インドのメディアを通じてインドの国民の皆さんに日本がなぜこれにこだわっているのかということについては、ある程度伝わったのではないかと思っております。現地の新聞報道等見ておりましても割と冷静に被爆国としての日本の、あるいは核軍縮・不拡散をずっと行ってきた日本の主張として紹介されておりますので、そういうことがある程度伝わったと思っております。他のNPTに非加盟の核保有国というのは、それはNSGでは全く認められておりませんので、他の国をインドと全く同列に論じるつもりは全くございません。

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経済景気対策

【世界日報社 山本氏】政局が代表戦を控えているということで、日曜日のいろいろな報道討論番組などを聞きましても、ある局を代表的に言わせてもらいますと、経済的なことについては、いろいろ議論は各党の代表が出られてされるのですけれども、結局政府として何をどう決断していくのかということがあまり明確に出てこないという中で、報道としては、軽井沢でいろいろな方が集まって政局的なことが演出されたというか、それをまた諸外国が見ていて、日本は結局そういう形で留まっているのではないかというようなことから、円高、あるいは様々な経済的な面での包囲網みたいなものが築かれつつあるのではないかという指摘もあります。この代表選が終わるまでは、やはり、いろいろな経済分野での決定は明確に出来ないということなのか、それとも岡田外相、次期民主党のリーダーとして、政策的な方向性をしっかりと打ち出すという何らかのメッセージをしていただければと思います。

【大臣】円高の背景は非常に複雑だと思いますが、別に今一部のメディアが代表戦について果敢に報じているからといって、それが原因だとは全く思っておりません。そして、これからの特に円高対策を始めとする経済景気対策については、もちろん菅総理の下で
今それぞれの閣僚が議論を行っているところでありますので、その議論が閣議にかかれば、我々もそれに参加したいと考えております。残念ながら、外務省が直接この景気対策、円高対策というものにかかわる局面というのはあまりありませんので、それぞれの担当大臣が集約された上で、閣僚としてそれに対して必要あれば意見を申し上げたいというように思います。私(大臣)としては外交をしっかりと進めていくということが非常に重要ではないかと思います。今回もインドのEPA交渉のスケジュールについてほぼ合意したこととか、あるいはタイで自動車産業を中心に、タイの自動車産業は今、非常に調子がいいので、そういったことについて、その前提として、邦人がきちんと保護されるとか、あるいはビジネスがきちんと必要な保証がされるとか、そういうことをしっかりと働きかけをしていくということも、広い意味で経済問題に繋がってくることだと思っております。

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民主党政調外務部門会議

【日経 山内記者】本日これから、外交の部門会議があると思うのですが、月末に取りまとめる概算要求について、どの程度民主党の政調の意見を取り入れるべきだと大臣は考えてらっしゃいますでしょうか。

【大臣】本日どういうご意見を頂くかということをまだ聞いておりませんので、それを踏まえないと、白紙で答えるのは非常に難しい問題だと思います。ぜひ前向きの良いご意見を頂くことを期待したいと思います。併せて私(大臣)の方から、一連の最近の海外出張の状況についても報告したいと思っております。

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外務大臣会見記録(平成22年8月20日(金曜日)12時25分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)外務省本省の幹部の異動について

【岡田大臣】それでは、私(大臣)からは本日、外務省本省の幹部の異動がありました。詳細についてはご説明をいたしませんが、先ほど辞令の交付がありました。特に次官をやっていただいた藪中さんは、今回退職となります。1年間という短い期間でしたが、一緒に仕事ができて私(大臣)としては、よくやっていただいたと感謝を申し上げたいと思います。政権も変わって、お互いいろいろ戸惑いもあったと思いますが、そういう中で信頼関係を構築して、私(大臣)も言いたいことは言いましたし、やりたいことはやってまいりましたが、そういう中でよく理解をし、支えていただいたというように思っております。
後任の佐々江さんは外務審議官ということで、今までともに仕事をしてきましたので、大体人となりはわかっているつもりですが、しっかりと新しい外交を開いていくために、ともに頑張っていきたいと思っております。
なお、薮中さんは外務省顧問ということにいたしました。

(2)インド、タイの訪問について

【大臣】それから、私(大臣)のインド、タイの訪問ですが、本日の夜から24日までの日程でインド、タイを訪問するということであります。
インドは定期的にやっております日・インド外相間戦略対話を、クリシュナ外相との間で第4回日・インド外相間戦略対話を行うということで、二国間の課題、経済連携協定あるいは原子力協定の話、その他議論すべき課題はたくさんあると考えております。それから、シン首相への表敬も行う予定であります。
タイでは23日(月曜日)に、カシット外相との間で二国間の問題を中心に議論を行うとともに、旧知のアピシット首相への表敬も行う予定であります。その合間を見て経済協力案件の視察や、我が国から進出している企業の現場なども視察をする予定であります。

(3)ミャンマー情勢について

【大臣】3番目はミャンマー情勢について、この前の会見の日にミャンマーのことについて十分触れることができなかったのですが、13日にミャンマー政府は総選挙を11月7日に実施することを発表したわけであります。この件に関して、ミャンマー政府がアウン・サン・スー・チー女史を含む政治犯の釈放を行わないまま総選挙を実施するということであれば、我が国を含む国際社会がこれまで求めてきた自由公正で開かれた総選挙の実施とは異なるものであり、遺憾であります。
引き続きアウン・サン・スー・チー女史を含む政治犯の早期釈放及び同女史との実質的対話の速やかな実施などを通じて、すべての関係者を含む形での総選挙の実施を強く求めるということであります。
なお、今、私(大臣)が申し上げた点につきましては、昨日、フラ・ミン在京ミャンマー大使を通じ、今、申し上げた考え方をミャンマー政府に伝えたところであります。部長が大使に伝えたということでございます。

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アフガニスタンにおける邦人誘拐事案

【フリーランス 上杉氏】昨日ですが、テレビ朝日でジャーナリストの常岡浩介さんのビデオが流れたということがありました。これは拘束中だと言われていたのですが、実際に映像では確認されました。これについて外務省並びに政府の何らかの見解はございますでしょうか。

【大臣】私(大臣)は直接見ておりませんが、そういう報道があったということは承知をしております。それ以上、今、申し上げることはございません。

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日韓関係(日韓併合100年)

【共同通信 斎藤記者】日韓関係でお伺いします。韓国側では日韓併合100年に向けて、改めて100年前の併合条約は締結のときから無効だったと。これは韓国は従来からそういう主張をしているわけなのですが、改めてこの機に無効であるという主張、そして日本側も無効であるという認識を持つべきではないかという論調が高まってきていると認識をしております。
 日本側の立場としては、はっきり出ているところでは1995年に村山さんが総理談話を出したその後だと思いますが、この併合条約自体は国際法的に見て有効であるという立場を示して、その後、韓国側が反発するという経過があったように記憶しております。政権が代わったわけなのですが、現時点で民主党政権、菅内閣として日韓併合条約が無効であるか、あるいは有効だったのか、この論争についてどのような見解をお持ちなのか、そして、そういう見解を持つに至った経緯も含めてご指摘願いたいと思います。

【大臣】この点は、日韓基本条約の範囲で両国間の議論になって、そして今や無効であるという考え方で落ち着いたという経緯があります。当時の日韓基本条約を結んだときの考え方、今や無効であるということについて、何か付け加えるべきものがあるとは私(大臣)は考えておりません。

【共同通信 斎藤記者】今の点の補足ですが、繰り返しになるのですけれども、村山総理は1995年の国会答弁で、有効という言葉に言及しております。有効という言葉を使って、明言したわけなのですが、そうした有効という言葉を現政府としては明言する立場にはないのでしょうか。この点を確認願います。

【大臣】当時の村山総理の発言の詳細は、私(大臣)は承知しておりませんので、そのことを前提にしたコメントは特にいたしません。先ほど申し上げたとおりです。

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六者協議の再開

【毎日新聞 西岡記者】六者協議についてですが、胡正躍外務次官が昨日平壌を訪問して、金桂寛外務次官と会談をしたということを中国政府が発表しているのですが、六者協議の再開の見通しについて大臣のご所見をお伺いしたいと思います。

【大臣】まだ、この点は日韓あるいは日米韓で議論をしておりましても、まだその時期ではないと、つまり、天安号事件についてのきちんとしたけじめがついていないということであります。将来的には核やミサイルの問題は六者協議の場で議論するということでありますので、再開ということは当然念頭にあるわけですけれども、まだそういうタイミングにはない。
 それから、再開するに当たっていろいろ条件がついたりいたしますが、例えば制裁を解除しろとか、そういった北朝鮮側の条件つきの開催については、我々はそういう立場にはないということは申し上げておきたいと思います。

【毎日新聞 西岡記者】大臣が先ほど仰った条件つきの再開、北朝鮮から具体的に日本政府に対して、どういう制裁解除の条件を飲むならば協議に応じていいとか、そのような要求は既に来ているのでしょうか。

【大臣】特にございません。

【共同通信 斎藤記者】大臣は天安号事件があって、まだけじめがついていないと仰られましたけれども、そのけじめなのですが、北朝鮮側は具体的にどういう形でけじめをつけるべきなのか、どういうふうにけじめをつけることによって、六者協議再開へ扉が開かれるのか、その辺について具体的にご指摘願いたいと思います。

【大臣】基本的には、当事者である韓国政府がどう考えるかということが非常に重要なことだと思います。ただ、この前のベトナムでも韓国側は、北朝鮮側は韓国政府が中心になって各国が協力して行った調査そのものがでっち上げであるということを明言したわけです。そういった認識というのは我々の認識と全く違うわけであります。そういった点について、現状のままで六者協議を開くということには簡単にはならないと思います。

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児童の性的搾取と表現規制

【週刊金曜日 伊田記者】表現規制の関係でお伺いいたします。平成20年、2008年にリオデジャネイロで開かれた第3回児童の性的搾取に反対する世界会議において、日本政府、外務省がステートメントを発表しまして、外務省のホームページに仮訳が載っているのですけれども、その中で今後の課題として「漫画、アニメ、ゲーム等でしばしば児童を対象とした性描写が見られます。これは現実には存在しないコンピュータ等でつくられた児童が対象ではありますが、児童を性の対象とする風潮を助長するという深刻な問題を生じさせるものであります」という発言があります。
 この現実には存在しない児童を対象にした表現が児童を性の対象とする風潮を助長するというように断言されているのですけれども、この根拠というものがございましたらお教えいただければと思います。

【大臣】それは外務省の発言としてですか。

【週刊金曜日 伊田記者】はい。そうです。

【大臣】私(大臣)は、詳細は、突然で言われてもわかりませんので調べてみたいと思います。ただ、今お聞きしたところでは、実際の児童ではないけれども、架空のそういった人物ではあるけれども、という趣旨で使っていたというように想像されますけれども、詳細はよく調べてみたいと思います。

【週刊金曜日 伊田記者】それでは、後ほどで結構ですので、またお願いいたします。

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日露関係(北方領土問題、「第二次世界対戦終了の日」制定等)

【北海道新聞 島田記者】北方四島へのビジネス渡航についてお尋ねさせてください。ここ最近ずっと取材をしていて、実際に択捉島に行ったという方に何人か会ったりしたのですけれども、ビジネス渡航のツアーみたいなので視察ツアーみたいなのがあったりとかなりの大人数が行っているようなのですけれども、そういう人たちに会って話を聞くと、実際、水産業界などは特にこれから厳しい状況、先細りが懸念される中、やはり北方四島でビジネスをしたいという声もかなり聞かれました。そこで改めてお伺いしたいのですけれども、閣議了解を踏まえた上ですけれども、今後そういうビジネスについて何らかの形で一部解禁するとかそういうお考えとかはありますでしょうか。

【大臣】まず、今のお話の中で、閣議了解があるにもかかわらず、もし渡航している人がいるということであれば、これはゆゆしきことであります。先般もそういったことが一部明らかになったわけですけれども、閣議了解の趣旨を徹底するために各省庁に外務省としてお願いをする。そういう考え方で今準備を進めているところであります。
 つまり、知らないからということで行っておられる方がいるかもしれないということで、そこはしっかりと政府の考え方をいろいろな関係者、企業とか金融機関とかそういうところに徹底したいと考えております。
 ビジネスということですが、我が国の領土である北方領土でビジネスということになりますと、そこのビザの問題とか、いろんなことが出てくるわけで、基本的に北方領土の返還を求める日本として、それと矛盾するような行動は取るべきではないと考えているところです。

【北海道新聞 島田記者】その関連の質問でお願いします。私、行ったことがないのでこれも伝聞になってしまうのですけれども、現実に米国の企業とか、韓国の企業はかなり北方四島でビジネスを展開しているようなのですけれども、国際的に見てそういうビジネスをやっている外国の企業というのは、北方四島の帰属がロシアとか日本とかという認識はないのかなという感じがするのですけれども、こういう米国や韓国とか諸外国の企業が北方四島でビジネスをするということは、ある意味国際的な観点から見ると、ロシアの実効支配を国際的に認めかねない状況になってしまうのではないかと思うのですが、こういう外国の企業などに対しては日本政府として何か働きかける考えなどはございますでしょうか。

【大臣】それは日本とロシアの主張が食い違っている中で、日本としてどこまでできるのかという問題はあると思います。どういったことが可能か、よく検討してみたいと思います。

【週刊金曜日 伊田記者】北方四島に絡めて、7月25日にロシアで成立した第二次世界大戦終結の日の法案、メドベージェフ大統領が7月25日に署名して成立した件についてお聞きします。
 ロシアの声の日本語ホームページによりますと、ロシアの有力シンクタンクで対日政策に影響を与える科学アカデミー極東研究所のパブリャチェンコ日本センター長がこう述べているということです。「日本側の最初の反応は十分に肯定的なものだった。ロシアが制定に際して非常に繊細に慎重にアプローチした点について、複数の当局者が満足の意を表した。終戦の日は、ロシア国民全体にとって祝い日に当たる正当な記念日であり、歴史的な事実を明らかにするものだ」というように述べております。
 日本側も当初の反応というのが肯定的なものだったと述べているのですけれども、これは岡田大臣としてはそういう対応だったのか、どういう認識だったのかということをお聞きしたいと思います。

【大臣】いろいろな議論があったと思いますが、そして、個々人の言うことをいちいちコメントする必要はないと思いますが、当初伝えられていた対日戦の終了を記念するという位置づけからロシアにとって第二次世界大戦そのものが終了したというように位置づけが変わったという点については、一定の評価ができると思います。
しかし、そのことと根っこからどうかというのはまた違うわけでありますから、必ずしも肯定的であったという、これはだれが何を言ったことをもって肯定的だったと考えておられるのかよくわかりませんので、このことはコメントしにくいと思います。

