演説

坂場駐ベトナム大使

鳥・新型インフルエンザに関するハノイ閣僚級会合
坂場駐ベトナム大使による日本政府ステートメント(仮訳)

平成22年4月21日
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皆様、

  1. まず、我が国の2005年からの今日までの累計で、国際協力総額が約4.16億ドルにのぼることを発表します。これは、世界銀行からの発表があったとおり、二国間ドナーとして第2位の規模です。我が国によるこうした支援の多くは、域内諸国での対応能力向上等を目指したものです。
  2. 鳩山内閣は、「東アジア共同体」構想に向けた取組の一環として、新型インフルエンザの脅威への対応への地域協力を重視しています。我が国は、2010年度以降、以下のような国際協力を実施しています。
    1. (1) ベトナムに対しては、これまで、国立衛生疫学研究所(NIHE)に対するBSL3ラボの整備と、技術協力や学術協力を行ってきましたが、引き続きオールジャパンでNIHEの能力強化を支援します。
    2. (2) WHOやOIEへの拠出を通じて、ベトナムを含むアジア地域において、ヒトの保健分野及び動物衛生分野において、サーベイランス強化、獣医行政の向上、パンデミックへの備えの強化に、引き続き協力していきます。
    3. (3) 調査研究の面では、我が国の大学や研究機関がアジア・アフリカ8か国のカウンターパートと協力して新興・再興感染症の研究に取り組む「感染症研究国際ネットワーク推進プログラム」を実施しています。
    4. (4) 国立感染症研究所等の国内関連機関の協力とともに、JICAによる感染症対策関連の訪日研修を継続し、人材育成に貢献します。
  3. 2009年に発生したH1N1新型インフルエンザへの対応は、我々は公衆衛生のみならず、国際協力の観点からも重要な経験であり、この経験を今後に活かすためには、総括と評価が何よりも重要であると思います。2005年以降、この閣僚級会合プロセスによって推進した国際協力により、各国がセクターを越えたパンデミック対策を進めたことが、今回のH1N1対応で極めて役立ったことは積極的に評価できます。
  4. 我々には、国際協力を通じて獲得した成果を効率よく維持することが求められています。例えば、H5N1対策を目的とした人材育成やラボラトリー整備の成果は、保健システム強化の一環として継続していく必要があります。
  5. この1年間、支援ニーズ把握の面での国連やWHOが果たした役割を評価します。しかし、同時に、各国の事情に応じた支援策を立案・実施する上で、こうした機関が種々の困難に直面したのも事実です。限られた数量のワクチンを効率よく供与することも、多くの困難を伴う作業でした。我が国は、WHOやUNSIC(国連インフルエンザ調整組織)を中心とする関係機関がそれらの間の役割分担と調整メカニズムのあり方についての教訓を今後に活かすよう期待します。
  6. また、新型インフルエンザワクチンについても、途上国でのワクチン接種支援のため、我が国の1,080万ドルの無償資金協力の提供を含め、国際社会は官民でWHOに協力してきました。我が国は、能力と意思のある途上国においても、インフルエンザワクチンの生産能力が拡大することが重要と考えており、民間セクターも参画するようなWHOの新たなイニシアチブを期待します。
  7. 最後に、この会議のテーマである「ワン・ヘルス(One Health)」の考え方については、如何に具体的な施策として実施するかが重要と考えます。我が国は、こうした観点から、今後とも途上国のオーナーシップを支えつつ、関連国際機関の取組をサポートするとともに、日・ASEAN協力、APEC、ASEM、日メコン協力、日中韓協力等の地域的枠組みを積極的に活用しつつ、新型インフルエンザへの備えの強化に努力して参ります。
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