記者会見

外務大臣会見記録(要旨)(平成22年6月)


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外務大臣会見記録(平成22年6月29日(火曜日)15時00分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)G8、G20サミット同行について

【岡田大臣】それでは、私(大臣)から3点申し上げます。
 G8・G20両会議から帰ってまいりました。出発前にもお伝えしておりましたが、私(大臣)自身は会議そのものには出ておりません。事前のレク、そして、このときを利用して行われたバイの会談、日中、日露、日韓、日米に同席をいたしました。
G8で、間接的ではありますが、北朝鮮の今回の事案に対して一致してそれを取り上げたということは、非常に意味のあることだったと思います。ロシア側がどういう対応をするかということは、直前までいろいろ議論があったわけですけれども、最終的にはまとまったということであります。
 経済の問題については、菅総理が自ら財務大臣のときに練り上げてきた考え方について、「強い経済・強い財政・強い社会保障」ということについて、しっかりとご説明になったということであります。
 バイの会談はそれぞれ非常にいい雰囲気の中で行われましたが、特に日米に関しては菅総理は全くノンペーパーで自らの思いをしっかりと語られたと思います。最後はカメラも入れて記者の前で両首脳がお話になったわけですけれども、あそこにいて両首脳のお話を聞かれた方は、非常にいい雰囲気で会議自身が行われたということを、実感していただいたのではないかと思います。もちろん今回はそれぞれ実質的に初めての出会いでありまして、鳩山さんのときにも2回、3回と重ねる中でより親近感が高まっていったと、特に日中とか日韓を見ているとそう思いますが、これをまた一からやらなければいけないというのは大変ではありますが、しかし、しっかりとみんなで支えていい首脳関係ができるようにしていきたいと思っております。
 なお、私(大臣)はバイの会談の合間に、韓国の柳明桓外相とは北の問題を中心に30分ぐらいだと思いますが、意見交換を行いました。中国の戴秉国氏とも日中の首脳会談が終わった後に、立ち話で10分ほど北の話を中心に少しお話をしたということであります。
菅総理の外交デビューということになりますが、全体として非常にいい形で行われたと思っております。
 私(大臣)は行きは民間航空機で行ったわけですけれども、乗り継ぎで行ったのですが、帰りは政府専用機でそのままトロントから帰ってまいりました。政府専用機に乗るのは初めてだったので、中の探検とかいろいろしたのですけれども、私(大臣)の部屋はベッドがある部屋で、その前に菅総理と野田財務大臣と福山官房副長官と、もちろん伸子夫人もおられたのですが、食事を菅総理の部屋で一緒にとりまして、その後、自分の部屋に戻ったのですけれども、ベッドはあるものの何となく立派なベッドで、そこで寝るのははばかられたので、イスで寝て帰ってまいりました。もちろん余り寝過ぎると夜寝られないということもあったので、2、3時間イスでまどろんだということであります。

(2)ODAのあり方に関する検討について

【大臣】ODAのあり方について、長らく議論を省内で、或いは関係者と行ってまいりましたが、それがまとまったということでありますので、その発表です。
 省内の議論も随分、福山前副大臣、或いは西村政務官を中心にやっていただきました。私(大臣)もときどき参加をして、最後の部分ではかなりいろいろな意見も申し上げました。ODAが国民の共感を十分に得られていないという認識の下で、国民の理解と支持を得るために在り方を見直したものであります。そしてODAをより戦略的かつ効果的に実施していく必要があるという考え方に基づいて見直しを行いました。経済界、NGO、有識者、外部の方の意見も伺いながら、このたびまとまったものであります。中身は余り私(大臣)からご説明をいたしません。また、事務方からも改めて説明があるかと思いますが「開かれた国益の増進」ということで重点3分野、貧困の削減、この中にはもちろんMDGsが含まれます。そして平和への投資、持続的経済成長の後押しという3つを重点3分野ということにいたしまして「選択と集中」ということであります。その他に具体的な政策については、かなり技術的、或いはある意味では細かい議論になりますが、NGOの皆さんも含めてかなり現実には非常に意味のある、しかし、そう派手ではない政策が具体的に書き込まれております。私(大臣)もいろいろ意見を申し上げましたが、この具体的政策の中で特に私(大臣)がこれは是非やろうと申し上げたのは、1つは円借ではなくてドル建ての融資というものが実現できないか、為替リスクを貸付先、途上国に負わせるのではないやり方というものを是非できないかということが1つで、外貨建て借款の検討ということであります。ほかにもいろいろあるのですが、検討課題についてそれぞれ進めていかなければいけないと思います。
あとは革新的資金調達、国際開発連帯税というものについても、しっかり更に詰めていきたいと考えているところであります。

(3)サッカー・ワールドカップについて

【大臣】あともう一点は、ワールドカップです。本日は、日本時間23時試合開始ということでありますので、是非見たいと思っております。アジアの中でまだ残っている日本、この前、李明博大統領と菅総理の会見のときにも、大統領の方から、是非日本はアジアの代表として頑張ってもらいたいという話はございました。アジアの代表として、しっかりいい戦いをして、前に駒を進めていただきたいと思っているところでございます。

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G8・G20サミット

【フリーランス 岩上氏】G8・G20の方に行かれたという件に関して、お話を伺いたいと思います。菅総理は「強い経済・強い財政・強い社会保障」という自らの考えをお述べになったということでした。菅総理はしばしばギリシャのことを引き合いに出して、極めて同じように日本は財政状態が悪いのだと例えて、お話をされております。しかし、ギリシャと日本との財政の基礎的な条件はかなり違います。国内で国債を消化できる日本と、海外にほとんど買ってもらわなければいけないギリシャと引き合いに出すのはいかがなものかと思うのですが、この点についての消費税の増税の問題も含めて、岡田大臣のお考えをお聞かせいただきたいのと、また、G8、或いはG20の場で菅総理が仰った経済に対する考え、財政に対する考えを他国の首脳はどのように受け止めていたのか、どんな反応を示していたのか、その点について、お伺いしたいと思います。

【大臣】まず、私(大臣)自身は同席していたわけではありませんし、他国の首脳がどういうように発言をしたかというのは、基本的に言わないことになっていますので、合意されているのは合意文書という形で出ているということであります。
 ギリシャと日本は確かに違います。ギリシャほど脆弱ではないと私(大臣)も考えております。ただ、国内の貯蓄過剰というのは高齢化に従って、むしろ逆のベクトルが働いているわけで、いつまでも国債をどんどん出して、それが国内を中心に消化されるという事態ではなくなってきつつあるということは正しく認識をしておく必要があると思っております。基本的にこれだけ景気が悪くて、税収が極端に低かったということはあるにしろ、収入の大半を借金で賄うという事態は早く脱却しないと、少なくとも次の世代に対して大変申し訳ないことだし、子どもたち、若者たちが希望を持てない日本になっていると思います。
 ギリシャに対しての危機感というのは、これは菅総理だけではなくて、菅総理はもちろん、財務大臣として財相会議に出て、そのことを強く認識されたというお話を聞いたことがありますが、ギリシャ問題を契機に財政赤字の問題、脆弱性というものについて、これは世界の主要国の首脳が共通して、そういう危機感を持っているということだと思います。

【共同通信 斎藤記者】G8・G20のくくりでお伺いしたいのですが、韓国の哨戒艦に関する協議ですけれども、先ほどのお話で、宣言の中は必ずしも完全とは言えないかもしれないけれども、ある程度、評価できる文言が入ったという認識だと私は理解したのですが、実際にその文言を私も見てみましたが、かなり非常に工夫された、取りようによっては事実上、北朝鮮を名指ししたと取れないこともない。しかし、また別の見方をすれば、そうとは言っていないという微妙な表現でした。
これを日本政府としては、基本的に満足の行く内容だと言えるのか。それとも、やはり今、申し上げたように、読み方によっては別の見方もできるという意味では、若干不満が残ったということが言えないでもないと思いますけれども、その点を改めて大臣のこの文言に対する見解をお伺いしたいと思います。

【大臣】こういうものは、お互い立場の違う国が集まって文言を調整するわけですので、100点満点はあり得ないわけです。そして、ロシアが強硬に反対をしていたという流れの中で、少なくとも国連安保理の場では、そういう名指し批判に対して非常に抵抗していたという中で、今回の文言で落ち着いたということは、よくロシア側も妥協してもらったなという感じだと思います。そういう意味では、よくできたと思っております。この文言をベースにして、安保理でも議論を進めていきたいと思います。ただ、中国の方は、バイの会談でも、従来からソフトランニングといいますか、余り追い詰め過ぎてもいけないという考え方を基本的に持っていますので、そう簡単ではないかもしれませんけれども。しかし、これだけのことをやって、国連安保理で批判といいますか、批判のための批判をしているのだけではなくて、再発防止のための批判ですが、そういうことすらできないということになると、これはむしろ大変なことでありますので、しっかりと努力をしていきたいと思っております。
韓国の外相にも、安保理の場で日本は随分しっかりとやってくれたし、今回のG8のときも、韓国はメンバーではありませんので、日本が頑張ってくれたということについては、評価をするという話でありました。

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ODAのあり方に関する検討

【NHK 吉田記者】ODAの在り方の件でお伺いしたいのですけれども、一読しますと、NGOとか民間企業支援の辺りにかなり注力されて書いているのかなという印象を受けるのですが、特に財政が厳しい中で、民間の支援とか、或いはNGOとの連携を強めるという従来からの大臣のお考えですけれども、この点について、この在り方の中で、大臣が強調したいポイントとか、どういうお考えで書かれたのかということを改めてお伺いできますか。

【大臣】もちろん、絶対量は増やしたいというように基本的に考えておりますが、いずれにしても、財政状況が厳しい中で効率的に使っていかなければいけない。効率的に使うという中で、民間やNGOの知見を生かしてやっていくということは非常に重要なことであると思っております。
 あとは、ここで書いている新しさ、例えば円借を卒業した後もそれがなお使えないかとか、いくつかのことを書いているわけですが、その辺りは私(大臣)も必要なことであると思いますが、もう少し「選択と集中」という考え方も或いは出てくるかもしれません。そういうことは、これからしっかり議論していきたいと思っております。

【共同通信 斎藤記者】今のODAの関連で、前回の記者会見のときにもパレスチナの件、UNRWAの件を挙げてお伺いしたのですが、その絡みでお伺いしたいのですけれども、その「選択と集中」といった場合にはどうしても地域的に、やはり日本の国益を考えた上で、優先的に選ぶところと、残念ながらそうではないところと、どうしてもそれは結果として出てくると思います。その点をどういうように国民にわかりやすく説明するのか。例えば具体的に言えば、パレスチナの場合には、どうしてもODA全体の減少を受けて、パレスチナ支援も棒グラフで見る限りは右肩下がりになっているところをどのように説明するのか。パレスチナということに限っても結構ですし、或いはパレスチナ以外のやはり右肩下がりになっている地域について、どういうように説明し、また、どういうような対応を取っていこうとしているのか、その点についてお伺いしたいと思います。

【大臣】まず全体のボリュームが減らないようにしなければいけないわけですが、しかし、そうはいっても非常に厳しい財政状況の中でいかに効率的に使っていくかということがひとつあると思います。これについては、是非、中をごらんいただきたいと思うのですが、途上国からプロジェクトごとに要請するというやり方からもう少し、最初から日本政府ないしJICAと途上国が協議をして、全体の方向性を決める中で具体的プロジェクトを決めていくと、まず、個々のプロジェクトありきではなくてという考え方に転換していこうということも書かれているわけであります。そういうことによって、ある意味での「選択と集中」がなされるということです。要請主義ということになりますと、我々も決裁を自分でしていてときどき思うのですけれども、なぜ、この道路が必要なのかとか、なぜ、ここにこういう、例えば水道施設が必要なのかということが全体の絵の中できちんと位置づけられていないといいますか、それは要請主義を取っているとそういう部分はどうしても出てくるのですが、それをもう少し、その国全体の、こういうところが足らないから日本としてここの部分を補うという発想に立てば、より効率的な、無駄のない援助になるということであると思っております。そういう中で、より効率的なお金の使い方ができます。従って、もちろん、アフリカとかアフガニスタンというものは、金額でもコミットしているところは確かにありますけれども、それでしわ寄せが弱いところに行かないようにしなければいけないと思います。

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スーダンへのPKO部隊の派遣

【NHK 別府記者】スーダンのPKOについてお尋ねします。今、外務と防衛の間で議論中であると思いますが、改めて、このスーダン南部の住民投票にもしPKOを出すということになれば、それは日本にとってどういう意義があって、それはスーダンの人はもちろんのこと、国際社会の中でもスーダンへの関心が高い中でどういう意味を持つのかということをお尋ねしたいと思います。

【大臣】スーダンというのは大きな国でありますし、南北では長らく紛争があって、今はPKO部隊が派遣されて、平和が維持されて、そして、南部の独立の問題について住民投票が行われるということで、これが平和裏に行われれば、結果がどちらになったとしても、長年のスーダンの南北間の対立が解消されるということで、その意義は非常に大きい、しかもアフリカの中での大きな存在ですから、アフリカ全体に及ぼす影響も大きなものがあると考えております。
 ただ、日本がPKO部隊を派遣するかどうか、参加するかどうかということについては、別に防衛や外務でやっているだけではなくて、現在、政府全体の中で議論しているところでありますので、それ以上のことは結果が出た上で申し上げた方がいいと思っております。

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参議院選挙(沖縄の民意)

【琉球新報 滝本記者】参院選について少しお伺いしたいのですけれども、前回の質問とかぶるのですが、ちょっと違う内容の質問で、沖縄選挙区で民主党が候補を立てられていないという状況がありまして、今、出ている沖縄選挙区での候補というものは皆さん県外にということで、いわゆる政府方針と違う方針を求める形になっています。
その普天間移設についての部分で言いますと、争点化されていないといいますか、政府方針との争点になっていないということがあるのですけれども、この名護市辺野古への移設の是非を問うというような意味合いで、この参院選がどういうような形で沖縄の民意を酌み取るというように、大臣ご自身はどういうような形で民意をはかれるものであるとお考えなのでしょうか。

【大臣】それはちょっとわかりません。そして、民主党は候補者を出していないわけなので、そういう立場で何か言うべきことではないのではないかと思います。今、出ている候補者それぞれの詳しいお考えも我々は承知しておりません。それは報道で伝えられる以上のことを聞いておりませんので、余り軽々にコメントするのは控えたいと思います。

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G8・G20の役割と枠組み

【共同通信 斎藤記者】G8の絡みに戻ってしまうのですが、現在、G20が動き始めてからG8の存在感、或いはあるいは役割といったものが国際的に議論されていると承知しております。菅総理もG20の席上で、中国もたまには入ったらどうかというような発言をしたやに聞いております。G20の枠組みについて、大臣、何かご自身の考えはありますでしょうか。そして、役割について、何かお考えはございますでしょうか。

【大臣】これは従来からいろいろ議論をしてきているところであります。基本的にはG8の枠組みは非常に重要であると考えております。もちろん、経済ということになるとG20、新興国も入れた形がより実効性が上がるというところはあると思いますけれども、しかし、経済以外のテーマについて、例えば開発の問題とか、あるいはより政治的な、北朝鮮の問題もそうですけれども、そういう問題になりますと、同じ価値観を共有する先進国というくくりがきちんとあるG8というのは、非常に私(大臣)は重要であると思います。G20の場で開発の問題とか、多少これはやったのですが、例えば温暖化の問題とかも、それが果たして適切かというと、そうは言えないと思いますので。総理が中国をと言われたのは、たまにはということで。それはもちろん必要に応じてアウトリーチと言いますか、いろんな国を呼んでより参加してもらうということは、アドホックにはあって当然だと思いますけれども、それがずっと恒常化するということではないと理解をしております。

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米韓間における戦時作戦統制権の移管延期

【フリーランス 安積氏】このたび、米韓間で移管が延期になりました戦時作戦統制権についてお伺いします。柳明桓長官と意見交換されたということなのですけれども、この件について話題が出ましたでしょうか。また、この延期によって、日本の極東に対する安全保障政策というのが影響を受けるかどうか、お伺いいたします。

【大臣】今のお話は、私(大臣)と外相との間でも、或いは、首脳間でも議論は出ておりません。もちろん、それは米韓間で議論が行われたわけであります。
 今の朝鮮半島情勢も踏まえてのことだと思いますけれども、もう少し先に延ばすというのは、当事者間の判断でありますので、日本はそれに対して、特にいいとか、悪いとか、そういうようにコメントする話ではないと思います。あくまでも当事者間で決めていただく話だと思います。ただ、その背景にあるのは、やはり朝鮮半島情勢というものが念頭にあったということは、容易に想像できるわけであります。

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米軍再編問題(外来機の飛来)

【琉球新報 滝本記者】日米首脳会談の中でも、改めて沖縄の基地負担の軽減ということについて米国側も協力してくれというようなオファーというか、そういうのがあったと聞いておりますけれども、実際、今の沖縄の現状を振り返ってみるときに、嘉手納基地の方で外来機の飛来ということで、さっき25日でしたでしょうか、米国軍の方から、岩国から、また12機が8月末まで一時的に駐留するとか、あるいは現時点で、既にF22が来ているとか、5月にはまたホーネットが来ていたりとか、その外来機の飛来というのが常態化している状況であります。そういう流れの中で、県民の負担の軽減ということを、県民の理解も求める上で進めていくと言われる一方で、全然実態がなかなかそれに伴っていないということで、まず、この現状をどういうようにごらんになられるかということと、実際に、今、私が申し上げたようなホーネットが来るという通告に対して、外務省として米国側にどういうようなアクションを起こされているのかということをお伺いしたいのですが。

【大臣】まず、外来機が来ること自身が、それは米国の基本的な判断でありますので、今の全体の安全保障環境を見る中で判断している部分というのはあるだろうと思います。したがって、今、負担の軽減は非常に重要なことではありますが、それだけではなかなか決められないというところもあると思います。
 しかし、訓練飛行を他に移しても、その分外来機が増えてしまうということでは、そこに相関関係があるかは別にして、外来機の飛来が非常に増えているということは事実でありますので、そういったことが、より負担が軽減される中で行われるように、しっかりと日米間で議論していかなければいけないと思います。
 それは、私(大臣)が先ほど申し上げたのは一般論でありまして、今の日本を取り巻く安全保障環境ということも当然念頭に置いておかなければいけないことである思います。

【琉球新報 滝本記者】ということは、先ほどの前段のお話で北朝鮮の今の情勢というのがあると思うのですけれども、その北朝鮮の情勢も嘉手納の外来機が増えているという実情を反映した、連動したものだというように大臣はお考えなのでしょうかということと、先ほどの私の質問で、具体的に今回来ている飛来についての米国側へのリアクションは、どのようにされたのかということについてお答いただきたいと思います。

【大臣】今回といいますか、外来機が来ること自身は、協議事項ではないと私(大臣)は理解しておりますが、私(大臣)はそのことについて事前に何か通知を受けたとか、そういったことはございません。
 それから、今の朝鮮半島情勢が影響しているかどうかということについては、私(大臣)の口からは申し上げられません。それは全体状況を判断していただくしかないということだと思います。

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日印原子力協定

【朝日新聞 鵜飼記者】日印原子力協定についてお伺いします。先日の会見で苦しい判断だということで、一方で積極的な材料もあるということを仰っていて、産業界の要請などもその一つかと思うのですが、平成20年2月の衆議院予算委員会での大臣の当時の質問の中でこう仰っています。「原子力の平和利用についてのいろいろな売り込みとか、最近、仏サルコジ大統領などを見ていましても、そういう感じがしない訳ではないし、そういう目先の利益に各国が走って、これは日本も含めて結局核の不拡散ということが事実上ないがしろにされるということは、やはり政治の責任としては避けるべきだ」というように仰っているのですが、今回の決定というのは、それと180度転換しているように思われるのですが、いかがお考えでしょうか。

【大臣】今、ご指摘の平成20年のものは、まだNSGでの全会一致での決定というものがなされる前の話だったのではないかと思います。これは旧政権の時代ですが、日本も最終的には賛成をしてNSGにおいて決定がなされた訳です。決定がなされた後、各国がそれぞれ原子力協力を進めていくという状況の中で、どういう判断をするかということです。日本だけが頑張るのだということが、どれだけ意味があるのかということです。象徴的には非常に意味があると思います、ですから、私もいろいろなことを考え、そして今回の判断に至った訳ですが、日本の思いというのは十分世界に伝わったというようには思います。そういう中で、例えば日本が原子力協定に基づく協力はしないと言ったところで、他の国が進めてしまえば同じことになる訳でありますので、ここはやむを得ない判断だったと思います。もう少し中長期的な課題としては、インドのようなNPTに加盟していない国というのはNPT上の義務も負わない、核保有国としての義務も負わないということになっておりますので、そういった問題をどう考えていくのかということも、歯止めをかけることと並んで検討していかなければならないと思います。

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外交文書の公開

【共同通信 比嘉記者】外交文書の公開についてお伺いします。先日推進委員会で決まりました38冊のファイルの公開ですが、進み具合いはいかがでしょうか。いつ頃外交史料館に移管されますでしょうか。

【大臣】そう時間をかけるつもりはありませんが、今、私(大臣)のところで決裁中であります。

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日米関係(日本からの留学意欲)

【琉球新報 滝本記者】日米関係について、日本から米国に留学する学生の人数と、中国とインドからの米国への留学生の人数、私は具体的な数字は一時情報で持っていないのですが、中国から(の留学生数)は150%位増えているとか、インドから(の留学生数)は200%近く増えているという中で、逆に日本は減っている状況があるやに聞いています。日米同盟の深化の中で、軍事だけではなくて人的交流も含め、いろいろな分野の中で(の日米同盟の深化)ということであれば、将来的な部分もにらんだ上で、この状況をどのようにご覧になられていますか。

【大臣】憂慮すべき状況でしょう。ただ、これは、なかなか強制というのは難しいです。そういった留学の気持ちを持ちながら、経済的な理由とか、そういったことで果たせないでいるという若者に対してはしっかりと支援の手を差し伸べていくようなことが必要だと思います。全体の内向き志向みたいなものがあるのかなと思いますけれども、もっともっと本当は海外に出て学んでもらいたいと、別に米国だけではないのですが、中国とか、ヨーロッパも含めて、いろいろなところに、日本の若者には出て行ってもらいたいと思います。ゴルフなどを見ていると随分海外で日本の若いプレーヤーが活躍していますから、どうして大学がこれだけ減ってきているのかなとやや不思議な感じがします。あと、交流という意味では、いろいろな交流が考えられますけれども、例えば、元米兵で日本の捕虜になった方々を日本にお呼びするとか、それからJETプログラムなどありますが、やはり海外から日本に来てもらって、英語を教えるとともに、日本の文化を経験してもらうという人の中から、小説家になったりとか、何人か出てきています。それから日本の先生方も、私(大臣)は、もう少し海外で、例えば、英語の教師が海外に行って1年ぐらいネイティブな英語に触れるとか、そういうことも予算が大分かかりますので、なかなか難しいところがあるのですが、そういったことも出来ないものかと考えているところです。

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その他

【フリーランス 安積氏】個人的な関心事で、ずっと大臣が大臣に就任されてから思っていたことなのですが、大臣が野党の議員時代に、例えば、アフリカなど訪問されたとき、2度以上のトランジットがあったにもかかわらず、エコノミー席をお取りになったと聞いております。その理由を聞いてみたら、大臣はエコノミー席がお好きだということだったのですが、大臣に就任されてからも、やはりエコノミー席の方がいいとか、そのようにお考えになっていることはありますでしょうか。

【大臣】まず、エコノミー席というのは、事実誤認だと思います。私(大臣)はビジネスで、自分でお金を払って、野党時代には行っておりました。中国とか近いところには、ほとんど数時間のことでありますので、エコノミーで行ったこともあります。しかし、基本的にはビジネスで行っていたということを申し上げておきたいと思います。大臣になりまして、ファーストのあるところはファーストを使っております。最近は、国際線でもアジアを中心にファーストのないところが結構増えてきましたから、そういうところはビジネスで行くということです。この前なども、国連に出て、ヨーロッパ経由で日本に帰ってきたときも、ニューヨークからパリまではエールフランスでファーストだったのですが、パリから成田まではビジネスしかない機種だったのでビジネスで帰ってまいりました。やはり、かなり無理して動いていますので、体力的にはきついです。そういう意味で、できれば少しでも体を休める時間が欲しいと思います。あとは状況の判断、あまり華美にならないようにはしたいと思います。だから、専用機のベッドを使わなかった訳ではないのですが、それは目の前にあったのですから使うことはできたのですが、ほどほどに考えていきたいと思っています。

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外務大臣会見記録(平成22年6月25日(金曜日)15時00分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)サッカー・ワールドカップについて

【岡田大臣】私(大臣)からは2点です。
ワールドカップ、デンマークに快勝して非常によかったと思います。私(大臣)が南アフリカに行ったときに、マシャバネ外務大臣に決勝戦のときには南アに行きますと伝えたのですが、それが現実のものになれば素晴らしいことだと思っております。いずれにしてもこの間の3試合を見ておりましても、非常にいい戦いをしておりますし、昨日などは3点取ったわけですから、非常に今後に期待が持てると思っております。どうせ聞かれるでしょうから申し上げますが、試合は私(大臣)は寝てしまったので見ておりません。朝、テレビで確認をしたところです。

(2)日印原子力協定締結について

【大臣】もう一点は日印原子力協定に関して、28日及び29日に東京において日インド原子力協定交渉を開始するということで、第1回交渉を今の日程で行うことを予定しております。インドとの原子力協定については非常に難しい問題、簡単にはなかなか答えが出ない問題でありますが、慎重な検討を行ってきた結果、原子力協定締結に向けて交渉を開始することを決めたところであります。そもそも2008年9月に原子力供給国グループ(NSG)において、インドに対して一連の約束と行動を前提条件にして、原子力の平和的利用協力を例外として認めることになりました。NSGはもちろん全会一致であり、日本政府もこれに賛成をしたわけであります。これはもちろんインドはNPTに加盟していないということでありますので、そういう問題はありますし、将来の不拡散ということを考えたときに、それに対する影響も当然考えられるわけではありますが、しかし逆にNPTの全く外にいるということよりは、国際的な核不拡散体制に関与させ、一定の範囲で不拡散分野で責任ある行動をとらせるという意味では、国際的な核不拡散体制に取り込む契機になるという判断もあり、行われたものであります。我が国はこの例外化の決定後もインドの行動を注視してまいりましたが、その後もインドの約束を着実に行動に移していることを確認した上で、今回の決定になったわけであります。併せて気候変動・地球温暖化対策とか、インドという国と日本との二国間関係、そして我が国のエネルギー・産業政策などの観点といったこともあわせて考えて、この決定に至ったものであります。もちろん協定交渉を進めるに際しても、核不拡散の視点に十分配慮していくことが重要であって、インドに対し引き続き核不拡散についての一層の取り組みを求めていく考えであります。

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核軍縮・不拡散

【NHK 禰津記者】核軍縮と不拡散の関係でお伺いしたいのですが、先日、大臣は新聞のインタビューに対して、今年9月に国連総会の場を利用して外相級の会合を開きたいというお考えを示されていたと思うのですけれども、かねてからそういったお考えを示されていると思うのですが、改めてその意義やねらいについて、またはお考えについてお伺いできますでしょうか。

【大臣】まだこれは正式には決めておりませんので、確たることはまだ申し上げられません。各国外相といろいろ相談をしているところであります。ただ、ざくっと言わせていただくと、NPT運用検討会議が行われましたが、その後も核兵器のない世界に向けた継続的な取り組みというのは必要であるという中で、日本として、こういった取り組みの中でリーダーシップをしっかり発揮したいと考えております。そういう観点から、9月の国連総会のマージンで外相レベルの会合を開催することを検討しておりまして、いくつかの国の外務大臣と具体的内容について相談を行っているところであります。もう少し具体化に時間がかかるかと思います。

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日印原子力協定締結

【時事通信 水島記者】核不拡散ということで日印の話ですけれども、インドはNPTの枠外で核兵器も保有しているわけですが、日本の場合は被爆感情というものもあると思うのですけれども、今、大臣にるるご説明いただきましたが、国内の被爆感情向けに、改めてインドと原子力協定を結ぶ必要性というのをご説明いただけますでしょうか。

【大臣】被爆感情という観点からのご質問ですが、もちろん日本は唯一の被爆国であります。同時に、だからこそということもありますけれども、やはり核の不拡散を実現していかなくてはなりませんし、将来的には「核なき世界」ということを目指して、軍縮も含めてしっかりと対応していくということは、私(大臣)は日本にとって重要な政策であると考えております。
  ただ、先ほどいろいろ申し上げましたように、インドはNPTに加盟していないわけであります。核実験を行ったときには日本も制裁を行ったわけであります。そういう形でNPTの枠外に放置しておくということがいいのか、不十分ではありますけれども、一定の枠内に関与させていくことがいいのか、そのことについて国際社会の中でいろいろな議論が行われ、NSGで全会一致で後者の選択を行ったわけであります。
  もちろん日本の中ではその際にさまざまな議論がありました。そこで方向性が固まったときに、日本だけが原子力協力を行わないのも1つの選択肢だと思いますが、ほとんどそれは大勢に影響がないといいますか、日本にとってはもちろん影響はあるわけですけれども、この不拡散、或いは「核なき世界」を目指すといった観点から言うと、インドに関する取扱いの流れはできましたので、日本だけがそれと違う判断を行うということは困難になってきたということであります。
 他方で、先ほど言いました積極的な理由もありますので、総合判断して、非常に苦しい判断ではありますが、原子力協定締結を目指すということにしたところであります。

【朝日新聞 鵜飼記者】この日印の原子力協定ですけれども、タイムスケジュールみたいなものは既に思い描いてらっしゃるのでしょうか。

【大臣】これからですので、特にそういったものがあるわけではありません。ただ、中身次第でもありますけれども、作る以上、しっかりと議論して、迅速に締結を目指したいと考えております。

【朝日新聞 鵜飼記者】この原子力協定のところで、不拡散の視点に十分考慮していくというようなご発言がありましたけれども、これは具体的にはどういったことを担保していかなければいけないとお考えでしょうか。

【大臣】不拡散というか、1つは、核実験ということについてどう考えていくかという問題があるかと思います。そういったことについて、今後の話し合いの中でしっかりと一定の歯止めを設けることができるようにしていきたいと思っています。

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米軍再編問題

【琉球新報 滝本記者】一部報道で、普天間移設について、今度の参院選の投開票が終わるまでは、日本の案、日本の考え方を米国側に提示しないように菅総理が外務当局に指示していたという報道がありますけれども、その辺の事実関係についてお伺いします。

【大臣】特にそういうようには認識しておりません。そういう明示的な指示があったとは受け止めておりません。ただ、この問題は非常に複雑な問題でありますので、かつ、重要な問題でありますので、政権が変わりましたので内閣の中で意思疎通をよくして、慎重に今後の方針について議論しなければならないということであります。

【琉球新報 滝本記者】県内への移設という方針について地元への理解ということを求めていかなければいけないということを常々皆さん仰っておられますけれども、昨日の沖縄県議会の方で、県知事が県議会の答弁では従来の厳しいという見解を繰り返されて、その後、記者団に対して県内への移設というのは不可能に近いのだという、かなり強い、我々の受けとめでは更に今までよりもまた踏み込んだような言い方で表現されて、厳しい情勢というのを重ねて表明されておられますけれども、その中で繰り返し負担軽減を示しながらと仰っておられますけれども、具体的に今後どういうように理解を求めていくということの道筋については、どのようにお考えでしょうか。

【大臣】理解を求めるための努力というのはあらゆる手段といいますか、あらゆるルートといいますか、知事だけではなくて沖縄県民の皆さんに直接そういったことをしっかりと理解していただくための努力をしていくということだと思います。具体的に何かというのはそう簡単ではありませんが、あらゆることを考えて、そうでないとなかなか理解を得るということは私(大臣)は無理だと思いますので、しっかりと努力していく必要があると思います。

【フリーランス 畠山氏】先ほど沖縄県民の皆さんに、直接理解していただくためのあらゆる努力をしていくということでしたけれども、今回の参議院選挙に沖縄で民主党独自の候補を立てていないわけですけれども、あらゆる機会にということであれば、沖縄で民主党独自の候補を立てることも理解を求める1つの方法だとはお感じになられませんでしょうか。