【週刊金曜日 伊田記者】ただ、ロシア側がそう受け止めている以上、今後、戦後の現実を変えることはできないと、北方領土の返還には応じられないと態度を硬化させてくる可能性があると思います。以前のエリツィン大統領のときは、スターリン主義からの脱却と、つまり、あれは間違ったスターリンの帝国主義的な負の遺産だったのだというような立場で、北方四島を返還することがロシアにとってもいいことだと、スターリン主義からそれが脱却になるのだという立場だったと思うのですけれども、明らかにロシア側の態度が変化し、北方領土の返還がかなり強硬姿勢に出てくることも予想されるのですけれども、そのことについてどういうようにお考えになっているのか。もしくは、また9月2日の記念日に合わせて、日本から何らかのメッセージを発表、出すつもりがあるかどうかについてお聞かせください。

【大臣】9月2日というのは、私(大臣)の理解では、戦艦ミズーリで調印を行ったという日だと思います。北方領土に何か直接関係があるということではなくて、その9月2日を終戦記念日としたということは、北方領土に対するロシアの態度に何か影響を及ぼすというのは私(大臣)には理解に苦しむところであります。
 いずれかこの場でも申し上げたことがありますけれども、我々は8月15日をもってポツダム宣言を受諾した日ですから、それを終戦記念日だということにしております。一般論として言えば、違う考え方があっても決して不思議ではないと思っています。そのことと北方領土が関係があるとは考えておりません。

【フリーランス 安積氏】65年前の8月18日は、クリル北端の占守島にソビエト軍が上陸したことから、クリル空挺部隊の日となっているそうです。今年から地域レベルの国家記念日に指定されたという報道がありましたが、既に先ほど伊田さんが仰ったように、第二次世界大戦終結の日について7月27日に外務省の方から欧州局参事官からロシアの臨時代理大使に対して申し入れされていますが、今回この件について何かアクションをとられたことはありますか。

【大臣】今のところ、私(大臣)はそういうことは聞いておりません。地方レベルの話にどこまでものを言うかということはあると思います。事実関係をよく把握しておりませんので、把握した上で対応が必要かどうか検討してみたいと思います。

【週刊金曜日 伊田記者】先ほどの関連ですけれども、8月15日にポツダム宣言を受諾したにもかかわらず、ソ連はその後、北方四島に侵略してきているわけです。明らかに日ソ不可侵条約を破って、ソ連の方が日本を侵略してきたわけですけれども、つまり15日を終戦ととらえるか、9月2日を終戦ととらえるかによって、その後のロシアの日本に対する侵略が正当化されかねないというような危惧があると思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

【大臣】ちょっとお考えがよくわからないのですが、15日と9月2日と、それぞれ法的には意味のある日だと思います。15日は日本として正式にポツダム宣言を受諾したと、無条件降伏を宣言した日ということであります。それを文書の上で形式を整えたのが9月2日ということで、それぞれ法的な意味のある日でありまして、そのことと何か当時のソ連の行動をどう考えるかということは、必ずしもリンクしない問題だと思います。日本としては、8月15日に無条件降伏ということを明確にしたにもかかわらず、攻撃は続いたということは、そういった事実があるということは何ら変わらないわけであります。

【共同通信 斎藤記者】今、岡田大臣は8月15日以降のソ連の対日参戦の下りで、それにもかかわらず攻撃が続いたというように表現されました。その攻撃の性質についてお伺いしたいのですが、ソ連の8月15日以降の攻撃、そこで多くの日本の兵士の方々が命を失ったわけですが、この戦いは国際法上に照らして、許される攻撃だったのか、許されない攻撃だったのか、大臣の認識をお伺いしたいと思います。

【大臣】いろいろな議論はあるのかもしれませんが、日本人として無条件降伏をした、言わば白旗を掲げたにもかかわらず、攻撃がなされたと。しかも、ずっと攻撃をしてきたというよりは、その直前に中立条約に反して攻撃がスタートしたわけですから、それは当然釈然としないものを私(大臣)は感じています。

【日本テレビ 野口記者】北方領土の返還交渉についてお伺いします。今度は来月上旬に鳩山前総理がロシアを訪問されると。まずそこでメドヴェージェフ大統領との会談は、これはもうセットはされたのでしょうか。

【大臣】私(大臣)は確認しておりません。まだ聞いておりません。

【日本テレビ 野口記者】菅総理の名代として鳩山前総理が訪ロされると思うのですが、北方領土返還交渉という観点から、鳩山前総理がロシアに名代として行かれるということに関して、政府として、どのような位置づけとしてとらえていらっしゃるのかということと、鳩山前総理にはどういった役割を期待されるかということをお願いいたします。

【大臣】まず位置づけですけれども、総理の名代として行かれるわけではありません。これはセミナーといいますか、ダボス会合のロシア版のようなものですね。これが開催されるということで、日本からだれか出た方がいいと。鳩山前総理が総理の時代には出られる方向で調整をしておられたわけですが、総理が代わられたと。そういう中で、鳩山前総理に出ていただくということで、必ずしも、まず菅総理が出るということがあって、その名代として鳩山前総理ということになったわけではありません。鳩山前総理が出ていただくのが適任であるということで、政府としてお願いをさせていただき、前総理にも快諾をいただいたということで、名代ということの意味にもよりますが、法律的な意味での名代ということでは必ずしもありません。
 それから、北方領土の交渉をしに行くわけではございません。もちろん、大統領と会う機会があれば、前総理として、さまざまな議論をされるということになると思いますけれども、総理に代わって交渉しにくいという位置づけではございません。前総理として今までの経験を生かして、少しでも領土問題について前進が見られるような、そういう結果につながれば、大変ありがたいことだとは思っております。

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米軍再編問題

【琉球新報 滝本記者】米国のゲイツ国防長官がカリフォルニアの講演で海兵隊の現状の体制見直しを指示されているということを講演で明らかにされて、その中では人員削減ということも言及されていたようですけれども、この機に日本の海兵隊のプレゼンスを返還させると、沖縄から撤退されるということについて、米国側に改めて交渉するというお考えはございませんでしょうか。

【大臣】日本政府としては、海兵隊の存在というものは抑止力として必要であると考えております。したがって、全面的な撤退とか、そういうことが日本にとって望ましいと考えているわけではありません。

【琉球新報 滝本記者】ゲイツ長官が仰られた内容について、日本政府として米国側から説明なり、方針についての何か見解なりということは、ご連絡なり、お話は聞いていらっしゃるのでしょうか。

【大臣】まだ講演でお述べになった段階で、詳細に決まっているとは理解していませんが、当然、海兵隊について、これからどういうようにやっていこうとしているのかということについては、日本政府としても十分把握をしていく必要があると思っております。

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民主党の代表選挙

【NHK 藤田記者】民主党の代表選挙についてお伺いします。昨日、鳩山前総理の議員グループが軽井沢で勉強会というか研修会を開いて、その後の懇親会には160人くらいの議員が参加したということで、鳩山前総理も挙党体制が必要だと、ある種、菅さんを支持するのだけれども、注文を付けるような発言をされています。
また、党内では小沢前幹事長の立候補を目指す動きが出ていますけれども、代表選挙をめぐる党内の情勢はどうごらんになっているかということと、仙谷官房長官が本日の午前中の会見で、一般論としては選挙戦のあることが政権の正当性という意味からいうと望ましいと述べていますけれども、一方で短期間で総理が代わることは国民の理解が得られないとして、無投票が望ましいという意見も党内にあると思いますけれども、大臣としてはどういうようにお考えになっていますか。

【大臣】私(大臣)は、一般論としては代表選挙をやった方がいいと思います。これだと思う方は手を挙げられればいいと考えております。それは頭から選挙をやるべきではないと言うつもりは全くございません。もちろん、私(大臣)としては外務大臣をした1年の経験からしても、国のトップがそう何回も代わるということは、国益上大きなマイナスだということは肌身で感じておりますので、しかも菅さん自身は我々が総理に選んで、時間もわずかしか経っていないわけですから、しっかりと菅さんを支えていきたいと考えております。

【朝日新聞 山尾記者】小沢前幹事長も立候補を検討されていると言われていますけれども、政治とカネの問題を理由に幹事長を辞任した小沢前幹事長が代表戦に出る資格はあるとお思いでしょうか。

【大臣】代表選の規定によれば、別に何か条件が付いているわけではありませんので、それは最終的にはご本人の判断で、出られることについて、それができないということではないと思います。
ただ、私(大臣)自身も幹事長、代表として党の運営に携わってきて、民主党としては、例えば起訴された議員というのは厳しい措置を私(大臣)自身、課してまいりました。こういう感覚からすると、起訴される可能性のある方が代表、あるいは総理になるということについて、私(大臣)自身は違和感を感じております。小沢さんが出ると言っているわけではありませんので、小沢さんに対してというより、小沢さんに出てくださいと言う皆さんに対して、果たして民主党の立党の原点に返ったときにどうなのかという感じで見ております。

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沖縄知事選

【琉球新報 滝本記者】普天間に関連してですけれども、沖縄の知事選挙が11月に予定されていますが、知事選挙に向けての動きが沖縄の中で出てきていますが、日本政府としては、日米合意を推進する立場ということは変わらずあると思いますけれども、その意味でいろいろな許認可の権限を含めて持っている県知事が日本政府の方針に反対ではなくて、一定程度でも理解を持った知事になってもらうということが望ましいと、日本政府としてはお考えでしょうか。

【大臣】これは選挙ですので、政府が選挙について何か言うのは差し控えるべきだと思います。むしろ党の方で判断すべき問題だと考えています。

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日中関係

【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者からの質問を代読いたします。日中関係についてでございます。先日、言論NPOとチャイナデイリーとの共同世論調査結果が先日公表されました。この中で相手国に対して、良くないと感じている割合が、中国では55%と前年比で10ポイント(アップ)の大幅な改善が見られましたが、日本では72%と横ばいの状況となっております。東アジア重視を打ち出している中、この両国民の意識の差に関しますご所見と、外務省として国民レベルでの相互理解の向上に向けて、どのような政策で今後乗り越えていかれるのか、改めてお聞かせください。

【大臣】72%というのは、ちょっと残念な数字ですね。したがって、現実は、東シナ海とか、いろいろな問題があることも事実です。しかし、最も関心が深かったであろうギョーザ事件というのは、その事件そのものは被疑者が起訴されて、そういう意味では日本政府としても納得できるような手続が進んでいるわけで、そういうところは正当に評価すべきだと思います。もちろん、そのことが食の安全全体につながる問題ではないとは思いますけれども、中国政府がしっかりと対応したことについては、それは卒直に評価をすべきだと思っております。
いずれにしても55%という数字も決していい数字ではありませんので、日中間の相互の理解というものが十分に行われていないというのが現状であります。したがって、草の根レベルでお互いの交流が進み、理解が進むように、政府としても外務省としても、もっともっと努力が必要であると感じております。

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日印原子力協定交渉

【毎日新聞 吉永記者】今度のインド・タイ訪問で、インドの外相との戦略対話が開かれるときに、原子力協定のことについてお話しするということですが、これで、核軍縮を推進している岡田大臣として、どのようにインドに自国の立場を伝え、どのようなものをインドに求めていくかということについて、お話していただけますか。

【大臣】原子力協定そのものは、核軍縮を認めるものでは必ずしもありません。ですから、それは切り離した議論だと思いますが、核保有国に対して軍縮・不拡散というものは、インドに対しても当然、求めていきたいと考えております。原子力協定そのものについて、今後、内容についてはこれから交渉していく訳ですが、例えば、核実験を行ったときに、日本として、そういうものは到底認め難い訳ですから、そういった内容についてどうやって盛り込んでいくかということは、これからの交渉次第であります。ただ、基本的な考え方は、私(大臣)からも伝えたいと思っています。

【フリーランス 上出氏】インドの原子力協定については、日本の被爆国としての立場から言って、もっと厳しい対応を取るべきだという声も一部にあるのですが、そういう点から言って、前回の会見のときに、国際的には一応、認められているの環境の中では適切な措置だと言っておられたのですが、今回、必要なことは言うと言っていますが、どのような形でインドに釘を刺すと言ったら変ですが、そのような問題についてどのように要望するのか、具体的にもしありましたら教えていただけますか。

【大臣】それは、会談が終わってからお話した方がいいと思いますが、日本の中で、今仰ったような厳しい世論があるということも率直に伝えたいと思います。ただ、私(大臣)がインドに前回、外務大臣になる前ですが、訪れた折も、かなり議論をいたしました。非常に印象的だったことは、共産党以外の各党代表が一様に核の保有ということについて極めて肯定的で、理由はいろいろ挙げておられました。パキスタンのこともありましたし、中国のことも挙げていました。非常に彼らとしては、強い信念を持って核開発を進めてきたということであります。また、かなりぶつかり合うかもしれませんが、日本の考え方というものをきちんと説明したいと思います。

【産経新聞 久保田記者】日印原子力協定の関連ですが、日本は国際原子力開発という官民合わせた原発の売り込みの機関を創る予定になっていると思うのですが、原子力協定と資源外交といいますか、原発の売り込みの考え方についてご説明ください。

【大臣】原子力協定がないのに原子力発電所を造ることを協力する訳にはいきません。ですから、原子力協定とそういった原発の大型プロジェクトの売り込みというのは、もちろん両立するようにしなければいけない。原子力協定なしで売り込むなどということは、全く想定していない訳であります。私(大臣)も、新幹線や水プロジェクトに並んで、原子力発電所の日本の優れた技術がありますので、そういったものについてきちんとルール化して、インドの場合はともかくとして、基本的に原子力の平和利用というのは、これは遍く認められたことでありますので、そのような中で転用されたりしないように枠をはめて、しっかりと協力していくということです。日本の優れた技術が採用されるということは、より安全な原子力発電所が建設されるということにもつながる問題だと思いますので、しっかりと外務省としても支援していきたいと考えております。

【産経新聞 久保田記者】原子力協定を資源外交、つまり、民主党の成長戦略の一つの資源外交の一つというように位置付けた上で、やはりインドとの協定を進めたいというお考えと受けとってよろしいでしょうか。

