演説

国連の場における演説

第65回国連総会第3委員会 議題64人権理事会報告書
木村公使ステートメント(和文骨子)

平成22年11月2日

英文はこちら

(1)冒頭・総論

 人権理事会が設置されてから4年が過ぎ,我が国は人権理事会理事国として,積極的に関与してきたが,一方,よりよい機関としていく上でいくつかの課題も見えてきた。今年から議論が本格化する人権理事会の見直しの過程において,過去4年の実践の中で見えてきた諸課題に対処し,人権理事会がより有効且つ機動的に各国の人権状況を改善していく機関となるように各国が知恵を絞り,柔軟性を発揮すべき。我が国は,先般ジュネーブで開催された第1回作業部会で貢献ペーパーを提出したところであり,今後とも人権理事会レビューの一連の議論に積極的に貢献していく所存。

(2)人権理事会レビュー

 国連改革の流れの中で人権の主流化の一環として人権理事会が創設されたことを想起すべきである。NYにおいて人権理事会のレビューを議論する際には,国連が全体として如何に人権問題に対処するかとの視点に留意すべきである。特に,第三委員会と人権理事会との機能分担,連携のあり方についても議論されるべき。国連全加盟国による普遍的なフォーラムである第三委員会の役割は引き続き重要である。また,国連の主要課題である平和,開発,人権の連携を強化する人権の主流化の視点からも,人権理事会が国連の他の諸機関と如何に連携を強化していくのかも重要な課題である。人権理事会の活動に関しては,人権理事会とともに創設された新たな制度,特にUPRが人権状況改善のために効果的に機能しているか,これまでのUPRの結果を如何にフォローアップするのかにつき検討されることが重要である。こうした諸課題につき積極的に議論されることを期待している。

(3)人権理事会報告書の議題の位置づけ

 人権理事会の報告書は,ジュネーブの人権理事会における勤勉な作業や同理事会における議論から生まれた英知であることから,これを尊重し,総会本会議に直接提出されるのが適切であり,第3委で人権理事会での議論をリオープンすべきものではないと考える。

(4)ハンセン病差別撤廃

 現代では治療可能であるハンセン病について,誤った認識や誤解に基づく偏見・差別により,今なお世界各地でハンセン病患者・回復者及びその家族に対する深刻な人権侵害が存在。
 このような状況を是正・改善するため,我が国から人権理事会に数度にわたり関連決議を主提案し全会一致で採択。さらに今次国連総会においては,これら問題が一層効果的かつ確実に解決されることを目的として,各国の協力を求める関連決議案を提出する予定。今後ともこの問題については我が国が主導的役割を果たしていく。

(5)結語

 我が国は,人権理事会が相互理解を基盤に人権分野での新たな国際協力を構築するとともに,大規模かつ深刻な人権侵害に機敏かつ柔軟に対応していけるよう,人権理事会理事国として建設的な役割を果たしていく。また,我が国は,人権高等弁務官事務所(OHCHR)による,人権状況向上のための効率的で効果的な活動を支持するとともに,そのための支援を継続する考えである。

このページのトップへ戻る
国連の場における演説 |  平成22年演説 |  目次へ戻る