【大臣】候補者を立てるとすれば、政府、内閣の方針に沿った候補者を立てることになりますが、そういったことは現実には困難な状況にあると考えております。
 政府、内閣の方針に反した候補者を立てるということは、党としてはとるべきことではないと考えて、今回は候補者を見送ったところであります。

【日本インターネット新聞 田中記者】ライシャワー駐日大使時代にCIA東京支局長だったジョージ・パッカード教授が昨日講演されて私も聞きに行ったのですが、パッカード教授はもう普天間は閉鎖すべきだと言っている人なのです。普天間の問題というのは米国の政権内部の問題であると彼は言うわけです。そこら辺を踏まえて、もう少し機が熟すのを待つという、オバマ大統領が軍産複合体を完全に抑えきれないだろうけれども、ある程度のところまでいくまで待つとか、そこら辺の下工作をやるとかという気の長い戦略的な計画はないのでしょうか。

【大臣】ご質問の前提が、パッカード氏の言われることが正しいと私(大臣)は必ずしもそれを確信するだけの根拠はございませんので、特に質問にはお答えにくい、できないと思います。

【琉球新報 滝本記者】先ほど沖縄選挙区での民主党候補者なしということについての関連なのですが、一方で、比例区の方で沖縄出身の喜納沖縄県連の代表が出ておられて党も公認されておられる中で、喜納氏は「県外・国外」という、つまり政府の方針に反した主張をされて戦っておられると思うのですけれども、それは先ほど大臣が仰られた政府の方針に反した候補者を立てるべきではないので選挙区では立てなかったというお話でしたけれども、喜納氏が党の公認で「県外・国外」を唱えて比例区で出ておられるという状況については、どのようにお考えでしょうか。

【大臣】喜納候補がどういう主張をしているかというのは、私(大臣)は詳細には承知しておりません。従って、ここでお答えすることはできません。いずれにしても、党の公認というのは、党が決めることでありますので、外務大臣の立場でこれ以上踏み込んだことは申し上げるべきではないと思います。あとは有権者の皆さんがご判断されることではないかと思っております。

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日印原子力協定と地球温暖化対策

【フリーランス 横田氏】日インド原子力協定のお話に戻させていただきたいのですけれども、先ほど、地球温暖化対策のお話を大臣は少しなさっていらっしゃいました。それから、この文書の中にも「関係省庁の関係者が」という言葉がございます。ということは、原発などの技術移転みたいなものを将来的に考えていらっしゃって、25%削減の中にそれを組み込んでいくということも考えているのかということをお聞きしたいのです。

【大臣】日本の25%とは切り離して考えていただいた方がいいと思います。それが直、日本の25%に関係するわけではありません。ただ、地球温暖化問題を進める上で、BRICsと言われる、これから経済成長を遂げ、したがって、温暖化ガスの排出が増えていくと考えられる国々の排出をどうやって少なくするかということは非常に重要なテーマですので、インドについてもそういうことが言えます。ですから、インドで原子力発電というものが広がるということは、温暖化問題の観点からは歓迎すべきことだということになります。現にインド政府は、原子力発電について、非常に積極的な導入計画を持っておりますし、日本のメーカーがこれからどうするかということは、これからの議論ですけれども、他国のメーカーが関与しているものについても、日本の技術が必要とされる部分もあるわけで、そういったことも考慮の1つになっているということであります。

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豪ラッド首相の辞任

【朝日新聞 鵜飼記者】オーストラリアのラッド首相が、こちらから見ていると、割と突然のように辞任されたようにお見受けするのですけれども、これまでオーストラリアとの間では、核問題などで協力を進めたりされてきましたが、日本の政策にとって、何か今回のことというのは影響があるのでしょうか。

【大臣】まず、ラッド首相が辞任されたことは、非常に残念だと思います。日本にも何度かお見えになって、地球温暖化の問題を始め、捕鯨の問題では意見は合わなかったのですが、全体として日豪関係というものが非常に緊密化しました。それはラッド首相の功績も非常に大きかったと思います。今後、ギラード新首相の下で、こういった路線が引き続き維持され、更に強化されることを期待したいと思います。
 鳩山総理が突然お辞めになったときには、非常に驚きましたが、日本だけではないのかなと。ちょっと驚きの目で私(大臣)は、ラッド首相の辞任劇を見ております。
 この前、オーストラリアに行きましたときにも、1時間以上にわたって、率直に意見交換を行うことができましたし、私(大臣)自身、非常に興味を持っていた政治家、指導者でありますので、残念に思っております。

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日本の選挙とインターネット利用

【フリーランス 畠山氏】海外の政治家と会談される機会が多い岡田大臣にお伺いします。世界から見た日本の選挙とインターネット利用のことについて伺いたいのですけれども、現在、参議院選の真っただ中ですが、先の国会でネット選挙の一部解禁を認める法律が通らなかったため、ホームページやブログ等での、政治活動ができなくなっております。本日の会見もニコニコ生放送が中継しておるようですけれども、選挙中の対応として、コメントの表示などを自粛しているそうです。例えば米国ですと、オバマ大統領が誕生した背景に、ツイッターですとか、インターネット献金というのが非常に大きな力を発揮したわけですけれども、日本では有権者にとって一番情報が必要だと思われる選挙期間中にインターネットの利用ができない。あと、選挙に立候補する際の供託金についても、米国、フランス、ドイツ、イタリアなどには供託金の制度がなくて、イギリスの場合でも9万円ぐらい。日本の場合は選挙区で300万円、比例で600万円とかなり高いために、新しい人材がなかなか参入できないのではないかということも言われております。海外の政治家の方々とお話をするときに、こうした日本の選挙制度というのが話題に上ったことというのはございますでしょうか。

【大臣】海外の政治家というか、この前、ルース駐日米大使と昼食をともにしたときにも、この話は出ました。供託金の話は、議論は両論あると思います。税金も関わるわけですから、誰でも出られるということはいいことではありますが、本当に当選を目指して立たれる人ばかりなのかという議論は、当然あり得ると思います。ただ、日本の公職選挙法そのものは非常に規制が多くて、インターネットの利用の話もそうですが、例えば個別訪問は認めないと。なぜかといえば、個別訪問すれば買収の可能性があるとか、とにかく選挙活動というものを非常に国民に対していろんな考え方を伝え、そして選択をしてもらうという機会としてではなくて、何か頭から不正が行われるという、政治家に対する見方、或いは有権者に対する見下したような考え方に基づいてつくられているような気が非常にするわけであります。そういったものは、基本的に大きく変えていく必要があるというように、私(大臣)は持論として持っております。

【フリーランス 上出氏】今、岡田さんが踏み込んで言っていただいたので、私もそれに関心があるのですけれども、個別訪問の選挙違反がもともとの昔の眼目で、多くの政治家がこれについて、やはりもっとオープンにやっていいのではないかと、特にインターネット時代、これについてはいろんなことが言われているのですが、今、そこまで言われたというのは、持論だとは言いましたけれども、民主党の中で具体的にこの選挙法について、そういう議論が起きたり、具体的な見通しとか、ある程度の感触、手ごたえなどがあるのかどうか。特にインターネットという新しいメディアができた。その時代に合わせた対応ということで、何かございましたら、お伺いしたいと思います。

【大臣】これはたしか超党派で21臨調だったと思いますが、そういう場でかなり議論がなされて、我が党ですと、当時、野田財務大臣や玄場さんが中心になって議論に参加していたと思います。そういう超党派での共通認識もありますので、是非実現に向けて、そういう中で今回、インターネットの法案も出てきたと思いますが、私(大臣)としてはもう少し広げて、さまざまな規制を取っ払うということを行うべきではないかと思っています。

【フリーランス 上出氏】菅総理も同じような考えですか。

【大臣】基本的には同じだと思いますけれども、直接は聞いたことがありません。

【フリーランス 畠山氏】先ほど、ルース駐日米大使とお会いしたときもその話が出たということでしたけれども、私も海外の選挙をいろいろと取材しておりまして、イラクの人ですとか、台湾の人ですとか、そういった方から、日本はインターネットが選挙が使えないという話をすると、そんなに日本は遅れているのかというふうに言われることが非常に多いのですけれども、そのことは外交的に見て、日本はインターネットに対して、そんなに世間の認知度が低いのかと思われることは、外交面でプラスにはなるとお考えでしょうか。

【大臣】そこまで余り議論をしたことはないのでわかりません。インターネットはもちろんそうですが、選挙運動に対する基本的な考え方の問題でもあると思います。自由化すれば、それを悪用する人がいるのではないかという発想ではなくて、選挙運動というのは、国民に伝えるための重要な機会であると、そしてその伝わったことを基本にして選んでいただくということです。ですから、不正が行われることは望ましくないので、その歯止めは必要ですが、基本的には自由に伝えることができるという仕組みにすべきだと考えております。

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北朝鮮による航行禁止区域設定

【フリーランス 安積氏】北朝鮮が27日まで、黄海の北西4か所で航行禁止区域を設定したとの報道がありました。日本政府はこれについて、どのように見ていらっしゃるのでしょうか。

【大臣】天安号事件以降、北朝鮮はさまざまなことを発信しております。そのことについて、我々は注意深く、そのことを見ているわけでありますが、国連安保理における議論というものを牽制するためのという観点もあるかと思います。ただ、だからと言って、言っているだけだとは考えずに、いろいろなことが起こり得るということは想定しながら、きちんと対応できる体制を日本政府としても取っているところであります。
  だからこそ、この前も閣僚が集まって、意思疎通をしっかりと、共通認識を持ったということです。

【共同通信 斎藤記者】まさに今の関連ですが、大臣はいわゆる北朝鮮の天安号以降に出してきたメッセージについて、必ずしも言っているだけだとは考えないで、場合によれば、起こり得るということも想定しというお話が今ございましたが、そうだとすると、これは完全に我が国の安全を脅かす事態です。こうしたことについて、政府として十分に考えて取り組みを進めなければいけないということに理論的になると思いますが、そのための準備というものはしっかり進んでいるのか。こうした、いわゆる安全の問題、有事の問題は、軽々に外に話せる問題でないということはよくわかっていますが、実際に大臣はこれまでの閣内での議論を通じて、しっかりと安全を担保するだけの議論と共通認識が閣内で図れているとお感じなのかどうか。この点についての認識をお伺いしたいと思います。

【大臣】北朝鮮が何らかの反応をするとして、それは直接日本に関わる場合とそうでない場合もあります。それはいろいろなケースが考えられるわけであります。ですから、私(大臣)が申し上げたことは、常に国家である以上、最悪の事態というものを考えて、そういう事態に対応できるように準備をしておくということは非常に重要だと申し上げているわけで、それ以上のことを具体的に申し上げるつもりはございません。ただ、私(大臣)に関して申し上げると、先ほども外務省の事務当局に対して、これから選挙運動などで全国を私(大臣)自身も動くことになりますが、いざというときに、直ちに東京に戻れる体制というものについて、お願いをしているところであります。

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G8・G20サミット同行

【共同通信 比嘉記者】大臣は今夜、カナダに向けて、ご出発ですけれども。

【大臣】4時からです。

【共同通信 比嘉記者】失礼しました。前回の会見でも出たのですが、今回、外相の会談がないのに総理に同行されるねらいとメリット、効果というものを改めて教えてください。

【大臣】外相の会談はもちろんありませんし、G8・G20に外相が同席をするということはありません。基本的には首脳でありますし、G20であれば財務大臣もということですが、外務大臣の出番はありません。ただ、この間、バイの会談がその合間を利用して行われるわけで、もちろん、カナダとかそういった会談はもう既に行われているのか、そういうタイミングだと思いますが、明日以降、日露、日中、日韓、日米と4つの会談が今、予定されておりまして、それぞれ非常に重要な会談でありますので、特に私(大臣)自身が総理を補佐するということが必要ではないかと判断したところです。今回初めてだということもあります。

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ADIZ防空識別圏の線引きの見直し

【琉球新報 滝本記者】昨日、防衛省の方で発表がありましたけれども、与那国島の方のADIZ防空識別圏の線引きの見直しがありまして、本日からということなのですけれども、外務省が台湾交流協会を通じて、台湾側に通知も5月末にされていらっしゃると思うのですが、日本側の今回のADIZの引き直しという見直しがあったわけですけれども、一方で、台湾側の防空識別圏も接してあったと思うのですが、向こう側が、その分同じように引っ込めて見直すということは聞いていないのですけれども、外務省が台湾側に話をしたときに、向こうの反応なり、それは困るという声明も出ていますけれども、向こう側の反応、或いは向こうがスクランブルをかけてこないのかという懸念に対する担保はどのように取られているのかということをお伺いしたい。

【大臣】今回の防空識別圏の見直しは、沖縄県民及び与那国町民の方々が安心して生活できるようにすることにしたものであります。与那国島周辺の領空について、我が国として従来より、防空識別圏外の区域も含めて、航空機の識別を意識しておりますので、今回の見直しは、自衛隊の行動範囲などに変更を必ずしも生じさせるものではございません。いずれにしても、これは日本自身の判断でありまして、それ以上でもそれ以下でもないということを日本としては行ったというように認識をしております。

【琉球新報 滝本記者】日本側の変更ということでの日本側の判断ということは十分理解しているつもりなのですが、先ほど私がお伺いしたかったのは、台湾側へ通知もされて、そのことについて、台湾側がどういうリアクションを示していたのか、賛成、反対というか、賛否という話ではないのですが、それについてのリアクションがどうなのかということと、日本側の民航(機)が与那国に行くときに、台湾側のADIZを超えることによって、台湾側からスクランブルが来る可能性がある。過去に1回あったこともあるということについては、日本側のADIZを引くということではなくて、台湾側のADIZがどういうふうになるのかということの問題だと思うのですが、そこについては、どのようにお考えかと思います。

【大臣】その点については、台湾当局が一義的には判断するということであります。今回は、日本側の防空識別圏について、日本側が判断して線引きを行ったというものであります。

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ODA(国連パレスチナ難民救済事業機関のUNRWAへの拠出)

【共同通信 斎藤記者】ODAの関係でお伺いしたいのですが、今月末に、パレスチナの国連パレスチナ難民救済事業機関のUNRWAの事務局長が日本に来られて、いろんな方に会うということですが、事務局長は来る前に、日本メディアに対して、今、UNRWAの財政難は非常に厳しいと、非常に各国の拠出も減っていて、なおかつ、今、ガザ地区における状況というのは、もうご案内のとおりだということで、日本の拠出に期待しているという趣旨のことを仰られています。一方、日本も非常に財政状況が今までにない状況で、ODAも年々削減されてきているわけですが、そうした中で、例えばTICADでは学資とかに付けていると、それからアフガニスタン50億ドル支援もあって、これも戦略的な見地からしっかりやっているわけなのですが、どうしてもUNRWAの拠出を見ると、これは明らかに減っています。ここは戦略的判断で仕方がないという部分はあるかもしれませんけれども、もう少し増やしたらいいのではないかという声も関係者から出ております。その点、どうなのでしょうか、アフリカ、TICAD、そしてパレスチナ、この外から見ると、どうしても温度差があるように見えるのですけれども、この点についてのご説明と、今後のパレスチナ拠出についてのお考えをお伺いしたいと思います。

【大臣】UNRWAの活動というのは、私(大臣)も以前にキャンプを訪れて、小学校とか、そこに居住される方々の生活を見る機会もありました。非常に長期間にわたって、非常に厳しい環境の中で生活をしておられるわけですから、それに対して、何とか手を差し伸べたいという気持ちは私(大臣)もあります。
 その辺は、よく日本におみえになったときに議論してみたいと思います。非常に長期間にわたって、かなりの額が出ているということも事実です。ですから、もう少し効率的なやり方がないのかどうかということも議論してみなければいけないと思います。私(大臣)は、TICADでもそうでしたし、ハイチのときもそうでしたし、この前のアフガニスタンについてもそうですけれども、やはり日本国民の税金である以上、それをしっかりと効率的に使ってもらいたいと、不正とか、そういうことがあってはならないということは常に申し上げてきておりますが、日本の援助について、それが有効に、効率的に使われるということは非常に重要なことで、そのことと、そうはいっても、非常に今、厳しい状況にあることも事実ですから、そういったことについてどう考えるのか、よく話し合ってみたいと思っています。

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日米関係

【フリーランス 上出氏】6月22日、9党首の討論会が日本記者クラブ主催でありまして、それを拝聴しまして、その中でいろいろな議論で、特に日米安保を巡る問題が出ました。日頃から言っている「日米対等」ということなのですけれども、いろいろな議論で社民党の福島さんは「鳩山さんが日米対等と言っていたけれども、結局自民党のような状況に戻ってしまった」と、ということは福島さんは対等でないという認識だと思います。もちろん共産党あたりもきっちりそういうことは言っていますが。一般論としては、国連では小さな国であっても大きな国でも対等です。そういう意味では「対等」という言葉は聞こえは良いのですけれども、岡田外相が日頃言っている「日米対等」という時に何をポイントにして対等かそうではないのか、日米安保に関してやはりいろいろな制約があって、裁判権がないとかいう問題も含めて、これまでやはり日本は目下の同盟者だということが言われてきたのですけれども、今の現実の選挙もあるのですが、対等というのは何が一番大事な点で、具体的に日本の状況はどうなのかというのをもう一度改めて説明していただけませんでしょうか。

【大臣】私(大臣)も外務大臣になって改めて実感をしておりますけれども、米国もやはり日本のいろいろな協力がなければ、このアジア太平洋地域において、或いはよりグローバルな問題でもなかなか単独ではやれないということは沢山あります。ですから、私(大臣)とクリントン国務長官が会った過去5回を振り返っても、例えばイランの問題とか北朝鮮の問題とか、或いは地球温暖化の問題とかそういったことが主要な議論の課題になっている訳であります。報道の方は普天間に集中しがちでありますけれども、時間的にいっても内容的にいってもそういった問題について真剣に議論しているということです。例えば、イランの問題一つとっても日本の協力がなければ国連安保理での決議というものもスムーズにできたかということは分かりませんし。そういう意味でお互いが協力しあってやっていくという意味で、私(大臣)は、あえて「対等」という言葉は私(大臣)はあまり好きではないのですけれども、「対等」という言葉をことさらに言うと対等でないことを前提にしているようですから、ごく自然な形でお互い協力し合っているというように思います。なお、福島さんがどういう意味で仰っているのか分かりませんが。政権に入られたのですけれども、入る前と入った後で全く変わりませんでした。それは非常に残念なことだと思います。

【フリーランス 上出氏】少ししつこいようですけれども、大臣は「対等」という言葉が好きでないと、それは対等でないからだということですが、厳密に見て本当に日米は対等だと思ってられるのですか。制空権とか当然制限されていて、核の傘に守られているとか,安保条約そのものが現実には米国が主役という部分がどうしてもあるわけですから、それでも対等ということが言えるのでしょうか。

【大臣】「対等」ということとそれから「同じ」ということは違うわけですね。まずそのことははっきり申し上げておきたいと思います。良く私(大臣)が例に出すのですが、夫婦対等というのは夫婦の役割が全く同じということでは必ずしもありません。それぞれ補完し合っているというのも対等の一つの形であります。 日米安保条約というのは米国には日本を守る義務があるということであります。日本はそれに対して、まず基地を提供しているということですが、米国にとっては同時にこのアジア太平洋地域において米軍の存在とプレゼンスというものを確保できるという意味で大きなメリットもあるわけであります。兵士を日本に置くということになった時に彼らなりの論理であればそれは兵士を守るための様々な仕組みということを主権国家としては当然考える訳で、我々日本も自衛隊を海外に出すときにその自衛隊を守るための仕組みというものを当然思考するわけであります。それが合理的に説明できる範囲のものであるのか、或いはそれを超えているのかと、あるいは時代的にかつてはそれはやむを得なかったかもしれないが今やそれは行き過ぎではないかとかいう議論は不断に行っていくべきだと思いますが、日本人と全く同じ扱いを受けていないので、だから対等でないというのは私(大臣)は少し行き過ぎた議論だというように思います。やはりどこで線を引くのかということは常にしっかり議論しなければなりませんが,全く同じであるという必要は必ずしも、これは一般論として申し上げますが、それが対等ということではないということであります。

【琉球新報 滝本記者】「米国にとってのアジア太平洋地域でのプレゼンスを確保できる、米国にとってのメリットもある」と仰られましたが、その意味で西太平洋地域というところを見ただけでも、米軍のプレゼンスを考えた場合に、韓国もそうですが、日本にかなりの数が集中している、更にその中で沖縄に集中しているという状況があります。常に日本側から見た場合、日本の防衛、東アジアの平和と安定ということですが、米側から見たら、日米安保条約で責務を負っている日本の防衛ということもある一方で、アジア太平洋、或いは更に中東も睨んだ自らの展開の戦略においての拠点という位置付けがあるということだと思うのですが、その意味で言うと「沖縄でなければならないのか」という議論にしたいのですが、沖縄でなければならないという米側の論理からすると、そうでなくてもいいということに、つまり、太平洋全体なり、広く太平洋の中での米軍のプレゼンスを考える場合、「沖縄でなければならない」ということには必ずしもならないのではないのかなと思うのですが、つまり、日本側から見たのではなく、米側の方から見ると沖縄でなくてもいいのではないかという論が立たないのかどうかと(思うのですが)。

【大臣】日本はその中でも、特に重要な同盟国でありますので、日本の安全ということと切り離して、アジア太平洋における平和と安定という観点だけで論じることはできない問題だと思います。それから、沖縄の戦略的な場所的重要性ということもあると思います。他にこれだけの訓練地も含めたボリュームのあるものをゼロから造っていくということが、どれだけ可能なのか、これは日本の中の移転の問題にも関係する訳でありますから、そういったことを全体に考えて、今、それをどこかに持っていくということは非常に考えにくいことだと私(大臣)は残念ながら、そのように思っております。

【琉球新報 滝本記者】東アジア全体、或いはアジア全体でアジアの平和と安定を考えていくという意味で言うと、先程仰られた「日本と米国の強固な同盟関係」というのがあるということは認識しておりますが、アジア全体でどのようにアジアの安全保障なりを考えていこうかという、それはスパンがもう少し長いのかも知れませんが、そういうテーブルで話し会うことによって沖縄に集中させない、或いは日本に集中させないということのありようも模索することは可能ではないのかなと思うのですが、そのような模索をしようというお考えはないのでしょうか。

【大臣】それが直ちに結実するということではないと思います。長い目で見たときに、いろいろな国が、シンガポールとかインドとか、米国のプレゼンスというものをある程度引き受けるという形ができつつあると思いますが、今、日本が引き受けているようなそういったボリュームのものを、他の国が受け入れるということが将来的に起こりうるのかどうかというのは、現時点ではそういったことを満たすことは難しいと思います。将来的にそういうものが絶対ないと言うつもりは必ずしもありませんが。

【琉球新報 滝本記者】それを模索する日本としての意志というか。

【大臣】だからといって、今の基地問題をそれで解決するということではないと思います。そのように思ってしまったら、結局普天間がいつまでも固定化するということになりますので、これはこれできちんと解決していかなければいけないと思います。そういう観点で日米合意というものもできているということです。

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その他

【伊勢新聞 中森記者】最近、「岡田語り」という本を出版されたと思うのですが、それの狙いとアピールポイントを教えていただきたいと思います。

【大臣】多くは、今まで私(大臣)のブログでお話しをしてきたことを本の形にしたということです。それに加えてということであります。ブログを見ていただく方というのは継続的にかなりの数いらっしゃるのですが、本の形にすることでそれが更に裾野が広がればということです。私(大臣)なりの考え方、どのような思いで外務大臣をやり、或いは政治家をやっているかということが、少しでも理解をされればと思っております。

【朝日新聞 鵜飼記者】本日配信の(大臣の)メルマガで、少しお太りになられたので「午後10時以降アイスクリームを食べるのをやめる」という宣言をなされております。大臣が夜な夜なアイスクリームを食べている姿というのは若干想像しにくいのですが、いつ頃からのご習慣で、どれくらいの頻度で召し上がっているのでしょうか。

【大臣】毎日一個ずつ食べていましたが、いつからといわれると、少し難しいです。かなり長いかと思います。昨日もちゃんと我慢しました、1時ごろ迄は起きていましたが。アイスクリームだけではなくて、10時以降はものを食べないようにしようというように、基本的にはしております。アイスクリームもなるべくカロリーの少ないものということで、最近は高級アイスクリーム的なものは控えています。非常に好きなアイスクリームは「白くま」というアイスクリームです。九州のローカルメーカーのものですが、近くに売っていまして、それが食べられないことは非常に残念です。昼間なら食べていいのかなと思っています。

【朝日新聞 鵜飼記者】これから夏にかけて、アイスクリームをもっと食べたくなる季節だと思うのですが、誓いを守り通されるご自信というものはお持ちでしょうか。

【大臣】氷ならカロリーがないので、かけるものによるのですが、氷をどんどん食べたいと思います。9時59分なら食べても良い訳ですし。

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外務大臣会見記録(平成22年6月22日(火曜日)15時00分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)大臣のG8・G20サミットへの同行について

【岡田大臣】私(大臣)からは、1点だけ申し上げたいと思います。
私(大臣)は、6月25日から28日までの日程でカナダを訪問いたします。今回、菅総理の初めての外国訪問であるとともに、G8・G20の2つのサミットが行われる中で、主要国との首脳会談もその合間を縫って行われます。特に日露、そして日米、日中、日韓などの首脳会談に、総理を外交面で補佐するために同行するということにしたものでございます。もちろん、G8やG20そのものは、私(大臣)が出る場面はございません。あくまでもそういった二国間会談に同席をする、或いはその準備ということで、総理よりも1日遅れて出発して、そして帰ってくるのは恐らく同じ飛行機で月曜日の深夜に帰ってくることになるのではないかと思っております。

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G8・G20サミット

【NHK 禰津記者】そのカナダでのことなのですけれども、大臣ご自身のバイ会談などを考えていらっしゃるのでしょうか。

【大臣】外務大臣というのはほとんど来られないのです。ですから、バイ会談というのは考えておりません。

【朝日新聞 鵜飼記者】これまで日本の外務大臣も首相について外遊に同行されるというケースはあまりなかったと思うのですけれども、今後こういったケースは増えていくと考えてよろしいのかどうかということをお伺いします。

【大臣】今回は例外だとお考えいただいた方がいいと思います。昨年も、日中韓の首脳会談のときに私(大臣)は同席をいたしました。それが初めてのバイ会談ということで同席をしたわけです。そのとき私(大臣)自身も初めてだったわけですが、普通は日本の場合、総理と外務大臣が同じ会議に出るということは、まずありません。今までもありませんでしたし、私(大臣)自身も、それは例外的なものだと考えております。手分けをしてやっていかないと、とても手が足りませんので。ただ、日露とか日米となりますと、今までの流れもありますので、そういう意味で、会談そのものに同席するとともに、その前のさまざまな打ち合わせなども、外務大臣がいた方がサポートできるのではないかということであります。それから、バイの会談でも、初日に行われるバイの会談もあると思いますが、例えば日加とかですね。そうなると恐らく予想されますが、そういったものには私(大臣)は出るということはないということです。1日遅れて行くということで、日露(会談)から入っていくということになると思います。

【フリーランス 岩上氏】菅総理の記者会見が2度行われまして、2度ともギリシャのことを引き合いに出しながら、「ギリシャのようになってはいけない。財政の健全化が必要である。そのために消費税の議論を参院選後にも始める。公約と思ってもらって構わない」ということを仰っております。これはG8、G20においても、国際公約のような形で消費税増税、財政健全化ということに取り組むことを語られるおつもりでいるのでしょうか。

【大臣】それは、私(大臣)はG8・G20に出るわけではありませんので、むしろ総理の口から述べられた方がいいと思います。国際公約かどうかというのも、どういう言われ方をするかということはまさにこれからでありますので、私(大臣)があまり予想めいたことは言わない方がいいと思います。ただ、この間、菅政権がスタートして、財政の再建に向けての考え方というものをとりまとめ、成長戦略もとりまとめられたわけですので、そういったことについて当然、少なくともG8の場などでは、ご披露されるのではないかと思っているところです。

【朝日新聞 鵜飼記者】G8についてお伺いしたいのですけれども、これまで「G8の役割が終わった」とか、「これからはG2の時代だ」というお話がありましたが、岡田大臣自身はG8の存在意義についてどうお考えでしょうか。

【大臣】今は役割分担だと思います。特にこういう経済的に非常に難しい時期に、存在感を増す新興国も含めたG20というのは、経済問題を議論する場としては適切だと思いますが、G8というのは基本的には民主主義という価値観を共有した先進国の集まりであると言えると思います。そういった国々が、例えば貧困など開発の問題、或いは民主化といった政治課題を中心に議論する場は必要で、それがG8であると思っております。
経済問題でも、世界全体でとなるとG20がより適切ということになるかと思いますけれども、同じような状況にある先進経済であるG8が議論することも、当然あってしかるべきと考えております。貿易の自由化とか、そういう問題ではなかなかG20では議論しにくいところもあるのではないかと思います。そういう意味でこの2つがうまく補完し合っていくことが重要だと思います。

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米軍再編問題

【琉球新報 滝本記者】昨日、普天間問題について、日米間での専門家協議が開かれたという形ですけれども、今後の進め方として、工法について、日本側からこういう工法があると複数の案を出して、米国側に検討を託す形になるのか、それとも米国側からこういう形がいいという形なのか、どういうようなやり取りになっていくのかをお伺いできればと思います。

【大臣】それはこれからですので、今、何か決めているわけではありません。

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捕鯨問題

【オーストラリアン新聞 坂上記者】昨日、6月21日からモロッコでIWC総会が開かれていますけれども、捕鯨国、反捕鯨国の間で、また主義、主張の違いがありまして、難航が予想されていると見られています。特に豪州については、もうご存じかと思いますけれども、南極海での捕鯨中止を求めて、国際法廷にまで訴えるという強硬な姿勢を示していますけれども、大臣はこうした状況の中で豪州はもう少し歩み寄り、妥協をした方がいいのではないかと思われますでしょうか。何か豪州に対して、ご意見がありましたら、教えていただきたいのですが。

【大臣】まず、IWCは今、個別会議を行っているということです。そのために休会中であると理解をしております。是非合意に向けて、粘り強く協議をしてもらいたいと思っています。豪州が提訴をしたということは、残念なことであります。むしろ、こういうIWCの場で議論をして、一定の合意を目指していただきたかったと思いますが、今回の提訴については2つあります。1つは、このことが豪州と日本の関係全体に悪影響を及ぼさないようにするということで、そのことは日豪間で確認をしているところであります。2番目に、とはいえ、提訴がなされた以上、日本としては日本の主張をしっかりと行って、その正当性を主張していくということです。

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日米同盟の深化

【時事通信 水島記者】日米のことが出たので、明日ですけれども、改定日米安保条約が発効して50年になると思います。それで、同盟深化の協議の進捗状況はどんな具合なのかということと、今年前半に2+2を開くという米国側との確認があったかと思いますが、その目途についてお聞かせいただけますでしょうか。

【大臣】同盟深化に関しては、高級事務レベルでさまざま議論を重ねてきております。ただ、大臣レベルとなりますと4人の大臣が一堂に集まらなければならないということですので、参議院選挙が終わるまでは、3人までは何とかなっても4人目が難しいのではないかという気がしないわけではありません。選挙を終えた上でどうするかを考えるということになると思います。
 この話と、それから、普天間でも2+2ということをやっておりますので、その辺のタイミングの取り方はなかなかいろいろなことを考えなければいけないということですが、いずれにしても、選挙が終わった上でどうするかということを考えたらいいと思います。

【北海道新聞 島田記者】今の関連で、日米安保の今の課題とか、今後、日米関係で、より更に深く話し合っていったらいいというような点があれば教えていただきたいのです。

【大臣】日米でですか。

【北海道新聞 島田記者】日米安保とか日米同盟に関してです。

【大臣】それは、議論すべきことはたくさんあります。ですから、先般も電話でクリントン長官と話したのは、イランの問題、北朝鮮の問題が中心だった訳ですけれども、そのほかにも核の軍縮・不拡散の話もあれば、気候変動の問題もありますし、或いはミャンマーの問題、さまざまな課題がありますので、今度、多分ベトナムでまた日米の外相会談が行われるのではないかと思いますが、その際もそういった問題についてしっかりと意思疎通をよくしていきたいと思います。