【大臣】いや、原子力協定とそれから原発の建設というのは、原子力協定がなければ建設はできませんが、建設を促進するために協定を作るということではありません。もちろん、原子力協定を限られたマンパワーの中で、どこと結ぶかというときに、近々、原子力発電所を造ろうとしているという国を優先するというのは、必要があるところから協定を結んでいくというのは当然だと思いますが、それ以上の結びつきというのは余り考えておりません。

【共同通信 比嘉記者】インドは確かにNPTの枠外で、核保有国ではありますが、核廃絶という最終的な目的というのは、日本と同じかと思います。その中で、日印で、核軍縮・不拡散という点で、どのような協力ができるとお考えでしょうか。

【大臣】この点も、核廃絶ということをインドは非常に昔から強く主張している国でありますので、そのための具体的提言、共通の目標という意味では、将来の共通するものがある訳ですから、何か協力することができないのか、我々は核の数や役割を減ずると、それから不拡散ということ、具体的にステップを踏んで進めていこうとしている訳なので、共に協力できる分野があるのではないかと、一度率直に話をしてみたいと思っています。

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日韓関係(日韓併合100年)

【共同 斎藤記者】もう一度日韓に戻りたいのですが、日韓ではすでに日本政府としては菅総理の談話を出している訳なのですが、実際の締結100年の調印は22日、次ぐ発効は29日、これから来る訳で、韓国側ではメディアも相当いろいろ記事を書いてきているという状況であると思いますが、改めてこの22日、29日、日本政府として更に談話に何か乗っける形で何らかのアクションを考えているかどうかこの点の確認をさせて下さい。

【大臣】総理談話まで出たわけですから、そこに尽きているというように私(大臣)は思います。

【フリーランス 島田氏】談話に関係してですけれども、民主党は参院選挙で「元気な日本を取り戻す」ということをスローガンに戦われました。談話等でお詫び、謝罪という言葉をかつても何度も言葉にされていますけれども、そういうことで日本に元気とか自信とかいうものは取り戻せたりする、もしくはそういうマイナスな影響を与えたりする可能性というのはありますでしょうか。

【大臣】私(大臣)に聞かれても分かりませんが、何かお詫びをすることについて私(大臣)は何度も申し上げてますが、誤ったことについて、お詫びをするのは人間として当然のことであるというように思っております。しかし、だからといって卑屈になる必要は全く無いわけで、もちろんそのことについて申し訳ないという心からの気持ちはそれは重要ですけれども、そのことは他のことにまで影響を及ぼすというように考える必要はないというように思います。

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ミャンマー情勢

【朝日新聞 山尾記者】冒頭仰ったミャンマーの総選挙の件ですが、総選挙が現状のまま実施された場合なのですが、その選挙結果は認められるとお考えでしょうか。

【大臣】選挙結果を認める、認めないという話と、それが開かれた公正な選挙だったかどうかというのは別の話であります。どの国も選挙そのものが全て無効であるというのはよほどの場合でないとそういう表現は使われないというように思いますが、我々としては未だ時間もありますから、開かれた公正な選挙が行われることを期待するわけであります。あとは選挙が行われた結果、どういう選挙が行われたかを見て、我々の考え方をその時判断するということだと思います。ただ無効というのは、よほどのことがない限り他国が言うべき言葉ではないと思います。

【フリーランス 上出氏】1990年のアウン・サン・スーチーさんが大勝利した選挙を取材したものです。その頃建設的関与ということで、外務省は少し米国とは違う立場でやっていたのですが、今回、最初言われた、国際的な要望には沿わない形でミャンマー政府がやっていると。実際にどのようにそれを変えていくために何がやれるのか、何をしていかなければならないのか、日本としての役割としてどういうように考えているか具体的に教えて頂ければと思います。

【大臣】今までいろいろなことをやってまいりました。外相とも3回ですか、かなり時間を取って議論を致しましたし、ミャンマーの首相が日本にお見えになった時にも、鳩山総理にもお話し頂きましたが、私も表敬をして、かなり長い時間、自由で開かれた選挙について様々意見交換をさせて頂いた訳であります。あとは、大使を通じて日本の考え方というものも伝えて参りました。そういういろいろな努力をしてきたにもかかわらず、全く顧みられない今回の発表については、先ほど申し上げたように、大変遺憾なこと考えております。今後どういうことが出来るのか、もちろん大使館を通じて日本政府の考え方を伝えて参りますが、それ以上にどういうことが出来るのかというと、あまり出来る余地は少ないかもしれません。しかし最後まで粘り強くやっていきたいというように思っております。

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外交分野における菅総理への期待

【フジテレビ 高橋記者】菅総理の外務問題等の捉え方ですが、例えば、昨日、防衛省の幕僚等と会った時に「大臣は隊長なのか、何なのか」というような、ある種自分が知らないことが多いということを率直に言う機会というのが、外務、防衛に関して多いと思うのですが、内政は非常に得意ですが、一方で外交分野というのは、自分はまだ不勉強であるということを率直に認められる機会というのが多かったと思うのですが、菅総理について今後、外務分野等、国連等もありますけれども、どういった点で活動を期待していくのか、どのように勉強を進めて欲しいと思うのか、何か期待する点がありましたら教えていただきたいのですが。

【大臣】菅総理がどういう発言をしておられるのかということは、私(大臣)は報道以上のことを存じませんので、どこまでが総理の真意を伝えているかどうかということについては留保しておきたいと思います。私(大臣)も外務大臣になって感じたことですが、野党でいる時と与党になってからでは、いろいろな情報の質というものは違うわけであります、したがって、菅総理も今まで経済や財政の問題を中心に閣内におられたわけですが、外交の詳細まではご存知ないというのは当然のことだというように思います。したがって、今、重要な問題について、時間を見て順次ご説明をし、方針について総理の方からさまざまいただいているということです。

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中東外交

【日本インターネット新聞 田中記者】中東政策に精通した中東調査会上席研究員の大野元裕さんが今度、参議院に当選されました。彼は 湾岸危機の時に人質となった邦人を保護したりしたのですが、こういった(中東情勢を)身を持って知っている方を、これからの日本の中東外交に活かすというお考えはないのでしょうか。

【大臣】大野さんは当選される前から私(大臣)もよく存じあげている人ですし、選挙も何回も応援に行ったわけですけれども、選挙期間の間ずっと、あの埼玉だけが土砂降りのなかで応援したのでよく覚えているのですが、いずれにしても、そういった専門家の知見というものは是非活かしていきたいというように思います。必要に応じてご意見を聞かせていただいたり、もちろん、ご本人も部会などでいろいろな発言をされると思いますが、私(大臣)も親しい仲なので必要に応じてアドバイスをいただきたいというよう考えています。

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日韓関係(日韓併合100年)

【産経新聞 久保田記者】日韓併合100年の件でお尋ねします。朝鮮儀軌をお渡しすることについて、どういうことを考えられているのかということが一つと、韓国側から慰安婦の補償問題について、昨日も日韓の議員の討論会があったようですが、補償を求める声が出ておりますけれども、それについてのご見解をお願いします。

【大臣】朝鮮半島由来の儀軌をはじめとするそういった文書について、お返しするには当然、条約が必要になります。その条約をいつ出すのかという問題ですが、まだ決めておりません。これから始まる国会に出すのか、通常国会になるのかということも含めて、これから検討していきたいと思います。いつぞやも申し上げたと思いますが、当然条約ですから、国会で審議されるわけで、できれば私(大臣)は、多くの方の賛同を得て条約が可決成立することが望ましいと思います、そういう意味で丁寧に説明をしていく必要があると思っております。
 慰安婦の問題につきましては、日本政府としては、この問題については従来から基金を通じて対応がなされたわけで、その段階で金銭的な補償の問題については終了したという認識です。

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外務大臣会見記録(平成22年8月13日(金曜日)15時06分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)中央アジア訪問について

【岡田大臣】私(大臣)からは、先般、カザフスタン、ウズベキスタン、中央アジア+日本の第3回外相会合に出席をしてまいりました。そして、その際に両国の外相、あるいは大統領への表敬など、大変意義深い議論ができたと思っております。
 そもそも日本対中央アジアの外相会談というのは、基本的には2年ごとにというはずだったわけですが、4年ほど間が開いてしまいました。今回、私(大臣)がまいりまして、2年後は東京で、更にその2年後は、おそらくキルギスでということで、もう一度軌道に乗せて、そしてしっかりとやっていきたいと思います。
 中央アジアはなじみのないという方もいらっしゃるかもしれませんが、地政学的にも極めて重要で、旧ソ連邦、ロシアに接しており、かつ中国とも接していると、周辺にはイランなどの国もありますし、ユーラシア全体の真ん中にあるという意味で、非常に重要な位置にあります。かつ、エネルギーや資源、特にカザフスタンのウランとかレアアースとか、そういった日本にとって非常に貴重な資源の供給国でもあるということで、しっかりとした関係をこれからも築き上げていかなければいけないと改めて感じたところであります。

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民主党代表選

【フジテレビ 清水記者】本日のケーブルテレビの番組収録において、大臣が民主党代表選において、小沢前幹事長の出馬は困難であるという認識を示されたということですけれども、改めて小沢前幹事長の出馬が困難と思われる理由についてお聞かせいただけますでしょうか。

【大臣】私(大臣)は困難と言ったつもりはないのです。基本的に、代表選に出る、出ないはご本人が考えることで、いいとか悪いとか、そういう立場にはございません。そういう前提の下での発言です。

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日韓併合100年に関する総理談話

【産経新聞 酒井記者】先日の日韓併合100年に合わせた総理談話ですけれども、韓国政府が例の文化財の引き渡しについて、日本語文を翻訳するときに「返還」という言葉を使って地元のメディアに説明していたようなのですが、こうした韓国政府の対応について、外務大臣の所見と、またこれに対して抗議などの考えがあるかどうかお聞かせください。

【大臣】そういう報道があることは承知をしております。ただ、それは韓国政府内の対応でありますので、そのこと自身にコメントすることはございません。総理大臣の談話の中での表現については、談話のとおりであって、それ以上でも、それ以下でもございません。

【共同通信 斎藤記者】今の質問の関連で、一応念のためにお伺いしますが、一部の韓国メディアが、日本が首相談話を出した際に、参考としていわゆる韓国語の仮訳を出した中の表現は「返還」だったとの報道もありますが、そうした事実があるのかどうか、一応念のために確認させてください。

【大臣】そういう事実はございません。日本側が作成した仮訳では、「引き渡し(インド)」ということで表現をしております。「引き渡し」です。

【フリーランス 上出氏】今の日韓100年の談話については、賛否の立場からいろいろな声が聞かれるのですが、改めまして、外務大臣として、この談話の意義ですね。自民党辺りから批判の声もあるのですけれども、改めて国民に向けた今回の談話の意義。民主党でなければ、多分私は出なかったのではないかという気もするのですけれども、そういうことも含めて、意義を改めてお聞かせいただきたいと思います。

【大臣】今回の談話については、日本も韓国も含めて多くのメディアからは評価する声が私(大臣)は寄せられていると認識をしております。自民党の中にもいろいろな意見は当然あると思いますけれども、自民党の議員の中にも評価する声はあると思っております。
 意義ということですけれども、まずこれは100年という非常に区切りの年であると、そして、一方では日韓併合条約に基づいて植民地支配を行った、その100年というときに、日本政府として何も言わないということはあり得ない選択だと思います。それを総理大臣談話という形できちんと示すということは、私(大臣)は必要なことであるというように思います。内容的に新たな義務を負うとかそういうものは全くございません。しかし、今の日本国政府の考え方、気持ちをしっかりと表すということは非常に重要なことではないかと思っているところであります。
 もちろん、一部にご批判もあることも承知をしておりますけれども、誤ったときにそれを素直に謝罪するということは当然のことであると思っていますし、これは韓国に私(大臣)が2月に行ったときにも申し上げたことですが、自分の国に誇りがあるならば、自分の国が他国に置き換えられたときにどうなのかという、そのぐらいの想像力は持つべきだと思います。私(大臣)は日本人であることに誇りを持っています。したがって、日本が同じ立場に立って、どこかの国に植民地に化され、そういう形で国を奪われたり、あるいは言葉を奪われたり、歴史、文化を奪われたりするということになったときのことを考えれば、当然それは許し難いことだと私(大臣)ならば考えます。そういう想像力は是非皆さんにも、多くの国民の皆さんに働かせていただきたいと思っています。

【NHK 藤田記者】朝鮮王室儀軌の返還の方法と時期について、現段階でどういうような目途、スケジュール感を持っておられるのかお願いします。

【大臣】まだ特に具体的な話を政府の中で詰めて行っているわけではありません。これから官邸ともよく相談をして、最終的には恐らく条約という形になると思いますので、関係方面とよく調整をしなければいけないと思います。

【共同通信 斎藤記者】これまで与野党から出ている批判のうち、1つ共通して出ている話として、今回、談話の表現はいいとして、今回談話を出すことによって区切りの年、節目の年、内閣が変わればまた談話を出さなければいけないという1つの習慣といいますか、慣例ができ上がりはしないか。また、日本側がそう思わなくても他国が、例えば盧溝橋である、あるいは南京大虐殺である、こうした節目の年を重視する中国であるとか、北朝鮮もあるかもしれません。そうした国々が今回のケースである種の期待感を持つ。自分たちの節目の年にも出してくるのではないか。そうしたことが新たな、いわゆるお詫び談話、謝罪談話を出す圧力になりはしないかという声も出ていますが、こうした議論については、大臣はどのようにお考えなのでしょうか。

【大臣】今の議論でよくわからないのは、内閣が変わるたびにという。別に内閣が変わったから出したわけではなくて、100年という区切りの年だから出したということで、内閣が変わったから出したわけではありません。
 韓国、日韓併合100年で出せばほかにもそういう話は出てくるのではないかということですが、それはそのときの判断の問題だと思います。ただ、韓国という隣国、非常に重要な隣国であり、かつ、併合したという非常に重い事実、そして100年という区切り、そういったことにかんがみて、今回の談話を出すという判断に至ったものであります。

【読売新聞 川崎記者】引き渡しの件に関して、恐らく条約という形になると思うという大臣のご説明がございましたけれども、この条約案件、国会で当然承認は必要になると思うのですが、それはこの秋の臨時国会を念頭に置いてらっしゃるということでよろしいでしょうか。

