平成21年10月20日
(英文はこちら)
議長、
人権は国際社会共通の普遍的価値です。我が国は、世界のあらゆる場所で人権が保護され促進されなければならないと固く信じるものであります。人権の促進・定着はすべての国にとって政治的経済的発展の重要な基礎を提供するものであり、ひいては国際社会の平和と安定に直結するものと信じます。かかる信念に基づき、日本は長年にわたって人権の保護・促進を、日本外交の重要な柱の1つに位置付けています。
議長、
これら普遍的価値である人権及び基本的自由が広く国際社会で保障されるため、人権理事会は非常に重要な役割を担っています。我が国は、人権理事会設立以来の理事国の一員として、人権理事会の制度構築の議論に積極的に関わるとともに、人権理事会が国際社会に期待された重要な役割を果たせるよう、その活動を支持し続けています。人権理事会がより実効性のある機関へと発展するためには依然として改善すべき課題があります。人権理事会は2011年までにその役割と機能の見直しを図ることになっており、国際社会が託した期待に応え得る、真に実効的な機関となり得るかの極めて重要な局面にあります。我が国としては、その見直しの議論においても、積極的に議論に関与する考えです。
議長、
我が国は、我が国が締結している各種国際人権条約について、その国内実施に誠実に努めてまいりました。本年7月には、女子差別撤廃委員会による我が国の第6回報告に対する審査を受けましたが、引き続き、これらの条約審査を通じて条約の国内でのより効果的な実施方法を真摯に検討し、今まで以上に人権が尊重される社会の形成に努めたいと考えています。
議長、
我が国は、人権分野の普遍的な基準・規範の形成における国連の役割を非常に重視しており、また、本年7月、我が国は、「強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約」(強制失踪条約)を締結しました。本条約は、強制失踪が犯罪として処罰されるべきものであることを国際社会において確認するとともに、将来にわたって同様の犯罪が繰り返されることを抑止する上で意義があるものと考えています。我が国は、本条約の発効に向け、多くの国が本条約の意義を認め、締結に向けた作業が進められることを希望します。
また、2007年9月に署名した障害者権利条約については、可能な限り早期の締結を目指して所要の作業を進めていきます。
議長、
国際社会において基本的な人権を確保するためには、平和や開発等様々な分野での包括的な取組が必要であり、これは、人間の生存・生活・尊厳に対する広範かつ深刻な脅威から人々を守り、能力強化を通じて人々の豊かな可能性の実現を目指す人間の安全保障の実現でもあります。
同時に、民主主義の発展も、人権の保護・促進を通じて国際社会が持続的平和、安定と繁栄を達成するための重要な基礎であります。我が国は、経済的発展を遂げた民主国家として、民主主義の達成のための支援を外交政策上の重要な原則の一つと位置付け、法の支配や民主化支援の一環として、例えば、カンボジア、ベトナム、ウズベキスタン、ネパール等の多くの国に対して、法制度整備支援や法律専門家の養成支援を行ってきています。
我が国は、国際社会、特に国連と協力しつつ、引き続き建設的な取組を続けていく考えです。
ありがとうございました。