【NHK 禰津記者】それに関連してなのですけれども、同盟深化協議では、例えば11月にオバマ大統領が再び来日されるときに何らかの成果物、共同宣言なり、そういったものを目指すという方向性に関しては、今のところ変わらないという理解でよろしいのでしょうか。

【大臣】総理も替わりましたので、よく御相談しなければいけないと思っています。いずれにしても、日米首脳会談も予定されておりますので、そういうものを踏まえながら今後のことを考えていくことになると思います。

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菅新政権の外交におけるアピールポイント

【マガジンX 島田記者】菅内閣に代わりまして、外交面で、ここがよくなるというようなアピールポイントみたいなものがあれば、教えていただければなと思います。

【大臣】よくなるというのは、どういう意味ですか。

【マガジンX 島田記者】ここを見てくれとか、つまり、内閣が変わったことで、外交方針とかは、ある程度若干変わるでしょうし、引き継ぐ部分もあると思うのですけれども、新たにというところで、よりアピールしたい日本の外交というものについて教えていただければと思います。

【大臣】総理が代わったことによって、首脳外交のニュアンスがどのように変わるかということについては、これは、これからよく総理と意見交換をしなければいけませんので、今、私(大臣)が直接そのことに言及するのは、いかがかというように思います。それは、むしろ、総理ご自身が語るべき話だと思います。外務大臣としては、そういった菅総理のご意向を十分に踏まえながら外交をしっかりとやっていきたいと考えています。

【マガジンX 島田記者】その辺りのニュアンスが理解できる時期というのは、選挙後ぐらいなのですか。

【大臣】G8・G20が終われば、そして、それに伴う首脳会談をやれば、大体の方向性が出てくるのではないかと思いますが、非常にお忙しい中で、これから組み立てていくわけですから、ちょっといつまでにということを、私(大臣)がお約束する立場にはございません。基本的なところは、もちろん変わらないわけです。

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スーダンへのPKO部隊の派遣

【読売新聞 村尾記者】本日、防衛大臣と官房長官とお会いになられたようですけれども、それでスーダンのPKOについて話が出たと聞いているのですけれども、防衛大臣が記者会見で、なかなか準備が間に合わないというようなことを仰っていたのですけれども、今後の見通し、外務省のご見解をいただければ。

【大臣】準備が間に合わないということは、私(大臣)は承知しておりません。スーダンにPKOを出すべきかどうかということを検討するために調査団も出したわけでありますので、間に合わないということはないと思います。日本として出すべきかどうかという議論は、真摯に行っていかなければいけないというように思います。結論は、まだ出しておりません。

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参議院選挙

【伊勢新聞 中森記者】明後日、参院選が公示されると思うのですが、改めて参院選に向けての意気込みと、あと、三重選挙区の地元の感触についてよろしかったら教えてください。

【大臣】三重は、先週末、土曜日と日曜日、私(大臣)の選挙区も含めて3つの選挙区を回ったのですが、一時と比べると、少し上向きかなとは思いますが、決して予断を許さない状況だというように考えております。芝候補にはしっかりと頑張っていただきたいし、俗に言う三重方式で、県連と県議団を始め地方議員、連合と、これが一体となってしっかりと闘っていかなければいけないというように思っています。参議院全体は、私(大臣)は選挙区で、これは三重だけではないのですけれども、できるだけ民主党で単独で過半数をと、これは高いハードルですけれども、そういうことを訴えているところです。それは、相当な努力を要するということだと思います。

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財政運営戦略とODA

【NHK 吉田記者】本日、財政運営戦略が閣議決定されましたが、この中で三年間事実上一般歳出にキャップをはめるという内容になっているかと思うのですが、大臣はかねてからODAについては質・量ともに増やしたいという意見をお持ちでした。これからシ-リングの議論が本格化しますが、ややもすれば各省前年並みということでキャップをはめられかねないという状況になると思うのですが、これについて大臣の考えをお聞かせいただけますか。

【大臣】そんなことはないと思います。本日まとめたものも、あらかじめ枠を決めてその中でやりくりするということでありますが、枠を決めるにあたって、一律でやると決めたわけではありません。必要なもの、必要でないものをしっかり区別しながら、必要なものについては、重点的に増やしていくということだと考えています。一律にODAも含めて減るとは理解しておりません。

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民主党の参議院選マニフェスト

【フリーランス 岩上氏】鳩山政権から菅政権に代わったわけですけれども、その新しい内閣の誕生によって、外交がどのように変わるのか、或いはどの部分が引き続き継続されるのか、その違いというものをお聞きしたいと思います。民主党の2009年のマニフェストと今度の参院選のマニフェストを比較しますと、主体的な外交戦略という文言が抜け落ちています。どうもニュアンスとしては、菅総理の記者会見等の言葉を聞いていますと、日米同盟を基軸ということをまずは訴えられておりまして、日米同盟から外れるような主体的な、日本が独自の外交を展開するということには、少し慎重になられているような印象を受けました。この点、どうお考えでしょうか。ご見解をお聞かせいただきたいと思います。

【大臣】それはちょっと考え過ぎだと思います。日米基軸というのは鳩山政権においてもそうでありましたし、菅政権においても同じであります。日米基軸だから主体的外交ができないとか、やらないとか、そういうことではありません。そういう二者択一のことではもちろんないわけで、その部分について、菅政権に関して主体的外交はなくなったとか、より小さくなったとか、そういうことは全くございません。

【フリーランス 岩上氏】文言が抜けた件に関してはどうでしょうか。

【大臣】私(大臣)もあまり細かくはフォローしていませんが、それが何か大きな意味があるというようには考えておりません。

【毎日新聞 西岡記者】北朝鮮外交についてお尋ねします。菅総理の所信表明や民主党のマニフェストを見ておりますと、「日朝平壌宣言に基づく」というこれまで北朝鮮政策の中にあった主要な言葉、ワーディングが抜け落ちているように思うのですが、これは現政府内で北朝鮮政策に対して何らかの変更があったということの現れなのでしょうか。

【大臣】違います。「日朝平壌宣言に基づく」というのは、日本の対北朝鮮外交の基本でありますので、そこについて変更はございません。

【毎日新聞 西岡記者】抜け落ちているというのは。

【大臣】それは色々な字数との関係とかいうことなので、書いていないかもしれませんが、考え方は変わっておりません。

【琉球新報 滝本記者】民主党のマニフェストに関連してお伺いしたいのですが、外交の部分で「日米地位協定の改定を提起する」というのがまた盛り込まれていますが、これは今後の日米間の協議でどのように進めていかれるのか、当面の課題として普天間の8月末までの工法(に関する)専門家の協議というのが別途走っていて、日米同盟の同盟深化の協議というのがハイレベルな部分であってというのが、いろいろなチャンネルというのがあると思うのですが、どのような形でその中に日米地位協定の改定の提起というのが絡んでくるのかというのを教えて頂きたいと思います。

【大臣】全体に戦略を組立てていくのはこれからですので、今、あまり申し上げるべきではないと思います。ただ、日米合意の中に環境については、新たな合意ということで書いてありますので、これが地位協定の改定になるのかどうかということは、その中には何ら触れられていないのですが、環境に関する何らかの合意というものは、日米合意の中で認められたものですから、そういうものは具体化していく必要があると思います。それ以上のことについては、全体の日米合意と別の話でありますので、どうのような順番で物事を進めていくのが結果的に一番良い結論になるのか、沖縄の負担軽減につながっていくのかということについて、慎重に検討していきたいと思っております。

【琉球新報 滝本記者】今、仰られた環境についての部分というのは今の直近の日米共同声明に基づいた日米間協議という中で、まずは議論されていくということになるのかなというイメージですが、それは具体的にいつまでに、それも8月末までのものの中に入っているという理解でよろしいのでしょうか。

【大臣】いつまでにということは、期限は切っておりません。しかし、それはなるべく早く結論が得られるように議論していかなければいけない問題であると思います。沖縄の理解を得るためにも、必要なことだと思っております。

【フリーランス 岩上氏】先ほど衆議院と参議院のマニフェストでの違いについて一回質問させていただきましたが、それ以外の外交以外の項目を見ても、両マニフェストにはずいぶんいろいろな違いがあります。例えば捜査機関の取り調べの可視化というような文言については今回また抜け落ちています。こういったことはどう考えたらいいのか一般の有権者は困惑しております。菅総理にこないだの会見でこのことについて質問が出ますと、「それは完全にやめました」ということは仰りません。今回の参院選のマニフェストに書かれていることは全てではないという言い方をされています。ということは、その前回の衆院選のマニフェストで票を取ったのですから、衆院選で過半数を制したわけですから、その公約というか有権者との約束は生きているというように考えるべきなのかどうなのか非常にわかりづらくなっております。これについてご見解をお示し頂きたいと思います。

【大臣】総理も仰るように書いていないからやめたということでは必ずしもありません。限られたスペースの中で何をより強調するかという問題だと思います。可視化の問題がどういう状況なのかというのは私(大臣)は承知しておりませんけれども、いずれにしても総選挙においてはマニフェストに書いたわけですから,次の総選挙までには、この問題をやるのかやらないのか、やらないとしたらどういう理由でやらないのかということはきちんと説明をして、そして次の総選挙に至ると、こういうことだと思います。マニフェストに書いても全てができるわけではありませんが、同じ総選挙の間、4年間なら4年間の間にできなかったものについては、なぜできなかったのか、或いはやらなかったのかということの説明責任は当然求められるわけです。

【フリーランス 岩上氏】4年後の、今からだと3年後になるわけでしょうけれども、その総選挙の時に説明するべきものなのか、それとも今回、参院選という、これで、先ほど大臣が仰られたとおり単独過半数をとることがあれば、安定政権を形成することもできるわけですし、この節目で、本来だったらば説明責任を果たすべきなのではないかという声もあると思うのですが、その点はいかがでしょうか。

【大臣】マニフェストというのは次の選挙までにこれだけのことをやりますというお約束ですから、まだ1年しか経っていませんので、今できていないからそれはできないとかやれないとかということではない訳です。ですから、そのことについていちいち説明するということは必ずしも求められていないというように思います。

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外務大臣会見記録(平成22年6月18日(金曜日)16時55分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)キルギスに対する緊急無償資金協力について

【岡田大臣】私(大臣)からは3点申し上げます。
第一点はキルギスに対する緊急無償支援についてであります。本日閣議でお決めをいただいたわけでありますが、我が国政府はキルギス南部における民族衝突により発生した難民・国内避難民に対して、50万ドルを上限とする緊急無償資金協力を行うことを決定いたしました。我が国としては赤十字、国際委員会及び国連難民高等弁務官事務所と協力をしながら、支援を早急に実施する予定でございます。各国がそれぞれ行っている中で、我が国としても支援を決めたところでございます。

(2)カルザイ・アフガニスタン大統領一行の訪日について

【大臣】2番目はカルザイ・アフガニスタン大統領一行の訪日に関してであります。昨日は総理と会談を持ち、そして、良い意見交換が行われたと思います。私(大臣)も昨日は蔵相、大統領に対する表敬を行い、その後、総理との首脳会談に同席をいたしました。本日はラスール外相と外相会談を行ったところであります。アフガニスタンに対する支援は、昨年、鳩山総理の下で5年間最大50億ドルという大きな金額を決定させていただきました。大きな金額だけに、それがしっかりとアフガニスタン国民のために使われ、国の再建に役に立つということが極めて重要であります。そういう観点で外務大臣にも申し上げ、そしてアフガニスタン政府の治安とかガバナンスといったことが非常に重要な段階を迎えている中で、是非今後アフガニスタン政府が中心になって、国の再建について具体的なプランを示してもらいたいし、7月20日のカブール会議に向けて、より具体的なとりまとめに当たってもらいたいと申し上げました。ラスール外相からは頻繁に連絡をよくとり合っていきたいと私(大臣)にお話があったところであります。

(3)外交記録公開推進委員会の第1回会合について

【大臣】3番目は、昨日発表いたしました外交記録公開推進委員会の第1回会合でありますが、それを受けまして、私(大臣)のところで昨日の委員会を踏まえて確認をいたしました。沖縄返還交渉、日米安全保障条約改定交渉について38冊の行政文書ファイルについて、近々これを発表するといいますか、外交史料館に移管し公開する予定であります。若干の実務的な作業が残っているということですが、そう日を置かずに移管、公開したいと考えております。
30年以上経過をしたものが約2万2,000冊あります。これについて、順次優先順位を付けて作業を行っていくわけであります。そういった作業を昨日も第三者も入れて検討していただいたわけでありますが、大まかな目途としては年間6,000~7,000冊の作業を完了し、順次公開していきます。それを考えますと、3~4年ということで今までの在庫といいますか、30年以上経っているというものが大体完了するわけで、それ以降は毎年30年目を迎えるものについて公開していくということで、3~4年でそういった本来の正常な姿に持っていきたいと思っているところでございます。

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米軍再編問題

【NHK 禰津記者】先ほど大臣は官邸で菅総理大臣、北澤防衛大臣とお会いになってお話になっていらっしゃったと思うのですけれども、お話になれる範囲でどのようなことをお話しされていたのでしょうか。

【大臣】普天間の問題について、状況の説明、今までの経緯の説明を中心にいたしました。それ以上のことは申し上げられません。

【琉球新報 滝本記者】前回、お伺いした中で、普天間に関連して、関係閣僚との話し合いはまだ始めていないと大臣は仰られたと思うのですが、その意味では本日、北澤防衛大臣と総理とお会いになられたというのは、そういう意味での意思疎通のスタートという受け止めでよろしいのでしょうか。

【大臣】今までの状況について、経緯についてお話をしたということであります。それ以上のことは、私(大臣)は申し上げておりません。

【朝日新聞 鵜飼記者】菅総理大臣は、普天間に関して新しい体制をつくって取組んでいかれるというお話をされていますけれども、今日の会合ではそういったお話し合いはされたのでしょうか。或いは目途が立ってきたようなことはあるのでしょうか。

【大臣】先ほど申し上げたとおりです。それ以上のことを私(大臣)は申し上げるつもりはございません。

【琉球新報 滝本記者】本日閣議決定されました答弁書の中で、高市早苗さんの普天間に関連するものですけれども、その中でのお話で普天間移設について、「共同発表に基づき普天間飛行場の移設計画の検証及び確認を進めていくとすることにしている」と書かれてあるのですけれども、移設計画の検証と確認というのが少し具体的なイメージがというか、そもそも8月末まで工法の具体的な検討とかは、これから進めていくことだと思うのですけれども、移設計画の検証と確認というのはどういうことになるのでしょうか。

【大臣】文書を覚えておりませんけれども、共同宣言の線に沿って書かれているものであります。

【時事通信 高橋記者】8月末までに工法や施設の具体的位置を決めるという検討ですけれども、昨日今日とキャンベル次官補も来られましたし、それから今週は総理と沖縄の知事が会ったりしていますけれども、こういう節目を踏まえて、この技術的な検討がどのように進むか、今のところでの段取りはどうなっていますでしょうか。

【大臣】これは専門家による技術的な検討ということでありますので、まさしく専門家による検討で、書かれたとおりであります。

【時事通信社 高橋記者】専門家の今のスケジュール的なことをお尋ねしているのですが。

【大臣】それは特に申し上げるべきではないと思います。そこに書かれたとおり8月末ということが、一つの目標とされている期限でありますけれども、それ以上のことは私(大臣)から特に申し上げることはありません。これから追々、政府の中で相談してやっていくということになると思います。

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自衛隊の認識

【週刊金曜日 伊田記者】自衛隊の認識についてご質問いたします。カルザイ大統領の件に絡んだ火曜日の記者会見で、岡田大臣は、そういう中で、「今、日本は軍を出しておりませんし」というように、「軍を出していない」という表現をされました。現行憲法の中で日本国家は軍を持っていないと思いますけれども、この発言の真意についてお聞かせください。

【大臣】日本に軍隊はないわけですから、軍隊を出してないことは間違いないですね。

【週刊金曜日 伊田記者】今、出してないということは、かつて出していたと解釈するのが通常だと思いますけれども、これは単に自衛隊のことを言い間違っただけなのか、それだったら、そういうように訂正していただければ済むだけの話だと思いますけれども、これがこのまま例えば外務省の公式ホームページにずっと残っていると、岡田大臣は自衛隊というのは軍というように認識をしているのかといぶかる声というのが強まる可能性もあると思いますけれども、いかがでしょうか。

【大臣】ご親切にありがとうございます。もちろん、自衛隊は軍隊ではありません。ただ、実力組織という意味で申し上げました。

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カルザイ・アフガニスタン大統領一行の訪日

【共同通信 斎藤記者】アフガニスタン支援の関係でお伺いします。前回の記者会見のときにも質問させていただいたのですが、50億ドル支援、かなり規模が大きくなりますが、これは国民の税金から出ているわけですから、納税者の立場からすれば、透明で、しかも適切な使われ方をしているという確認が欲しいと思うのは当然のことではないかと思うのですが、そこをどう担保していくか。この点について今回一連の外相、財務相の会談で、何か具体的な枠組みづくり、或いは現地の受け入れ体制づくり等々について、何か合意、前進があったとすれば、その部分について解説願いたいと思います。

【大臣】もちろん、アフガニスタンにお金を出すときには、それぞれ外務省としてその旨発表するというのは当然そういったことになるわけであります。そういったこと以外に何かもう一段踏み込んだものができないかどうか。本日もラスール外相の方から、むしろ彼の方から日本国民にわかりやすい説明の方法というのがないのか、自分としてはいろいろ考えていて是非相談したいというお話もありました。私(大臣)は、それはいいお話だねと、まずお互い事務方によく検討させようとお答え申し上げたのですが、アフガニスタン側も、我々が何度も何度も言ったこともあると思いますけれども、それがきちんと使われていると、有効に役に立っているということを日本国民に説明しなければいけないのではないかという気持ちを持っているということは本日、改めて確認できましたので、その上でどういうことがあり得るのかよく考えてみたいと思います。

【オンライン・インターナショナル・パキスタンニュース  ムハマド記者】カルザイ大統領と具体的に何をお話ししたのか。それから、場合によって、自衛隊をアフガニスタンに送る可能性はあるかどうか。もしくはインド洋に送る可能性はあるかどうかを教えてください。

【大臣】カルザイ大統領と何をお話ししたかということは、外務省として発表しておりますので、それを是非ごらんいただきたいと思います。それ以上のことを私(大臣)は申し上げるつもりはございません。自衛隊を今アフガニスタンに送るという話は考えておりません。アフガニスタン側からも、むしろ日本の民生支援ということに対して、感謝の言葉を述べられたわけでありまして、日本として自衛隊をアフガニスタン本土に送るということは考えておりません。インド洋に送るということについても、今そういう話は具体的にございません。むしろ我々はそれを止めたわけでございますので、そういった話が政府の中で議論をされているということは、今はございません。

【オンライン・インターナショナル・パキスタンニュース ムハマド記者】カルザイ大統領の訪日についてですが、発表の中に「グッド・ガバナンス」という言葉がありますが、実際具体的に「グッド・ガバナンス」はどういう意味で、何を話したかということを知りたいのですが。それから、近い内に岡田外務大臣は、パキスタンやアフガニスタンを訪問する予定があるかどうか、それについても話をしたかどうか教えて下さい。

【大臣】「グッド・ガバナンス」というのは、我々が支援していく中で、「国民、そのタックスペイヤーが納得できるような使い方をしてもらいたい」という議論の中で「グッド・ガバナンス」ということも出たと思います。それから、もう一つは、やはり和平ジルガがあって、これから国家の再建に向かう訳ですが、そういう中で治安の問題、汚職の問題とかいったことについて、きちんとやっていただきたいと我々は思っておりますので、そうい議論の脈絡の中で出てきた言葉であります。私(大臣)がパキスタン・アフガニスタンに近々行く予定があるかと言われれば、先のことはわかりません。ただ、カブール会議が7月20日に開催をされますので、国会とかいろいろなことが考えられますが、日程的にうまく合うのであれば、私(大臣)自身がカブール会議に出席をしたいと思っているところです。具体的なことははまだ決まっておりません。

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民主党の参院選マニフェスト

【読売新聞 石川記者】外交の話ではないのですけれども、消費税に関してですが、昨日、総理がマニフェスト発表会で消費税について言及されまして、自民党の公約にある10%を念頭に、税率について今年度中にとりまとめたいというようなお考えを示されましたけれども、参院選の直前にこういったお話をされたことの受け止めと、参院選への影響についてお聞かせください。

【大臣】それは総理がお考えになった上でお述べになったわけですから、私(大臣)からそのことについて何か異論を述べるつもりは全くございません。それから、私(大臣)の持論は、もちろん、歳出削減の努力は不可欠だけれども、それだけではやっていけないということです。したがって、将来的には増税ということを考えるべきで、その増税というときに、私(大臣)は炭素税と消費税ということを具体的に申し上げているわけではあります。もちろん我々の公約もありますので、総選挙を経ずに上げるということになると、これはいろいろな議論が出ると思いますが、総理はそこまで言っておられないと、総理の発言を見て思っております。今年中に検討すべきかどうかは、いろいろな議論があると思いますが、具体的に消費税の中身について議論するということは、私(大臣)は必要なことだと思います。1年前の党首選挙を思い出していただければ、私(大臣)はそういったことを主張したわけでございます。

【フリーランス 安積氏】昨日、発表されましたマニフェストについてお聞きしたいのですけれども、マニフェストの中で領土問題についての記載がございません。これまで竹島問題とか領土問題につきまして、政府答弁で平和的解決を図るために粘り強い外交努力を行っているというように大臣の方で決裁されていると思いますけれども、民主党政権の外務大臣としまして、マニフェストに記載されていない領土問題のことにつきまして、お考えをお聞きしたいのですけれども。

【大臣】マニフェストは限られたボリュームの中で、ある程度、重点を置いてつくられているものでありますので、領土問題がそこに書かれていなかったとしても、領土問題の重要性について、後ろ向きであるということは、もちろんありません。

【フリーランス 安積氏】それでは、重ねて質問しますけれども、そうしましたら、マニフェストに書かれているものが優先順位が高いものであって、領土問題はそれよりも低いものということになりますでしょうか。

【大臣】必ずしもそういうように考える必要はないと思います。

【フリーランス 安積氏】そうしましたら、マニフェストの中で外交・安全保障についての一覧があるのですけれども、この中で「菅直人HISTORY」という、菅直人首相の写真つきの「初当選。政界へ」というようなものがありますが、これの優先順位がどういうようになっているのか。

【大臣】それは、マニフェストは、レイアウトとかそういうことも含めて、最終的に党が作ったものなので、ですから、この写真がいいかどうかというのは人によるわけですから、党としては、これが適切であると判断したということです。

【フリーランス 安積氏】それでは、党としてはこちらの方を優先して、少なくとも優先順位が上かどうかはわかりませんが、掲載の上の優先順位は上であるということなのですか。

【大臣】領土問題と比べてですか。そういう比較は、私(大臣)は余り望ましくないと思います。全体のレイアウトで、こういう形でほかの場所もなっているのですね。この写真が、これは②ですから、たしか4つぐらいの写真があったと思うのです。ですから、これは最初からそれなりのスペースに、前提として残ったスペースの中で何を書くかということだと思います。

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スーダンへのPKO部隊の派遣

【朝日新聞 山尾記者】スーダンへのPKO部隊の派遣を検討するための調査団を5月に派遣されましたけれども、検討の結果、結論は出たのでしょうか。また、一部報道では、防衛省が治安の悪化などを理由に、派遣は困難であると関係各省庁に伝えたという報道もありますけれども、事実関係はいかがでしょうか。

【大臣】まだ検討中です。結論を出しておりません。

【朝日新聞 山尾記者】防衛省から通達があったかどうかという点についてはいかがでしょうか。

【大臣】政府としては検討中です。それ以上のことを私(大臣)が申し上げるべきではないと思います。

【朝日新聞 山尾記者】スーダン南部の住民投票については国際的な関心も高いと思われますが、大臣としてはスーダンへPKO部隊を派遣する意義についてはどのようにお考えでしょうか。

【大臣】ですから、今、政府の中で検討しているときに、余り個々の大臣がいろいろなことを言わない方がいいと思います。ですから、PKOの派遣について、私(大臣)は申し上げるつもりはありません。ただ、今回のスーダン南部における、これは独立の可否を問うような選挙になってくる訳でありますので、スーダン自身にとっても、それから、アフリカにとっても非常に重要な選挙であることは間違いないと思います。

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エネルギー支援協定

【琉球新報 滝本記者】昨日、沖縄の県知事が上京されて、ハワイとの間のエネルギー支援の関連で協定を結ぶ式典がありましたけれども、そのことと、日米共同声明の中で「緑の同盟」でエネルギーの問題に触れられた箇所がありましたが、それは何かリンクしたような、関係したような意味合いのものなのでしょうか。

【大臣】すみません。私(大臣)、そこまでは気が回っていないので、わかりません。そういうように考えれば考えられないわけでもありませんが、即答できません。大きく言えば、そういうことは言えるかもしれません。

【琉球新報 滝本記者】それを意図して共同声明に盛り込んだということではないのでしょうか。

【大臣】それは、必ずしもそういうことではありません。ただ、これからそういった温暖化問題といいますか、エネルギー問題に関して、日米間でさまざまな局面で協力していくということは非常に大事なことでありますので、今回のことも、そういうことの一環であると言えなくもありませんが、特に意識して、日米合意と余り結び付けない方が私(大臣)はいいのではないかと思います。

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エネルギー基本計画と核開発

【週刊金曜日 伊田記者】先ほどの温暖化防止、エネルギーとの関係もあるのですけれども、本日の閣議で、原発の増設計画が決められたと思います。現在、日本は核燃料サイクル政策を取っておりますので、使用済核燃料からプルトニウムを抽出しております。そうなると、原発が増えれば増えるほど余剰プルトニウムができます。そうなるときに、プルトニウムは容易に核兵器に転換できますので、諸外国から日本はひょっとしたら核武装する気があるのではないかというような疑いをより持たれることが危惧されるのですけれども、日本政府として、そういった危険性はないという説明をどういったように努力されていくおつもりなのか、お聞かせください。

【大臣】それは、厳しいIAEAの監視下にあるということでありますので、今、そういう疑いを持っている国があるというように私(大臣)は認識をしておりません。非常にオープンに監視を受けているということであります。

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イランへの制裁

【NHK 禰津記者】イランへの制裁についてお伺いしたいのですけれども、国連の安保理の決議の制裁が出た後、米国とEUがそれぞれ単独での制裁を出して、こうした単独での制裁に対しては、反対の立場を唱えている国もあると思うのですけれども、日本としてどのような対応を取るのか、その辺についてお伺いできますでしょうか。

【大臣】EUの方は、まだ具体的にというところまでいってないと思います。それが明らかになったところで、日本政府としても、米国、EUのそれぞれの追加的制裁の中身をよく精査して、日本として何か追加的にやるべきことがあるのかどうか判断したいと思っています。現時点では、何も決めていません。

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韓国の哨戒艦沈没事案

【共同通信 斎藤記者】哨戒艦沈没の関係ですが、調査結果が発表されてから相当時間が経っているわけですが、当の被害国である韓国の方から安保理に対して具体的にどのような文面といいますか、どういったメッセージを安保理から出してもらえばいいかという点において、まだ、具体的な方針というものが出てきていないように、少なくともメディア、或いは韓国の当局者の発言を見ると、明確なものはまだ出てきていないというように受け止められます。そうした中で、日本は韓国をしっかり支援していくということですが、ざっくり言って、いわゆる拘束力のある決議案を基本的には求めていった方がいいのか、それともやはり常任理事国、ロシア、中国もあるので、その辺も配慮しながら、全体としてもう少し穏やかなところで落としどころを探っていくべきなのかどうか。大きな方向性について、今、仰られる部分があれば、ひとつお示しいただきたいと思います。

【大臣】何か申し上げることはございません。韓国政府とは緊密に連絡を取りながら、それは両国政府間もありますし、ニューヨークの国連の場においてということもありますが、緊密に連携を取りながら、どういったことが最も望ましいのか、日々いろんな状況が変わりますから、そういったことを踏まえながら、極めて緊密に連絡を取り合っているという状況です。

【共同通信 斎藤記者】大臣は前回の記者会見でも、こうしたことが起きないようにと、再発防止について触れられたと思うのですが、もし、仮に国連安全保障理事会で、再発防止を担保するような成果物を出すとすれば、それは一定の拘束力を持つものになると、必然的に考えられるわけなのですが、個人的には、そうしたものをお考えなのでしょうか。再発防止という観点から。

【大臣】前回申し上げたことがぎりぎりです。それ以上のことを申し上げるつもりはありません。それから、拘束力がある、ないというのも、それは別に再発防止ということでは、どちらも可能だと思いますからと言うと、では拘束力がないものを目指しているのかというように勘繰られても困りますので、私(大臣)はこれ以上申し上げませんが、いずれにしても与えられた状況の中で、ベストのものを目指すという考え方だと思います。

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参議院議員選挙

【フリーランス 上出氏】先ほどの参院選と少し関係があるのですが、自民党が今度国民投票法が成立したことを受けて、憲法改正ということを打ち出しております。主要閣僚として、この辺についてどのように見ておられるか。民主党はその辺踏み出すというようなことはないのかどうかお聞かせ下さい。

【大臣】憲法改正というのは国にとって非常に重要なテーマでありますので、日々議論を行っていくことは必要だと思います。ただ、今この参議院選挙で中心のテーマにすべきかどうかというと、私(大臣)は必ずしもそうとは思っておりません。民主党の中でもさらに議論は必要ですし、私(大臣)は、憲法改正の方向性、中身について、自民党も一つにまとまとまっているというようには思えない訳であります。もちろん問題提起をされるのは意味のあることだと思いますが、私(大臣)は今回の参議院選挙で議論されるべきことは他にもたくさんあるというように考えております。

【週刊金曜日 伊田記者】「参院選で他に議論すべきことはたくさんある」と言われたことに関連してお聞きします。特に外交面でどういったことが議論になり、国民の間で議論が深まることを期待されているか、お聞かせ下さい。

【大臣】外交というのは、なかなか選挙でテーマになりにくいのです。私(大臣)も外務大臣ですので、この前も五つの選挙区を週末に回りまして、いろいろ話をしてみました。日米同盟の話をした場合もありますし、その他いろいろ試みて反応をみて、これから選挙戦の最中に訴える外交テーマを決めようと思っている訳ですが、なかなか反応が今一歩なものですから、やはり外交というものは街頭演説で訴えるテーマとしてはどうなのかなという感じはしています。しかし、外務大臣ですから、必ず一つは外交をテーマとして取り上げようと思います。争点として、各政党間で、例えば自民党と民主党の間で外交が大きな争点になるかというと、もちろん普天間の今日についての批判とか、そういうことは自民党から当然出るのだと思いますが、残念ですが、前向きに何か具体的な争点として議論されるようなテーマがなかなか思い当たらない感じです。

【NHK 別府記者】「緊密で対等な日米関係」というのが、昨年注目をされたことだと思いますが、今回の参院選では、その部分はどう位置付けられていくのでしょうか。

【大臣】今回は「緊密で対等な日米関係」というのは、「日米地位協定の改定を提起します」というところで、「緊密で対等な日米関係を構築するため」ということで出てくるので、見出しとしては出てきていない訳です。これは鳩山前総理の下で作られたマニフェストで、「緊密で対等」という表現が使われたと思います。今回も全く使っていない訳ではありませんが、実は、私(大臣)自身が鳩山政権の外務大臣ということを離れて、過去に「対等な日米関係」という言葉を使ったことはほとんどないと思います。それを言うということは「今、対等ではない」というように認識されかねないので、私(大臣)としてはあまり使いたい言葉では、実はございません。もちろん、総理がそういったことを言われるのであれば、閣僚としてそれに従うのは当然でありますが。

