演説

国連の場における演説

第65回国連総会第3委員会 議題69(c) 人権(人権問題)
篠原政府代表顧問ステートメント(和文骨子)

平成22年10月27日

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(1)冒頭・総論

 国際社会共通の普遍的価値である人権の保護・促進は,日本外交の重要な柱の1つ。世界のいずれの国においても基本的人権は尊重,擁護されなければならず,達成方法や速度に違いはあっても,文化や伝統,政治経済体制,社会経済的発展段階の如何に関わらず,国家の最も基本的な責務。また,人権の保護・促進は,ひいては世界の平和と安定に資すると考える。

(2)我が国のアプローチ

 我が国は,「対話と協力」の姿勢に立って,国内外の人権問題改善のため,様々な取り組みを行ってきた。これまで,アジア諸国を中心に多数の国々と人権対話を実施。対話においては,各国の人権状況やその改善に向けた取組への理解を深め,各国が抱える課題についての認識を共有することを目指し,司法改革支援等,具体的協力につなげてきた。

 人権及び民主主義を支えるのは一人一人の個人であり,民主化プロセスにおいては,適切な民主的制度とそれを機能させるための個人の能力強化及び人材育成を伴わなければならない。我が国としては,我が国が推進している「人間の安全保障」の視点から,人々が自己の可能性を実現し,尊厳ある生命を全うできるような国・社会を作るために,個人とコミュニティの保護及び能力強化に努めている。

(3)カンボジア

 先月の人権理事会において,我が国が主提案国として提出し,コンセンサス採択された「カンボジアの諮問サービス・技術協力」決議は,カンボジアとの人権対話の結果を踏まえて,関係国と協議の上,我が国が主提案国として提案したもの。本決議への各国の支持に感謝するとともに,本決議に基づいて国際社会によるカンボジアへの具体的協力が進むことを期待。我が国としても,我が国の支援で起草された民法・民事訴訟法の適切な運用に向けた支援や和平プロセスの総仕上げであるクメール・ルージュ(KR)裁判の完遂に向け引き続き協力していく所存。

(4)ハンセン病差別撤廃

 ハンセン病は,化学療法を中心とした治療により,現代では治療可能な疾病であるものの,ハンセン病に関する誤った認識や誤解に基づく偏見・差別により,ハンセン病患者・回復者及びその家族に対する深刻な人権侵害が,今なお世界各地で存在している状況にある。
 このような状況を是正・改善するため,我が国は,これまで人権理事会において数度にわたり関連決議を提出し,右決議はコンセンサスで採択されてきた。そして,今次国連総会においては,より一層のハンセン病差別撤廃に向けて,関連決議を提出する予定であり,今後ともこの問題については主導的役割を果たしていく所存。

(5)結語

 我が国は今後も,国連をはじめとする国際社会と協力・連携しながら,世界の人権保護・促進という国際社会共通の重要な課題に取り組んでいく所存。

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