イベント・募集案内

「大学生国際問題討論会-フォーラム2008」
開催の概要報告

平成20年11月

1.はじめに

 外務省は、次代を担う大学生が、わが国の外交政策や国際情勢に対する関心と理解を深めるとともに、ディベート能力を高めることにより、国際社会で活躍する有為な人材を育成することを目的として、9月27日(土曜日)、京都市呉竹文化センターで「大学生国際問題討論会 フォーラム2008」を開催しました。

 本年度の論題は「日本政府は、国際平和協力のために、自衛隊の派遣を含む人的貢献を一層推進するための制度を整備すべきである」でした。全国各地から30チームの参加登録があり、そのうちの27チームから提出された立論書の事前選考を経て、本選出場権を得た4チームによって極めて質の高い議論が行われました。初めて京都で開催された本年度の討論会においても、白熱した議論が展開され、聖心女子大学チームが優勝しました。審査委員による的確かつ親身な講評の後には、審査委員、出場者、傍聴者が出席した懇親会が行われ、終始和やかな雰囲気の中で意見交換をすることができました。

 今回本事業の広報活動にご協力頂きました各大学、大学院等の教育機関の教職員の皆様に、厚く御礼申し上げます。

2.開会式

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審査委員の紹介(後列左から)
 千野境子 産経新聞社特別記者・論説委員
 坂元一哉 大阪大学大学院法学研究科教授
 酒井啓亘 京都大学大学院法学研究科教授

3.討論風景

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4.受賞チーム(お名前は順不同です。)

外務大臣賞:聖心女子大学チーム

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五味渕晴香さん 聖心女子大学文学部3年
謝敷 裕美さん 聖心女子大学文学部3年
渡邉 祐華さん 聖心女子大学文学部3年

優秀賞:政治外交・安全保障チーム

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久保 有志さん 青山学院大学国際政治経済学部2年
岩城 久平さん 青山学院大学国際政治経済学部2年
青木麻名人さん 青山学院大学国際政治経済学部2年

奨励賞:一橋大学山田敦ゼミチーム

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稲田康太郎さん 一橋大学法学部2年
井田 龍典さん 一橋大学法学部2年
土井 裕梨さん 一橋大学法学部2年

奨励賞:Twenty-oneチーム

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宇野 杏梨さん 大阪大学外国部学部3年
長尾 祐介さん 大阪大学人間科学部4年
山角 恵理さん 同志社大学経済学部3年

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5.審査委員による講評

(1)酒井啓亘 京都大学大学院法学研究科教授

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 以前、オランダ・ハーグにある国際司法裁判所で、いくつかの事件での弁論を聞いた経験があります。今回の討論会のように丁々発止という形式ではなく、原告側が3時間、次の日に被告側が3時間というように進むものでした。ある裁判官にどのような弁論が裁判官の判断に影響を与えるのかを尋ねたことがあります。もちろん論理構成等も非常に重要ですが、一つは、やはり裁判官の心に訴えるものがあること、もう一つは、相手の主張をうまく利用した方が勝ちというのがその答えでありました。今日ご参加の皆さんは、肯定側の論点も否定側の論点も一生懸命勉強され、それぞれの長所短所をよく知っていたと思います。それをうまく自分の主張に使えるかどうかがおそらく決め手になったのではないか、その点では裁判の場合と同じことが言えるのではないかと感じました。皆さんには今後、様々なところで自分の意見を表明する機会があるでしょう。その際には今日の経験をぜひ生かしていただきたいと思います。

(2)坂元一哉 大阪大学大学院法学研究科教授

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 今日はアメリカ大統領選挙の第一回ディベートを聞いてからこの会場に来ましたが、お世辞抜きにそれに劣らぬような真剣な議論でした。アメリカの大統領候補に、そして日本人一般に本日の論題を質問した場合、おそらく色々な意味で日本が人的貢献をしていくことには肯定的な意見が多いのではないかと思います。ということは否定側の立論が難しかったのではないかと思い、その点を重視して聞きました。論戦は、肯定側の場合は制度を変える必要がある、否定側の場合は現状のままでよいというものだったのですが、優勝チームは否定側に立った時、現行制度のままでも今よりもっと人的貢献ができるという主張をしたところが非常に巧みでした。否定側の立論でも人的貢献を強化する立論になっているのが特徴で、説得力がありました。ディベートでは立場を取りませんが、肯定側、否定側とも根本の主張、基本的な立場があって、それを強めるための肯定側の議論、強めるための否定側の議論ができたところが強いという感想を持ちました。国際社会と協調して仲良く生きるだけではなく、世界をこうしようと言える日本を作るためには、弁論術が今後益々求められると思います。本日の討論会に出場できなかったチームも含めて、若い皆さんが努力していることを大変心強く思います。