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アフガニスタンにおける邦人誘拐事案

【フリーランス 畠山氏】3月末からアフガニスタンで行方不明になっている常岡浩介さんの件についてお伺いします。先日、毎日新聞が常岡さん本人に電話取材をして、常岡さんが無事であるという報道がなされました。また、本日、都内で講演した、アフガニスタンのカルザイ大統領が常岡さんの安否について、「詳細は話せない」としつつも、「良いニュースがあると強く期待している」と述べられたと、MSN産経ニュースが報じています。これまで外務省はこの件について一切コメントしないという立場を取られてきましたけれども、常岡さんの安否について外務省で確認できているのか、いないのか。現在も一切コメントしないという立場なのか、もし何か話せることが出てきているのだとすれば、お話しを頂けないのでしょうか。

【大臣】コメントはございません。

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外務大臣会見記録(平成22年6月15日(火曜日)16時47分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)タジキスタンへの緊急無償資金援助について

【岡田大臣】私(大臣)からは、1つは、本日の閣議でタジキスタン及び周辺国におけるポリオ対策のための緊急無償資金協力について決定をいたしまして、約20万ドルであります。タジキスタンの周辺国がポリオワクチンを入手できるようにするために、約35万人分のポリオワクチンの購入及び輸送を支援するというものであります。ユニセフを通じての緊急無償資金協力ということであります。

(2)大使人事について

【大臣】大使の人事は夕刊で既に報じられておりますが、本日の閣議で決定されたものと、承認されたもの。決定されたものは、中国、オーストラリア、ギリシャ、在関西特命全権大使。承認されたものが、国連代表部、カナダ、大韓民国、エジプトであります。これは報道されておりますので、ご案内のとおりであります。何かご質問があれば申し上げたいと思います。

(3)サッカー・ワールドカップについて

【大臣】最後に、昨日、私(大臣)も前半を見て寝てしまったのですが、1点取ったところで確信をして安心して寝ましたが、サッカーのワールドカップ、対カメルーン戦で勝利をして非常によかったと思います。岡田という名前が叩かれていると、少し心を痛めておりましたが、非常によかったのではないかと思っております。南アフリカのマシャバネ外相との間では、決勝戦まで日本が行けば、もう一度南アフリカに来るという約束をしたのですが、1回でそこまで望むのは高望みでありますが、まずは勝ち残って決勝リーグに行っていただきたいと思います。

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韓国哨戒艦の沈没事案

【共同通信 斎藤記者】哨戒艦沈没の関係でお伺いします。先日、国連安保理で15か国が参加して非公式協議を行って、その後、議長国メキシコの国連大使が、この事件について懸念を表明した議長所感を発表したと聞いております。これは記録に残さない非公開の話し合いで、議長の所感も拘束力がないということのようですが、大臣は今回の安保理の対応についてはどう受け止めるか。そして、鳩山前総理は李明博大統領に、日本は率先してこの安保理対応に取り組むと約束されている訳ですが、実際にこれまでどう取り組んできたのか、今後どのような成果をこうした状況の中で出そうとしているのか、この辺も併せてお願いいたします。

【大臣】まだ、ここで何か決めた訳でございませんので、途中のプロセスについては特に申し上げることはございません。日本政府としては、韓国政府と緊密に連絡をとりながら、1つは非常任理事国としてさまざまなアドバイスも行ってまいりましたし、そして韓国政府として何を望むのかと、そこをしっかり把握をしながら共同歩調を本日までとってまいりました。今後、もちろん、他の構成国、メンバーがどういった対応をとるのかということも見ながら、最もいい結果が残せるように協力をしていきたいと思っています。

【共同通信 斎藤記者】鳩山内閣は5月下旬に安全保障会議を開いて、朝鮮半島情勢の深刻な懸念、危機意識は閣僚間で共有したと理解している訳なのですが、その後、国連の動きを見てみますと、イスラエル軍がパレスチナ自治区で支援船を攻撃した事件とか、或いはイラン核問題の制裁論議が先行したという状況があると思います。当の韓国では統一地方選が行われて、李明博政権が痛手を負うという結果に終わったりして、いろいろな変化があったということです。更に直接関係ないのですけれども、それこそワールドカップで韓国が勝って、韓国国内で非常にそういったものの関心が出てきたりして、世論的にも沈没の調査結果が出たときと、何かムードといいますか、合理的なものではないのですが、雰囲気の変化というのもあるやに聞いております。実際、朝鮮半島情勢の緊張感というのが薄らいできているのかどうか、それに伴って日本政府として何か姿勢を修正するといいますか、そうした局面もあり得るのかどうか、この辺の現状認識と展望をお願いします。

【大臣】安保理でのイランの議論が先行するということは、当初から予定されていたことであります。イスラエルの件は、確かにそういった出来事が起きて急遽ということになりましたが、これは時間をとったものではありません。今、北朝鮮との関係で状況が変わったかと言えば、答えは「NO」であります。北朝鮮は相変わらず、非常に、ある意味では、挑発的なことを言っている訳でありますし、状況が何か改善したという根拠を私(大臣)は持ち合わせておりません。緊張感を持ってしっかり対応するということです。そして、こういったことが再発されないように、安保理の場でもしっかりとした議論が求められると思っています。具体的にどうするのかということは、それは韓国政府とよく相談をしながら進めていきたいと考えております。

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大使人事

【毎日新聞 西岡記者】次期中国大使の件で、民間人を起用された狙いについて、大臣のお考えをご紹介いただけますか。

【大臣】民間人というより、適材適所ということで考えた訳であります。ただ、私(大臣)が外務大臣に就任する以前から、そういった大使のポストというのは非常に重要でありますので、国を代表する訳ですので、余り狭い範囲から選ぶというよりは、広く人材を求めるべきであると考えてまいりました。そういう中で、中国大使にタイミング的に正しい人を選ぶということになって、非常に日本にとって重要な国でありますし、人物的にも優れた人がいれば、民間からと考えて、人選に当たったところであります。丹羽さんは伊藤忠商事という会社の改革、かなり厳しい状況にあった会社の建て直しに辣腕を発揮された方でありまして、改革派経営者としての実績は多くの方が認めるところだろうと思います。そういう実績に加えて、もちろん中国に対しても土地勘があるというか、理解もあるということで、私(大臣)は適任であると考えております。今回、ギリシャ大使に対しても、野村ホールディングスの元COOに就任していただいた訳でありますけれども、そのほか何人かの商社出身の大使が誕生して、現在、大使として活動していただいております。そういったことが刺激になって、全体が活性化すればいいなと思います。いずれにしても、中国という日本にとって非常に重要な国の大使になられる訳で、私(大臣)は丹羽さんの役割というものは非常に大きいし、民間出身の大使がこれから定着していくかどうかの試金石と言っても過言ではない、そういう意味で非常に頑張っていただきたいと思います。丹羽さんにこの話を最初にしたときに、即座に丹羽さんが言われたのは、「自分は企業の経営者として今までやってきた。しかし、残された人生を国とか国民のために尽くしたい。それがどういう形があるかということを考えていたので、大使の仕事というのは非常にやりがいがある」と仰っていただいた訳ですけれども、そういうニュアンスの心意気を非常に期待したいと思います。

【毎日新聞 西岡記者】もう一点なのですが、中国に民間の大使が就任されるということで、中国に進出する他の日本企業などが新大使の出身企業とのつながりを警戒して、大使館側との情報交換を躊躇したりする可能性を指摘する意見が出ているのですけれども、この点について、新大使に何らかのご意見というものをお伝えになられるお考えというのはおありでしょうか。

【大臣】経済界でそういうことは殆どないと思います。丹羽さんという人がどういう人かということは皆さんご存じな訳であります。伊藤忠商事の社長、会長の経験者でありますが、その関係は完全に断ち切ってやられるということで、また逆にそうでなければ、大使などは絶対できない訳であります。中にはそういった雑音といいますか、そのようなことを言われるかもしれませんが、結局、それでは民間大使というのはあり得ないということになる訳で、私(大臣)は、丹羽さんはそこは見事にきちんと日本国大使としての役割を果たしてくれると確信をしております。

【ジャパンタイムズ 伊藤記者】今回、野村證券の顧問をギリシャ大使に決定された狙い、またはどういうことを期待されているかをお聞かせください。

【大臣】これはタイミング的にギリシャが非常に注目を浴びている、そういうタイミングになりましたが、それは偶然です。これは2ヵ月前から準備をしてきたことでありますので、今のギリシャの金融財政状況とは切り離して考えていただければと思います。ただ、様々な民間で経験を経てきた、立派な見識のある方を大使にということは、政権交代の前からも行われてきたことで、商社出身の大使というのは今までもブルガリアとアフリカにお二人で、3人くらいいらっしゃると思うのですが、そういったことの一環だとお考えいただければと思います。

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キャンベル米国務次官補の訪日

【朝日新聞 鵜飼記者】キャンベル国務次官補が今週後半来日するように聞いておりますけれども、その訪問の意義付け、普天間との関係だとか、そういったところを伺えますか。

【大臣】率直に言うと、私(大臣)は具体的にフォローしている訳ではありませんので、よく来られる訳ですから、もちろん、この哨戒艇の沈没事案もあるし、普天間の問題も、政権が変わったということもあると思います。さまざまなことでお見えになると思います。

【朝日新聞 鵜飼記者】専門家の協議というのは、もうすぐ始まるかと思いますが、このスケジュール感というのを、今決まっているものがあれば教えていただけますでしょうか。

【大臣】まだ、具体的なことは今申し上げる段階ではありません。政権も変わりましたので、今までの流れとかこれからの持っていき方について、もう少しよく相談をしなければいけないと考えております。もちろん、8月末という締め切りがあることも認識をしておりますので、そう時間がかかるということではないと思います。

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北東アジア地域における安全保障環境

【琉球新報 滝本記者】昨日、本日と代表質問があって、抑止力について、菅総理に「過去の発言との整合性」ということで、「過去にこのような発言をしたけれども、今回の所信表明では」ということでの比較のお話とか、質問があったりするのですけれども、その中で、かつては米ソの冷戦の終結後の状況であるとか、或いは9.11があってというような状況を説明されて、その時代の変化によってとご説明されていました。そこでお伺いしますけれども、今の北東アジアの安全保障環境というものが、「過去に比して、特筆、何か不安定性が突出している状態なのだ」と言えるような状況にあるとお考えでしょうか。

【大臣】総理がどういう観点で言われたかというのは、発言された以上のことは私(大臣)はわかりませんので、それは直接官邸でお聞きいただいた方がいいかと思います。いずれしても、本日もいろいろ質問が出ましたが、私(大臣)が本日確認した限りでは、菅さんの発言も2005年辺りまです。それ以降、最近、そういった発言があったとは必ずしも私(大臣)は認識をしていない訳です。確認はしておりませんけれども。そして、総理がそういった外部環境の変化ということを言われたことは事実ですが、何をもってそう言われたのかというのは、私(大臣)自身が総理のお考えを想像して申し上げるべき話ではないと思います。

【フリーランス 小山氏】中国のヘリコプターが自衛艦に接近するという事件がありましたが、これについて元米国防総省の高官のポール・ジアラさんは、やはり普天間問題で日米同盟の抑止力が弱まったことが原因していると言っています。また、韓国哨戒艦の撃沈事件については、元ホワイトハウスの国家安全保障会議のアジア上級部長のビクター・チャーさんが、これも例の普天間問題で日米の抑止力が弱まったためにああいうものが起きたのだと述べています。要するに北朝鮮が強硬策をとりやすい環境を作ったのは鳩山首相だと名指しでイギリスのファイナンシャル・タイムズで書いていましたけれども、両方とも普天間問題で東アジア情勢が非常に不安定化してきたということを懸念している訳ですけれども、それについてお考えはいかがでしょうか。

【大臣】それぞれいろいろなご意見はあるかと思いますが、私(大臣)はいちいちコメントはいたしません。ただ、例の韓国の哨戒艇の沈没事案などは、北朝鮮にとっても、私(大臣)は、ある意味では誤算といいますか、痛手だったことは間違いないと思います。つまり、六者協議、特に米朝協議というものに、ある意味で北朝鮮は意欲を示していたと思いますから、そういう話が全部サスペンドされてしまった訳ですから、そういう意味では、なぜああいう事件が起きたのかというのは、非常に想像が難しいのですが、そういうものを全部単純化して普天間のせいだと言うほど、私(大臣)は大胆ではございません。

【フリーランス 小山氏】自衛隊と中国のヘリコプターの件に関しては、ジアラさんの話によると、中国側がそれを認めているということです。

【大臣】いちいちコメントをする必要もないとは思いますが、ジアラさんも今、政府の人間ではありませんし、どういうルートでどういう情報を得て仰っているのかということは確認するすべもありませんから、それ以上コメントはいたしません。

【フリーランス 上出氏】具体的に、菅総理の認識ということではなくて、岡田外相自身の認識として、かつて北朝鮮情勢が非常に緊張したときも、20年ぐらい前にあった訳です。そういうことも含めて今の状況というのは、本当に具体的にそのときと違うのかどうかというご認識は、この10年ぐらい比べた中でありますか。特に危険なのかどうかということです。

【大臣】非常に難しいご質問だと思いますが、ただ、魚雷攻撃によって46名の人の命が失われているというのは、それ自身極めて異常なことであって、同様のことが、或いはそれに続くことが何か起こらないということを断言はできないということであります。ですから、緊張感を持ってしっかり対応しなければいけないと思います。

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米軍再編問題

【日経新聞 山内記者】普天間問題ですが、先ほど大臣、8月末の締切りがあると認識されていると仰っていましたが、これについて、かつての外相は日米関係に強い懸念を示されていたこともあったと思います。その状況で8月末という期限がもし達成できなかった場合、もしくはずれ込んだ場合、日米関係の影響はどう見ていらっしゃいますか。

【大臣】余り仮定の議論はしない方がいいと思います。これは、両政府間で合意をいたしましたので、それができないということを私(大臣)は言うつもりはございません。しっかりと対応していかなければいけないと思います。

【共同通信 井上記者】今の8月末の締切りですが、共同声明では専門家の検討を終えるという期限となっていますが、この「専門家の検討を終える」というのは、工法、場所等について一本化すると、ここにこういう形でつくりますという結論を出すという解釈でしょうか。

【大臣】場所は「辺野古崎及びその周辺海域」とは書いてあると思います。したがって、そういう前提の下での場所決めの話ですが、一本になるかどうかということについては、あそこに書いてあるとおりであります。それをそのままお読みいただきたいと思います。

【共同通信 井上記者】あれをそのまま読んでも、なかなか分かりにくくてお尋ねしているのですが、検討を終えるということは、検討を終えた段階で、位置と工法が決まっているということなのかどうかについてお尋ねします。

【大臣】「位置、工法について技術的検討を行う」と書いてある訳です。それ以上でもそれ以下でもありません。それ以上のことを私(大臣)は想像で今、言うべきではないと思います。あそこで合意されたとおりです。

【共同通信 井上記者】ということは、8月末の時点で複数のオプションというか、専門家の協議によって、こういう工法もあり得る、あういう工法もあり得ると複数のオプションが残るということもあり得るということでしょうか。

【大臣】それを私(大臣)が言いますと、私(大臣)がそう言ったとなりますので、それを言うつもりはありませんが、いずれにしても、それは技術的な検討なのです。技術的に可能かどうかという検討を行うということであります。最終的には2+2でということになる訳です。

【朝日新聞 鶴岡記者】鳩山前総理は、日米の文書以外にも発言で現行案は自然への冒とくなどと発言しましたけれども、新しい菅内閣も鳩山前総理の自然への冒涜といった発言を踏襲して、それを尊重していくのか、或いは文書がすべてであって、文書に書かれていないような発言には縛られずに、自由に位置や工法を検討していくのでしょうか。

【大臣】自然への冒とくという言葉を、当時の鳩山総理がどういう意味で仰ったのかということは、私(大臣)は、想像では物は言えますけれども、その言葉以上のことを私(大臣)はコメントするつもりはありません。それは鳩山総理が仰ったときに、ここで聞かれたときにも、「それは総理にお聞きください」と私(大臣)は答えているはずです。

【琉球新報 滝本記者】8月末ということですけれども、これは検討を踏まえた8月末の何らかのものというか、それが結論なのか、検討の結果と言えるものは公表されるのでしょうか。

【大臣】そのことについても、日米で何か合意をしたということではありません。したがって、私(大臣)も今、急に聞かれて、どう答えたらいいのかとまどってしまうのですが、それをこれから相談して決めていくということでしょうね。
 いずれにしろ、技術的な観点からの検討なので、技術的に可能なものがそこで絞り込まれて、それが1つになるのか、複数になるのかというのは、それもこれからの議論だと思いますが、絞り込まれて2+2で最終的に決定する。その過程において、沖縄の皆さんにも理解を求める努力をするということでありますので、それ以上のことは言い難いです。

【琉球新報 滝本記者】昨今の日米協議の過程などを振り返っても、具体的な工法、或いは場所、位置も決めることにも、沖縄県が中に入って、協議会という場で決めてきた経緯がありますけれども、そういう意味で、これは日米間の専門家の議論だということは以前に仰られましたが、それと並行して地元の理解という部分なのですが、技術的に可能ということについては、地元の協力なり、そういう意味での実行可能性という概念の中に、地元の理解という部分も含めた意味での実行可能性ということでの地元の協議に入る協議体というようなものをつくられるというイメージはおありでしょうか。

【大臣】ここは気をつけて言わないと、またこの前の報道みたいになってしまいますけれども、技術的に検討するということです。技術的に検討する前提は、沖縄の皆さんに受け入れてもらえる案でないとできないわけですから、そういうことも念頭に置きながら、しかし、技術的にできなければこれはまた造れませんので、そういったことを総合的に判断しながら考えるということです。
 しかし、8月末というのは、どちらかというと専門家による、技術的に可能かどうかということに重点が置かれます。その後、最終的にそれが沖縄県民の皆さんに受け入れられて、現に可能かどうかという政治的判断は、その後の2+2での決定に至るまでの間になされるということです。
その間に県民の皆さんの理解が得られれば一番いいと思いますが、沖縄の現状は、そういう状況といいますか、そう簡単な状況ではないと思いますので、その辺りをどう考えていくかということは、8月末に技術的に可能になった以降、2+2、つまり政治レベルで見定めていくということになると思います。

【毎日新聞 野口記者】さっきほどから何度も仰っている日米の2+2なのですけれども、普天間の工法について決める2+2と、今年の1月のハワイでの外相会談のときに、同盟深化の関係で今年前半にも2+2を開くと仰っていたのですが、この2+2というのは、同盟深化のための2+2の中でそういった普天間の工法についても確認するのか。それとも別々の同盟深化のものと普天間と両方考えているのか、いかがでしょうか。

【大臣】それはそのときになってみないとわからないですね。まず、同盟深化のための結論がそこで出るのかどうかというのは、これからの議論の進捗状況ですので、高級事務レベルではいろいろ議論をしておりますけれども、議論はまだ閣僚レベルではやっていないのです。ですから、それが同じ2+2の中で一緒にできるのか、あるいはタイミングがずれるのかということは、これからの状況次第です。

【共同通信 比嘉記者】今日、沖縄県の仲井真知事が菅総理と会談をされましたが、先ほど沖縄の状況はそう簡単ではないと大臣は仰いましたけれども、今後、沖縄の理解を求めていくスケジュールとか、あるいは菅内閣としての体制ということについて、改めて教えてください。

【大臣】そういったこともこれからよく閣僚間で議論しなければならないと思います。いろいろな議論があり得ると思いますけれども、まだ関係閣僚で集まって議論はしておりませんので、私(大臣)も官房長官には、今までのいろいろな経緯とかお話をかなりしておりますが、最終的にどういう体制でやっていくかということは、まだ決めておりません。いずれにしても、それはきちんとチームワークを持って、そして県民の皆さんの理解を得るための努力というものは、それぞれがチームワークを持ちながらしっかりとやっていかなければいけないと思います。

【週刊金曜日 伊田記者】沖縄の理解を得るためとして、外務報償費が使われるとしたら、それは使い道としては適正だとお考えになりますでしょうか。理解とか情報収集も含めてです。

【大臣】なかなか一般論としてお答えするのは難しいのですが、外務報償費というのは、通常では得られない情報を取るために使うということはあります。それ以上のことを申し上げるのはいかがかと思います。ただ、誤解を招かないように適正に使用していかなければいけないと、一般論として申し上げておきたいと思います。

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カルザイ・アフガニスタン大統領の訪日

【共同通信 斎藤記者】アフガニスタンについてお伺いします。カルザイ大統領が日本に来られます。これは首脳会談と聞いていますけれども、日・アフガン首脳会談でどのような議題で、どういった話が進むのか、どういった成果を得るつもりなのかということと、それから5年間50億ドルというパッケージがありますけれども、この進捗状況について、やはり議論されるのかどうか、今後どのように取り組んでいくのか、この辺も併せてお願いします。

【大臣】カルザイ大統領がおみえになるということで、総理と首脳会談を行われます。私(大臣)もそれに先立って表敬をする予定にしております。それから、大統領だけではなくて、ザヒルワル財務大臣、それから外務大臣もおみえになりますので、私(大臣)もバイの会談も、お二人としたいと考えております。
 日本としては、しっかりとアフガニスタンを支えるということで、ご指摘の5年間、最大50億ドルということもコミットしているわけであります。一部はもう既に使われておりますが、しかし、その前提として、それが適正に使われなければいけないわけであります。
 私(大臣)は、そういう意味で、国民の税金ですから、それが適正に使われるために、まず、アフガニスタンとして、これからどういった国造りをしようとしているのか、先般、和平ジルガも開催されましたが、これからカブール会議が7月に予定されております。それに向けて、彼らが国づくりというものをどう考えているのかということをじっくり聞かしていただきたいと思います。そういう中で、日本としてどういう役割を果たしていくか。もちろん、大きな方向性は日本として持っておりますけれども、具体的にどういうようにアフガニスタンの国造りを日本が手伝っていくのかということについて、より明確な感触を持ちたいと考えております。
 先般、大統領は、オバマ大統領とも会われまして、非常にいい雰囲気の会談が行われたと聞いております。国際社会等では、大統領に対して、もっと汚職の問題とか、ガバナンスの問題とか、いろいろ厳しい注文も付けつつも、やはりカルザイ大統領を支えてしっかりとアフガニスタンの国造りをやっていかなければいけないという共通認識が、今、世界にあると思います。
 そういう中で、今、日本は軍を出しておりませんし、そして、しっかりとした民生支援を今までやってまいりましたので、アフガニスタン政府から信用されていますし、そういう状況の中で、しっかりと突っ込んだ意見交換ができればと思っています。

【共同通信 斎藤記者】今のフローアップですけれども、今、大臣も仰られたとおりで、まさにアフガン政権の適正な行政といいますか、汚職の問題が出ていると、ほかにもさまざまな問題が出ている中で、大臣が仰られた国民の税金を使って、5年間50億ドルというかなりの額を支援するわけなのですが、それが適正に使われているかどうかを具体的にどうチェックしていくのか、現場は、何分、直接日本政府関係者が見るというのも非常に危険を伴う、なかなか難しい場所もあると思います。そうした中で、どういう形で担保していくのか、何かアイデア、或いは現在どういうように運営しているのかどうかも含めてお伺いしたいと思います。

【大臣】その話は、大統領と話し合いをした上で、この場でご披露した方がいいと思います。余り先立っていろいろ申し上げることはいかがかと思います。
 ただ、日本政府としては、今まで治安の改善の問題、そして、元タリバン兵士の再統合の話、それから農業とか教育といった面での支援ということで、かなり積極的に進めてまいりました。そういうものは有効に使われてきたというふうに考えておりますけれども、治安状況が悪化する中で、今後、更にそれがきちんと使われるように確認をしなければならないというふうに思います。
 別に、今、アフガニスタンに全然人がいないわけではありませんので、ある程度のことは、もちろんできるわけであります。

【共同通信 斎藤記者】かつて湾岸戦争のときに、小切手外交ということで随分批判されたということがあったと思います。当時、小切手外交だといって批判された湾岸戦争当時の支援と、それから今回のアフガニスタン・パキスタンの支援、質的にどう違うのか、小切手外交という批判を受けない、そうした措置は取られているのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。

【大臣】当時、小切手外交という批判が、そういう言葉があったことは事実ですけれども、どういう意味で言われたかというのは、人によってかなり受け止め方が違うと私(大臣)は思います。自衛隊を出さなかった代わりに金で解決したという意味で言われている方もいらっしゃいますし、ただ、私(大臣)もあのとき、20年前の記憶ですけれども、最も批判されたのは、「too late,too small」ということだったのだと思います。ですから、非常に小出しにコミットしていったということに対して、国際世論が沸騰したということであります。最終的には110億ドルまでたしか行ったと思いますが、最初は20億ドルとか30億ドルとか、そういうことだったわけで、今回は、そういう意味での批判というのはないと、日本はよくやっているというのが、これはアフガニスタン政府だけではなくて、国際社会の中でもそのように言われていると思っております。
 金だけという批判も、私(大臣)は当時国務省の皆さんと会う機会があって、国務省から「米国政府としては非常に感謝している。これだけのお金を出してもらって、しかも増税までして資金を調達した。それは普通の国ではあり得ないことである」と言われたことを、非常によく記憶をしております。

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湾岸戦争時の支援

【フリーランス 小山氏】湾岸戦争で、ダーランにいて取材をしていましたけれども、当時聞こえた批判というのは日本は人的貢献を全くしなかったということです。しかも、医師100人を送ると言っておきながら、一人も送らなかった。公的に約束しておきながら、一人も送らなかったと。救急車を百数十台送ったのは良かったけれども、ハンドルの位置が違ったから1台も使えなかったと。またリアド空港ですが、欧米の民間旅客機が使っていたのに、日本側はそこは危険だからと言って航空自衛隊の輸送機を派遣しなかった。欧米の民間旅客機が使っていたのに航空自衛隊は危ないと言って行かなかったというようなもろもろのことが重なって批判されたわけです。

【大臣】ですから、いろんなご意見があると思いますが、そのことと小切手外交という批判が直結しているのかどうかということですね。今は小切手外交についての議論していたわけです。いろいろな批判があったことは私(大臣)もよく承知しております。

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外交政策の策定

【世界日報 山本記者】菅首相になりましてそれまでの鳩山首相の迷走外交、或いは特に普天間の問題について、同じ有力閣僚をやりながら、どうアドバイスしたのかという議論がいろいろと国会の中で野党の方から出ていると思うのですが、岡田外相もその一端を担っておられると思うのですが、これに関しては普天間ではなくて、東アジア共同体という概念も鳩山首相は出されまして、米国側に何の相談もなく国連総会でその構想をぶち上げたりということで。今日の私どもの新聞でアーミテージ元米国副長官にインタビューしているのですが、同じように「鳩山首相は東アジア共同体構想に意欲を示したが、米国には何の説明もなかった。その構想は米国を除外する物だった」と述べていらっしゃるわけです。その上で、こうした新しい外交構想を進めるときに、岡田外相が協議に加われたのか、それとも鳩山首相の独断だったのか、それとも民主党の通式として東アジア共同体との米国の事前の相談なくやっていくべきだという判断だったのか、そこについて教えていただけますでしょうか。

【大臣】まず、今、アミテージ氏は政府の人間ではありません。そのことはまず申し上げておきたいと思います。そしていろいろなアイデアがある時に、具体的な政策であれば同盟国として米国と緊密に協議するということはあると思いますが、東アジア共同体というのは非常にふわっとしたアイデアですから、そのこと自身何か事前にすりあわせをする必要があるのかどうかというのは、それは意見が分かれるところであると思います。いずれにしても東アジア共同体ということは決して新しい話ではなくて、我々のマニフェストにも書いてあるわけですし、もっと言えば2005年に私(大臣)が代表である時に打ち出した考え方でありまして。民主党と共に長くある話で、そのことを米国が知らなかったはずはないと私(大臣)は思います。

【世界日報 山本記者】首相の立場でこれを公的な外交の場で語られたというのはおそらく初めてであったのではなかったと思うのですが。そういう意味での違いというのはあるのだと思うのですが。

【大臣】少なくとも米国の政府から、今のアミテージさんがどう言われたか私(大臣)は承知していませんが、そういう意味のことを言われた記憶は私(大臣)は全くございません。

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大使館配置の日本画紛失事案

【週刊金曜日 伊田記者】本日閣議決定されました質問主意書に対する答弁についてお聞きします。外務省が1992年に購入し、在ウズベキスタン大使館に配置された後に所在がわからなくなった日本画「潮の舞」に関しての答弁書です。自民党政権の昨年5月21日に大使館より報告があってから、政権も交代しましたけれども、1年以上新たな報告がないと本日、答弁書が出ました。いろいろと優先順位がある問題だとはわかっておりますけれども、政権交代をしてなお1年以上経っても調査が終了していないことから、対外的に説明を行っていない、いずれにしても責任を有する立場から引き続き調査を行っていく考えであるというのは、1年も経過してこの答弁というのは、国民に対する説明責任を重視されている民主党の立場からしていかがなものかと思うのですが、大臣のお考えをお聞かせください。

【大臣】その絵画は国民の税金で購入されたものだと思いますので、そういう意味では、それが無くなったということについては、深刻に受け止めなければならないと思います。そういう意味で調査もしているわけですが、いろいろ人も変わったりして、確認してもよく分からないというのが現状であります。どこかで見切りをつけて、分からないなら「分からない」という結論を出さなければいけないと思います。ちなみに極めて高価な物ではないと聞いております。

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内閣支持率

【フリーランス 上出氏】政治状況について、少し経ちましたが、各社が一斉に世論調査をしまして、V字型で民主党、菅内閣の支持率が大変高くなっています。今後の沖縄の問題、細かい沖縄の県民の反応はわかりませんが、そういうことも含めまして、一般には小沢離れとか菅総理の人柄もあるのでしょうけれども、どうしてこんなに高いのか、一閣僚としてどういうように受け止めておられるか、改めて教えてください。

【大臣】基本的に政権交代をした去年のあの熱気、民主党に対する期待感はずっとあったんだと思います。ただ、現実を見ると、「政治とカネ」の問題とか、普天間もその一つかもしれませんが、様々な迷走と映ることに対して、がっかりしていたと、もう一回、一年前に戻って期待したいと、多くの国民の皆さんが考えて頂いているのだと思います。ただ、これから参議院選挙の投票日まで時間もありますし、しっかりと対応していかないといけないと、一時的なものになってしまう可能性もあると思います。
 普天間の問題もその一つの理由だと申し上げましたが、日米合意については国民の過半数が支持しているという調査結果が多いということも事実だと思います。

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いわゆる「密約」問題に関する調査

【大臣】先般、インタビューを受けまして、共同通信社から配信されましたが、あまり記事にはならなかったのですが、例の密約の問題について、国会なり、こういう場でご質問を頂ければ是非答えようと思っていた点があるのですが、一つは既に報道されておりますが、朝鮮半島有事の際の扱いについてであります。朝鮮半島有事について、50年前の安保条約を作った時に、そういうものがあったということは我々の調査で明らかになっている訳です。その後、佐藤総理が「前向きに、迅速に」という表現で、それを置き換えたというように考えている訳ですが、米国側は必ずしもそれに同調しているかどうかは明らかでないということでありました。今回、それに対してまず、そういった「朝鮮半島有事の際に事前協議を必要としない」といったものはないということは確認をされております。その上で、どう対応するのかということで、朝鮮半島でそういった大きな変化があれば日本の平和と安定にとって非常に大きな影響を及ぼしうる事態になる可能性は高いということでありますが、日本としては「事前協議に対して、適切かつ迅速に対応する」ということで、米国政府との間でも確認をしたということです。
 もう一つは、沖縄の核持ち込みに関して、佐藤内閣で密約があったのではないかということ、紙は佐藤信二さんのご自宅から出てきたのでありますが、このことについて、日本国政府としては、「少なくとも、今その密約は有効ではない」と考えている訳です。そもそも、「外交当局が全く関与していない、首脳同士がサインをしただけであり、しかも、それは政府の中で引き継がれていないということをもって、そういう密約はなかった」というのが我々の考え方ですが、仮にあったとしてもそれは有効ではないと考えておりますが、この点についても米国政府としても「そういう密約は、少なくとも今や有効ではない」ということは確認されているということです。そういったことについて、お聞き頂ければ私(大臣)は答えるつもりでこの3ヶ月位我慢していたのですが、国会も終わってしまって、お話しする機会がなくなるといけませんので、改めて、申し上げておきたいと思います。