【大臣】それも含めて、これからよく協議していきたいと思います。国会全体の運営にかかる話ですので、私(大臣)の一存で決める話ではありません。

【共同通信 斎藤記者】今回の談話は、朝鮮半島を対象にしているわけですが、韓国の方々に対する談話であり、その植民地支配というものは当時朝鮮半島全体にかかっていたわけですけれども、そう考えると38度線以北、現在の北朝鮮も当然対象に入っていくのではないかとも受け止められるのですが、談話の中では北朝鮮に対する言及はなかったと理解しています。この辺はどのような判断で言及を避けたのでしょうか。

【大臣】それは国交正常化がなされていないという状況の中で、今回は韓国の人々に対するものとして出させていただきました。もちろん、その趣旨は朝鮮半島全体に及ぶと思いますけれども、まだそういった戦後の問題についての日韓基本条約のようなものもありませんし、そういう状況の中で一方的に談話を出すことには、必ずしもならないのではないかと思います。

【産経新聞 酒井記者】談話の中身というより、手続きの話ですけれども、民主党内の一部では拙速というか、あっという間に密室的に談話の内容が決められたということで不満も出ているようなのですが、こういった手続き面での見解はいかがでしょうか。

【大臣】これは物事によりけりだと思います。ただ、50年の村山談話、60年に当たって出した小泉談話も含めて、党内で広く議論したということは余り聞いたことがありません。議論すれば当然表に出ます。その議論のプロセスが出ることがいいのかどうかということは、基本的に外交交渉と同じような中身をある意味では持っているわけで、途中で出れば期待感が高まったりすることもあると思いますし、こういうものは政府の責任で、責任ある立場の者がまとめるというのが、私(大臣)は普通の考え方かと思います。
  そういうサークルの中に入っていなかった方々から批判が出るのは、ある意味ではやむを得ないと思いますが、それ以外にやりようがあるとは私(大臣)は思いません。

【ニコニコ動画 七尾氏】先ほどの引渡しに関しましてですが、確認ですけれども、その際には日本の国会批准が必要ではないかという報道がございますが、これは引渡しに際して国会批准でいろいろ協議することになるのでしょうか。

【大臣】条約の審議の過程で、当然国会の承認が必要になります。

【ニコニコ動画 七尾氏】そうしますと、ねじれ(国会)の中で今回自民党、いくつかの党から反対の声がある中で、ねじれ(国会)の対応の中でなかなかうまく意図した方向に行くというのが難しいとは思うのですが、それはどういった見通しで考えていらっしゃいますでしょうか。

【大臣】それは相手のあることですから、これからのやりようですね。こういった性格の問題については、なるべく全会一致となることが望ましいことは言うまでもありません。したがって、丁寧に進めていく必要があると思います。

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北方領土返還に係る米国の関与

【フリーランス 岩上氏】前回の記者会見のときに、50年代の日米交渉についてお聞きいたしました。その数日後、つい最近ですけれども、NHKのETV特集でダレス・重光会談について詳しく報じられました。56年8月19日のロンドン会談の模様、その中身で米国側が圧力をかけて、北方領土を4島返還にするというように働きかけた模様、沖縄を返還しないぞという圧力を加えたという話、そうしたものが表に出てきております。これについて大臣は存じ上げないというお話だったのですけれども、もしご存じないということであれば、ちょっと観点を変えまして、日露資料集、日ソ資料集という公開されている資料があります。そちらに外交文書が出ているのですけれども、このダレスとの会談の後、ロンドン会談を受けて9月に米国側が日本に対して、外務省に対して出している書簡があります。その中に、もし北方4島を返還しないのであれば、サンフランシスコ講和条約に同意しているというのをペンディングにすると、つまりはチャラにしてしまうことも考えているぞという、米国の恫喝とも思える文章が入っています。これはもう公になっているもので私も読むことができて、確認しているのですけれども、こうした圧力が当時、領土、国境の画定に関して米国側から強くかかっていたという事実に関して、大臣はどうお考えになるのか、もう一度お話を伺いたいと思います。

【大臣】その事実を突然言われても私(大臣)は承知しておりませんので、コメントを簡単にはできません。ただ、戦中に米露間でヤルタ会談とか、そういう首脳間の議論の中で、彼らなりの約束事というのがあったかもしれませんが、別に日本はそれに制約を受けるわけではないと。基本的にはそういうことだと思います。

【フリーランス 岩上氏】何しろ外交の歴史の積み重ねたるや大変なものがあって、博学の大臣でもすべての情報を頭に入れているわけではないというのは、これはごもっともだと思います。しかし、重要なことでありますので、時を置いて、もし必要であれば、事前に事務方を通して、この下りなのですけれどもとお示しの上で、準備していただいた上ででも、大臣のご見解を是非、国境、そして領土に関わる重要な日露間交渉に米国が介入してきた、圧力を加えてきたという問題について、ご見解をお聞かせいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

【大臣】事前に教えていただければ、多少調べておくことはします。ただ、日露間の交渉に関わることはほとんど公表されていませんから、公表していないものに基づいてのお話はできません。

【フリーランス 岩上氏】公表されているものがあります。

【大臣】政府として公表したものなら、それはコメントできます。

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閣僚の靖国神社参拝

【毎日新聞 西田記者】15日は政権交代後、初めて迎える終戦記念日ですが、大臣は先日の会見で靖国神社には参拝しないということを仰って、全閣僚が今回は参拝を見送るという流れになりそうです。全閣僚が参拝を見送るということが、先ほど話題になった日韓併合100年の首相談話もそうですが、歴史問題を乗り越えて、新たな東アジアの協調関係をつくっていこうという、その民主党政権の外交の一環ととらえてよろしいのでしょうか。大臣のお考えをお願いします。

【大臣】それは私(大臣)がお答えする立場にはありません。私(大臣)がほかの閣僚にこうすべきだとか、具体的にお願いをしたわけではありません。私(大臣)の考えとしてはありますけれども。今回、全閣僚が参拝しないということになったというのは、私(大臣)は経緯は存じませんので、特にコメントは差し控えたいと思います。私(大臣)の意見は前に申し上げたとおり、A級戦犯が合祀された靖国神社に参拝すべきではないというのは、私(大臣)が随分前から言ってきていることです。

【毎日新聞 西田記者】関連で、大臣が民主党代表時代に小泉総理が参拝されていた際に、その国益を損ねているというように強く批判されておられましたけれども、今回その閣僚が参拝しないことによって、外交面に与える影響といいますか、日韓、日中関係に与える影響はどういうように考えておられますか。

【大臣】そういう意味での影響は靖国参拝をすればあると思いますが、基本的に靖国参拝をするしないというのは、本人自身の判断の問題だと私(大臣)は思います。A級戦犯を合祀しているということをもって、私(大臣)は行くべきではないということを申しているわけです。

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米軍再編問題

【琉球新報 滝本記者】本日8月13日は沖縄国際大学にヘリが墜落して6年経ったということで、その関連でお伺いしたいのですけれども、当時岡田大臣は民主党代表で、その当時、民主党として米国側に申し入れされてて、その申し入れの中には普天間飛行場の代替施設なき返還を行うことという項目を挙げられて、米国側に、要請に行かれたのは当時のネクストキャビネットの外相の前原さんでありましたけれども、岡田代表名で出されているということです。今現時点での岡田さんの立場は名護市辺野古への日米合意を推進という立場になっているわけですけれども、この違いが、へリが落ちて6年間、普天間はそのままある状況は変わらない中で、何が岡田さんの中で変わったのか、あるいは変わっていないのか、その辺はいかがなのでしょうか。

【大臣】当時の文書は党としてまとめたものであります。もちろん私(大臣)は代表ですから、そのことについて当然責任を負っている訳ですけれども、私(大臣)自身が、考え方と言いますか、一つの考え方に至ったのは、それは前も申し上げたと思いますが、2005年の秋に日本国政府として一定の日米間で結論に至ったということです。それまでにはいろいろなオプションがあったかと思いますが、そこで一旦結論を出したということです。私(大臣)はその時点からなかなか県外、あるいは国外という選択は難しいなというように考え始めた訳であります。

【琉球新報 滝本記者】その関連で、その日米合意は当時の政権が米国側と結んだということになるのですけれども、その一方で当時野党であった民主党として、同じ要請書の中には、当時の議論の中でアクションプログラムというか、民主党として沖縄の基地をどういうように縮小できるのかということを筋道を立てて計画を立てるべきだという議論があったと思います。それが積み重ねていかれれば、民主党の中での議論というのも醸造されて、うまくなっていったのかなと思うのですが、それがなかなか見えない、少なくとも我々には見えないのですけれども、なかなかそこの部分が議論されなかったのではないか、そこの議論を怠っていたのではないかという見方もあると思うのですが、そこの部分についてはどういうようにお考えでしょうか。

【大臣】そういう御批判もあるかもしれませんね。

【琉球新報 滝本記者】加えて、同じ要請書の中で、日米地位協定についても言及がありまして、その中には当然あの時は基地の施設外での墜落であったわけですけれども、その施設の中の事故であっても、自治体の関係者が立ち入りを要請した場合はそれを速やかに米国側が応じることというように改訂すべきだと申し入れておられるわけですけれども、まさに民主党は日米地位協定の見直しを掲げて、今もおられて、今後交渉に入られると思うのですが、今のところ環境条項についての言及がいろいろ飛び交っておりますけれども、この基地の事故についての立ち入りということについて、前向きに今後見直しをということを当時も求めておられた御姿勢というのは貫かれるお考えでしょうか。

【大臣】結局物事を成し遂げようというときに優先順位を付けなければ、単に要求するだけなら何でもできますけれども、政権与党として1つ1つきちんと結論を得ていかなければいけないという前提で物事を考えなければいけないということです。我々も例えば地位協定も見直しも必要があると、基本的にはそう考えていますが、今これだけ率直に言って普天間の移転の問題、これが最重要課題ですから、それが日米間でいろいろ議論をやっている時にこれでもかこれでもかと次々要求を突きつけることが普天間の移転に良い結果をもたらすとは私(大臣)には思えません。したがって、順序立ててやっていかなくてはいけないということだと思います。

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パキスタンにおける洪水被害
【読売新聞 川崎記者】パキスタンの洪水被害に関しまして、自衛隊のヘリの派遣を検討しておられると思うのですが、これの派遣をするかどうかの結論をいつ頃までに出されるおつもりなのか。また現時点での検討状況についてお伺いします。

【大臣】パキスタンの洪水による被害は甚大でありまして、日本国としても出来る限りの支援が必要だと考えています。人道的な見地に加えて、私(大臣)も先般パキスタンの外務大臣とも意見交換したわけですが、アフガニスタンの問題を考えるときにパキスタンは非常に重要な位置づけになるということでもあります。したがって、そういう日本の支援の一環としてヘリを派遣できないかということについて、現在検討を行っているところです。もちろん現地の治安状況やそういったこともしっかり踏まえて行わなければなりませんので、現時点では現地調査のために外務省と防衛省の職員が今晩出発する予定になっております。その報告を受けて、支援が可能かどうか、どういう支援が効果的かということについて、内閣としての結論を出したいと考えています。

【読売新聞 川崎記者】今、大臣がおっしゃられた、今晩、外務省と防衛省の方が現地に行かれるということですが、何人の方がどれぐらいの日程で行かれる予定なのか、ご存じであれば教えてください。

【大臣】あまり詳細をお話しするべきでないと思いますが、現地調査をするために必要なだけの人数を出すということです。ただ、あくまで調査ですから、20人、30人になるわけではありません。

【読売新聞 川崎記者】いつ戻ってきて報告を受けるご予定なのかについて。

【大臣】一応の目安はあるのですが、しかし行ってみないとわからないという部分もあります。あまり時間をかけてしまうと、今度はせっかく派遣をしてもあまり意味がないということになってもいけませんので、迅速に彼らに調査結果を持ち帰ってもらいたいと思いますが、いつということを明確に申し上げる状況ではございません。

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相互確証破壊(MAD)

【フリーランス 岩上氏】前回、核の傘、核の抑止力に関連して、相互確証破壊戦略(MAD)についてご質問さしていただきました。その折り合い、大臣は、相互確証破壊戦略という理論は、もう古い過去の理論であるというように、ばっさりと一蹴されました。その後、私は不勉強なのかなと思いまして勉強してまいりましたが、相互確証破壊戦略が今日、有効性を失った古い学問である、古い体系であるということは見当たりませんでしたし、今日も生きているのではないかというのが、私のつたない勉強の結果でした。大臣がこの時おっしゃった真意はどういったものであったのか、そして、今日も核戦略がありますし、核の抑止力とか、核の均衡という言葉は使われており、核の傘という言葉も使われている訳ですから、MADに代わる核戦略というものがあるのか、相互にお互いを滅ぼす力があるからこそ均衡するという戦略であり、手続きに代わる手法、理論があり得るのか、ご説明願いたいと思います。

【大臣】冷戦終了後の国際社会の大きな変化の一つは、国家対国家ではなくて、国家でない集団というものが新たな脅威として出てきたということです。あるいは、なかなか表現が難しいのですが、普通、国家というのは、いざというときに自らの国家、国民を守るという前提で考えていたのが、国家の中にも必ずしもそれに該当しないような場合もあるということです。相互確証破壊(MAD)というのが適応されるのは、例えば、ロシアと米国というのは、今でも有効かもしれません。しかし、テロ集団が核を持つとか、あるいは北朝鮮が持つとか、別に北朝鮮と米国の間で相互確証破壊が成り立っている訳ではありません。したがって、おそらく部分的であるということです。相互確証破壊というのは、お互いが失ってはならないものを持ち、そして、均衡しているという中で成り立つ話でありますので、そういう前提が満たされないケースが多くなっているのが、現状だと考えております。

【フリーランス 岩上氏】米ソもしくは米露の間にそもそも築かれてきたMADが今日も有効であるということでしたが、私がお伺いしたかったのは、米国と中国との間にこうした関係が成立しているとお考えか。もしくは、今後、MADに向かって両者が近づいていく(とお考えか)。これは一種の不信に基づくけれども、おかしな話ですが、相手を必ず滅ぼせるので互いに手を出さないという信頼関係でもありますから、米中間は、北朝鮮、テロ集団との間にはそういう関係性は結べないかもしれませんが、米中間は両超大国として、その方向へ向かっていくであろうか、向かっているのか、あるいは、既に成立しているのか、この点についてお考えをお聞きしたいと思います。

【大臣】私(大臣)は、相互確証破壊というのは、論理的にはそういう考え方も有り得るのかなとも思いますが、一人の人間として見たときに、そういった非人間的な論理を受け入れることはそもそもできません。そういう意味で、非常に論理的に突き詰めていった結果、一つの結論になったかもしれませんが、もう少し冷静に人間であるということに立ち返って物事を考えるべきだと思っています。

