(英文はこちら)
議長,
国連では,国連改革の視点から2006年の人権理事会の創設をはじめとして人権問題への対応を強化してきており,本年7月のUNウーマンの設立決定もこれと軌を一にしたものです。来年にかけて人権理事会のレビューが行われますが,同レビューが国連における人権問題の総合的な対応の観点から行われることを期待します。また,人権条約体を含め既存の枠組みを効果的・効率的に実施するとの観点から不断の改革が行われるべきです。自由権規約委員会では,報告書を質問票方式に変え,より実質的な審査を行うとともに,全関係者の負担を軽減する改革が今後実施されますが,このような改革努力はすべての枠組みで推奨されるべきと考えます。
議長,
我が国では,昨年9月の新政権発足から1年が経過しました。新政権は人権分野にこれまで以上に積極的に取り組んでいます。
我が国が締結している国際人権条約については,その国内実施に誠実に取り組んでいます。本年2月には人種差別撤廃条約の政府報告審査を,5月には児童の権利条約及び2つの選択議定書の政府報告審査を受けました。引き続き,委員会から受けた勧告等に対して適切に対処しつつ,すべての人権の保護・促進に邁進してまいります。
ジェンダー分野については,我が国は本年中に第3次男女共同参画基本計画を策定いたします。同計画においては,女子差別撤廃条約や同条約第6回政府報告に対する委員会の最終見解を国内で周知することや,最終見解に適切に対処すること等が盛り込まれる見込みです。また,女性に対する暴力根絶に関する取組では,「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」を2度にわたって改正し,配偶者からの暴力の定義の拡大,保護命令の拡充,市町村の役割の強化等を行いました。
さらに,我が国は,今般設立が決定されたUNウーマンの初代執行理事国に立候補しました。今後,国連におけるジェンダー分野の活動が有機的な連携を図り,より効率的・効果的に実施されるよう,これまで同様積極的に貢献してまいります。
障害者分野については,我が国の障害者に係る制度の集中的な改革を行い,障害者施策の推進を図るため,昨年12月,内閣に「障がい者制度改革推進本部」が設置されました。同本部の下で,障害当事者を中心とする「障がい者制度改革推進会議」が開催され,障害者の権利条約の趣旨も踏まえつつ,活発な議論が行われています。また,引き続き本分野への国際協力も推進してまいります。
議長,
我が国は,人権分野の普遍的な基準・規範の形成における国連の役割を非常に重視しています。我が国が昨年7月に締結した強制失踪条約は発効が間近に迫りました。本条約は,強制失踪が犯罪として処罰されるべきものであることを国際社会において確認するとともに,将来にわたって同様の犯罪が繰り返されることを抑止する上で意義があるものと考えています。我が国は,本条約の発効に向け,多くの国に働きかけを行ってきましたが,引き続き,多くの国が本条約の意義を認め,締結に向けた作業が進められることを希望します。
議長,
我が国は,今後とも人権の保護・促進のための国際的な枠組みの改革努力を支持するとともに,そのための議論に積極的に参加する所存です。また,こうした枠組みが効果的に実施されるよう,すべてのパートナーと協力していきます。
ありがとうございました。