【共同通信 西野記者】弊社は非常に大きく扱っております。

【大臣】ただ、新聞に掲載されなかった。

【共同通信 西野記者】新聞に載らないのではなくて、大臣が目にしておられないのだと思います。

【大臣】失礼しました。

【共同通信 西野記者】全国各地の地方紙には大変たくさん掲載されております。そういった事実を踏まえた上で、責任ある発言をして頂きたいと思います。その上でお伺いします、二点目の沖縄の密約の関係ですが、米政府としては「そのような密約はもうない」と、要するに元々米政府は、これは密約であるというように思っていた、ところが、今回の調査の中で「最早(密約は)ない」というようになったということなのでしょうか。

【大臣】正確に申し上げたいのですが、「今、そういうものは効果がない」ということです。当時どうだということは、米政府が何か言ったということはありません。

【週刊金曜日 伊田記者】先程の二点について米政府と確認をしたと仰いましたが、これはいつ、どういった形で確認をされたのでしょうか。

【大臣】密約についての最終的な報告を記者会見で皆さんにお話ししたと思いますが、有識者の調査報告が出たときです。外務省としての報告と有識者の報告をご説明したと思いますが、その前の時点です。

【NHK 別府記者】確認ですが、朝鮮半島有事の事前協議というのは、すごい基本的な質問ですが、今もその制度はあるということでよろしいですか。

【大臣】ですから、そういう朝鮮半島(有事)のときに事前協議をしないという密約は、今ない訳ですから、当然、事前協議の対象になっているということです。

【NHK 別府記者】そもそも論を事前協議するという根拠になるのは、安保条約ということでよろしいですか。

【大臣】安保条約を結んだときの、岸ハーター交換公文です。

【週刊金曜日 伊田記者】つまり、事前協議をするということは、事前協議を受けるということだと思いますが、そういった事態に陥った場合には、非核三原則の「持ち込ませない」を協議するという、そこを外れる可能性があるという理解でよろしいのでしょうか。

【大臣】どちらの話について言っているのですか。

【週刊金曜日 伊田記者】朝鮮半島有事です。

【大臣】朝鮮半島有事のときに、基本的には、そういった核の持ち込みということは、ないと我々は考えています。しかし、論理的に考えて、そういうことが仮にあったとして、事前協議されたときに、基本的に非核三原則というものを我々は持っておりますので、それに基づいて対応するということになります。いずれにしても、我々としては、「適切かつ迅速に」ということで、そういう意味では「ニュートラル」、今までは「前向きに」というようになっていた訳ですが、そういった表現は取っておりません。

【フリーランス 上出氏】ダメ押しの確認ですが、要するに、一連の問題になった4つの密約を含めて、国民から疑問が出ていて、岡田大臣が就任のときに「これは明らかにしなければならない」と言った問題について、国民から疑惑を持たれるような、隠したり、嘘を言ったりとしている状態は一切ない、解消されたと取ってよろしいのでしょうか。

【大臣】それはございません。4つの中、第1の密約は、随分国会でも議論されました。一時的な寄港が含まれるかどうか、そこについては解釈が違うということを、私(大臣)は申し上げた訳であります。そして、2番目、3番目です。4番目は、その時に、ある意味では、お金をどう扱うかの話で、その時点で終わっている話でありますので、これで最終的に全部、ある意味での決着といいますか、着地が出来ているということであります。

【フリーランス 小山氏】「事前協議」という言葉ですが、それは日本側の認識であって、米国側の認識は「事前通知」だということだと思います。

【大臣】それは合意され、書かれたとおりであります。我々は、「通知」とは全く考えておりませんし、米国側がそういうように思っている根拠をむしろ、お尋ねしたいと思います。

【フリーランス 小山氏】正確に何年というのは分かりませんが、1960年頃、国務省の報道官がそのように日本のマスコミ関係者に説明しています。

【大臣】我々は、昔の報道官とお話をしている訳ではなくて、日本政府と米国政府として協議をしております。

【朝日新聞 鶴岡記者】昔の佐藤内閣の「前向きに」と今回は違うというのは、日本は「ノー」と拒否をする場合もあるということを強調されたいのでしょうか。

【大臣】ニュートラルであるということです。そこに書かれたとおりに読んで頂ければと思います。

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外務大臣会見記録(平成22年6月11日(金曜日)15時30分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)外交文書の欠落問題に関する調査報告書の修正について

【岡田大臣】一つは、外交文書の欠落問題に関する報告書を先週、バタバタと発表いたしましたが、その後、宇賀先生からのご指摘もあり、若干手直しをしたということだけご報告しておきたいと思います。

(2)サッカー・ワールドカップについて

【大臣】あとはワールドカップサッカーが始まりますから、私(大臣)も、なるべく観戦をしたいと思います。スタートは南アフリカとメキシコということで、マシャバネ外務大臣対エスピノザ外務大臣という両女性外務大臣の顔が思い浮かんで、一体どちらを応援しようかなと、なかなか難しいところですので、答えは保留したいと思います。いずれにしても日本が頑張って、しっかりといい成績を残すことを期待したいと思います。

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亀井金融大臣の辞任

【フリーランス 岩上氏】政務とは関係ない質問になりますが、昨日深夜、亀井金融大臣が辞任されました。連立は国民新党は離脱せずと、しかし、閣外協力にとどめながらも辞任ということで、菅新政権の連立の枠組み、その体制が非常に揺らいだものになっているのではないかという不安を感じますが、大臣として、この辞任劇を受け止めていただいて、どういうことになりそうなのか、菅新政権は磐石の体制でいけるかどうか、お聞かせ下さい。

【大臣】亀井大臣が辞任されたことは非常に残念なことであります。ただ、政権離脱をするということではありませんので、その影響が深刻なものがあるというようには受け止めておりません。

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菅新総理の所信表明演説

【朝日新聞 鵜飼記者】菅新首相の所信表明演説についてお伺いしたいと思います。外交に関する部分ですが、あまり目新しいところがないといいますか、特徴のない内容だったように思うのですけれども、大臣としてはどのようにお聞きになられましたでしょうか。

【大臣】ポイントになるところについては、きちんと押さえられた非常にいい演説であったと思います。その中で普天間についてはかなり言及されました。やはり非常に重要な課題であるということを総理ご自身がはっきりとご認識になっているということの表れだと思います。

【朝日新聞 鵜飼記者】補足でお伺いいたします。所信表明演説の中で、「時には自国のために代償を払う覚悟ができるか」というようなことを菅新首相が問いかけているのですけれども、これはもう少しかみ砕いてみると、どういう意味を持つ言葉なのでしょうか。

【大臣】それは菅総理にお聞きいただきたいところではありますけれども、やはり公の概念というか、場合によっては、それは自らもこの国を担うものとして、そういった公のために、犠牲を払うというと非常に言葉が曲解される可能性がありますが、個人の利益よりは、そういった公ということに、より踏み出してもらいたいと、そういう場合がありますよということを言われたのだと思っております。

【北海道新聞 島田記者】所信表明演説も絡むのですけれども、北方領土の関係ですが、菅新総理が前政権と同じような形の内容を述べられていたと思います。それで鳩山前首相はかなり就任時から北方領土に関して解決意欲を示されていて、「就任1年くらいに方向性を見出したい」という形のことを仰っていたと思いますけれども、今後の対露政策、北方領土問題に際しては、菅新総理もその考えを踏襲するという考え方でよろしいのでしょうか。

【大臣】1年以内にというのは、鳩山前総理の非常に個人的な思いが入った言葉だったと思います。私(大臣)はあのとき驚きました。この問題はそう簡単ではないので、方向性を見出すということであれば、それは可能かもしれませんが、解決に至るには幾つかの山を越えていかなくてはいけない問題であると、そういうように私(大臣)自身は認識をしております。
 いずれにしろ、新総理になって、外交案件について、何に対してどのように優先順位をつけてやっていくのかということは、これからよく総理と話をしてみないといけないと思っております。そこまでの詰めた話はできておりません。
 ただ、一般論として言えば、北方領土に対して、これは菅総理も仰いましたが、経済と政治を車の両輪として前に動かしていくと、そして、その解決に向けて前進していくという思いは前総理と変わらないと考えています。最近、「思い」という言葉を私(大臣)もついつい使ってしまいます。

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大使人事

【共同通信 斎藤記者】報道で一部の国の、あえて国名は申し上げないことにしますが、国の大使人事について取り沙汰されていますが、そのことの確認を求める質問ではなくて、むしろ一般的な意味で、いわゆる「ポリティカル・アポインティー」というものの意義がどこにあるかという点からお伺いしたいのですが、今、民主党政権、今度は菅内閣になる訳ですけれども、大使人事でポリティカル・アポインティーというものを存分に活用していこうという政権として、或いは大臣としてご意思があるかということと、それから、今、申し上げたように、ポリティカル・アポインティーが職業外交官と違って、何かプラスの面があるとすれば、それはどういった点なのか、もし、一般論でお伺いできれば、お伺いしたいと思います。

【大臣】まず、ご質問の趣旨、つまり「ポリティカル・アポインティー」ということの定義がはっきりしないのですけれども、基本的に大使というのは指定職でありますので、それぞれについて、そういう意味では、全部が「ポリティカル・アポインティー」と、定義によりますけれども、言ってもおかしくない存在であります。
 職業外交官を大使に任命するべきかどうかということで申し上げれば、それは人とポストによるということです。職業外交官でなければならない理由はないし、今までも外務省でも、例えば三井物産出身の大使とか、ほかにも民間出身の方はいらっしゃった訳であります。ですから、まさしく、それは適材適所で考えていく。しかし、職業外交官という範囲にとらわれる必要はなく、よりいい人材が外にいれば、それも重視をするということで、こうでなければならないというのは、私(大臣)は全くないと思います。柔軟に考えていけばいいと思っております。

【共同通信 斎藤記者】「ポリティカル・アポインティー」の件ですが、専門家とか、或いは外交に詳しい方がよく言われることとしては、例えば米国の大使、例えばシーファーさんなんかいい例だと思いますし、それから、特に米国の場合には大統領制ですから、たしか、中国にこれまでいらっしゃった大使も長い間いらっしゃったと思うのですが、ブッシュ政権のときに、それぞれ大統領と非常に近しい関係にあると、何かあったときには、すぐに大統領とホットライン、すぐ連絡がつくというところが持ち味だというような指摘もあります。そこが、職業外交官と違って、実務には明るくないけれども、そういう切り札といいますか、決め手を持っていると、そういう意味で非常に有用性があるという指摘もありますが、そうしたような考え方も大臣はお持ちでしょうか。

【大臣】それは1つだと思います。しかし、米国の場合、大統領と近い人だけが大使になっているわけではないわけで、米国はほとんどポリティカル・アポインティーですから、そのうちの一部は確かにシーファー大使のように大統領と直接話ができるという方もいらっしゃいますが、そうではない方もたくさんいらっしゃるとは思います。ですから、総理なり外務大臣と直接話せるというのは、それは1つの要素ではありますが、私(大臣)はそれが大きな要素であるとは思いません。やはり人物、能力、そういったところが非常に重要だと思っております。
 私(大臣)は、現在のルース大使とお付き合いをかなり濃密にさせていただく中で、彼は全く外交とは無縁の世界にいた訳ですけれども、弁護士という全く違う世界で非常に実績を挙げられた方ですから、そういう能力、或いは実績というものは職業を変えてもやはり生きてきていると思います。
 したがって、別にルース大使を見ていたから思う訳ではありませんけれども、私(大臣)は人物、能力、そういったものに優れた方がいらっしゃれば、幅広く大使の人材というのは求めていいと思います。もちろん、外交官出身の大使というのは、経験もありますし、いろいとなことがよく分かっておられるわ訳ですから、そういった外交官出身の大使について、私(大臣)は決して悪いとは思いませんけれども、まさしく最初に申し上げた、それは適材適所で判断していけばいいと思っています。

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外交文書の欠落問題に関する調査報告書の修正

【時事通信 高橋記者】欠落文書の報告書の修正について一点お伺いします。沖縄の原状回復のところで、11ページですけれども「仮にそれが写しであったとすれば、必ずしも違法とは言えない」というところを削除するという直しをしているのですけれども、これは認識が非常に180度変わっている直しだと思うのですが、なぜこういう削除をしたのかというのをご説明いただけますでしょうか。

【大臣】ここは宇賀先生のアドバイスに従った訳ですけれども、基本的には、それはコピーであれば違法とは言えないとの認識は変わっていないのですけれども、ただ、原義がない場合、そして、これは唯一のコピーであるというときに、それを廃棄するということは、それは違法と言えるかどうかは別にして、やはり外務省なら外務省として持っているただ1つの文書ですから、それを廃棄するということは、非常に問題があると思います。
 そういう意味で、若干誤解が生じ、写しだったら常に廃棄できるのかというように読まれかねませんので、削除をさせていただいたということです。同じようなところがもう一か所出てきたと思うのですが、5ページの下から7行目、「原義が存在する場合には、写しを廃棄すること自体が直ちに違法とまでは言えない」と「原義が存在する場合には」というのをあえて入れたのも同じ趣旨であります。

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日米合意(思いやり予算)

【フリーランス 上出氏】普天間問題の日米合意についてお聞きします。防衛省に関する問題ですが、8月までのいろいろな環境作り等に、在日米軍駐留経費、いわゆる、思いやり予算を適用して、という条項があります。沖縄の人たちの思いを見たら、殆ど米国は何も譲ってくれなかった中で、更に思いやり予算を、こういう中で使っていくことについて、どのようなご説明があるのか。或いは、もう既に予算化されたもので、実際に米国の予算は、今回、三分の一くらいに相当削られており、その辺との関係で、どのようになっていくのかということを具体的に説明して頂ければと思います。

【大臣】ホストネーション・サポートについて、それを活用する可能性には言及していますが、具体的なことはこれからであります。そのことを決めた訳ではありません。しかし、ホストネーション・サポート全体をこれから議論していかなければいけないのですが、やはり納税者から見てより納得し得る使い方が必要で、私(大臣)は現在のホストネーション・サポートの中で整理が必要なものも出てくるだろうと思います。同時に、新しい分野で、それが納税者から見て容易に納得し得るものであれば、新しい分野に出していくということもあっていいと思っています。光熱水費等については、もちろん一定の限度額が導入されるにしても、そういうものに自然エネルギーを導入すれば、全体としてのコストがランニングベースでは下がる訳ですから、そういうことは一つ考えられるのではないかと思っているところであります。しかし、決めた訳ではありません。
 先ほど仰った、沖縄から見て取られっぱなしではないかというのは、私(大臣)はやはり違うと申し上げておきたいと思います。共同訓練を県外に出すとか、ホテル・ホテル地域の見直しでありますとか、その他、今まで環境の問題について合意ということを、認めたこととか、今までなかったところがかなり入っていると正確に認識していただければと思います。

【琉球新報 滝本記者】昨日開かれました「沖縄等米軍基地問題議員懇談会」という与党の超党派の議員の皆さんの勉強会がありましたが、そちらの方で外務省、防衛相の方に共同声明についての説明を受けたいということで、議員懇の方から両省の方にオファーがあったのですが、当日の昼過ぎになって、「菅内閣が発足直後であるという状況の中で官邸の指示に基づき自粛させて頂きたい」という文章での回答があって、事務員の説明が受けられなかったという状況ですが、これは、今までも事務方の説明があったと思うのですが、何故、この状況、この時期に、こういう形になって出来なかったのかということについて、お伺いできますか。

【大臣】それは外務省で判断した訳ではありませんので、私(大臣)からはお答えできません。一般論として言えば、政策会議では説明をしている訳ですから、議員の集まりに、どこまできめ細かく対応するかと、無限にはできませんので、一つの判断はあるかと思いますが、今回は外務省の判断ではありません。したがって、今回のことについてはお答えし難いということであります。いずれにせよ、これから部会的なものもできると聞いておりますので、そういう場で集約して役所として対応していくということが通常になると思います。与党に出れば、野党のそういった議員の集まりにも出るとか、当然そのようになる訳でありますので。

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BBCのインタビュー

【日本インターネット新聞社 田中記者】今日昼前、BBCを見ていたら、大臣がBBCの記者のインタビューを受けておられまして、政権交代前の対中国外交と照らし合わせると、岡田大臣は毅然としたことを仰っておられました。それで、向こうの記者は、納得したようでしたか。それとまずインタビューを受けたのはいつでしたか。

【大臣】インタビューは昨日です。30分ぐらいやっていますので、そのうちの一部です。ですから、相手の記者、東京支局長が納得したかどうかというのは、私(大臣)はよく分かりません。どういう考えをそもそもお持ちかということも分かっておりませんので。どこが引用されたか、放映されたか私(大臣)も非常に気になってはいるのですけれども。

【日本インターネット新聞社 田中記者】領土問題のことです。

【大臣】30分の中の数分というか、数秒でしょうから。顔色は良かったですか。

【日本インターネット新聞社 田中記者】かっこよかったですよ。

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韓国の哨戒艦沈没事案

【共同通信 西野記者】韓国の哨戒艇の沈没案件とロシアについてお伺いしたいと思います。「哨戒艇関係で韓国に入った調査団は、『必ずしも北朝鮮による犯行だとは断定できない』」という報道がロシア発の報道として、弊社も含めて複数の国際通信社が流しているのですが、一方、ラブロフ外相との電話会談の中でやりとりがあって、それが貼り出しで紹介されています。その中では、「まだ正式な発表ではない」と言われているというような表現でしたが、先ず一点目、このような調査、それから二点目、ロシアの調査の有りよう、それから、今後の安保理の取り扱いに向けての日本の立場というのを、改めてお伺いしたいと思います。

【大臣】ロシアの方は、調査団を派遣して、その成果を今、精査をしている状況だと思います。したがって、ラブロフ外相も結論めいたものは私(大臣)には言わずに、調査の結果を待っているという話でありました。それが真実なのだろうと思います。私(大臣)も報道など、事前のものを見ておりましたので、もう少し否定的に仰るのかなと思っておりましたが、全くニュートラルに仰いました。もちろん、これからのことは分かりません。いつ頃、どのような結果が出てくるかということは、実際出てこないと分からないということです。安保理では、いろいろな展開が予想されると思いますが、韓国側に対して日本としては、可能な限りサポートするというスタンスで、今、さまざまなアドバイスも求められれば行っているということであります。今、我々は非常任理事国でありますので、韓国側がこの問題を安保理に持ち出し、議論するために必要なアドバイスを必要に応じてやっているというところであります。それ以上のことについては、現段階では申し上げることはございません。非常に北朝鮮のミサイル発射時の日本の対応と言いますか、、それは皆さんご記憶だと思いますが、なかなか難しい部分もありました。最終的に決議というのはとれなかった訳ですが、韓国政府が基本的にどのようにお考えかということを十分に伺って、しかし、最後は答えを見い出さなければいけませんから、いろいろなアドバイスをしなければいけないと思っております。しかし、基本的には韓国の考え方が実現できるように、日本としてサポートするという考え方でしっかりやっていきたいと思います。外相も「日本に来たい」という趣旨のことを言われておりましたが、それはどうなるかは別にして、電話連絡などは頻繁に行っていきたいと思っております。

【NHK 別府記者】韓国政府がどう打ち出すかということが、日本政府の行動にとっても対応にとっても大きな基準だというのはわかるのですが、日本として譲れない線として、決議なり声明なりに北朝鮮に対する非難という部分が入らないとことには日本としては納得できないという立場はあるのでしょうか。

【大臣】調査の結果は、明確であります。そして、46人と多くの方が亡くなっているわけです。やはりそういったことに対してはきちんと非難し、そして再度そういうことが行われないようなきちんとした歯止めが求められていると思います。

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外務大臣会見記録(平成22年6月9日(水曜日)0時11分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)大臣再任挨拶

【岡田大臣】外務大臣に再任されました。これからもよろしくお願い申し上げます。
 今までの9か月近くを振り返りまして、いろいろなことにチャレンジをしてまいりましたが、必ずしもまだ、それが十分成果を出すというには至っていない問題がたくさんございます。そういう中で、今まである意味では種をまいてきたことを、これから結実させて、日本外交をしっかりと前に進めるための機会をいただいたと考えております。今まで行ってきたこと、例えば最初の記者会見のときにお約束をした密約の問題、或いはそれに端を発した文書の管理・公開の原則を定めたこと、そして、今、記者会見のオープン化、或いは普天間問題については、さまざま反省すべき点もありますが、日米合意というところに至ったことなど、具体的な成果と言えるものもあるというように思いますけれども、まだまだ成し遂げなければならないことはたくさんあると思います。
 日米関係について言えば、同盟の深化、そして同時に普天間の問題について、沖縄の皆さんのご理解をいただきながら、しっかりと前に進めること、そういったことについて、これから取り組んでいかなければなりません。
 東アジア共同体構想という大きな将来の構想に基づいて、中国、韓国、或いはASEANといった国々との関係を更に深めていくということも非常に重要なことであります。
 マクロで言えば、グローバルな問題で言えば、核の軍縮・不拡散、そして地球温暖化、それからアフリカを中心とする貧困の問題、そういった問題についても、それぞれ私(大臣)なりにかなり手がけてきたつもりではありますが、よりそういった問題もしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
 いずれにしても、最初に大臣になりましたときに申し上げた国民の理解と、そして支持がなければ、外交というのは前に進まない。その思いをしっかり踏まえながら、現場主義とか、或いは物事をしっかり根本に立ち返って考えていく、そして前に進めるという基本的姿勢をこれからもしっかりと貫いていきたいと考えているところであります。

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外務大臣再任

【NHK 禰津記者】去年の9月の就任会見のときには、これから100日間で取り組んでいく課題、また、300日間で取り組んでいく課題として、具体的な目標、あと日にちを設定して仰っていましたけれども、今回、改めて就任となりまして、その辺、どのように考えているのかお伺いできますでしょうか。

【大臣】100日というのは、年内というイメージだったのです。そして、300日というのは、参議院選挙までということであります。これから参議院選挙までというと、会期延長がどうなるかということにも絡みますが、そう時間はありません。しかし、当面特に力を入れなければいけないことというのは、3つくらいあると思います。1つは、やはりイランの核開発をめぐる問題。2番目が、北朝鮮による韓国船に対する攻撃、撃沈、これに対する国際社会における対応。3番目が、普天間の問題について、8月末という期限が切られて、専門家による検討を行うことになっております。そういったことが当面、全力を挙げなければいけない問題であると思います。もう少し中長期的には、先ほどさまざま申し上げたとおりでございます。

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米軍再編問題

【共同通信 西野記者】今、3つ挙げられたことで普天間の方なのですけれども、専門家の検討については、これは外務省も具体的に関わっていくことになるのでしょうか。それから、また少しずれるのですけれども、沖縄の理解を求めるということについても、外務省が主体的に何か取り組んでいくことがあるのでしょうか。

【大臣】いずれも政府を挙げて取り組んでいかなければいけない問題であります。その中でも、やはり防衛省、外務省、そして前原大臣のところ、沖縄担当のところといった関係閣僚が中心となって、或いは官邸とチームを組んでしっかりと取り組んでいかなければいけないと思います。
 具体的にどういうチームを、どのようにつくるかということについては、これから早急に検討していかなければいけないと考えております。

【日経新聞 山内記者】先ほど、大臣は冒頭で、普天間問題に関して、さまざま判定する線があると仰いましたが、これについて、具体的に教えていただきたいのと、これから8月末に向けて、更には2+2に向けて進めていくということもありますが、この反省点をどう活かしていくかを教えてください。

【大臣】最大の反省は、やはり沖縄の皆さんの理解を得るには至っていないということであります。もう少し違ったやり方があったかもしれないというようには思います。本質的には非常に難しい問題であるということは事実ですけれども。ですから、この日米合意、そこには沖縄の負担軽減策もかなり盛り込んでありますし、この合意というものをきちんと説明していく中で理解を求めていくということが、今、非常に重要だと思っております。

【朝日新聞 鵜飼記者】米国のホワイトハウスのNECのベーダー上級アジア部長が米国での講演で、「鳩山政権の間、どこと話をしていいのかよくわからなかった。それがはっきりしてきたのが、4月、5月になってからだった」というようなことを仰っていたのですけれども、大臣としても、そういった政府内の混乱というのには同意されるのでしょうか。そして、新しい体制づくりというところでは、そういった反省というのは活かされてくるのでしょうか。

【大臣】どこと話していいかわからなかったというのは、どういうことで言っているかわかりませんが、基本的には外交ルートということで、そこは国務省と外務省のルート、より具体的に言えば、私(大臣)とルース駐日大使でいろいろ話し合ってまいりましたので、率直に言って、言っている意味がよくわかりません。

【毎日新聞 吉永記者】新政権が発足しても、沖縄の思いというか、厳しい姿勢というのは全く変わってないように思いますが、その点で、例えば8月末に向けてということで、日米合意について何らかの修正を沖縄の思いをもっと盛り込むとか、負担軽減をもっと盛り込むとか、そういう意味で修正しようという選択肢はあり得るのかどうかというのをお聞きしたいのですが。

【大臣】御存じのように8月末というのは、それは技術的な検討のタイミングでありますので、それまでに沖縄の合意を求めなければならないというものではありません。もちろん、それは沖縄の理解を求めなければいけないというものではありません。しかし、それは日々理解を求める努力はしていかなければならないと思います。8月末までにその理解を得なければ、それ以上前に進まないということでは必ずしもないということであります。いずれにしても、そういう技術的検討を踏まえて、やがて全体像が定まってくるわけですから、それに当たっては沖縄の理解を求めるための努力を更に行わなければならないと思っております。

【琉球新報 滝本記者】普天間の件に関して、本日の閣議の中で、或いはその後で、総理からチームづくり、どういう形になるかは別にして、総理から何らかの指示が大臣の方におありでしたでしょうか。

【大臣】まだそこまで具体的な話にはなっておりません。

【NHK 別府記者】フォローアップがあると思いますが、まず1段目が、8月末までの候補位置を決定する中では、沖縄の意見とか沖縄の希望も反映されて8月末を目指すということなんでしょうか。それともそれは日米間でやることなんでしょうか。

【大臣】沖縄の声もできるだけ反映したいと思いますが、恐らくその段階で、そういった辺野古周辺につくるということを前提に、こういったことがよりいいとか、そういう議論にはなかなかなりにくいと率直に私(大臣)は思います。今の沖縄の現状を見るとですね。ですから、技術的にこういうことが可能であるということを日米間で導き出すというのが8月末までのやるべきことだと思っています。その中には、もちろん、最終的には沖縄の理解が得やすいということも念頭に置きながら技術的検討を進めていくことになると思います。

【NHK 別府記者】そうなりますと、この話では、最終的にビットを持つのは沖縄になるということなのでしょうか。受け入れる、受け入れないの最終的な基準になるのは、沖縄が理解を得るかどうか。日米で詰めた上で沖縄が理解するかどうかという部分に集約されてくるということなのでしょうか。

【大臣】沖縄の理解は得なければなりません。しかし、同時にこれは放置しておけば、現在の現状が残るわけでありますので、そういう中でどうやって折り合いを付けていくのかと。同時に日本の国民の安全を守るための米軍基地の存在というのは必要であるという前提に立って、どう折り合いを付けていくのかという問題であります。

【朝日新聞 鶴岡記者】8月末までの検討の後には、次回の2+2までの確認という期限を設定していますけれども、次回2+2までには沖縄の同意を得るおつもりでしょうか。

【大臣】私(大臣)は同意を得るという表現は使っておりませんので、それは御質問者のお考えだと思いますけれども、沖縄の理解を得る努力というものは必要であると思います。

【毎日新聞 吉永記者】沖縄の負担軽減策で日米合意に盛り込まれているところですけれども、例えば緑の同盟というところに関して、大枠はできているけれどもまだ詰まってないようなところがあるようにも思いますけれども、その辺の詰めはいつまでにやるおつもりなのでしょうか。例えば沖縄の理解を得るため、2+2までにするのか。もしくはその後にも検討していくことになるのでしょうか。

【大臣】並行して進めていきます。

【琉球新報 滝本記者】先ほど、沖縄の理解、或いは同意を得るという言葉の使い分けがいろいろありましたけれども、その同意を得るという表現を使っていないけれども、理解を得る努力は必要だと仰られたのですが、大臣の仰る「同意を得る」ということと、「理解を得る」というのはどういうことを指してらっしゃるのですか。

【大臣】私(大臣)は「同意を得る」という表現は使ってこなかったつもりです。「同意を得る」というと、だれがということになります。つまり、県民の同意というかなりかちっとした言葉ですと、議会の(同意)なのか、或いは県なのか、市なのか、そういう話になるわけで、私(大臣)はそこは全体として理解を得るという中で、沖縄の皆さん全体として受け入れるという状況をつくり出していくということが必要だということを申し上げているわけであります。それ以上の具体的なことは、今こうだというように決めることはできないし、まさしく沖縄の皆さんがこれでやむを得ないと思っていただける状況をつくり出すことが重要だということであります。それ以上のことを申し上げるつもりはありません。

【週刊朝日 川村記者】先般の普天間の移設の件で、日米共同声明の中には、「地元の合意」ということが要件に入っていたのですが、日本で見ている限り「辺野古崎周辺の地元の合意」というのはなかなか得られそうにないというように見えるのですが、その辺りは米国側にどう説明をされて、説明をされているのであれば日米共同声明自体が矛盾しているように見えるのですが、その辺りはどのようにお考えでしょうか。

【大臣】日米合意というのは、どのような表現でしょうか。

【週刊朝日 川村記者】日米共同声明の中に、「地元の合意」というのがありますよね。地元の合意というのは、辺野古崎周辺の地元の合意だと思います。辺野古崎周辺と書いている訳ですから、辺野古先周辺の地元の方との合意というのが日本で見ている限り得られそうもない訳ですが、その辺りは米国サイドにどのように説明なさって、これから、どのように運ぼうとお考えになっているか教えて下さい。

【大臣】「地元の合意」という意味が「辺野古崎の周辺の方の合意」ということだと決めつけるのは、いかがと私(大臣)は思います。

【週刊朝日 川村記者】けれども、地域の名前を書いてありますが。

【大臣】沖縄全体のこともあり得る訳ですから、よく文章を読んでいただきたいと思います。沖縄の現状というのは、私(大臣)から縷々説明しておりますし、もちろん、米国は十分に分かった上で、しかし、その理解を得るための努力を共にするということで、あの合意はでき上がっている訳です。

【フリーランス 岩上氏】先程、大臣は「同意という言葉は、使わないように注意をしている。その同意の代わりに沖縄全体として、やむを得ないと思う状況を作り出す」というお言葉を使われて仰られました。これは聞きようによっては、本当に抵抗も疲れ果てて、くたくたになるまで粘りに粘って沖縄県民に承諾とか同意とか合意というものではなく、諦念というところまで追い込むと、まるでそのようにも聞こえます。
少しきつい言い方を申し上げているかも知れませんが、沖縄県民との間で、果たして本当に合意とか和解とか理解とかいうものが成り立たない時はどうするのだろうというのが一番の国民の関心事でありまして、沖縄県民の関心事でもありまして、その時であっても、ある意味政府の意志というのを押しつけるということなのか、それとも、どうしようもない時には改めて考え直すということまで含まれているのか、この辺りもう一回お聞きさせていただきたいと思います。

【大臣】これは沖縄県民の皆さんにとって、喜んでということでは決してない問題です。そういう意味で粘り強く理解を求めていかなければならないということです。しかし、沖縄が受け入れ難いというときには前に進めなくなります。前に進めないということは、現在の状況が固定化されるということでもあり、日本自身の国民の生命、安全というものが非常に危ない状況にもなりうるということです。そういったことを全体的に判断しながら、理解を得るための努力をしなければならないということであります。

【フリーランス 岩上氏】現状が固定化されるかもしれないというのは、悪い言い方をすれば少し脅しのようにも聞こえます。後段の方の理由として、日本の安全が脅かされる、つまり米軍に依存していないと日本の安全は脅かされるというこのくだり、これは前内閣の時にも度々質問させていただきましたけれども、今の内閣になって、改めてご質問させていただきたいのですが、米軍が全て退いてしまうという訳ではなく、もしかしたら抑止力というものに一部不足がでるかもしれない、その分を日本自身の自らの手で自主防衛というものを強化していくという方向は、改めてこの政権で考えられないのか、鳩山前総理はお辞めになるときに「自らは日本自身が守るべきだ」ということを訴えるようにしてお辞めになりました。こういった点をもう一度検討するお考えはないのかとお聞きしたいと思います。

