パネリストの皆様,
ご列席の皆様
本日は私どもの主催するシンポジウムに御参加いただきまして,誠にありがとうございます。
本日のシンポジウムには,スーダン,カンボジアやニューヨークから,様々なご知見をお持ちのパネリストの皆様にお集まりいただきました。またJICAの緒方理事長にも,この後基調講演をしていただくとのことでありがとうございます。また,国内からも学識者,ジャーナリストの皆様にもご出席いただいております。
本年9月,国連安保理首脳会合において,菅総理は,真の平和は何を意味するのか,との問いを投げかけました。戦争や紛争がなくなる状態だけでは平和とは言えず,戦争,紛争,自然災害によって破壊された平和と市民生活を再生することが真の平和につながるとの考えを述べました。国際の平和と安全の維持に主要な責任を有する国連安保理は,この真の平和の実現に向けて取り組んでいかなければなりません。
国連安保理は,国連創設以来その責務を果たすために知恵を絞り,様々な手段を用いてきました。例えば,1940年代末から国連平和維持活動(PKO)が世界各地の紛争地域に派遣され,一定の成果をあげました。一方でいくつかの課題にも直面しております。その一つが,紛争の再発防止であります。2005年の国連事務総長報告「より大きな自由を求めて」では,一旦収束した武力紛争のうち半数が持続的な平和への移行に失敗をして,5年以内に紛争に逆戻りしているとの指摘もなされております。紛争の再発を食い止め,持続的な平和を達成する地盤を築くため,紛争地域の復旧・復興に取り組む平和構築がより注目され,積極的に議論されるようになってまいりました。また,PKOの任務にも平和構築に関わる活動が含まれるようになっていることや,総会及び安保理に対して平和構築に関する助言を行う機関といたしまして平和構築委員会が設立されていることは,紛争の再発に対する国際社会の危機感と問題に一致して対処する我々の意見を表しているものと考えております。
我が国は,これまで平和構築の重要性に着目をした復興支援を行ってきました。さらに,我が国が安保理議長を務めた今年4月には,平和構築を議題といたしました閣僚級会合を開催いたしました。また,国連PKOにつきましても,カンボジアへの派遣以来,東ティモールやハイチ等現場での経験を積んできている他,安保理におきましても,日本はPKO作業部会議長として議論をリードするなど力を入れてきております。
4月の閣僚級会合でも示されましたように,現在,より効果的な平和構築にむけてどうすれば平和維持と平和構築の間に溝が生じないようにできるのか,包括的な取り組みによりまして,平和を定着させるためにはどうすれば良いのかといった点が,国連等において更に活発な議論が求められております。本日は,スーダンよりシッディーク人道問題担当国務大臣,カンボジアよりウイッ・ボリット外務国際協力省長官,国連事務局からはルロワPKO局長など,現場あるいは国連の場での平和構築に今まで真剣に取り組まれてきた方々にご出席いただいており,平和維持と平和構築の有機な連携のあり方について大いに有益な議論が交わされるものと期待をしております。
我が国は,今年末をもって国連安保理非常任理事国の任期を終えますけれども,引き続き,平和維持・平和構築に積極的に取り組んでいく考えでございます。
本日は,パネリストの皆様とご列席の皆様方によりまして,忌憚ない活発な議論が行われますことを心から祈念をいたしまして,開会のご挨拶といたします。
本日はお集まりいただきまして誠にありがとうございました。