【フリーランス 岩上氏】ということは、MADというのは、倫理的に余り好ましくないという大臣の個人的なお考えということで受け止めてよろしいのでしょうか。それは、日本には、米国の核の傘がさしかけられていて、米国によって、ロシアあるいは中国との間から核攻撃を受けないという保障を受けているのだということとは、相矛盾いたしませんか。この点についてお願いします。

【大臣】相互確証破壊という考え方が広く受け入れられたかどうかということです。つまり、一部の専門家の間ではそういう議論がありました。そして、ある意味では、核武装を増やす方向に機能したことは間違いありません。相手より多く持つという軍拡競争につながったということです。そういうことに対する反省というのは、私(大臣)は広く共有されていると思っています。

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鳩山前総理の中国訪問

【日本テレビ 野口記者】鳩山前総理が、来週月曜から水曜まで中国に行かれて、温首相と会談することになっています。これは民主党内の議員懇談会という形で、党外交の一環だと思うのですが、それとは別に、来月にも菅総理の名代としてロシアに行く予定があるやにも聞いております。前総理と言えども、政府の人間ではない一衆議院議員がこういうふうに外交の表舞台に立つということに関して、大臣としては望ましいとお考えでしょうか。それとも望ましくないとお考えでしょうか。

【大臣】若干、議論を整理させて頂きたいのですが、まず中国に行かれるという話は聞いていますが、どなたにお会いになるということは私(大臣)は承知しておりません。ただ、議員外交として各地にいろいろな議員が出かけられると、しかもそれが総理経験者であれば、尚更ですが、それは基本的には外務省としては歓迎すべきことだというように思っております。ロシアに行かれるのは、私(大臣)からもお願いした件ですけれども、潘基文事務総長が中心になって温暖化の問題で一つのパネルを作ると、それには日本の代表として誰を出すのが良いのかという議論の中で、鳩山前総理にお願いしたものであります。

【日本テレビ 野口記者】それは何か期待するところが他の人ではなくて鳩山さんにあったのでしょうか。

【大臣】総理の時代に、温暖化の問題に対して熱心に取り組んでおられた、知見もある、そういう方だから最も適任であると考えたものであります。

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外務大臣会見記録(平成22年8月6日(金曜日)16時10分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)広島平和記念式典参列について

【岡田大臣】私から三点申し上げます。本日、午前中の広島の平和記念式典に参加をさせていただいた件ですが、私(大臣)も以前から何回か8月6日のこの式典に参加をさせていただきましたが、外務大臣としては初めてです。それだけに、同じ式典といっても、やはりその責任の重さとい言いますか、そういうものを改めて感じたところです。この1年間、外務大臣として核の軍縮・不拡散に向けて、どれだけの努力をしてきたのかということを改めて思い返しながら参加をさせていただきました。私(大臣)としては、いろいろなことに取り組んできたつもりですが、特に主要国の外務大臣との間の、核を持った国の外務大臣との間で軍縮の議論、G8外相会合や、あるいは日中外相会合での議論、あるいはNPRをまとめた米国との、その事前のさまざまな意見交換、そういうものもNPRの中である程度、反映されたのではないかと思っております。そして、独のヴェスターヴェレ外相と共同で日独の新聞に投稿したこととか、NPT再検討会議において、豪州のスミス外相と共同の意見表明をしたこととか、いろいろなことが思い出されるのですが、しかし、まだまだ十分ではないという思いもあります。私(大臣)自身が外務大臣になる前から非常に力を入れてきた核不拡散、そして軍縮の問題でありますので、本日、決意を新たに、これからしっかりと取り組んでいきたいと思ったところです。
 式典そのものは、潘基文国連事務総長、そして、ルース駐日米大使はじめ各国の代表者の皆さんにもご出席をいただき、今まで以上に充実した、そして世界にアピールするものになったと考えております。いずれにしろ、今後とも更に努力をして参りたいと思います。

(2)仲井眞沖縄県知事等の要請について

【大臣】二番目は、先程、仲井眞沖縄県知事、あるいは儀武金武町長はじめ、関係者のみなさんから、沖縄県軍用地転用促進・基地問題協議会として要請をいただきました。そこに書かれたそれぞれの項目について、お話をお伺いしたわけですが、一つはご要請いただいたことについて、政府としてきちんと文書で回答したいと考えております。そういうことは従来あまりなされてなかったということです。鳩山政権になって初めてそのことが実現したというお話でありましたが、5月31日に国からの回答がなされたということですが、今回の要請についても誠実にしっかりと対応することをお約束させていただいたところです。それから、最近もそうですが、いろいろな事件が次々に起こります。「そういった事件の再発防止」と言うのは簡単ですが、私(大臣)自身もルース大使に何度もこのことについて要請をしてきたわけですが、よりこういった事件を起こりにくくするためのさまざまな工夫というのは、まだまだ余地があるのではないと思っておりますので、そういったことについても日米間でよく議論していきたいということを申し上げたところです。

(3)ウズベキスタン、カザフスタン訪問について

【大臣】私(大臣)自身の本日からのウズベキスタン、カザフスタン訪問です。11日(水曜日)までの予定で行って参ります。ウズベキスタンでは、タシケントで開催される「中央アジア+日本」対話の第3回外相会合に出席するということです。しばらく途切れていたわけですが、なかなか中央アジアに出かけるということについて、スケジュールの問題その他があったと思います。確か5年ぶりかと思いますが非常に重要な地域でありますので、そしてエネルギーとか、資源の面でも日本にとってもより関係を深めるべき、そういう地域でもありますから、しっかりと意見交換を行ってきたいと思います。
 ウズベキスタンではカリモフ大統領の表敬、それから、各国外務大臣との二国間会談を行う予定です。9日(月曜日)から10日(火曜日)の日程で、カザフスタンということで、ナザルバエフ大統領の表敬や、あるいは日・カザフスタン外相会談を行う予定です。時間の許す限りODAの現場などもしっかり見てきたいと考えているところです。

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広島における平和記念式典

【フリーランス 岩上氏】本日の広島での記念式典に関連してご質問させていただきます。改めて広島への原爆投下の意味についてですが、米国では戦争終結のために原爆を投下したということは許されるというように考えている米国民が5割を超えるということだそうです、さまざまな世論調査などで報じられておりますけれども、こうした米国民の意識、あるいはそれを寛容する米国政府やマスコミ、またそういう姿勢というものがどのように外相の目には映られているのか、また岡田外相としては、どのように原爆投下というものを捉えられるのか、戦争終結上必要な投下だったとお考えなのか、ご見解をお聞かせいただきたいと思います。

【大臣】私(大臣)も思い出すのですが、いつでしたかスミソニアン博物館にたまたま入りました時に、ちょうど原爆に関する展示が行われておりました、これは経緯のある話で、原爆投下に関して博物館側が計画したものが、結局軍人OB会などの抗議によって中身が変わって原爆投下はやむを得なかった、あるいは必要であったという趣旨のものに変わっていたものです。両国民の間の意識のギャップというのは非常に大きいものがあるというように、その時感じた次第であります、確か、あの時に、館長は更迭されたのではなかったでしょうか。もっと現実を知ってもらいたいと思います。今回ルース大使が広島に来られたこと、彼にとっては二回目ですが、多くの方に広島、長崎に来て、何があったのかということをよく知っていただきたいと思います。そうすることによって、同じ人間ですから、感じるところは私(大臣)は一緒ではないかと思います。

【フリーランス 上出氏】今日の広島の関連で、オバマ米大統領が来られたときに是非広島、長崎に立ち寄って欲しいという声が出ているということについて、相手のこともあるのでということで決定的なことは動きはないと思いますが、岡田外相自身のオバマ大統領が広島に来ることの意義と、それを実現するための思いというのは今の段階ではどういうようにとらえておられますか。

【大臣】これは、米政府、あるいは大統領ご自身がどう考えるかという問題であって、こちらとしては米大統領がいらっしゃっていただければ大変ありがたい話ですが、それ以上のべき論で議論すべき話ではないと思っています。先ほど申し上げましたように、なるべく多くの方に現実を見ていただきたいと思っておりますが、誰が来るべきだとか来るべきでないという議論を日本側からする話ではないだろうと思っています。

【中国新聞 荒木記者】本日、平和記念式典で菅総理が核軍縮、核不拡散について強く取組をやっていきたいという意向表明がありましたが、担当大臣として今後具体的にどういうふうに取組まれていくか、改めて教えてください。

【大臣】先ほどお話したつもりですが、私(大臣)自身、この一年間かなり動きをして参りましたし、9月の国連総会においては、少人数グループの外相会合を予定しております。新しいグループを立ち上げようということです。「核のない世界」、その前段階としての「核リスクの少ない世界」というものを実現するということを申し上げているわけですが、この「核リスクの少ない世界」ということを私(大臣)だけではなく他の国の外相も使われたりして、かなり浸透してきたと思います。つまり将来の大きな目標を語るだけではなくて、そこに至るまでに何をすべきかを、きちんと議論しながら進めていくという手法で私(大臣)は一年間やって参りましたし、これからも力強く進めたいと思っています。

【朝日新聞 高橋記者】今日の式典で、秋葉広島市長が米国の核の傘からの離脱ということを求められましたが、これに対する外相の見解をお願いします。

【大臣】広島市長としての秋葉さんの思いはよくわかります。ただ、日本の安全と現状を見たときに、特に核を持っている国が近くに北朝鮮、ロシア、中国とある中で、米国の核の傘なくして、日本国民の安全を確保することは、私(大臣)は極めて困難だと思っていますので、そこは見解が異なると思っています。

【フリーランス 岩上氏】核の抑止力、あるいは米国がさし出している核の傘というものが存在しているということが、全て前提になって議論がずっと進められてきているように思うのですが、果たして本当に核の傘というものは存在するのかという疑いがあります。例えばモーゲンソーというような方、またその他米国の国際政治学者、様々な方々が、もし核戦争となり得るような事態が起きた時、果たして米国本土が攻撃されるリスクを犯してまで、同盟国のために核の反撃を行うだろうかということに疑義を呈しております。こうした声がある中で、本当に米国の核の傘というものが、有効に機能し得るのであろうか、根本的な疑問ではありますが、改めて大臣のご見解をお聞かせ頂きたいと思います。

【大臣】決定的な答えはありません。しかし、それは同盟の中身による訳で、日本が核攻撃を受けた時に核で報復するという構えがあってこそ、日本に対する核攻撃が抑止されていることは間違いありません。そのことを論理的に証明しろと、100%証明しろと言われても、それはできないかもしれませんが、私(大臣)はそのことを信じて疑っておりません。今仰った議論は、最終的に論理的に証明することはできませんので、(議論)すること自身が何をも生み出さないというように思います。問われるのは同盟の質だというように思います。

【フリーランス 岩上氏】今、同盟の質次第であるということを仰られましたが、では、どのような質を持った日米同盟であれば、よりその核抑止が担保できるのか、その質の内容についてお聞かせ頂きたいと思います。

【大臣】端的に言えば、日本が核攻撃を受けた時に米国が核で報復するだろうというように核攻撃をしようとする国が思うがどうかという問題だと思います。

【朝日新聞 高橋記者】岡田大臣がこの問題に大変熱心に取り組まれていることは大変承知しているのですけれども、やはり最後には米国の拡大抑止に依存しながら、核軍縮を唱えていくことの矛盾というものが、どうしても問われると思うのですけれども、ここについて大臣はどういうご見解をお持ちなのかお願いいたします。

【大臣】核の傘と核軍縮ということは、それは矛盾いたしません。核軍縮というのは、核を持っている国全体に対して軍縮を求めていくわけですから、そのことと核によって守られているということが矛盾しているというのは私(大臣)は論理的によく分からない議論だなと思っております。

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閣僚の靖国神社参拝

【NHK 藤田記者】民主党政権としては、初めて8月15日の終戦の日を迎えることになりますが、改めて、終戦の日に岡田克也外務大臣として靖国神社を参拝されるお考えはあるのか。もう一点は、閣僚が靖国神社に参拝することへの是非について、大臣はどのようにお考えになるのか、お聞かせ下さい。

【大臣】私(大臣)自身はもちろん、その気は全くありません。A級戦犯が合祀された靖国神社に閣僚が参拝すると、特に外務大臣が参拝するということは、私(大臣)は不適切であると考えております。他の閣僚のことは、私(大臣)が言うべきことでは必ずしもないと思いますが、私(大臣)の考え方を今述べた考え方で判断していただければと思います。基本的な内閣の方針として、官房長官なり、総理が述べられる話だと思います。

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ホルムズ海峡沖での日本の原油タンカーの損傷事案

【AFP通信 長谷川記者】商船三井の(原油タンカーの)ホルムズ海峡での事件に関して、アラブ首長国の方のレポートでは、テロリストの犯行であったと確認したという報道があるのですが、それについて何かあれば教えてください。

【大臣】詳細ははっきりしておりません。確認もできておりませんので、現段階ではそれ以上のことは申し上げられません。写真を示してという話もありますが、どうも本当にその写真が商船三井の該当する船舶なのかどうかということも、確認がされておりませんので、現段階ではこれ以上のコメントは差し控えたいと思います。

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日韓歴史問題(首相談話)

【共同通信 斉藤記者】歴史のくくりでお伺いします。これまで日本政府は、村山談話をはじめ、小泉談話もありました。いくつか談話が出ております。また、共同宣言も出ております。村山談話にあるアジアの人々に対して痛切な反省と心からのお詫びという表現が定着しているようにも見えるのですが、この村山談話を含む、一連の談話のこの表現、日本政府が世界に対して示すメッセージとして適切なのかどうか、そして、これまでアジア外交をやってきた上で意義があったのか、そして効果があったのか、この点について外務大臣のご所見をお伺いしたいと思います。

【大臣】適切かどうかという意味では、それは当然適切だと考えております。アジア外交にとって意味があったのかどうかというよりも、日本自らの問題として、間違ったことは間違いましたと言うことは、私(大臣)は、当然のことだと考えております。

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インドの終戦記念日の式典

【フリーランス 島田氏】8月15日に関連して、同日にインドの終戦記念日もインド大使館で行われるということも、インドのホームページで拝見しましたが、外務省として、こちらに職員等を派遣したりしてお祝いを述べるとか、そのようなご予定はありますか。