【大臣】鳩山前総理が言われたのは、かなり先の話として、そういうものを理想として目指したいということを言われた訳で、現実にそれが直ちにできるという趣旨では言われておりません。もちろん、海兵隊に代わるものを日本自身が自ら身につけるべきだという議論も論理としては成り立ち得ると思いますが、それだけのものを持とうとすれば、憲法九条との関係もあり、憲法を変えないで、それだけの攻撃力を持つということは私(大臣)は非常に困難なことであると思っております。

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日米同盟の深化

【北海道新聞 島田記者】先程の会見でも、総理からの宿題で日米同盟の深化というお話があったと思うのですが、現在、実務者中心に議論を進めているかと思うのですが、現在の進捗状況等について教えていただけますでしょうか。

【大臣】中身について、途中の段階でお話しすることはありません。ただ、どこかで少し、政治レベルで議論しなければならないと思っております。いろいろな事情を考えると参議院選挙の後になるのかなと思っております。

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政務人事

【朝日新聞 鵜飼記者】福山副大臣が官房副長官に抜擢されましたが、副大臣人事、或いは政務官人事というのは、何か考えていらっしゃるのでしょうか。

【大臣】外務副大臣と官房副長官で抜擢と言われると、少し私(大臣)は抵抗感がありますが、もちろん、副長官というのは重要な役割でありますので、私(大臣)は喜んで彼を送り出した訳であります。後任については、内定しておりますが、今の段階で申し上げる必要はないと思います。

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内政(菅新内閣の発足)

【ニコニコ動画 七尾記者】本日、官邸会見で、菅総理が自らの内閣を高杉晋作に倣って「奇兵隊内閣」と形容されました。岡田大臣から見て、新内閣の雰囲気というのは、一言で言って、どのような感じでしょうか。

【大臣】かなりの人が留任しましたので、そういう意味では、一遍に変わったという感じはありませんが、若い元気のいい人たちが加わったことによって、より活力のある内閣になったと思います。

【共同通信 西野記者】菅政権と民主党のガバナンスのあり方について、普天間の問題もあったりしたので、敢えてご質問します。今回、政調が復活して、尚且つ、閣僚も玄葉さんが兼任するということになりました。一方で、国家戦略担当相もいれば、官房長官もいるということです。政策調整について、どのような過程で進めるのか、道筋がはっきりしない場合には、ばらばらな発言が出て混乱するということも予想されると思います。この8か月間を反省して、今後、どのような形で政策調整がなされるべきかということについて、民主党のリーダーの一人として、ご所見をお聞かせ下さい。

【大臣】政調会長は党における政策の取りまとめ役ということでありますので、それを閣僚が兼任するということで、党と内閣の一体性を持たせるということであります。そのことが何か混乱を招くとか、そういうことはないと思います。そもそも、そういった形で政策責任者が内閣に入るということは、もともと我々が想定していたことでありまして、そのことがようやく実現したと思っております。内閣の調整を官房長官と国家戦略担当大臣と、どういう役割分担をしていくのかというのは、これからよく内閣の中で議論されていくことだろうと思います。私(大臣)自身、その議論に今参加している訳でありませんので、あまり憶測でものを言わない方がいいと思います。この話というのは、省は官房長官、そして政策調整は別途戦略大臣がやるという考え方と、官房長官の下で個々の具体的な政策調整は、官房長官の指示の下で戦略担当大臣がやるという考え方と、2つある訳です。今回の場合、今までの(政策調整は)どちらかというと、戦略調整は戦略担当大臣に一元化されていたと、現実にどこまでできたかはいろいろな議論があると思いますが、戦略担当大臣がやっていたという形から、戦略担当大臣が官房長官の指示の下で調整をすると、場合によっては、官房長官自ら調整をすると、そういう形にシフトしたのだと私(大臣)自身は受け止めています。

【読売新聞 村尾記者】普天間問題に関しても、党の政調が何らかの形で関与することは今後、あり得るのでしょうか。

【大臣】普天間の問題も、当然、党内の議論というものはあって然るべきだと思います。今までもなかった訳ではありませんけれども、政策会議などでも議論が出なかった訳ではございません。当然、いろいろな議論があり得ると思います。ただ、内閣として日米合意というのは、もう閣議決定しておりますので、もちろんその前提の下で、いろいろな議論というのは、当然、耳を傾けるべきだと思います。

【フリーランス 横田氏】政調の復活のところでお伺いしたいのですが、前政権の政調のところですが、政策会議で話し合われた内容というのが全く表に出なかったということで、全く表に出ないという批判が出ていたと思うのですが、新しい政調ということを昨日の幹事長会見でも、いろいろと仰っていますが、新しい政調ではその部分はどのように考えていらっしゃるのでしょうか。その辺りをお聞きしたいのですが。

【大臣】それを、私(大臣)は承知しておりません。政調会長の下で検討されることだと思います。

【読売新聞 蒔田記者】菅首相が代表選の前の会見で、小沢前幹事長について、「しばらく静かにしていただきたい」という趣旨の発言をされて、本日の会見でも、同様の趣旨のことを仰っていたのですが、大臣も菅内閣の一員として小沢氏との距離感とか協力体制について、どのようにお考えになるかということと、関連して、小沢氏について野党が証人喚問を求めて、改めて今日も要求しているのですが、それに関してはどのように対応すべきとお考えでしょうか。

【大臣】まず、菅総理は「静かにしてもらいたい」と言いましたでしょうか。私(大臣)はあまり記憶にないのですが。何れにしても、幹事長を退かれた訳であります、今、何らかの役に就いておられない訳で、そういう意味で鳩山総理の言われたことについて、今それが、そういう形で実現しているということです。「静かにする」という意味が「発言するな」とか、そういう意味だとは私(大臣)は思っていない訳で、今まさしく役職に就いていないということで、実現していると思っております。先程の官邸での記者会見でも申し上げましたが、今後、国会との関係で、小沢さんがどう対応するかということは、ご本人が決める問題だと思います。党の重要な役職に就いておられれば、それは党としても無関心ではいられないと思いますし、内閣の役職についていれば内閣としても無関心ではいられないと思います。今はそういうことではありません。

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いわゆる「密約」問題に関する調査

【琉球新報 滝本記者】密約の問題について、お話を聞かせていただきたいのですが、前回の文書欠落の報告書にもありましたが、外務省での情報公開請求に対する請求訴訟の判決が出まして、その判決に対しての外務省の見解として、大臣は「外務省でこれだけ精査して探したのだけれど、それがなかったということが、判決にどれだけ反映されているのか見えない」というような形での不満と言いましょうか、私はそう感じました。振り返りますと、裁判の時は弁論が終わったときに、さらにその後、法廷戦術上、口頭弁論の再開ということの申し立てが可能であり、外務省の方から提起できたはずで、それをしなかった外務省の方の責ということに帰すべき話ではないかと思うので、それについて判決が触れていなかったことを、判決を批判するということは筋違いではないかと思うのですが、そのことについてどのようにお考えでしょうか。

【大臣】そういったことは、裁判で争って参ります。

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外務大臣会見記録(平成22年6月4日(金曜日)14時50分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)鳩山首相の辞任について

【岡田大臣】私(大臣)からは、冒頭4点申し上げます。まずは、これはご質問もあると思いますが、鳩山総理の突然の辞任ということでございます。今後、どういうタイミングで総理大臣としての親任式がなされ、そして組閣がなされるかということは、現時点では明らかでございません。いずれにしてもそういった手続が進むまでの間は、引き続きそれぞれの大臣として努めなければならないと考えております。私(大臣)からも閣議での発言は言わないことになっておりますが、例えば朝鮮半島情勢など非常にある意味で緊張した状態にありますので、何がいつ起こってもきちんと対応できるように、次の内閣がスタートするまではしっかりと対応しなければならないと思っております。
 したがって、この内閣で何をどうしたかという感想を述べるのはやや早いと思います。大臣によっては花束贈呈とか、いろいろことをやられた大臣もいらっしゃるようですが、それは従来はそうだったのかもしれませんけれども、やはり政治主導ということであれば、次のトップが決まるまではしっかり責任を果たすというのが私(大臣)は当然のことであると思っております。
 就任後15回の海外出張で20か国を訪問したということでございます。なるべく現場を見ようということで、現場主義ということでやってまいりました。そういう中で、普天間基地の移設問題について、いろいろ反省すべきところはございますが、最終的に日米合意ということに至ったことについては、最低限の責任を果たすことができたと思っております。ただ、前にも申し上げましたが、これはスタートであって、これから沖縄の皆さんの理解を得るという非常に重要なことが残されているわけで、そういう意味では当初から考えた完全なる5月末の決着ということとは程遠い状況にあることは事実で、大変残念に、そして申し訳なく思っております。
 アフガニスタン・パキスタンについての5年間で最大50億ドルというところをまとめたことも1つの思い出といいますか、私(大臣)なりの成果だろうと思います。これをどう使うかの議論というのはこれから本格化していくわけで、6月にカブール会議も予定されております。そういったところを待たずして、鳩山内閣が終わったということは非常に心残りではあります。
 そのほか、核軍縮・不拡散、気候変動についても、かなり各外務大臣と議論を重ねてまいりましたが、ようやく日本の核政策についての方向性が出つつある状況でございます。そういう中で内閣が終了するということは、これも非常に心残りということでございます。
 日中、日韓についても、先般の温家宝首相の訪日の際に、それまで粘り強くやってまいりました食の安全や東シナ海の問題について、中国側から一定の答えが準備されたわけで、もちろん、それが順調にこれから進んでいくかどうかというのはこれからでありますが、粘り強くやってきたことの成果が出つつあるということは大変喜ばしいことだと思います。しかし、これもまた今後しっかりとやっていかなければいけないことがたくさんあります。
 そのほか、密約問題をきっかけにした文書の公開、管理体制の強化とか、これからご説明をいたしますが、女性職員の勤務環境の改善、あるいはNGOを始めをとする外部の声を施策に反映することなど、いろいろな試みに取り組むことができたと思っております。
 いずれにしましても、総理大臣や外務大臣が短い期間で交代をするということは、日本の国益にとって大変問題があると思いますが、これはほかの理由によって鳩山総理が退陣され、鳩山内閣が終わるわけでありますから、ある意味ではこれは言ってみても仕方がないということかと思います。

(2)APEC貿易担当大臣会合について

【大臣】さて、もう一つは、APECの貿易担当大臣会合であります。明日と明後日とございます。我が国は2010年日本APECの議長として主催する最初の大臣会合で、11月に横浜で開催される首脳・閣僚会議へとつながる重要な会合でございます。APECの参加は21か国・地域から貿易担当の閣僚またはその代理が参加する予定で、我が国からも、私(大臣)と直嶋大臣が、大臣である限り出席をし、議長を務めるということになります。
 今回の会議においては、多角的自由貿易体制の指示、2010年ボゴール目標達成評価、APECの優先事項や今後のAPECの在り方について議論を行う予定でございます。

(3)女性職員の勤務環境改善のためのタスクフォースによる提言について

【大臣】女性職員の勤務環境改善のためのタスクフォースによる提言。本日は事実上最後の閣議でありましたが、私(大臣)の方から閣僚懇において説明をさせていただきました。3月の下旬、私(大臣)の指示によって外務省内に女性職員の勤務環境改善のためのタスクフォースを設置し、西村政務官を中心に、女性職員、或いは男性職員であっても今まで子育てのための休暇を取った経験のある人、そういった方々に集まっていただいて、そして議論を行ってまいりました。そのタスクフォースによる提言がまとまったものでございます。
 提言は、生活と仕事の調和を重視した職場環境の実現が、女性職員を取り巻く勤務環境改善に不可欠であるという考え方に立って、さまざまな改善策を掲げております。中でも、10の改善策というのは、特に高い優先度を持って取り組むべき施策として要望のあったものであります。これは別に女性職員に限らず、男性職員の勤務環境改善にも資するものであり、ひいては、外務省全体の組織力向上につながるものであります。
 外務省としては、すべての改善策の着実な実施に向け努力してまいりますが、改善策の中には外務省だけではできないものもあるということで、政府が一体となって取り組む必要があるということで、今日、閣僚懇談会において説明をさせていただきました。
 国会への対応というのも、そもそも外務大臣にはたくさんの関係委員会があるということもあって、徹夜に近い状態で職員は作業を強いられるわけで、もう少し国会質問の通告時間の厳守について、各党・各会派に検討をお願いしていきたいと考えております。
 いずれにしても、外務省として全体のパワーアップをしていくために、女性職員の仕事をする上での環境を改善するということは、極めて重要なことだと思っております。
 なお、ここに10(の施策)が書いてありますが、私(大臣)はこの中でも特にフレックスタイム制の導入とか、こういったことは一遍にはできません。しかし、試行的にでもやってみて、その効果を見定めてはどうかと。そのことによってかなり多くの問題が改善すると思っております。
 外務省独自でできるものも実は結構ございますので、そういうものは更にしっかりと努力をしていかなければならないと思っております。

(4)外交文書の欠落問題に関する調査委員会の調査報告書の公表について

【大臣】もう一つだけ、外交文書の欠落問題に関する調査委員会の調査報告書の公表でございます。お手元に配付がされたと思いますが、この調査報告書を公表することといたしました。実はもう少し時間をかけたかった部分もありますが、大臣が代わってしまうということになりますと、また一からということになりますので、今日公表させていただくということで、昨日から突貫作業で最後の詰めを行っていたところであります。
 本件調査委員会は、4月6日外交文書の欠落問題について、その事実関係を調査、確認するために設置したものであって、メンバーは私(大臣)と武正副大臣、東京大学の宇賀克也教授、筑波大学の波多野澄雄教授の4名であります。
 調査の対象は3つで、第1に東郷元条約局長の赤ファイル及びメモについて、そして、第2に情報公開法施行前の外務省における組織的意図的な文書廃棄について、そして、第3に吉野・スナイダー「議論の要約」など沖縄返還密約に関する文書について、であります。
 こうした問題について、この3か月間、外務省の事務次官経験者、条約局長、北米局長経験者を中心に、約15名から聞き取り調査を行いました。
 調査報告のポイントを簡潔に申し上げます。
 まず、赤ファイルについては、東郷氏本人以外に知る者がなく、その存在を確認することはできませんでした。ただ、資料の形態や分離は別として、東郷氏から後任の谷内氏に対して、条約局長室内の資料は引き継がれたということは確認されました。条約局長が保有する文書は、写しが大半であるということで、その写しを廃棄することが妥当かどうかは別にして、そのこと自身が直ちに違法であるということは言えません。他方で東郷氏によると、赤ファイルの中には原義も一部含まれていたということでありますので、仮に原義が廃棄または紛失してしまったとすれば、これは極めて遺憾なことであります。
 第2に、情報公開法施行前の文書廃棄について申し上げます。
 外務省を含む霞が関全体で、情報公開法施行前に組織的に文書整理が行われ、例えば決裁未了の文書、草稿段階の文書、或いは写しなどが相当量廃棄されたことは事実であります。それは法施行前に文書整理を行うということ自身が問題であるとは考えておりません。他方、本来保存すべき重要文書の組織的、意図的な廃棄が行われたかどうかが問題になるわけですけれども、そういった試みを示唆するような証言文書は、今回の調査の結果、確認はされませんでした。ただ、一連の文書整理の中で意図的かどうかは別にして、不用意な文書廃棄が行われ、いわゆる密約関連文書を含む重要文書が失われた可能性は排除できないということでございます。
 最後に「討議の記録」についてです。
 調査の結果、議論の要約は当初から原義が日本にあったのか、必ずしも明らかではない。つまり、原義は1部でアメリカが持ち帰ったのか、それとも2部つくったのかということ自身が明確ではございません。それから、写しは恐らく取ったのだと思われますが、しかしそれがどこで保管されたのかということも定かではございません。保管中に失われたとすれば、保管が適切になされなかったことは問題であります。しかし、写しを保管しなかったこと、あるいはどこかで廃棄したこと自身が違法であるということは言えません。これは一般的な資料の話ではなくて、当時の報道により、当初から密約問題として注目をされていたわけでありますから、そういう意味では、たとえ写しであったとしても、それを適切に保存しなかったということ自身は、大きな問題であると言えると思います。
 なお、東京地裁の1審判決において、外務省の徹底調査の結果に触れることなく、外務省が「議論の要約」を保有していると推認しておりますが、そういった徹底調査をしたという事実、そして外務省の調査結果について、どう判断したのかということは、判決の中に示されておりません。
 いずれにしましても、外交文書を失うことは歴史を失うことであるという重い教訓とともに、本調査委員会の報告が今後の文書化に対しての強化、改善の一助となれば幸いであります。

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外交文書の欠落問題に関する調査委員会の調査報告書の公表

【フリーランス 上杉氏】今、発表された調査報告書についてお尋ねします。2つ目の情報公開法施行前の文書廃棄について、これに関して今、意図的ではないといいながらも、重要な文書が廃棄された可能性は否定できないと仰いましたが、その廃棄を行った外務官僚の方は、まだ一部現職であったりするのですが、そういう方に対しての処分ということは考えていらっしゃるのでしょうか。

【大臣】まず、ここで書いてあることは、たくさんの文書がございます。それについて、情報公開法施行前に、それを整理するということは、どこの省庁も行ったことであって、そのこと自身は問題ではございません。むしろ、コピーがあちこちにあったりすると、情報公開請求をされたときに、それをいちいちどこにあるか確認しなければならないわけで、それをきちんと整理して、ナンバリングして、そういう請求にきちんと対応できるようにする。その段階でダブっているものを廃棄するとか、あるいは本来、途中段階のものとか、つまり正式な文書でないものを、あるいは手持ちの自分が書いたものとか、そういうものを整理するということは、違法なことでも何でもありませんし、とがめられるべきものではないということであります。
 ただ、そういった中に紛れて、重要な文書が廃棄されたという可能性について、全面的には排除できないということでございます。それはだれがどのように行ったかということは、全く特定されておりません。したがって、処分とか、そういったことにはつながっていないというのが今回の調査結果でございます。

【週刊金曜日 伊田記者】この調査報告書を見る限り、つまり東郷氏とのいろいろな発言があったけれども、外務省の方で聞くと確認できないと。その段階で終わっておりまして、通常の調査であれば、例えば述べているような、担当した人がわからない、確認できないということについて、更に東郷さんにもう一度聞くとか、そういった手続きを踏むべきではなかろうかと思うのですけれども、最初に大臣が言われた「もう少し時間をかけたかった」というのは、そういうことを指しているわけでしょうか。つまり、こういった証言があったけれども、外務省側で聞くと、そういう確認はできなかったという段階にまだとどまっているような気がするのですけれども、その辺り、時間をかけたかったというのは、どういったことをされたかったと認識すればよろしいでしょうか。

【大臣】まず、東郷氏は雑誌に書かれた。それから、衆議院外務委員会でお話になっている。外務省の密約調査でも既にお話になっているということでございます。それをまたこの調査においてもお呼びして、お話を聞いた。正式にお呼びしてお話を聞いたのは1回ですが、補充的に全体をまとめた上でお話を更に確認的に聞いております。そして、ここに書かれたような結果であったということでございます。
 これ以上に当初の言い分が違っているときに、それを何の物証もない中で解明するということは、事実上極めて困難だと思っています。これは多少時間があと1週間、2週間あったからといって、結果は変わらないと思います。赤ファイルそのものを承知している方が、ご本人以外いらっしゃらないということであります。

【週刊金曜日 伊田記者】もう少し時間的なことをお願いします。

【大臣】実は昨日の夜から先ほどまでかけて、私(大臣)は文書にもう一回手を入れておりましたので、本当はもう少し落ち着いた環境の中でやりたかったと思っております。思わぬミスがなければいいなと願っております。

【琉球新報 滝本記者】まず、この報告書なのですけれども、この報告書は調査委員会の報告書ということなのですが、外務省としての見解ということで、大臣も委員長としてお見えなので、そういうことかなということの位置づけの確認と、スナイダー・吉野文六さんの文章の件で、先ほど大臣は、「写しは恐らく取ったのであろうと思われるが」と冒頭に仰られましたけれども、その文章の内容ということ自体は、日米間で当時確認されたことなのだという認識に立っておられるという理解でよろしいのでしょうか。

【大臣】2つのことを聞かれると私(大臣)は忘れてしまうのですが、まずこの報告書は正確に申し上げますと、当事者である宇賀先生の了解はまだ取っていないのです。連絡は取れておりません。したがって、そういう意味では、まだ若干変わり得る。概ねは、こう見ていただいていいのですが、若干変わり得る可能性があることは、先に申し上げなければいけないのを忘れておりました。そういう状況で、メールなどで連絡を取っておりますけれども、波多野先生からは了解をいただきましたが、そういう状況でございます。
 今のお話ですけれども、どうも吉野さんのお話を聞きましても、「日本側もコピーを取ったと思うが、日本側にとって必要ない文書なので、適当に保存処分をしたと思う」というのが東京地裁の口頭弁論における証言でございます。密約の有識者委員会のインタビューにおいては、「アメリカ局の一課にいた者が原本をコピーしたと思うが、日本には何の意味もないものなので、捨てたか焼いたかがあるかもしれない。私にはわからない」ということでございます。
 本調査委員会による聞き取りでも、ここに書きましたように、「イニシャルを署名した議論の要約などの原本が1部であれば、その原本は米国のみが保有しており、日本側に原本は存在しないことになる。また、2部であれば、日米双方が原本を保有したものと考えられる。この点について、実は記憶は定かでない」ということでございます。ですから、そこはよくわからない。そもそも原本は1部だったのか2部だったのかということ。1部であれば日本側にはコピーしかないということ、或いはコピーを取ったかどうかについても、ご本人は実はどうも記憶はあやふやところがあるということでございます。

【琉球新報 滝本記者】報告書の中身についての大臣の認識、つまり400万ドルの肩代わりの確認が日米でなされたという前提の認識でいらっしゃるのかということをお伺いしたかったのですが。

【大臣】そこの認識は、私(大臣)は外務省の調査報告と同じであります。

【読売新聞 宮井記者】調査報告書を見ますと、事務次官経験者など15名に聞き取りを行うということですけれども、名前が出てくるのが谷内さんと藤崎さんだけですが、前の有識者委員会の密約の調査報告では、聞き取りの対象の名前が出たと思いますけれども、今回はなぜ出ていないのかということと、問題がなければ、今、誰から聞いたかを教えていただけますか。

【大臣】前回は、それは構わないということだったのですが、今回は中身がある意味では機微にわたるところもあるということで、了解を得ておりませんので、出すには至らなかったということであります。谷内さんのほか、名前の出ている人は文脈から言って、名前がないと意味が通じないということで、特にこちらから求めて、ご了解いただいたところでございます。

【フリーランス 岩上氏】文書廃棄についてですが、先ほど大臣は重要文書が紛れ込んだというような表現でご説明されました。「誰がどのようにその廃棄が行われた、特定できない」ということでした。けれども、これは作為的に行われた可能性はないということなのでしょうか。
どのような行為でも作為か不作為かでは、その評価は非常に大きく変わってきてしまいますし、また作為的に何らかの違法とは言えなくても、由々しき行為を行った者が不作為を装うということも合理的に疑い得ることでもあります。その点について、不作為というようにやや甘く評価しているようにも見受けられるのですけれども、この点を厳しく追及されたかどうか、調査されたかどうか、ここの点を確認させていただきたいと思います。

【大臣】調査は厳しくしております。ただ、確認はできなかったと、作為的にという話は全くどなたからも聞かれなかったということであります。それ以上になると推測になります。ですから、そのことは「わからない」と言うしかないわけであります。
 もう一つは、コピーの処分の問題はなかなか難しいわけで、普通は原義が保存の対象になるわけであります。原義がちゃんと残っていればコピーを処分することは問題ないわけであります。例えば私(大臣)の手元にもいろいろなコピーがございます。大臣が代わるときは、恐らく全部、私(大臣)はシュレッダーにかけようと思っていますけれども、決裁文書であれば、原義がちゃんと残っているという前提で、そういうことをするわけです。
 しかし、実は原義はもうないかもしれない。そういうことをいちいちすり合わせて、必ずしも細かくはできないわけで、その辺のあいまいさの中で重要なもののコピーが処分されてしまったということは、それは当然考えられることであります。作為的にそれをやったかどうかは、先ほど言いましたように、確認はされておりません。可能性がないと言っているわけではありません。確認はされていないということでございます。
 あとは原義が大事なものがないということもあるわけで、それはやはり今までの文書の管理体制の甘さといったことに起因するということです。その背景にあるのは、そういった資料を保存し、将来、公開するということに対して、余り重視してこなかった。私(大臣)の見解で言うと、いろいろな役所がありますが、外務省は他の省庁に比べて、まだ資料の保存はいい方だと思います。しかし、それにしても日ごろの忙しさに紛れてしまって、資料の整理、保存に対して、どうしても関心が薄くなる。異動になったら時間もないので、そのまま適当にそこで捨ててしまったり、或いは後任者が中身の差を付けずに、そのまま引き継ぐということはよく行われてきたことで、そういった考え方そのものを変えていかないといけないと思っております。そういうことに基づいて、先般の文書公開の新たな体制、これは意識改革も含めて、そのことを決めさせていただいたところであります。

【フリーランス 岩上氏】新しい文書公開の文書の保存の在り方と公開の在り方のルールを定められると。今、大臣が仰られたように、もう日常的に恐らく職員の上から下まで、忙しさに紛れて文書の重要度というものを余り精査せずに軽く扱うといいますか、処分してしまうことが日常に横行しているのであれば、それを変えていくことは大変なことであろうかと思いますけれども、この新たにつくられたルール体制によって、そうしたことが完全に一新されて、間違いなく重要な文書、その原義などがきちんと保存されていくということが行われるようになるのでしょうか。その辺の見通しをお願いします。

【大臣】これは情報公開法施行後、霞が関全体としても変わってきたと思いますし、外務省に関しては、それに加えて先般の外交記録公開・文書管理対策本部の決定に基づいて、よりそのことは明確になったと思います。今まではどちらかというと、個人技です。個人に保存を委ねていたということです。それを組織的にきちんと保存するという形に変えたということで、基本的に環境は整ったと思います。あとは個人の意識の問題です。それをしっかり研修などを通じて、変えていかなければいけないと思います。

【フリーランス 上杉氏】先ほど大臣が、「外交文書を失うことは歴史を失うことだ」と仰いましたが、まさしくそのとおりだと思います。一旦失われた文書、これはもう回復することは非常に難しいと、外交文書一般についてはいえるのですが、ただ、幸か不幸か、密約に関しては、相手国の米国には、文書は英語として残っております。当然ながら米側の資料として残っているのですが、その米側の資料を使って回復する、言わば日本の文書も回復するということをやることは可能なのでしょうか。あるいはそういう方法というのを考えていらっしゃるのかどうか、ちょっとお伺いしたいのですが。

【大臣】それは、米側の文書というのが、同じものが2つあるというケースと、それから米側の連絡文書とか、公電とか、そういうものがあるというケースとあります。例えば大平・ライシャワー会談について、ライシャワー大使が本国に打った公電なども、それが全部正しいというように考えるのか、そこはそこで若干の符牒があったり、あるいは理解の違いがあるというように考えるということがありますから、それをそのまま日本に持ってくることは、私(大臣)はできないと、立場の違いもあって、解釈の違いもあると思います。
 共通の文書は、日本にはなくて、米国にあるというケースはあります。しかし、それは日本にない以上、研究者の皆さんは、それが米国に当然あることはわかっているわけですから、あとは研究者の皆さんの、私(大臣)は仕事になるのだろうと思います。そのことをどう解釈していくかということです。

【フリーランス 上杉氏】外務省としては、そういう形の現状回復は行わないということですか。

【大臣】一旦失われたものを海外から持ってくるというのは、それはあくまでも参考にすぎないわけでありますから、それをもって文書本体であるというように断じることは、それは非常に難しいと思います。

【琉球新報 滝本記者】吉野文六さんとスナイダーさんの「議論の要約」の件についてですけれども、先ほどお伺いすると、さっきの外部有識者委員会の報告なり、外務省の報告の見解どおりだと仰られましたけれども、文書の存在、中身、内容の認識についてということでしたけれども。

【大臣】ですから、私(大臣)は3つ申し上げたのです。裁判における証言と、それから我々のもともとの調査の結果と、今回の調査と3つあるのです。それについてだけ申し上げたわけです。

【琉球新報 滝本記者】それで、裁判の判決に関連してでもあるのですけれども、その判決の中には、徹底調査したことがどういうふうに判断に組み込まれたのかということが、判決の中で述べられていないと、言及されていないというお話がありましたけれども、そもそも判決の要旨というか、趣旨というのは、なぜ外務省の中にないのかということを外務省自身が説明すべきだという趣旨で、1つ大きな柱としてあったと思います。その意味でいうと、調査していないのだということは、ずっと大臣は仰っておられるので、それは理解するのですが、では、なぜないのかということが、まさに今回の調査の1つの究明すべきことであったのかなと思うのですけれども、その意味で、原義がない、明らかかどうかはわからないとか、写しは取ったにせよと、仮の話で進めていくしかないのですけれども、結局、なぜなかったのかということの判決の問には、どのようにお答になるおつもりでしょう。

【大臣】判決がなぜなかったのか、外務省で説明しろというように言っているとは、私(大臣)は思わないのですが。きちんと調査をやりなさいというように言っていると、私(大臣)は理解しております。その調査というのは、かなり綿密な調査を我々はやったわけです。そして、ヒアリングもしました。そのことが全く触れられていないので、判決が、それをどう思っているのかというのは我々にはわからないわけです。私(大臣)は非常に奇妙なことだと思います。少し待てば公表されたわけですから。
 しかし、それにしても、若干それに今回の調査で付加的に、更にまた新たな人にお話を聞いて、そして、やはりそれ以上のものは出てこなかったということであります。

【週刊金曜日 伊田記者】文書の公開ということで、若干関連して質問させていただきます。国家公務員倫理法によって5,000円以上の飲食もしくはそういう報酬を得た公務員は、贈与等報告書を出さなければいけなくなっているのですけれども、それの閲覧が3万円以上に限定されています。これは、実質上は、高い講演とか、原稿をある程度一定以上の枚数を書いたものしか、実質的に閲覧できないというように現状ではなっているのですけれども、もともと国家公務員倫理法が制定された経緯でいうと、接待とか、そういうことが社会的に問題化されて、贈与等報告書を出すということになったと思います。3万円以上しか閲覧できないということであれば、ほとんどそういう問題視されたような接待も入ってこないと思います。これは、法の問題ですけれども、そういった国民に対する説明責任を重視されている大臣としては、そういう公開、閲覧の基準を下げるというお考えはありますでしょうか。

【大臣】私(大臣)も去りゆく大臣かもしれませんので、余りいろいろなことを言わない方がいいと思いますが、少なくとも役所の中に、そういった報告がなされているわけで、そういう意味で、きちんと内部的なチェックができるということになっております。
 そのことと、公開して世の中にさらすことで、更にチェックをするというのは、基準は必ずしも私(大臣)は同じであると、そのことが必要であると思っておりません。

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内政

【NHK 別府記者】話題は変わりまして、菅新首相の件ですが、特に普天間問題について、日米合意をまとめられたお立場から、この点を是非ということはどのような期待とメッセージでしょうか。

【大臣】日米合意というのは閣議で決めたものでありますので、内閣で決めたものでありますので、もちろん、それは尊重されると、内閣が代わっても取扱いに変化はないということは、当然であると考えております。あとは、その日米合意を実現していくというのは、沖縄の皆さんに対する説明、理解ということでありますので、新たな内閣においてもそれは全力を挙げて努力してもらいたいと考えております。

【朝日新聞 鵜飼記者】大臣は大臣である限りは責任を持ってというお話でありましたけれども、今回で最後の会見になるのか、あるいは再任されるのかで大分聞くことが変わってくるのですけれども、再任の可能性というのはあるのでしょうか。

