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1 冒頭
- 未来を担う世界の子ども(児童)たちが,希望を胸に健やかに成長できるよう,生命や尊厳を脅かされることなく、子どもらしい生活を送ることができる世界の実現に向けて一層尽力することが国際社会全体の責務である。
2 児童の権利の保護
- しかしながら、現状では,子どもたちは依然として貧困、疾病、紛争下の徴兵、性的搾取、児童労働、虐待や犯罪などの日常の暴力等、様々な要因によって脅かされている。
- 多くの児童は未だ紛争下で危険に晒されており,我が国は,病院及び学校に対する攻撃の抑止を目指す安保理決議第1998号の採択を共同提案国として歓迎する。
- 我が国は,児童の権利の尊重と保護のための,国際社会の主要なメカニズムである児童の一層の強化を図る。児童の権利の保護・促進のためには,各国内における法的枠組が必要であるので,これらの条約の締約国がさらに拡大することを期待。
- 我が国は条約の実施を通じて蓄積されてきた知恵と経験をもって,子どもが安全で、差別のない、健全な環境で生活をする権利を享受できるよう国際社会における協力を促進していく。
3 日本の具体的な取組
- 現在,国際社会では極めて困難な状況の下におかれている児童が多数存在している。これらの児童の権利の保護・促進に向け,我が国は具体的な施策を実施。
(保健・医療)
- 児童が直面する多様な脅威に対処するためにも,我が国はミレニアム開発目標(MDGs)の達成に積極的に取り組んでいる。2010年MDGs国連首脳会合では,特に進捗の遅れた保健・教育分野において2011年から5年間で計85億ドルの資金コミットメントを含む新政策を発表。産前から産後までの切れ目のない手当を確保する母子保健支援モデル“EMBRACE”,及び包括的な学習環境の改善を目指す基礎教育支援モデル「スクール・フォー・オール」を通じた支援を行い,児童のための人間の安全保障の確保に引き続き貢献していく。
(虐待・搾取・暴力からの保護)
- 児童売買,児童買春,児童ポルノなどの国境を越えた犯罪や脅威から,児童を守るには,国内の対策に加え国際協力が不可欠である。我が国は,パイス児童に対する暴力担当事務総長特別代表によるこれまでの調査,研究活動を評価する。
- 我が国は,2009年12月,「人身取引対策行動計画2009」を策定し,人身取引の防止,撲滅,被害者保護の分野にわたり包括的に施策を実施。
- IT化社会の急速な進展にともない,児童にとって大きな脅威となっている児童ポルノへの取組については,2010年に策定した「児童ポルノ排除総合対策」に基づき,児童ポルノ排除に向けた取組を着実に実施している。
- 国内における児童虐待の問題については,児童虐待の防止等を図り、児童の権利利益を擁護する観点から、親権の停止制度を新設し、法人又は複数の未成年後見人の選任を認めること等を内容とする平成23年の民法等の改正を含め,児童虐待の発生予防,早期発見・早期対応,児童の保護など対策を積極的に進めている。
4 結語
- 我々は,困難な条件の下で生活している児童が世界のすべての国に存在することを十分に認識し,未来を担う児童が権利を享受し,能力を十分に発揮できる社会作りを目指し,引き続き,加盟国,国際機関,市民社会と協力する。