演説

国連の場における演説

2011年第66回国連総会第3委員会
議題27:「社会開発」
平敷淳子政府代表顧問によるステートメント(和文骨子)

平成23年10月4日

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  • グローバルな経済財政危機は大きな社会的影響を及ぼし,貧困,飢餓,失業,不平等の拡大を招いている。この点,雇用の機会を増大させることが貧困撲滅に不可欠である。このような状況を踏まえ,国際社会はミレニアム開発目標や世界社会開発サミットの目標を達成するための更なる努力を行う必要がある。
  • 青年,高齢者,障害者等の社会的弱者が最も深刻な影響を受けるという認識のもと,彼らの社会的統合を進めるための差別撤廃や社会的障害の除却に資する環境を整備する必要がある。
  • 我が国はこれまで弱者保護のための様々な取組を行ってきている。
  • どのような障害を有しているかに関わらず個性や人格を尊重する社会を実現することが我が国の主要な目的であり,2007年に障害者権利条約に署名し,現在締結に向けた準備を行っている。
  • 障害者の意見が国家政策に反映されるような仕組みを整えた。また,本年7月に改正障害者基本法が成立し,障害者基本計画の実施状況の監視等を行うための障害者政策委員会を1年以内に設置することとなった。またさらに,右基本法においては,「合理的配慮」という条約において導入された新たな法的概念を反映したものとなっている。
  • 今日の青年が直面する課題や将来世代のための改善策について我々は責任を負っており,国連加盟国は本年7月の青年に関するハイレベル会合において議論を行った。昨今の中東・北アフリカにおけるアラブの春に見られるように,世界中の若者の雇用を確保することが社会的安定,社会開発の促進,貧困削減に資するということを認識すべきである。
  • 国民の23%が65歳以上の高齢者である我が国は,高齢社会対策基本法及び高齢社会対策大綱を通じて,急速に進展する高齢化社会の包括的な対策に取り組んでいる。さらに,雇用機会の提供,安定した公的年金制度確立,医療制度改革等の対策を継続して促進している。
  • 社会的統合のためには社会的弱者の参加を促す環境を整備する必要があり,日本政府は若者や高齢者がボランティア活動に参加する機会を提供してきた。東日本大震災直後には被災地の復興のために若者や高齢者を含む数多くの人々がボランティア活動に従事した。
  • 我が国とブラジルは,第3委員会において国際ボランティア年10周年に関する決議案を提出する。本決議案では,社会的弱者を含む社会のあらゆる階層を関与させ,恩恵をもたらすためにボランティア精神を認識・推進する必要性を強調している。各国の支持を期待する。
  • 個人,特に弱者の尊重を重視する「万人の社会」という概念は,我が国が推進する人間の安全保障の人々を中心に据えた視点と合致しており,我が国としては,人間の安全保障アプローチを通じて国際的な社会開発目標の達成に向け引き続き努力していく。
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