【大臣】それは私(大臣)に聞かれてもわかりません。

【朝日新聞 鵜飼記者】ご意向としては再任を希望されるのか、党の方に戻ってお仕事をされたりとか、そういったご希望はあるのでしょうか。

【大臣】私(大臣)は何も希望はありません。もちろん、やりかけの仕事は多いので、日本の国益ということを考えたときに、余り頻繁に総理や外務大臣が代わることは望ましくないということは一般論として言えると思います。ただ、これは正しく人事権というのは、総理がお持ちのことなので、私(大臣)自身が何かそのことについてコメントすることはございません。

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記者会見のオープン化

【フリーランス 岩上氏】大臣が就任されて、この記者会見をオープン化されたことに対しては大変な、すばらしい功績だったのではないか、私は敬意と感謝を持っております。ですが、非常に残念なことに、こうしたオープン化の試みが、他の大臣、他の省庁に思うほど波及しなかった。8か月間の間、ぽつぽつと開かれてはいきましたけれども、当初にばっと思い切って開かれた岡田大臣と亀井大臣のオープン化への熱意というのは突出していて、後の大臣がそこまでならなかったことを大変残念に思っております。
 もし、菅さんを首相とする新内閣が発足することで、こうした傾向が変わり、もっとオープン化が進むような時代になるか、また、そういうことに関して、これからどういうお立場であれ、働きかけをされていくおつもりがあるか、この点についてお聞かせ願いたいと思います。

【大臣】ちょっと私(大臣)、ほかの役所のことは余り正確には認識していないのですが、かなり広がったと私(大臣)は認識していたのですが、違うのでしょうか。

【フリーランス 岩上氏】環境省ですけれども、一般会見という名前で開かれても1週間に1回、そして15分という本当に短い時間で設定されて、それで3週間を連続で、毎週、毎週お休みを続けているというような状態。例えばこれは1つの例です。
 ですから、実際に開かれたと言っても、これだけきちんとした会見、時間をちゃんと取っていただいて、何の質問でも堂々と答えていただけるという姿勢を見せ続けたという点では、岡田大臣、それから亀井大臣は突出していたなと、私はさまざまな会見にできるだけ出席した上で、そういうような感想を持っているわけですけれども、十二分には開かれていないというのが現状であろうと思います。

【大臣】これも、新総理の考え方です。そこにかかっている部分もあると思いますので、私(大臣)の立場から何か言うべきではないと思います。民主党はずっとオープン化ということを言ってきたわけで、今や党の方は完全にオープン化されていると思います。ときどきすっぽかしはあるかもしれませんが、そういう意味で、なるべくそれが広がることが望ましいと私(大臣)は考えております。

【フリーランス 畠山氏】記者会見のオープン化について関連でお伺いします。本日岡田さんは、菅直人さんの出陣式ににこやかな顔でご出席されておりましたけれども、その菅さんですけれども、財務大臣時代に財務省内の会見室で開いた記者会見というのが二回ほどしかありませんで、ほとんど官邸や国会内、いわば、記者クラブの記者さんたちだけに向けてやられてこられたのですが、今回代表選挙で菅さんの支持を早々と打ち出して、実際、菅さんが代表になったわけですけれども、その菅さんに対して、その情報公開の姿勢について何か岡田大臣からご提言をされる御予定というのはございますでしょうか。

【大臣】特に予定しておりません。たぶん菅さんが官邸でやられたのは財務大臣としてのお立場ともう一つ経済担当大臣としてのお立場があって、後者であればそれは官邸ということです。官邸でやる方が気持ちいいというのはあったかもしれませんが。そこは私(大臣)から何とも申し上げられませんですね。ただ、オープン化というのは一つの民主党政権のスタイルとしてかなり、そのスピードは遅いかもしれませんが、定着してきたと思いますので、そういったことがさらに拡大していくことは望ましいことだというように思います。

【フリ-ランス 上杉氏】記者会見のオープン化について関連で質問というか御礼を申し上げます。今日もしかして最後の大臣会見になるかもしれないので。菅さん何考えているかわからないので。

【大臣】かもしれません。

【フリ-ランス 上杉氏】その意味で昨年の9月29日に開けていただいて、FCCJ、それから、雑誌、ネットの記者、フリーランスも含めてこのような機会をずっと与えていただいたことには感謝を申し上げます。先ほど岡田大臣はずっとこの任期中の総括みたいなことをされましたが、記者会見のオープン化はちょっと抜けていたので、改めてこれでご苦労されたこと、それからあえて閣議後に一言も発せずに、ここまで戻ってきていただいて、そこで初めて言葉を発するというような目に見える形の苦労もあったのですが、見えない部分での苦労、そういうことを改めて教えていただけますでしょうか。あと良かったということもあれば。

【大臣】別に苦労はありません。確かに忙しい中で、ちょっと時間を場合によっては1時間を超えるような時間を確保するというのはなかなか難しかったので、そこはそういうことは確かにあったのですけれども。それからいろいろ発言がフルに引用されるのではなくて、長い発言であればあるほどで、部分的になってしまいますので、そういうことを考えて短く答えるということを途中から心がけるようにしたわけです。ただ短く答えるとあまり親切でないということもあって、その辺の難しさというものはあったと思います。ただ、こういう会見で皆さんからご質問やご意見をいただいて答えるというのは私(大臣)にとりましていい機会でしたので、ストレス発散とまで言うとちょっと言い過ぎかと思いますが。やはり外に向かって発信していくというのは非常に重要でありますので、私は非常にありがたかったなというように思っております。

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民主党代表選

【朝日新聞 鵜飼記者】もともと新首相の質問から始まったと思いますが、その関連でお伺いしたいのですけれども。今朝の代表選、改めて確認させていただきたいのですが、どなたに投票されたのかとその支持の理由をもう一度お話し願いますでしょうか。

【大臣】これは、前回ぶら下がりで申し上げたことにつきております。私(大臣)は当然菅直人さんの推薦人でありますし、菅さんが決意をして出ていただくということでありますので、私(大臣)は喜んで応援させて頂きました。やはり民主党らしさというものを菅さん筆頭にこの政権が出していくということが非常に大事だと思っております。それは政策面でもそうですし、党の運営面でもそうです。この前申し上げましたが、やはり、内閣総理大臣というのは政府に対しての最高権力者であると共に党に対しても代表として最高権力を持つ訳ですから、それが二元化するというのは本来ないわけです。そういったことについて、しっかりとやって頂きたいというように思います。あとは全員野球といいますか、この民主党の国会議員、或いは民主党所属の地方議員も含めた関係者がそれぞれががしっかりと力を発揮できるような、そういう総理であってもらいたいというように思います。

【伊勢新聞 中森記者】代表選の菅さんと対抗馬の樽床さんの票差についてどのように受け止められましたか教えてください。

【大臣】まあ、これは結果ですから私(大臣)がそれに何かコメントをすべきでないと思いますが。菅さんが当選できるように全力を短い期間ですが尽くしたつもりです。

【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読します。ニコニコ動画をはじめとする記者会見を長い間見ていて、総理大臣には岡田さんが良いと思っておりました。できれば出馬して欲しかったのですが、なぜ出馬しなかったのですか。また、今後、機会がありましたら、出馬はされるのでしょうか。

【大臣】なかなか難しい質問ですが、目の前のことで言えば、やはり新しい政治をやっていこうという時に、中で候補者が何人も出るということは望ましくないと思いました。私(大臣)は菅さんが出馬するという決断をして頂いたのであればサポートすると以前から決めていたところであります。違う視点で言いますと、外務大臣を9ヶ月ですか、8ヶ月ですかやってきて、やはり自分自身もう少しいろいろな経験をしたいというように思いました。閣僚としての蓄積が何年かあって初めて総理大臣としてのリーダーシップが発揮できるのではないかというように実感をしたところであります。それから、外務大臣は忙しすぎて蓄積をする機会があまりなくて、外交以外のことについて、しばらく関心があまりいってなかったということもあります。そういった全体の中で、私(大臣)としては今回は出馬するということは想定しておりませんでした。

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米軍再編問題

【沖縄タイムス 吉田記者】昨日の代表選の立候補の会見で、菅代表が会場に声明を配られましてその中で普天間の移設について、「日米合意を踏まえつつ、沖縄の負担軽減を実現したい」という趣旨のことを書いていました。沖縄県側は、この踏まえ方を注目しているところだと思いますが、新総理の下で地元と政府との間で、対話のメカニズムを何らか築く必要があるとお考えでしょうか。

【大臣】それは、内閣としては当然ですね。総理が直接なのかどうかというのは、それは総理がご判断になることで、私(大臣)が言うべきことではないと思います。今まで、歴史を振り返れば、官房長官か防衛大臣が沖縄との対話の窓口になっっていたということです。もちろん、基地の問題は外務大臣ということもあった訳ですが。「これから、日米合意についての理解をいただくために、内閣を挙げて取り組まなければならない」と私(大臣)は申し上げている訳ですが、そのためにきちんとした体制を組まなければならないと思います。

【沖縄タイムス 吉田記者】関連ですが、共同声明の積み残しの宿題で8月末までに、代替施設の位置とか工法等を決めるという話があるのですが、大臣の考え方として地元との対話の枠組みを作る時に、8月末に合わせて相談するような考え方なのか、それとも、そこまでは日米でやって、それ以降に条件を詰めていく対話の仕方がいいか、どのようにお考えでしょうか。

【大臣】これも、新総理の下で関係大臣がきちんと議論して決めるべき話です、それも、あまり先送りせずに、8月末というのはすぐですから、早々に決めなければいけない問題だと思います。沖縄との対話は必要ですから、それが全くないまま、日米だけで、場所や工法を決めるということは考えにくい訳ですが、より本格的には、政府としてきちんと案を固めて沖縄側に理解を頂くということだと考えれば、完全に沖縄側の合意がないと前に進まないということではなくて、それはもう少し2+2の閣僚会議というタイミングもありますし、8月末までに完全に沖縄側の理解がないと前に進めないかというと、それはそういうことではないだろうと思います。もう少し時間をかけて、じっくりとご理解いただく努力をしなければいけないと思っております。

【琉球新報 滝本記者】冒頭、大臣は「普天間移設問題について、いろいろと反省すべきところはあるが、」と仰ったのですが、これは具体的に、どのようなことについて反省すべき点がおありなのでしょうか。

【大臣】これだけ沖縄の皆さんから不信感を持たれた訳ですから、当然反省すべきことはたくさんあると思います。やり方とか、(話の)持っていき方、もう少し、いろいろなやり方があったのだろうと思います。期待感を非常に高めてしまったということもあります。

【琉球新報 滝本記者】それは、大臣ご自身のやり方も含めてでしょうか。

【大臣】もちろん、そうです。私(大臣)はあまり期待感を高めなかった、逆だったかもしれませんが、いずれにしろ、こういうことになったことについては私(大臣)もその責任を感じております。

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外務大臣の職務

【朝日新聞 高橋記者】実際に外務大臣になられて8ヶ月ということで、野党時代にいろいろと考えられていたことと、実際に政権の中に入って外交交渉をやられる立場になられて、そのギャップ等について、どのようにお感じになられたかを教えて頂けますでしょうか。

【大臣】その点は、実はあまり感じておりません。もちろんスピード感というか、ある程度段階を踏まなくてはいけないということは、いろいろございます。例えば、核の問題もそうです。非核地帯条約や先制不使用、この問題はすぐには実現できなくて、その前に核の役割の低減とか、或いは北朝鮮の核の問題を解決するということがないと、非核地帯条約というのは現実性がない訳ですから、そういうステップを踏んでいかなくてはいけないというのはありますが、私(大臣)自身の考え方が何か変わったとか、そういうことはほとんごございません。後は、大きな外務省という組織ですから、その組織を動かして、そして問題を解決していくということ、そのための慣れと言いますか、やり方と言いますか、或いは仕組みを変えなくてはいけないところもあります。そういったことについて、現時点でようやく大体軌道に乗ってきたかなということです。
 今回の中国側の東シナ海とか、海上のコミュニケーションをとるということとか、温家宝首相が言われたいくつかの点については、粘り強く、時にはしつこいと思われるくらいやってきたことの一つの成果ではないかと思っております。先送りせずに、いろんなことをしっかりと問題解決をやっていくということが、私(大臣)は外相レベルでは非常に重要なことだと思います。首脳になると、もう少し未来志向で、あまり具体的な問題というよりは全体の枠組作りが大事だと思いますが、外務大臣というのは、時には摩擦が起きても、そういう具体的な問題をしっかりと解決していくということが重要だと思います。

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少数民族問題への対応

【週刊金曜日 伊田記者】会見のオープン化については、今年に入ってからは日本雑誌協会という枠を外されて、週刊金曜日も出席できるようになったことについて、改めて感謝し、敬意を表したいと思います。その上で、週刊金曜日に執筆されているジャーナリストの質問ですけれども、少数民族問題についてです。
 鳩山政権は、アイヌも含めて少数民族に対する目配りについて、かなり細やかにやられてこられたと思いますが、シリアについてです。今年、クルド人社会が3月21日に、これは新年のお祭りにあたるそうですけれども、ダマスカスの日本大使館に出向きまして、是非その新年のお祭りに来て頂きたいというような招待を差し上げたらしいのですが、カミシリという街のお祭りだそうです。とても対応が冷たかったとそのジャーナリストが言っておりました。実際に英国とかスウェーデンの外交官は、その祭りに出席したそうなのですが、日本大使館員からの出席はなかったそうです。こういったことについて、どのようにお考えかお聞かせ下さい。

【大臣】事実関係を確認しないと簡単にはお話できないと思います。それから、後は、大使館の陣容といいますか、欧米の国々がシリアに持っているスタッフの数とか、そういったものと在シリア日本大使館とかなり違うだろうと想像できますので、一概になかなか申し上げにくいと思います。しかし、「非常に冷たい」という印象を持たれたとしたら、それは残念なことです。

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その他(メディアの変化)

【フリーランス 岩上氏】オープン化に関して、最後に質問させて頂きます。先ほどオープン化に関する質問のお答えの中で、記者会見の中でしゃべった言葉が部分的につままれてしまう、意図したことと違った報じ方がされてしまうという趣旨のお答えをされました。しかし、インターネットの発達によって、お話しされていることが全て視聴者にダイレクトに届くというような情報環境が実現して参りました。政権交代という政治的な変化と、それから情報環境の変化という社会的な変化、技術的な変化の波が、ちょうど同じ時期に、大きく重なり合ったような気もします。ツイッターとかユーストリームとか、そういったものも出現してきましたし、政治とメディアの両方の変化の重なり合いについて、ちょうど交点に大臣は立っていらっしゃいますけれども、こうしたメディアの変化は、何を変えていくか、或いはこの8ヶ月間、大臣はどのようにその変化を実感としてお感じになられたのか、その点ざっとでも良いですから、感想としてお聞かせいただけたら良いなと思います。

【大臣】私(大臣)もほとんど波に乗り遅れている人間ですから、あまり言うことができないのですけど、最初に仰った点は、私(大臣)自身も自分のブログで、週2回載せることにしています。ですから、あまりにも私(大臣)の考えていることと違う報道がなされた場合には、例えば、事実に反するとか、私(大臣)はこういうように言ったんだということを言うことにしております。そういった場が手軽に確保されるようになったということは、私(大臣)は全体の報道の質を上げる結果になっているんじゃないかと思います。後は、私(大臣)自身も、ほとんどツイッターをやる原口大臣みたいな感じではありませんが、ブログで週2回吹き込むのがせいぜいでありますので、後は、外務大臣は海外に行くことが多いので、海外で新聞が読めるようなiPadでも買おうかなと思っていたら、こういうことに、内閣改造になりましたということですね。

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外務大臣会見記録(平成22年6月1日(火曜日)15時37分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)イラン・モッタキ外相の訪日について

【岡田大臣】私(大臣)からもう一点、昨日、イランのモッタキ外務大臣が急遽日本に来られまして、会談を行いました。2時間強、食事を挟みながらの議論ということになった訳ですが、モッタキ外務大臣とは、モッタキ外務大臣もお話になったと思いますが、この間、特に低濃縮ウランを国外に搬出をして、そして、医療用に加工して戻すというアイデアについて、日本も何らかの役割が果たせないかということで、イラン側とかなり緊密に議論をしていた時期もございます。やがて、それは日本の手を離れて、トルコやブラジルとイランの間の話し合いということになった訳ですが、それが「テヘラン合意」という形でまとまったということです。その機会に是非そのことについて、日本にも更に協力してもらいたいということです」。同時に、国連安保理における制裁の話がかなり佳境に入ってきたということもあったと思います。そういったことについて、是非話をしたいということでありますので、私(大臣)の方でお受けをしたところでございます。
 モッタキ外務大臣からは、テヘラン合意ができた、そして、モッタキ外務大臣によれば、それは米国も関与していたということです。したがって、この合意ができた以上、イランに対する制裁というものは必要がなくなったというお話でございます。そういったことは、前からそういう話は聞いていたわけですけれども、日本側としては、テヘラン合意ができたことは評価をするし、それは是非信頼醸成措置の一環としてやってもらいたいと、しかし、そのことと制裁の話というのは違う話であると、現に今、20%の濃縮活動というものを行っている。そういったことについて、直ちにそれをストップして、そして、私(大臣)からは何とかして制裁というものをしなくていいように、大きな政治決断をイランの側でしてもらいたいと、それがイランの国、或いはイランの国民に対して必要なことではないかということを申し上げたところです。
 かなりやりとりはありましたけれども、私(大臣)から特に申し上げたことは、今回の低濃縮ウランをトルコに出して、そして加工するということであれば、なぜ20%濃縮ということが更に求められるのかということです。いろいろアイソトープ用の原料としては、それで当面足りるわけでありますし、将来の原子力発電のための備えというなら20%は必要ない訳であります。
 したがって、20%を続けるということの意味がわからない。それは国際社会に大きな疑惑を招いている。ですから、そういったことを直ちにやめるべきだと、そういうふうに私(大臣)からは申し上げたところであります。

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イラン・モッタキ外相の訪日

【共同通信 西野記者】モッタキ外務大臣は、駐日大使も長く務めた知日派だと思うのですけれども、彼はテヘラン合意を説明して、日本の理解を得たいという意図で来日されたと。それに関しては、そうではないという日本の姿勢を示したということでいい訳ですね。

【大臣】テヘラン合意そのものは、我々は評価するのですが、だから制裁は必要ないという論理は成り立たないということを申し上げました。

【共同通信 西野記者】関連してですけれども、ということで、モッタキ大臣側は、20%濃縮は続けていくのだということを明らかにされたということでよろしいのですか。

【大臣】これからどういう展開になるか、制裁の議論もかなり煮詰まってまいりましたので、それをそのまま受けるのかどうかというのは、わかりません。我々はそうならないことを期待したいと思います。現時点においては、20%濃縮というのは、国家としての権利であるという主張であります。しかし、今回いろいろ申し上げたことについて、またイランに帰って、議論をしっかりとすることを期待したいと思っております。

【フリーランス 岩上氏】テヘラン合意は評価するけれども、制裁は解除しないといいますか、制裁の解除とはまた別の議論であるということを大臣が仰ったときに、モッタキ外務大臣の反応といいますか、どのような受けとめ方をしていたか、これについてお聞かせいただけますでしょうか。

【大臣】制裁を解除しないというよりは、今、新たな追加的な制裁の議論を安保理でしている。その追加的な制裁の必要性はなくなったということをモッタキ外相は言われた訳であります。
 日本とイランというのは、長い友好の歴史もございます。そういう意味で、日本に期待するところもあったのだと思いますが、やはりここはどう考えても、イランが核兵器を持とうとしているという疑惑もある中で、ひたすら20%濃縮を続けるということは、その疑惑を更に深くするものでありますので、私(大臣)からはかなりはっきりと申し上げました。がっかりされたかもしれませんけれども。

【フリーランス 岩上氏】相手方は何と仰ったのですか。

【大臣】相手方が何を言ったかは、私(大臣)は申し上げません。

【NHK 別府記者】イランの追加制裁についてですが、既に3つの安保理決議が挙がっていまして、制裁は少しずつ高まっていますが、イラン側は行動を特に変えず、むしろ進んでいるということで、制裁そのものが、たとえ今回あっても意味があるのかという議論はあると思いますが、その点についてのご見解と、一方でイスラエルは、核保有が公然の秘密とされていますが、そちらについては、全くこの制裁という議論はありませんが、その2つの中で日本としての立ち位置、どのように整合性を取られるのでしょうか。

【大臣】まず、イランの方は、意味があるからこそ、これだけ議論をしてきたし、そして、イランも何とかしたいと思って、かなり活発に外交を展開していると思います。安保理での議論もかなり煮詰まってきておりますので、これは常任理事国レベルでは、ほぼ固まってきて、これから安保理全体での議論という段階にあります。私(大臣)は、イランが全く、むしろ20%濃縮というのを突然始めたり、疑惑を深める方向に行っていますので、ここは毅然とした対応が求められていると思います。
 イスラエルの件は、イスラエルの核というものがどうなのか、あるのかないのかということも含めて、イスラエルは国としてはっきりしておりません。しかし、核を持つということが、本来、NPT上は認められていない訳でありますので、持っているということになれば、そのことに対して、日本政府としても、それをそのまま放置するわけにはいかない。核を放棄してNPTに加入するということを今までも求めてきているところであります。

【毎日新聞 吉永記者】先ほど、日本も同様の提案をしたことがあると仰っていましたけれども、それは具体的に言うと、どういうような提案で、なぜそれがなくなったのかということと、イランのモッタキ外相がトルコとブラジルとの合意に触れて、日本もその合意に同じような提案をしたから参加して欲しかったと言っていたのですが、どうして日本は参加しなかったのかという点を教えていただけますか。

【大臣】具体的な中身を細かく申し上げるつもりはございません。ただ、ある時点で、これが結局全体の制裁の議論を遅らせるために使われる可能性というものが出てまいりましたので、しかも、20%濃縮ということを止めずにどんどん進めるという中で、この議論には乗れないと判断したものであります。

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ガザ支援船拿捕

【NHK 禰津記者】イランに絡めて中東の関係なのですけれども、パレスチナのガザ地区で人道支援物資を届けようとした市民団体がイスラエル軍に拿捕されたという問題が31日に起こったみたいですが、これに関して、国連の安保理で今、緊急の会合が開かれているということで、日本として、これに対してどういう対応を取るのか、その辺、大臣の考えをお伺いできますでしょうか。

【大臣】まず、これは事実関係を明確にしなければならないと思います。イスラエル側の関与ということは、かなりはっきりしているわけですが、その間の経緯、そういうものをはっきりと把握した上で、もちろん、多くの人命が失われた訳であります。一方は軍であり、一方は市民であります。そういう中で、人命が失われたということは、これは極めて遺憾だと思っております。あとは、もう少し事実関係を見極めたいと考えております。
 この件は、鈴木中東アフリカ局長がイスラエル大使を外務省に呼びまして、外務報道官の既に発表したメッセージを伝達するとともに、事態が速やかに収拾されることへの期待を表明したということであります。

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政局(米軍再編問題)

【共同通信 西野記者】政局についてお伺いいたします。「国民の信頼がなければ外交がうまくいかない」という大臣の趣旨に沿った質問だと理解しておりますので、正面から答えていただきたいと思います。民主党の中には参院選がこのままだと戦えないと、内閣支持率の低迷等を受けて悲鳴のような声が上がっています。本日、常任幹事会が開かれて輿石会長に対応を一任するという事態になっています。このような参院選前に党内で首相の交代を求めるような動きが出ていることについて、どのようにお考えになりますか。

【大臣】それぞれ、個々の候補者、議員には思いがあると思います。そして、民主党の支持が低迷している、端的に言えば逆風であるということも私(大臣)も感じております。ただ、それを、トップを変えれば済むと考えるのは私(大臣)は違うと思います。そして、民主党の今までの歴史を見ると、そういう時に何かトップを変えることで乗り切ろうということが、特に選挙が近くなると、そういう声が出がちでありますが、私(大臣)はそういうことも含めて国民は見ていると思います。総選挙の前に麻生総理に対して、いろいろな意見が自民党内で出ました。そして、麻生総理の求心力といいますか、支持が更に失われたと思います。ですから、そういったことは慎重になされるべきだと思います。

【朝日新聞 鵜飼記者】今回の民主党内からもそういった声が出てくるきっかけというのが普天間の決着というのがあって、それに対して社民党の福島党首が反対をされて、罷免をされたということを受けて、こういう事態になっっているのかと思いますが、鳩山政権の対応として、これまで何か誤ってきたこと、間違ってきたことというのは、大臣の目から見て、何かあったのでしょうか。

【大臣】もちろん、試行錯誤ですから、今から見て「こうすれば良かった」ということは当然あると思います。ただ、ことの本質が、今は普天間ということですが、私(大臣)は普天間だけではないと思います。いろいろなことが重なってこうなっていると思います。けれども、当面は普天間の問題が最大のテーマになっていることは事実です。この問題は結局「日米合意」というものをどう考えるかという話ですので、普天間の辺野古近辺への移設ということを盛り込んだ日米合意に対して、それは受け入れられないという社民党が連立を離れたというのは残念ですが、それ以外に選択肢がなかったと言えるかと思います。ですから、今、民主党のなかでいろいろ批判をされている方は、そこをどう考えるかということが同時に問われると思います。私(大臣)は日米合意というものを尊重するというのは内閣の方針であり、同時に民主党の議員であれば、そのことを前提に議論するべきだと思います。

【フリーランス 岩上氏】今のご質問に関連してお尋ねしたいと思います。本日の朝、亀井大臣の会見に出てまいりまして、この普天間問題の決着のあり方、それから、それを受けて社民党の離脱について、どのようにお考えかとお聞きしたところ、「これは県外、国外をこれからも目指していく。INGだ、つまり現在進行形のことであって、それを決してあきらめていない」というようなお答えでした。内閣として、これは辺野古周辺で決着をみたのだという、これまでの岡田大臣のお答えと大分距離感がかけ離れているような気もいたします。社民党に対しても好意的な評価の仕方もしておりました。両大臣とも非常に尊敬する大臣でもありますが、見解が随分離れているようにも思われます。この閣内の違いというものをご説明願えないでしょうか。

【大臣】亀井大臣が言っておられるのは、かなり先の話としてそういう可能性について言われたのだと思いますが、それと当面の普天間の危険性除去のために辺野古に持っていくということは、必ずしも矛盾しないかもしれません。基地全体として、中長期的に減らしていくというのは、沖縄の負担を減らしていくということで、それは当然のことです。私(大臣)は安全保障の問題で玉虫色の決着は非常に難しいと思っております。ここで、それで何とかしのいだとしても、やがてすぐにまた同じような問題になる訳で、社民党の福島党首に対して、平野官房長官も含めていろいろ説明、説得はしてきたと思いますが、やはり「国外でなければだめだ」というお考えであれば、残念ながら意見の一致をみることはできないということです。

【フリーランス 岩上氏】亀井大臣の言葉を引用させていたきますと、「辺野古ということで、話が一つまとまってはいるけれども、これは沖縄県民の理解、それと同意がなければできるものではない。仮に県民が強く反対するようなことがあれば、これは実行できるものではない」と、どちらかというと現在の非常に強い県民の反対、その高揚、辺野古への決定以降、ますます逆に盛り上がっているような、反対の意識を踏まえた上で、実現は難しいのではないかというような見解を述べられました。この点についていかがお考えでしょうか。

【大臣】大変な困難を伴うことは事実です。しかし、「だからできません」と言って放置をすれば普天間の危険性、現状というのは維持されるということですから、それがあってはならないことであります。ですから、内閣を挙げて、沖縄県民の皆さんに理解をいただくように、真摯に説明をしていくことが政府の姿勢であります。それから、同時にこの問題はいわば国内政局のような側面も持っていますが、やはり日本の安全保障環境ということを考えた時に、私(大臣)はやや違和感といいますか、今の議論だけであっていいはずはないと思います。今行っている議論は必要ですけれども、しかし、同時に日本の国民の安全を守る責任が政府にある訳でありまして、いつまでもあやふやなまま先送りをし続けるということが、日米同盟にどう影響を及ぼすかということも、しっかりと考えなければならない。それが、政府の責任であると思っております。

【フリーランス 上出氏】私も亀井大臣の会見に出ておりましたが、かなり強い口調ではっきりと「沖縄と国民が納得しないと、この問題は解決するはずはないのだ」明確に言いました。今の岡田大臣の話ですと、どんなことがあってもこの問題は辺野古で、解決してしまうということでしょうか。それ以外の解決方法はないのでしょうか。

【大臣】沖縄県民の皆様に理解していただかなくては、これは実現しないことは事実です。ですから、理解していただくように真摯な努力が求められるということです。それができないという前提にたてば、これは全く先がなくなってしまうと言いますか、現状固定ということになりますので、そういった対応は政府としてはとれないということであります。

【琉球新報 滝本記者】今の県民の意識というか、認識について、週末に弊社琉球新報と毎日新聞の方で、県民の方の世論調査をさせていただいて、ご存知かと思いますが、辺野古移設に反対が84%と、昨年の10月から11月にかけて行った同様の調査から17ポイントも上昇して、更に「県内はノー、辺野古はノー」だという県民世論が強まったということが言え、更に内閣支持率も8%という一桁、日米安保を維持することを支持するかということについては7%という数字になって半分に減っているのですが、辺野古反対の数字がこれだけになっているということの受け止めと、安保の支持、それは大臣がずっと仰っておられますが、更にこういう対応が、安保への不信ということにもつながっているということも、少なくとも沖縄の中では非常にそうなって、「米軍駐留を支える安保条約の根幹も揺るがしかねない」ということになっている状況について、いかがかとお伺いします。

【大臣】厳しい数字だと思います。ですから、きちんと説明してご理解を頂かなければならないということであります。厳しいから安保をやめるかということにはならない訳でありまして、責任ある政治、国民の生命財産をしっかり守る、地域の平和と安定のために役割を果たすということであれば、そのことをきちんと冷静に説明していかなければならないと思っております。

【NHK 梶原記者】今回の日米合意というのは、評価はもう少し時間がたたないと冷静な評価はないのかな思いますが、一方で今回の日米合意というのが結果的に沖縄県民の怒りをかって、そして、社民党の離脱を引き起こし、そして、鳩山政権が続けられるかどうかというところまで追い込まれている訳ですけれども、こうした日米合意を取りまとめた大臣ご自身の手法なり責任というか、そのあたりのご所見はありますでしょうか。

【大臣】日米合意は関係閣僚が総理大臣の下に集まって、逐次、方針について確認をしながら進めてきたものです。もし、こういう合意がなければ、それは全く先々の見通しがつかない状態になっていた訳で、総理もそれによって厳しい批判を浴びる、支持率は一時的に下がるということを覚悟されながら、しかし、やはりここは政治の責任として、そして、普天間の危険性をしっかり除去しなければいけないという観点で、覚悟を持って行ったことです。私(大臣)も同じです。

【世界日報 山本記者】政府はこれまで、日米安保の観点から、或いは安全保障上の観点から、日米政府合意が重要なんだと、沖縄の民意はこれから変えてでも何とかしなければいけないと仰っておられるのですが、沖縄県で行なわれた集会とか、話が古くなって恐縮ですが、9万人集会とかあって、その報道が主催者発表だけで9万人という形で大きく報道されて、その後、航空写真である警備会社が分析した結果、1万1500人程度であって、それもはっきりした数字は分からないにしても、もしそれがある程度の信憑性があるとするならば、7倍もの数字を出して9万人集会ということで主催者発表だけで報道されて、一部週刊誌とか読売新聞もコラムを出しているのですが、政府としては、この段階にきて沖縄の辺野古と決めるのであれば、そういう報道とか、そういう事実の動きの中で何らかのステイトメントなり、言いにくい雰囲気があったにせよ、今からそれほど挽回されるつもりがあるのであれば、その段階で何かお考えを表明されるとか、今の段階でもの点についてどうお考えかお聞きできますでしょうか。

【大臣】これは主催者の側が発表されれば、そういう主催者が発表された数字であるということで、政府がそれに対して、実は違うということは私(大臣)は言うべき話ではないと思います。もちろん、メディアの中でそういう議論は当然あっていいと私(大臣)は思いますが、政府が言う話ではないと思っております。