【大臣】ご招待いただいているかどうかも含めて、私(大臣)は承知しておりません。

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仲井眞沖縄県知事他との会談

【琉球新報 滝本記者】先ほどの仲井眞知事とのご会談の件で、要請書の中には普天間の移設についての日米合意について、極めて困難だと、沖縄県民の理解、沖縄県民が納得いく形で解決してほしいという要請書を手渡されたと思うのですが、その内容が、やりとりの中でも口頭でも、知事からお話があったのかということと、その中身について岡田大臣の方から何か言及されたのかということをお伺いしたいのですが。

【大臣】やりとりの中身については、こういう場で公にする予定はございません。

【琉球新報 滝本記者】冒頭で、正式に文書で、政府はまた更に返すと、回答されるというお話しでしたが、その書簡のやりとりみたいなのは、ある程度、地元との意見の交換、あるいは対話というような形にも取れなくはないのかなと思うのですが、地元とのやりとりの、あるいは、地元に理解を求めるということでの文脈での協議機関のようなものの設置について、本日は言及なりがあったのか、あるいは、これはどのように進んでいくのかということをお伺いしたいのですが。

【大臣】先ほども言いましたように、中身について触れることはございません。それは、お互い非公開で意見交換している訳ですから。

【琉球新報 滝本記者】中身でなくて、協議機関一般について。

【大臣】ですから、中身について触れるつもりはございません。

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日韓関係(世論調査)

【フリーランス 安積氏】KBSワールドとNHKの共同世論調査によりますと、日本人の62.1%が「日韓関係が良い」と答えておりますが、対して韓国人の59.9%は、「日韓関係は良くない」と答えております。このギャップについてどう思われますか。

【大臣】いろいろな理由があるかと思います。例えば、痛みを与えた側と痛みを受けた側で受けとめ方は違うということもあると思います。ただ、少し前と比べると、例えば、小泉政権時代と比べると非常に良くなってきていることも事実でありますので、絶対的な数字だけではなくて、そういう趨勢というか、数字の流れを合わせて考えていく必要があると思います。

【フジテレビ 高橋記者】韓国との関係は小泉政権と比べて良くなってきていると先ほど仰られましたが、具体的にどういった態度で良くなってきているのか、そして今後、更に良くするために、どういったことが必要になってくるのかということを伺いたいと思います。

【大臣】良くなってきた理由を説明するのはなかなか難しいことだと思います。現に数字は、私(大臣)は明らかに改善していると思います。それはもちろん、小泉政権以降の安倍政権、福田政権、麻生政権のこともありますが、これは鳩山政権、菅政権になっての努力というものが非常に受け入れられていると思います。

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米軍再編問題

【共同通信 比嘉記者】普天間問題の関連かもしれないのですが、昨日の予算委員会で社民党の福島党首に対する答弁だったかと思うのですけれども、沖縄における海兵隊の意義について、大臣はそれがなかったときに国民の生命と財産をどのように守るのかと反抗的な形でお返しになっていったかと思うのですが、認識としては海兵隊が沖縄にいないと国民の生命と財産を守れないということなのでしょうか。そういうことであれば、8000人の人数削減というのが目標になっていますけれども、そのこととの整合性についてもう一度お願いします。

【大臣】私(大臣)の答弁を正確に聞いていただきたいと思うのですが、私(大臣)は沖縄になぜ海兵隊がある必要があるのかというときに申し上げたことは、それは全体の訓練と実施部隊が一体でなければいけないということです。それ全体を沖縄以外で受け入れるということは現実にはない。そういうこともあって沖縄に海兵隊が必要であるということを申し上げたつもりであります。

【琉球新報 滝本記者】今の大臣のお話に関連して、沖縄以外に沖縄のまとまったアセットを受け入れるところはない、実際に見つからないだろうということでお話ですが、現状、沖縄もそれが受け入れられないというお話で、そういう意味でフラットというか立ち位置は全く同じだと思うのですが、それでなぜ沖縄になるのかということは、そう考えると沖縄に今あるからだということなのかなと思うのですが、その私の考えはどうでしょうか、大臣のお考えと一致するのでしょうか。

【大臣】もともとは普天間の移転というところから話が始まっているわけで、普天間の危険性を除去するために移設をするということです。その移設先としてさまざま検討したけれども、結局、辺野古しかなかったということであります。もちろん、今、辺野古に、地元では反対しているわけですから、そういう意味では受け入れる状況にありません。だからこそ理解をしっかり求める努力が必要なのだということを申し上げているわけです。

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米韓合同軍事演習

【共同通信 斎藤記者】韓国海軍哨戒艦沈没を受けた米韓合同軍事演習の絡みでお伺いしたいのですが、昨日、米国防省のスポークスマンが、ジョージ・ワシントンの空母が、朝鮮半島から見て西側の海域である黄海の演習に参加すると正式に発表されたと報道で聞いております。この件については確認されているかどうかということと、この件について中国は非常に反発しておりまして、ここは公海なのですが、中国の軍の幹部が公の場で中国に近いところで演習をやるのは、これは中国に対する挑戦であり、断じて許せないということを繰り返し、繰り返し表明しております。そうした中で空母が行く。これは、いわゆる極東の平和と安定に何らかの影響を与えるのかどうか、そして、この問題をどう処理していくべきなのかどうか。日本はオブザーバーを送っているという観点から若干関係もあると思うのですが、この観点からお伺いしたいと思います。

【大臣】まず、黄海で行われる演習にオブザーバーを送るかどうかは、決まっていないと私(大臣)は承知しております。それから、私(大臣)どもはいつも申し上げているのですが、公海上での演習ということは、国際法上認められたことであって、中国側が日本近海でやるときにいろいろ言う方がいらっしゃいますが、そのことも含めて、お互い公の海で演習をやるということについて、それをどのように受け取るかという気持ちの問題はあるにしろ、法的には何か問題であるということではないということであります。したがって、今回の黄海での演習についても、そういう意味で中国側に理解を求めたい。日本が求める立場にはないのですけれども、中国側にも冷静に対応していただきたいと思います。

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報道方法(事実の一部切り取りによる報道)

【フリーランス 島田氏】話は全然変わるのですけれども、大臣は度々会見で、我々の質問に対して、事実の一部を切り取ったような認識で質問をするのはやめてほしいというようなことを仰っておりますけれども、その事実の一部を切り取るような報道が多々あるという認識で、そういうことを仰っていると思うのですが、このことに関して大臣の率直な考えをお伺いできますでしょうか。

【大臣】一般論で聞かれると非常に難しいのですけれども、1つのセンテンスというか文章の背景にある気持ちというのが当然あるわけですけれども、それを途中で切ってしまえば、ある意味ではいかようにでも、全く逆の意味にも受け取られかねないということになるわけです。そこはやはり、報じる方も、どういう意図で言っているのかということを踏まえて、報じていただくというのがあるべき姿ではないかと思っております。別に、そういう報道ばかりと言うつもりはありませんし、一部切り取られないように、なるべく短く私(大臣)も答えるように心がけております。余り丁寧に答えると文章が長くなりますと、そのうちの前半だけとかになりかねませんので、気を付けるようにはしておりますが、本来であれば、やはり信頼関係に基づいて、話す側がどういう意図で言っているかということを踏まえて報道していただくと大変ありがたいと思っております。

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中央アジア訪問

【共同通信 斎藤記者】中央アジアについてお伺いします。先ほど大臣は中央アジア出張について、非常に重要な国家であると仰られて、その例として資源を出されたのですが、中央アジアは日本の一般国民からすれば、馴染みのない地域だと思いますので、その中央アジアの重要性、資源もその一つだと思いますけれども、また、他の面もあれば、安全保障、経済、いろいろな面もあると思います。その重要性について、全体的な説明をしていただければと思います。

【大臣】私(大臣)は資源、エネルギーと申し上げましたが、その前に申し上げたことは、地政学的な重要性ということも当然あるわけです。つまり、旧ソ連邦であってロシアの南にあり、そしてロシアと中国、西側の世界、一方で、アフガニスタンということですから、非常にそういう意味で地政学的に重要な位置にあるということであります。それに加えて最近、ウランとか、資源面でもガスもありますし、そういった資源、エネルギー面でも注目されているということであります。実は、私(大臣)は13年くらい前だったと思いますが、カザフスタン、ウズべキスタンには一度行っております。今は懐かしい新進党という党の時代だったのですけれども、ソ連邦が崩壊してまだそんなに時間が経っていないときで、例えば、核の問題。カザフスタンは核を持っていましたが、それを放棄したということだったのですけれども、そういう点でも非常に関心があって、二か国を党の調査団で行ってきたわけであります。あれから13年くらい経って、状況がどう変わっているかということも併せてしっかりと見届けてきたいと思います。いずれにしろ、日本にとって非常に重要な地域なのですが、2006年に東京で開催された第2回の外相会合以降、しばらく途切れておりましたので、この機会に少なくとも2年に1回くらいは会合を開けるような関係にもう一回戻したいと考えております。

【読売新聞 川崎記者】少し細かい話になりますが、今回の中央アジアの5か国との外相の会合では、トルクメニスタン、この国だけ外相がいらっしゃらないようです。トルクメニスタンはご承知のとおり、今、永世中立を宣言していて、5か国の中でも少し特徴がある国かと思います。トルクメニスタンにつきましては、これまでの会合でも大使の参加ということであったと思うのですが、昨年、トルクメニスタンの大統領が日本にもいらっしゃったということもあって、今回、日本との関係というところも少し築けるとよかったのではないかと思いますけれども、今回、そのトルクメニスタンの外相がいらっしゃらないことについて、先方から何か日本に対して説明はあったのかどうかということと、それに関しての大臣のご所見をお伺いしたいと思います。

【大臣】外務大臣の日程上の問題だと理解しております。昨年来られて、私(大臣)も大統領とも随分言葉を交わしました。したがって、外相が来られることを楽しみにしておりましたが、大変残念なことだと思っております。トルクメニスタンも非常に重要な国で、パイプラインとかガスとか、そういう視点で非常に日本にとっても重要であり、去年大統領をお招きしたことで、1つ関係が深まったと思っておりますので、今回のことは残念ですけれども、しっかりと関係を深める努力を行っていきたいと思っております。

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資源外交

【共同通信 斎藤記者】今の資源外交という関連でお伺いしたいのですが、資源外交は現在、国際社会で非常に各国がしのぎを削ってやっていますので、当然、我が国もやらなければいけないと、当然私もそう思っております。問題になるのは、どういうわけか、資源をたくさん抱えている国というのは、どうも発展途上国でしかも政治的に不安定、あるいは、開発独裁で、政権が非常に独裁色の強い政権になるとか、あるいは人権侵害が指摘されている国に資源があって、その資源に対してどのようにアクセスしていくかということは、常にいろいろ問題になってきていることだと思います。この点、今後、日本が資源外交を進めていく中で、何かその辺できちんと物差しを持って対応していくというお考えなのか。それとも、やはり相手国の内政には余り入っていかないで、国対国の関係で、相手が軍事国家であることは別にして、国と国との関係で粛々と資源外交を進めていくのか。この辺の基本的な考えについて教えてください。

【大臣】今仰ったことは、資源を持っている国が開発独裁の国であるというと、オーストラリアとか南アフリカとか、怒る国は大分出てくるとは思います。もちろん、きちんと選挙を行って、議員とかトップを選んでいる国もたくさんあるわけであります。人権侵害ということが目立つような場合には、日本としての対応を考えなければいけない場合は当然出てまいります。例えば、今で言えばミャンマーとか、そういった国であります。しかし、民主主義というものは、成熟していくためには段階を踏んでいかなければいけないわけであります。例えば、一昔前のインドネシアと今日のインドネシアを比べれば、それは日本もかなり努力をしたと思いますけれども、時間をかけて、民主主義が成熟するために待った結果として、今日のインドネシアがあるということで、余り性急に、単一の価値観だけでこうあるべきだという議論をやり過ぎることの問題もあると思います。そもそも、選挙をしないで議員とか代表を選んでいる国もたくさんまだあるわけですから、そこは一定の人権侵害という視点を持ちながら、しかし、余り厳しく考え過ぎない方がいいと、少し時間をかけて、そういうゆとりを持って考えていけばいいのではないかと思います。

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国際コンテナ戦略港湾の選定

【伊勢新聞 中森記者】外交から外れて恐縮ですけれども、大臣、地元の四日市港が伊勢湾として応募している戦略港湾の落選が決定的になったのですが、今後の四日市港のあり方について、地元の国会議員としてのご所見をお伺いします。

【大臣】まだ最終的な結論には至ってないと思うのですけれども、本日、そういうのが出ましたか。それは、私(大臣)はまだそういう段階で、そのことを前提にコメントはいたしませんが、10年前から申し上げていることなのですが、やはり名古屋港と1つになってやっていかないと、1ローカル港湾として生き残っていくことは、非常に困難であると思います。もう少し早く、そういう一体化ということに踏み切っていれば、また違う結論にもなったかもしれませんが、別にスーパー中枢港ではなくて、今回の選に漏れたとしても、日本で言えば、名古屋港と含めて3番目に取扱いの多い港湾ということは変わりませんので、しっかりと頑張っていただきたいし、そのための後押しはしたいと考えております。

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核の傘

【フリーランス 岩上氏】核の傘に関して、すいませんが、確認で1点だけご質問させてください。米国の核の傘が有効であるための前提としては、いわゆる核の均衡が成り立っていないといけないと思うのですけれども、米ソ間相互確証破壊戦略(MAD)は成り立っていた。これは60年代には成立したと思いますが、米中間で相互確証破壊戦略というものは既に成立しているか、あるいは近い将来成立し得るのか、この点について、大臣のご見解をお聞かせいただきたいと思います。

【大臣】核の傘と核の均衡というのは、必ずしもイコールではないと思います。それから、相互確証破壊というのは、それは米ソ間でかつて言われた議論ですが、今、それが有効であると、私(大臣)は必ずしも考えておりません。過去の議論です。

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外務大臣会見記録(平成22年8月3日(火曜日)15時20分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)対イラン制裁措置について