(3)千野境子 産経新聞社特別記者・論説委員

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 本日のテーマと関連しますが、湾岸戦争の時、私はニューヨーク支局におりました。日本外交のあり方、日本の立場が問われ、日本はお金だけなのかと言われるような残念な形になってしまいました。あれから15年以上経ちますが、当時を思い出しながら本当に興味深く伺いました。否定というとネガティブになりがちですが、それを如何に建設的に否定するか、ちょっと言葉の矛盾のようですが、その辺が決め手だったのではないかと感じました。また、どのチームの皆さんも本当によく準備されていたと思いますが、その準備をこの場でいかに効果的に出せたか、そこが勝負を分けたのかもしれません。北京オリンピックの選手達の言葉でも非常に印象に残るのは「集中力」ということです。このディベートでも、この一戦にかける集中力というのが大変大事ではないかと思います。今日は皆さんのお話を聞きながら、これからの日本は大丈夫だと感じました。ぜひ頑張ってください。

6.懇親会

 討論会の終了後、会場内ホワイエにて懇親会を行いました。審査委員や出場者、傍聴者の多くの方々が出席し、引き続き討論内容について議論する人々や、出場チーム同士で歓談する光景も見られ、終始和やかに有意義な意見交換をすることができました。

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7.参考(フォーラム2008募集案内時の開催要領)

開催要領

1.日時及び開催場所

日時:平成20年9月27日(土曜日)13時00分~
場所:京都市呉竹文化センター

2.討論会概要

(1)論題:

「日本政府は、国際平和協力のために、自衛隊の派遣を含む人的貢献を一層推進するための制度を整備すべきである。」

(2)チーム構成:1チーム3名

チームの構成は、全員が同じ大学・大学院在籍者でなくとも可とします。

3名のそれぞれが最低1回発言することを条件とします。

(3)出場チーム

 肯定側立論書の事前審査による書類選考を行い、上位4チームが討論会(準決勝2試合及び決勝戦)への出場権を獲得します。選考結果は9月中旬頃、応募された全てのチームの代表者へメールにて通知します。

※出場者の交通費は支給します。(但し、通常の居住地から会場までの外務省規定額となりますのでご了承ください)。

(4)討論形式
  1. 肯定側第一立論 (5分)
  2. 否定側質疑 (2分)
  3. 否定側第一立論 (5分)
  4. 肯定側質疑 (2分)
  5. 肯定側第二立論 (5分)
  6. 否定側質疑 (2分)
  7. 否定側第二立論 (5分)
  8. 肯定側質疑 (2分)
  9. 作戦タイム (1分)
  10. 否定側第一反駁 (4分)
  11. 肯定側第一反論 (4分)
  12. 否定側第二反駁 (4分)
  13. 肯定側第二反論 (4分) (実質45分)
(注意事項)

3.開催日スケジュール

時間 内容
12時30分~ 開場、受付開始
13時00分~13時20分 開会式
13時20分~14時10分 準決勝第1試合
14時15分~15時05分 準決勝第2試合
15時05分~15時20分 休憩
15時20分~15時25分 決勝戦進出チーム発表
15時25分~16時15分 決勝戦
16時15分~16時30分 休憩および最終審査
16時30分~16時55分 講評、表彰
17時00分~17時30分 懇親会

報道関係者による取材が行われる場合があります。また、外務省が広報目的で、大会当日の様子を撮影したビデオ、写真等を利用することがあります。予めご了承下さい。

4.賞

 『外務大臣賞』1チーム:賞状、トロフィー、記念品
 『優秀賞』1チーム:賞状、トロフィー、記念品
 『奨励賞』2チーム:賞状、記念品

5.傍聴者

 傍聴者の参加を歓迎します。会場の座席の都合上、事前の申込者を優先します。

記載頂いた個人情報は適切に管理し、本事業を遂行するための連絡先情報として利用させて頂きます。御本人の同意なしに目的以外に使用することはありません。

募集要項

1.応募資格

 大学生、大学院生(国籍は問いません。使用言語は日本語とします。)

2.応募方法

(1)参加登録:平成20年7月27日(日曜日)に締め切りました。

(2)立論書の提出:参加登録チームは、立論書フォームに肯定側立論書(※1)を記入し、8月27日(水曜日)(※2)までに下記(4)の宛先まで送付して下さい。
  →立論書フォームリンクWORDPDFPDF

※1:肯定側立論書は、論題で使用されている主要な言葉を必要に応じて「定義」した上で、現状を分析し、如何なる制度を整備すべきかについての「プラン」を提示し、その結果として「メリット」が発生する過程とその重要性を論証する5分間のスピーチ原稿(A4用紙40字X40行で2枚に収まる程度)にしてください。この立論書を実際に本選で使用するか否かは問いません。
 なお、スピーチ原稿ですので、図、表、グラフは添付しないで下さい。

※2:メール、FAXの場合は24時00分まで必着、郵送の場合は当日消印有効とします。

(3)傍聴者登録:傍聴のみを希望される方は、氏名・所属・連絡先(住所、電話番号、メールアドレス)を明記し、「傍聴希望」とお書きの上、9月25日(木曜日)までに下記(4)の宛先までお申し込み下さい。

(4)宛先:(省略)

3.問い合わせ先

外務省 国内広報課  03-3580-3311(内線3993)

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