【TBS 樋口記者】先程、NHKの梶原さんが聞かれたことの関連ですが、これまでの普天間を振り返ったときの手法という話でしたが、官僚との関係ということについてお聞きしたいと思います。金曜日の総理の会見では、「外務省や防衛省の現場での蓄積が十分生かされたのか」、或いは「政治主導の政策決定について官庁との関係について反省すべき点はあるか」という質問に対して、総理は、情報の漏えいということをあげられました。つまり、「防衛省、外務省の官僚の皆様の知恵も頂いてきた」ということでした。一方で「大人数でいろいろ作業をする中で、途中の段階で情報が漏れてしまうということがありました」ということでした。「もっと皆さんを信頼させる度量の深さ、広さというものが、総理自身に、或いは閣僚に求められているのではないか」と言われたのですが、大臣も8カ月間官僚との関係を振り返って、同じような課題をお感じになっていますか。もし、違えば、違う点をお聞かせ下さい。

【大臣】今回のこの合意に至る作業を、外務省の職員は本当によくやってくれたと思います。厳しい交渉でしたが、土日返上でやってくれたと思っています。情報の漏えいというのは、また別の話で、どこで漏れたのか、今回も総理が沖縄に行かれるその日の朝刊にいろいろな情報がいっぺんに出た訳です。これは誰かが漏らしていないと、1紙だけならともかく、多くのメディアに出ない訳であります。中身は不正確でありました。特に、環境影響評価のところなどは間違った情報でした。従って、これは、少なくとも外務省から漏れたものでは絶対ないということは、はっきりしている訳であります。誰がどのように漏らしたか分かりませんが、今、私(大臣)は非常に遺憾なことだったと思っております。総理が行かれる日ですから。

【共同通信 井上記者】本日の参議院外交防衛委員会で、訓練移転のところで、徳之島について、これは訓練の移転だけではないと、訓練移転だけというようには考えていないと長官が言われて、大臣も米軍の活動ということに言及されましたが、徳之島に移転されるものとして、訓練の移転以外の米軍の活動というものは、どういったものが考えられるのか、説明いただけるでしょうか。

【大臣】それは別に今何か決まっている訳ではありません。ただ、「訓練移転」というよりは、少し幅の広い「活動」という表現が日米合意の中で使われているということを、私(大臣)は指摘をした訳でございます。

【共同通信 井上記者】「訓練移転よりもう少し幅の広い米軍の活動」というのは、訓練移転以外の何らかの活動というものがある訳ですか。これはどういったものが考えられるのでしょうか。

【大臣】それは何か特定したものではありません。そこに書かれた通りです。

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韓国哨戒艦沈没の事案

【毎日新聞 西岡記者】哨戒艦沈没事件についてお伺いします。韓国の調査が明らかになる前に、大臣は「北朝鮮の関与が調査結果として明らかになれば、直ちに六者協議を開くということにはならない」と発言されていました。一方で、先日の日中韓サミット共同プレスリリースを見ますと、「六者会合のプロセスを通じ、協力して努力を継続する」と書かれておりまして、いわゆる、朝鮮半島の非核化に向けた北朝鮮との対話の推進というものが強調されています。昨日の日中首脳会談でも、哨戒艦事件と六者協議についての話し合いがされたと聞きます。そこで、昨日の会談で日本側は六者協議の開催に関して、どのような主張をされたのか、内容をご紹介いただければと思います。

【大臣】私(大臣)が記憶しているところでは、会談では六者協議に対する言及というものはなかったのではないかと思います。もうすでに、それは日中韓(首脳会議)でやっていたということもあったと思いますが、私(大臣)が六者協議について、何か両首脳が議論したという記憶はございません。

【共同 斎藤記者】先程の毎日の西岡さんの質問に絡むのですけれども、哨戒艦です。日中韓、日中に大臣も同席されたわけですけれども、中国からどれだけ、韓国が今準備をしている国連安全保障理事会の問題提起、どれだけ距離を縮められることができるか、協力を獲得できるかが大きな焦点だったと思うのですが、そうした中で昨日は少人数会合の中で議論をされて、しかも中国側の要請で、(会合)中の中国側の発言については紹介しないでほしいという話があったとブリーフで聞いておりまして、それは了解しておりますが、日中首脳会談の成果として中国が何を言ったかは別にして、前進がみられたのか、中国の全体の態度として、若干、柔軟姿勢が伺われたのかどうか、その辺の認識をお伺いしたいと思います。

【大臣】そういったことを含めてこれは外に言わないというのが約束だというように思います。私(大臣)の雰囲気を申し上げますと、私の記憶に間違いなければ、少人数会合で40分ぐらい話されたと思います。鳩山総理と温家宝首相の二人だけで話をされまして、私(大臣)は横で聞いていたわけですが、それぞれ主張は違います。主張は違いますけれども、なんとかこの問題をきちんと解決しなければいけないという思いが非常に両首脳間にあって、意見は違うけれども、私(大臣)は非常にいい会談だったと思います。これからの話し合いのスタートになり得る会談だというように受け止めております。ちょっと具体的なことは申し上げられませんが。
 それから、日中会談全体も私(大臣)はこれは自分の発言ですから申し上げていいと思うのですが、普通は首脳間で発言するわけで、外務大臣は発言しないのですが、最後に温家宝首相に、「今回のガス田の話も含めて、全体に実りある会談だったし、日本国民に対して良いメッセージを出された。非常に評価できる」ということを私(大臣)は会談の最後に申し上げところであります。非常にいい会談だったと率直に思います。何かと比較しているわけではありませんが。

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NPT運用再検討会議

【中国新聞 岡田記者】先週閉幕したNPT再検討会議についてお伺いしますが、最終文書で核兵器禁止条約の交渉開始という文言が盛り込まれていますが、政府はこれまで否定的な見解でしたが、最終合意文書に盛り込まれたことを受けて、今後どういう対応があり得るのかというのと、あと争点のなかで、核兵器の廃絶に向けた工程表作りというのが、だいぶ争点になって、最終段階では後退してしまったのですが、この点について政府は今後どう考えていらっしゃるのかということをお聞かせください。

【大臣】工程表はあそこに書かれたとおりでありまして、詳細なものについては核保有国が首を縦に振らなかったという中でああいう表現になっているということであります。それは少し残念なことではありますけれども、核を持っている国と持っていない国との妥協、全体の妥協の中でのやりとりの結果であります。核兵器禁止条約についても、核を持っていない国々の中で、より明快な主張を展開されたところもありますけれども、妥協の結果、現在の表現になっているということであります。これから国連の場でそれぞれについて、合意ができたということですから、それをベースに話が進んでいくものだというように思いますが、何をどういうプライオリティーをつけてやっていくかということはもう少しよく話してみないといけないというように思っております。

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外務大臣会見記録(平成22年6月1日(火曜日)15時00分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)アフガニスタン・パキスタン人道支援の開始について(ジャパン・プラットホーム 長有紀枝共同代表理事)

【岡田大臣】私(大臣)、NGOの力をもっともっと借りて、そしてODA、経済協力を進めていきたいと従来から考えてまいりましたけれども、この度、その節目となる1つの仕事ができましたので、ご報告をしたいと思います。
 5月27日、NGOの緊急人道支援組織であるジャパン・プラットフォームが、アフガニスタン・パキスタン人道支援事業の実施を決定いたしました。日本政府としても、学校、診療所、給水施設の整備など、現地コミュニティのニーズに合った形で支援を行う日本のNGOを支援していくため、その第1フェーズに最大15億円までの政府資金の活用を決めたところでございます。これは、昨年11月に発表したアフガニスタン・パキスタンに対する新たな支援パッケージの実施に当たって、NGOとの連携を更に深めるものであり、我が国の草の根の平和構築支援として大きな一歩を踏み出すものであります。本事業はジャパン・プラットフォームの単独のプログラムとしては過去最大の規模であり、従来の政府資金を活用した我が国NGOによる対アフガニスタン支援の約5倍の規模であります。事業計画概要については、長ジャパン・プラットフォーム共同代表理事からご説明いただくことにしたいと思います。政府としても、この問題について、長さん始め、ジャパン・プラットフォームの皆さんと長い間議論をしてまいりました。その中身、特に安全に関する話し合いなども行ってまいりまして、一定の合意に達したので、本日はご報告するものであります。

【ジャパン・プラットフォーム 長代表理事】ただいま、大臣よりご紹介いただきましたジャパン・プラットフォームの共同代表理事をしております長有紀枝と申します。霞クラブにおける大臣のこうした会見の前に先立って、共同記者会見という形で外部の者が参加するのは極めて異例と伺っております。ですが、皆様の多額の税金をお預かりして、アフガニスタンという危険地で活動するにあたっては、皆様にご報告する責任があると思って本日はやってまいりました。また、発表のタイミングにつきましては、皆様、違和感を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。ただ、大臣からもお話がありましたように、プラットフォームとしましても、約半年強にわたってこの問題はずっと議論してまいりました。やはりアフガニスタンという危険地であること、そこで私たち日本のNGOに何ができるのかということ、もう既に個々のNGOがいるときに、プラットフォームという枠でどのような一体感を持った質の高い援助ができるのかということ、或いはモニタリングをどうするのかとか、いろいろな問題をいろいろな場で話し合ってまいりまして、約半年の時間を費やしたのですが、大変詳しい議論を行ってきました。その意味ではプラットフォームという組織の健全性の表れかとも思っております。本日は、短い時間ですが、プラットフォームについて少しと、支援内容につきまして、今後の予定につきまして、3点手短にご報告を申し上げます。
 プラットフォームは2000年にスタートしました日本のNGOによる人道支援をオールジャパンで支援していこうという組織でございます。33の日本のNGOと外務省、経済界、学術界、メディアなど多様なセクターからなる組織でございます。資金に関しましては、外務省からの政府支援金と、経済界や個人の方々からの寄付金で運営されております。支援の内容につきましては、お手元に本日ご用意いたしました資料にあるとおりですが、私どもとしましては、国連を始めとする国際社会の人道支援の戦略に則りながら、これから申します方針に従って、緊急支援、復興支援を通じてアフガニスタンやパキスタンの方々の生活に資する支援をしてまいりたいと思っております。期間は2010年から5年間。そのうち7月から来年12月までの1年半を第1フェーズとして予定しております。支援の重点分野ですが、社会基盤の整備、教育・保健の強化、平和構築、この3つを重点分野として考えております。支援の地域ですが、アフガニスタンと国境を接地しますパキスタンの北西辺境州に住んでいらっしゃる一般の住民の方たちです。ただし、残念ながら大変治安の悪いアフガニスタンの南部の6州については、少なくとも第1フェーズにつきましては、活動の対象地とはしておりません。これは一重に安全治安上の問題からです。予算でございますが、この第1フェーズ、1年半の予算は15億円ということで、これについては政府支援金を財源としておりますが、同時に広く民間の方々にもご協力を呼び掛けてまいりたいと思っております。そして、運営、安全管理面。皆様一番お気になさるところかと思いますが、これにつきましては、当面、日本、或いは隣国からの遠隔管理方式を取る予定でおります。また、お手元の資料にありますとおり、安全の5原則に従って活動してまいります。特に経験のあるNGOが、経験のあるスタッフのみで入るということ。また、誰に強制された訳でもなく、私自身の責任において現場に入るということでございます。実際に活動を予定しております団体は、プラットフォームのメンバー33団体中の3分の1に当たります11団体で、アルファベット順に申しますと、難民を助ける会、ADRA Japan、BHAのテレコム支援協議会、ケア・インターナショナルジャパン、JADE(緊急開発支援機構)、JEN、日本国際民間協力会(NICCO)、ピースウィンズ・ジャパン、セーブ・ザ・ザ・チルドレン・ジャパン、シャンティー国際ボランティア会、ワールド・ビジョン・ジャパン、この11団体でございます。
 今後の予定でございますけれども、プラットフォームで出動すると言いますと、皆様すぐに現場に入られるとお思いになられるかもしれませんが、お手元の資料にありますとおり、それぞれのNGOが申請書を用意しまして、それを審査委員会を通して、そこで審査を通りました後に常任委員会という組織でゴーサインを出して、それで初めて現場で活動を開始するということでございます。
 また、詳しいことにつきましては、明後日になりますが、ジャパン・プラットフォームで活動するNGOがみんな揃ってジャパン・プラットフォームの記者会見で皆様により詳しくお話をさせていただく予定でおります。

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アフガニスタン・パキスタン人道支援

【共同通信 斎藤記者】今のお話の中で、この支援ですが、基本的には遠隔操作方式を取るというお話でした。となると、いわゆる邦人、つまり皆様方は現地に入られない代わりに、これを執行する方々が現地で事に当たるということだと思うのですが、どういった方々、どれぐらいの規模、そしてまた、その連絡はどのようにしていくのか、この辺についての説明をお願いします。

【ジャパン・プラットフォーム 長代表理事】ただいまご質問がありました遠隔操作方式でございます。これは日本のNGOだけではなくて、危険地で活動するときに、イラクなども含めてですが、欧米の多くのNGOも取っている方式でございます。遠隔と言っても全く日本人が入らない訳ではなくて、折に触れ、出張という形では現地に参ります。出張していない時期は日本や隣国におる訳なのですが、その間は現地の職員の方々が中心になって活動を行っております。調整ですが、Skypeなどを使ったりですとか、或いはEメールなどは通じますので、そういったもので始終連絡は取っておりますし、或いは、時によっては、アフガニスタンから日本に来ていただいて調整というようなこともあろうかと思っております。繰り返しになりますが、これは日本のNGOだけが、プラットフォームだけが、取っているものではなくて、危険地で活動するときの1つの手段として、こうした人道支援の業界で広く取られている方法でございます。

【週刊金曜日 伊田記者】こういった枠組みができたこと、努力されたことに敬意を表します。貴重な税金が投入されるということですので、敢えてお聞きするのですが、この主な事業を全部足すと14億円なのですが、残り1億円はどういうことになるのか、詳しくご説明いただければと思います。

【ジャパン・プラットフォーム 長代表理事】現在の時点でこれぐらいの事業規模になるだろうというものの積み上げで、きちんとその額がはっきり使われるという訳ではございません。これから11のNGOが、その組織によって準備の出来状況で申請の時期は変わってくるのですが、それぞれがまた再度見積もりを取り直したりですとか、申請書を積み上げて、最終的には15億にいかない可能性もあると思っております。これから個々の事業の詳細が決まっていくという形でございます。

【週刊金曜日 伊田記者】差額の1億円は予備費と考えているのですか。

【ジャパン・プラットフォーム 長代表理事】予備費ですとか、モニタリングなどの費用になるかもしれませんし、或いはもう少し支援が広がった場合には15億以上の資金が必要になって、その際には民間の方々にも広く呼びかけてまいりたいと思っています。15億を超える場合もあると存じております。

【大臣】これは15億で第1フェーズは終わりでなくて、その後もあります。

【NHK 別府記者】去年の11月に発表されました民生支援中心の支援策の中での位置づけの確認なのですが、あれに基づいて初のNGOと協力して行う事業になるという、初物と位置づけてよろしいのでしょうか。

【大臣】それを初物と言うかどうかですけれども、金額もかなり大きいですし、NGOとタイアップして外務省が行うものとしては、今までにない取組みだと思います。NGO側からの非常に意欲的なご提案もいただく中で、ずっと話し合いを行って本日に至ったものであります。これがうまく成果が出せることになれば、今後更に広がりを持つ話だと考えております。

【日本インターネット新聞 田中記者】私もアフガニスタンに二度ほど入ったことがあるのですが、年々歳々危なくなっていて、もはやジャーナリストは入れないぐらい厳しくなっていると思います。そこでNGOの方が入ってくださるのは非常にありがたいのですが、とにかくアフガニスタンをブラックボックスにしてはいけないのです。それで、NGOの方は支援活動に入っている訳で、今こうなっているというところを伝えるプロではないですね。そこら辺で時々ジャーナリストを同行させるとか、そういったことは考えておりませんでしょうか。

【ジャパン・プラットフォーム 長代表理事】組織によっては、そういったことをしていらっしゃる団体もあるかと思います。プラットフォームもアフガニスタンではないのですが、これまで支援地での活動を広く募金をくださった方々に知っていただくために、カメラマンの方に同行していただいたことはございます。これから個々の組織がその辺を検討していくかと思います。プラットフォームとして同行させるということは、現在は想定しておりません。

【読売新聞 川崎記者】大臣にお伺いしますが、予算の第1フェーズの総額は15億円ということで、これは政府が15億円目いっぱい出す用意があるという理解でよろしいのかどうかということと、今回、つまり金額の面が大きいというのが初めてという意味で、これまでもこういうNGOとのタイアップはしてきているとは思うのですが、どういう面で新しい取組みなのかということについて、もう一度ご説明をお願いします。

【大臣】金額も大きいですけれども、ジャパン・プラットフォームという日本のNGOの主なところが集まって作っているところに、外務省がお金を出してアフガニスタン支援という1つのテーマでやるということは、今までなかったことであります。第1フェーズで15億ということですけれども、これで成果が出れば新しい1つのツールとして、外務省としても更に力を入れていきたいと考えております。つまり、JICAとか、国際機関とか、そういったことを通じた支援のほか、NGOの皆さんを通じた支援というものをより本格化させていく意味で、非常にパイプを太くする1つのきっかけだと考えております。

【フリーランス 岩上氏】長代表にお話をお伺いしたいと思います。ジャパン・プラットフォームというものがどういう組織であるのか、既によくご存じの方も多いと思いますけれども、インターネット等で今、不特定多数の有権者国民、納税者に向かって話せる機会でもありますので、なぜ個々のNGOで支援を行うのではなく、それが集結して、しかも国と一緒になって動くのか。それによってどういうメリットがあるのか。集まって動くことの意味、意義を少し易しく説明していただけるとありがたいと思います。

【ジャパン・プラットフォーム 長代表理事】ご質問どうもありがとうございます。もともとジャパン・プ
ラットフォームが2000年にできますときに、その理由なのですが、プラットフォームができるまでは、何か海外で事がありますと、日本のNGOはそこで自分たちが持っているなけなしのお金で行って、現場を見てきて、帰ってきて記者会見を開いたりですとか、支援者の方に呼びかけて募金を集めて、それから、再度支援に出かけるというと数か月が経っていまして、当初の緊急事態が終わっているという事態を何とかしようということで、外務省に働きかけ、一緒に作ってまいったのがこのジャパン・プラットフォームでございます。
 外務省だけではなくて、経済界からもご支援をいただきまして、自然災害などにつきましては、本当に24時間以内に現場に行けるような体制が整っております。それまでも個々のNGOは現地で活動はしておりましたけれども、まず個々のNGOですと先ほど申し上げたような何か事が起きてから時間がかかると、それがプラットフォームができたことによって、もとからあるプラットフォームの資金で出動することができるようになりまして、本当に出足が早くなったということです。まさに緊急支援ができるようになったのは、プラットフォームがあるからこそと思っております。
 更に、今は募金のことを申し上げていますが、企業の方々からしても1つのNGOを支援するというよりは、日本のNGOが30団体集まっているところに支援するということで、いろいろな方々のご理解が得やすくなることも伺っております。そうしたことから外務省資金と民間のお金を集めて、私どもは活動している訳なのですが、単体でやりますとどうしても現場にあるニーズが、例えば、私がいる難民を助ける会は地雷だけになってしまったり、或いは子どもさんを対象にしている組織は子供だけとか、シェルターといってテントなどをしているところはテントだけとか、なかなか支援が点になってしまうのが、プラットフォームとして全体としてやることによって、点ではない面として現地のさまざまな状況に応えられることがあると思います。また、1団体ではなくて三十数団体のNGOが集まっていることで、オールジャパンなら応援してあげようという皆様が大変多くいるのも事実でございます。

【フリーランス 岩上氏】関連してのことを大臣にお伺いしたいのですけれども、ジャパン・プラットフォームという形で集まった団体に対して、今、募金上のメリットというお話もありましたが、これは外務大臣にお聞きすることではないのかもしれませんけれども、税制の優遇とか何かそういう寄附をすることによる控除とか、こういった点で寄附する側にも何かメリット、或いは特例とか、そういうことを設けられる可能性は現時点だけではなくて、近い将来も含めてその辺を教えていただければと思います。

【大臣】ジャパン・プラットフォームだからということではないのですけれども、NGOに対する寄附について、NGO全部に対象になるのですか。

【ジャパン・プラットフォーム 長代表理事】全部ではないです。認定NPO法人は税制の優遇措置をいただいております。

【大臣】今回はオールジャパンでやりますので、寄附金の集め方も何か工夫ができないかということは、今いろいろと模索をしているところです。例えば、コンビニに行ってすぐ寄附ができるとか、そういうもっと身近なところで、うんと頑張らなくても、すぐ寄附ができるような仕組みづくりというのができないものかと考えているところです。アフガニスタンの人々を助けるということで、国民の関心がそれによって更に高まることも期待できる訳です。そういう新しい取組みも検討中です。

【フリーランス 岩上氏】では、集まったことによる特例はないということですね。

【大臣】もともとNGOに対しての寄附の特例というのはありますから。

【共同通信 西野記者】アフガニスタン支援は、いろいろと難しいところがあると思うのですけれども、JICAとか、従来の大使館を通じて情報収集をするとか、これまでの日本の支援と今回のNGOを活用したというか、NGOと一緒になってやる支援の違いといいますか、メリット、或いはデメリットはいろいろあると思うのですが、そこら辺については、大臣はどのように判断されたのかということを、まずお聞かせください。

【大臣】もちろん、JICAのアフガニスタンにおける支援というのは、非常に意味のあることを本日までやってきたと思います。しかし、なるべくいろいろな多様な担い手があっていいと思います。特にNGO、まだまだ欧米のNGOに比べると規模は小さいかもしれませんけれども、非常に熱心に、特に若い人たちが一生懸命、汗を流して公のために働いている訳です。そういうところに対して、国としてももっとしっかりと後押しをしたいと思った、それが最大のきっかけであります。

【共同通信 西野記者】反面、遠隔操作ということで、慎重な対応から入るということなのですけれども、一方で安全確保という面は非常に大きな課題として残ると思います。丸腰の人たちが行く訳ですから、どのように安全確保をやっていくのか、政府としてそこら辺はどのように考えているのですか。

【大臣】ここは、私(大臣)、或いは福山副大臣とプラットフォームの皆さんとの間で相当議論を重ねたところであります。初めての試みでもありますので、危険ということに対しては、私たちはかなり慎重にということで、むしろプラットフォームの皆さんにお願いをしたところであります。余り慎重にし過ぎると、なかなか現場に行けないということもあるかもしれませんが、そしてNGOの皆さんはプロですから、そのプロの皆さんに、これもだめ、あれも危ないというのはいかがなものかという気はしますけれども、せっかくの新しい試みでありますので、何か事故が起きて、それが途中で頓挫してしまうということにならないように、非常に慎重な取扱いということを相談して、合意したところであります。

【ジャパン・プラットフォーム 長代表理事】私からも一言よろしいでしょうか。今のお話で、まずNGOを活用したというご質問がありましたが、私どもは活用されたとは少しも思っておりませんで、やはり私どもの方から、日本のNGOだからこそ、政治的にも、宗教的にもアフガニスタンにおいて中立な日本のNGOだからこそできることがあるのではないかということで、外務省にもずっとお話をしてまいりましたが、今、まさに話題になっていました安全対策のところで、実は話が宙ぶらりんで、何か月も過ぎてしまったというのが実態でございます。例えば、外務省の方では「危険であるから防弾車を必ず使うように」ということに対して、私どもNGOは、「防弾車を使うことによってかえって目立ってしまう。それによる危険性もあるのではないか」というようなことで、防弾車の使用1つにつきましても、外務省と長い折衝がありまして、本当であれば、今年の初旬ぐらいには私たちはスタートできるかなと思っておったのですが、特にこの安全面のことで時間を要しました。最終的には、プラットフォームとしても、最終的な判断といいますか、責任をとるのは現地に行く個々の団体で、個々の団体ごとにセキュリティーといいますか、安全に対するまさに自分の職員の命に関わる面というのは、それぞれ状況は違いますし、また活動する現場もそれぞれ違いますので、活動する現場ごとに防弾車が有効な地域もあれば、防弾車を使うことでかえって目立ってしまって、ターゲットになるということもありますので、最終的な判断は個々のNGOにお任せいただいているということが実情でございます。

【テレビ朝日 山本記者】支援した後の話ですけれども、実際こういった支援を行った後に、うまく回っているかとか、現地の人の役に立っているかとか、そういった問題もあると思いますが、なかなか危険地域で入りにくいという点もあると思いますが、そういう検証作業というのは、どういった工夫を考えていらっしゃいますか。

【ジャパン・プラットフォーム 長代表理事】その検証作業を私たちはモニタリングと呼んでおりますけれども、ジャパン・プラットフォームでは、支援活動をした後に、必ず部外者の中立な立場の方も入れてモニタリングを行って、そこで事業の評価をしております。やはりアフガニスタンの場合は、このモニタリングについても今回時間がかかった要因の1つです。私たち自身が遠隔操作になるようなところで、一体、誰にどうやってモニタリングしていただくのだろうということです。モニタリングを必ずするということは決定しておりますが、ではどうやって、いつどの段階でというのは、現在も検討中でございます。ただ、必ず第2フェーズに行くにあたっては、第1フェーズのモニタリングをしっかりして、その上で進もうということだけは決めております。

【フリーランス 小山氏】他の国のNGOは、自分たちの安全を守るためにどういうことをアフガニスタンでやっているのでしょうか。軍隊を使っているのですか。それとも何か他の方法を使っているのでしょう
か。

【ジャパン・プラットフォーム 長代表理事】NGOで軍隊を使ってというのは、全くないという訳ではないと思いますが、例は本当に少ないかと思います。アフガニスタンには、アフガニスタンNGOセキュリティーオフィス(ANSO)というNGOが、安全管理だけで情報交換をしているネットワークがありまして、そういったところの情報を取りつつ個々の団体でやっています。この点に関しましては、本当にそれぞれの組織のケース・バイ・ケースである場合が多いです。ただ、私どもが現場に行くときには、そういう欧米の団体がどのようなセキュリティー対策を取っているかということも、事前にかなり調査した上で行くつもりでおります。

【共同通信 比嘉記者】確認ですけれども、この15億円の予算について、政府支援金というのは11月に発表しました50億ドルの一部と考えてよろしいのでしょうか。

【大臣】50億ドルの内訳と考えていただいて結構です。

【共同通信 比嘉記者】あと一点。鳩山総理が「新しい公共」の概念を提唱されていますが、それとの関わりというのはいかがでしょうか。

【大臣】それは関係あると言えば、あると言えますけれども、そのことを今の時点で明確に位置づける訳ではありません。こういったことがうまく成功して、NGOの活動の領域が更に広がれば、これはまさしく「新しい公共」の1つの具体例といいますか、そういうことになるのだと思います。

【共同通信 西野記者】改めて、このような形で共同記者会見をするということに至った経緯ですが、大臣の方からお持ちかけになったのか、長理事長の方からお持ちかけになったのか。このような形でやること自体の意義ですが、異例の会見だと思うので、改めてそこについて短くコメントしてください。

【大臣】私(大臣)は、これを発表するにあたって、当事者であるプラットフォームの代表の長さんに来ていただいた方が、より説得力があると考えました。共に仕事をしていくパートナーとして、共に記者会見をさせていただいた次第であります。

【ジャパン・プラットフォーム 長代表理事】私どもの方も、やはり政府支援金で活動させていただく訳ですから、こういう機会に皆様にご報告するのが私どもの責務と思いました。とはいえ、こういう場所でNGOの細かい活動はご説明できませんので、別途、明後日の夕方5時からですけれども、ジャパン・プラットフォームの事務局で、参加するNGOが揃った記者会見を予定しております。

【ビデオニュース 竹内記者】長さんと大臣と、お二方に伺いたいのですが、コストパフォーマンスの面で、以前、弊社の番組で長さんにお話を伺ったときに、大きな国際的なNGOとかがやるよりも、もっと小さなNGOの方がコストパフォーマンス上、そこは有利であるというお話を伺ったのですが、その点について、政府が15億円というものを政府間で出すことに比べて、NGOに15億円出すというのがコストパフォーマンス上、どのように考えているのかということについて、特にお考えがございましたら、お話を伺えたらと思います。

【大臣】もちろん、税金ですから、無駄なく使わなければならないということは当然であります。コストパフォーマンスで、今回のものと何とを比べた場合ですか。

【ビデオニュース 竹内記者】政府間で、例えば15億円ですとちょっと少な過ぎますけれども、アフガニスタンの政府に対して直接15億円払ったりするとか。

【大臣】それは一種の役割分担だと思います。アフガニスタン政府でなければできないこともありますし、より住民の皆さんに近いところにあって、まさしく草の根でやっていく、そういった活動はNGOにお願いした方がより効率的ないい仕事ができると私(大臣)は思います。

【ジャパン・プラットフォーム 長代表理事】今、ご質問いただいた点ですが、私ども、多分国連が使うお金よりは、11団体で1年半で15億円というのは決して大きな額ではないかもしれません。ただ、良い、悪いは別にして、NGOの給与とか手当というものが国際機関の職員と比べますと、その何分の1、場所によっては本当に10分の1まではいかない、一けた違うようなところで、よくも悪くもそういったものに回らない分、より多く現地の方々の支援に生かせるというように思っております。
 それから、遠隔操作のところで申しそびれてしまったのですが、遠隔操作の問題の一つは、私たち外国人の安全を確保するために、現地の方々を反対に危ない目に遭わせてしまうようなことが多くなっては、本当に元も子もないことですので、私たち日本人だけではなくて、現地の方々の安全対策というものも十分考えて、それにも必要な資金は使っていきたいと思っております。

【日本インターネット新聞 田中記者】私も世界各地で、世界のNGOの活動、日本のNGOの活動を見てきたのですが、政府間の援助はゼネコンに落ちたり、向こうの政治家に落ちたりすることが多いのですが、NGOの活動は本当に現地の人に役立っているのを見ています。それで、長さんがさっきおっしゃったように、日本のNGOだからできるというのはとてもいいスタンスだと思うのです。イスラムでもないし、キリスト教でもないし、ヨーロッパでも、米国でも、ロシアでもない。それで、とても日本のNGO活動というものは現地で役立っているのですが、これはアフガニスタン・パキスタンだけではなくて、例えば、ガザとかイラクとかにも広げるというお考えはないですか。

【大臣】これは第一歩なのです。ですから、将来的には更に大きな広がりを持って考えたいと思っていま
す。

【ジャパン・プラットフォーム 長代表理事】イラクにつきましては、プラットフォームで既に展開はしておりますし、ガザにつきましては、プラットフォームのメインの活動ではないのですが、積み立てた自己資金といいますか、民間資金を中心にして、平和構築パイロット・プロジェクトというものをプラットフォームはやっておりまして、それではガザも一応、対象になっておりまして、予算規模は数百万円と、今回のアフガニスタンと比べて本当に小さいのですが、でも、取り組もうとはしております。

【週刊金曜日 伊田記者】大臣に、簡単で結構なのですけれども、そもそも、なぜアフガニスタン・パキスタンで最初にこういうことをやられるのか。つまり、貧困の撲滅というものがテロを無くすために重要であると考えて、ここを選ばれたのかどうか。その点についてお聞かせください。

【大臣】まず、アフガニスタン支援に対する政府の取組姿勢、これは非常にプライオリティーが高い訳であります。だからこそ、大きな金額を考えている訳です。そして、そういう中で、むしろNGOの、プラットフォームの皆さんから、是非、このアフガニスタンでやりたいというお話もいただきました。ですから、両者の考え方がまさしく一致した、そのようにお考えいただければ結構だと思います。

【週刊金曜日 伊田記者】プライオリティーがなぜ高いのかということは、どうお考えでしょうか。

【大臣】それは、アフガニスタンというのは、まさしく長く続いた戦いの結果として、貧困があり、そして、そういう中でテロへのつながりというものも出てきている。やはりアフガニスタン、或いはパキスタンというところをしっかりと支えていくというのが、私(大臣)は国際社会として共通のテーマであると考えております。そのために日本政府としても、例えば、元タリバン兵士の社会復帰とか、和平とか、和解の促進とか、そういったことに力を入れてまいりましたし、その延長線上に今回のこともあるとお考えいただいたらと思います。

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