【岡田大臣】それでは、記者会見を始めます。やや国会審議は疲れました。何とかもうちょっとまともな椅子にならないものかといつも思います。
 まず、本日の閣議での対イラン制裁措置につきまして、本年6月9日、イランの核問題に対し、国連安保理において、加盟国に対し、イランの拡散上機微な核活動等に関与する者に対する資産凍結等の措置を義務づける同決議第1929号が採択されました。
 この決議を履行するため、本日の閣議において、次の措置を講ずることを了解いたしました。
 1、同安保理決議で特定されたイランの40団体及び1個人の資産の凍結等。
 2、核技術等に関連するイランによる投資の禁止。
 3、イランへの大型通常兵器等の供給等に関連する資金の移転の防止。
 また、今般の同決議第1929号においては、更に、イランの核活動等に寄与していると信ずる合理的な理由があるものと認められる場合の措置の要請などがあり、こうしたことを含め、不拡散、商業、金融、運輸などの分野において取るべき措置について、つまり追加的な措置ということになりますが、本年8月末をめどに可及的速やかに結論を得るべく政府内で検討を行うこととしております。
 イランの核問題には、核不拡散体制の堅持、北朝鮮の核問題への対応との関係、中東地域の安定への影響などの観点から、毅然とした対応が必要である。国際社会が一致して累次の安保理決議を着実に実施し、対話の窓を維持しつつ、核問題の平和的・外交的解決に向けて、イランに賢明な決断を求めていくことが重要であるということでございます。

(2)パキスタンにおける洪水被害について

【大臣】パキスタン各地の記録的な豪雨により、北西部のハイバル・パフトゥンハー州などで大規模な洪水が発生し、多数の人命が失われるなどの大きな被害が生じております。
 日本政府としては、2日に、私(大臣)から、クレーシ外相に対し、今回の災害の犠牲者及びそのご家族への深い哀悼の意と被災者へのお見舞いを表すとともに、我が国として必要な支援を行う用意がある旨のメッセージを発出したところであります。
 私(大臣)も、前回地震があったところと、今回の洪水被害の場所がかなりオーバーラップするということでありますが、地震の後、私(大臣)自身も行った地域でありますので、そういう意味でも特に思い入れがございます。
 具体的な措置といたしましては、現地の被災状況、パキスタン政府との協議などを踏まえて政府部内で検討した結果、①水・食料などの分野を中心とした300万ドル(約2.6億円)を上限とする緊急無償資金協力、②2,000万円相当の緊急援助物資の供与を実施することを決定したところであります。
 更に追加的な支援の内容については、今後、パキスタン政府や国際機関と協議を行って、早急に決定の上、実施する予定でございます。

(3)第2回日・カリコム外相会議の開催について

【大臣】3番目ですが、第2回日・カリコム外相会議の開催です。
 1か月後の9月1日に、カリブ地域14か国が加盟するカリブ共同体(カリコム)諸国の外相を招き、第2回日・カリコム外相会議を東京で開催します。この会議は、2000年、平成12年に開催した第1回日・カリコム外相会議以来、10年ぶりに開催するものです。
 会議では、今後の日・カリコム間の協力のあり方について議論するとともに、環境・気候変動、経済危機、ハイチ復興支援を始めとする国際社会の諸課題について、日本とカリコム諸国の連携を深める予定です。もちろん、この機会を利用して、各国外相との二国間会談も積極的に行う予定です。
 14か国を擁し、国際場裡において共通の立場をとることの多いカリコム諸国は、国際社会において一定の存在感を示しています。今回の外相会議を通じて、カリコム諸国において、国際社会の諸課題に対する我が国立場への理解・支持が深まることは、今後の多国間外交を進める上で極めて有意義であると考えます。
 10年前に開きましたが、その後、開催時期や出席者等の面で調整がつかなかったことから、10年後の今年、改めて我が国で開催することとしたものでございます。

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対イラン制裁措置

【共同通信 斎藤記者】今、お話があった対イラン制裁の関係ですが、8月末をめどに対応を検討というのは、改めて日本の独自制裁といいますか、日本は別途にやるという趣旨でしょうか。もしそれでやるならば、どういったメニューを考えられているのか、大臣の所見をお伺いします。

【大臣】追加的に日本独自の措置を検討していくものであります。中身については、今、関係各省庁と調整中でありますので、現時点では申し上げる状況にはございません。

【読売新聞 川崎記者】既にイランに対しては米国とEUも追加制裁を発表しているわけですが、特にEUでは、日本が本日発表したものよりも幅広く資産凍結の対象をしたりとか、独自の制裁をやっているようですけれども、そういうところも日本は現在検討対象にしているのかどうかということについてお聞きします。

【大臣】EUも最終的に決まるのはもう少し先だと理解しております。発表は既に確かに行われました。日本としては、米国やEUでの措置の内容について承知をしつつ、そういったものも1つの参考にしながら日本独自の措置を考えたいと思っているところです。

【毎日新聞 吉永記者】今回の独自の部分の制裁、もしくはイラン制裁をしたことにおいて、日本企業への影響とかというのはどのように見ているのか。また、日本企業の影響とかについて、どのように配慮しつつやるつもりなのかということについてお聞かせ願えますか。

【大臣】これはコインの裏と表で、どちらから見るかという話であります。日本企業への影響はないとは言えません。しかし、影響がないような制裁措置では効果が余り期待できないということでありますから、これからの分について国際的に少なくとも米国、EUとともに協調しながら追加的制裁を行うということは、日本の国際的な責任を果たす、核不拡散、イランの核開発を前に進めることを止めるという意味で必要なことであると考えております。
 本日、決めたものは安保理で決定されたものですから、これは最低限、多少の影響があったとしても、それを実施しなければならないということは国際的な責任の問題だと思います。

【共同通信 斎藤記者】イランがどのような態度に出れば日本として単独制裁を行わない、あるいは本日閣議決定した安保理決議に基づくこの制裁を解除するのか、改めてその条件を提示してもらえますでしょうか。

【大臣】本日の安保理で決定した措置に関しては、日本だけで決め得る問題ではありません。安保理の決定に基づいて制裁措置を行うということでありますから、それを解除するということも安保理において話し合われた結果でなければならないということで、日本独自で判断できまるものではありません。
 追加的措置については、そういう意味では日本独自の判断の余地というものはないわけではありませんが、これもともに追加的措置を検討している米国やEUと協調的に行動していかなければならないということだと思います。
 少なくとも累次の安保理決議を無視して20%濃縮を続けているという状況においては、その制裁が解除されるということはあり得ないことだと思っております。

【共同通信 斎藤記者】アインホーン調整官が、北朝鮮の話と同時にソウルでイランの話もしたということなので、日本でもイランの話もするかもしれません。そこで、ひとつポイントになるのが、安全保障理事会決議にも入っていますが、貨物検査。日本とイランの間には、随分船舶の行き来もあると聞いているのですが、北朝鮮に対してはすでに政府は貨物検査法を通している訳ですが、イランに対しても、北朝鮮と同等の扱いをするのかどうか、この点、大臣はどのような考えをお持ちでしょうか。

【大臣】今のところ、具体的なことを考えている訳ではございません。それは、必要に応じてということになると思いますが、現時点ではございません。

【共同通信 斎藤記者】今の件ですが、貨物検査については、これは安保理決議の中に入っている訳で、少し記憶が定かではありませんが、義務条項だったか、要請条項だったか、たしか要請レベルで義務ではなかったかもしれませんが、一応、日本政府としては、要請条項についても積極的にやっていくという姿勢だと理解したのですが、貨物の部分については、若干、政治的に、あるいは技術的に難しい点があるということでしょうか。

【大臣】それはどのくらい必要性があるのか、意味があるのかということについて、政府の中で未だ検討しておりません。一概に否定しているものでは決してありません。

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新安保懇報告書案

【フリーランス 岩上氏】26日に菅首相の私的諮問委員会である新安保懇、正式名称は「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」という機関の報告書の一部が報じられました。その中に非核三原則の見直し、持ち込ませずを見直すという内容が含まれていることが報じられましたが、これがこの後の防衛大綱のたたき台になると聞いております。大臣のご見解をお聞きしたいと思います。

【大臣】まず、発表されたものではないのです。リークです。発表していないわけですから、どこかで漏れたということですので、それを前提に物を言うことは慎重でありたいと思います。きちんと決まった上で発表されたということであれば別ですが。
 もう一つ、一般論として申し上げますと、今回の懇談会は、有識者によるものでありまして、それがそのまま防衛大綱になるわけではありません。それは1つの参考にしつつ、政府の中で特に政治レベルで議論しながら防衛大綱をつくり上げていくということであります。ですから、そこに1対1の対応ということは特にありません。それ以上のことは今、申し上げられません。

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非核三原則の見直し

【フリーランス 岩上氏】新安保懇の報告書の内容に関連してということではなく、大臣ご自身の見解として、非核三原則は見直すお考えというものはあり得るのか、堅持のお考えでいらっしゃるのか、そのお考えについて再度お聞かせいただきたい。

【大臣】非核三原則を守っていくということは、私(大臣)は何回かこの場でも申し上げているつもりでございます。もちろん、菅内閣になってまだ総理のところで余り議論した記憶はございませんので、総理も変わりましたので再度議論は必要だと思いますが、菅総理がそれと違う見解をどこかで明らかにされたとか、そういうことは、私(大臣)は全く承知をしておりません。

【フリーランス 岩上氏】この問題に関連して、この問題がどうしても気にかかるのは、近年、米国側の、例えばチェイニー元副大統領とか、あるいはマケイン上院議員であるとか、あるいは、かつてのブッシュ大統領の補佐官であった方々とか、多くの米国の有力な政治家が、日本の核保有というよりは、つくる製造とかではなくて、持ち込み、あるいは配備を指すのだろうと思うのですけれども、それについて前向きな発言が相次いでいます。米国には米国の思惑があるだろうと思いますが、こうした発言が相次いでいることを踏まえて、日本が非核三原則の一部でも見直す可能性があるのかということをお聞きしたかったものですから、もう一度改めて、そこの米国側の思惑を踏まえて、日本はどうするべきであるのか、お考えをお聞きしたいと思います。

【大臣】私(大臣)は米国、原子力ではないと思いますが、OBの方々の意見というのは、特に承知をしておりません。私(大臣)は聞いたことがありません。そういうように言っている方もいらっしゃるかもしれませんが、どういう状況を想定して言っておられるのか、何度もここで申し上げておりますが、基本的に戦術核について、彼らはトマホークもこれから廃止するということもNPRの中で明らかにしているわけですから。ただ、戦略核を日本に持ってくるなんてことは考えていないと思うのですが、ちょっと私(大臣)の想像力を超える話で、きちんとした事実に基づいて、裏付けられてご発言になっているとは考えにくいです。

【フリーランス 上出氏】8月6日には核廃絶前進にとって大きな意味があると思われる、英米仏の3か国、国連事務総長、そういうこともある中で、民主党として、やはりこういった非核三原則をはっきり守るということを明解に言えるのかどうか、もし、そうならば明解に言っていただきたいと思います。外務大臣としてのお立場で。

【大臣】ですから、先ほどのこの質問が防衛懇の報告書のリークから始まった流れの中で行われていますので、それをリークかどうかもわからない中で、それに対してお答えするというのは、私(大臣)は避けた方がいいということを申し上げたわけであります。私(大臣)の考え方は、従来から申し上げているとおりであります。

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オスロ条約

【ビデオニュース 竹内記者】オスロ条約について伺いたいことが2点あります。条約では、破棄まで定められているものだと思いますが、その日本の進捗状況がどうなっているのかというのを具体的に教えていただきたいのが1点と、あと、日本領域内で使用させないために、米軍がクラスター(爆弾)を使用しているかどうか調べたり、もしくはそれを使用しないよう求めたりする考えはあるかというのを改めて伺いたいと思います。

【大臣】私(大臣)の理解では、条約上はそこまで求められないと理解しております。ですから、条約を超える話になるのではないかと思います。具体的にそういったことを、今、求めているという話は、私(大臣)は承知をしておりません。

【ビデオニュース 竹内記者】日本自身が持っているものについては。

【大臣】それは、条約に基づいて手続を進めていくということです。

【ビデオニュース 竹内記者】その進めていくのが、今、どのような状況なのか、どれくらい進んでいるのかということを教えていただきたいというのが1点目の趣旨なのですが。

【大臣】そういう事実関係は、あらかじめ言っておいていただかないと、私(大臣)は全部わかるわけではありませんので。もしあれならば、役所のそれぞれの担当のところに聞いていただけばと思います。

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米軍再編問題

【琉球新報 滝本記者】本日からまた普天間も含めた日米間の審議官級協議が行われているかと思うのですけれども、普天間だけではないということも理解した上での質問ですけれども、従来、これまで専門家の実務者課長級協議が行われてきたかと思うのですけれども、それを踏まえて、今回、審議官級協議ということで、どのステージまで協議を進めていきたいと大臣としてはお考えになっておられるのかということをお伺いしたいのですけれども。

【大臣】特に決めておりません。ただ、8月末という1つの区切りがありますので、適当なレベルで専門家ということでくくれるということは、少なくとも政務ではないということは間違いありません。専門家のレベルで協議を8月末に向けて詰めていくということであります。

【琉球新報 滝本記者】幅広い議論が日米同盟の深化も含めて、協議が行われているかと思うので、その文脈でお伺いしたいのですけれども、普天間の一工法とかいう細かい話ではなく、負担軽減の部分で2+2の共同声明に書かれた負担軽減になるもののメニューがあったと思うのですが、その協議も、今回の審議官級協議で話を詰めていくということになっているのでしょうか。

【大臣】そういう議論も行われているはずです。

【NHK 藤田記者】関連してですが、大臣のお答えは決まっているかもしれませんけれども、8月末までに専門家による検討は終えるのだと。ただ、それを公表するかどうかは決めてないと。その後の取扱いについても、まだ話せるような状況ではないというのが、一貫したこれまでのご答弁ですけれども、菅総理大臣は昨日の記者へのぶら下がりなどでも、沖縄の理解を得なければいけないので、沖縄の頭ごなし的に物事を決めようということは考えてないのだと。非常に8月末を終えて、オバマ大統領の来日が予定されている11月、それから沖縄県知事選がある11月28日、これよりも先に決めることには非常に消極的な姿勢も感じられるのですが、現時点で政府内ではどういうように整理されているのでしょうか。

【大臣】まず、決めるということの意味ですね。専門家のレベルで決めるのか。専門家のレベルで決めるというのは、技術的な検討です。基本的には、技術的な検討を加えて、技術的に可能かどうかを検討するということです。
 その上で、それを政治的にそれが可能かどうかということを議論して、2+2で最終的に決めるということで、総理がその前段を言っておられるのか、後段を言っておられるのか、私(大臣)は必ずしもよく承知をしていないのですけれども。日米合意の中に書いてあることは、8月末までに専門家で検討を行うと、検討を行うということは、結論がそこで何らかの形では出てくるわけですが、それが技術的な検討ですから、こうでなければいけないとか、そういう形には恐らくならないだろうと、ここなら可能だという言い方になるのだと思います。それが1つなのか、2つなのか、どういう形になるのか、一定の幅は、技術的な検討という性格上、これしかないということにはならないだろうと思っているわけであります。
 いずれにしても、ただそれも検討の結果、技術的に検討した結果1つになってしまうかもしれませんので、そういうことも含めて検討と並行して、どういう形にするのか、そして発表するのか、しないのかということは、これから決めていくことであります。
 これは別に先送りしているとか、そういうことでは全くございません。中身について技術的検討を加えると、だから、1つに決め打ちはできないかもしれないということをとらえて先送りしているというのは、全くの間違いで、正確な報道ではないと私(大臣)は思っております。性格上そういうものだということであります。
 もう一つは、総理も言っておられますように、何のためにやっているかと言えば、最終的に普天間の基地の移転を実現しなければなりません。そのためには沖縄の皆さんの理解が前提になるわけで、それを無視して勝手に日米間で決めても、そこで動かなくなれば実現不可能なわけですから、将来的に実現可能な、そのために今、何をすればいいかという視点で議論しているという、当然のことを申し上げているわけであります。

【琉球新報 滝本記者】今、大臣がおっしゃられた沖縄の理解という文脈でお伺いしたいのですが、沖縄の地元の理解を得るため、沖縄に説明あるいは対話をするということで、協議機関というか、沖縄側と話し合う場が早急に必要ではないかということは、大臣も前からおっしゃっておられると思うのですけれども、その場のあり方について、仲井真知事は、名護市辺野古への移設というものを前提にした協議には到底乗れないと、応じられないという意向を示しておられるわけなのですけれども、ただ政府としては辺野古への移設ということを進めるために沖縄と対話をするということだと思うのですけれども、そこの接点がなかなか合わないのではないかと思うのですが。

【大臣】若干、話が混乱していて、沖縄県も入った協議の場ということが、人によってそれぞれ違うイメージで語られているところがあるのではないかと思います。
 私(大臣)が申し上げたのは、今まで事故などがあったときに、ワーキングチームがあって、そこで対応について検討することになっています。そういうものをもう少し拡大して、そこで議論したらどうか。あるいは日米合同委員会がありますね。そこでは、負担の軽減について、騒音とかそういう問題について議論してきました。そういうものをもう少しバージョンアップして、きちんと議論できるようにならないかということであります。
 ですから、普天間の移転の問題そのものを議論する場というようには、そういうつもりで私(大臣)は発言しておりません。むしろそれは官房長官のところでお考えになる話ではないかと思っていますが。

【琉球新報 滝本記者】そうおっしゃいますと、官房長官の考えていらっしゃる部分と、大臣がおっしゃられた対話の場というものが、別建てであるということになるのかなと。つまり政府の中で、その辺の意志疎通というか、どういうものをつくろうということのコンセンサスは取られているのでしょうか。

【大臣】まだ協議中です。ただ、それぞれ責任がありますので、外務省には外務省の、官邸には官邸の役割がありますから、その延長線上で協議の形がどういう形がいいかということを議論しているとお考えいただければいいと思います。若干それが混線してしまっている、そういうふうに受け取られているかもしれませんが。もちろん、最終的にそれを1つにするということはあるかもしれませんが、今のところはそういうことにはなっておりません。もう少し議論をしなければならないと思っています。もちろん、政府の中だけではなくて、米国も沖縄もありますからね。

【時事通信 水島記者】普天間ですけれども、滑走路の位置を決める2+2を開く時期が今のところ決まっていないという状況で、いつできるか目処はたたない状況と言って良いか分かりませんけれども、そういう状況の中で、さっき話があった負担軽減措置ですけれども、ホテル・ホテル区域の解除とか、それから訓練移転とか、あと環境に関する合意ですとか、そういうものが代替施設の目処がたたない中でも先行して実施されていくことはあり得るのかどうかということについてお願いします。

【大臣】実施といいますか、議論は並行してできますので。実施と言いますと、多少時間がかかりますから、すぐ来月実施とかそういうことは、なかなか難しいと思いますけれども、議論としては並行して進めております。

【フリーランス 岩上氏】沖縄との対話の件ですけれども、大臣は鳩山政権時代に、沖縄に行かれまして、名護の市民を中心に沖縄の市民と直接対話の場を持たれている訳ですけれども、この時、言わばクローズドの形で行われたことに対して、先日、現地に取材に行ったところ、大変、クローズの形に関しては、評判が悪かったと言いますか、あまり好ましくないというご意見の方が多かったというように私は思っております。

【大臣】それは人によるでしょうね。

【フリーランス 岩上氏】もし、このたび改めて大臣が現地に行かれて対話の場を持つ機会があるとすれば、クローズの形で行うのか、オープンの形で行うのか、報道陣にも、それからそこの会場に入りきれなかった方々にも全て公開の形で、対話の集会を持つようなそういう試みをお考えになるお気持ちがあるのかお示し下さい。

【大臣】若干誤解があるようですけれども、会場に入りきれなかったのではなくて、特定の方に入って頂いて議論したということです。つまり、あの時、私(大臣)は、大臣ということではなくて、したがって車も公用車ではなくて、タクシーで会場に行ったわけですが、民主党所属の衆議院議員のデニーさんが集めた支持者、デニーさんの支持者と言っても、その中には市長になった候補者も入ってたのですけれども、そういう方々の前でお話をさせて頂いた、したがって、それはクローズドで、話をさせて頂いたということです。大臣として話したのではなく、民主党の衆議院議員、岡田克也としてお話をさせて頂いたということです。今、同じことを繰り返す予定は特にございません。多少、役割分担もありますので、対米交渉をやる外務省の立場と、それから沖縄と、あまり入り乱れないよう方が良いと私(大臣)は判断しておりますけれども、もちろん、例えば、官房長官や総理から何かご指示があれば、私は行くことは厭わないのですけれども、現在のところ、そういう予定はございません。

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日米同盟の深化

【朝日新聞 鶴岡記者】日米同盟の深化について伺います。1月の大臣とクリントン米国務長官との会談を受けて、署名50年の時に鳩山総理が出した談話では、年内に成果を示したいと述べられましたけれども、今、菅内閣に変わってからも、年内の、例えば、大統領の来日時などに首脳間の共同宣言などの成果物を示すということに変わりはないのでしょうか。

【大臣】この問題は非常に重要ですので、まずしっかり議論しようというところから入っております。50年と言えば、今年もそうですが、来年も51年、50年を踏まえてということになるわけですから、まだいつという見通しは特に立てておりません。まず、しっかり議論しようということです。できたところで発表するということです。年内と一旦は言いましたが、それを否定するものではありませんが、必ずしもそれに100%拘束されるのではなくて、中身をしっかり議論する、若干遅れ気味でありますので、普天間の問題がありましたので、率直に申し上げて、ちょっと議論が遅れておりますので、そういった議論をしっかり行おうということです。

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内政

【テレビ朝日 花村記者】民主党内で代表選に向けて、昨日、今日といろいろな勉強会、議員の動きがありますが、昼頃には山岡さんとか、前官房長官がお会いになって、2009年のマニフェストを実行させるというような会を立ち上げようとか。

【大臣】誰がですか。

【テレビ朝日 花村記者】山岡さんが何か議員の方をお集めになって、そういう動きもあるようで言ってみれば「反菅総理」というような動きにもとれるのですが、このような党内の動きをどのようにご覧になっていますか。

【大臣】それぞれ政治家ですから、いろいろな意見があっていいとは思います。ただ、参議院において示したマニフェストというのは、最後は菅政権の下でですが、基本的には鳩山政権の下で小沢幹事長もおられる中でマニフェストを作ってきたわけですので、それが、知らないところで勝手に変えられたとか、そういう議論というのは、率直に申し上げて私(大臣)はよく分かりません。そして、有権者に対して、あのマニフェストで我々はお約束をしたわけです。選挙には負けたかもしれませんが、それに基づいて投票していただいた方がたくさんいらっしゃるわけで、党として決定してやったことですから、もちろん、前回の衆議院選挙のマニフェストも重要ですけれども、併せて参議院選挙におけるマニフェストというものも当然我々はそれをしっかりと踏まえてやっていかなければいけないと思います。

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対北朝鮮政策

【共同通信 斎藤記者】米国の国務省のアインホーン調整官が来日するということですが、具体的にどういう話になるのか、また、これに関連して対北朝鮮制裁、米国は単独制裁に踏み込んだわけですが、中には非常に厳しい措置もありまして、北朝鮮関連の口座、あるいは関連した取引をしている企業に対する措置も盛り込まれていますが、日本としてどの程度協調していくのか、法改正などの必要がでてくるのかどうか、その辺りの見通しも含めて教えてください。

【大臣】これはどういうご主張になるのか、よく聞いてみないとわかりません。ご案内のように日本と北朝鮮の貿易というのはほとんどありません、送金についても前回の日本の追加措置でかなりレベルを下げましたので、そういう意味では日本はあまり追加的にやる余地がないということだと思います。米国側に別途何か新しいアイデアがあって、例えば少しお話しになったように、企業に着目して迂回のようなことでやっているのではないかとか、そういうお話でもあるのかどうか、これはよくお話を伺ってみないと分からないと思います。その上で我々として、何ができるかよく検討していきたいと思っています。

【世界日報 山本記者】本日の午前中の予算委員会で、自民党の平沼議員から質問が大臣に向けられましたけれども、今回のARFで北朝鮮の朴外相が来たときに会うことは考えられなかったのかということで、大臣としては「再調査ということがそのままになっているので、その状況をみて会えなかった」という理由を言われたのですが、そうしますと、何か向こうが新しい部分においてアクションがなければ、全くそれ以降コンタクトしないというお立場なのか、あるいはそれ以外のチャンネルでその辺りの動向を探るというようなしかけがあるのか、それについてお伺いできればと思います。

【大臣】直接お答えすることはできないのですが、しかし、大臣レベルで会うというのは特別のことですので、そこは少し慎重に考えなければいけないと思います。何か、2年前に約束した再調査について具体的なことがあるのならいいのですが、約束を100%果たしてないものですから、そういう状況で大臣同士が会うのはいかがなものかと判断をした次第です。国会でもお話しましたが、そのことと同時に、今回の韓国の哨戒艇の事件がありましたので、韓国側の考え方というものも尊重をさせていただきました。そういことも併せて、私(大臣)としては最終的に会わないという判断をさせていただいたところです。

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首脳外交の現状と今後

【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読いたします。首脳外交についてでございます。1日、時事通信が、菅首相の8月の外国訪問は見送りと報道いたしました。歴代首相は8月、9月を利用して、外国を訪問するのが一般的とされる中、首相は9月の代表選の準備に専念するとそこには書かれておりました。また、これはこれとして、鳩山前首相と比較しましても、菅首相の外交政策が今一つ国民に見えにくい状況にございます。停滞とも言える首脳外交の現状や今後についてご所見をお聞かせいただければと思います。

【大臣】8月は、なかなか首脳外交というのは難しいのです。特に欧米はバカンスを1ヶ月くらい取るものですから、行ってもいないということです。どこかの保養地でも行けば会えるかもしれませんが、これはかなり、実際にそういうところがありますので、8月に海外へ行かないというのは、それはそう不思議なことではないということです。この前、サミットに行かれて、そこで主要な首脳とは会談をやっておられますので、そういう意味で続けざまにやる必要もないと御判断されたものだと思います。鳩山総理と比べてどうかというのは、菅総理は、まだ総理になって2ヶ月ですか、そんなに時間も経っておりませんので、まず国内をしっかり把握をしていうことは、私(大臣)はよく理解できます。あまり海外に行きすぎると、国内で今、予算案の概算要求をまとめなければいけないときですし、政権の立ち上がりの時期ですから、さまざま、やらなければいけないことが多い。それから、外務省から見ても、まだきちんと説明できていないことが沢山ある訳です。ですから、そういったことも含めてしっかりと、今は足元を固める時期というように総理は判断されていると思います。私(大臣)はそれは賢明な判断だと思います。

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竹島問題

【フリーランス 岩上氏】一昨日だと思いますが、NHKが日韓関係についての番組があったということで、その中で、竹島密約というような問題が取り上げられたと聞いております。竹島の領土問題については、「これを解決せざることをもってして解決する」という密約が交わされているという報道であったと思います。これについて、事実、このような密約が日本・韓国間にあるのか。また、米国はそれにどのように関与しているのか、大臣がご存じのことがおありであれば、お話し願いたいと思います。

【大臣】私(大臣)はテレビを見ておりませんので、詳しいことは分かりません。それが正確な意味での密約なのか、私(大臣)はそうは思えない訳ですが、そして事実なのかどうかについても全く把握しておりません。外務省の人間は、否定的な意見が多かったのではないかと私(大臣)は思います。外務省の元お役人が出てきたところは、少しは見たのです。それを聞いている限りは、皆さん否定しておられたのですが、詳しいことは私(大臣)は承知しておりません。

【フリーランス 岩上氏】竹島の問題というよりも、日本が周辺諸国との間でスムーズな友好関係を結べないようにする、結ばせないようにするという圧力が1950年代に米国からかかっていた。その一環として今の竹島問題もあるのでしょうけれども、一例として申し上げますと、1956年8月19日だったと思いますが、ロンドンにおける重光外相とダレス国務長官との会談において、日ソ間の交渉で、二島返還で妥結するのであれば許さないというように米国から圧力がかかり、択捉、国後を要求するようにと圧力がかかり、もしこれを飲まないようなことがあれば、沖縄を返還しないというように言ったということが最近言われております。こうした50年代・・・

【大臣】ひとついいですか。

【フリーランス 岩上氏】はい。

【大臣】その事実を、私(大臣)は全く承知しておりませんし、今まで見たことも聞いたこともありません。ですから、そういうことを前提に全体を組み立てられても、それ以上ご対応できません。

【フリーランス 岩上氏】全然、この問題については、存じ上げないということですか。

【大臣】はい。

【フリーランス 岩上氏】分かりました。では、改めて出直します。

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日韓併合100年

【東京新聞 竹内記者】今ほどのご質問に若干関連して、今月末に日韓併合100年ということになりまして、新たに総理の談話を出すといったようなことも政府内で取り沙汰されていると聞いておりますが、現在の政府の対応についての検討状況を教えてください。

【大臣】昨日、国会でお答えしたとおりであります。今、どのような対応を行うかということについて、慎重に検討しているところです。

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